ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第168話 真名

 

-アイスフレーム拠点 本部-

 

「銀行強盗……ですか?」

 

 カオルがわずかに眉を顰めながら、そうウルザに問う。グリーン隊の隊長、副隊長であるランスとカオルは、次の任務の話をウルザから聞いていたところだ。だが、ウルザの口から飛び出した任務は、にわかには信じがたい内容。

 

「はい。ゼス共同銀行は、2級市民に高金利で金を貸し付け、返済不能になると奴隷として身売りさせたりしています」

「ふむ。それは最悪な銀行だな。さっさと潰した方が良い」

「ランス隊長……だからと言って、強盗をしていい事には……」

 

 既にランスはこの任務に納得しているようだが、カオルはそう簡単に容認出来るものではなかった。これはまるで、過激派のペンタゴンのような任務だ。

 

「アイスフレームの活動資金が無い事はお前も知っているだろう? だったら丁度良いじゃないか」

「……ですが、ゼス共同銀行は最近外部から新しく頭取を招き、内部改革の最中だと聞きます。実際、その頭取に変わってからは悪い噂は殆ど聞きません」

 

 ゼス共同銀行は無人金貸し機『サラキン』を開発し、かなりの金を2級市民から回収している。だが、前頭取は生かさず殺さずというバランス感覚が下手な男であり、そこを金融長官ズルキに睨まれてしまった。誰か別に優秀な人材がいればとズルキが捜したところ、該当する人物が一名いた。それが、外部から招かれたという新頭取。

 

「なぁに、隠すのが上手いだけだろう。腐った組織はそう簡単に変わらん」

「…………」

 

 勿論、ランスの言い分も判る。新頭取に変わってから悪い噂を聞かないのは、その者が単純に尻尾を見せない悪であるという可能性も高いのだ。自分の国を悪く言いたくないが、頭取になれるような地位の者にまともな人物は少ない。それはカオルも重々承知している。

 

「それでも、ゼス共同銀行の今後を少し見守るべきでは……?」

「ぬるい。そんな風に待っていたら、改革などいつまで経っても成功せんぞ」

「ランスさんの言う通りです。カオルさん、今は動くときです」

「ウルザ様……」

 

 ここまで言われては、最早反論する事は出来なかった。ウルザの隣に立つダニエルは先程から無言のまま。彼は本当にこの任務に納得がいっているのだろうか。カオルは問いただしたい焦燥に駆られる。

 

「この銀行の金庫室ですが、地下洞窟から入る事の出来る通路があります。そこから侵入してください」

「うむ、丁度良いな。まるで準備されたかのような展開だ」

「鋭いな」

「ん?」

 

 それまで黙っていたダニエルが不意に口を開く。眉を顰めるランスを一瞥しながら、そのまま言葉を続けた。

 

「この地下洞窟からの通路は2級市民にも多く知れ渡っている事だ。それで大金持ちになった者もいるとさえ噂されている」

「セキュリティがガバガバの駄目銀行という事か?」

「そう思うのならばそう思っていればいい」

 

 ふん、と鼻を鳴らすダニエル。些か部屋の空気が悪くなる中、ウルザが間に入る。

 

「銀行がそんな甘いセキュリティで管理されているとは思えません」

「つまり、罠という事か」

「可能性は高いかと。くれぐれも注意してください」

 

 心配そうな顔のウルザとは対照的に、ランスは何も心配する事はないというような笑顔でニヤリと笑う。

 

「なーに、俺様に掛かれば悪徳銀行などちょちょいのちょいだ。大船に乗ったつもりで待っていろ、がはははは!」

 

 本部にランスの笑い声が響く中、カオルは最後までこの任務に納得出来ないままであった。

 

 

 

-アイスフレーム拠点 ブラック隊詰所-

 

「ルーク隊長。ウルザさんが呼んでいましたよ」

「ん……判った、今すぐ行く」

 

 ルークを呼びに来たのは、レフランという女性隊員。本日は朝一でウルザとグリーン隊幹部、つまりランスとカオルへの任務通達があり、その後は他の隊長達に任務通達という流れであった。今、詰所にはブラック隊の隊員が集まっており、各々鍛錬をしている。どうせこの後、ウルザから承った任務の連絡をするために集めるのだ。ならばとルークは皆を少し早目に集め、鍛錬の時間に回していたという次第だ。

 

「セスナ、ついて来てくれ。ネイ、後は頼む」

「うぃ」

「任せておいて」

 

 副隊長であるセスナは共に出席するため、手に持っていたハンマーを置きルークに駆け寄っていく。副隊長ではないが、ネイの発言力はセスナと同等。こういった時の纏め役にはうってつけであるため、後の事はネイに任せていく。そんな中、詰所の端で適度にサボっていたロゼが口を開く。

 

「ねぇ。今日みたいに、一部の隊だけ別に任務通達っていうのは良くある事なの?」

「俺も来てから日が浅いからな……ネイ、どうなんだ?」

「そうね……任務中とかで拠点にいる隊がまばらだったら、別々に通達っていうのは良くあるわ。けど、今回みたいに全部の隊が揃っているのに別に通達っていうのは珍しいかも」

「言われてみればそうですね」

 

 任務は数日掛かりになる事も多く、拠点にいつも全ての隊が揃っている訳ではない。だからこそ、今日みたいに全ての隊が揃っている場合は、各隊長同士の情報交換兼、任務通達の時間短縮という理由で、一斉に集められる事が多い。

 

「重要な任務の場合は、個別に呼び出す事もありますわ。諜報を主としているブルー隊のアベルト隊長は特に」

「うん、そうね。珍しいけど、無い事ではないわ」

「ふーん……」

 

 ロゼが意味あり気に呟く。つまり、グリーン隊は何か重要な任務についた可能性が高い。同じような立ち位置にあるブラック隊を差し置いてだ。

 

「とりあえず、任務を聞いてくるさ。ロゼ、サボるなよ」

「ほら、インチェル。御覧なさい。あれが隊員を信用しない隊長の姿よ」

「いや、その、えっと……既にサボり気味だった人が言っても説得力が……」

 

 近くにいたインチェルの肩に手を回してルークを煽るロゼ。困ったようにしながらも、インチェルは普通に受け答えをする。シトモネで隊員たちに耐性があったとはいえ、ロゼの隊への馴染みの早さは流石であった。

 

「あの人が来て、隊の雰囲気が少し明るくなった……」

「まあ、そういう才能はあるな」

 

 ルークとセスナがウルザの屋敷を目指して歩く。すると、前方からランスとカオルが歩いてくるのが見えた。あちらもルークたちに気付いたようで、ニヤリと笑いながら声を掛けてくる。

 

「がはは! 今から任務を聞きに行くのか? のろまだな」

「そういう順番だ。これから任務か?」

「まあな」

 

 どこか勝ち誇った笑みを浮かべるランス。やはり、それなりに大きな任務のようだ。大変な任務だとランスは面倒臭がりそうなイメージもあるが、実はそうではない。ちまちました行動は嫌いなため、むしろ率先して大きな任務をやりたがるのだ。勿論、面倒な場合はパスするが、見返りが大きい場合、例えば美女が任務に関わっている場合や、優越感に浸れる場合などは多少の面倒事があっても引き受ける。

 

「察するに、それなりに大きな任務だろう?」

「うむ。俺様にしか成し遂げられないハイパーな任務だ」

 

 今回の任務はどちらかというと後者、優越感に浸るという割合が強かったのかもしれない。今、グリーン隊とブラック隊の立ち位置は似通っており、エースの隊が二つあるようなものだ。また、サーベルナイト討伐においてはルークの働きが大きかった面もある。ランスの性格から考えて、ここで明確な格付けをしておきたかったのだろう。

 

「気を付けろよ。お前は大丈夫だと思うが、隊員たちはいつも連れているメンバーとは違う」

「ふん、倒れたらそいつがその程度の奴だったという事だ。俺様の下僕としては相応しくない」

「と言っても、女性陣はちゃんと守るんだろ?」

「当然だ」

 

 今までの冒険で共に旅をしてきた仲間は、大陸でも屈指の実力者であったり、何かしらの才能に秀でている者であったりする事が多かった。だが、今はそうではない。グリーン隊ならロッキー、プリマ、メガデス、タマネギ、ルシヤナ。ブラック隊ならインチェル、珠樹、ナターシャ。この辺りの面々は、勿論一般人よりは強いが、現時点ではこれまでのような大冒険に連れて行くには心もとない戦力だ。更に枠を広げるなら、殺、シトモネ、ネイ、バーナード辺りも、闘神都市の最終戦クラスであれば、迷わず脱出組のパーティーに入れられるであろう面子だ。今までと同じような感覚でいては余計な犠牲を払う事になる。

 

「(まあ、ランスもこういう経験が初めてな訳ではないから、大丈夫だとは思うがな)」

 

 ルークも本気で心配している訳ではない。直近ではハピネス製薬事件の際にキサラと言裏、玄武城事件の際にコパンドンを連れていたのを知っている。いつもより大所帯であるため、一応念を押したに過ぎない。

 

「まあ、ちまちました任務をやっておけ。その間に、俺様がガッポリ稼いできてやる。がはははは!」

 

 笑いながら去って行くランスと、それについていくカオル。その後姿を見て、セスナがポツリと呟く。

 

「カオルさん、元気がなかった……」

「そういえば、一言も話さなかったな」

 

 カオルがいつもと違う事をセスナは感じ取っていた。それは、セスナの独特な感覚。居眠りのせいで人の悪意に晒される事が多かったからか、若くして傭兵をしていたからか、あるいは生まれ持ってのものかは定かではない。だが、セスナは感覚で相手の本質を見抜く節がある。いわば、野生の勘だ。そのセスナの勘が、カオルの違和感をしっかりと見抜いたのだ。

 

「(カオルの事も気になるが、もう一つ。ランスは金を稼ぐと言っていたな……となると、資金調達の任務か)」

 

 アイスフレームの活動資金はかなり逼迫している。だからこそ、先日大規模な解雇があったのだ。しかしそれは、一時しのぎでしかない。確かにこの状況で資金問題を何とかすれば、グリーン隊への評価はうなぎ上りだろう。

 

「(カオルの件と資金調達の任務、関係性はあるのか? 情報が少なすぎるな。この状況で勘ぐっても仕方ない)」

「あ、ルークとセスナじゃないか!」

 

 そんな事を考えていると、後ろの方からサーナキアの声が聞こえてきた。彼女もウルザに呼び出されているのだから、当然と言えば当然の合流である。そのまま三人でウルザの屋敷まで向かうのだった。

 

 

 

-アイスフレーム拠点 本部-

 

「……それでは、この任務はシルバー隊でお願いします。こちらはブルー隊で」

「ああ、任せてください」

「第12貧民村ですか。マジノラインに近いですね」

「ええ。いつも以上に気を付けて」

 

 各隊に任務が割り振られていく。どれも比較的軽めの任務。つまり、いつも通りの内容という事だ。しいて言うならば、アベルト率いるブルー隊の任務が若干大変か。だが、失敗する程ではない。

 

「俺たちはモンスター退治と人捜しか。方向も北と南で逆だし、二手に分ける必要があるな」

「でも、どっちもそこまで大変そうじゃない。油断する訳じゃないけど……」

「ああ」

 

 セスナの言葉に頷き、ルークは机の上へと視線を向ける。そこには、今回割り振られなかった任務の依頼書が乗っている。モンスター退治の方は、ルークが出向けばすぐに終わるだろう。場所もイタリア付近なので、移動時間もさほどではない。もう一つくらいならば、軽めの任務を受けられる。

 

「……ん?」

 

 依頼書を眺めていたルークの目に、イタリアという単語が飛び込んできた。それを手に取り、目を通す。

 

「ゼス共同銀行の経営調査……?」

「(ほぅ……)」

「ルーク、どうした? その任務に興味があるのか?」

 

 このタイミングで、よりにもよってその任務に興味を持つか。まるで示し合わされたかのような行動に、思わずダニエルが声を漏らしかける。割り振られた任務とは別の依頼書に手を伸ばした事が気になったのか、サーナキアが声を掛け、ルークが持つ依頼書をアベルトと共に覗き込んでくる。

 

「頭取が変わり、悪い噂を聞かなくなったゼス共同銀行。それが真実なのか、あるいは裏で二級市民を虐げているのか。状況把握のために調査を求む……どちらかというと、僕の隊向けの任務ですね」

「ええ。任務としての優先度は落ちるから、アベルトの手が空いてから回すつもりだったの」

「……この任務、こちらで請け負ってもいいか?」

「えっ?」

 

 ウルザが驚いたような顔を見せる。このタイミングという事もあったが、ルークが諜報活動的な任務を受けると言ったのが意外だったのだ。

 

「2日で見積もって貰っているが、移動時間を合わせてもモンスター退治は今日中に十分終わる。それに、帰りがてらイタリアに寄る事が可能だ」

「そのまま調査をするという事ですか? ゼス共同銀行はそれなりに巨大な銀行です。時間が掛かりますよ」

「はい。ブラック隊にそこで時間を掛けられるのは……」

 

 ウルザが言いにくそうにしながらもハッキリと伝える。ブラック隊は戦闘メインの部隊。そちらに力を入れて欲しいのはルークも承知しているはず。なればこそ、諜報活動に時間を取られて欲しくないのだ。

 

「時間が掛かりそうだったら、諦めて帰ってくるさ。だが、上手くいけば2、3日である程度の情報が得られるかもしれない」

「ほぅ……それは本当か?」

「ああ」

「ですが……その……」

 

 ダニエルの言葉に頷くルーク。だが、ウルザが乗り気でないのにはもう一つ理由があった。ゼス共同銀行には、ランス率いるグリーン隊が向かっている。わざわざルークたちが調べずとも、情報がやってくる可能性があるのだ。だが、ルークにそれを言う訳にはいかない。グリーン隊がゼス共同銀行に侵入する事は、絶対に言いふらすなとランスから口止めされている。ランスとしてはこれで自分の株を上げるつもりであるため、余計な横槍を入れられたくはないのだ。

 

「……判った。ルーク、頼んだ」

「ダニエル!?」

「だが、時間が掛かりそうならすぐに帰ってこい。ブラック隊には他にも優先してほしい任務があるからな。猶予は3日だ」

「了解だ」

「ウルザ、これでいいな?」

「…………」

 

 駄目だという理由が無いため、ウルザが言いよどむ。ダニエルは何故認めたのか。もしかしたら、ルークとランスが落ち合ってしまうかもしれない。それはランスの望むところではない。

 

「となれば、モンスター退治は戦闘に慣れている面子で今日中に終わらせるか。セスナ、こっちについて来て貰えるか?」

「うん」

 

 元々は別働隊の指揮を副隊長であるセスナに任せる予定であったが、今回はついて来てもらう事にする。出来ればネイも欲しい。別働隊を指揮する人間がいなくなるが、人捜しは危険も少ないし、インチェルと珠樹だけでも十分だろう。どちらも常識人、無理はしないはずだ。

 

「だけど、どうやって調査するつもりだ?」

「そうですね。今後の参考までにお聞かせ願えますか?」

 

 立ち去ろうとするルークにサーナキアとアベルトが問いかけてくる。特にアベルトは自身の今後の諜報活動に役立てるかもしれないと興味深げだ。そんな二人の問いに、ルークは静かに笑う。

 

「別に特別な事をするつもりはないさ」

「というと?」

「上手く約束が取り付ければだが……新頭取本人から直接話を聞く事が出来る」

「なんだって!?」

「この頭取、知り合いだ」

 

 依頼書に記載されている新頭取の名は、コルミック・パーパ。かつてルークがとあるギルド仕事で知り合い、その後も付き合いのある女性であった。

 

 

 

数時間後

-イタリア付近 二級市民街-

 

「真空斬!」

「ばんばらー!!」

 

 任務を受けてから数時間後、ルークたちは二級市民街の近くに住み着いてしまったぶたバンバラの巣を見つけ、それを退治していた。

 

【ブラック隊参加メンバー】

 ルーク、ロゼ、セスナ、ネイ、バーナード、ナターシャ

  →セスナ、ネイ、バーナード、ナターシャは途中離脱。シトモネは途中合流予定

 

「ふっ……」

「よっと!」

 

 ルークに負けじと、セスナとネイが次々とぶたバンバラを屠っていく。やはりこの二人の戦闘力は高い。それと、思わぬ拾いものなのがバーナード。彼は良い意味で癖が無い。状況問わず、淡々と与えられた仕事をこなしてくれる。ぶれがないのは立派な長所だ。このくらいの活躍をしてくれるだろうという戦力的な目測が立てやすい。

 

「……そこっ!」

「ぶっ!?」

「隙だらけだ……」

 

 ぶたバンバラの肩にナターシャが矢を命中させ、武器を落としたところをバーナードが斬りつけトドメを刺す。地味ながらも、ナターシャは十分戦力になっていた。サポート出来る人間が一人いるだけで、戦術は大きく変わる。

 

「あー、こりゃ私いらなかったわね」

 

 手ごろな岩の上で足をぷらぷらとさせるロゼ。敵がまだ多かった時に二回程ヒーリングを使っただけで、後は暇をしていた。程なくして、ぶたバンバラたちは全滅する。これで任務完了。時間を見れば、ルークの予想通りまだ昼を少し回ったところであった。

 

「お疲れちゃーん。で、この後はイタリア観光と」

「何それ、私も行きたい。新しい服とお酒が欲しい」

「ネイ、乗らなくていい。それじゃあ、当初の予定通りで頼む」

 

 ロゼの戯言を流しつつ、ルークが一同を見回しながら次の指示を出す。頷く一同。ルークとロゼを残し、他の者は拠点へと戻る手筈となっていた。今回はコルミックというゼス共同銀行の頭取と顔を合わせるかもしれないのだ。プライベートに会えれば良いが、警備隊も同席する可能性も十分ある。となれば、レジスタンスとして長く活動している者を連れて行くのは危険だ。顔が割れている可能性がある。

 

「さて、先にイタリアに向かっていたシトモネは上手い事やってくれたかしらね」

 

 

 

-イタリア ゼス共同銀行-

 

「キースギルド所属のシトモネ様……はい、身分証は確認しました。ですが、コルミック頭取は多忙の身でして……」

「それは勿論存じ上げております。私はある者の代理でして、その者がぜひコルミック頭取と直接会いたいと。こちらがその者からの手紙です。コルミック頭取にお渡しください」

「希望日時などはございますか?」

「早めであれば嬉しいですが、今日中になどと無茶な要求は致しません。数日はイタリアに滞在する予定ですので、お返事の方はこちらのギルドに……はい、お願いします」

 

 ルークから預かった手紙を受付に私、イタリアにあるギルドを連絡先として指定するシトモネ。手続きを済ませ、そのままゼス共同銀行を後にする。書類を作成している受付に先輩社員が近寄り、声を掛ける。

 

「頭取へのアポか?」

「はい」

「変な取材だったりしないだろうな? 美人過ぎる頭取とか報道されたせいで、最近そういう輩が多いからな」

「大丈夫だと思います。自由都市のギルドですが、調べたところキースギルドは実績のあるギルドです。身分証も本物でした。それに、彼女は魔法使いでしたし」

「ふむ……まあ、大丈夫か」

 

 書類に目を通しながら、問題ないなと頷く先輩社員。実績のあるギルドに所属している『魔法使い』の冒険者。この段階で却下する理由は一つもなかった。実際に会うかどうかの判断は頭取に任せればいい。確認欄に捺印し、書類は頭取へと回されるのだった。

 

 

 

-イタリア ゼス共同銀行 取締役室-

 

「はぁ……」

 

 疲れたような表情でため息を吐く美女。ゼス共同銀行の頭取、コルミック・パーパだ。腰かけている椅子は、頭取が座る物にしては質素な作りである。それにグッと背中を預けながら、手に持つ書類に再度目を通す。ペラリとページを一枚めくると、そこにはこの銀行の見取り図。問題は地下フロア。金庫があるフロアであるため、このフロアに入れる人間は僅か一握り。本来は警備に金を掛ければ十分なフロアだ。だが、手元の見取り図に描かれているのは、豪華な貴賓室や怪しげな部屋の数々。

 

「なんとか出来ないかしらね……」

 

 これは、ラドン長官の奴隷観察場と同じ。貴族が二級市民をいたぶって楽しむための秘密の施設だ。建設したのは、金融長官のズルキ。拷問室で女性の二級市民をいたぶったり、わざと地下から侵入しやすい造りにして侵入者が警備兵に殺されるのを楽しんだりしているのだ。ズルキ一人で楽しむ事もあれば、客を招いて酒を嗜みながら談笑する事もある。共通しているのは、どちらも目の前で凄惨な光景が繰り広げられているという事。

 

「(反吐が出る程悪趣味な施設ね……)」

 

 頭取として招かれてから暫くして、この施設についてズルキ長官から直々に説明を受けた。元々、コルミック自身は自由都市であるレッドの出身。魔法使いでもないため、ゼスの風習には嫌悪感しかない。恐らく、ズルキも本来であれば説明はしたくなかったのだろうが、流石に頭取に説明しない訳にはいかなかったのだろう。案の定、最初に説明された際に良い顔をしなかったため、コルミック自身がズルキの主催する愉悦の場に招かれる事はなかった。

 

「(施設の維持費や侵入しやすい造りにしている危険性……何より、ガンジー王や千鶴子様にばれた際のリスク。これを維持し続けるのは、あまりにも危険すぎるわ。でも、それをズルキ長官に言っても……)」

 

 既に遠まわしにこの施設のリスクは説明した。だが、ズルキを始めとした腐敗貴族にとって、こういった施設を持っている事は大きなステータスなのだ。当然、施設は維持すると断言されてしまった。下手にこれ以上ズルキを刺激すれば、すぐに更迭されかねない。何せ自分は外の人間。後ろ盾も何もない。スキャンダルなど、いくらでもねつ造される。

 

『途方もなく見えても、その先には君の夢が叶う場所があるはずだ』

 

 知り合いの冒険者の言葉がふと蘇る。銀行の経営に携わるという目標は叶えたが、夢はまだ道半ばだ。結果を出し、それを維持していかなければいけない。だが、問題はあまりにも大きい。言ってしまえば、ゼス共同銀行という垣根を越えたもの、ゼスという国そのものの風習なのだから。

 

「頭取、失礼します」

 

 部屋の扉がノックされ、職員が部屋に入ってくる。見られてはいけない書類を伏せ、要件を聞くと、何やら冒険者の来客があったとの事。シトモネという名前に憶えはなかったが、キースギルドという名前は覚えている。いや、忘れるはずがない。彼が所属しているギルドなのだから。

 

「こちらが手紙になります」

「ありがとう……っ……」

「……!?」

 

 手紙を受け取ったコルミックはすぐさま封を開けて中に目を通したと思うと、これまで見た事もないような優しい笑みをフッと浮かべたのだ。そのあまりに美しい表情に、思わず男性職員が見とれてしまう。だが、コルミックはすぐに表情を真剣なものに戻し、手紙を読み進めていった。

 

「(……彼の性格から考えて、この手紙は少しおかしいわね。何か急ぎの用……?)」

 

 手紙の差出人の性格から考えて、何か用事がある際にはコルミック個人に送ってきそうなものだが、今回は頭取であるコルミックに送ってきている。仕事の話か、はたまた別の思惑か。まあ、あの男が悪意を持っているとは考えにくいが。

 

「(……これは、こちらにとっても丁度良いタイミングだったかもしれないわね)」

 

 プライベートで会ってもいいのだが、コルミックはある事にその冒険者の力を借りる事を思いつき、スケジュール表を確認した。出来れば早めがいい。彼も自分もそれを望んでいる。

 

「明日の朝一番で会うわ。場所は……そうね、この部屋で。大事な話だから人払いをお願い」

「警備の者は一人つける決まりですが……」

「じゃあ、彼女をつけて。確か明日も、先日の事件の後処理で銀行に来る予定よね? それと、至急ギルドに連絡をお願いね」

「畏まりました」

 

 

 

-イタリア 宿-

 

「明日の朝一だなんて、随分と素早い対応をしてくれたわね」

「そうですね。私も驚きました」

 

 イタリアにある少し豪華な宿にルーク、ロゼ、シトモネの三人は宿泊していた。レジスタンス活動の際は基本的に野宿だが、今回のルークたちは何も後ろめたい事は無く、宿に泊まってしまって何の問題もない。アイスフレームのベッドも安物なので、久しぶりのふかふかなベッドにシトモネは嬉しそうにしていた。今の話題は、コルミック頭取の対応の早さ。明日の朝一に銀行で会ってくれるとの事だったのだ。

 

「相変わらず太いパイプをお持ちで。どういう繋がり?」

「以前にギルドの仕事で少しな。その後、個人的な付き合いが続いている」

「あらやだ、アダルトな関係?」

「シトモネ、会うのは本当に銀行なんだな?」

「はい、そう書いてあります」

「(流した、珍しい。案外図星だったのかしら?)」

 

 ふむ、とルークが考えを巡らせる。今晩か明晩にでもプライベートで話すかと思っていたが、銀行に呼ばれたという事は『頭取』として会うつもりなのだろう。これは、こちらの思惑が多少なりとも勘付かれているかもしれない。となれば、変に探りを入れるよりは公私を織り交ぜつつストレートに聞いてしまった方が案外話してくれるかもしれない。正直、コルミック自身が不正に関わっていると全く思っていない。だが、これはルークがコルミックと個人的に付き合いがあるから出来る確信なだけで、ウルザたちに説明するには足りない。

 

「(労いつつ、現状の銀行の問題点を聞く……理由としては、冒険者として情報を把握しておきたいのと、個人的にコルミックが心配だから。必要であれば冒険者として何か協力をする、といったところか)」

 

 明日、コルミックと行われるであろうやり取りを想定しつつ、頭の中でシミュレーションをしておくルーク。

 

「どちらにせよ、明日の夜には拠点に帰れそうだな。シトモネ、ロゼ。さっきも言ったが、二人とも明日は同席してくれ」

「別に同席する必要もないと思うんだけど」

「約束を取り付けたシトモネがいないのも変だし、ロゼはAL教の人間だからな。コルミック含め、銀行側の警戒心が甘くなる可能性は高い」

「腐ってもAL教です、はい。いや、AL教自体も腐敗しまくっているんだけどね、これが。トータスとかエンロンとか……」

「あー、あー、聞こえませーん! 知っちゃいけない事とか何にも聞こえませーん!」

 

 ロゼがふんぞり返りながら、一般的に見ればとんでもない爆弾発言をかます。ルークにとっては慣れた発言だが、まだAL教を批判する発言に慣れていないシトモネは慌てて耳を塞いで聞かないようにする。

 

「さて、上手い事いけばいいがな」

「本当にあったヤバい話。4年前、自由都市の北の方で原因不明の大火事があったでしょ? 田舎町が一つ地図から消えたやつ。あれ、実はエンロ……」

「いやー! 止めてくださいー!! まだ死にたくないんですー!!」

 

 こうして夜は更けていく。

 

 

 

翌朝

-イタリア 二級市民街4-10番地-

 

「これがゼス共同銀行の地下に続いているっていう通路か……明らかに罠よね……」

 

 早朝、赤い髪をなびかせながら二級市民街に立つ女性の影。リーザスの忍び、見当かなみだ。

 

「イタリアで調べておいた方が良い施設はこれであらかた調べ終えたかな。そろそろ移動を……っ!?」

 

 良い機会だという事でゼスの調査を進めていたかなみであったが、誰かが近づいてくる気配を感じてすぐさま木の上に登り気配を消す。やってきたのは複数名の冒険者たち。この銀行の通路を聞きつけ、一獲千金を狙っている者たちだろうか。

 

「(って、あれは……!?)」

 

 そんな冒険者たちのリーダーと思われる男は、かなみの良く知っている人物であった。

 

「(ランス、それにシィルちゃんも……でも、後は見た事のない人ばかり。また何か厄介ごとに首を突っ込んでいるのね)」

 

 こんな奇跡的な偶然いらない。本気でそう思いながら、様子を窺うかなみ。気配は全力で消す。ああ見えてランスは油断をしていなければ勘が良い。気を抜けばあっという間に見つかるし、そうなったらまたこき使われてしまうことだろう。

 

「(ルークさんがいるんなら合流しても良かったんだけど……)」

 

 そんな事を考えていると、ランスたちが喋り始めた。

 

「ちっ、臭いな。俺様のような英雄が入る場所じゃない」

「我慢するだすよ、ランス様」

「ここがそうなんですか?」

「はい。こちらの下水道から銀行の内部へと繋がっているんです」

「警備が手薄なのは、システムの再起動が入る朝一番という事でしたね」

「だからって、油断すんじゃねーぞ☆」

「わ、判ってるわよ」

「よーし! では、金庫の金を根こそぎいただくぞ!」

「違いますよ、半分です」

 

 やはり目的は金庫の金のようだ。そのままぞろぞろと下水道に入っていく一同。それを見送りながら、かなみは思案する。追うべきか、見なかった事にするべきか。本音では、見なかった事にしたい。だが、この銀行の調査を続けていたかなみは一般には知られていないある情報を得ていた。中には侵入者を殺す仕掛けが多々あり、中でも密室に閉じ込めてからの毒ガス噴射からは、逃れられた者はいないという。

 

『かなみ、ダーリンの事、お願いね』

「……判りました、リア様」

 

 主君の言葉を思い出し、内心嫌々ながらもランスたちの後を追うかなみ。勿論、噂がデマな可能性もある。だが、万が一ランスを死なせてしまってはリアに顔向けが出来ない。気付かれぬよう距離を取って追いかけるかなみ。だが、それが仇になってしまう。

 

「……!? これは……」

 

 ランスたちが進んでいたはずの道を通って来たのに、目の前には巨大な鉄の壁があり、道を遮っていた。これ以上先には進めない。だが、この先にランスがいるはずなのだ。

 

「……しまった、逃走防止用装置!」

 

 そう、ランスたちが侵入してから少しの間を置き、逃走防止用の扉が道を塞いだのだ。遅れてついて来ていたかなみは、逆にこの扉によって侵入を防がれてしまう。これはまずい。流石にこの分厚い扉を壊すのは不可能。これ以上ランスを追う事は出来ない。

 

「仕方ないよね……追いかける手段がないんだもん……」

 

 ランスとシィルに心の中で謝りつつ、そう口にするかなみ。だが、侵入する方法はまだある。それは、表玄関からの侵入。調査の結果、いくつか警備の甘い箇所は確かに存在する。だが、それはあまりにも危険な賭け。ランスたちを救いにいって、自分が捕まっては元も子もない。

 

「流石に……正面からの侵入は……」

『かなみ、ダーリンの事、絶対ぜーったいお願いね』

「……う……うぅ……」

 

 頭の中で反芻される主君の声。ああ、そうだ。ランスに見つかったら不幸になるんじゃない。こちらが見つけてしまった時点で不幸は始まっていたのだ。泣きそうな顔をしながらも、かなみは来た道を引き返し、ゼス共同銀行の正面入り口を目指すのだった。

 

 

 

-イタリア ゼス共同銀行 貴賓室-

 

「久しぶり、ルーク。元気そうで何よりだわ」

「ああ、そちらも元気そうで何よりだ。頭取業務の方はどうだ」

「大変だけどやりがいはあるわ。そちらは……?」

 

 朝、共同銀行を訪れたルークたちはコルミックの待つ部屋に通される。久しぶりの再会に挨拶を交わすルークとコルミック。

 

「同じギルドに所属しているシトモネと、知り合いのAL教神官ロゼだ。立ち合いの許可は貰っているが、まずければ席を外させるが」

「シトモネ・チャッピーです。よろしくお願いします」

「ロゼ・カドです」

「初めまして。そうね……」

 

 少し迷った風の仕草を見せるコルミック。それを見て、ルークが言葉を続ける。

 

「どちらも信用できる人間だ」

「……それなら、席を外して貰う必要はないわ。まあ、立ち話も何だから座って」

 

 コルミックに促され、席につくルークたち。だが、三人の視線はある者に向いていた。特にルークはどこか嬉しそうな表情を浮かべている。その視線は、コルミックの背後。しっかりとした表情で、されどこちらもルーク同様嬉しそうな笑みを浮かべて立つ警備兵へと向いていた。

 

「こちらは一応私の護衛として立ち会って貰う治安隊の隊長……彼女から聞いているけど、知り合いなのよね?」

「ああ……そうか、こんな偶然もあるのか」

「お久しぶりです、ルークさん!」

 

 ビッと敬礼を決めるのは、ゼス治安隊隊長キューティ・バンド。久しぶりの再会に喜ぶキューティだが、彼女は知らない。先日、サーベルナイトの一件で、ルークとはニアミスしていた事を。

 

「何故キューティがイタリアに?」

「サーベルナイトの事は知っている?」

「ああ、人並みには。先日逮捕されたんだったよな。そして、それを行ったのはキューティ」

「そう。そのサーベルナイトなんだけど、中身がズルキ金融長官の息子だったの。それで、事後処理としてズルキ長官の身辺整理とか、色々とね。ズルキ長官はうちの所長も兼ねているから、うちの調査も数日前から行って貰っているの」

「成程。しかし、凄いじゃないか。サーベルナイトはかなりの凶悪犯。それを捕まえるなんてな」

「きょ、恐縮です!」

 

 コルミックの説明を聞いて納得したルークは、感心したようにしながらキューティを褒める。少し頬を赤らめながら、会釈するキューティ。そしてそのまま、視線をロゼに移す。

 

「ロゼさんもお久しぶりです。その節はどうも」

「久しぶり。本当は猫被ろうかと思っていたんだけど、あんたがいるんじゃ意味ないし、素のままでいかせてもらうわね」

「あはは、変わりませんね」

「きゅー! きゅー!」

「ライトくんとレフトくんも久しぶり」

「きゅー!!」

 

 予想以上に和やかなムードで会談が始まる。そして、ルークにとって朗報だったのだ、警護役が知り合いであり、魔法使い至上主義に懐疑的なキューティであった事だ。コルミックも自由都市出身のため、懐疑的なはず。これなら、相談に乗る体で進めて行けば、ゼス共同銀行の腐敗した情報を割合簡単に聞き出せそうだ。

 

「すぐにお茶が来るから、それまでは本題に入らないでおきましょう。万が一聞かれても困るからね」

「そうだな」

「ちょっと待って、資料だけ先に……」

 

 そう言って手に持っていたファイルを開いたコルミックであったが、そのファイルから小冊子のようなものがストンと床に落ちる。照れ笑いを浮かべるコルミック。

 

「ああ、ごめんなさい」

「ん? ゼス美女・美少女コンテスト? なんでそんなものが? ああ、そういえばコルミックさんってエントリーしていたっけ」

「ロゼさん、目が良いですね。はい、恥ずかしながら最終エントリーまで残ってしまって……これ、試し刷りの小冊子なんです」

 

 落ちた小冊子を手に取り、表紙を見せてくるコルミック。第八回ゼス美女・美少女コンテスト。どうやらその最終エントリーにコルミックは選ばれたらしい。

 

「ほう。見せて貰ってもいいか?」

「恥ずかしいわね……はい。一応まだ最終エントリー者は発表されてないから、外に漏らさないでね」

「了解」

「あ、ルークさん。私も見たいです」

 

 ルークが受け取った小冊子を机の上に置き、ページを開く。シトモネとロゼ、キューティもそれを覗き込み、コルミックは少し恥ずかしそうにしている。間違えて反対側からページをめくってしまい、エントリーNo9のコルミックが最初に映し出されていた。

 

「うわー……綺麗……」

「キューティ。それ、ちょっと失礼よ」

「あ、いえ、そういう訳では」

「うふふ。カメラマンの腕が良かったから、その評価は間違っていないわ」

「って、カメラマンってペペじゃない! ほら、ルーク、ここ」

「本当だ。凄いな」

 

 ロゼが指差す先に書いてあった名前は、ペペ・ウィジーマ。カスタムの街の住人であり、随分前にルークがサイアスに紹介したカメラマン志望の少女だ。どうやら仕事は上手くいっているらしい。

 

「あ、ユズちゃん可愛いー」

「フィネーさんは順当ですね……やっぱり、男の人は大きい方が好きなのかな……」

「お、マルチナ・カレー。彼女の店いった事あるわ。滅茶苦茶美味しいわよ」

「エミさん。こちら、ラドン長官の娘さんなのよ」

 

 最終エントリー者に目を通していくルークたち。案外女性陣の方が盛り上がっている。コルミック以外にも知り合いが何人か乗っていた。先日一度だけ顔を合わせたエミと、四天王のパパイア。

 

「(やはり、四将軍や四天王クラスでもこういった仕事は避けられないんだな……)」

 

 ガンジー王の娘、マジックが映っているページを見て苦笑しつつ、更にもう一枚ページをめくる。そこに映し出されていたのは、青いバラの上に寝そべる金髪の美少女。ルークも、ロゼも、キューティも良く知っている人物。

 

「あら、彼女もエントリーしてたのね」

 

 ロゼの言うように、彼女はこういった業務を嫌いそうなイメージがあった。少し意外だな、そんな事を思いながら、ルークは彼女の横に表記されていた名前を見る。そこには、『アスマ』と書いているはずであった。書かれていなければならなかった。

 

「……!?」

 

 ルークが目を見開く。手が動かない。心臓が早鐘を打つ。何故、彼女にその名がついている。何故、志津香と仲良くなってしまった彼女にその名前がついているのか。

 

「ナギ……ス……ラガール……」

 

 




[人物]
コルミック・パーパ (6)
LV 1/12
技能 経営LV2
 ゼス共同銀行の頭取。アペペケーキの経営を僅か一年で立て直した手腕を買われ、ゼス共同銀行からヘッドハンティングされた。念願であった銀行再建に携われる事を嬉しく思いながらも、今のゼスのあり方については懐疑的。


[モンスター]
ぶたバンバラ
 豚の顔をした獣人系モンスター。バンバラ系のスタンダートタイプで、駆け出し冒険者には十分驚異的な存在。人を殺す事を楽しんでおり、危険な部類に属されるモンスター。


[その他]
バンバラ系モンスター
 その昔にバンバラ博士が、騙して捕らえた聖女モンスターのベゼルアイをムシと交尾させて作り出したモンスター。今は野生化している。

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