ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第142話 玄武城脱出作戦

 

-玄武城 古井戸内部-

 

「いいか。これに懲りたら、俺様を付け狙うのは止めろ」

「出来ない。コロス」

 

 床に倒れ込んでいる復讐ちゃんを見下ろしながらそう告げるランス。復讐ちゃんの服は三度の敗北によってボロボロになっており、その身体には今し方ランスによって付けられた精液がべっとりと付いている。それでも尚、復讐ちゃんはランス暗殺を諦めていない。

 

「お前には無理だ。返り討ちにあって酷い目に遭うだけだぞ」

「(ランスの言うとおりだな。確かにあの娘は女の子モンスターの中では強い部類だけど、とてもランスを倒せるとは思えない。まあ、サボっている時のランスなら別だけど……)」

 

 壁にもたれかかりながらフェリスが復讐ちゃんの強さを冷静に評価する。確かに単身であそこまで戦えれば三~四つ星レベルはあるだろう。それでも、ランスの実力はハッキリ言って人類でも上位に入るとフェリスは評価しているため、復讐ちゃんではとても倒す事は出来ないというのがフェリスの結論であった。

 

「コロス」

「うーむ、聞く耳持たんな……」

「ご主人様、和華人形のときみたいに殺っちまうのれす!」

「殺ってないわ! 普通のモンスターは別にどうでもいいのだが、女の子モンスターを殺すのはあまり気が進まん」

「(いつもある程度悪戯したら、泣いて逃げ出しますものね……)」

 

 ランスが眉をひそめながら復讐ちゃんを見下ろす。シィルが内心で思っていたとおり、大抵の女の子モンスターはランスに悪戯されれば泣いて逃げ出し、もう一度襲いかかってくるような事はない。だが、目の前の復讐ちゃんはこのままではまた襲ってくるだろう。とはいえ、女の子モンスターは極力殺したくないという主義をランスは持っているため、あてな2号の言うように殺してしまうのは気が引ける。

 

「仕方ない、放置だな。また襲ってきたら、サクッと倒して犯してやればいい」

「ご主人様。あてなも犯して欲しいのれすよ」

「今はヤッたばかりだからパス」

「ががーん!」

 

 腕を絡めてくるあてな2号の言葉を適当に流し、ランスはその場に復讐ちゃんを放置して井戸の奥へと歩みを進める。

 

「行くぞ。とりあえずヒマワリ退治だ」

「はい、ランス様。フェリスさん、大丈夫ですか?」

「げほっ、げほっ……そうだね、ここまで戦闘面では大分楽しているから、まだ大丈夫だと思うよ。というか、あてなが帰ってきたならもう悪魔界に……」

「却下だ」

「…………」

「使えるものはうし車うしのように使う。流石はご主人様、そこに痺れる憧れるのれす」

 

 シィルがフェリスの体調を心配するが、これまで思ったよりも動かされていないため、体調の方はそこまで悪化していなかった。一番のピークは、あの長い階段を上りきった玄武城のときだろう。いい加減戻してくれと口にするフェリスだったが、ランスはそれを却下する。そうしてぞろぞろと連れだって井戸の奥へと進むランスたちの背中を無表情で見送る復讐ちゃん。するとその時、復讐ちゃんの目の前にランスたちと一緒に行動をしていたまじしゃんが立った。

 

「ねぇ……えっと、レア女の子モンスターの復讐ちゃんよね?」

「そうですが……」

「なんかさ……その……手加減していない?」

「!?」

 

 その言葉に、これまで無表情であった復讐ちゃんの目が見開かれる。

 

「いや、復讐ちゃんって確か四つ星相当よね……? だとしたら、さっきの戦闘であそこまで惨敗するようには思えなくて……」

「…………」

 

 まじしゃんの言葉を聞きながら、復讐ちゃんはかつてとある男と交わした会話を思い出していた。

 

『ありがとう。多分、生まれて初めてのんびりした日々を過ごせた。ルークやシィルにも礼を伝えておいてくれ』

『おい、ちょっと待て!』

『もし……×××が復讐の対象にされた時、私を忘れていなければ……』

 

 鮮明に蘇る、かつての記憶。いや、正確に言えばその記憶はかつてのものではない。その記憶は……

 

「ねえ? もしかして、本当に手加減……ひぃっ!?」

 

 まじしゃんがそう口にした瞬間、自身の喉元にまち針が差し出されていた。鋭い先端が少しだけまじしゃんの喉に辺り、僅かにだが血が流れ落ちる。その視線の先にいるのは、無表情ながらも怒りを露わにした復讐ちゃん。

 

「侮辱するな。私は本気でランスをコロシに掛かっている」

「(あ、駄目だ、死ぬ。吐き気も命もデンジャーレベル……)」

「おーい、何をモタモタやって……って、どうした!?」

「……行け。次に言ったら、お前もコロスぞ」

 

 いつまで経ってもついてこないまじしゃんを呼びに来たフェリスがその状況を見て目を見開く。何せまじしゃんが先程まで床に横たわっていた復讐ちゃんに殺され掛かっていたのだ。だが、復讐ちゃんはまち針を仕舞うと、フラフラと古井戸の入り口の方へと歩いて行ってしまった。慌ててまじしゃんに駆け寄るフェリス。

 

「おい、何があった!? って、なんでそんなに頬がパンパンなんだよ! 吐くなよ! 絶対吐くなよ!!」

「見事なまでのフラグなのれす」

 

 フェリスに続いて引き返して来たあてなが目の前の光景を見てそう口にするのだった。その直後に何があったかは、お察しといったところだろう。

 

 

 

-玄武城 城下町-

 

「はぁ……」

 

 玄武城の城下町にある商店。その店先を箒で掃いているのは、海苔子だ。その海苔子はどこか憂いを帯びた表情で深いため息をついている。

 

『すいません、妖怪で』

『いや、可愛いから問題ない。どうだ、一発ヤらんか? 俺様は美しい君に一目惚れだ』

 

 思い出されるのは、久方ぶりにこの地を訪れた人間との記憶。自分を妖怪だと知っても尚、可愛いと言ってくれた。それを思い返した瞬間、海苔子の顔が赤らむ。

 

「ランスさん……」

「ノリコサン ドウカシタカ?」

「きゃっ!? の、のっぺらぼうさん……」

 

 つい上の空になっていた海苔子は店を訪れたのっぺらぼうに驚き、声を漏らしてしまう。慌てて取り繕い、店の奥へと箒を置きにいく。その背中を見送りながら、のっぺらぼうも件の人間を思い返していた。

 

「(ノリコサンハ アノオトコニ メロメロダナ デキレバ ヤサシクシテヤッテホシイ)」

 

 妖怪たちのアイドルである海苔子が誰かのものになるのは寂しい思いもあるが、それ以上に彼女の幸せを願い、そう心の中で思うのっぺらぼうであった。

 

 

 

-玄武城 古井戸内部 暗黒ヒマワリの根城-

 

「お、あれか?」

「恐らくそうですね。実にそれらしい見た目です」

 

 井戸の内部を歩き続けたランスたちは、遂に暗黒ヒマワリの本体のある場所に辿りつく。目の前では巨大な一つ目の球根がウネウネと動いており、どこからどう見てもこれが暗黒ヒマワリの球根であるというのが見て取れた。

 

「(あれを倒せばリズナちゃんと……ぐふふ……)」

「(あれを倒せばランス様とお家に帰れるんだ)」

「(あれを倒せば悪魔界に……帰して貰えるかは微妙だよなぁ……)」

 

 イヤらしい顔をするランス、笑顔を浮かべるシィル、げんなりとした顔のフェリスと三者三様の反応であった。そんな中、あてな2号がギガボウを構えながらビシッとまじしゃんに指示を出す。

 

「ゲロ子! 先手必勝で火爆破なのれすよ!」

「ゲロ子言うな!」

「そうですよ、あてなちゃん。せめてリバースをよくするまじしゃんだから、リバしゃんとかに……」

「いや、出来ればその呼び名も勘弁して欲しい……」

「(天然故に、たまにさらりと毒吐くよな、シィル)」

 

 自身の天然発言に気が付いていないシィルをジト目で見るフェリス。そんな緊張感のない一同をランスが怒鳴りつける。

 

「えぇい、いつまでアホな事を言っている! とにかくヒマワリを退治するぞ!」

「ぶ、ぶ、ぶ、ぶれざぁぁ……」

 

 ランスが剣を抜きながらそう怒鳴ったと同時に、暗黒ヒマワリの球根から大量の枝が伸ばされてくる。以前に門の前で戦ったとき同様、あの枝は際限なく生えてくるだろう。

 

「適当に枝をどかしつつ、本体の球根を倒すぞ。シィル、リバしゃん、火爆破で道を切り開け」

「はい、フェリスさん」

「リバしゃんで固定するのだけは避けたい……」

「あ、こら、俺様が言おうと思っていたのに勝手に仕切るな」

「あてなも今度こそ火炎放射で一掃するのれすよ!」

 

 フェリスの指示を受け、シィルとまじしゃんが同時に魔力を溜め始め、あてなも腕の装備をギガボウから火炎放射へと取り替える。そして準備を終えた三人は目の前にウネウネと広がる大量の枝を見据え、一斉に攻撃を放った。

 

「火爆破!」

「火爆破!」

「汚物は消毒なのれす!!」

 

 放たれた三つの炎は暗黒ヒマワリの枝を轟々と燃やしていく。球根の目玉が面白く無さそうな目つきになったと思うと、先程と同じように声を発する。

 

「ぶ、ぶ、ぶ、ぶるせらぁぁ……」

「ちっ。また触手が生えてきたぞ」

「でもランス様、多分こちらが燃やすペースの方が早いです」

「何せ三人もいるから楽勝なのれすよ。数の暴力なのれす」

 

 再度火爆破の準備をしながらそう言葉を発するシィル。確かに暗黒ヒマワリの再生能力は門で戦った時以上だが、こちらもあの時と違い炎を使える者が三人もいるのだ。徐々に枝だが減っていく暗黒ヒマワリ。

 

「うむ、そろそろ倒せそうだな。では俺様華麗に登場!」

 

 邪魔な枝が無くなっていくのを確認したランスは剣を握りしめて一気に駆けていく。

 

「がはは! ヒマワリ風情が調子に乗りおって、死ねぇぇぇ!!」

「じゅふんー!!」

 

 瞬間、暗黒ヒマワリの巨大な目玉が光り、ランスに向かって光線を放ってくる。その声を聞いて顔を赤らめるまじしゃん。

 

「な、なんて卑猥な言葉を……」

「えっ!? 今の言葉ってそうなんですか!?」

「植物的禁止用語です……」

「全然判らないのれす」

 

 枝を燃やしながら驚くシィルとあてな。どうやら植物世界ではとてつもなく卑猥な言葉であり、女の子モンスターのまじしゃんはその事を知っていたようだ。

 

「よっと!」

 

 しかし、その破壊光線をいとも容易く躱すランス。大地が光線の影響で割れる音を聞きながら、暗黒ヒマワリに向かって駆けていく。

 

「がはは! この程度の光線では遅すぎる!」

「(それもそうだな……闘神都市でもっとやばいレーザーの経験もある事だし)」

 

 ランスの援護をしようと思っていたフェリスがスッと溜めていた闘気を四散させる。この程度の速度の光線ならば、レベルの下がっていないランスなら簡単に躱すだろう。闘神都市での恐るべき速さでレーザーを放ってくるビットとの戦闘経験が活きている。

 

「食らえ、ヒマワリ野郎! ランスアタァァァック!!」

 

 ランスはそのままヒマワリに飛び掛かり、上空で剣を両手持ちして一気に振り下ろす。纏った闘気が暗黒ヒマワリの球根を真っ二つに両断し、地面に剣がついたと同時に外へと放たれた闘気がヒマワリの球根を吹き飛ばした。同時に、シィルたちが相手取っていた枝がみるみる内に枯れていく。恐らく、門を覆っていたあの無数の枝も順に枯れていくことだろう。

 

「がはははは! 俺様の大勝利! これでリズナちゃんをゲットだ!!」

 

 ランスの大勝利宣言が井戸の内部に響き渡るのだった。

 

 

 

-ギャルズタワー 19階-

 

「はぁっ!」

「弓の道は険しい……」

 

 ランスたちが暗黒ヒマワリを倒していた丁度その頃、ギャルズタワー攻略組は最後の神風をルークが倒し、神風部屋を攻略したところであった。

 

「いやぁ、流石にきつかったわね」

「流石は神風と言ったところだろう」

「んだ」

 

 ロゼが壁にもたれかかっているセシルにヒーリングを掛けながらそう口にする。神風が大量にいる部屋は流石にこれまでと難易度が違う。特にこちらは遠距離攻撃のエキスパートと呼べる存在がいないのだ。

 

「やっぱり志津香を誘うべきだったんじゃないのー……って、どうしたの?」

「…………」

 

 遠距離戦のエキスパートである志津香の名前を口にしたロゼだったが、ルークの様子を見て眉をひそめる。神風を倒し終えたルークは、塔の最上階へと続く階段を見ながら真剣な表情で押し黙っているのだ。

 

「……マズイな」

「ルーク殿、どうした?」

「……凱場、塔の攻略を諦めて引き返すという選択肢はないか?」

「急に何を……? 悪ぃが、冒険野郎としてはその提案は却下だな」

「そうか……」

 

 セシルに問いかけられ、ルークは眉をひそめながら凱場に向き直りそう口を開く。だが、凱場の答えは否。例え危険が待っていようとも、そこは冒険野郎として退けない一線なのだろう。ルークの言葉を聞き、その意味するところを察したセシルとロゼが表情を強ばらせる。

 

「すまん。私は何も感じ取れないが、それ程か?」

「ああ。気配は六人。全員かなりの強者だが、中でもヤバイのが三人ほど混じっているな」

「ダ・ゲイルと比べると?」

「互角か、下手すればそれ以上。他の三人もそのレベルではないが、一筋縄ではいかなそうな相手だ」

「そいつは不味いわね……」

 

 ルークの返事を聞き、ロゼが軽く舌打ちをする。ダ・ゲイル以上となっては、セシルや凱場よりも上の強者という事になる。ハッキリ言って、セシルも凱場も一流の冒険者だ。だからこそ、このパーティーでもギャルズタワー攻略は十分可能と考えてここまで来た。しかし、この上にセシルと凱場以上の強者が三人も控えているとなれば、パワーバランスが崩れる。ルークと強者1、ダ・ゲイルと強者2が戦うと仮定した場合、強者3と戦える相手がいないのだ。セシルと凱場が二人掛かりで掛かるとしても、残りの三人が余る。とてもじゃないが、シトモネとロゼでは止められない。

 

「今更ながらにフェリスが呼べなかったのが痛いわね……」

「そんなにやべぇ相手なのか? なら、これ以上付き合わせるのも悪ぃか。最悪、俺一人で最上階に……」

「見損なうな、凱場殿。例え相手が格上だとしても、負ける気は更々ない。逃げるのも冒険者の定石だが、依頼人が行く気ならば最後まで付き合わせて貰うさ」

 

 凱場の言葉を途中で遮るセシル。真剣な表情のままだが、不敵に笑ってみせる辺りは流石にプロといったところか。そのセシルを見やった後、ルークはチラリとロゼに視線を移す。その視線に気が付いたのか、ロゼは肩を竦めながら口を開いた。

 

「お言葉に甘えてとんずら、っていうのが私っぽいけど、乗りかかった舟だしね」

「ロゼ様が行くなら、オラも行くだ」

「スマンな」

「他に回復役がいたら全力で逃げ出してたけどね。この状況でヒーラー抜きはきついでしょ? それに、上で待っているのが女の子モンスターなら、負けてもなんとかなるんじゃない? 残忍な女の子モンスターって少ないし」

「負ける気はねぇぜ、ロゼの姐さん」

 

 確かに、女の子モンスターには残忍な性格のものは少ない。冒険者が冒険の最中に敗れても、女の子モンスターは命までは取らずに去る者が多い。とはいえ、最初から負ける気で挑みはしないと凱場が静かに笑う。面々の覚悟を確認しつつ、ルークは最後の一人に向かって言葉を発した。

 

「シトモネ」

「は、はい! つ、ついていきますよ、私も……」

 

 一瞬どもりながら、されどもハッキリとそう口にしたシトモネ。ギュッと杖を握りしめるその姿を見ながら、ルークは言葉を続けた。

 

「出来ればここに残って欲しいが、それも無理そうだな……だから、一つだけ」

「一つ……?」

「万が一最上階にいるモンスターがこちらを殺しに掛かるような残忍な相手だったら、有無を言わさず逃げてくれ」

「それは……」

 

 反論しようとしたシトモネだが、気が付いてしまう。ルークだけではなく、他の四人も無言でシトモネを見ている事を。それは、無言の圧力。全員が頷けと目で言っているのだ。それが示すところは、自分が足手纏いになっているという事実。悔しい。だが、悲しいかなそれを否定する事が出来ない。唇を噛みしめ、ゆっくりと頷くシトモネ。

 

「……判りました」

「ああ、頼んだ」

「ま、多分大丈夫よ。女の子モンスターってゆるい性格の子多いし」

「これも経験だ」

「そんだけ強敵なら、この階でしっかり全快してから挑もうぜ! 頼んだぜ、ロゼの姐さん!」

「だからその呼び方止めなさいってーの。あんたの方が年上でしょ、マック」

「オラも年上だけんども様付けだど、ロゼ様」

 

 凱場がその場に座り込み、セシルは壁に寄りかかって剣の手入れを始める。ロゼはそんな各人の回りを歩き回り、ヒーリングで一人ずつ回復をしている。シトモネが少しだけ不服そうな顔で座り込むのを見ながら、ルークは軽く目を閉じて壁に寄りかかる。

 

「(スマンな、シトモネ……もし万が一相手が凶暴な敵だったら、今の戦力で絶対に守りきれるとは言えないんだ……)」

 

 ここにルークの懸念があった。冒険中に命を落とす覚悟があるセシルや凱場と違い、駆け出しのシトモネにはその覚悟が足りていない。かつてリーザス解放戦の最終戦、ジル戦という少しでも戦力が欲しい状況でミルを置いていったのと少し似ている状況だ。あの時はミル以外の面々、セルやリアも連れて行ったが、それはジルに負ければどのみち全員殺されるからという理由があったからに他ならない。このギャルズタワーは攻略しなければ人類が絶滅するような戦いではない。だからこそ、ルークは自身で守りきれる自信のない覚悟の無い女性、シトモネを置いていこうとしたのだ。先のやり取りは、駆け出しとはいえ冒険者であるシトモネに対しての最大限の譲歩という事であった。

 

「(この場にもう一人、俺が背中を預けられる奴がいればな……)」

 

 もう一人強者がいれば、状況は違っていた。先の話に出てきた強者3の存在を抑えられる存在、ランスやフェリス、リックやアレキサンダー、志津香やサイアスといった強者さえこの場にいれば。そんな事を考えながら、ルークはロゼの治療を黙って受けるのだった。

 

 

 

-玄武城 城内 最上階-

 

「リズナよ。今し方確認してきたが、門のヒマワリが枯れてきておる」

「それでは……?」

「うむ。ヒマワリの本体を倒したのだろう。大した男だ。その行動力と戦闘力だけはあっぱれ」

 

 外の様子を見に行っていた景勝がそう口にすると、リズナは驚く。景勝から聞いていたが、暗黒ヒマワリは並の冒険者では太刀打ち出来ない相手のはず。それをいとも容易く打ち破ったとあっては、ランスの実力は想像していた以上に本物という事だ。景勝もそれは素直に認めるが、更に言葉を続ける。

 

「だが、人間としての本質はクズだ。だから、遠慮せずに騙せ」

「…………」

「では、作戦をもう一度確認するぞ」

「はい……」

 

 コクリと頷くリズナを確認し、景勝は静かに体ごと頷く。そして、作戦を一から話始めた。

 

「もうすぐ奴がこの城にやってくるはず。お前の身体を目当てにな」

「…………」

「そこで、私、処女だからロマンチックな場所で初体験をしたいの♪ とか言って二人で外に出るのだ」

「景勝、女性の声色で言う理由はあったのでしょうか?」

「そ、そこには突っ込むな」

 

 調子にのって声色まで変えたことを突っ込まれ少しだけ恥ずかしくなる景勝。リズナに他意はなく、純粋な質問だったのだが、それが判っているからこそ景勝の恥ずかしさは増していた。コホンと咳払いをし、話を続ける。

 

「それで、出来る限り遠くまで行くのだ。道中出会うであろう鬼ババアや血達磨包丁も、奴に退治させるといいだろう。まあ、鬼ババアはお面さえつけていれば無駄な戦闘は回避できるから、退治する必要はないかもしれんがな」

「そうですね。一応お面は持っていきます」

「頑張るのじゃぞ、リズナ」

「はい。私、頑張ります……一生懸命嘘をついて、ランスさんを騙します」

「うむ」

「それで、シィルさんは……?」

 

 唯一の懸念である事を問うと、景勝は体ごとずいと前に出す。ハニワ的には胸を張っているのだろう。

 

「任せておけ。シィルとやらは、景勝が責任を持って面倒を見る。順番だ、次のチャンスに助けてやる」

「……はい、お願いします」

 

 リズナがペコリと頭を下げると、景勝はピョンピョンと跳んで机の上に乗り、リズナの目の前に立ってその顔を見上げた。

 

「リズナよ、お前は幸せになる資格がある。絶対に幸せになれ」

「……ありがとう、景勝」

 

 静かに景勝を抱きしめるリズナ。これまで何度このプチハニーに助けられた事か。彼がいなければ、自分は間違いなく壊れていた。いや、壊れていた自分を、彼がここまで戻してくれたのだ。大切な友人であり、もう一人の父と言うべき存在。ここから自分が抜け出し、彼がシィルの面倒を見るためにここに残るという事は、彼との別れが近づいているという事だ。精一杯の感謝の念をこめて景勝を抱きしめていると、遠くから階段を駆け上ってくる音が聞こえてきた。すると、胸の中の景勝がゆっくりと離れていく。

 

「来たようじゃ。上手くやるのだぞ。失敗したら、また何年も失うぞ」

「はい……生きるため、ここから抜け出すため、私は絶対にランスさんを騙します」

 

 スッと目の横を拭う仕草を見せるリズナ。それは、景勝との別れを惜しんで少しだけ涙を流していたという事に他ならない。それをしっかり見た景勝は、されども何も言及せず、スッと扉の方に体を向ける。リズナも涙を拭い終え、真剣な表情で障子戸に視線を向けた。瞬間、障子戸が勢いよく蹴飛ばされて破壊される。

 

「がはは、任務完了! ヒマワリはサクッと退治したぞ!!」

「お待ちしていました、ランス様」

「さぁ、ご褒美タイムだ!」

 

 手をわきわきと動かすランスを見据えながらグッと息を飲み込むリズナ。失敗する訳にはいかない。

 

「報酬の脱出方法ですね? それならば、南の門を抜けてまっすぐに進んでいけば、脱出する事が出来ます」

「なるほど。まあ、そうだと思っていたがな。だから、脱出に邪魔なヒマワリを退治させたという事だな?」

「はい。救世主様の言われるとおりです」

「うむ。それで、もう一つの約束はちゃんと覚えているだろうな?」

「も、もちろんです……」

「(頑張れ、リズナ!)」

 

 遂にその話題かとリズナに緊張感が走る。ここが最大の山場と言えるのは間違いないからだ。机の上に乗っている景勝も緊張した面持ちのまま心の中でリズナにエールを送っている。その思いに押されるように、リズナはスッとランスに近づいていき、静かに抱きついた。

 

「おっ!?」

「救世主様……私、ずっと待っていました……」

 

 リズナの豊満な胸がランスの腕に辺り、鼻の下を伸ばすランス。まさか清純そうなリズナが自分から行動を起こすとは思っていなかったのだ。その上、あの小五月蠅いハニーも今は黙っている。

 

「待っていた?」

「はい……ヒマワリを倒してくれる方を……そして、私をここから連れ出して頂ける方を……」

「うむ、つまりはこのスーパーウルトラ大英雄の俺様を待っていたという事だな?」

「身も心も捧げます……ですから、私も連れて行って下さい」

「…………」

「私もこの城から出たい……元の世界に戻りたい……」

 

 更に強くランスに抱きつくリズナ。ランスを騙しているのは事実だが、この思いもまた事実。なればこそ、簡単に嘘だと見通せるはずがない。すると、ランスはリズナの腰に手を回してグッと抱きしめた。

 

「うむ、いいだろう。可愛いリズナちゃんは俺様が連れて行ってやろう。なんなら、家までついてきて俺様とヤリまくりな日々を送ってもいいのだぞ?」

「それは……」

「それで、こうなったのならこの先は判っているな?」

「あっ……」

 

 ランスがリズナの尻に手を這わせる。思わず声を漏らしてしまうリズナだが、ここが正念場だ。黙ってその行為に耐える。その反応にリズナの従順さを確信したランスは、机の上に乗っている景勝に向かって声を掛ける。

 

「おい、ハニワ。いい加減空気を読め」

「(……リズナよ、上手くやるのだぞ)」

 

 ランスにそう言われ、無言で部屋から出て行く景勝。以前に文字通り身を挺してリズナを守ろうとした者とは思えない行動だったが、ランスは自分の思い通りの展開にその事を深くは考えなかった。

 

「うむ、あいつも少しは話が判るようになったな。では!」

「んっ……」

 

 景勝が出て行くのを確認したランスはすぐさまリズナの唇を奪う。驚いているリズナの表情を楽しみながら、すぐに唇を離して上機嫌に口を開く。

 

「がはは、グッドだ! では、いよいよリズナちゃんの身体を……」

「……待って下さい」

「ん?」

 

 リズナの服を脱がしに掛かったランスだったが、リズナはそれを拒否するように一方後ろに下がる。ここまで完全に従順だったリズナの思わぬ拒否に眉をひそめるランスだったが、リズナは憂いを帯びた表情で口を開いた。

 

「私……初めてなのです……」

「処女か……なぁに、怖い気持ちは判るが大丈夫だ。俺様は処女破りのエキスパートだからな!」

 

 グッと人差し指と中指の間から親指を突き出すという卑猥な形の右手を前に出すランス。その手の意味するところを理解していないリズナは軽く首を傾げながらも、用意していた言葉を続ける。

 

「違います……その、ここではしたくないんです」

「ここって……城の事か?」

「はい。私は長い間この玄武城から出る事が出来ませんでした。いわば、忌まわしい城です。救世主様との思い出を、この場所で作りたくはないのです」

「(ほぅ、中々に可愛いことを言うではないか……)」

 

 リズナの嘘にまんまと引っ掛かってしまうランス。これも景勝との綿密な打ち合わせの賜物だろう。

 

「じゃあ、どこならいいんだ?」

「南の門を出た先に、とても綺麗なオアシスとホテルがあります。出来ればそこで……」

「いいだろう。俺様は今すぐにでもヤりたいのだが、そこはリズナちゃんのためだ。グッと堪えて我慢しよう。それでは、今すぐ行くぞ!」

 

 ここまで初めから素直に応じる相手も少ないため、ランスは完全に上機嫌になっていた。リズナの手をグイッと掴み、最上階の部屋から出て行く。

 

「オアシスのラブホテルにレッツゴーだ!!」

「はい!」

 

 その手を強く握り返すリズナ。この先に諦めていた未来が待っているのだ。未だ心の中に残る罪悪感を必死に抑えながら、前を行くランスの背中を見やる。嘘つきであり、自分を襲おうとしている野蛮な男。だがそれでも、自分をこの闇から抜け出させてくれる男。ならば、彼が救世主である事には間違いはないのかもしれない。そんな事を考えながら、リズナは玄武城の階段を一歩ずつ噛みしめるように下りていくのだった。

 

 

 

-ギャルズタワー 20階-

 

「ふふ……」

「ふふふ……」

 

 月明かりの差し込む最上階に仁王立ちする影が二つ。腕を組み、階下へと続く階段を二人とも見据えている。

 

「ふふ……ふふふ……」

「……ふ……ふふ……」

 

 だが、その笑い声が徐々に乾いていく。ぷるぷると腕を振るわせたかと思うと、片方の影、雷太鼓の我慢が限界を迎え、叫び声を上げた。

 

「うがぁぁぁぁぁ!! 遅ぇぇぇぇ!! どうなってんだ!? 19階を攻略してからもう30分以上も経ってるぞ!!」

「そうなのじゃ! わらわたちが仁王立ちしてからもう30分なのじゃ!!」

 

 雷太鼓に続き、仁王立ちしていたもう一つの影、この塔の主の金竜も一緒に喚き始める。それを呆れた表情で見据えるバトルノート。

 

「だから言ったであろう? 19階攻略には多大な労力がいるから、万全の状態で最上階に望むために奴等は休憩を取ると」

「あちらさんもこちらに気が付いている節があるからね。多分、まだもう少し掛かるよ。ヒーラーの体力も元に戻さなきゃならないからねぇ」

「モタモタしやがって……普通、最終面を目前にしたらばぁっと突っ込むもんだろうが!」

「それは普通ではない」

「準備は大切なのじゃ」

 

 バトルノートと最強魔女の言葉を聞いた雷太鼓の怒りはむしろ増していた。ぎゃあぎゃあと喚き立てるが、冷静にそれをバッサリと切り捨てるバルキリーとクスシ。

 

「どういう事じゃ! バルちゃんはむしろこっち側じゃろう!?」

「こっち側……脳筋勢って事かい? はっはっは!」

「最強魔女は黙ってな!!」

「ふぅ……まあ、以前の私ではそう思われていても仕方ないか」

 

 ぎゃあぎゃあと喚く二人を見ながらため息をつくバルキリー。すると、その顔が無表情ながらも真剣味を帯びる。

 

「ただ戦い抜くだけでは駄目だという事を学んでな。それで少し痛い目を見た」

「あの時か……すまなかった、私のせいで……」

「済んだ事だ」

「あの時? 何の事じゃ?」

「それは……その……い、言えねえよ!」

 

 何やらバトルノートと雷太鼓が申し訳無さそうにしているのだが、その理由が判らず首を傾げる金竜。反面、何かを察した最強魔女は静かに酒を煽りながら口を開いた。

 

「人生なんて失敗のし通しだよ。冷たい石畳に打ちのめされ続けて強くなっていくんだ」

「ふむ……基本的に短命な私たちにとっては、それ程経験出来る事ではないがな」

 

 バトルノートが扇で口元を隠しながらそう口にする。中にはとんでもなく長生きする者もいるが、女の子モンスターの寿命というのは基本的に7~10年ほどだ。だが、そのバトルノートの言葉を聞いてにんまりと笑う最強魔女。

 

「まあ、あんたら三人は相当長生きしそうだけどな。何回0歳からやり直した?」

「ぶっ!」

「なっ!?」

「判るのか……!?」

「これでも長生きでね……そういった例を見たのは三度目だ」

 

 雷太鼓が盛大に噴き出し、バトルノートが目を見開く。先程まで無表情であったバルキリーも驚いた様子で最強魔女を見やる。その問いに再度にんまりとした笑みを返す最強魔女。すると、金竜が呆れた様子で問いかける。

 

「というか、いい加減実年齢を教えてくれんかのう?」

「300越えたくらいから馬鹿らしくなって数えるのを止めたよ」

「特異個体中の特異個体じゃな……」

「あんただって20越えているんだろ? 十分特異さ」

 

 300と聞いたクスシがため息を漏らすが、最強魔女の言うようにこのクスシもかなりの長寿である。その上、最強魔女の見立てではまだまだ生きそうだとの事。つまり、この部屋にいる女の子モンスターは総じて特異の者ばかりであった。

 

「(まあ、あたしの長寿は特異って訳じゃあないんだけどね……)」

 

 酒を煽りながら、心の中でそう呟く最強魔女。自身の長寿は生まれ持ってのものでは無い。今から数えるのも気が遠くなるほどの昔、とある女から力を貰って授かった長寿だ。ふとそんな昔を思い返していると、隣にいたバトルノートが問いかけてくる。

 

「というか、そんなに酒を飲んで大丈夫なのか?」

「なぁに、景気づけだ。いい加減あんたら二人もこっちで休まないか?」

「嫌なのじゃ! ここまで待って止めたらこれまでの時間が馬鹿みたいなのじゃ!」

「こうなりゃ毒を食らわば皿までだ!!」

 

 頑として仁王立ちを続ける二人を呆れた目で見ながら、バトルノートは扇で口元を隠す。

 

「破産するタイプだな……」

「あとどんくらい下の奴等が掛かるか賭けるかい? あたしは後30分」

「1時間」

「やれやれ……40分じゃ」

「乗ろう。2時間」

「てめーら何賭けてやがんだよ!!」

 

 最強魔女が持ちかけた賭けに友人である二人も乗ったことがショックだったのか、雷太鼓がちょっとだけ涙目で抗議を口にする。最上階は賑やかしい状態であった。

 

 

 

-ギャルズタワー 19階-

 

「粗茶です」

「ああ、ありがとう」

 

 神風に出されたお茶をすするルーク。他の皆も同様に神風からお茶を振る舞われている。

 

「上が騒がしいですね……」

「短気なのが二人くらいいるわね。こりゃ、もう二時間くらい粘っていった方が集中力を途切れさせられるかも」

「策士だな、姐さん」

「姐さん言うなっつーの」

 

 額に大きな汗を掻きながら天井を見上げるシトモネ。微かにだが、上で騒いでいる声が聞こえてくる。にんまりと笑いながらお茶をすするのはこの作戦の立案者であるロゼだ。といっても、体力を回復させているのは本当だが。

 

「それにしても、もう襲いかかってこないんだな」

「誰一人として殺しませんデスたからね。素直に負けを認めているのデスよ」

「何故いる……?」

「Death?」

 

 何故かセシルの横でお茶をすすっているデス子をジト目で見るルーク。何故そのような視線を向けられているのか理解していないデス子は首を横に傾げていた。因みに、総選挙4位とか宣っていたデス子と同一個体である。

 

 

 

-玄武城 天守閣入り口-

 

「…………」

 

 玄武城の入り口まで下りてきたリズナは緊張した面持ちで目の前の入り口を見ていた。今まで何度となく挑み、抜けられなかった忌まわしき場所。

 

「(大丈夫……城の中にはシィルさんがいる。今度こそ抜けられる……)」

「ん? どうした、急に立ち止まって。さあ、さっさと砂漠のパラダイスに向かうぞ!」

 

 目の前で立ち尽くすリズナを不思議そうに見ながらも、ランスは上機嫌な様子で一歩前に踏み出した。そのまま天守閣から抜け出していく。それは、自分が今まで成し遂げられなかった行為。

 

「(天守閣……もう何十年もここから出ていない……でも、今ならば出られる……)」

 

 一度だけ玄武城を振り返るリズナ。今は中にシィルがいるはず。グッと拳を握りしめ、深く息を吐く。瞬間、後ろから声が響く。

 

「リズナよ、行け! 出るのだ!」

「景勝……はい!」

 

 振り返らずとも、声の主は判る。心配した景勝がここまでやってきてくれたのだ。これからまた何年もこの城で過ごす景勝に感謝と謝罪をしつつ、リズナは強く足を踏み出した。

 

「これで……えっ!?」

 

 抜け出せる。そう思った瞬間、強い光がリズナを包み込み、強烈な力で押し返した。思わず尻餅をつくリズナ。その顔に浮かぶのは、確かな絶望の色。そんなリズナの気持ちも知らず、ランスは転んだリズナを見下ろしながら口を開く。

 

「転んだのか? 意外と鈍くさいんだな」

「駄目……どうして……?」

「馬鹿な……まさか……」

 

 景勝もまさかの事態に驚愕していたが、すぐに頭をフル回転させて考えられる可能性を浮かべる。そして、一つの結論に至った景勝は恐る恐るランスに問いを投げる。

 

「ランス殿……お供のシィル殿は、今はどこに……?」

「ああ、シィルなら……」

 

 ランスとシィルは一緒に行動をしている。だから、今シィルは城の中にいる。リズナとHをするために一時的に城の別の部屋で待たせている。そう考えていた。そう願っていた。そうでなければ城から抜け出せないから。だが、その期待は崩れ落ちる。

 

「城の外で待たせている」

「なんと……」

「あっ……」

 

 目前にまで迫っているように思えていた外の世界が、自由が、今はこんなにも遠い。リズナはそんな錯覚に陥っていた。

 

 




[モンスター]
神風
 弓を得意とする三つ星女の子モンスター。光と闇の矢を使いこなす他、通常の矢も岩を砕く破壊力を持つ最強クラスのモンスターの一角。だが、近年三つ星に降格させられ、多くの冒険者、魔物使い、学者から抗議の声が上がった。実力だけならば間違いなく四つ星クラスである。

暗黒ヒマワリ
 近寄ると噛みつく凶暴な植物。とてつもない再生力に敵の自由を奪うヒマワリ攻撃、強大な威力の破壊光線など非常に厄介な植物である。卑猥な言葉を連発するため、同じ植物からは嫌われている。

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