対して女の子を寄って集ってぶちのめそうとするのは、精神に問題がある頬がこけた色々とヤバそうな地雷を持ってそうな男と殺人鬼でブチギレ思考の少年。
これ以上とない程にどちらが大正義か分かる構図だと思います。
役割分担は集団戦の基本だ。
苦痛のアルフェリアはこれまでの腕による物理攻撃から、その12本の手で青い光を生み出し、光弾を放ち続けている。
シャドウ・イーターは苦痛のアルフェリアの周囲を駆け回り、オレ達の接近を許す事無く、緑の炎のブレスと尾による攻撃に終始徹底している。
対してオレとクラディールは、どちらも接近戦型。しかもオレは防御を捨てた攻撃特化であり、クラディールも半壊したフランベルジュでは長期戦できず、火力の乏しい片手剣と盾を用いた堅実な戦いをする他ない。
勝ち目は薄い。だが、まるで存在しない訳ではない。苦痛のアルフェリアのHPバーは残り3本。内の1本は既に4割削れている。オレの通常攻撃とクラディールのフランベルジュの猛攻、この2つだけでこれ程までに削れたともなれば、苦痛のアルフェリアはボスにしてはHPも防御力も極めて低い事になる。
そしてシャドウ・イーターも苦痛のアルフェリア同様にHPも防御力も決して高い部類ではない。
問題なのは、苦痛のアルフェリアは魔法による遠距離攻撃に専念し、シャドウ・イーターが彼女を害そうとするオレ達を、文字通り盾になって防いでくる事だ。
「先に糞トカゲを仕留める! ついて来れるかよ、クラディール!?」
「ガキの分際で誰に物を言ってやがる!」
気合は十分。戦意喪失の様子も無し。この絶望的な状況でありながら、クラディールは虚勢だろうとも強気を崩していない。
精神論ではあるが、心が敗北を認めれば勝ち目は無い。
スタミナ配分に気を配り、的確に相手の攻撃を避け、どんなに小さくともダメージを重ねる。理論的にはこれで必ず勝利する事ができる。ならば、後は精神力と集中力が持つか否かだ。
深呼吸を1つ挟み、まずは相手の情報を整理する。
まずは苦痛のアルフェリアからだ。彼女の攻撃は接近戦では腕による薙ぎ払いと叩き付けだ。遠距離では魔法の光弾だが、これはこちらを狙いつけてくるが追尾はない。だが、12本の手から生み出される飽和攻撃によってこちらを仕留めようとしてくる。必ずオレとクラディールは固まることなく離れることによって攻撃密度を互い下げ合わねばならない。そして、最後に注意せねばならないのは懐に入られた際のどす黒い波動の攻撃。あれは間違いなく大ダメージの部類だ。溜めのモーションがある為に初見殺しの類であるが、それでも離脱が遅れれば致命傷は免れない。それと幸運な事だが、出口を封鎖してからは3本腕泥人間を生み出す気配が無い。どうやら出口封鎖にはボス側にもデメリットが発生するようになっているようだ。
次にシャドウ・イーター。これは苦痛のアルフェリアに比べればHPが低いが、危険度は比較にならない。単調な攻撃ばかりの苦痛のアルフェリアに対し、この糞トカゲは尾による薙ぎ払いと叩き付け、引っ掻き攻撃、巨体を活かしたプレスと突進、緑の炎の火球とブレス。こんな具合に多彩な攻撃手段を持ち、更に獣のような本能に似た攻撃察知と反応、緩急をつけた強襲、即座に苦痛のアルフェリアのカバーに回る防衛意識、いずれも先程までの慢心していた捕食者モードとは段違いの難敵だ。
逆に言えば、シャドウ・イーターさえ落とせれば、苦痛のアルフェリアは1番の問題だった3本腕泥人間が生み出せない為、ヒット&アウェイで確実に倒せる目途が立つ。
スタミナを回復させる為にスピードを落としつつ、オレはシャドウ・イーターの1つ目に軽く足下の小石を蹴飛ばす。だが、命中直前に緑色の炎に包まれた。
先程の手裏剣は通じたが、今度は無効にされたか。てっきり弱点かと思ったのだが、考えてみれば狙ってくださいと言わんばかりの大きな1つ目だ。矢を防ぐための対策くらい施されているだろう。
今は本気状態だから防御機能が発動したのか、それとも元から防御機能が備わってはいるが何かしらの条件で解除されるのか。そのカラクリをハッキリさせる必要があるな。
「晩飯までに始末をつけてーな。腹減ってしょうがねーんだよ」
右手の鎌の柄で肩を叩き、左足の爪先で数度地面を叩く。足場は岩場、泥、黒い水溜まりの3つ。構成比は7:2:1といったところか。岩場は隆起し、高さは一定ではない。上手く立ち回らねばコケてしまうし、下手に泥につかまれば移動速度が鈍り、黒い水溜まりに浸かれば更にレベル1の毒の蓄積のオマケ付き。
ボスも厄介ならば、環境も劣悪。これ以上とない劣勢。せめて独りぼっちの戦いにならなかった事を喜ぶべきか。
「いや、そもそもソロなら戦ってねーか」
ならば棚から牡丹餅と考えておこう。ボス2体分の経験値とコル、それにレアアイテムを独占できるのだ。そう考えれば悪い話ではない。
オレの捕らぬ狸の皮算用を感じ取ったのか、シャドウ・イーターが連続火球を放つ。あの火球は着弾の度に爆発をもたらす為に大きく避けねばならない。
幸いにも速度自体は大したものでない為、距離さえあれば十分に回避も可能だ。迫る光弾を体を捻って躱しつつ、オレはスタミナ危険域のアイコンが消滅した事を確認する。
何も無駄に攻撃の手を緩めていた訳ではない。ここまで無理を通し過ぎてスタミナ切れ間近だったのだ。1度スタミナ切れを起こせば、待っているのは死だ。
もう十分だろう。オレは双子鎌からクレイモアに武器を切り替える。一撃離脱でソードスキル無しの持久戦だ。≪戦斧≫スキル保有でボーナスがかかっている分双子鎌の連撃の方がダメージは上だが、純粋な一撃と長期戦向けの耐久値ならばクレイモアに軍配が上がる。
クラディールがまずはシャドウ・イーターの意識がオレに向いている隙にその右前肢を斬りつける。6本の脚で支えられたシャドウ・イーターはクラディールを追い払おうとその場で暴れ、泥と黒い水しぶきをまき散らす。それらを盾で防ぎながら、瞬時にフランベルジュに切り替えた彼はそのまま苦痛のアルフェリアの懐まで潜り込み、一発お見舞いしてから離脱する。
さすがとしか言いようがない、美しい攻防の流れ。まるで幾多の死線を潜り抜けたかのような動きだ。腐敗コボルド王戦に参加していないとはいえ、彼もソロで生き残った者だ。プレイヤーとしての実力は一級品という事だろう。
「光弾はバケモノ女に接近すれば当たらねぇなァ。コイツは美味しい情報だ」
しかもしっかり分析までしてくれている。大口叩いたオレの方が遅れ気味のようだ。負けるわけにはいかない。
スタミナ回復も十分だ。クラディールもまた危険と判断し、彼にブレスを放つ内にその邪魔な尻尾へとクレイモアで突きを放つ。刀身の半ばまであっさりと突き刺さり、そのまま薙ぎ払ってダメージを追加させる。
尻尾を振るってオレを追い払おうとするが、それより先に糞トカゲの背中に飛び乗り更に一撃突き刺す。
やはり≪両手剣≫が無い分火力が引き上げられていないクレイモアでは、思いの外にダメージを稼げないか。HPの減少具合を見るに、今の工程を3桁届く程やればHPを削りきれるだろう。
だが、無理な攻撃はそれだけ武器に負担をかける。なるべく柔らかく、ダメージの通りが良い腹部を狙いながらの戦いが望ましい。
火球の爆発を背中に受け、踏ん張ることなくその爆風に乗る。ダメージは受けるが、それ以上のリターンである加速を手にし、ラビットダッシュと併用して一気に腹に潜り込んでクレイモアの一閃を与え、そこから更に双子鎌に迅速に切り替え、≪戦斧≫の単発ソードスキル【ウォールリッター】を使う。片手使用の戦斧前提のソードスキルであり、スタミナ消耗が少ないが素早く発動できる上段攻撃のソードスキルだ。もちろんソードスキル補正は≪戦斧≫でも最低レベルである。
ただし、これを両手で同時発動させる。擬似的な≪二刀流≫ソードスキルとも言うべき、重複ソードスキル攻撃だ。それが爆風とラビットダッシュの2つの加速が残った状態で放たれる。
シャドウ・イーターがプレス攻撃を仕掛ける頃には既にオレは腹の下を潜り抜けた後であり、双子鎌からクレイモアに切り替えて減速で身動きが取れないオレに迫る光弾を受け止める。
元来防御用の武器ではないクレイモアでは、ましてや魔法攻撃の防御など土台期待できないが、直撃よりはマシだ。壁を蹴って三角飛びをし、火球をギリギリで回避しながら空中で燐光紅草を食べる。
燐光草は10秒間で1割しかHPを回復させないが、燐光紅草は2割回復させる事が出来る。単純に2倍の回復力だ。しかもお安くて財布にも優しい。
「スタミナを温存しろ、馬鹿ガキがァ! 一撃離脱で小さなダメージを稼げ!」
「うるせーな! 馬鹿だからガキなんだよ! そもそもオレの一撃離脱ってのはこのレベルだ、憶えとけ!」
クラディールは説教しながらシャドウ・イーターの火球を寸前で盾で防ぐ。だが、盾の表面に緑色の火が残っている。盾を貫通したダメージも芳しくない。やはり防御よりも回避した方があの緑の火は良さそうだ。
回転しながら尻尾を振るうシャドウ・イーターは停止と同時にブレスをオレに放つ。直線状のブレスはモーションさえ見切れば回避は容易いが、コイツは回転しながらブレスの溜めを行い、それを隠したのだ。
幸いにもブレスはオレには命中せず、すぐ右を通過する。
面白い攻撃をしてくる。背筋に冷たい物を感じながら、シャドウ・イーターがまるで手探りのように新たな戦術を編み出した事にオレは危機感を募らせた。
獣同然のAI。それが進化を始めている。オレ達の戦い方から、試行錯誤という新たな思考を生み出し、試し始めている。
いや、そもそも獣と同じAIとは何だ? それは果たして、オレ達が知るAIと同じものなのか? 断じて違う。
もはやコイツは生物だ。物語や伝説に存在する怪物と何ら変わらない。
ゲームという名の殺し合い。茅場の後継者は開会式で最後にそう宣言した。そもそも殺し合いとは、どちらかが死ぬからこそ成り立つ。
生命と生命のぶつかり合い。有機物の脳に操作されたアバターを持つか、無機物の情報の羅列の中で誕生した電脳によって操作されたアバターを持つか。
今のオレ達の違いはそれだけだ。
シャドウ・イーターは突進してオレを轢き殺そうとするが、そうはさせない。先程と同様にスプリットターンで回避する。だが、急ブレーキをかけ、シャドウ・イーターはオレに向かって尾を叩き付ける。
回避できない。オレは即座に黒い水溜まりに身を投げる。幸いにも全身が沈む程度の深さがあるらしく、オレの体は水没して底に触れる。隆起した岩盤が多い場所だ。いかに尻尾が太くとも体を沈めれば直撃は避けられる。それにオレの毒蛇皮のコートは毒耐性を高める。レベル1の毒でこの黒い水の蓄積能力ならば40秒は発症せずに耐えられる。
そして、オレに気を取られて苦痛のアルフェリアから糞トカゲが引き離れた隙にクラディールが苦痛のアルフェリアに猛攻を加え、更に腕を1本奪う。
「なるほどなァ。多関節の腕ほど脆い訳か」
どうやらクラディールはオレをエサにシャドウ・イーターを引き離し、苦痛のアルフェリアの攻撃手段を減少させる作戦にシフトしたらしい。せいぜいその役目を全うするとしよう。
クラディールの分析通り、関節が多い腕程細い苦痛のアルフェリアは残り11本となった腕で接近を許したクラディールを掴もうとするが、彼はそれより先に間合いの外に離れる。まさしく一撃離脱のお手本だ。
慌ててシャドウ・イーターは火球でクラディールに牽制をかける。その間にオレはクレイモアで右前肢を斬りつける。引っ掻き攻撃を寸前でクレイモアで受け止め、大きく弾き飛ばされながら手裏剣を投擲するも、やはり目に命中する前に焼け落ちた。
シャドウ・イーターは咆哮を上げる。その大音量は空気を震わせるが、その程度でオレ達の志気は下がらない。元より状況は最悪なのだ。諦めた瞬間に死ぬのに、威嚇されたところで戦意は削げない。
だが、オレは忘れていた。シャドウ・イーターの咆哮には何かしらのメッセージがある事を。そして、それを苦痛のアルフェリアは理解できることを。
苦痛のアルフェリアが取ったのは周囲を薙ぎ払うどす黒い波動の溜めモーション。だが、既にクラディールは間合いを取っている。意味がないはずだ。
次の瞬間にオレが見たのは、そのムンクの叫びのような顔……正確に言えば穴のような口から放出された不気味な白い湯気、あるいは霧を纏ったどす黒い閃光だ。まるで質量を持ったようなそれは真っ直ぐにオレに向かう。
先程のように水溜まりに逃げてもこの攻撃は無駄だろう。オレはスタミナ切れも覚悟で≪歩法≫ソードスキル【バックスライド】を使用する。短距離ではあるが、背後へと迅速に距離を取れるだけのソードスキルではあるが、その回避能力は馬鹿に出来ない。ましてや苦痛のアルフェリアはオレの身長よりもはるかに高く、なおかつ口から黒い閃光でオレを直接狙って放った。
つまり直撃は避けられる。その代償に炸裂した岩盤がオレに幾多と命中し、土煙が上がって視界が奪われる。
だが、これは好機だ。この土煙に乗じて2体から距離を取り、まずは回復を行う。
そうオレの思考が結論付けると同時に土煙の中でシャドウ・イーターの尻尾が泳ぎ、正確にオレを打つ。咄嗟にクレイモアを盾にするも、その巨体から繰り出された攻撃をその場で耐えられるはずもない。
一気に壁まで叩き付けられたオレは嫌な音を立てて破片を散らすクレイモアの刀身を見る。亀裂が走っているが、クレイモアは辛うじて形を残していた。
立ち上がれない。爆発による瓦礫とクレイモア越しとはいえ直撃した尾のダメージはオレのHPを半分も奪った。しかし、それ以上に厄介なのは、瓦礫、尻尾、そして壁に叩き付けられた事によってスタン状態にされた事だ。
2秒か3秒。あるいはそれ以上かもしれない完全なる停止。元よりこれを狙ってシャドウ・イーターは苦痛のアルフェリアにあの攻撃をさせたのだろう。
黒い閃光が避けられるのは前提。オレが土煙の中で尾を防ぐのも前提。本命は今まさに放とうとしている火球かブレス。
作戦というよりも本能に基づいた、オレの行動を読まなければ成り立たない必殺の連撃。どうやらオレは糞トカゲを甘く見積もり過ぎていたようだ。
クラディールが気づいて間に入ろうとしているが、既に遅い。もはや直撃は免れない。せめてHPが削りきられない事を願う他ない。
「やっぱり私がいないとこのパーティは駄目みたいね」
投擲スキルの光を纏い、投げナイフがシャドウ・イーターの巨大な1つ目に突き刺さる。
それは先程とは真逆の展開。まさかの攻撃によってシャドウ・イーターはのけ反り、オレへの攻撃を停止してしまう。
スタンから復帰したオレは、出口の霧を抜けて現れたキャッティに目を見張った。あの霧はこの部屋から逃がさない為のものだろうから、もしかしたら入る事は可能だったのかもしれない。だが、それを抜いても、何故彼女がここにいる? あの霧を見れば、入れば出れなくなることなど予想できたはずだ。
オレに手を差し出し、立ち上がらせたキャッティはウインクする。思わず胸が高鳴ってしまうオレは本当にチョロいようです。
「私は仲間を見捨てない。たとえ、その選択が正解だろうと間違いだろうと。私は私の心が出した答えに従っただけ」
「……ったく、自殺志願者がもう1人増えて感激しちまいそうだ」
オレの皮肉をキャッティは最高の笑顔で受け取ってくれる。
仲間を見捨てない。オレには痛い言葉だ。グリズリーとクローバーの顔が一瞬脳裏に過ぎるが、今は心の奥に押し込む。オレはあの逃げ出した4人と違って彼らを殺した事に後悔はない。だが、悪と断じられるべき蛮行は忘れない。だから、今はオレに戦う事だけに集中させて欲しい。
「キャッティ! この馬鹿アマがァ! これで俺達の勝ちが確定しちまったぞ、どうしやがるんだァ!? あとで俺様のキスをプレゼントしてやる!」
オレ達に魔法攻撃をさせない為、苦痛のアルフェリアの間合いに入って腕攻撃を誘発させ、回避を続けるクラディールが最高の賛辞を贈る。それをキャッティは鬱陶しそうに手で払いのけた。
「悪いけど、カレシ持ちだからパスさせてもらうわ」
「「え? マジ?」」
オレとクラディールの声が重なる。ま、まぁ、それなりに容姿も整ってるし、いない方がおかしいよな。うん。オレの胸キュンは僅か3秒で葬式に出されました。
「大マジ。それともう2つ、それセクハラだし、クラディールって私の好みじゃないから死んでも止めてよね」
痛烈な言葉と共に、キャッティはカタナを煌めかせ、DEXを活かしてシャドウ・イーターに突撃する。それを迎撃しようとシャドウ・イーターは口内から緑の炎を漏らすが、彼女がいつの間にか投擲した投げナイフが目に突き刺さり、またも中断される。
「やっぱり炎攻撃の直前は目が無防備になるみたいね! 読み易くて助かるわ!」
そう言えば、彼女は逃げている最中にオレがブレス攻撃を止めたのを見てたな。その時点で止め方には見当付いていたわけだ。
キャッティは≪カタナ≫の連撃ソードスキル【紅葉落とし】で悶えるシャドウ・イーターの喉を斬り裂く。そのまま離脱しながら投げナイフで、微かでも良いのでダメージを与える。
何にしても、これで2人から3人になった分だけ負担は減った。まだまだ窮地を脱したとは言えないが、それでも好転したことに違いない。
新たな乱入者にシャドウ・イーターはその巨大な目を細める。
今ならば分かる。いや、今更になって分かる事が出来た。シャドウ・イーターはその命に懸けて苦痛のアルフェリアを守ろうとするだろう。そして、その為に自身の全てを活用してオレ達を殺しにかかるだろう。
だが、オレ達の命に届かせはしない。その前に何としてでも仕留める。ここからは一片の油断も慢心もしない。
回復しつつ、オレはこの戦いが終われば2人ともお別れかという寂しさを振り払って走り出した。
オマケ~茶番劇場~
絶望「ぐ、ぐふ……っ!」
苦悩「助けて! 絶望ちゃんが息してないの!」
悲劇「衛生兵! 衛生兵を早く!」
恐怖「まだ心停止しただけだ! AEDを持って来い!」
希望「そんなヤツ、さっさと安楽死させちまえ」
救済「これからは我らの時代」
喜劇「世に平穏のあらんことを」
奇跡(最後の台詞、死亡フラグじゃないよな?)
Fin...?
ボス戦は基本的にLove&Peaceを心掛けています。本当です。嘘はついていません。
ただし、基本とは応用する為にこそ存在し、応用とは時として基本を壊してこそ成る場合があると考えているだけです。
……正直に言いますと、たまには希望溢れる展開も書いてて悪くないなと新鮮でした。
それでは33話に世に平穏のあらん事を。
Let's MORE DEBAN!
※「世に平穏のあらんことを」の元ネタが分からない方はこの言葉をコピペして検索してみると分かります。そして、もれなく汚染された世界の新興宗教に入信の認可が下ります。