杏ちゃんのお兄ちゃんは今日も大変です   作:わか

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杏ちゃんとみんなでお花見

四月某日。346プロ内の一室にて。

 

ここから下を覗くと、敷地内で咲いている桜が見える。

それを見ていた卯月はみんなとの親睦会を含め花見を提案する。

 

「みんなでお花見をしませんか?」

 

「いいね。花見しよ!!」

 

未央が賛同し、みんなも頷く。

しかし、ソファーで寝ている杏からは返事が聞こえない。

 

「杏ちゃんも来ますよね?」

 

「ん~私はパース」

 

卯月の言葉に杏は拒否の態度を示す。

その証拠に熟睡しようとアイマスクをポケットから取り出す。

 

「杏ちゃ~ん!!ダメだよー。こういうのはぁ~みんなで集まるのに意味があるんだからぁ!!」

 

きらりが杏を抱きかかえる。

 

「えー。うーん、じゃあ、行くよ」

 

折れた杏にみんなはホッとする。

 

「じゃあ、今度の日曜日に。場所は考えておきますね!!あとでメールします」

 

そうしてレッスンに戻っていく。

どさくさに紛れ逃げようとする杏を捕まえ、きらりはみんなの後についていく。

 

 

「へー。花見かぁ、いいじゃないか。同期の人たちとの交友の場だ。楽しんでこい」

 

「おにぃも一緒に来てよ」

 

「なんでだよ……。俺が行ったら変な空気になるだろ?」

 

「だから彼女ができないんだよ……」

 

杏は兄に聞こえない声でボソッと呟くが、兄が聞き逃すはずもなく。

 

「悪かったな!!俺はこう、俺のすべてを許容してくれる懐の深い女の子がいいんだ」

 

「へっ。冗談きついぜ」

 

「杏!!」

 

怒鳴られた杏は脱兎のごとく自室へ逃げていく。

 

「はぁ……。でも、花見かぁ。俺も花見誘われてるんだよなぁ。杏たちはどこでするのかな?」

 

 

当日。集合場所に集まったアイドル一同は予めプロデューサーが場所取りをしてくれていた場所までやって来る。

彼女たちの手には各々が持ってきたお菓子やジュースがある。

 

「こ、これは!?赤き煉獄から蘇った、イフリート!?」

 

蘭子がよくわからないお菓子の解説をしているが、持ってきた未央はみんなで試食してみようと言っている。

 

「これ、暴○ハバネロですよね。しかも、辛さ三十倍って、私食べたことないんですけど……。誰か食べたことありますか?」

 

卯月の言葉にみんなは首を横にふる。

とそこにドヤ顔で手をあげる人物が一人だけいた。

その子はいつもなら寝ているのに今日は普通に座り、お菓子をまだかなーと待っている。

 

もちろんその子の名は──

 

「杏ちゃん。食べたことあるんですか?」

 

「もち。杏が食べたことないお菓子なんてこの世界にないんじゃない?」

 

みんなは絶対あるよという顔をしているが、杏のドヤ顔が決まりすぎて、反論できない。

 

「じゃあ、はい。杏ちゃん」

 

「え?」

 

「食べたことある杏ちゃんからどうぞ」

 

未央からハバネロを受け取り、それを見つめる。

そして、そのまま流れるように隣にいた蘭子に渡す。

 

「ふえっ!?」

 

蘭子は隣にいた、李衣菜に渡す。

そして、一周し、杏の元に戻ってくる。

 

「なんでだよ!!」

 

杏から出たとは思えない大声でキレる。

杏は震える手で袋を開ける。

その時走馬灯が頭を駆け巡る。

 

(そう言えば、食べたって一枚しか食べてないんだよねぇ)

 

(あの時は、一枚で無理だったから、おにぃに無理やり食わしたんだった……)

 

「あれ?杏?」

 

「え?」

 

そこに偶然か兄が通りかかる。

 

「あ、どうも皆さん。杏の兄です。いつも妹がお世話になっています」

 

みんなが兄に挨拶する。

兄は杏に楽しめよと言い残し去っていこうとする。

しかし、杏がこんなチャンスを逃すはずがなく。

 

「あ、兄が全部食べるって」

 

「え?何が?」

 

「兄これ大好物でね。良かったらあげていい?」

 

「え、ちょ」

 

「そうなんですか?じゃあ、お兄さん、どうぞ」

 

持ってきた未央の許しが出て、めでたく兄の元に暴○ハバネロがやってきた。

 

「…………あ、じゃあ。これ貰っていきますね。そ、それじゃあ」

 

「待てよ、おにぃ」

 

「な、なんだ」

 

「食べていきな」

 

「まじ?」

 

悪い顔で迫ってくる杏の言葉を断れきれず、この後ヒーヒー言いながら食いきった兄がそこにはいた。

 

 

「シンデレラプロジェクトを担当しているプロデューサーです」

 

「杏の兄です。いつもお世話になっています」

 

この後プロデューサーと二人で桜を見ながらお酒を飲みあったのは別の話。

 





遅れて申し訳ない。桜が咲くどころか散ってますね。

ここで今後についての説明を。

後二話で兄の交友関係を広げ、その伏線は放り投げ、杏を中心としたちょっと特殊な話に方向転換するかもしれません。

ご期待ください。

待っててくれた方いるのかな?おまたせしてすみませんでした。
次の話はいつになるかわかりませんが、気長にお待ちください。
アニメ9話が私得すぎて死んでました。特に幸子が輝いてました。

では、また次の話で。

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