赤帽子と王の行く遊戯王5D's   作:ヒキヘッド

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今回は、タッグフォースシリーズから1人登場です。
この話のメインヒロインになるのか…コナミくんのハーレムの一人かは不明ですが……ハーレム苦手なので


シティのアカデミア生

「我、シティに到来!」

『大丈夫かコナミ』

 

シティに到着して、少しふざけてみたら呆れ顔でアテムに心配された。どうせなら少しははっちゃけたいじゃないか…。

 

『しかし、ここはすごいな。サテライトとの差が歴然としている』

「そうだな、ここまで格差があるとはね……っくしゅ!」

 

アテムと話してるとくしゃみが漏れた。仕方ない、あんな悲劇が起きたのが悪いんだ。

 

『大丈夫か? 早く着替えた方がいい、風邪を引くぞ』

「と言ってもなぁ」

 

実はここに来るまでのテレポートの間に、とんだ悲劇が起きていた。

テレポート三回目ぐらいに、空中に出たんだが……下は海、驚いてカードを使う暇もなく海へドボンだ。

おかげで現在絶賛ビショビショである。

 

「……」

「……ん?」

 

どこかから視線を感じる。

辺りはもう少し暗くなってきているが、シティで物盗りなんてでるのか?

 

「あ、あのう……大丈夫ですか?」

「……んあ?」

 

物盗りなんかでるのかなどと、サテライト的思考でジャケットの濡れたところを絞りながら乾かしてると、背中から誰かに話し掛けられた。

 

「まあ、大丈夫か……っくしょい!」

 

振り向くとそこには、喋り方と合わさっておっとりした女の子。

制服っぽいの着てるからアカデミア生か?

 

「あわわ! くしゃみでてますよぅ、早く着替えた方がいいですよ!」

「でもなぁ、暗くなってきたとはいえ、こんなとこで着替えなんかできないだろ?」

「あうぅ……あ、それなら向こうの公園の公衆トイレがありますよ!」

 

俺の一つ一つの行動とかに悩んだり驚いたりとリアクションをする女学生。なんだろうか……保護欲的なのをくすぐられる。

 

「それはいいな。悪いけどそこに案内してもらっていいか?」

「はい! こっちですぅ」

 

歩き出した女学生の隣に並んで、俺はD・ホイールを押しながら歩く。

 

「あっ、俺の名前はコナミだ。小さい波でコナミ」

「コナミさんですね! 私は宮田ゆまです!」

「宮田ね、了解」

 

とりあえず自己紹介。心の中でとはいえいつまでも女学生では申し訳ない。

 

「あうぅ……ゆまでいいですよぅ」

「いいのか? そんな初対面の奴にいきなり下の名前なんて」

「はい、私苗字で呼ばれるの慣れてないんです」

「そっか、じゃあよろしくなゆま」

「えへへ、はい!」

 

ゆまと呼ぶと、いつも呼び慣れた名前だから心地良いのか、嬉しそうな笑顔を浮かべながら、けど少し照れながら返事をしてくれる。

何この子すっごいポワポワしてるんだけど……謎の癒やしが与えられる。これがポワポワ系女子の力か…!

 

「あ、あれが公園ですよ!」

 

元気な声で公園を指差してるゆま。……なんか、こんな元気な子を見てると、初期十代を思い出すなぁ、髪色も似てるし。

 

「サンキューゆま。今度会ったら礼するよ」

「そんないいですよぅ、人助けをしただけですから!」

 

何この子優しい……というか優しすぎる、悪い大人にだまされないか心配。

けど、ここまで案内してもらったしお礼はしたい。

 

「じゃあ、デュエリストID交換しようか。これで好きなときに呼んでくれ、荷物持ちでもチンピラ退治でも何でもするからさ」

「あうぅ……分かりましたぁ、じゃあこれが私のIDです」

 

デュエルディスクにはそれぞれIDがあって、それを使えば簡単に言えば電話できる。

ゆまのIDをディスクに覚えさせて……よし、これで大丈夫か。

 

「あっ、交換できましたよ! ありがとうございます!」

「いやいや、礼を言うのはこっちだから……っしゅ!」

「あわわ! 早く着替えてきてください」

「ああ、そうする……助かったよゆま、暗いし気をつけて帰れよ」

「はい! コナミさんも、風邪を引かないようにしてくださいね!」

 

最後は心配そうな顔をしながら、けど俺が頷くと手を振りながらどこかへと帰って行った。

 

『良い子だったな』

「うおっ!? びっくりしたー……確かにな」

 

いきなり出てきたアテムについ驚いてしまう。今まで消えてたのによ。

けどあんな純粋無垢な子を見てると、悪い大人に何かされないか心配だ。闇マリクとか闇バクラとかダークネスとか……後ユベルとか。

何事もなく成長してもらいたいものだ……って、こういうのフラグか。

 

「さて着替えるか」

 

D・ホイールのシートを開けて中から俺の装備一式を取り出す。

この中には緊急用の着替えやら色々と入れてるのだ。

 

「んじゃあ着替えてくるわー」

 

アテムにはホイールのお守りを任せて、俺は公衆トイレの中でお着換え開始だ。

「しっかし、まさかあいつが甦るなんて…」

『フ……ハハ………!』

「っと…今日はカードの力を使いすぎたか…」

 

着替えながら、せっかくアテムがいない今少しぐらい一人言を言ってみる。いや、周りからしたらアテムは見えないから普段から一人言言ってる奴だけど。

ジャケットも着ていざ行こうとしたとき、俺の中から声が漏れてくる。

普段は表に出て騒がないように俺の精霊を使える力を応用して心の中に抑えつけてるが、今日みたいに多くカードを実体化させたりアテムの一部を実体化させたりなど力を使えば、当然疲れが出てくる。

その時を待ってましたとばかりに、俺のこの力の源の精霊は表に出てこようとする。っても、少ししか声が聞こえないからまだまだ大丈夫そうだ。

 

「お前は大人しくしとけっての」

『ふ……ぎょ………!』

「あーうるせーなぁったく!」

 

黙らせるためにジャケットの胸ポケットの中の精霊のカードを軽くはたく。すると、声はすぐに止み静かになった。

 

「大人しくしといてくれよ、精霊界でデュエルするのはいいけどよ」

 

黙ったことを確認して、俺は濡れた服一式を袋に詰めて公衆トイレん出た。

 

 

 

 

「キャーー!!」

『っ!? コナミ!』

 

トイレを出た直後、どこかから悲鳴が聞こえる。

俺と同じくアテムがオレの方を少し切羽詰まった顔で呼んでくる。

今の声は……。

 

『コナミ、今のは……』

「ああ、恐らくさっきの……!」

 

アテムに答えようとしたとき、俺のデュエルディスクから通信を知らせる音が響く。

普段はライフの表示されるとこにでてる名前は……っち、やっぱり。

 

「ゆまだ!」

『みたいだな、行くぜコナミ! 悲鳴はあっちから聞こえた!』

 

本体である俺を差し置いて、アテムが悲鳴の聞こえた方へと駆けていく。

D・ホイールは……ロックもしてるし大丈夫か。

 

「待てよアテム!」

 

俺もまた、アテムを追いかけていく。デュエルディスクには、きっちりアテムのデッキをしながら。

 

 

 

 

 

 

遡ること十分前。

コナミと別れたゆまは一人自宅への帰路についていた。

 

「えへへ、コナミさんいい人そうでした」

 

先ほど人助けとして助けたコナミのことを思い出しながら、ゆまは歩いていた。

だが考えながら歩いていたせいかいつもの道と少し間違えてしまい見たこともない路地裏へと入ってしまっていた。

 

「あれ? どこですかここ……」

 

キョロキョロと辺りを見渡す。日も既に暮れてしまっていて、路地裏に女子高生が一人など、いくらシティと言えど当然──

 

「へへ、お嬢ちゃん。こんなとこに一人で来たら危ないですよ」

「そうだぜー、こんな悪いおじさんみたいなのにであっちまったら大変だぁ」

「あぅ……」

 

当然、この手のチンピラがやってくる。

ゆまの前と後ろから、一人ずつニヤニヤした顔で男が近づいてくる。

 

「おっと逃げようとしちゃダメだなぁ」

「ひっ……!?」

 

何とか逃げようと走る姿勢を取るゆまだが、前にいる男の取り出したナイフを見て足がすくんでしまう。

 

「大人しくしててくれよー、叫ばれて誰か来たら厄介だ」

「へへ」

「あう……うぅ……!」

 

段々近づいてくる男たちを交互に見ながら恐怖に襲われていく。

その時に、ゆまの頭の中にさっきの出来事が鮮明に思い出された。

 

『これで好きなときに呼んでくれ、荷物持ちでもチンピラ退治でも何でもするからさ』

「こ、コナミさん……」

 

チンピラ退治でも何でもする。そのフレーズがゆまの頭の中で何度も再生される。

まさかこんなすぐに連絡することになるなんて、そう思いながらもゆまはポケットのPDA─今で言う携帯電話のようなもの─を記憶を頼りに、コナミに連絡が行くことを願いながら操作する。

 

「コナミさんだってよぉ、それはお嬢ちゃんの大事な人かぁ?」

「あららー可哀想に。彼氏さんの前に俺らに傷もんにされちまうなんてな」

「うぅ……キャーー!」

 

ついにチンピラの手がゆまの肩を捉える。

そのことに、ここまで叫ぶことを我慢していたゆまだが、恐怖が最高潮に達し悲鳴がでてしまう。

 

「叫ばないでくれよぉ、痛くないからよ」

「そうそう、何なら段々きもちよ……ぐほっ!!?」

 

これでもかと言うぐらいににやけていた男の顔が歪んだかと思うといきなり後ろに吹き飛ばされた。

 

「こんな幼気な女の子捕まえて犯そうとするなんざ」

『人間の屑だな、貴様ら』

「こ、コナミさぁん……」

 

背負い投げをかましてチンピラの片割れを飛ばしたコナミが、今なおゆまの肩に手を置くチンピラを睨みながら、仁王立ちしていた。

コナミの姿を見て、ゆまの口から泣きそうな声が零れる。

 

「な、なんだてめぇ!」

「まずはその子から、手を離してもらおうか?」

 

指をポキポキと鳴らして威嚇しながらコナミが一歩一歩チンピラに近づいていく。

 

「く、来るな-! それ以上近づいて見ろ、この女がどうなっても知らないぞ!」

「……ちっ」

 

チンピラはゆまの首筋にナイフをあてがう。

いくら戦闘要員のコナミと言えど、人質を取られていれば迂闊に動けない。

ましてやゆまは女の子、ケガなんてさせるわけにはいかない。

 

「なら、こういうのはどうだ? デュエルで決着をつけるってのは?」

「デュエルだぁ? そんなもん、俺がやるメリットがねぇな」

「お前が勝てば……これをやるぜ?」

「なっ!? そ、そのカードは……!?」

 

力で押し切れれば楽だったがそうもいかない。そのためコナミの考えた方法はデュエル。

当然デュエルをするだけでは相手は乗らない。そこでコナミは自分の持つ最もレアリティの高いカードを取り出す。

 

「勝てばこれを、お前が負ければゆまを解放してもらう。そして──」

 

キランと一瞬千年パズルが輝く。

 

「負けたお前には、罰を受けてもらうぜ!」

 

コナミの人格に変わってアテムが表に出てくる。

ここからはデュエル、そのためアテムに身体を譲ったのだ。

 

『頼んだぞアテム』

「ああ、任せろ。あいつに死よりも恐ろしい罰ゲームを与えてやるぜ」

 

ゆまの首筋にナイフをあてがったまま男はデュエルディスクを展開する。

 

「へっ、そんなレアカードを頂けるなら乗ってやるよ。……俺は手がふさがってるから、女。代わりにカードをプレイしろ」

「は、はい……コナミさぁん」

「待ってろゆま……こんな奴、すぐに倒してお前を助けてやるぜ!」

 

左手はゆまの動きを束縛し右手はナイフの男は両手がふさがっていてカードをプレイできないためゆまにプレイさせるようだ。

 

「さあいくぞ、そのレアカードは俺の物だぁぁ!」

「お前に待ってるのは、罰ゲームだけだ!」

 

ゆまを救うためのデュエルが、今始まる。




作中登場のチンピラは完全なオリキャラ、噛ませ犬です。
少々話を進めすぎた感もありますが…タッグフォース内じゃハンデデュエルで大逆転クイズすればすぐにハート貯まるしいいでしょう←
また、感想内の返信でややこしい表記がありましたので、ここでまとめておきます。
1.この作品の5D’sの世界に“追加”として新たなメンバーで登場するのは、確定はコナミ・アテム・遊戯・DMキャラ一人の計4人です。ただここに、他の誰かが増える可能性もあることはご承知ください。
訂正:登場するのはGXキャラと書いていましたがDMキャラです、勘違いしてました。
2.コナミがデュエルするときが来れば、コナミはシンクロを使います。アテムに関してはチューナーは使いますが、基本はシンクロは使いません。ただこれも予定なので、変更の可能性はあります。

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