コジマ汚染レベルで脳が駄目な男のインフィニット・ストラトス   作:刃狐(旧アーマードこれ)

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 ※この作品には流血、ゴア表現など、暴力的な表現が含まれます※
※苦手な方は見ないことをオススメします。もう遅い気もしますけど※


あーん!信一郎が死んだ!
あ、特に言う事無いです。ハイ。

何でしょうか、ドリフターズの3巻が発売したぐらいですかね。
お金が一円も無いからまだ読んでないですけど。

以下本編


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「機体名はNine-Ball(ナインボール)!!」

 

シャルロットの言葉と共に体勢を立て直した福音が1対の羽をフワリと羽ばたかせその場から消えた、正しくは凄まじい速度で瞬間的に加速しISのサポートを受けた人でさえ知覚出来なかっただけだが。

しかし専用機持ちの中でただ一人セシリアのみが消えるように加速した福音を意識で追うことが出来た、だが所詮意識で追うことが出来ただけに過ぎない、身体が付いてゆく事は不可能だった。

銀の閃光を引き赤い閃光と凄まじい勢いでぶつかる。凄まじい速度と質量の衝突により専用機持ちたちを数メートル引かせる衝撃波が発生した。

 

「っぐ…! なんだ?!」

「あれは…あの赤いISは…?!」

「そんな、有り得ない。アレは、アレはISなのか…?」

 

福音の片羽とブレードで鍔競り合う赤い機体、生物的な羽の生えた福音とやりあえる事も異常だが、それ以上にその機体は人が操縦するには余りにも異質だった。

まるで人が入っていないかのように腕が、足が、身体と機械的なジョイントで離れている。まるでそれは……

 

「無人機…!!」

 

赤い機体が福音の羽を押し返し右手に持つマシンガン……否、常軌を逸した連射能力を持ったパルスガンを近距離から浴びせる。

雨のような連射を受け少なからずダメージとなった福音が舞うようにクルリと回転し、回転を終えると同時に片羽で右腕を掃う。

専用機を一撃で撃破するその攻撃を受けながらも流すように赤い機体が回る、その腕には浅い傷だけが走っていた。

受けた攻撃の力をそのまま利用するように回り、赤い機体が左腕のレーザーブレードを振る。

 

『Ah…Ahh』

 

いとも容易くその攻撃をフワリと宙に舞う羽のように回避した福音。

しかし回避し終えた福音の頭部にはグレネードランチャーが突きつけられていた。

砲口から炎を上げ、榴弾が福音の頭部に着弾、凄まじい勢いで吹き飛ばされ距離が離れる。

 

「ナイン……ボール……、どこかで……」

「しっかりしろ、更識! まだアレが敵か味方かも不明なのだ、何時こちらに向かってくるとも知れん!」

「ご……、ごめん……!」

 

簪にはその名に聞き覚えがあった、それは更識家関係だったか、それともただの会話だったか、インターネットでの事だったか、本だったか、それともただそのままビリヤード関係のことだったか。

 

「シャルロットさん何も分からないのですか?!」

「分かるのは機体名だけなんだ! 所属も搭乗者も敵対友好の信号も何もかもが不明! 武器だって見た目から推測しただけだよ!」

「少なくとも今は敵ではない…か。だが」

 

味方でもない、こちらの行動か、あちらの気まぐれか、それだけで敵対するかもしれない。そうなれば福音の時と同じようにいとも容易く蹂躙されてしまうだろう。

 

『Ahhh……Ah…』

 

福音が謳い、ゆっくりと両羽を大きく広げる。その姿はまるで天使のような神々しさだ、しかしその両羽から何かが総8つ迫り出し形作る。

ソレはシャルロットが使用したショットガンの形状に似ていた。

赤い機体がパルスガンを連射し横へと移動を開始、しかしそれは何の意味も成さない行動。

8門の砲口からエネルギーで構成された大型のフレシェット弾が放射状に撒き散らされる。

赤い機体に着弾すると同時に炸裂、ソレが止むことなく8門の砲口からマシンガンを思わせる速度で連射された。

もはや爆炎が赤い機体を覆い隠し、姿の影すら見えないにも係わらず一切の容赦なく次々と弾丸が吐き出される。

ようやく福音の攻撃が止んだのは凄まじい攻撃により砲口自体が耐え切れず木っ端微塵に吹き飛んだのがきっかけだった。

しかしそれすらもダメージではないのかボロボロになった砲塔が羽の中へと溶け込んで行く。

 

「あんなの喰らったら…!」

 

ひとたまりも無い、どころではない。ISであっても肉片一つ残さず消し去られるだろう。

ソレほどまでに恐ろしくおぞましい、また悪魔のような天使の攻撃だった。

 

黒煙がある一点を覆う、否。もはや黒煙単体といった方が正しいほどに深く黒く立ち込める中、黒煙より白い線が複数天へと伸びる。

同時に凄まじい連射能力を誇るパルスガンが黒煙から福音へと走った。

それはまだ赤い機体が墜ちていないどころか戦闘能力を有している事の証左に他ならない。

 

『Ah……Ahh…Ah』

 

パルスガンをふわりと宙で返るように回避した福音が謳う。

それを合図のように甲高い音を残し、レーザーブレードの赤い線を引き赤い機体がパルスガンを連射したまま凄まじい速度で福音へと肉薄する。

 

パルスガンの被弾に一切構うことなく福音が右羽を変質させ始めた。

ゴキリと生物的な音を響かせ猛禽類を思わせる鋭い爪を持った腕を形成する。

その背に生えた右腕は細く、振るだけで折れてしまいそうな見た目でありながら恐ろしく禍々しい。

 

赤い機体のレーザーブレードが伸びる左腕が福音の首を刈り取らんが如く振られ、対照的に福音の背に生えた右腕がその鋭い爪で赤い機体を八つ裂きにせんと迫る。

両者がほんの少し下がりながら武器を振ったためそれぞれの身体に突き刺さり斬り裂かれることなく打ち合わされた。

福音の背に生えた腕が見た目に合わず赤い機体と互角に打ち合う。

 

理解不可の認識外の速度で何合、何十合と打ち合いが始まる。

それが打ち合いだと理解できる理由が赤い機体のレーザーブレードが引く赤い光の線と打ち合いの際に光る火花に似た閃光、そして途切れる事の無いチェーンガンが分厚い鉄板を叩くような音であったからだ。

遂に音と閃光が停止、そこに現れた漸く動きを止めた赤い機体と腕を生やした福音。

赤い機体の表面には幾つもの深い亀裂が走っている。流石に福音の撒いたフレシェット弾は軽いダメージで済まなかったのだろう。

 

『Ah…Ahh』

 

押し、押され、双方が爪と赤い刃を鍔競り合う、しかしソレは長く続く事は無かった。

爪の生えた腕が赤い機体の左腕ごとレーザーブレードを弾く。

 

『Ahhhh…』

 

後ろへと大きく引いた腕を、爪を、赤い機体に突き刺すため振り、赤い機体のボディを無残に貫く寸前、福音の背が炸裂し動きが止まった。

見れば福音の背から上空へと白い線が伸びている。否、正しくは上空より福音の背へと白い線が伸びていた。

それは赤い機体が黒煙の中で放ったミサイルだった。

 

動きが止まった福音を赤い機体がブレードで斬りつけ、蹴り、弾き飛ばす。

飛ばされる福音の背に生えた右腕が再度生物的な音を響かせ羽へと形を戻した。

 

「軍用機などと言う枠では収まらないぞ…これは!」

 

赤い機体の背より何度も上空へとミサイルが撃ち出される。

空中で体勢を立て直した福音、その背に生える羽がいつの間にかそれぞれ3本、系6本の巨大な銀色の刃となっていた。

福音がその場で縦、横と身を翻せば刃より巨大な光刃が三撃づつ撃ち出され、網のように重なり上空へと飛んで行く。

その網が赤い機体の放ったミサイルを一つ残らず破壊しつくした。

 

「まさか…まさか福音は、奴は…!!」

「僕達の攻撃を…コピーしている…?!」

 

赤い機体がミサイルが全て壊された事を気にも留めずパルスガンを連射する。

福音が6つの刃を交差させ巨大な盾のように扱い、そのまま消えるように加速、赤い機体へと迫った。

そのまま盾のように寝かしていた刃を前方へと向け、左の刃を左下へと振り下ろし、同じように右の刃を右下へと振り下ろす。

×字に斬りかかる福音の上を回転し飛び越えるような急加速により難なく回避した赤い機体が逆さのままグレネードランチャーを福音の背へと直撃させ、吹き飛ばした。

飛ばされた福音が体勢を立て直そうともせず、6本の刃を届かぬ赤い機体へと突き出した。

 

その刃の周囲に数え切れないほどのエネルギー球が発生し、レーザーとなって赤い機体へと殺到、避ける事が出来ず直撃した衝撃を持ったレーザーにより錐揉みに吹き飛ぶ。

 

『Ah……Ahhh……Ahh…』

 

刃が重なり、再度一対の羽へと変化。間を置かず羽が二つに分かれ総4つの砲口を作り出す。

体勢を徐々に立て直しつつある赤い機体が破損したためか、それとも弾が切れたためか背のミサイルをパージした。

続いてレーザーブレードを展開し、体勢を立て直すと同時に福音へと加速する。

 

福音の羽を変化させた4門の砲口から電撃を纏った弾丸が赤い機体へと幾つも飛んだ。

音速を遥かに超える弾丸を赤い機体は難無くレーザーブレードで斬り裂き、福音へと迫る。

 

『Ahh―――』

 

福音が砲塔を羽へと戻し、防御体勢に入るより早く赤い機体が目の前に飛び、レーザーブレードを振りかぶっていた。

右斜め上より左斜め下へと斬り下ろす様に一閃、連続してパルスガンを下ろした状態から振り上げるようにフルオートで撃つ。

身をその場で翻し一回転しながら膝での蹴りを放ち、福音との距離を離す。即座にグレネードランチャーを構え一撃、二撃、三撃、福音が爆煙に覆われても構わずにグレネードを撃ち続ける。

 

遂に全ての榴弾を吐き出したのか砲撃を止め、背部へと収納し、様子を見るかのように滞空。

福音のいた周辺が黒い爆煙で覆われ一切の透過を許さない。しかし、急に暴風が吹き荒れ黒い煙を斬り裂くかのように散らす。

そこには1対の羽をボロボロにした福音が佇んでいた。

 

『Ahh…Ah――…Rrha……』

 

福音の詩が再度変わり、ビクリと震えると福音の羽が「1対」から「2対」へと増えた。

ソレと共にボロボロになった羽が瞬く間に修復されて行く。更なる目に見えるほどの出力の増加を伴いながら。

全員のISが捕らえた出力は一対よりも倍…否、「乗」ほど大きかった。

 

『ki…ga……』

 

ゆっくりと、鳥が舞うように赤い機体へと移動を開始する福音と対照的にレーザーブレードを展開しながら赤い尾を引き、パルスガンを連射し、福音へと迫る赤い機体。

羽の一枚を使い、軽く風を起こすかのような動きをする。ただそれだけでパルスガンのエネルギーが全て霧散し、消え去った。

更に赤い機体が自らを加速させレーザーブレードでの刺突で福音を羽ごと串刺しにせんと迫る。

だが刺突が福音の羽一枚に触れた瞬間まるで時が止まったかのように赤い機体が静止した。

貫く事も切り裂く事も切っ先が埋る事さえも無くただ静止。

 

『nozess……yor…』

 

福音が右羽を二枚、捩れさせ無理やりのように見える形で結合させ、煉り固め、一つの巨大な羽へと変化させる。

その巨大な羽がフワリと羽ばたくように赤い機体へと叩きつけられた。

赤い機体が即座にブレードを収納し、左腕でその攻撃を受け止めようと伸ばす。

 

その直後赤い機体の左腕が砕け、千切れ飛び、赤い機体自身も赤い破片を撒き散らしながら宙を舞う。

それを悠々と眺めながら福音が防御にも使わず、攻撃にも使わなかった残り一枚の羽を変化させ、一つの砲口にした。

 

『omnis』

 

ただ一発だけその砲口より砲撃が放たれる。それは巨大で紅く、余りにも強すぎる砲撃だった。

赤い機体に着弾した砲撃がエネルギーの球体となり赤い機体を一瞬包み込む、光が消えた所に映るのは残った右腕も千切れ粉砕され、片足も吹き飛び、背部のグレネードランチャーが砕け散っている赤い機体だった。

ボディから爆発を何度も起こし重力に引かれ海へと赤い機体が消えていく。

 

『Ma…num……wa…』

「まだ、まだコレほどまでに…?!」

『引け! 引くんだ、全力で撤退しろ!!』

 

通信に千冬の声が響く、その声はどう聞いても平時の彼女には合わぬ焦燥しきった声だった。

無理も無い、もはやこれはIS学園で解決できる事ではない。全ての国の優秀なIS操縦者を掻き集めても福音を撃破する事は難しい。否、不可能だ。

ソレほどまでに圧倒的な力の差、もしこの場にいる全員へと矛先が向けられれば30秒と持たない程の凄まじい差。

 

「でも、だけど! コイツを放って置くと…!! 千冬姉…!!」

『それでもだ! お願いだ、一夏! お前が死ぬ所は見たくない、考えたくも無い……!』

「千冬姉…多分、こいつに効果的なダメージを与えれるISは、俺しかいないんだ……だから、ごめん。大好きだよ、千冬姉」

『一夏! 待て! いち―――』

 

一夏が一つ息を吐き、雪片弐型を握る手に力を込める。目をゆっくりと開くと覚悟で満ちた眼差しだった。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

病院、信一郎が亡くなったショックに泣き叫び、その末気絶した麗羅を支え、一時的に部屋の外へ連れ出すため医師と信一郎の父が共に部屋を出る。

それは1分にも満たぬ僅かな時間だった。

 

しかしその一分に満たぬ僅かな時間で状況は異常事態へと変わる。

病室に戻った医師が目にしたのはたった今亡くなったばかりの信一郎がベッドの上に、部屋の中に、居ない状況だった。

ただベッドは融解し、壁が球状に消滅し、何かが起こったと言う事だけは理解できた。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 

―織斑 一夏―

 

見栄を張ったもののどうも勝てるビジョンが全く浮かばない、恐怖は無いが危機感は十二分にある。

でも、零落白夜を持つ俺が、俺が成すべき事なんだ…

 

「悪い、先に帰っててくれよ。俺はコイツを倒したら、ゆっくり帰るから」

 

全員がポカンとした表情で俺を見ている。そりゃそうだ、俺だってそうするだろうし。

 

「驚いたな。一夏、お前…一人だけで福音に勝てると思っているのか?」

「ははっ、厳しい言葉だな箒。まぁ期待して待っててくれよ」

「はぁ~…箒さん。そのワンオフアビリティはわたくし達の機体に使えますか?」

「…? セシリア、何言って―――」

 

俺が言い切る前に箒がセシリアに触れる。なぜそんな事を…?

 

「すまないが篠ノ之、ここにいる全員に頼む、どうやら私含め馬鹿ばかりのようだ」

「アレに一人で勝てると思っているなら最高のコメディーセンスだよ、一夏」

「アタシ達が援護するわ、アイツを叩き斬りなさい」

 

もしかして、全員戦うつもりか?! アレと!!

 

「な、何言ってんだ! アレは俺が、俺がやるべき―――」

「信一郎に……、一撃も当てれず……落ちたくせに……」

「っぐ…」

 

好き放題言ってくれる、アレは近づけすら出来なかっただけで……それが致命的なんだな。

 

「わかった。でも全員、絶対に死ぬなよ」

「勿論よ、とっととブッ倒して大手を振って帰るわよ、籐ヶ崎の敵討ちのためにも…ね」

 

箒が全員のISに触れ俺の横へと並ぶ、どうやら準備は完了したようだ。

 

「よし…じゃあ用意はいいか? 行く―――」

『力を持ちすぎたもの』

 

突然に男と女の混ざった人に出せない声、まるで機械音声のような声がオープンチャネルに割り込んでくる、全員を瞬間的に見回せば俺だけに聞こえた訳ではないようだ。「それ」に反応したのか銀の福音が聞き入るように停止した。

 

『秩序を破壊するもの』

「何だ…これ…?!」

「反応確認! 海中だよ!!」

 

シャルの声に従って銀の福音と戦闘中だった事さえ忘れ、海…さっきの無人機が墜ちた場所へと無意識に注意を向ける。

 

『プログラムには、不要だ』

「何よ、何なのよ……!!」

「こ、れは…そんな、私が……震えて…?」

 

言い知れない感覚が身体に染み入ってくる。もし、もしさっきの無人機なのだとしても…おかしすぎる。

 

『修正プログラム、最終レベル』

 

クラス対抗戦に飛び込んできた無人機の時も、俺が死にそうになった目前の銀の福音も、危機感はあった。

けど、今はそうじゃない、途轍もなく……怖い。

その恐怖は、機械だとは思えないほどに、心の奥底を突き刺してくる。

 

『全システムチェック終了』

 

誰も動かなかった、いや…動けなかったこの空間で唯一つが大きく動き始める。

目に見えるほどガタガタと痙攣しているんじゃないかと錯覚する程震えるその唯一つ。

俺でも、箒でも、鈴でもセシリアでもシャルでもラウラでも簪でもない。

圧倒的な戦闘能力を持っていた他でもない「銀の福音」だった。

 

『戦闘モード、起動』

『―――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!』

 

今まで歌うように、名の通り福音を奏でていたとは思えないような叫び声を上げ、2対だった羽を3対へと増やし持ちうる全砲塔を無人機が墜ちた海面へ向け乱射する。

直後ISが銀の福音のエネルギーが馬鹿みたいに増強されたと知らせる。

大きく飛沫、いや水柱を作り、それでもまだ足りないと言わんばかりに直撃すれば一撃でISを葬り去る大火力を海面に、その奥の海中に撃ち続ける。

その水柱に混ざって赤い閃光が真上へと伸びた。

 

『ターゲット確認』

 

銀の福音が声に反応し銀の鐘を止めハイパーセンサーを忘れているかのように目線を飛び出した赤に向ける。

 

『排除…』

 

空まで視界を遮る水柱が消えた銀の福音と同高度の場所にはさっきの無人機と似た恐怖を形にした何かが…

 

『…開始』

 

居た。

 

 

―Third Person―

 

『zodaw zodaw zodaw zodaw iem』

 

3対に増えた羽を全て砲門に変化させ、紅くなった巨大なエネルギー弾をマシンガンの如く放つ、もし一撃でも掠ればISでさえ木っ端微塵に破壊するだろう威力の弾丸を形の変わった赤い機体へと。

赤い機体が微動だにせずその理不尽とも言えるほどの暴力の嵐を受ける。

 

「…まだ、まだだ。これほど…震えるなど…!!」

 

ラウラがまだ赤い機体は落ちていない、と無意識に察した。

事実、その暴力の嵐が去った後に赤い機体が姿を現す。一切ダメージを受けた様子の無い完全な無傷な姿で。

 

「そんな…シャル! あの無人機のデータは?!」

「待って、今! ……出た…! ……熾天使?」

「どうしたんだ?!」

「あ、出たけど名称が変わっただけ! のこりは一切不明だよ!!」

「し……てんし……?」

 

簪が呟くのに重なり福音が絶叫を上げ6枚の羽を全て捻り合わせただ一つの巨大な砲口へと変化させる。

だが赤い機体はただ視線をその砲口へ向けるのみ、それ以外の行動を一切行わない。

 

『deata degle endia dople』

 

ただ一撃の圧縮させた、破壊力唯一つを求めたエネルギー弾を叫びと共に赤い機体へと吐き出した。

赤い機体が漸くゆっくりと動き始め、右腕を前に出し拳を左へと向ける。

右腕から紫のレーザーブレードを展開し、ただ無造作に右へと振り、エネルギー弾を斬り付ける。

それだけで触れる物全てを消し飛ばす威力を持つエネルギーが霧散し消え去った。

 

つづいて両手を前に突き出し、手を開き、その両腕からエネルギー弾を発射する。一発二発ではない、10発でも、100発でもない。無数の弾丸が数秒で吐き出され続けた。

弾速は速いが、今の福音に避けられぬ速度ではない。だが、それでも、どれだけ回避しようと、必ず半分は当たるのだ。

 

福音が全ての羽を大きく開く、防御を捨てどうあっても赤い機体を撃破する事にしたのか羽からショットガンの砲口を作り出す。

 

赤い機体が両腕を握り、その両腕からレーザーブレードを発生させた。

しかしショットガンを例え両手であろうとその銃弾を全て切り落とす事など不可能に近い、故に赤い機体は「その場で」両手のブレードを振った。

 

閃光が正に光の速度で福音の1対の羽へと走る。抵抗も無く、まるでただ最初からそうであったかのような自然さで最上部の羽が二つ、根元から離れ、消えた。

直後、衝撃波が福音を打ち、弾き飛ばす。それは衝撃と言う波を持つ光、光波であった。

 

赤い機体がゆっくりと前屈みになる。それはランニングのように走る用意をする人のような、ごく自然な人の動作。

すると赤い機体がただ悠然と浮かぶ光球と光の爆発を残して消え、遥か離れた場所に再度姿を現す事無く爆発と光球を残す。

幾つも爆発と光球を残し、雷のような軌道と速さでそれが現れる、弾き飛ばされた福音へと。

 

ただ、それは福音を捕らえず、遥か向こうへと走っていった。

福音がクルリと回転しながら体勢を立て直す、すると今度は後ろから何かにぶつかられた様に、弾き飛ばされた場所へと巻き戻しのように飛んでゆく。

 

それは福音の背へと体当たりをした赤い機体の所為であった。しかしその姿は人型ではなくただ高速で飛ぶために特化させたような姿。

音速の数倍以上の速度、銃弾をも越える速度で人ほどもある質量の物体が直撃すれば如何に福音と言えど耐え切ることは不可能、受け止めることが出来ないのは当然の結果だった。

 

赤い機体が凄まじい速度で人の形へと戻り福音を弾き飛ばす、福音が羽を再生させつつ見るからに出力をブレーキに振り、空中で静止、赤い機体への反撃へと移る。

前に数多の方向よりエネルギー弾のマシンガンに晒されて蹂躙され、攻撃を中断させられた。

 

赤い機体が残した光球よりエネルギーマシンガンが福音へと攻撃を行う、それは所謂ビットであった。

福音が全身の防御のため羽で身体を覆う、その防御によりマシンガンの攻撃は福音へと通らない。

 

羽で覆われた福音の機体自身を目視する事は出来ない、ソレほどまでに隙間が一切無い防御、しかし逆に言えば福音からも赤い機体を目視する事は出来ない。

それは致命的な隙だった。

 

赤い機体の背部にある巨大なスラスター上部ハッチが開く、そこから垂直に十何発もミサイルが打ち上げられる。ある一定地点に到達したミサイルが殆ど角だと言っていいほどに福音へと凄まじい速度で直進、防御を解いた福音の眼前にミサイルが迫った。

 

消えたと錯覚する速度で福音が回避、しかしまるでどのような軌道を描き、どのような地点に移動したかを全て把握しているような動きでミサイルの軌道が曲がる。

迎撃すべくショットガンのような瞬間火力をマシンガンのようにミサイルへと吐き出す。

だがエネルギー弾はミサイル唯一つとして迎撃する事は出来ない、ミサイルが全て意思を持っているかの如く動き、弾丸の尽くを避けたのだった。

 

ならばと福音が羽を使い、ミサイルを包み込み、磨り潰すかのように破壊。それを全て確実にこなし、ミサイルの数を減らしてゆく。

 

遂に最後のミサイルを破壊し、爆発を挟んで赤い機体と福音が睨み合い、爆煙が晴れたとき、そこに赤い機体の姿は無かった。

認知できない速度で移動しているのではない、レーダーの範囲外に逃げた訳でもない。

視認不可、反応無し、まるで最初から何も無かったかのように消えたのだ。

 

福音からは本当に消えたようにしか見えない、だが専用機持ち達は赤い機体が消える瞬間を見た。

赤い機体にノイズが走り、そのノイズにかき消されるかのように赤い機体が消えてゆく、ノイズが赤い機体を塗りつぶした時にはその姿はもう無かった。

 

「ステルス…?!」

「エネルギー反応も熱反応もIS反応も何も無いなどと…馬鹿げてますわ…!」

 

『Rrha―――』

 

福音が詩を発した瞬間、何かの衝撃を受けたかのようにガクンと揺れ、そして呼吸が出来ない人のように両手で喉を掻き毟る。

否、首を絞める何かを必死で剥がしているかのような動きだ。

突如福音の前の空間にノイズが走り、ソレはゆっくりと姿を現す。

右手で福音の首を締め上げ、何の感情も感じさせないアイセンサーを煌かせた赤い機体。

驚異的な強さを持つ福音をまるで赤子の手を捻るのと同義だと言わんばかりの規格外の強さを持つ「ソレ」は形容するならば…

 

「最強ってーの? ふざけてるじゃない…!」

 

福音が全ての羽で赤い機体を包み込む、零距離からの全出力による掃射、異常とも言える火力をただ一機の敵に向かって全力で放つ。

福音の羽から漏れるほどの光が溢れ、攻撃が成功した。

 

 

かのように思えたが、それは否定される。

福音の羽が無残にも無数に千切れ飛び、ただ悠然と姿を現す緑の電撃にも似た球を纏った赤い機体によって。

それは専用機持ちが見た事のある物、紛れも無くカラードのACに搭載された――

 

「プライマルアーマーかっ!!」

「という事はあの無人機はカラードの?!」

 

羽が全て千切れ飛び、消失した福音がプライマルアーマー展開時の衝撃により掻き毟る手を弾かれる。

そのまま左手が福音の腹部へと添えられ、零距離よりエネルギー弾を撃ち込まれる。連射式とはいえその一発の威力はIS用スナイパーライフルと謙遜無い、そして攻撃の術も抵抗の術も消失している福音が逃れる事は不可能。

 

先ほどのお返しだと言わんばかりに福音の周囲を幾つものビットが旋回。

一切の間を置かず全てのビットから福音へとレーザーが照射され、ビットが消える。

 

『まもる…まも…る……ま……マス…タ…ー……』

 

ビットが消えるのと同時に福音の機体が光の粒子となり消えた、遂に稼動限界を迎えたことを現していた。

 

「ナインボール……、熾天使……、カラード……、最強……もしかして…!!」

「福音を倒した…!!」

「デュノアさん……! あの機体の名前って……、ナインボール・セラフ?!」

「そ、そうだけど――」

「やっぱり! じゃあ、じゃあっ……!!」

 

突如赤い機体、熾天使が福音の操縦者である女性を右手で持ちながら左手を下ろし、拳を握る。これから起こることを簪以外の全員が容易に想像した。

 

「まさかアイツ! あの無人機ッ!!」

 

左腕から紫のレーザーブレードが伸び、ゆっくりと福音の操縦者へと向ける。

 

「てめええええええええェェェェェェェェッッッ!!!!!」

 

一夏が吠え、瞬時加速を行いながら手に握る雪片弐型から放射される零落白夜で、紫のレーザーブレードを福音の操縦者を貫く前に消し去った。

続くニ閃目で熾天使を斬ろうとするが福音を相手にしていた熾天使が一夏の剣筋を捕らえれぬ筈は無い、福音の操縦者を離し、後へと下がって剣戟を回避する。

 

「っく! よし! 掴んだわ!」

 

鈴音が海へと落ちようとしていた福音の操縦者をキャッチする。

 

「待って! 待って織斑君!! ソレは信一郎なの!!」

「な、そんな筈…」

「だってソレは信一郎が…! 信一郎の……っ!」

「落ち着け! 更識簪! それが籐ヶ崎である筈が無い!!」

「なんで?! どうして?!」

 

熾天使が自らの左腕を見て紫の光を出し、消し、を何度も繰り返していた。

 

「よく、よく聞きなさい! 籐ヶ崎は、アイツは死んだのよ…!」

「そんなの、ありえない……ありえない、ありえない! ありえない!!」

 

耳を塞ぎ、拒絶の言葉を叫ぶ簪を全く気にせず熾天使は一夏へと視線を向ける。新たな獲物を見つけたかの如く。

 

『……排除開始』

「来るぞッ!!」

「援護しますわ!!」

 

ただ悠然と佇む熾天使へとセシリアがライフルを撃ち込む、実弾兵器でありながら強力なEN兵器でもあるそれはプライマルアーマーを抜くのに適した兵器。

 

 

の筈だった。

 

その銃弾は熾天使の装甲に弾かれるなどという生易しいものではない、PAを抜く事はおろか減衰させることさえ不可能だった。

 

「織斑先生から連絡があったんだ! シンが息を引き取ったって…!!」

「嘘! 嘘、嘘、嘘!!! 信じない! だって、だって信一郎は……! 私を救ってくれた、ヒーローなんだもん!!! だから!! だから…!」

 

不確定要素の一夏以外熾天使のプライマルアーマーを抜いてダメージを与えられる専用機はこの場に居ない、だが不確定要素である一夏を優先的に撃破するにしても周りが邪魔だ。

ならば容易に撃破できる周囲の専用機持ちを狙うべきだろう。

その中でも尤も容易に撃破出来るのは耳を押さえ縋るように言葉を漏らし、一切動かない簪だ。

熾天使がまず最初に狙いを定めたのはその簪だった。

 

消えるように簪の前へと躍り出て簪を見下ろす。

ゆっくりと右腕を挙げブレードを放出、これを振り下ろすだけで簪は絶命するだろう。

 

「ぉおおおおおおおあああああああああああああッッッッッ!!!!!!!!!」

 

もはや予知にも近い見極めによる速度で現れた熾天使へとエネルギーの殆どを使い潰す気で瞬時加速を重ねる。二度、三度、四度、だがあの福音よりも遥かに遅い、奇跡でも起きねば間に合うはずが無かった。

 

「そうだよね……? 信一郎……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…か………んざ…し……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪の言葉に熾天使が止まる。言葉として聞き取るのが難しいほどおぼろげに簪の名を呟いた。

 

「あ、あぁ…!! 良かっ―――」

 

簪が表情を変えた瞬間、「ぞぶり」と音を立て熾天使の胸から光の刃が生えた。

同時に飛び散った赤い液体が簪の顔に、ISに、化粧のように、ペイントのように色をつける。

 

熾天使の背後には零落白夜を放出した雪片弐型を握る一夏が居た。

雪片弐型を伝う赤い液体に白式が反応し、一夏へと情報を送る。

 

『解析完了ブラッドタイプ「B」

 記憶領域(ストレージ)より一致データを検索

 

 検索完了

 DNAデータ一致

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 籐ヶ崎 信一郎』

 

供給エネルギーが失われ雪片弐型がただの実体ブレードとなるのと同時、心臓の鼓動のように血を噴出す熾天使、信一郎を見た簪が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あぁ…!! いや、いやあああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――叫んだ。

 

その刃は確実に心臓のある場所を胸の中心を貫いている。生存を望むのは誰が見ても不可能だ。

簪がその両手で傷口を押さえ、必死で流れ落ちる血を止めようとするが指の隙間から滝のように夥しい量のドス黒く、鮮やかな赤が流れる。

 

『い、ちが……』

 

確かに信一郎の声が頭部装甲から漏れた。一夏はソレを聞き放心状態から引き戻される。

 

「あ、そんな…シン……? 嘘だろ…おい! おい!!」

『こご、までが…ゴポッ、ヒュー…おれの゛…や、ぐめ……』

 

頭部装甲の隙間から、命が流れ落ちて行く、喋る度赤い粒が飛ぶ。

 

『ここ、がらは……お゛ま、ゲホッ…えの……やく…め……』

「おまえ、そんな……どうして…!!」

「嫌! イヤぁ!!! 止まって! 止まってよぉ!!」

 

震えるように手を頭部装甲へと伸ばしゆっくりと外す。それを持ち続ける力は最早無い、海へと頭部装甲が落ち、その前に光の粒子となって消えた。

 

「これ…で、……いい…ガハッ!」

「嫌だ! いやだ、行かないで……しんいちろう、いかないでよ…!」

 

口と鼻から夥しい量の血を流し、目もどちらを見ているのか分からないほど虚ろだ。

頭部装甲を持っていた手をゆっくりと簪の頬へと添える。

簪の顔を自身の顔へと向け、力無く簪へと口付けをした。

 

「すまん、な……ファース…ごふっ…ト、キ…スが……血の、あ…じで」

「あ、あぁ……死なないで、しなないでぇ…!」

「キ、ヒャハ……なに、泣いで…んだ…かんざし、わらっ…でる、ほう、が……かわ、いい……じゃね、ぇか」

 

頬に添えた手の親指で簪の目元を拭う。

 

「かん………し……あい…し…て………」

 

簪の肩に頭を落とし、蚊の飛ぶようなか細い声で伝え、言い切る前に事切れた。

赤い装甲は消え、両腕両足を失い背に刀が突き刺さっている悲惨な姿となった信一郎を簪が抱きとめる。

 

「っふ…ぅぁ、あぁ…ああぁ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

突き刺さった刀をゆっくりと引き抜き、その動かず、物言わぬ亡骸となった体を掻き抱き泣き叫ぶ。

 

「俺の、俺の所為で……シン、そんな……」

「……なんで、シンが…!」

「あの、あの馬鹿……」

「………ッ」

「籐ヶ崎さん、どうして…」

「馬鹿者が…死ぬなど…!」

『モニターはしていた…………今、回収に向かう……待っててくれ……っ』

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「よく…やった、作戦は……成功だ……だが……」

 

旅館の作戦室、そこで赤黒く染まった布団の上にある肉塊に泣きながら縋りつく簪、その部屋にいる全員、誰一人として作戦の成功を喜ぶ者はいない。

誰一人として言葉を発さず、ただ沈黙していた、泣き続ける簪以外は。

 

千冬が信一郎だったものを見る。そこに一つ不自然な点があった。

 

千切れた右腕の傷がおかしいのだ、肩から脇腹にかけて抉られていた筈の傷が肩の根元から腕が無くなっただけの状態になっていた。

だがソレがどうしたというのか、もうそんな事は関係ない、なぜなら信一郎は既に死んでいるから。

 

沈黙が支配するこの場で一つ、声が響く。

 

「っだはぁっ!!」

 

その大きく息を吐き出すのと同時に声を出した人物、全員がその方向へと顔を向ける。

 

「死ぬかと思ったぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を見開きゼェゼェと息を荒げる籐ヶ崎信一郎へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……、あ……、あぁ……!」

「っふぅ、よぉ簪、元気か?」

「――――!!!」

「うぐぇ!」

 

信一郎が簪の抱擁で珍妙不可思議な声を出した。

 

―Third Person End―

 

「っだはぁっ!!」

 

急に意識が覚醒したと同時に途轍もなく胸が苦しく感じる。やっべ死ぬかもしれん。

思いっきり息を吐いて何とか呼吸を確保、ふぅ助かった。

 

「死ぬかと思ったぁ!!」

 

本当! いやいや助かってよかったよかった。

まだ苦しいかしもうしばらくゼェゼェしとこう、部屋を見回すとおやおや、どうしたのかしら皆さん。まるで信じられないものを見たような顔をして。

んぐ、胸が重い(物理的な意味で)何だ一体。

 

「あ……、あ……、あぁ……!」

 

あららん、簪ったらボロボロ涙なんか流しちゃって、笑ってる方が可愛いって言ったのに、んもう。

あ、いやいや、泣いてても十二分に可愛いけどね。

やっぱさ、笑ってる方がいいよね、愛する人はさ。

 

「っふぅ、よぉ簪、元気か?」

 

元気ならスマイルスマイル、ほーら、こっちだこっちぃ、見えてるー?

 

「――――!!!」

「うぐぇ!」

 

簪がすっげぇ言葉に出来ない声と共に俺の頭を抱きしめたでござるの巻。

うわぁ、顔面の前が柔らかいナリィ…簪のおっぱい柔らかいナリィ…

デカけりゃ良いってもんじゃないって事を肝に銘じておいてくださーい! 女性の敵ですよー!

あのね、対比的にすんげー巨乳の本音ちゃんと一緒にいるから小さいって思われがちだけどさ。そんな事ないんだよね、本音ちゃん普通にFオーバーだからさ、少なく見積もっても簪の胸ってDは確実にあるんだよ。

でね、その割と大きいマシュマロが俺の顔面を埋めてるのよね、しかも俺気づけば義手も外されてるし右腕も無くなっちまったしで抵抗できないんだよ、ついでに言うとさっきまで呼吸かなりキツかったから肺に空気全然入ってないんだよね。

 

「良かった…! 良かった…!! しんいちろぉ……!」

 

(ロシア国家)代表、見ているか! 貴様(自身)の望み通りだ! だがそれでも、勝った(うけている)のは(窒息しかけている)我々だ!!

あ、駄目だ、死ぬそう。愛する人のおっぱいで窒息死とか幸せすぎるだろ俺。

悔いはねぇ、楽しかったぜメルツェル……

 

「…ハッ! さ、更識さん落ち着いて! シンが窒息しかけてるよ?!」

「え、あ! いやあああああ!! 死なないでぇ!!」

「何か口から白い半透明な風船みたいなのが出てる?!」

「それきっと魂よ! 押し込んで押し込んで!!」

 

何か頭を押さえ込まれて何かに突っ込まれた気がする。

 

「もう、もう訳が分からん…だが。全員注目!」

 

んぐぉあ? おやちっふーじゃないか、相も変わらず不っ機嫌そうな顔してるなぁ。

 

「もう、何と言ったらいいのか分からんが…とりあえず任務終了だ。諸君のお陰で銀の福音も無力化し操縦者を保護する事も出来た。それに何より、全員が最終的には生きていた、これほど喜ばしい物は無い」

「ところで誰か俺の義手義足を取ってくれ、身体も起こせんから角度的にちっふーが見辛い」

「ん……どう……?」

 

簪が俺の後に座り俺の身体を持ち上げ膝で俺の身体を挟み込み腕で俺を抱きしめるようにして支える。

うむ、これでちっふーの顔がよく見える。

でもそれ以上にね、簪のおっぱいがね、後頭部に当たってね、おっぱい枕がね、すごいの。

 

(ロシア国家)代表、見ているか! 貴様(ry

俺もう達磨でいい(開き直り

 

「事後報告となるがよく聞け、籐ヶ崎。お前は作戦開始時より数えて2度死んでいる。正確には2度心臓が停止している。だが何故か今はこうして生きている、心当たりはあるか」

「ワタシハ、ナニカ、サレタヨウダ、ニンゲンデハ、ナクナッtいだっ!」

「真剣な話をしているんだ」

「あぁ、否。皆目見当付きませんな」

 

なんだろうね、本当。とりあえず分かった事はスキルレベルが上がって概念を創れるようになった事ぐらいかな、うむ。

あとその概念精製で俺の概念に「不死」が加わった事ぐらいしか分からない。

はいどう考えてもコレです。本当にありがとうございました。

どうしよう、神様レベルになっちゃったよ、いいんですかこれ。

 

「あ、簪。俺血だらけだけど触って大丈夫なのか、真っ赤に染まるぞ。いや、もう止まってるけど」

「大丈夫……、一緒に居れるなら……、なんだっていい……」

「いぇーい、見てるー? 俺達ラブラブー」

「殺すぞ」

「殴りますわよ」

「蹴るぞ」

「引っ叩くよ」

「え、えと…えと…つ、抓るわよ!」

 

はい鈴音の勝ちー。

コレがお前達の差だ、分かったかね。

 

「おい、いっちー。俺の義肢取っt……」

「ふん、ラブラブ? だからどうした、私は一夏とラブラブだ。お姉ちゃんの愛で一夏を染めるぞ」

「い、息っ! 息がっ!」

 

俺が簪にされていたことと同じ事をされている、お前はには腕が付いてるのに…

 

「う、ん……はい……」

「あぁ、簪。ありがとな」

 

簪が俺を支えたまま片手を伸ばして俺の左腕を取ってくれたらしい、ありがてぇ……

とりあえず芋虫の如くズルズル這って左腕を装着、よし、あとはテケテケみたいに這い回って脚を回収すればよかろう。

 

「ん、あれ…? おかしいな……よっ!」

 

何か駆動出力と反応がおかしいからグイっと地面に手をつけて身体を支え……れない!!

思ったとおり動かない! 不思議!

 

「マジかよ……動かん。こりゃ本格的に達磨かぁ…」

「じゃあ……わたしが……手伝ってあげる……ね?」

 

簪が俺を抱き上げて抱きしめる。勝手な事で欲を言えば服を着替えて身体を拭きたい。

いつまでも真っ赤でいるわけにも行くまいしなんか微妙に黒くなってパリパリして来てる。

 

「へーい、ちっふー。ACを一時的に展開する許可をくれー」

「許さん」

「あーい、ナインボール・オニキス」

「私の、私の、私の話を聞けー、5分だけでもいいー」

 

身体を赤い装甲が包み、手足が構成される。武器は展開していないから普通に戦闘能力は低い。それにパチモンだし。

身体を動かすとどうやら動くようだ、義手義足にエラーが発生しているだけかな、カラード本社に戻らなきゃ。

 

『……ターゲット確認……排除…開始』

「なっ?!」

『しなーい!!』

「なぁ?!」

 

凄く焦った顔をしたからふざけてみたらまた面白い事になった。

 

「ちっふー、手足だけ義肢の代わりで使うのを許してくれよーん」

「許さん」

「取り付く島もねぇ!」

 

仕方ない、簪に頼み込むか。

ACを解除して床にべちょりと落ちる、痛いけど我慢して動きながらうつ伏せになって頭を簪へと向ける。

そのまま額をゴリゴリ地面に擦り付けてお願いをするのだ。正に土下寝である。

 

「簪…本当に申し訳ないが介護をお願いしてもいいだろうか…この通りだ」

「喜んで……、だから……頭を上げて……」

 

それは出来ない相談だ、なぜなら頭を上げれないからな。

簪がひょいと俺を抱き上げる、おかしいな…俺義手義足抜いてもかなり重かったはずなんだけど…右腕ってそんなに俺のウェイトを占めてたの?

 

「織斑先生、信一郎のサポートの為にISを使わせていただきます」

「……なんか、もう籐ヶ崎が使わないならそれでいいかな……」

 

言う前に使ってた上にこの諦めムードである。

 

「じゃあ簪、早速で悪いんだが俺の部屋まで頼む。お前だけに伝えたい事もあるし」

「うん……、行こっか……」

「待て…更識、お前には他の専用機持ちと同様検査を受けて貰う。直ぐに戻って来い」

「じゃあ話はその後でな、俺は部屋で芋っとく」

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

という訳で部屋に放置されてます。簪の優しさで一々布団を敷いてくれてその上に寝かされているが。

本当に俺にはもったいないぐらいにいい娘だよ。誰にもやるつもりはもう無いが。

 

取り合えず社に連絡をしておこう。任務の事がバレてませんよーに。

 

『…………態々シン君の回線で連絡してくるなんていい度胸じゃない、何処の誰か知らないけどぶっ殺すわよ』

「……母さん?」

 

やだ何か俺が知らんほどマジギレてはる。ホンマ有り得へんって…

 

『うそ……シン君…? シン君なの……?!』

「うむ、せやけど……一体どうしたのさ」

『IBIS! IBISッ!! 攻撃を中断して!! 生きてた、生きてたの…シン君がぁ…!』

 

もしかして通信元座標にIBISの衛星レーザーぶっカマす気だったのかしら。

 

「あー、もしかして…俺が一時的に死んだの…知ってたり、する?」

『うん…っ、本当に、心配したんだから…!! 大丈夫? 怪我は無い…?!』

「えっと…完璧に達磨になった、これは大丈夫だけど、あと義肢の動きが悪くて思い通りに動かない」

『うぅ、やっぱり大怪我負ってたぁ…!』

「あーっと……この臨海学校が終わったら一回社に戻る事にする」

『大丈夫? 今すぐ来なくてもいいの? なんなら向かいに行かせるよ?』

「大丈夫大丈夫、とりあえず臨海学校が終わった時か身体に異常が発生した時連絡する」

『絶対、絶対だよ!』

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「信一郎……来たよ……?」

「来たかァ、簪ィ……」

 

予想外に動き辛くて10分ぐらいうにうにしてたけど1メートルも進みやしねぇ。

布団から這い出るのも一苦労だ。

 

「簪、割と奇妙な話なんだがな」

「うん……」

「どうやら俺は本格的に人間では無くなってしまったようだ」

「え……?」

「あー、いや……その、まぁアレだ、バケモノになっちまったんだよ」

 

とりあえず簪だけには暴露しておきたい、その後の事は…考えてねぇけど。

 

「生き返ったから……?」

「おかしいと思わないのか、心臓を貫かれたのに生きている理由が分からないのに」

「……っ」

「事実、その傷はもう塞がっているのに、なんかあいつらは「俺だから」って理由で納得しそうだけど」

「教えて……、私は……受け入れるから……」

「まぁ見て貰った方が早いな…」

 

布団から這い出て右肩を簪から見えるようにする。

右腕の感覚を鮮明に思い出しながら完成形を想像して創造する。

 

「これ……は……」

「っとぉ、あっれ? 全然疲れねぇな」

 

人体の大きな一部なんてクッソ複雑で馬鹿げた物を創ったのに全然疲労が無いとは之如何に。

 

「腕が……生えた……?」

「いや、正確には腕を創った、が正しい」

「す……」

「す?」

「凄い……っ!! アニメのヒーローみたい……!!」

「さ、さいですか…少し前までは有形の物であらゆる物を作れたけど今は有形無形に係わらずあらゆる物が――」

「覚醒だね……っ!! ピンチに陥って……!!」

 

お、おう……

あれ? 簪もう俺がバケモノとか一切気にしてなくね?

 

「あー、なぁ。俺はバケモノって罵られるの覚悟してたわけだが」

「そんなの言わないよ……、だって……私が好きなのは……人間もバケモノも関係無い……信一郎が……す、好きなんだから…」

「あぁ、そうか…そうか、スゲェ嬉しい…よっと」

「きゃ…んむっ……」

 

生身の右腕で簪の顔を引き寄せてちゅー。は、恥ずかしくなんて無いんだからねっ!

結構長い間ちゅーしてたけど恥ずかしくなんて!

あ、簪真っ赤になってる。かわいいなぁオイ。

 

「簪、もう一度言っておく。愛してる」

「うん……、私も……愛してる……!」

 

もう一度簪を引き寄せてキスをしようとしたら視線を感じる。

襖の方を見るとほんの少しだけ開いてて幾つかの目が縦に並んでこっちを見ている。

1、2、3、4、5……黒、蒼、翠、紫、赤、とまぁ分かりやすい事この上ない。

 

「ナズェミテルンディス!!」

「どっ、どっ…どこから……?!」

 

ヒョイと目が全て引っ込んだ後にゆっくりと襖が開いて5人が顔を出した、全員揃いも揃って顔を真っ赤にして。

 

「ちゅ、ちゅーしてりゅとこ……」

「だってだって、仕方が無いよ!」

「ちゅー、ちゅー…? ちゅーttttttttt」

「オイ、らうりーブッ壊れたぞ」

「は、破廉恥でしゅわ!!」

「せっしーはキャラが違うぞ、お前の担当はエロイな要因だ」

「私も一夏と私も一夏と私も一夏と…………」

 

あー、まぁアレだな。

 

「早いとこいっちー落とせよ、ガチでちっふーに持ってかれるぞ」

「そっ、そんな事よりっ! シン! 腕どうしたの!」

「あぁ、コレな。何か生えた」

『生えたぁ?!』

「まぁカラードだし」

『…あぁ』

 

「な? 簪」

「うん……」




以下後書き

主人公は3度死ぬ!!
一度目:腕ポーンによる失血死
二度目:心臓貫通
三度目:幸せ死(おっぱい窒息)

NGシーン的なサムシング

簪「信一郎は絶対に死なせないもん。どんな状態でも生きてもらうもん。
例え身体がまっぷたつに裂けても、指一本動かせなくなっちゃっても……
絶対に死なせないから安心して……?
それじゃ、本当に私のこと好きになって!
今の数十倍、数百倍好きになって!!
なれ!!好きになれ!!
私がいなくなったら寂しくて死んでしまうくらい、私のこと好きになれ!!
私は今まで信一郎に尽してきた!完璧なくらい、いい女を描いてきた!!
嫌われる要素は全部排除してきた!
私は完璧!私は嫌われる要素なんて、何も持ち合わせていない!!
おかしいのはテメェなんだよ!
テメェの精神がおかしいんだよ!異常なんだよ!!
この両腕で締め潰して、貴方のほとばしる血と肉を全身に浴びてもまだ物足りない!
それくらい信一郎が欲しいの!!
そうでなければ不安なの……寂しいの……!!
お願い!お願いだから……!!何でもするから!私に何してもいいから!!
だから嫌いにならないで!!
お願い!お願いだから……お願いします!お願いします!!
嫌だ!信一郎!!私から離れていかないで!
もっといい子になるから!もっと信一郎の好みの女になるから!!」
信「…………(ドロッた…)」



余談ですが今回及び前回のサブタイは2進数です。
前回が「order9(秩序の九)」
今回が「seraph9(セラフ9)」
となっております。
あとはそうですね、前回及び今回出てきた専用機持ちの魔改造武装・福音の再現兵器は元ネタがあるのとか色々。
まずはそれぞれの特種兵器が再現でどうなったか

シャルのキチガイSG→8門の狂化キチガイSG
一夏のクロー→肩に生えた腕
鈴の青龍刀→6枚の巨大な刃
箒の空裂→網状の空飛ぶ斬撃
ラウラのレルキャ→4門の余り役に立たなかった電撃を纏った銃撃
セシリアの物理レーザーライフル+箒の雨月→刺突と共に繰り出される物理衝撃を伴ったレーザー

続いて元ネタがある兵器

ラウラのレルキャ→ヘルシングのセラス・ヴィクトリアが使うハルコンネンⅡ
いっちーのクローの再現→とある魔術の禁書目録の右方のフィアンマが使う聖なる右
鈴のブレード再現→格闘ゲーム「BLAZBLUE」のΛ-11-、μ-12、ν-13

後は特に元ネタ無いです。

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