ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第101話 さらば闘神都市

 

-下部中央エリア 地下-

 

「はぁ……はぁ……」

 

 動かなくなったディオの残骸を見下ろすルーク。なんとか勝利をもぎ取ったルークだったが、その呼吸は荒い。腰の傷からの出血が止まらないのだ。この状態で脱出口まで辿り着けるかは、かなり危ういところ。

 

「だが……二度も約束を破る訳にはいかないからな……」

 

 志津香とかなみの二人に戻ると約束した。ジル戦後の約束は果たせなかったが、今度は必ず守らねばならない。そんな中、闘神都市の振動がまた大きくなる。建物が崩れ落ちていく音を聞きながら、ルークは自身が落ちてきた天井の穴を見上げる。下に落ちて積み重なっている瓦礫を踏み台にすれば、何とか手が届くかも知れない。だが、ルークの歩みは積み重なった瓦礫とは別の方向に向かっていた。

 

「イオ……」

 

 血溜まりの中で倒れているイオ。目の前まで近寄ったルークがしゃがみ込み、僅かな希望を持って彼女を抱き上げる。口元に手を当てるが、呼吸をしていない。真っ赤に染まった胸に手を当てる。

 

「…………」

 

 ルークがイオを強く抱きしめる。イオの心臓は、動いていなかった。

 

『危ないところをどうもありがとうございます。私、イオ・イシュタルと申します』

『必ず……おじ様の仇は討つ……』

『あんたが……卑怯な手段を使うような奴じゃないって事くらい……途中から気が付いていたわよ……』

 

 この闘神都市で出会い、一度は共に肩を並べて戦った。だが、自分は彼女の仇であった。恨まれもしたし、命を狙われもした。だが、判り合えたはずだった。

 

『おじ様の最期、聞かせてよ……』

『詳しい話は地上に戻ってからになるが……』

 

 ルークが一層強くイオの体を抱きしめる。その体が徐々に冷たくなっていくのを感じる。

 

「すまない……俺は、お前との約束を守る事が出来なかった……」

 

 気の済むまで復讐に付き合うと約束した。トーマの話をしてやると約束した。だが、その約束が果たされる事はもう無い。その時、頭上からルークに向かって声を掛けてくる者がいる。

 

「ルークか!? お前、こんな所で何をモタモタしてるんだ!?」

 

 ルークはイオを抱きしめたまま天井を見上げる。そこには、ルークを見下ろす形で穴から顔を覗かせるランスとシィルの姿があった。

 

 

 

-下部中央エリア 通路-

 

「ぐぉぉぉぉ!!」

「ランス様、もう少しです!」

 

 ルークが瓦礫を踏み台にして手を伸ばし、ランスがその手を掴んでルークを引っ張り上げる。鎧等の関係からかなりの重量であるため、ランスに掛かる負荷は並大抵のものではない。だが、何とかして地下から引っ張り上げることに成功した。

 

「スマン、助かった」

「はぁ……はぁ……この借りは必ず返して貰うぞ!」

「酷い怪我です! いたいのいたいの、とんでけーっ!」

 

 息を切らしているランスに対し感謝の言葉を述べるルーク。シィルはルークの腰の怪我に気が付き、すぐにヒーリングを掛けてくる。同時に全身へも治療を施してくれたため、腰だけでなく韋駄天速によって負荷を掛けた足の痛みも多少ではあるが和らいでいく。これなら何とか歩けそうだと思いながら、ルークはシィルの顔を見る。

 

「シィルちゃん……良かった、生きていたのか」

「あ、はい。ご心配をおかけしました」

 

 治療を続けながらペコリと頭を下げてくるシィル。ルークは笑みを返しながら、ランスに向かって言葉を掛ける。

 

「ランス……お前もっと良く確認しろよな」

「……ふん」

 

 ランスがぷい、と横を向いてしまう。ランスの反応を見てあの場にいた者はシィルが死んでしまったと勘違いをしたのだ。文句の一つも言いたくなるというもの。

 

「お前こそ、確認したのか?」

「ああ……」

 

 ランスが穴の下を示しながらそう問いかけてくる。その下には、綺麗に横たえられているイオの体があった。仰向けに寝かされ、両腕は胸の上に置かれている。ルークはイオが既に息を引き取っている事をしっかりと確認している。

 

「そうか……ちっ、俺様を操ったお仕置きがまだだったというのに……」

「イオさん……」

 

 ランスがそう口にするが、どこか悔しさを滲ませていた。シィルも悲しげな表情になっている。短い時間ではあるが、一度は共に肩を並べて戦った仲間だ。思うところがあるのだろう。

 

「で、あいつは仕留めたんだな?」

「ああ。ディオは殺した」

 

 ランスが視線をイオからディオに移す。上半身と下半身に二分され、ピクリとも動かない最強の闘将。鏡から解放された少女たちを殺し、イオを殺した憎き相手。死んで当然の相手だ。その時、近くの壁が音を立てて崩れる。

 

「とにかく急ぐぞ! こんな所で俺様が死んだら、世界中の美女の処女は誰が奪うんだ!?」

「はい、ランス様」

「ああ、急ごう! 処女は知らんがな……」

 

 ランスがそう口にして駆け出す。シィルもそれに続き、ルークがもう一度だけ穴の下にいるイオを見てから駆け出す。本来なら地上で埋葬してやりたいところだが、彼女を連れて行く余裕は無い。せめて安らかに眠って欲しいと思いながら、三人は脱出口に向かうのだった。

 

 

 

-闘将コア 地下五階 脱出口-

 

「…………」

 

 一層大きく揺れる闘神都市。メリムが息を呑み、崩れ落ちる壁を見る。時間が無い。今この都市がどの程度まで落下しているかは判らないが、そろそろヘルマンの飛行艇に向かわないと間に合わないかも知れない。だが、誰一人としてこの場を動こうとしない。そのとき、かなみが声を上げる。

 

「来た!!」

 

 その声を受け、メリムが視線を入り口に向ける。そこにはランス、ルーク、そして死んだと思っていたシィルの姿があった。

 

「シィルちゃん!!」

「良かった……ランス、ちゃんと確認しなさいよ!」

「えぇい、ルークと同じような事を言うんじゃない!!」

「ご心配おかけしました……」

 

 マリアが満面の笑みでシィルに駆け寄り、シィルを抱きしめる。志津香が安堵のため息をつきながらランスに苦言を呈すが、先程全く同じ事をルークから言われていたランスは面白く無さそうにしている。

 

「ルーク、イオは?」

「それにその怪我はどうした?」

 

 フェリスとナギがそうルークに問いかける。シィルに治療されたとはいえ、ルークの腰の辺りについた血の跡は凄まじいものがあった。それに、ルークがイオを見捨ててくるとは考え難い。

 

「イオとは和解したとは言い切れないが、共に地上に降りる事を約束した。だが……現れたディオの手に掛かり、イオは……」

「あいつ……まだ生きていたの……!?」

「という事は……ヒューバートさんたちは……」

 

 志津香が目を見開き、メリムが青ざめる。アレキサンダーたちからフリークが一人足止めに残り、ヒューバートたちも加勢しに戻ったのを聞いている。それにも関わらずディオが生きていたという事は、ヒューバートたちは敗れてしまった可能性が高い。メリムの言葉を聞き、ルークが悔しそうに口を開く。

 

「ヒューバートたちもか……くそっ!」

「その傷はディオとやり合ったときのものか……無茶しすぎだ。それで、倒したんだな?」

「ああ。奴は俺の手で殺した」

「流石はルークだな」

 

 フェリスの問いに答えるルーク。何故かナギが誇らしげにしているのが気に掛かったが、ルークは部屋の中を見回して疑問を口にする。

 

「それより、飛行艇は? 他のみんなは?」

「それが……色々不測の事態があって、飛行艇は全て飛び立ってしまったんです。他のみんなは脱出し、私たちだけが残りました」

「なんだとぉ!?」

 

 かなみの言葉を聞いてランスが大声を上げる。まさか飛行艇が無いとは思ってもみなかったのだ。

 

「ではどうするつもりだ! 俺様はこんな所で死ぬ気はないぞ。死ぬときは腹上死と決めているんだ!」

「大丈夫です、ランスさん! ヘルマンの飛行艇がまだ残っています。ここからそう離れていない場所です。私が案内します」

「なるほど……それがまだ残っていたか」

「ランス様、私たち助かるんですね!」

 

 メリムがランスを宥めながら状況を説明すると、ルークが小さく頷く。元々ヘルマンの飛行艇を奪うというプランもあった。シィルも満面の笑みでランスに話し掛けている。それに鼻を鳴らしながら答えるランス。

 

「ふん、当然だな。英雄である俺様がこんな所で死ぬはずがない!」

「それに、ヒューバートたちも生きていれば飛行艇で待っている可能性があるわ」

「急ぎましょう。多少の故障程度だったら、私が修理するから!」

「それでは案内します。ついて来てください!」

 

 志津香はまだヒューバートたちの生存を諦めていない。命の恩人でもあり、そう簡単に死ぬようなタマではないと思っていたからだ。マリアがグッと拳を握り、メリムが先頭に立ってヘルマンの飛行艇まで案内をする。その後について駆け出しながら、ルークがマリアとメリムに視線を向ける。彼女たちはランスを心配して最後まで残ったのだろう。とすれば、他の四人は何故残っているのか。正直ナギはよく判らないが、志津香とかなみの二人は恐らく自分を待っていてくれたのだろう。

 

「かなみ、志津香。こんなギリギリまで待っていてくれたのか?」

「その……ルークさんは必ず来ると約束してくれたので……それに……ルークさんを置いていくのは……」

「なに? 無茶するなとか言うつもり?」

 

 かなみがそう返事をし、志津香がルークの横を走りながら問いかける。だが、ルークは二人を信頼している。二人ともある程度冷静に物事を考えられると思っている。その二人が残ると判断したのだから、それを責めるつもりはない。それよりも、純粋に二人の気持ちが嬉しかった。ルークは二人が脱出手段の存在を知っていて残ったと勘違いしていたが、二人が残った時点でヘルマンの飛行艇の存在は考えついていない。その事を知っていたら一言くらい注意をしたかもしれないが、それを知らないルークは二人に微笑み掛ける。

 

「いや、ありがとう」

「「っ……!?」」

 

 不意打ちである笑顔にかなみの顔が真っ赤になり、志津香がスッと顔を横に反らしてルークから見えないようにする。

 

「それに、アスマもな。正直、残っているとは思わなかったぞ」

「志津香が残ったからな。それに、ルークは必ず来ると信じていたぞ」

「そうか……ありがとうな」

「うむ」

 

 満足そうに頷くナギ。最後にルークはフェリスの顔を見る。

 

「なんだ? 私も予想外だったか?」

「いや、どうしてだろうな……お前は残ってくれている気がしたよ」

「……ふん。まあ、主人が二人とも残っているからな。勝手に帰る訳にもいかないだろう?」

 

 ランスに視線を移しながらそう答えるフェリス。予定ではもっと多くの者が残っているはずであったが、もし不測の事態が起こったとしてもルークは何故だかフェリスは最後まで残っているような気がしていた。それと、この場にはいないがもう一人、サイアス。だが彼がこの場にいない理由については何となく察しがついていた。かなりの火傷を負っていたサイアスは、恐らくロゼが無理矢理引っ張っていったのだろう、と。

 

「……ロゼは全員を引っ張っていってくれたか?」

「ああ。全員の尻を蹴っ飛ばして飛行艇に乗せてたよ。強いな、あいつは」

「ああ、俺もそう思う」

 

 フェリスの返答を聞き、ルークは静かに頷く。サイアス、フェリスの二人と違い、不測の事態の際に必ず残っていないであろうとルークが思っていたのはロゼだ。だが、それは信頼していないからではない。むしろ逆だ。彼女は強い。そのような事態になれば、必ず渋るであろう者たちを引き連れて先に脱出をしているはずだ。それは、最上級の信頼。サイアスは以前からであるが、いつの間にかルークはフェリスとロゼの二人の事を完全に信頼しきっていた。

 

「さあ、もうすぐです! ここから外に出て少し行ったところに、ヘルマンの飛行艇があります!」

 

 一階まで辿り着き、目の前に光の差し込む入り口が見える、メリムがそう口にすると、全員が少しだけ安堵する。目の前に差し込む光が希望の光のように感じられた。その先に待つ絶望を知らずに。

 

 

 

-運搬用飛行艇 内部-

 

「まだ飛び立たない……」

「くっ……」

「えぐ、えぐ……ご主人様が死んでしまうのれす……」

 

 メナドが心配そうにしながら、落下していく闘神都市を飛行艇の窓から見る。まだ残留魔力が残っているためか、そのスピードはゆっくりである。だが、都市の崩壊は今も続いている。サイアスも悔しそうにしながら徐々に離れていく闘神都市を見据え、あてな2号は泣きじゃくっている。

 

「大丈夫よ、あてな。必ずみんな無事に帰ってくるから」

「本当れすか? わーいなのれす! 流石、真知子さんなのれす」

 

 真知子に優しく諭されて純粋に喜ぶあてな2号。生みの親の一人でもある真知子には良く懐いていた。だが、その真知子の手も少しだけ震えている。ロゼはそれに気が付くが、口には出さずに怪我人の治療を続けながら窓の外を見つめる。

 

「(まだなの……?)」

 

 その問いに答える者はいない。闘神都市はゆっくりと落下を続けていた。いや、その落下スピードはいつの間にか少しだけ速くなっていた。

 

 

 

-イラーピュ 草原-

 

「そん……な……」

 

 メリムが青ざめ、その場にへたり込んでしまう。目の前にあるのは、大破した飛行艇。マリアは修理の為に駆け寄る事もしない。この距離からでも判っているのだ。修理のしようがない事を。かなみも青ざめ、志津香が何か方法はないかと考え込む。だが、何も浮かばない。フェリスも呆然と飛行艇の残骸を見つめており、シィルが涙目になる。

 

「ええい、何か脱出手段はないのか!?」

「……キャンテル」

「えっ!?」

 

 ランスの言葉に反応するようにルークが呟く。その言葉に反応する一同。

 

「防空コアにキャンテルがいる!」

「な、なるほど!」

「がはははは、冴えているではないか。では防空コアへ……」

「間に合いません」

 

 かなみが羨望の目でルークを見つめ、ランスが一気に上機嫌になり防空コアを目指そうとする。だが、メリムがその案を否定する。メリムに向き直る一同。

 

「メリムさん……?」

「防空コアは……ここから一番遠いんです……もう、今からじゃ……」

 

 気が付けば闘神都市の落下スピードが速くなっている。浮遊のための残留魔力も底をついたのだろう。このスピードでは、とてもじゃないが間に合わない。

 

「すいません……私がヘルマンの飛行艇があるなんて余計な事を言わなければ、もっと早く防空コアに……」

「いや、メリムのせいじゃない」

 

 メリムが座り込んだまま泣き出してしまうが、ルークがその言葉を遮って口を開く。

 

「スマン……俺たちを助けに来たばかりにみんなを巻き込んだ」

「ふん……」

「…………」

 

 ルークがそう言って救助メンバーを見回す。ランスはぷいとそっぽを向くが、シィルは申し訳なさそうに頭を下げている。空中都市に飛ばされたのは、この三人。自分たちがみんなを巻き込んだのだ。だが、今更何を言っているんだとばかりに志津香とかなみが口を開く。

 

「それは言いっこ無しでしょ。自分の意思で残ったんだから」

「そうです、ルークさん! まだ何か……まだ脱出の方法はあるはずです……」

 

 かなみが爪を噛みながら必死に思考を巡らせるが、脱出の手段は思い浮かばない。一か八か防空コアを目指すのもありだが、たとえ辿り着いたとしてもそれで終わりではない。ナギの黒色破壊光線でも破壊出来なかった壁が立ちふさがるのだ。この満身創痍の状態で、一体誰があの壁を破壊するというのか。

 

「フェリス。お前だけでも悪魔界に戻れ」

「……いや、ギリギリまで残るさ。それに、いざとなったら一人くらいなら運び出せる」

 

 自身の羽を親指で示しながらそう口にするフェリス。だが、いくら高度が下がったとはいえ、今のフェリスが人一人抱えて地上まで辿り着けるのかは微妙なところだ。それを理解しながらも、ルークはフェリスの目を見ながら口を開く。

 

「そうか……なら、そのときはメリムを頼む」

「そう言うと思っていたよ」

「えっ!?」

 

 座り込んでいたメリムが顔を上げ、ルークとフェリスの顔を見る。それは、完全に想定外の言葉であった。そのメリムの顔をしっかりと見据えながら、ルークは口を開く。

 

「メリム、君の過去は聞いた。君はこれから幸せになる権利がある」

「でも……でも、みなさんは!?」

「大丈夫よ。こんな場所で死ぬ気はないから」

 

 涙ながらにそう叫ぶメリムを励ますように志津香が答える。その横では、マリアが不思議そうにランスを見つめていた。本来なら自分を運べと文句を言っていそうなのに、特に何も言い出さないからだ。真剣な表情で何かを考えているランスを見て、このような状況なのに少しだけ顔が赤くなってしまう。すると、ランスがボソボソと何かを呟く。

 

「色々考えたが……これしかないな……」

「何か思いついたの!?」

 

 直前の真剣な表情を見ていたマリアが期待して問いかける。そのマリアに向き直り、ランスはニヤリと笑って言葉を続けた。

 

「うむ。俺様は死ぬときは腹上死と決めているからな。こうなったら、この場で大乱交をするしかない!」

「きゃっ……」

「真剣な表情で何を考えていたのかと思えば……」

 

 側にいたシィルを抱き寄せてそう声を大にするランス。マリアは自身の頭に手を当てて大きくため息をつく。一瞬でも期待した自分が馬鹿みたいだ。

 

「ランス様……流石にそれは……」

 

 シィルがそう口にするが、自分を抱き寄せているランスの右腕に力がこもるのを感じた。

 

「これが最後になるかもしれんのだぞ……」

「ランス様……」

「という訳で脱げ、シィル! マリアもメリムもフェリスもアスマもこっちに来い! かなみと志津香も混ざりたかったら来ても良いぞ!」

「誰が混ざるか!!」

 

 笑いながら言い放つランスに志津香が声を荒げる。だが、先程までの悲壮感漂う空気はいつの間にか四散していた。ルークがフッと笑みを浮かべる。

 

「やはりお前は凄いよ、ランス。これ程までに空気を変えられるんだからな」

「ふん、当然だ。俺様は英雄だからな。それよりも、お前も最後なんだからいい加減二人を……」

 

 そうランスが言いかけた瞬間、空が暗くなる。夜になった訳ではない。ルークたちの上空にある何かが日の光を遮り、影を作ったのだ。全員が上空を見上げる。そこに浮かんでいたのは、あまりにも巨大なモノ。

 

 

 

-イラーピュ付近 上空-

 

「あいつらに何も言わずに出てきちまったな……」

「悪いね。でも、あんまりおおっぴらにあたしが生きているのをばらしたくないんだ。雷帝や赤い死神がいるんだろう?」

「うむ。まあ、ギリギリになればワシらを置いて脱出しておるじゃろう」

「み、みんな良い奴らだっただ……」

 

 キャンテルの背に乗って脱出を果たしたヒューバートたち。キャンテルのスピードは脱出口の飛行艇よりも遙かに早く、既に闘神都市から遠く離れていた。崩れていく闘神都市を見ながらヒューバートが呟く。ハンティの存在をばらしたくなかったため、脱出口にいた者たちに何も言わずに出てきたのだ。

 

「…………」

「(ミスリー……?)」

 

 ミスリーが黙って闘神都市を見つめている。500年以上もの間過ごしていた場所が崩れていくのだ。思うところがあるのは当然だ。だが、フリークはその思いとは別の何かをミスリーが抱いている事に気が付く。そのとき、空を飛んでいたキャンテルが急に止まり、ガバッと後ろを振り返る。

 

「……っ!?」

「うおっ、どうした!?」

 

 急ブレーキの反動を直に受けたヒューバートが声を出すが、キャンテルは目を見開いて闘神都市の端に当たる一角を見つめている。その視線を追うようにヒューバートたちも端の方に視線を向けると、そこには何かがいた。

 

「なんだありゃ!?」

 

 思わず叫んでしまう程の物体。それは、この距離からでもしっかりと判るほどの巨大な何か。すると、キャンテルがぷるぷると震え出す。ドラゴンである彼の目には上空に浮かんでいるものだけではなく、その下にいるルークたちの姿もはっきりと見えていた。

 

「まさか再びあの姿を見る日が来ようとは……それ程までにあの者たちを……彼らも後の戦争に必要な存在なのですね……」

「どうした、キャンテル!?」

 

 フリークが驚く。かつて共に魔人戦争を戦った同士が、闘神都市の上空に浮かぶ何かを見て涙を流しているのだ。

 

「マギーホア様……」

 

 

 

-イラーピュ 草原-

 

「何だこれは……」

 

 ルークが絶句する。上空にいたのは、キャンテルよりも一回り大きいドラゴン。レッドドラゴンのように体が赤く染まっているが、普通のドラゴンでは無い事を全員が肌で感じている。ドラゴンに会った事が無いものが殆どなのにも関わらずだ。それ程までに、上空に浮かぶドラゴンは桁違いの存在であった。

 

「ランス様! ド、ド、ド……」

「シィル、離れるな!」

「リア様、申し訳ありません……メナド、ごめん……」

「ふざけないでよ……まだ、まだお父様の仇が……」

 

 ランスがシィルを抱き寄せて剣を握る。かなみは呆然とドラゴンを見上げ、志津香が悔しそうに吐き捨てる。

 

「そんな……」

「ちっ……これは勝てんな……」

「メリム、私の側から離れるな。いざというときが思ったよりも早く来たみたいだ……」

「お姉ちゃん……」

 

 マリアが絶望し、ナギはドラゴンが放つ威圧を感じて静かに諦める。それは、ユプシロンやメガラスの威圧も及ばないほどの圧倒的なものであった。フェリスはメリムの側を離れない。いざとなれば彼女だけでも何とか脱出させるつもりだ。すると、上空に飛んでいたドラゴンがゆっくりと降りてくる。ルークが剣を握りしめるが、その額からは汗が流れている。悟っているのだ、到底勝ち目の無い事を。だが、目の前に降り立ったドラゴンはルークたちに背を向けると、大地に寝そべってしまう。

 

「戦う気はないの……?」

 

 志津香が呆気に取られていると、ドラゴンがちらりとこちらに振り返り、首を動かして自身の背中をアピールする。

 

「乗れと……言っているのか……?」

 

 ルークの呟きに頷くドラゴン。敵意はないようだが、放たれる威圧はノスやユプシロンの比ではない。これはジル並、いや、ジルよりも格上の存在なのかもしれない。そんな相手を信用していいのか難しいところだ。かなみがルークの腕を静かに掴んでくる。微かに震えている。相当不安なのだろう。

 

「ルークさん……」

「……行こう。これ以外に脱出の方法は無い。それに、敵意は感じない」

「では乗り込むぞ! シィル、まずはお前から乗り込め。敵意があったらガブリとやられてしまうがな」

「えぇっ!? は、はい……」

 

 ランスがそう叫んでシィルを乗り込ませる。ランスの言葉で怯えてしまったシィルだが、恐る恐る背中に乗ってもドラゴンはピクリともしない。

 

「うむ、大丈夫そうだな。がはははは!」

「シィルちゃんで安全確認するんじゃないわよ!」

 

 ランスが笑いながら乗り込み、そのランスに志津香が苦言を呈す。そのまま順々にドラゴンの背中に乗り込み、最後にルークとフェリスが乗る。それを確認したドラゴンが飛び立とうとするが、メリムが口を開く。

 

「まだヒューバートさんたちが……」

 

 その言葉を受けたドラゴンがクイ、と首を動かす。示された遙か先には、何かが浮かんでいた。かなみがジッとそれを見つめ、驚いた様に口を開く。

 

「あれはキャンテル! それに、背中に何人か乗っています!」

「かなみ、見えるの!?」

「遠方凝視の訓練をしているからね」

「凄い……」

 

 志津香の問いに答えるかなみ。それを聞いたマリアは自身の視力と比べて驚いている。

 

「それがヒューバートたちか?」

 

 ルークの問いに再び頷くドラゴン。それを見たランスが声を上げる。

 

「では脱出だ! 行け、俺様の下僕ドラゴン!」

「いつから下僕になったのよ!?」

 

 志津香の文句を尻目に、ドラゴンがゆっくりと飛び立つ。その速度はみるみる内に上がっていき、先に飛び立っていた飛行艇に追いつく勢いだ。後ろを振り返ると、先程までルークたちがいた場所が崩れて下に落ちていくところだった。正に間一髪だ。

 

「やれやれ……流石に疲れたわね……」

「がはははは! 正義は必ず生き残るのだ!」

「誰が正義よ……」

 

 フェリスが崩れていく闘神都市を見ながらそう呟き、ランスがドラゴンの背中の上で大騒ぎをする。志津香がそれを聞いてため息をついているが、脱出は成った。惜しむらくは、イオがここにいない事だ。

 

「…………」

 

 闘神都市を見ながらイオの事を思い返す。冒険者をしているのだ。人の死には慣れている。だが、一時的とはいえ仲間であり、自身が仇であった女性の死は重い。

 

「(イオ、すまない……安らかに眠ってくれ……)」

「ドラゴンさん、あの飛行艇に追いついたら、追い抜くんじゃなくて併走して貰える?」

 

 マリアがそうドラゴンに頼むと、静かに頷くドラゴン。そのまま速度を上げて徐々に飛行艇に近づいていき、横にピッタリとくっつく形になる。窓からはメナドたちが大きく手を振っている。

 

「みんなー! 良かった、無事だったんだねー!!」

「ご主人様ー! あてなはここなのれすよー!!」

「ルークさーん、やっほーでーす!」

「あんたら危ないわよ。それとトマト、病み上がりなんだから無茶するんじゃないの!」

 

 メナド、あてな2号、トマトの三人が大きく体を乗り出して手を振ってくる。それを後ろから諫めるロゼ。ふとルークと視線が合い、互いに静かに笑い合う。その横にはサイアスも立っており、ルークを見て静かに笑みを溢している。キューティとレイラの姿も見える。二人ともこちらに笑顔を向けている。その後ろにはリックも立っている。全員がルークたちの無事を確認し、安堵していた。

 

「なんだか……嬉しいね」

「そうね……」

 

 かなみの呟きに志津香が答える。本来自分たちはルークたちを助けに来た存在だが、こうして心配して貰っているのが気恥ずかしくもあり、同時に嬉しくもある。

 

「がはははは、シィル。折角の空中散歩だ。一発ヤるぞ!」

「流石に自重しろよ!」

 

 ランスが服を脱ごうとするのを諫めるフェリス。この状況で平然と情事に及ぼうとする辺り、流石のランスである。すると、ナギがゆっくりとルークに近寄っていく。

 

「終わったな、ルーク。やはりゼスに来る気はないか?」

「折角の誘いだが……」

「そうか、残念だ……そうだ、ルーク!」

 

 別れる前にもう一度勧誘に来たようである。だが、ルークはその誘いを断り、もう一度惜しむように闘神都市に視線を向ける。残念そうにするナギだったが、突如何かを思いついたように声をあげる。その声に反応して振り返ったルークだったが、その唇が突如塞がれる。

 

「っ……!?」

 

 塞いだのは、ナギの唇。突如ナギがルークに口づけをしてきたのだ。あまりにも突然の事態にフリーズするかなみと志津香。飛行艇でもメナドやトマト、キューティ辺りが同様の反応を見せていた。そんな周囲の様子を気にする事もなく、ゆっくりと唇を離していくナギ。

 

「ロゼから聞いたぞ。口づけというのは魔力を高める儀式ではなく、お父様以外の気に入った異性とするものだとな。ルーク、私はお前を気に入ったぞ。お父様を除いた異性では一番だ」

「な……」

「な……な……」

「「「「なぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」

 

 空に少女たちの絶叫が木霊する。ルークがチラリと飛行艇内のロゼに視線を向けると、ロゼはこちらに向かってすまないというポーズを取っていた。会話は聞こえていないはずだが、どうやらナギの行動理由に見当がついているようだ。

 

「キス……ルークさんがキスを……」

「メナドさん、お気を確かに! 窓際でそうふらついては落ちてしまいますわ!!」

「きゅー、きゅー!」

「あ、ごめんライトくん!」

 

 呆然としているメナド。端から見ていると窓から落ちてしまいそうなため、チルディが必死にそれを抑える。だが、そのチルディもしっかりとナギを睨み付けていた。後ろではキューティがライトくんを強く握りしめている。

 

「香澄さん、今すぐ飛行艇をドラゴンに近づけてくれませんですかねー? 乗り込んでやるです!!」

「自動操縦だから無理です。興奮しないで下さい、トマトさん! 傷口が……」

「あらあら……」

「意外と冷静ですね、真知子さん……」

 

 興奮しているトマト。ディオにやられた傷が開いてしまわないかと香澄が心配している横で、真知子は意外にも冷静であった。多少ショックを受けているセルがそれを指摘するが、真知子は笑みで返してくる。その余裕ぶりは、正しく大人の女性だ。

 

「競争率激しいわね……やっぱり止めとこ」

「あぁ、そういう事か」

「モテモテ……」

「ルークも大変ね……」

 

 ネイがルークに返して貰ったかえるの耳飾りを見ながらそう呟く。それを見ていたシャイラは、昨晩ネイが顔を赤らめていた相手に気が付き納得する。流石にカバッハーンは年が離れすぎているからだ。だが、ルークを諦めたネイが何故かカバッハーンに熱視線を送っている事に気が付いてしまい、冷や汗を流す。先程まで寝ていたはずのセスナもいつの間にか起きており、静かに呟く。てんやわんやの飛行艇内を見ながら、レイラが思わず声を漏らしてしまう。

 

「情けないぞ、ルーク! 騎士としての誇りはどうした!!」

「しまった……説明の仕方を間違えた……」

「やれやれ、あいつも女泣かせだな」

「サイアスと同じ」

「これは手厳しい」

 

 サーナキアが大声で叫んでいる横で、ロゼが昨晩のキスの話を思い出して頭を抱える。間違いなくあれを曲解して受け取った結果が今の光景だ。サイアスが笑いながら事態を見守るが、ウスピラにちくりと言われてしまう。大騒ぎの飛行艇内。だが、ドラゴンの背中はもっと大変な事態になっていた。

 

「ルークぅぅぅぅぅ!! まだ増やす気か貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ランス様、落ち着いて……暴れないでください……お、落ちてしまいます……」

「ひぃ……」

 

 ルークに跳び掛かろうとするランスを必死に抑えるシィルとメリム。シィルの目は涙目だ。

 

「ルークさん……あは……あはははは……」

「かなみさん、気を確かに!!」

 

 かなみが力なく笑う。尋常ではないその姿にマリアが焦り、必死に肩を揺する。だが、かなみの意識は明後日の方向に向かっていた。

 

「ん、何か間違えたか?」

「……地上に戻ったらゆっくり説明してあげるよ。あんたがとんでもない爆弾を落としたって事をね……」

 

 何故大騒ぎになっているのか理解出来ていないナギがフェリスに尋ねるが、フェリスもロゼと同じように頭を抱えてため息をついている。

 

「流石に驚いたな……」

「そうね、こっちはもっと驚いたわ」

 

 ルークがそう呟くと、後ろからどこか威圧感のする声が聞こえる。振り返ると、そこには冷たい視線を向ける志津香が立っていた。

 

「志津香……今のは……」

「モテモテね……色男さん!!」

 

 渾身の力で足を踏みつけられるルーク。そんなはずはないのに何故か腰の痛みよりも重く感じるルークだったが、その激痛を甘んじて受け入れるのだった。

 

「(あまり暴れないでほしいにゃー……)」

 

 背中の上で暴れる一同に呆れるマギーホアであった。

 

 

 

-下部中央エリア 通路-

 

 ルークたちが脱出する直前、下部中央エリアを歩く者がいた。パイアールとPG-7だ。先程まではPG-7に抱きかかえられていたパイアールだが、今は自分の足で歩いている。代わりにPG-7の手には、いくつかの研究資料が握られていた。

 

「ふふ……十分な成果ですね」

 

 パイアールがニヤリと笑う。その研究資料には闘将や闘神という文字が見える。目当ての品である闘将、闘神の資料を見事に発見したのだ。用事は済んだため、今はエンタープライズに向かって通路を歩いているところだ。すると、目の前に巨大な穴が空いている。その穴を訝しげに見ながら通り過ぎようとする二人だったが、穴の下から突如声が聞こえてくる。

 

「……ーク」

「ん?」

「何の声でしょうか……?」

 

 パイアールとPG-7が揃って穴を覗き込む。そこには、上半身と下半身に二分された人形、恐らく闘将であろうものと、水晶球に捕らえていた女性が横たわっていた。そして、声の主は上半身だけとなった闘将だ。

 

「ハンティ……フリーク……ルーク……」

「……ルーク?」

 

 その名前にピクリと反応するパイアール。

 

「ルーク、ルーク、ルーク、ルーク、ルークぅぅぅぅ!! 殺す、殺す、殺す、殺す、殺す!! 奴は私の手で必ず殺す!! 皆殺しだ! 人間もモンスターも、生きとし生けるものは全て皆殺しだ!!!」

 

 その姿にPG-7が恐怖を感じる。あのような姿になってもなお、このように宣うというのか。闘将だからこそあのような姿でも生きているのだろうが、怨嗟の声を上げる目の前の相手を受け入れる事は出来ない。理解出来ない狂人。悪意の極みだ。

 

「狂っている……」

「PG-7。奴を回収して下さい」

「えっ!?」

 

 パイアールからの思いがけない指示に思わず声を漏らすPG-7。すぐさまパイアールの顔を見ると、自分の主は怨嗟の声を上げている狂人を見てニヤリと笑っていた。

 

「面白そうじゃないですか、あいつ」

 

 強者が惹かれ合うように、狂者もまた惹かれ合う。ここで一つ神の視点の話をしよう。ディオという存在は、本来ここで死ぬべき存在であった。ハンティに殺されたもの、脱出出来ずに都市の落下で死ぬもの、そもそも復活させられずに都市の崩壊を迎えるもの。いくつかパターンはあるが、平行世界において彼がこれ以降まで生き延びた世界はない。だが、ディオは魔人パイアールとの出会いによって生き長らえる事になる。それはまるで、魔人ホーネットとの出会いによって生き長らえたルークのように。そして、ルークとディオの宿命はこれより始まる。複雑に絡み合う事になる、血塗られた宿命が。

 

「それと、あの女も一緒に回収して下さい」

「……あちらはもう生体反応を感じませんが?」

「体の損傷は少なそうですし、脳も傷ついていない。それだけあれば十分なんですよ。エンタープライズ内の装置で腐らせずに保管できますからね。」

「十分……とは……?」

 

 未だ言葉の意味を理解出来ていないPG-7が主人に問いかける。その問いに大きくため息をつくパイアール。

 

「はぁ……ボクたちは何を回収してきたんですか?」

「それは闘神の……まさか!?」

「死体でもいいんですよ。闘神はミイラ、闘将は脳と左目だけの人形のようですし、資料には死体を使って闘将を作り出したという前例もありました。ボクのPGシリーズに闘神、闘将の技術を加えたスーパーパーフェクトガール、SPGの実験体とさせて貰いますよ」

 

 ニヤリとイオの死体を見下ろすパイアール。その姿にPG-7は少しだけ恐怖を覚える。自分の主人であるが、パイアールも間違いなく狂人だ。

 

「それに、彼女もルークを恨んでいたようですし、むしろ光栄に思うでしょうね」

 

 ユプシロンで執拗にルークを狙っていた姿や、水晶球から解放された後の行動を覚えていたパイアール。既にその恨みは無くなりかけていた事を知らない彼は、ルークへの当てつけとしてイオを実験体に使うことを決める。

 

「ルーク、腕の恨みは必ず晴らさせて貰いますよ。貴様を殺すのはこのボクだ!」

 

 ここに新たな復讐者が生まれる。魔人パイアール、元人間の魔人だ。そのパイアールが回収したのも、二人の復讐者。最狂の悪意を持った闘将と、和解できるはずであった女性。歪に交わった三人の復讐者は、いずれまたルークの前に立ちはだかる事になる。

 

 

 

-イラーピュ付近 上空-

 

「あは……あはははは……」

「誰か、かなみさんを元に戻すの手伝って!!」

「ルーク、アスマに変なことしたらただじゃおかないわよ!! アスマ、ああいう事はそう軽々しくしないの!!」

「仰る通りで……」

「志津香に怒られている……何故だ……?」

 

 マギーホアの背中で騒ぎ続けるルークたち。ルークとナギは志津香の前で正座をさせられている。闘神都市の中でパイアールが画策した悪夢のような出来事とは対照的に、こちらは平和な光景だ。だが、今はそれでいいだろう。いずれ来る避けられぬ決戦に向け、今は平和を噛みしめるべきである。その権利が彼らにはあるのだから。

 

 


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