ランスIF 二人の英雄   作:散々

36 / 200
第35話 魔人の足音

 

-レッドの町 司令部-

 

 レッドの町を解放した解放軍は、次なる戦場であるジオの町奪還に向けて会議を行っていた。参加者は前回の面々に加え、欠席していたランスと志津香、更にはシィルとリックとメナドが加わっていた。

 

「失礼、遅くなりました」

 

 エクスが遅刻してきた際、その横に魔法軍副将のメルフェイスを携えており、そのままメルフェイスも会議に加わる。総勢18人、それもリーザスの将軍、副将が半数以上を占めるという状況だ。

 

「流石に壮観だな」

「そうですね」

 

 ルークがそう呟き、右隣に座っていた真知子がそれに同意する。以前同様バレスとマリアが進行役になり、会議は円滑に進んでいく。何故かメナドがちらちらとルークの方を見ている事がリックは気になっていたが、まあ些細な事だ。そうして会議も終盤にさしかかった頃、会議の始まりからずっと寝ていたランスが大あくびをしながら目を醒ます。

 

「ふぁぁぁ。おい、終わったか?」

「ふふふ、おはようございます、ランスさん」

「もう! ずっと眠っているだけなんだから!」

 

 悪びれる様子のないランスを見て真知子がクスクスと笑い、マリアが苦言を呈す。このランスの対応にリーザス兵の評価は割れる。バレスやリックは剛胆と感じ、評価を下げていない。逆にエクスやハウレーン、黒の三副将などはあまり良く思っていないようである。因みにメナドは心ここにあらずであり、ランスの事を考えている余裕はなかった。

 

「ランス殿、もうすぐ会議が終わるところでしての。後は解放軍の被害の確認と、補給経路の確認、それと……」

「なんだ、確認ばかりではないか。そんなものはパスだ。それより、レッドの解放で俺様たちの部隊にはどれだけ仲間が増えたんだ?」

 

 それは既に話した事であったが、バレスが特に気にせずランスに説明を始める。ランスの横の席ではシィルが申し訳無さそうにしている。

 

「赤の軍と魔法軍、それと義勇軍が志願してきて併せて約2000。更に、リーザス親衛隊も赤の軍に組み込まれ参加していたため、こちらも新たに加わりました。これで合流していないリーザス軍は青の軍を残すのみですじゃ」

「ジオの町を守るヘルマン軍は約2000。司令官ガイヤスもそれ程優秀な指揮官ではないため、よほどの事が無い限り負けることはないでしょうね」

 

 バレスとエクスがそう報告する。いくら被害が出てもヘルマン軍が痛まないためか、リーザス軍は比較的前線に配備されていた。流石に防衛戦を得意とする青の軍は後方に配備されていたが、それ以外の軍は既に洗脳を解いて解放軍へと加わっている。それ故解放軍は巨大な規模に膨れあがっており、ジオの町の兵数ではとても抑えきれるものではない程だ。ヘルマン軍の作戦が裏目に出た形となったのだ。

 

「そうだ、親衛隊で思い出した。あの美人のレイラさんはどうした? 助けてやったんだから、お礼くらい……じゅるり」

「むっ、それは……」

 

 ランスの言葉にバレスが眉をひそめ、他の面々も同様に表情が変わる。

 

「何だ? レイラさんに何かあったのか?」

「彼女には他の洗脳魔法とは違う特殊な魔法が掛かっていて……」

「えーい、うだうだ言うな! さっさと結論を言え!」

 

 エクスが代弁しようとするが、回りくどい言い方にランスが結論を促す。すると、マリアが何かを決断したかのような表情で口を開く。

 

「……判ったわ、こっちについてきて。それと、ルークさんやかなみさんも」

「マリア殿、それは……」

「あまり男性に見せる姿ではないと思うのですがね」

「エクス、それほど酷いのか?」

 

 マリアの決断にバレスとエクスが難しい表情を浮かべる。彼らにとってレイラは同じリーザスの仲間であり、その彼女の現状をあまり多くの人に見せたくはないのだ。まだレイラの現状を見ていないリックがエクスに問いかける。この場にいる者ですらレイラの今の姿は聞き及んでいるだけに留まり、実際に目にした者は少ないのだ。

 

「ええ。特にリック、君は絶対に見てはいけませんよ。彼女の事を思うならね」

「それは……?」

 

 そう言うエクスは既に見ているのであろう。光景を思い出し、眉をひそめる。リックはレイラの事を心配に思うが、先程エクスとバレスから絶対にレイラの様子を見てはいけないと忠告を受けたため、彼女に会う訳にもいかず難しい表情を浮かべている。

 

「私もいいんですか?」

「うん。見て貰った方が早いし、緊急性も伝わると思うわ。かなみさんは緊急時に一番柔軟に動ける人だから、こういう事は知っておいた方が良いと思うの。それに、ランスは見なきゃ納得しないと思うし……」

 

 かなみもまだ確認していなかったため、マリアはルークとかなみをランスと一緒に奥の部屋へ連れて行こうとする。一度は戸惑うかなみだったが、マリアの言葉にしっかりと頷いて席から立ち上がる。

 

「ふん、とにかく案内しろ」

「さて、俺もついて行くか」

「ルーク」

 

 ランスに続くように席から立ち上がるルーク。すると、左隣に座っていた志津香が声をかけてくる。志津香は優秀な魔法使いであるため、レイラの洗脳魔法を調査するために彼女の様子は既に見ていたのだ。

 

「出来れば、すぐに忘れてあげて。というか、忘れないと踏むわ」

「了解だ」

「メルフェイス。君も行って説明の補助を」

「はい、エクス様」

 

 マリアに案内され、ルークとランス、シィルとかなみ、そしてメルフェイスは司令部の奥の部屋へと向かう。廊下を歩いていると、奥の部屋から悩ましげなあえぎ声が聞こえてくる。マリアが沈痛な面持ちで歩みを進め、部屋まで辿り着く。一行がマリアに促されて中の様子を覗き込むと、そこには狂ったように乱れ、裸で自分を慰めているレイラの姿があった。

 

「あぁぁぁぁ! あぁぁぁぁ!!」

「そんな……レイラさん……」

「おおおっ! これは俺様を誘っているのか!?」

「馬鹿言わないの。レイラさんは昨日の晩からずっとこの状態なの」

 

 かなみが息を呑み、ルークも腕組みをしながら眉をひそめる。会議中に話には聞いていたが、まさかこれ程の状態とは。寝ていたランスにマリアが現状を説明していると、それを補足するようにメルフェイスが一歩前に出て口を開く。

 

「レイラさんはどんどん衰弱しています。彼女だけは他のリーザス兵とは違う洗脳をされたようです」

「はぁ……あぁ……アイゼル様ぁ……」

「アイゼルだと?」

 

 レイラの上げた声にランスが反応する。それも既に会議中に話した事であるため、メルフェイスとマリアが説明を続ける。

 

「ええ、レイラさんは魔人アイゼルに直接洗脳を受けたようです」

「そのアイゼルを何とかするのが一番単純な術の解き方ね。アイゼル自身が術を解くか、アイゼルを倒せば解けるはずだわ」

「アイゼルを倒す……か……」

 

 ルークが難しい表情でそう呟くが、ランスは何でもない事のように受け止めて盛大に笑う。

 

「がはは、簡単ではないか! なにを辛気臭くなっているんだ、貴様らは」

「ランス様、その事なんですが……」

「アイゼルをプチッと倒し、レイラさんをさくっと救出だ。無事に助けた暁には、レイラさんにはたっぷりと礼をして貰うことにしよう」

「あの……その事なんですが、アイゼルの居場所が判らないので、その方法は無理だという結論に会議ではなったんです」

「なに?」

 

 シィルの言葉にランスが思わず聞き返してしまう。

 

「進軍していけばいつかは出会うんじゃないか?」

「いえ、レイラさんの命はもって数日。それだと間に合わないわ」

「なんだと!? それじゃあ、何か別の方法はないのか!」

 

 マリアの言葉を受けてランスが騒ぎ立てる。みすみす美人を死なす事は納得がいかないのだろう。それに対し、会議にちゃんと参加していて解決手段を聞いていたルークが口を開く。

 

「ある。真知子さんが見つけてきてくれた方法だ。ラジールの町から東に位置する迷子の森。そこに生息するユニコーンの蜜を飲ませれば、どんな催眠や洗脳もたちどころに消えるらしい」

「ええ。ユニコーンの蜜さえあれば、きっとレイラさんを救えるわ」

「それをさっさと言え、馬鹿者。なら、とっととユニコーンを捕まえに行くとするか。その後はレイラさんと……ぐふふ……」

「(欲望に忠実な人……)」

 

 こんな状況であると言うのに、目の前で乱れるレイラをイヤらしい目で見ながら手をワキワキと動かすランス。その様子を呆れたような、それでいて感心したような目で見るメルフェイス。

 

「お願いね、ランス。私たちはジオの町に攻め込む準備をしているから」

「捕縛メンバーは少人数になる。ヘルマンとの戦争準備が最優先だからな」

「なに、俺様一人がいれば十分だ」

 

 こうして、レイラを救うべく少数精鋭の部隊が組まれることになった。だが、ルークの言うように目下の最優先事項はヘルマンとの戦争準備であるため、重要な地位にいる者たちはこちらに手を回す事が出来ない。リーザスの将軍、副将たちは部隊を纏める必要があるため参加不可。マリアは先の戦いで大戦果を上げたチューリップ3号の整備。防衛軍の隊長であるランとミリも不参加。この事を聞いたランスが眉をひそめる。

 

「ん、ミリも来ないのか?」

「はい。今回は部隊をちゃんと部隊を纏めると仰っていました」

「珍しいな。鉱山のときはランちゃんに任せてついてきたというのに」

「…………」

 

 ランスの言うように、ミリにしては珍しい行動であった。それはルークも引っかかっていたところらしく、顎に手を当てて何やら思案していた。因みに、魔法部隊の隊長である志津香は今回もついてくる。リーザス魔法軍が合流したため、カスタム魔法部隊をそちらに合流させたのだ。他の防衛軍と違い元々数が少ないため、そちらの方が効率的だとは志津香の主張。真意は不明。仕事を回されなかったランは内心ホッとしていた。以上の事から、ユニコーン捕縛に参加するのは八名。ルーク、ランス、シィル、かなみ、志津香、アレキサンダー、それともう二人。

 

「トマト、復活です!」

 

 両手を高々と上げながら叫んでいるトマト。他の面々と違い、彼女は一般隊員でしかないため、司令部で行われている会議には基本参加させて貰えない。その事にいじけていた彼女だったが、迷子の森に連れて行って貰える事を真知子から聞き、こうして全身を使って喜んでいたのだ。そのトマトの側には何故か神官のセルが立っている。彼女の事は先の会議で聞いていなかったため、ルークが不思議そうな顔をしながら問いかける。

 

「セルさん。貴女も一緒に?」

「はい。迷子の森には、少女がモンスターと一緒に住んでいるという噂があるんです。それが本当なら、放っては置けません。教会で保護しなければ……」

「なるほど。だが、部隊の治療は?」

 

 ルークが心配しているのは部隊の治療。確かにヒーラーがついてきてくれるのはありがたいが、部隊の怪我人の治療が最優先である。こちらには一応シィルがいるため、十分に戦う事は出来る。だが、セルは心配ないとルークに返す。

 

「昨日までで治療は大体終わらせました。今はロゼさんという方が引き継いでくれています」

「ロゼか。本当に俺たちについて来ているんだな」

 

 ラジールにいたはずのロゼだが、本部をレッドに移すのと一緒に彼女も移ってきたらしい。本当に最前線までついてきているのだなと驚くルークを横目に、ランスはセルをジロジロと見ながら上機嫌に口を開く。

 

「がはは、美人のセルさんなら大歓迎だ。俺様と一発……」

「あ、ランスさん。貴方にお話したい事が……」

「しまった、説教を忘れていた! ええい、そんなものを聞いている暇などない。さっさと行くぞ!」

 

 ランスがセルから逃げるように町を飛び出していき、他の者もそれに続く。目指すは迷子の森のユニコーン。

 

 

 

-迷子の森 入り口-

 

 ラジールの町の東に位置する巨大な森。レッドからもそれ程距離はなく、数時間でこの場所まで辿りついていたルークたちは探索を始めていた。

 

「ランス様、大きな森ですね。迷子になりそうです」

「うむ、面倒な森だ」

「この森の名前の由来もそこから来ているんですよ」

「名付けた人はネーミングセンスないですかねー?」

 

 シィルの言葉にセルが補足を入れるが、その命名者をバッサリと切って捨てるトマト。が、不思議そうな表情を浮かべながらアレキサンダーが口を開く。

 

「そうですか? 単純明快で良い名前だと思いますが」

「ルークさん、アレキサンダーさんのセンスって……」

「突っ込まないであげてくれ」

 

 かなみと志津香が呆れたような表情でアレキサンダーを見ている。彼のネーミングセンスは『装甲破壊パンチ』と『属性パンチ・炎』なのだ。それだけでも色々察せるというものである。談笑をしながら森の中を進んでいく一行だが、モンスターの気配が全くない事にルークが首を捻る。

 

「モンスターが出るという話だったのでは?」

「おかしいですね。この森を訪れた冒険者の話ではそうなっていたのですが……」

「んっ!? ルークさん!」

「ああ、みんな止まれ、気配を感じる!」

 

 セルと話をしていると、突如近くからそれまで感じなかった気配が発生する。いち早く気が付いたのは忍者のかなみ。ルーク、ランス、アレキサンダーの三人もほぼ同時に気が付き、気配のした方向に視線を向けている。他の者もルークの言葉を受けていつでも動けるように構えていると、気配のした方向にあった巨大な木の下から湧き出るように何かが姿を現す。一人の少女と小型の生物だ。

 

「ルークさん、あれが森で住んでいるという……」

「女だ! 美少女だ! がはは、俺様のものだ!」

 

 セルの言葉を遮るようにランスが叫ぶ。目の前に現れた少女は、赤い髪に美しい容姿、そして、野性的な薄い服を纏っていた。中々に露出度の高い格好であり、ランスのテンションが一気に上がる。すると、少女はこちらを睨みながら言葉を発してきた。

 

「コノ モリ ラプ ノ オマエタチ デテケ!」

「ん? なんだ?」

「ランス様、どうやら森を出て行けと言っているみたいです」

「片言だな。だが、人語が判るならまだやりやすいか」

「そうですね。ねえ、私たちと一緒に町に戻りましょう?」

「スー イカナイ ケイコクダ スグニ デテカナイト シヌ ワカッタナ」

 

 セルが少女と目の高さを合わせながら優しく話し掛けるが、少女はその言葉に聞く耳を持たず、出て行くように言い残してこの場から瞬時に消え去った。

 

「き、消えましたですかねー!?」

「瞬間移動!?」

 

 目の前の少女が突然消えた事に一同が驚いている中、志津香がすぐに大木に近づいて何かを確認した後口を開く。

 

「いえ、ワープしただけね」

「高度な魔法か?」

「瞬間移動だったらそうだけど、ワープだけなら大した魔法じゃないわ。私も迷宮に仕掛けていたしね」

「テレポート・ウェーブですね。懐かしいです」

「馬鹿者、懐かしんでいる場合か!」

 

 その装置でランスと離ればなれになった事もあったなとシィルが懐かしんでいる。その暢気な様子を見たランスはシィルの頭に拳骨を落とす。

 

「ひんひん……痛いです、ランス様……」

「今の美少女を捜すぞ! こんな森に一人で放っておく訳にはいかんからな、ぐふふ」

「少しは顔に出さないで言ってよね。何を考えているか丸わかりよ」

「だが、あの少女を捜すのは賛成だ。保護する目的もあるが、それ以外にも利点はある。何せ、彼女はこの森に住んでいるんだ」

「なるほど! ユニコーンの場所を知っているかもしれないですね」

「ですが、ルーク殿。彼女がどこへ行ったか見当が……」

 

 消えた少女を捜すことに反対する者はいなかったが、どこへワープしたか見当がつかない。アレキサンダーの言葉に一同は難しい表情を浮かべるが、それを見た志津香が不敵に笑う。

 

「大体の見当ならつくわ。行きましょう」

「流石だな、頼りになる」

「ふん、煽てても何も出ないわよ」

 

 志津香が先頭を走り、それに他の面々が続く。ルークの言葉に軽く返した志津香だが、その表情は少しだけ嬉しそうであった。その表情を見たトマトが、そっとかなみに耳打ちする。

 

「もしかして、志津香さんもラブってますですかー?」

「……どうして私に聞くんですか?」

「それは勿論、ラブってる筆頭のかなみさんに聞くのが一番かとー」

「(嘘、バレてるの!? に、忍者として上手く隠していたはずなのに!)」

 

 

 

-迷子の森 中間部-

 

 志津香が走った先、最初に目指していた箇所にはいなかったが、次に目指した箇所に確かに先程の少女がいた。巨大な木に腰掛け、やってきたルークたちを不思議そうに見てくる。

 

「マダ イタノカ ドウシテ ココガ ワカッタ?」

「ワープ呪文なら、座標を固定しなきゃいけないでしょ。貴女が最初に現れた大木、若干だけど魔力を感じたわ。周りを見れば、この森には頭一つ突き出した木が数本存在している。そして、最初に現れた大木もその一本。となれば、ワープ先に固定しているのはその大木たち。貴女がワープした先もそのどれか。どう、当たっている?」

「アタリダ オマエ スゴイナ デモ ケイコク ムシシタ」

 

 感心した様子であった少女が突如キッとこちらを睨み付けてくる。

 

「オマエタチ モリ アラス アクニン ラプ イジメル ニンゲン」

「ラプ……ラプ……」

 

 少女の側に控えていた小さな生き物が怯えた声を出す。妖精のようなその姿と今の少女の言葉を受け、何かを思い出したかのようにルークが口を開く。

 

「そうか、あれがラプか。初めて見たな」

「知っているんですか?」

「丸い者の一種で、リスとかの仲間だな。歌を愛する平和的種族だが、その美声を見世物にしようとした悪人から狙われてしまい、今では森でひっそりと暮らしているという」

「ほえー。流石ルークさん、何でも知っているんですねー。解説役みたいですー。知っているのかー、ルーク!」

「あまり嬉しくない例えだな……」

 

 ラプという種族の事を思い出したルークがかなみに説明する。それを聞いたトマトが感心して誉めてくるが、何故かあまり良い気はしなかった。そんなルークたちに、少女が持っていた槍を向ける。

 

「スー タタカウ オマエタチ テキ」

「待ってください。私たちは貴女を保護しようと……」

「スー ノ ミラクルパワー!」

 

 スーと名乗った少女がそう叫ぶと、突如ルークたちの体を魔力が包み込む。即座に何の魔法か察する志津香。

 

「まずい! ワープ魔法だわ!」

「槍で戦うのかと思ったら魔法を使われていた。何を言っているかトマトにも判りませんですかねー!?」

「ええい、言ってる場合か!」

「バイバイ トンデケー!」

 

 スーがそう言いながら大きく手を振ると、ルークたちを包んでいた魔力が白く発光し、次の瞬間にはこの場からルークたちの姿が消えていた。どうやら、森のどこかへワープさせられたらしい。

 

「スータチモ ムラ モドル」

「ラプ!」

 

 スーの言葉にラプが頷き、一緒に森の奥へと消えていった。

 

 

 

-迷子の森 最深部-

 

「みんな、怪我はないか?」

「はい。なんとか」

「バラバラに飛ばされないで助かったわね」

 

 ここはとある大木の下。そこには飛ばされた全員が揃っていた。その事に安堵する一同だったが、ワープで無理矢理飛ばされたため完全に迷ってしまっていた。頭一つ抜き出た大木も、その数が多すぎてどれが先程のものか見当がつかない。そのとき、大木に上って辺りを偵察していたかなみが降りてくる。

 

「ルークさん、近くに村みたいなものがあります」

「村?」

「森の中にですか?」

「はい。ここからそれ程距離はないので、数分も歩けば到着するかと」

「ラプの集落の可能性が高いか……?」

「でも、ワープした先にあるのは意味が判らないわね。あの娘、私たちをラプから遠ざけようとしたんでしょ?」

 

 ルークの疑問に志津香も乗っかる。先の少女の言葉を考えれば、その村がラプの集落であるはずがない。では、その村は一体何なのか。そんな中、痺れを切らしたランスが口を開く。

 

「とりあえず向かうぞ。こんな所で話し合っていても仕方ない」

「そうですね。死中に活あり、まずは動いてみなければ何も始まりません」

 

 ランスの提案にアレキサンダーも賛同し、他の面々にも反対する者がいなかったため、かなみが見つけたという村に向かって歩き出す事にする。かなみの言葉通りその場所は近く、数分で村の前まで辿り着いてしまう。

 

「普通にラプの村ですね……」

「どういう事なの……?」

 

 村の中ではラプたちが生活しており、それを見たシィルの言葉に志津香が呆然とする。ラプから遠ざけようとしていた少女は、何故ラプの村の側に自分たちをワープさせたのか。

こちらに気が付いたラプたちは村の奥へと逃げて行ってしまう。何か手掛かりになるかと思い追いかけようとしたルークたちだが、逃げたラプたちと入れ替わるように村の奥からスーが現れる。

 

「シマッタ マチガエテ ムラ ノ ソバ トバシテ シマッタ」

「なるほどね。おかしいとは思ったが……」

「ドジですかねー?」

「どんな罠なのかと疑っていた私の時間を返して欲しいわ……」

 

 どんな裏があるのかと疑っていた志津香だったが、単なる気苦労に終わってしまった。志津香が深いため息をつく中、ポリポリと頭を掻いていたスーが突然キッとこちらを睨みつけてくる。

 

「ヨクモ ココマデ キタナ ホメテヤル」

「無かった事にした!?」

「ルークさん! 可愛いです、あの子!」

 

 スーの行動がかなみの何かにクリーンヒットしたらしい。隣ではシィルとトマトも微笑ましい視線を向けている。

 

「ダガ ラプノムラ シラレタ イキテ カエサナイ シネ ニンゲンドモ」

「待って、貴女たちの生活を邪魔する気は……」

「ミンナ コイ!」

 

 セルの言葉に耳を貸さず、スーが周りに向かって叫ぶ。すると、スーの周りにモンスターが集まってくる。どうやらラプだけでなく、他のモンスターとも仲良く暮らしているようだ。パワーゴリラZ、らーめん、ライカンスロープ、そしてラプと様々なモンスターの混合部隊となっていた。

 

「カカレ!」

 

 スーの合図でそれらが一斉に襲いかかってくる。迫ってくるモンスターたちをルークが冷静に分析する。

 

「厄介なのはパワーゴリラZくらいか?」

「では、私とルーク殿で担当しましょう」

「ランスは?」

「既に女の子モンスターの方に……」

 

 何故ランスがその面子に入っていないのかと不思議に思ったルークだったが、アレキサンダーが指差す方向を見ると、既にらーめんとライカンスロープ目指して走っているランスの背中があった。

 

「やれやれ。まあ、女の子モンスターはランスに任せておけばいいか。かなみとトマトはラプを頼む。超音波にだけ気をつければ大した相手じゃない。志津香とシィルちゃんは状況を見て援護を。セルさんは回復を頼む」

「了解。任せておいて」

「みなさん、気を付けてください」

 

 ルークの指示に従い、各々が散らばっていく。ルークとアレキサンダーの担当は、この場で最も強いパワーゴリラZだ。それを目の前にしながら、アレキサンダーが数を数え始める。

 

「ふむ、十二体ですな。どうですか、ルーク殿? どちらがより多く倒せるか勝負というのは?」

「まあ、いいだろう。だが、油断するなよ」

「御意!」

 

 二人がパワーゴリラZに向かっていく。パワーゴリラZは決して弱いモンスターではないが、相手が悪すぎる。真空斬で次々と斬り伏せていくルーク。対するアレキサンダーも装甲破壊パンチを腹部に放ち、パワーゴリラZを倒していく。その様子を見た志津香はため息を漏らす。

 

「何よ、あっちは援護なんていらないじゃない。火爆破!」

「炎の矢!」

「はっ!」

「とりゃー!」

 

 志津香が悪態をつきながらラプに向かって火爆破を放ち、シィルも炎の矢を放つ。二人の援護を受けながら、かなみとトマトは確実にラプを気絶させていく。その奥ではランスがライカンスロープに向かっていた。

 

「変身! ワープリンセス!」

「がはは、らーめんに続き、ワープリンセスゲットだー!」

「きゃぁぁぁぁ!」

「ランスさん! 女の子モンスターにとって人間の精は毒なんです! 手を出してはいけません!」

 

 左手にらーめんを抱えながら、ライカンスロープが変身した姿の一つであるワープリンセスの胸を揉みしだく。そのランスの様子にセルが苦言を呈す。次々と数を減らしていくモンスター。既にこの程度のモンスターでは足止めすら出来ないほどに、ルークたちのパーティーは強力なものになっていた。三分と掛からずにモンスターたちは全滅する。

 

「ジュウニタイ ノ パワーゴリラ ガ サンプン モタナイ ダト」

「八体、俺の勝ちだな」

「くっ……四体です。まだまだ修行が足りませんね」

「まあ、俺は遠距離攻撃持っているからな。そう気を落とすな」

「なに遊んでいるのよ、全く……」

「バカナ コンナニ ツヨイ ナンテ」

 

 モンスターの全滅にスーが驚いていると、その奥から年老いたラプが現れる。かなみとシィルが倒したラプたちが地面に落ちた状態で口々に長老と喋り出す。どうやらこの老ラプが村の長老らしい。その長老が、悲しそうな瞳でこちらに問いを投げる。

 

「人間はなぜ我々をそっとしておいてくれないんだ……我々の生活を破壊しないでくれ……」

「ユルセナイ コロセ」

「待て、勘違いしているぞ」

「私たちはここに戦いに来たんじゃありません」

「嘘を言うな。こちらは何もしていないのに、多くの同胞がやられたのだぞ」

 

 ルークとセルの言葉を信じようとせず、長老が周りに倒れているモンスターを見回しながらそう口にする。それに対し、ランスが不愉快そうに反論する。

 

「勝手な事を言うな。先に仕掛けてきたのはそっちだろ!」

「私たち、この森にはユニコーンに会いに来ただけなんです!」

「それと、森で暮らす少女の確認と、可能であれば保護を……」

 

 ランスの言葉を聞いた長老の表情が驚きに変わる。シィルとセルもランスの言葉を補足する中、長老がスーに視線を向ける。

 

「スー! これはどういう事だ!?」

「エッ…… ダッテ ニンゲン テキ ワルイヤツ」

「スー、敵かどうか確かめずに攻撃したんだな?」

「……ゴメンナサイ」

 

 スーの謝罪を聞いた長老は全てを理解し、こちらに深々と頭を下げてくる。

 

「申し訳ありません。こちらの早とちりだったようです」

「ゴメンナサイ」

「ランス様、どうやら無事に和解出来そうですね」

「うむ、以後俺様に協力を誓うなら許してやろう」

「ありがとうございます。ささやかですが、謝罪の意味も込めて宴に案内させていただきます」

「そんな時間は……」

 

 断ろうとしたかなみだが、そのお腹がクー、と鳴り顔が真っ赤になる。考えてみればそろそろお昼時だ。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えるか。長居は出来ないが、昼食を取るくらい問題ないだろ」

「そうね、丁度お腹も空いたことだし」

「そうですー! ペコペコですー! だからかなみさん。あんなに盛大にルークさんの前でお腹を鳴らしても、気にしなくていいんですかねー!」

「お願い……トマトさん、追い打ちを掛けないで……」

 

 トマトの天然追い打ちを食らい、かなみが羞恥で死にたくなる。先日のかえるパンツといい、最近不運だと思うかなみだった。だが、まだまだこの程度で不運と思えているあたり、かなり幸せな事だという事に彼女は気付いていない。

 

 

 

-迷子の森 ラプの集落-

 

「もぐもぐ……美味しいですかねー」

「人間の口に合うわね」

 

 ラプに振る舞われた食事を取りながら、ルークたちは一息つく。流石に冒険の最中であるため酒は断った。特に志津香は射殺さんばかりの視線をラプに送り、震え上がらせていたのは余談である。まだ以前の事を気にしているのかとルークが問いかけたところ、まだ忘れてないのかと睨まれながら足を踏みつけられる。何とも理不尽な話である。ルークの側にはかなみ、志津香、トマト、セルが座り、ランス、シィル、アレキサンダーは三人で少し離れた所に座っていた。先程までランスと話していた長老が話を終えたのか、今度はルークたちの方に近づいてくる。

 

「この度は真に申し訳ないことを……」

「気にしないでくれ。反撃とはいえ、こちらも手を出したんだ」

「それよりも、スーさんはどうしてここで暮らしているんですか?」

 

 セルの問いかけに長老が悲しそうに口を開く。

 

「スーは心ない人間に捨てられた捨て子だったのです。森に捨てられているのを私たちが拾い、なんとかここまで育てました」

「そんな……」

「決して少なくはない話です。風の噂で聞いた話ですが、別の森でも人間に捨てられた娘がモンスターたちと暮らしているという話を聞きました。そちらの森には人語を教えられるモンスターがおらず、娘は喋ることすらままならないそうです。名前もなく、周囲からはキバ子と呼ばれているそうで」

「酷い話ね……」

「そのキバ子という娘も、何とか保護してやりたいものだが……」

 

 志津香が声を漏らす。スーはまだラプに保護されたため人語を話せるが、言葉を喋れないそのキバ子という娘は、保護したところで人間社会に適応していけるのだろうか。直接見てはいないが、今の彼女は間違いなく獣に分類されるだろう。

 

「しかし、スーはやはり人間。そろそろ人間界に戻って生活をしないとなりません。スーの幸せのためにも……」

 

 長老の言葉に周りにいたラプたちも頷く。いつかは人間社会に戻さねばならないとずっと考えていたのだろう。それを見たセルは一度深く頷き、ゆっくりと口を開く。

 

「それでは、スーさんは私の教会で保護します。レッドの町の方はいい人ばかりなので安心してください。彼女を迫害するような事は絶対にありません」

「ありがとうございます。スーは文化というものを知らない。色々と迷惑を掛けるとは思いますが、スーをお願いします」

「任せてください。ところで、スーさんは?」

 

 セルが周囲を見回す。確かにスーの姿が見当たらない。おまけに、ランスの姿も。先程までシィルと騒いでいたはずだが、今はシィルとアレキサンダーが静かに話しながら食事を取っていた。

 

「先程ランス様にも同じ話をしたら、スーに人間界の上流階級にも通用する文化を教えてやると仰り、張り切って連れて行かれました。素晴らしいお方です」

「まあ、ランスさんにもようやく神の言葉が届いたんですね」

 

 長老が嬉しそうに話し、それを聞いたセルも喜ぶが、それ以外の面々が一斉に立ち上がる。だが、時既に遅し。笑いながらスーを引き連れて戻ってきたランスの姿が目に飛び込んでくる。隣にいるスーの頬は赤く染まっていた。

 

「遅かったか……」

「スー シラナカッタ アンナ オオキナ モノガ ハイル ナンテ」

「がはは、グッドだったぞ、スー!」

「ニンゲン ノ ブンカ スゴイ」

 

 

 

-迷子の森 湖-

 

 長老にユニコーンがいるという湖の場所を教えて貰い、その場所へ向かう一行。少し森の中を歩くと、言われたとおり綺麗な湖に辿り着く。

 

「ランス様、いました。レア女の子モンスターのユニコーンです!」

「よし、捕まえて蜜を搾り取るぞ」

「待ってください、ランス様!」

 

 そう言って湖に駆け出すランスだが、それをシィルが引き留める。

 

「ん? 何だ、シィル?」

「ランス様では捕まえることは出来ません。ユニコーンは、男の人が近寄るとすぐに逃げてしまいます。物凄い速さなので、触れることも無理かと……」

「ちっ、それじゃあシィル、お前が捕まえてこい」

 

 ランスがシィルに指示を出すが、困ったような表情でシィルは首を横に振る。

 

「……それも無理です、ランス様。ユニコーンは乙女にしか気を許さないんです」

「乙女?」

「処女の女の子です。私は、その、違いますので……」

「面倒な。それじゃあこの中で処女の奴、手を挙げろ」

 

 ランスがそう言うと、次々と手が挙がる。かなみ、志津香、トマト、セルの四人。なんと、この場にいる女性で処女でないのはシィルだけであった。その事に驚愕するランス。

 

「な、な、なんだとぉぉぉ!? はっ! 言われてみれば、お前らの処女を奪っていないではないか! 俺様ともあろう者が……」

「どんなショックの受け方よ……」

「これではいかん! とぉぉぉっ!!」

「粘着地面」

「んがっ!」

 

 ランスが四人に跳びかかろうとするが、地面に足がくっついてしまいそのまま前のめりに倒れ込む。

 

「さあ、馬鹿は放っておいて、私たちでユニコーンの蜜を採取しましょう」

 

 ランスが地面にくっついている間にさっさとユニコーンの蜜を回収しようと考え、湖に近づいていく志津香たち。乙女該当者が四人もいたため難なくユニコーンを捕獲し、その蜜を採取することが出来た。セルが嬉しそうにしながら口を開く。

 

「皆さん、身持ちが堅いのですね。素晴らしい事です!」

「ああ、良い事だ」

「誰か思い人でもいるのでしょうか?」

「…………どうなんだろうな」

 

 ルークがセルの問いかけに一度だけ動きを止め、その後静かに微笑みながら言葉を返す。そのルークの背中に突き刺さる三つの視線。

 

「(ルークさんです、ルークさんです、ルークさんです!)」

「(あんなに判りやすいかなみさんとトマトさんに向かってそう言うの!? 本気で言っているなら殺すわよ……)」

「(トマトの初めては、ルークさんに決めていますですー!)」

 

 こうして蜜を無事に回収したルークたち。帰り際に村にもう一度立ち寄り、教会で保護することになったスーを引き連れ、レッドの町へと引き返す事となった。未だランスが処女云々で騒ぎ立てているが、セルが延々と説教しているため無害であった。そんな中、帰り道の最中にルークがアレキサンダーに問いかける。

 

「そういえば、村での食事の時にどうしてランスたちの方にいたんだ?」

 

 それは、微かな疑問であった。アレキサンダーと付き合いがあるのは、この中ではルークだけである。それなのに、何故ランスたちと食事を取っていたのか。そう問われたアレキサンダーは、シィルの方をチラリと見ながら静かに呟いた。

 

「可憐だ……」

「なん……だと……」

 

 

 

-リーザス城下町 うし車屋-

 

「で、王女は確かにそう言ったんだな?」

「は、はい! ランスという冒険者に、剣と鎧を届けなきゃと……」

 

 ここはリーザス城下町にあるうし車屋。今その店内では、店主がガーディアンに頭を握られて宙へと持ち上げられていた。いつまでも口を割らない王女と侍女の拷問とは別に、ノスの命令でこうして城下町でも情報収集を続けていたのだ。それが遂に実る。この男は、かつてリアたちがカスタムを訪れる際に利用したうし車を運転していた男だ。そのときに聞こえてきた会話の内容を目の前の女に話してしまう。こうして、リアとマリスの懸命の努力が水泡と化してしまう。

 

「そう、じゃあもう用はない」

「それでは、命は助けて貰え……」

「ばいばい」

 

 グシャ、という音と共に男の頭がガーディアンによって握り潰される。血飛沫が辺りに飛び散り、店主の首から下だけになった体が下に落ちる。頬に少しだけついた血を指で拭いながら、少女が嬉しそうに呟く。

 

「聖剣と聖鎧の保有者、遂に見つけたぞ。このサテラ直々に出向いてやる!」

 

 悪夢は目前まで迫っていた。

 

 




[人物]
メルフェイス・プロムナード
LV 24/48
技能 魔法LV2
 リーザス魔法軍副将。かつて故郷を賊から守るため禁断の秘薬を飲み、薬の効果で強大な魔力を手にするが、その代償として二ヶ月に一度自分より強い男に抱かれないと気が狂ってしまうという呪いを受ける。今は定期的にエクスに抱いて貰っている。

スー
 迷子の森でラプに育てられた少女。長老の願いもあり、セルが教会で保護することになる。セルが留守の間も町の人たちが親切にしてくれている。


[モンスター]
ユニコーン
 四つ星レア女の子モンスター。迷子の森に生息し、その蜜は催眠、洗脳を立ち所に治すと言われている。汚れのない乙女しか近寄ることが出来ない。

ラプ
 丸い者の一種。歌を愛する妖精のような種族で、争いを好まない。捨てられたスーを育てるなど、心優しい種族である。

パワーゴリラZ
 体力と力に優れたモンスター。ぶたバンバラよりも強く、ぞうバンバラよりは弱い中堅モンスター。

らーめん
 二つ星女の子モンスター。赤いチャイナ服が特徴的。麺類が好物で、それ以外は口にしない。

ライカンスロープ
 女の子モンスター。変身を得意としており、星の数は何に変身出来るかで変わってくる。素の状態なら一つ星。

ワープリンセス
 ライカンスロープの変身の一種。お姫様の格好をしており、ウルウルと涙目でお願いしながら攻撃してくる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。