コジマ汚染レベルで脳が駄目な男のインフィニット・ストラトス 作:刃狐(旧アーマードこれ)
書きたい事があったらとっても早い。
島風も大満足だったら嬉しいです。
IS学園のモノレール乗り場でスーツを着た数人の男女と水色の髪の少女が向かい合っていた。
リーダー格らしき男が資料を見ながら少女へと問う。
「日本代表候補生更識簪、専用機は打鉄弐式、本人だな?」
「はい……」
水色の髪の少女、更識簪は本人確認に肯定で返す。
念のためと毎回毎回行われる無意味とも思えるような確認、慣れた様子で質問に淀みなく答えた。
「通達は知っているな? 倉持技研より緊急招集だ、異論は無いな?」
簪が頷いたのを確認した男が「よろしい」と一言呟いて後ろへ振り返った。
緊急招集通達とはその名の通り、国から、あるいは所属している組織からの招集だ。
簪のもとに昨日届いたもので理由が「新しい武器のテストパイロットとなって欲しい」という物だった、例え学園で授業が行われる日でもこの招集に国家代表候補で専用機を与えられた簪は断ることはできない。
それが義務であり責任であるからだ。
まるで護衛のように周囲を囲むスーツの男女達、代表候補生で更識、かつ専用機を持つ簪には不要なものだが念の為との事らしい。
確かに周囲の男女はまるで戦闘経験を積んだような佇まいで一分たりとも隙を作らない、常に周囲を警戒し、即座に戦闘が出来るようにしている。
周囲には簪と男女達以外はいないにも拘らずだ。
簪は妙な違和感を拭えぬままモノレールを降り、金属探知機のゲートまで辿り着く、IS学園学生証を取り出そうとした簪を制止しただ一言こう言った。
「探知機に掛かる物を全て外したまえ」
一つ頷き隠し持っていたハンドガン、いつも付けているメガネ型投影ディスプレイ、打鉄弐式の待機状態である指輪を外す。
いつも通りの、毎回毎回行われる指示でしかない。
「待て、その腕輪もだ」
「……?」
首を一度傾げるも言われた通りカラードより渡された腕輪を外した。
外してしまった。
「あっ、ぐ?! な、何を…?!」
その瞬間、男たちが3人がかりで簪を拘束し、床へと押し倒す。
抵抗しようともがいた簪の後頭部に堅い物がゴリ、と押しつけられた。
「誰か!! 誰かッ!!」
「黙っていろ!!」
大声を上げた簪の後頭部に押しつけられた物がさらに強く押し付けられる。
「な、何をしているお前たち?! 警察を呼ぶ――」
簪が顔を上げると駅員と思しき人間がこの状況を見て声を荒げた、直後、乾いた破裂音が二度三度響き、駅員が赤い液体を散らして床へと倒れ、液体に重い物が落ちた音を立てる。
チリンチャリンと軽い金属が落ちる音を聞いて簪はようやく何が起こったのか気付いた。
簪が叫び声を上げるよりも先に女がハンカチを簪の口に押し当てる。
「―――――ッッ!!!!」
叫び声もくぐもった声にしかならず体を動かす事も出来ない、ハンカチにはどうやら何らかの薬品が染み込ませてあったようで意識も徐々に遠くなっていく。
ついには体を動かす事も出来なくなった時漸くハンカチが放された。
声も出す事が出来ない。
「――務か―んり――だ」
「こ―らチ――アル―ァ、に―む――りょ―」
「な……んで………」
か細い蚊の泣くような小さな声を出すが気付いた物はいない。
視界が徐々に暗くなっていく事にただ一つだけ考えた事は恋人の事だった。
(信一……郎……)
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
瓶から取り出したラムネのような薬品をガリガリと噛みながら授業を受ける、相も変わらず意味不明な言語だな英語って。
事前に薬が必要だとちっふーに言っているので例えこの一時間に消費した薬が瓶半分だったとしても文句を言われる事は無い。
そしてその薬を一心不乱に貪る姿を見てちっふーが居た堪れない様な顔をする。
だから言った、悲惨じゃないか。
「えー…では今日はここまでにしましょう! 次の時間は材料力学ですので教科書を用意して下さいね?」
山田先生がぽんと手を合わせて笑顔で締めくくった、分かり易いには分かり易いのだが生憎英語とは永遠に相容れる事は無いだろう、許しは請わん、恨めよ。
休憩時間に入った瞬間葉巻を取り出して火をつける、これが一番ビジュアル的にもいいし効果もいい、薬をザラザラやる姿を省みて漸くちっふーの許しも得れたのだ。
「シンにー……」
「あぁ、本音ちゃん、どうしたんだい?」
本音ちゃんが心配そうに俺の顔を覗き見る。
精神状態に変な異常が出てしまったと言うのは簪に見破られた次の日に全員に宣言した、流石に色盲になったとは言っていないが。
「大丈夫ー…?」
「あぁ、んー…まぁ簪が帰ってくるまでの辛抱だな……それまでに俺が薬中になってなけりゃいいなぁ、マハハハ」
まぁ簪が所用でどこかに行ってもう3日だがまさかこんなに駄目だとは思わなかった。
ますます白髪が増えつつある、もう遠目に見たら黒に近い灰色にさえなっているらしい。
「大丈夫さ……死にやしねぇ」
「うん……」
本音ちゃんの頭を撫でながら左手で葉巻を摘む、そろそろ次の授業の準備をしないとなァ。
「ところで本音ちゃん、簪はどこに行ったか分かるか?」
「うーん、かいちょーなら知ってるんじゃないかなー……」
俺の質問に答えてくれるがまだ少し俺を心掛けるような悲しそうな顔をしている。
「本音ちゃんには笑顔が似合う、俺に笑顔を見せてくれ、そしたら頑張れるさ」
「…うん! がんばれ♡ がんばれ♡」
不穏な空気を感じたが特にこれと言って変な物は無い、手を振りながら自分の席に戻って行った本音ちゃんを見届けて机から教科書を引きずり出す。
その時丁度ドアが開いて山田先生が顔を出す、ちっふーの姿は無い。
「はーい皆さん、授業を始めますよ。織斑先生はIS委員会からのお客様の対応で少し遅れるそうです」
「では皆さん、教科書の146ページを―――」
ぽわわと何かよくわからない視覚的にフワフワした物を散らす山田先生の言葉を遮るようにドアが再度開かれる。
「IS委員会の者だ、失礼する」
二人組の女性が教室に乗り込む、ワタワタとした山田先生を無視して俺の前に立つ二人組。
「カラードの籐ヶ崎信一郎だな」
「……そうだ」
ふと、凄まじく嫌な予感と想像が俺の頭をよぎった。
俺に懐から取り出したであろうハンドガンを二人で俺に突きつける。
「来い、貴様に用がある」
「ま、待てよ!! なんなんだアンタ等!! 一体どんな権限があってシンを!!」
「権限ならある、IS委員会としてのな」
いっちーが制止しようとすると冷たく言い放つ。
ゆっくりと首元のPA発生装置に手を伸ばす。
「変な真似はするな、撃ち殺すぞ」
「チッ」
ゆっくりと両手を上に挙げ立ち上がると後ろを向けと指示を受ける。
後ろを見ると生徒たちが何が起こっているのか分からない様子で絶句していた、ただ本音ちゃんや代表候補生は除いて、だが。
「一体何の真似だ、俺が誰だか分かっているのか?」
「………時間だな、ただいまを持ってカラードを国際犯罪組織として指定する」
「あ゛ぁ?」
「お、お待ちください!! いったいどういう事なのですか?! 説明を要求いたします!!」
せっしーが立ち上がり説明を要求する、背中、肩と肩の間あたりにハンドガンを突き付けられたまま片方の女が俺の視界内に出てくる。
「……カラードに複数の行方不明ISコアがあるとの証言、そしてその裏付け、および膨大な量の兵器を違法に保有しているとして国際IS委員会、及び全世界の首脳でカラードは異常なまでの危険性をもつ犯罪組織と指定した、よってカラードの人間である籐ヶ崎信一郎を拘束する」
「そんな……そんな! 納得行きませんわ!!!」
「黙れ!! 貴様も拘束されたいか!!」
俺の視界内にいる女が声を荒げた瞬間に左肩を後ろにするように背中に突きつけられた銃口を滑らせ、左手で即座に握りつぶす。
「素人がァ!!」
そのまま右腕で視界内にいた女の顎を右手で殴り抜き、返すように肘打ちを背後の女に打ち込む。
「う、ぐぉぇあ?! ぐ、クソッ!! 打鉄ェ!!」
後ろの女は仕留め切れなかったようだ、即座に反転するとデジタル迷彩の打鉄がIS用ナイフを握っていた。
「ブラッドスライサー!!」
左腕の袖を引き裂きながら二本とも左腕にブラッドスライサーを出現させマニュピレータごと挟んで壁に腕を縫い付ける。
「貴様らが一体どこの誰に喧嘩を売ったのか、思い知れ……後悔させてやるからなァ!!!」
ブレードにコジマエネルギーを流しマニピュレータを斬り落とす、生憎中身はぶった切れなかったが次の手で殺せばいいだけだ。
「ぜ、絶対防御が…?!」
すぐにブレードを引き抜き首を挟み込む、ズキリと頭が痛んだ。
「ひ、ひっ……や、やめて…!!」
「うるせぇ…!! 殺してやる、殺してやる…!! ぶっ殺してやる!!!!」
俺たちが犯罪組織だと? 舐めた事を言いやがって、こうなりゃ全員殺してやる、皆殺しだ、一人とて生かして返さねえ。
「シンに―!!!」
「……ッ!!」
俺を呼ぶ声に気付いて周囲を見渡す、恐怖に顔を引きつらせる者、嗚咽を漏らしているもの、信じられないような物を見る者、全員が俺を見ていた。
「ッァァアアアアア!!!!」
首を挟んでいるブレードを引き抜き両手に持ちコジマエネルギーを流して女の両腿に突き刺した。
「ギャアアアアァァァァァァァッッ!!!!!」
「殺されないだけありがたいと思え……!!」
即座に引き抜き拡張領域に収納、PA発生装置をONにして拡張領域からPDWを取り出す。
「………ごめんな、みんな」
開いたままのドアからクリアリングをして敵がいない事を確認、4組へと速やかに移動を始める。
まだ授業中だからか外に出るなと指示されたのか廊下には誰もいない、PDWのトリガーに指を掛け4組のドアを蹴破った。
「な、貴様は―――!!」
「俺の妹から手を離せェッ!!!」
恐怖に引き攣った顔をしたフランの片手を捻り上げる女の首を左手で掴み上げ壁に叩きつけ、反対側へとブン投げる。
即座にもう一人の女の脚へPDWを向け、セミオートで何発か撃ち込み、膝を付いた時に押すように蹴り、床へと転がす。
「に、兄さん!!」
「無事かフラン?!」
床に倒れたフランを抱き寄せ通信を起動する。
「IBIS! 見ているな?! 今すぐフランを本社へ転送しろ!!」
『信一郎様は――』
「俺はやる事がある、早くしろ!!」
「兄さ――」
フランの声に反応し転がした方の女へ銃口を向け肩を撃ち抜き持っていたハンドガンを落とさせる。
「ア゛ア゛ァ゛ァァァァァァァッ!!!!」
『転送準備完了、3・2・1…転送』
フランが転送されたのを確認して床を呻いて転がっている女の胸倉を掴み上げる。
「貴様らに指示を出したのはIS委員会で合ってるな?」
「あぐぅぅ、ぃ、はい…!」
「奴らに伝えておけ、この戦争買ってやる、だが死んだ方がマシだと思わせてやる。とな」
地面に落ちたハンドガンを踏み砕いて女を投げ捨て、PDWを構えなおし4組から出た。
目的地は生徒会室、一つ、聞かなければならない事がある。
「いたぞっ!! 撃て!!」
「クソが、ド素人共め……これが日本のIS委員会エージェントか、泣けてくるな…!!」
一々自分の場所を大声でバラした素人の射線から回避するように角へ隠れ、腕だけ出し、乱射する。
「俺も言えたもんじゃねえけどなァ…、弾切れか」
即座にマガジンを外し投げ捨て、新しいマガジンを拡張領域から取り出し、ガチャリと嵌め込む、コッキングレバーを引いて一つ息を吹く。
「仕方ねえ…か!!」
再度角から乱射しつつ、今度は飛び出し窓を破って外に飛ぶ、左腕を窓の上外壁に突き刺し左腕の出力だけで上に跳んだ。
2階層上へと上がり、窓を破って中に入る。
どうやらここに奴らは居ないらしいが時間の問題だろう、脚部出力を上昇させ目的地の前へとすぐに移動した。
「すまんが緊急で聞きたい事が……なんのつもりだ」
生徒会室のドアを開けると二人の女が俺に銃を突きつけていた。
「虚さん、義姉さん」
「今は授業中にも拘らずここに来たという事は……分かっているんでしょう?」
「もうしわけ、ありません……」
奥歯をかんで数歩前に歩く、それに合わせるように左側にいる虚さんの銃口は俺を追いかけるが正面の義姉さんの銃口は僅かに震えるだけで動く事は無い。
「……私は、更識楯無…更識家の跡継ぎで、生徒会長で……でも、でもっ!!」
「ロシアの国家代表なのよ?!」
ついに銃口が俺の心臓、胸の中心をぴたりとくっ付くほどに近くに立つ。
「簪は、何処にいるんだ?」
「あの子なら、倉持技術研究所に武器のテストとして呼ばれてるわ……」
俺の嫌な予感は的中したらしい。
「くそっ、クソ、クソ、クソォッ!!! やられた!!!」
「なに、何を言って…?」
「おかしいと思わんのか?! たかが武器のテストで3日間も学園を離れるわけないだろうが!!!」
「そんな、だって…!! いつもの……!!」
俺に当てられた銃口がガタガタと震え始める。
「IBIS!! 俺を本社に転送しろ!! ……IBIS?!」
『……申し訳ありません、現在転送を行うほどのリソースを確保できません、たった今フランシスを転送した直後に大規模なクラッキングが行われました』
「ッチィ!! ならセラフも使えんか、仕方ない、VOBを使用して直ぐに社に戻る」
『了解しました、アウト』
「待ちなさい……私が、貴方の目の前にいるのよ…!」
持っていたPDWを拡張領域に収納しまっすぐに目を見る、更識楯無には珍しい迷っている目だ。
「撃ちたいなら撃て、それでも俺は行く」
「……ぃ、わけ……しょう…」
「撃ちたい訳無いでしょうッ?! 何が悲しくて!! 何が悔しくて!! 簪ちゃんの愛する貴方を!! 籐ヶ崎君を撃たなきゃならないのよ!!! でも私は、私はロシアの指示を……!!」
「うるせぇっ!! IS委員会だかロシアだか、俺が知るかァッ!!! 俺は簪の為に!! カラードの、家族の為に行く!!!」
「……ッ、ぐ…!」
言葉を詰まらせた義姉さんがゆっくりと銃口を下し、床へと膝をついた。
「俺は行くぞ、ホワイトグリント」
ホワイトグリントを展開しドアの向こうをサーチ、案の定数人待ち構えてやがる、甘ぇよクソッタレ。
壁ごと破壊して一人弾き飛ばし、残りの二人に両手のライフルを突きつけ、ダメージを与えうる武器が無いのを確認、軽く小突いてから窓側の壁をぶち破って外へと出た。
海の上へと躍り出た直後学園島を一瞥する、どうして、こんな事になっちまったんだろうな。
『止まれ!! 撃ち落とされたいか!!』
「間抜けが、たかが攻撃ヘリでACをどうにかできると思ってんのか、ここは海の上で海面まで50メートルと無い、運が良ければ死なねえだろうよ」
クイックブーストで即座にヘリの背後に付きテールローターをライフルで破壊し落ちて行くヘリを眺める。
「VOB、起動」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「俺は行くぞ、ホワイトグリント」
彼がそう残し壁を破壊して去っていく、私にはそれを見送る事しかできなかった。
「……お嬢様…」
「家族の為……ねえ、虚…わたし、間違ってるのかなあ……?」
「わたしね、頑張ったよ? 簪ちゃんのため、学園のためって、どうして、どうしてこんな事になっちゃったんだろう…?」
「お嬢……いいえ、刀奈、貴女が頑張っているのは、私が一番知ってるわ」
「うーちゃん、うーちゃん……!!」
「刀奈、貴女がまだ刀奈だった頃、覚えてる? 迷った時は刀奈が思うようにしなさい、うーちゃんはずっと刀奈の味方だから……」
虚、うーちゃん、私の幼馴染、私が唯一弱いところを見せれる私にとってのおねえちゃん。
「うん、ありがとう……虚、私…決めたわ」
「えぇ、サポート致します、お嬢様」
「お嬢様じゃなくて会長、ね?」
くすりと微笑んだ虚に笑みを返し立ち上がるとドアから女性が飛び込んでくる、IS委員会の人間ね。
「ロシア国家代表更識楯無! 何をしている!! 早く追え! 捕まえろ!!」
傲岸不遜な女性を前に少しだけイラッとした。
「すぅ~……」
「早く追わな―――」
「うっさいわねぇ!!! 黙ってなさい!!!!」
「なっ?!」
「籐ヶ崎君はうちの!!! このIS学園の生徒よ!! 犯罪者ァ?! IS委員会ィ?! んなの知るかァッ!!!」
「き、貴様……」
「IS学園特記事項第21項!!! 本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない! 本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする!!!」
「それは我々が、IS委員会が決めた――」
「知るかつってんだよこの間抜けがァッ!!!! この学園の生徒である籐ヶ崎君はこの私が!! IS学園生徒会長!! 更識楯無が守るべき生徒だつってんだよ!!!! ハァーッ、ハァーッ…!!」
どうやら、少しだけなんて可愛いものじゃないぐらいイラッとしてたらしい、うーん、失敗失敗!
「虚、代表候補生たちと協力してこの不当に武器を所持した侵入者共をひっ捕まえて地下収容施設に叩きこんどいて頂戴」
「了解しました、会長」
「貴様ら!! 貴様らァッ!!!」
殴りかかってきた女の肩を力づくで外して机に投げ飛ばす。
「ガァァァァッ?!」
「知らないのかしら、間抜け。生徒の長たるものは最強であれ。IS学園の生徒会長って言うのはね、ISの有無に係わらず最強なのよ」
さて、今から大仕事を始めますか、お姉ちゃん頑張っちゃうぞ!
だから籐ヶ崎君……簪ちゃんの事、頼んだわよ。
「まずは、一年生からっと」
『あーあー、えーっと、専用機持ちの子たち? 聞こえてるかな?』
5秒と経たずに全員からの接続を確認、みんなで話しかけてきてるけど、ごめんね。
『ゴメン、時間無いから用件だけね。もしかしたら全員知ってるかもしれないけどカラードがIS委員会、及び全世界から国際犯罪組織に指定されたわ、勿論籐ヶ崎君もよ。私から言わせて貰うと、知るかっての、籐ヶ崎君はこのIS学園の生徒よ、IS学園特記事項第21項、勿論みんな覚えてるわよね? そう、つまりそう言う事、この私が学内でのISの使用を許可します。不当に武器を所持した侵入者共をひっ捕まえて頂戴、国からの指示に従うならそれでもいいわ、まぁ貴方達はその心配は無いだろうけど』
『織斑一夏、勿論、俺はシンの親友なんだ、このぐらい何て事は無い!』
『凰鈴音、アタシも、籐ヶ崎には色々世話になってるからね、まっかせて!!』
『セシリア・オルコット、IS学園は治外法権、同じ生徒を守るのも貴族の務めですわ』
『シャルロット・デュノア、会社もボクもシンは助けてくれたんだ、今度はボクが返す番だよ!』
『ラウラ・ボーデヴィッヒ、ドイツ軍はカラードより多大な支援を受けている、ドイツ軍自体がカラードへの攻撃を反対しているのでな、この程度何でもない』
『篠ノ之箒、そも私と一夏は国の要請やIS委員会の要請など受ける義務は無い、好かない奴だが、友人だ、やらせて貰う』
うふふ、みんな、本当にいい子ね……じゃあ、私も行きましょうか。
「虚、全員で侵入者は何人?」
「12人だそうです」
「そう、ありがと」
『全員、聞いてちょうだい、侵入者は全員で12人だそうよ、こっちで既に、いち…にー、さん……三人無力化してるわ、あと9人よ』
『いえ、あと5人です、籐ヶ崎が1組で二人、4組で二人無力化しています』
「あらら」
『まぁ、無事ではありませんが……』
「あーらら」
さってっとっ、んじゃ、いっちょ行きますか!!
さぁて、行くわよ、
5人の獲物を追う7人の狩人、面白いじゃない!!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
『……こちらシャルロット・デュノア、シン…聞こえる?』
通信画面が開かれシャルりんから通信が入る、最高速で飛ばしながらも通信は出来るので一応受ける。
『あぁ、この犯罪者に何の用だ』
『シンは犯罪者なんかじゃないよ、IS学園の生徒で、ボクの恩人で、友達だよ』
『…そうか』
『よく聞いて、いまお父さんから通信が入ったんだ、デュノア社にフランス政府の指示でカラードへのISを使用しての攻撃命令が下された』
『…………』
『でもデュノア社は“丁度たまたま”社内の全ISを分解してて再度組み立てにあと少なくとも1ヶ月はかかる、らしいよ』
そんな事をすりゃ国内での立場が危うくなるのは火を見るよりも明らかだ、なんでそんな事を。
『そしてお父さんからシンへの伝言“娘との懸け橋となってくれた貴方をどうして裏切れようか、私も、社に残った馬鹿者も貴方に感謝している”』
『…く、クク……わかった、その選択は決して間違いではなかったと、思わせてやる』
『シン、IS学園にいるみんなは、何があってもシンの味方だよ』
『ラウラ・ボーデヴィッヒだ、籐ヶ崎、単刀直入に言おう、我々ドイツ軍はカラードからの支援を省みてドイツ政府の指示を真っ向から拒否している、おかげで東西でまた分かれそうだ、ベルリンの壁がまた出来てしまいそうだな』
『それは、すまんな』
『なに、心配するな、こんな選択だが私は自分のドイツ軍の人間であることを誇りに思えるよ』
なるほど、俺は、俺たちはどうやら、何も世界すべてを敵に回した訳じゃないらしい、ならまだ、世界を終わらせる必要もない。
『もし、もしだ、俺達カラード対全世界になってしまったら、この世界から国と言う物が無くなるところだったな』
『国家解体戦争か、笑えんな』
国家解体戦争、因果だな。
『私からはこれだけだ、シャルロットも言っていたが生徒会長も、そして我々専用機持ちもお前の味方だ、心配するな。オーバー』
揃いも揃って馬鹿だらけだ、本当に……俺はまだ恵まれている。
『こちら信一郎だ、あと数分で社に到着する、使用ACはホワイトグリント、VOBだ』
『こちら管制塔、了解しました、御存知だと思いますが緊急事態です、いつ戦争が始まってもおかしくありません』
『分かっている、防衛線になるだろう、それぞれのトップ10ランカーと新型機のトップ10に戦闘用意をしろと伝えてくれ』
『了解です』
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
バトルスーツの内部調整を投影ディスプレイで行いながら廊下を歩く。
「現状はどうなっている?」
「全世界のISがこちらに輸送機で向かっています、あと20時間と経たずに戦いが始まるでしょう」
「そうか……レーグは何処にいる?」
並ぶように解析班の人間と歩く、戦争はもう眼の前か。
「ここにいるわ、信一郎部長」
「単刀直入に聞く、亡国機業の本拠地はどこにある?」
「………確信なのね」
「教えてくれ、簪の救出に行く」
レーグがぴたりと止まる、それに合わせ俺も解析班の者も立ち止った。
「……なら、私とオータ…オーシェーニ、それとマドカも行くわ」
「………いいだろう、10時間後に出る、戦闘用意を整えておけ、その時に場所は聞く」
「母さんは?」
「現在コアルームでクラッキングに対処しています、おそらく全世界同時に行われているからでしょう、IBISだけではリソースを全て食ってしまいます」
「IBISの無人機支援は期待できないか」
「そうなりますね、有人機で対処するしかありません」
「地下のISはどうなっている? あれは単純なAIで動いていた筈だ」
横の研究員を見ると苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「それが……地下に保管してあるISは全ての武装、及び戦闘機能がオミットされています」
「こんな時に…!!」
「敵の予測数は400程、こちらは40ですか、数の上ではかなり不利ですね」
「だがコジマ兵器を利用して殺傷兵器を使えば簡単に皆殺しに出来る」
「それですが、社長からの厳命で殺す事は許されない、との事です」
「……俺が、留まれば……」
「それは駄目です! 信一郎様は行かねばなりません! 心配ありませんよ、我々研究員もやれる事をします」
それでも、不利であることには変わりない、ならば下す命令はただ一つだけだ。
「いいだろう、ならば俺が下す命令はたった一つだけだ、何があっても、誰一人死ぬ事は許さん」
「わかりました、心に銘じておきます」
軽い調子で敬礼をする研究員の肩をたたき笑みを浮かべる、俺は上手く笑えているだろうか。
「まずは、腹ごしらえですね、戦闘が始まれば満足に食事もとれません、ISの構造上長時間の戦闘にはならないでしょうが、食事は大事です」
「そうだな」
食堂へと移動すると今回戦闘を行うランカーやそのサポートに回る人間、研究員などでワイワイガヤガヤと騒がしい様子だ。
「坊っちゃんじゃァねえか、今回の戦闘、中々手ごたえがありそうだな、楽しみにしてるぜ」
「御子息殿! 今こそ我々の力を見せる時ですな!」
「リーダー! ACだけじゃなくて私と
『がんばう!』
「防衛線ですか、それならば我々警備部隊の出番ですな、我々にお任せ下さい。負ける事など万に一つもありません」
「この戦いこそ、レイヴンとしての戦いにふさわしい」
揃いも揃って笑顔で死地に赴こうとしている、どいつもこいつも……
「このっ、馬鹿どもがぁ……!」
「馬鹿で大いに結構だぜ、俺らァよお、社長やリーダーに助けて貰った奴らばっかりだ、いまその命を使えるんだ、大喜びだぜ、そりゃァよ」
「そうね、トップ10ランカーって言ってたけど、別に自分が望むなら前線に立っていいんでしょ? なら最高じゃない、一度ISを穴だらけにしたかったのよ」
「おっかない女はこれじゃから好かん、じゃが、わしも恩を返す時じゃ、前線に立たせて貰うで」
「ポールが出るなら俺も負けてられん、何が糸を引いているのかは知らんが、俺は死ぬ気は無い」
あぁ、クソッタレ、俺の家族は全員馬鹿だよ。
「いいだろう、なら作戦変更だ!! 出たい、ないし出れるものは出るがいい!! だが、何があっても死ぬ事は許さん!! いいなァ!!!」
『ウオォォォォォォォッ!!!!!!』
簪、絶対に助け出す、あと少しだけ、待っててくれ。
書きたい事が特になし、強いて言うなら次は若干遅くなりそうです。