コジマ汚染レベルで脳が駄目な男のインフィニット・ストラトス   作:刃狐(旧アーマードこれ)

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今回長いです。約二万文字!
大学が終わったのでたっぷり書く時間に割けると思ったけどバイトがびっしりで駄目でした。
あとこの作品は基本的に主人公の主観ですので主人公が見ていないイベントは描写されませんし、主人公が話を聞いてなかったら飛ばされます。
かなり今更なんですが原作片手に読んでいただけるとそれはとっても嬉しいなって。
いえ、ただ特筆すべき事がこの作品にかかれていなければ凡そ原作通りなだけです。


あ、後感想をログインしなくても書けるようにしました。コメントを頂けるとそれはとっても(ry

以下本編


夏(なの)だ(ろうか?)!海だ!水没だと?!馬鹿な、コレが私の最後と言うか!
女将さんマジドミナントで実力を良く見ておくと水没王子……最高に危険だよ、お前は


「こちらアルファ-1 海、目視確認しました」

「了解、アルファ-1、こちらでも確認した。デルタ-3! 全部隊へ伝達! 目標を確認、直ちに最善の装備を!」

「こちらデルタ-3! 全部隊へ伝達! 目標を確認、目標まであと少しだ! 装備を直ちに整えろ。繰り返す、目標を確認、到着まであと僅かだ! 直ちに装備を整えろ!」

「チームブラボー、了解した」

「チームエコー、任せなさい!」

「チームチャーリー了解、おい聞こえたな! 今すぐ準備しろ、でなければ死ぬだけだ!」

 

「あはは~、皆テンション高いねぇ~」

「…うずうずそわそわ」

「ラウラ、飴舐める?」

「ん…う、うむ…」

 

冒頭のはテンション振り切りすぎてヤバくなった女子生徒のおふざけであり、決して裏で悪の組織がIS学園の臨海学園に合わせて何かしようと画策していたわけではない。

らうりーはらうりーで何か物申したかったのか混ざりたかったのか、うずうずしてサバゲー部の面々を見ていた。

そしてシャルりんが言外に「コラッ、あんなの見ちゃいけません!」とでも考えていたのか、らうりーに飴(ブドウ味)を渡して興味を他に向けさせようとする。

 

「ヘイ、シャルりん、随分と嬉しそうじゃねぇか。いっちーのプレゼントがそんなに気に入ったのか?」

「う、うわっ! びっくりした…うん、えへへ、すっごく嬉しい」

「そうか、シャルが満足してくれてるなら俺も良かったな」

「…………(カロコロ」

 

考え込みながらも飴をコロコロ舐めて、微妙に嬉しそうにしているらうりー超らぶりー。

 

「シャルりん、良かったら俺にも飴くれよ」

「うん、いいよ。はい」

「おぉ、サンキy…※サルミアッキだこれー?! え?! てかスゲェ! 袋入りのサルミアッキとか始めて見たぞ!」

 

※サルミアッキ フィンランド周辺ではポピュラーな飴であり、また「世界一不味い飴」とテレビ番組で紹介された事もある通称「黒い悪魔」

原材料にNH4Cl、要するに塩化アンモニウムが含まれており、味は強い塩味があり、またゴム味らしい、風味はアンモニウム臭が凄まじく薬草も含まれているため独特の苦味もある。

簡単に言えばマズイ、との事だ。

勘違いして欲しくないのはフィンランド周辺では美味しいと言われている。彼らの舌がおかしいのではなく感覚の違いである事を忘れないで頂きたい。

日本人にとっての納豆のような物だと思ってくれればありがたい。

 

などとウンチクを垂れているといつの間にかいっちーがらうりーに顔面を押し返されていた、何をしたんだいっちー。

 

「まぁいい………食うか」

 

袋の端っこを人差し指と親指で摘まみ、飴を押し出す感じで力を入れるとクラッカーみたいな音を出して袋が開く、一度お試しあれ。

ぐいと力を入れたらパンと音が鳴り袋が開いた事を俺に知らせる。と同時に力を入れすぎていたのか黒い飴ちゃんがフライハイしてバスを飛ぶ。

 

「向こうに着いたら泳ごうむっ! っぐ?!」

 

運悪く阿呆みたいに口をポカンと開けていたいっちー、ボール(サルミアッキ)を相手(いっちー)のゴール(口)へシュゥゥゥーッ!! 超! エキサイティン!!

 

「なっ、コレ…塩?! あっ、あぁ……マズイ……」

 

いっちーがズゥンと暗くなり頭を抱えて肩を落とす。

 

「どんな不味さ?」

「不味いけど吐き出してしまうような不味さじゃなくてこう、テンションが下がる不味さ」

「えー! 美味しいじゃん! サルミアッキ!」

「うるせぇフィンランド出身ゴーヤ口に捻じ込むぞ」

「マジ勘弁」

「まーさんあんに、ゴーヤー」

「ちょっと何言ってるか分からないですね」

 

等といいつつテンションダダ下がりのいっちーに未開封の濃ーいお茶、おい味を渡す。

それを受け取るや否や蓋を開け一本丸々飲み干す勢いで、てか飲み干して深呼吸をする。

 

「あ゛~、このスッゲェ苦さのお茶が最高、サンキューなシン」

「おぉ、無事で何よりだ」

 

「そろそろ目的地だ。全員席へと座れ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「説明する。ここが本日より3日間お世話になる花月荘だ。全員従業員の皆さんに迷惑を掛けないよう注意しろ。特に籐ヶ崎、お前だ」

「「「よろしくお願いしまーす!!」」」

「やんなっちゃうね、名指しってさ」

「あら、こちらの方々が噂の…?」

「はい、私の可愛い可愛い愛する弟と、一応男子生徒です」

「あら、嫌だわ。こんな美人捕まえてオカマだなんて、うっふ☆」

「シン! せめて声を作って! 壮絶に気持ち悪いよ!」

「うふふ、皆さん元気があってよろしいですね」

 

この女将さん…出来る!

 

「今年は男子生徒が混ざって浴場分けが面倒になってしまい申し訳ありません」

「いえいえ、いい子ではありませんか、しっかりしてそうな男の子とがっしりしてそうな男の子な感じを受けますよ」

「織斑一夏です。これから3日間よろしくお願いします」

「よーしよしよし! 流石は一夏だ! しっかりしてるぞ! 偉いな、大好き! 愛してる!」

「こちらホワイトグリント、ジョシュア・オブライエンだ、救援に向かう。持ち堪えてくれ」

「はい、籐ヶ崎信一郎さんですね」

 

女将さんドミナントなう。

 

「清洲(きよす) 景子(けいこ)です。こちらこそよろしくお願いしますね」

「この籐ヶ崎が迷惑を掛けるかもしれませんが、その時は私に言って下さい」

「うふふ、では皆さん、お部屋にどうぞ。海に行かれる場合は別館で着替えれるようになっていますので、そちらをご利用下さい。場所が分からなければいつでも従業員に訊いて下さいね」

 

すると皆揃ってわらわらと旅館へ入って行く、こんなに大量に突っ込んでったら詰まりそうなもんだが不思議とスルリと抜けて行く、全員アサシンなう。

 

「シンにー、おりむー、お部屋どこなの~? 一覧に書いて無かったからね~遊びに行けないの~」

「いっちーは何かしらあるんだろうが俺は全く分からないんだ、下手したら廊下の隅にシュラフ(寝袋)がボテンと置かれてるかも」

「だったら一緒に寝よ~? かんちゃんも同じ部屋だよ~」

「いや、駄目だろ。千冬姉が許さないって、のほほんさん」

「一夏の部屋はお姉ちゃんと相部屋だ、ふふ、嬉しいな。嬉しいなっ」

「ちっふー、俺の部屋は?」

「ん? 籐ヶ崎は個人部屋だ、お前なら女子が突入してくる事も無いだろう」

「へぇあ!」

 

妙な信頼を置かれている俺を置いてちっふーはいっちーを輸送して行く、置いて行かれた俺は仕方ないので部屋に行って無い荷物を置いて海に行こうと思うのだが…

俺自分の部屋知らねぇ…

 

「シンにー? どーしたの~?」

「うん、部屋の場所聞いてなかった」

「わぁ~、困ったねぇ~」

「困ったな~」

「あ、あの…籐ヶ崎君? こんな所でどうしたんですか?」

 

本音ちゃんと二人揃って声のした方向を見るとオドオドした様子で真耶たんがこっちを見ている。

仲間にしますか?

 YES

→NO

 

「先生は、わが一組の…好都合だ、質問をしようか! 俺の個人部屋は何処か?」

「え?! あ、す…直ぐそこです、けど」

 

指差す方向を見ると右斜めうしろの襖に張り紙がなされている「籐ヶ崎信一郎様」だと…

 

「あはは~シンにーったらうっかりさんだぁ~」

「んふーふ、これぞ灯台デモクラシーってな」

「あ、では私は織斑先生に用があるので失礼しますね」

「うぃ」

「…じゃあ俺は先に海行っとくかねぇ…」

「私もかんちゃんと後から行くねぇ~」

 

相も変わらずダボンダボンの袖を振り回してトテトテと駆けて行く本音ちゃん。こけたりしないかホント心配だ。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

…なんか地面にウサ耳生えてる…怖い。

怖いから誰も見ていないのを確認して能力で付近に量産しておこうと思います。

 

ばちーん ぽむ ばちーん ぽむ ばちーん ぽむ…………

 

「最終結果、調子に乗りすぎて40個以上生やした上に完全ランダムに配置してしまった」

 

うむ、と頷いて満足していると俺の超良い聴力がいっちーとかその他諸々の声を探知する。

俺が居ると俺がやったとバレるので早々に離脱。

離脱だ! 離脱する! 無理だぜこんなの、アンタもそうしろよ! そっちの方が絶対良いって!

 

 

更衣室で着替えなう。つってもただ服を脱ぐだけなんだけどな…

せっかくだから夏場にピッタリな服装でもしようか、しよう。

アロハシャツ着てサングラス掛けるだけ、手間要らず! ステキ!

でもアロハシャツもサングラスも持ってない! ムネン!

 

ところでいっちーはまだ来ないのだろうか、あのモッピーの姉に捉まっているのか、それともいっちーの姉に捕まっているのか。

もし後者ならいっちーのご冥福を祈るとしよう。

 

エイメン

A m e n...

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「シンにー!」

「信一郎の事だから……、はしゃぎ回ってると……思ったんだけど……」

「来たか、二人とも可愛いじゃないか」

 

木陰で座りながら水着の女子達と海を見ているといち早く俺の存在に気づいた本音ちゃんと簪が寄って来る。

目を向ければきぐるみを纏った本音ちゃんと普通ながらも簪の雰囲気に合った水着姿の簪。

暑くないのかと非常に心配ではあるが、暑そうな気配は本音ちゃん本人から微塵も感じられないし別にいいかな…

 

「でしょでしょ~」

「ありがと……、泳がないの……?」

「泳げないの、腕と足が重すぎるし浮力なんて一切得られないからな」

「そう……、でも何で木陰に……?」

「この炎天下で直射日光を受け続けると金属である俺の手足が凄まじい熱を持ちます。もし外したとしても接合部は義股、本体両方とも金属故に…」

 

簪が悲惨な物を見るように俺を見てくるので少し本気出す。一度やってみたい事があったんだ、人間って本気で走ったらどれだけ水の上を走れるんだろう!

 

「ちょっと走ってくる。簪、ドミナントである俺の実力、よく見ておくんだな!」

「え……、えぇ……?」

 

脚部リミット解除、PA発生装置よりPA発生、出力を調整…円錐形に発生、AC非視覚化起動、身体機能サポート…………全条件クリア

海までの距離、凡そ70メートル、予測海面到達速度…時速237k

 

クラウチングスタートの体勢になった時に視界の端っこで鈴音を肩車してるいっちーを発見、いっちーは相も変わらず無自覚ハーレムらしい。

とりあえずそれは置いといてさぁ走るぞ、走っちゃうぞ…3、2、1

 

視界が加速、中心点以外がただ色の付いた線になって視界を走り抜ける。

アレゴリー・マニュピレイト・システムから光が逆流する…! ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

視界がぐらりと変わった瞬間にPAを球状にして展開、球状の空間が発生し水面を物凄い勢いで転がり球状を維持したまま減速、水中へと落ちて行く。

ACの身体機能サポートで冷静な頭のまま直ぐにPA解除で流れ込んでくる海水から守り、呼吸を確保するために頭部パーツ「H07-CRICKET」を展開。

オープンチャネルを無駄にONにする。

その後PAが直接的なダメージを与える物ではないと認識した海水がゆっくりとPA内を侵して行くのを確認しながら。

 

「メインブースターがイカレただと! よりによって海上で…クッ、駄目だ、飛べん。…浸水だと! 馬鹿な、コレが私の最後と言うか! 認めん、認められるか…こんな事…!!」

 

と、ここでACのモードをステルスモードに変更、後は凡そ200メートルほどの距離、海底を歩いて陸へと移動する。

泳げはしないけど歩きは出来る、出来る事を出来ず普通出来ない事を出来るとは…

ぼりゅーむすりー、あるくようなはやさで。

再誕して君思フ声が歩くような速さでなんですね、わかります。

 

そろそろ水面から頭が出るのでゆっくりと上がって行く、まず視界に映った知り合いはいっちーにサンオイルを塗って貰っている驚愕の色に顔を染めたせっしー。

 

「?!」

「どうした? セシリ…あ?!」

「いちかーいちかぁー、構ってよー、寂しいと死んじゃうよー」

「り、鈴…何かあっちに…」

「? なにy…ひにゃあああああああああっ!! バケツからからだが生えてりゅぅぅぅぅぅぅ?!」

『全ては私のシナリオ通り…残るは肉膜による幕引きだ』

「いや、待て! あの腕と脚を良く見ろ…アレはシンだ!」

『ハメさせてくれ…』

 

陸に上がって一歩、また一歩と近付いて行くとそれに合わせていっちーも一歩、また一歩と離れて行く、段々と速度を上げて近付くと同じように後退。

 

『離脱…駄目だ、ヤらせてくれ…』

「くっ、来るなァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

いっちー全力疾走を追いかける。勿論俺は全力疾走ではない、疲れる人間と疲れの知らぬ機械の差によりその差は徐々に狭まってゆく、いっちーもうガン泣きでござる。

さぁ止めだ、クレイドルとは良く出来た体制だ、纏めてヤるには最適だ。ルパンダイヴでいざ飛び掛ろうとすると俺といっちーの間に割り込む人間。

その腕に紫に近い赤の装甲を纏った小柄な少女、大好きな人を守るため恐怖を前に立ちはだかるその涙目の少女の名は…

 

「り、鈴…?!」

「とぁりゃあああああああっ!!!」

『ごっ、がああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!』

 

ISを纏った拳がバケツヘッドこと俺の頭部に突き刺さり世界が一瞬停止したかと思えば直後ノーバウンドで十数メートル飛ぶ、その後砂浜をバウンドし、転がり、停止する。

 

『良い戦士だ 感傷だが、別の形で出会いたかったぞ…』

「シンにー、私とかんちゃんと一緒にビーチバレーしよぉ~」

「うーい、今行くよー!」

 

ヘッドパーツを解除して立ち上がり早足でその場を去る。うしろに注意を向けているとその後の会話が聞こえるのだ。

 

「り、鈴…助かった! 本当にありがとうな! 鈴…鈴?」

「ふ、ふにゃぁ…ふにゃあああああああん! こわかったよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「へぇ、警戒する相手はぁ…相手は1組の専用機持ちぃ、籐ヶ崎君とぉ、4組の専用機持ちのぉ、更識さんねぇ?」

「籐ヶ崎? あぁ、例の時代遅れね」

「侮らないで、1年最強のIS乗りと聞いているわ 潰すわよ」

「行くわよぉ、何にせよぉ…私達三人にぃ、バレーで勝てる者なんてぇ、あってはいけないわぁ」

「知っているわ、その為にバレー部に入ったのよ。始めましょう、私達のミッション(ゲーム)を」

 

やだ、何かあの三人殺る気満々なんですけど…ペッタン二つとダイナマイトが一つ。

 

「本音ちゃん、勝ちたい?」

「勝ちた~い」

「簪は?」

「どっちでも……」

「OK、勝つぞ。許しは請わん、恨めよ…!」

 

腰を深く下ろして戦闘の構えを取る、尤も…実際の得意な対人格闘技はシステマなので構えは無いのだけれどね。

審判役の谷本さんに目配せして早く始めてくれと合図。

 

「な、なんで私が審判なんだろう…ごほん! じゃあルールは私がやった時と同じでいいかな、変則だけど1チーム3人、ビーチバレーじゃなくてバレーのルール基準、サーブは…布仏さんチームでいい?」

「別にOKよぉ?」

「わぁ~い、じゃぁシンにーお願いねぇ~」

 

渡されたボールを持ってサーブする場所へ移動、右腕でボールを持って上にかなりの力を込めて投げるッ!

 

「なっ?! あんなに高く飛ばして何をするつもり?!」

「こうするつもり…だッ!!」

 

垂直に思いっきり飛ぶその高さ、10メートル。ボールが丁度いい位置に来たら左腕を後ろに引き手を開く。

斜め下、かなり際どい位置に狙いを定め掌をボールに叩きつけ、接触した瞬間に左腕部に搭載されたドーザーシステム(faのドーザーは攻撃の瞬間鉄塊をパイルのように前方に押し出している…ように見える)により威力増強、ついでにボールが割れないように接触感覚は変わらず、強度のみを超増加させる。

 

その威力は…

 

ヒュドォッ!!

 

…砲弾に匹敵する。

 

「~♪ 我ながらクレイジーじゃねぇか、んふーふ」

「シンにーカッコイイ~」

「ばっ……馬鹿な…!!」

「コレはもうバレーじゃないわねぇ……」

「信一郎……駄目……、当たったら死ぬ……」

「ごめん…もうサーブもスパイクもしない…」

 

しょんぼり、でもまぁ俺の身体って血の通った生身以外はそのまんま対人兵器だし、仕方なくはあるんだけど…

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「はい、3対9。ねぇ、そろそろ私行っていい? 流石に長すぎると思うんだけど」

「勝ってる…勝ってるが…」

「相手のサーブミスとかぁ、そういうのよねぇ…直接決めた点数は一点も無いってぇ、どう言う事ぉ?」

「クソが…私の所為かよ…!」

 

駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だッ!!!!

 

「もう無理だぁッ!!! 熱い! あづいィッ!!! 焼ける! 灼けるッ!! 肩がッ! 脚がぁッ!!」

 

水、水はどこだ?! ある! あるぞ、大量の水! 燃える、燃えてしまう…ファンタズm…ふざけてる場合じゃねぇ!

 

「ふぎゃっほぉぉぉぁぁああああああ!!!!」

「籐ヶ崎が頭から海にダイブしたぞ?!」

 

あ゛~、水冷てぇ……流石は母なる海だ、あれ? 母なる大地? もう母なる地球で良いや、気持ちいな、素晴らしい…でもアレだ、浮かない。あと息を止めれるのは1分ほどかな?

どうしようもないので先日搭載し、先ほどのバレーでも使用していたブースターで海面に顔を出し、陸へと移動して行く。泳ぐのではない、移動するのだ。

 

「ただいま、アレ? バレー前と比べて人少なくねぇ?」

「お昼ご飯じゃないかな……?」

「シンにー行く~?」

「もうちょい冷やして行く、少なくともあと20度は冷やしたい」

 

食事は魅力的だけどさ、多分義股の温度60度越えてたと思うんだよね、特に腕。

ブースターをバンバン噴かしてたからその分温度が上がって…しかも肩だから接合部が物凄く熱くなって直ぐにでもパージしたい。

冷えてもある一定の温度以下にならないようにはしてるんだけど上限温度が無いのは失敗だった、今夜にでも変化させるとしよう。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「美味い美味い、刺身好きだな。昼も夜も出るなんて豪勢だよホント」

「そうだね。IS学園って羽振りがいいよね」

「んふーふ、個人的には鮭が好きだな、俺」

 

浴衣を着て4人並びながら夕食を頬張っている。

左端からせっしー、いっちー、シャルりん、俺の順番。ちなみにせっしーは今にも死ぬんじゃないかと思うぐらい鬼気迫った表情で座って虚ろな目で料理を凝視。

いっちーがウンチクをシャルりんに披露している間に俺はモリモリと食事をしている。

 

「ッ~~~~~~~~~~~!!!」

 

_人人人人_

>突然の刃牙<

 ̄^Y^Y^Y^Y ̄

 

「だ、大丈夫…か?」

「ら、らいひょうぶ……」

 

ここでおもむろに※鮫の表皮と和歌山県出身静岡県産山葵(ワサビ)を取り出しモリモリ摩り下ろす。

小皿の上に落としお吸い物の蓋を裏返し高台みたいになってる所で蓋をして3~4分放置。

これを、シャルりんに、食べさせてあげたいと、思います。(ゲス顔

 

「風味があって……美味しい……よ?」

 

まぁその為に数分待たなきゃ駄目なんだけどね、どんな反応をするか実に楽しみだ。今日も人の不幸で飯が美味い!

 

※鮫の表皮(鮫肌)

鮫の表皮は目の粗さが山葵を摩り下ろすのに非常に適しており金属製のおろし金に比べ辛味や風味といった物がとても強くなる。

なお、山葵の辛味は揮発性が高いので時間が経てば立つほど辛さが無くなる。しかし山葵が尤も美味(辛味が強い)とされるのは3~4分経った時でその為御猪口で蓋をするといいと昔から言われている。

 

丁度食事を終えたところでシャルりんが鼻を押さえてプルプルしている。

 

「シャルりん、山葵の辛さって言うのは揮発性が高いし水で流せば直ぐに収まるぞ」

「んぐっ、んくっ……ふはぁ…ありがと、シン。助かったよ」

 

あ~あ~、水全部飲み干しちゃってからに…

もし不慮の事故でシャルりんの口に凄まじく辛い山葵がシュゥーッされたらどうするんだ(ゲス顔

 

「俺にサルミアッキを食べさせようとした貴女に是非とも神の慈悲を」

 

小皿を持ち舌を出してまだ辛味の余韻が少し残っているのかハァハァしているシャルりんに山葵をシュゥーッ!!! 超! エキサイティン!

 

「ほぁぁぁぁぁ?!」

「シャ、シャル?!」

 

直ぐにテーブルの上に置かれているピッチャー内の水を凄まじい速度で自分のコップに入れ全て飲み干し両手を合わせる。

 

「ふぃ~! 美味かった! ご馳走様でした!」

「き、きひくっ(鬼畜)! どげどう! ばかぁ!」

 

結果(罵倒)は見えていたが …なるほど。急がねばならんな。

 

この後義股の材質を変えた後簪と本音ちゃんが俺の部屋に乱入。

ババ抜きをして消灯時間前に二人とも部屋に戻り一日を終了した。

順位は常に変わらず。1位簪2位本音ちゃん3位俺であった。

いやね? 簪は普通にプレイしてたんだけど本音ちゃんがね? 凄くポーカーフェイス出来ないのよ、最後の二択で俺がジョーカーじゃない方を取ろうとしたら凄く慌てるんだよね。

 

「ぁぅぁぅ~だめ~、だめだよぉ~」

 

それも涙目にさえなるから、取れないじゃん? んでジョーカー取ろうとしたら花開く笑顔になるじゃん? 仕方ないんだよ、結果は見えていたんだよ。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「あれ? あの馬鹿でかい揚陸艇にそのまま丸々フルスキンのIS一つ乗ってない?」

「ホントだ、どの専用機持ちの人だろう」

「四脚だしカラードじゃないかしら」

「各自専用機持ちは自所属の揚陸艇に搭載された試験装備のチェックを行え」

 

ちっふーがそう言うとカラードの揚陸艇に搭載されたACがこちらに移動してくる。

 

「う、動いた!」

「人が入ってたの?」

『信一郎様、護衛の任を達成いたしました』

「籐ヶ崎! 部外者の参加は不許可だ! 聞いてなかったのか?」

 

そう、何を隠そうこのACが我がカラードの防衛主戦力であるACだ、機体名は分かる人だけ分かってくれるといいだろう。

 

「IBIS、ありがとうございます。いやいや、人ではないので問題はありません」

「何を言っているんだ、籐ヶ崎。説明しろ」

「IBIS、少しコアを開いてください」

『はい、了解いたしました。コア、オープン』

 

ガシャン、プシューと音を出しコアが解放され、内部の機械が晒される。

 

「中身がない…?!」

「無人機…!」

「あぁ、勘違いして欲しくないのは前IS学園に突っ込んできたアレ、アレはうちのじゃない」

『もうよろしいですね。では信一郎様、私は社に戻ります。例の件、楽しみにしていますね』

 

はいよーと手を振りながらVOBを展開し、ステルスモードで去って行くIBISを眺め振り向く。

すると皆が皆変わった表情をして俺を見ているじゃないか、何だ何だよなんですかァ?

 

「公式だとまだどこの国もISの無人機化に成功していないのに…それを発表もせずにカラードがいつの間にか完成させていただなんて…」

「と、籐ヶ崎! ドイツと契約しないか?!」

「凄く打算的!」

 

らうりーが詰め寄ってきたので頭を一撫でしてカラードの試作パーツに手を出し始める。

とりあえずは元々頼んでいた出力増強したVOBだな、ただ使うだけならインストールは不要です。

ただの後付装備で使うだけならカラード製のACでネクストタイプならどれでも使用可能、ISだとメモリの問題でインストールに時間が掛かるけどそこはカラード製、アクアビットやらMSACやらキサラギやらムラクモやら突出した特化部署のおかげでインストールは7.38秒で終了。

 

後はこの調子でカテゴリー別に入れて入れて入れまくって…

 

「籐ヶ崎、まだインストールするなチェックだけだ」

「うっす」

 

やっべぇぇぇぇ! もうVOB入れちまったよォォォォォ!!! ま、待て! ノーカウントだ! ノーカウント! なぁ、分かるだろ? 同じリンクスじゃないか!

 

「それと篠ノ之、お前は今日から専用…」

「ちーちゃぁぁぁん!! ちーちゃん! ちーちゃん! ちぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁぁん!」

「……チッ」

 

来たか、首輪付きィ…

なるほど、じゃあマッチポンプ来るかな? 多分作戦に入り込めるし、そしたらその為に色々吟味しないと駄目かな、とりあえずEN対策でアルギュロスかテルス、空中高速機動が主だからテルスになるのかな、もしくは防御捨ててソブレロか。

武器は実弾でもENでも大丈夫だろう、敵はそういう区別ないし。

あーでも待てよ、いっちーが落ちないとモッピーもいっちーも成長しないし、でも指咥えて見てたら何か言われそうだよなぁ。

あー困った、実に困った。

 

「あ、あの…」

「いかん! そいつには手を出すな!」

「なっ、何をするのですか籐ヶ崎さん?!」

「コミュ障こじらせて人格がぶっ壊れてる。昔の俺のようにな…」

 

生前中学生の時の俺のようにな…厨二病がヤバイ級で色々な物が併発してそれはもう目を背けたくなる程人格破綻してた。

 

「あ、じゃあじゃあ女の子の姿になれるってのはどうかな! もちろんいっくんが!!」

「いいです、それできる奴はもう間に合ってるんで」

 

格納していたデカイ布で全身を覆って例のアレをする。今回は水着仕様だ、露出が大きい上下が紐みたいなので繋がっている黒いせくすぃーなやつ。

布を放り投げてフフンと自分のわがままボディーを生徒達に見せ付ける。

 

「あ、あ、あ、あれ……し……、信一ろ……う……?」

「はーい、簪ちゃんの事が大好きな籐ヶ崎さんです」

「キマシ! キマシ!!」

「IS学園をなぁ…男に飢えた女ばかりだと思っちゃァ行けないわ。アタシみたいな百合スキーだってたぁーっくさん、いるのよ?」

 

うん、そうだろうなぁとは思ってた。もしかしたらその為に入学した生徒もいるのではないだろうか、探せばいそうで何か嫌だ。

簪が目を白黒させて俺を見るので再度布で全身を隠して元に戻る。

 

「これぞ変装の極意也」

「変装って言葉が……、分からなくなる……」

 

ちらりとモッピーを見るとどうだ、いつの間にやら紅椿(あかつばき)を纏っていたらしい、やっべ見てなかった。

まぁどうせIBISが衛星軌道上からモニターしてるだろうし大丈夫だろ、さってさって…ISでは現状最強の性能…最強の名に相応しい性能か否か、見せてもらうぞ。

 

「…んも兼ねて飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ」

「ええ、では試してみます…」

 

ハンガーから紅椿がパージされるや否や上空へと飛翔する、砂埃は凄いが音速の壁を割った音がしなかった、ACと違ってISはPAが無いため音速を破る時の音は聞こえるはず。

 

「…追加ブースター付けたネクストAC…ソブレロ、サラフの方が早いかな? いや、アリーヤとライールもか…なんだ、割と余裕」

 

あとENも残念仕様なんだったっけ、ブースト燃費がいいのか知らん?

ちなみに件の束さん、恐れ多くてあだ名などつけれん、黙ってりゃ美人。なんかいたな、そう言うの…バイオレットさんだったか。

件の束さんだが最初の飛んで見せて云々からは完全に無言、プライベートチャネルを使ってるんだろう、故に周りから見ればニコニコ笑顔でいっちーとモッピーを見てるだけ。

 

何かモッピーが突きを放ったらオービットみたいなのがぽつぽつ出現して飛んで行く、速度はかなり速い、見てから回避はきついかな、確かスナイパーライフルの距離には届かないんだっけか。

アンビエントで引き撃ちですね分かります。アンビエントってかBFF機で引き撃ちだな、対策対策っと。

 

次はどこから出したのかミサイルポッドをドンと出現させミサイルを放つ。

 

「箒!」

「やれる…! この紅椿なら!」

 

あ、駄目だわ…完全に酔っちゃってるわ。車の免許とって1週間以内に大小係わらず事故起こすタイプだわ。

落ちないようにサポートすっかなぁ…今日も一日頑張ろう!

 

てか紅椿ホント派手だな、何つーか華やか。無骨に相手を破壊、殺害する為に洗練されてきた軍用兵器と全然違う、やっぱまだ時間が薄いからかなぁ。

 

「たっ! たた、大変! 大変です! お、おお…織斑先生ぃ!」

「乱入してくるとは、とんでもない奴だ」

「ふっ! ふざけている場合じゃないんです! 籐ヶ崎君!」

「織斑先生! これを!」

「特務任務レベルA、現時点より対策を始めよ…面妖な」

 

はぁ、来たかぁ…来ちまったかぁ…面倒だな、だがまぁ頑張るか。一に根性二に根性、三四が無くても五に根性だ。

 

「専用機持ちは?」

「全員参加しています…!」

 

一度二人がチラリと俺等の方を見る、その後ハンドシグナルでやり取りを始めた。

 

「らうりーは分かるだろう」

「…あぁ、なるほど…まずい事になったな」

「普通の手話と混ぜてるな、後は多少違えど軍用ハンドシグナルと同じか」

「手話のほうは分かるか?」

「全然、ハンドシグナルしか分からん」

「私もだ」

 

分かったのは何時、何が、何処で、どうなって、どうしている。コレだけ分かれば十分ではある。

 

「そ、それでは私は他の先生へ連絡を!」

「了解。……全員、注目! 現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと移る、今日の授業及びテスト稼動は中止だ。各班はISを片付けて旅館へ戻れ。連絡があるまで何があっても室内待機だ、許可無く室外に出た場合は身柄を拘束する! わかったな!!」

 

「「「は、はいっ!!」」」

 

指示通り自分の班のISに接続されていたテスト装備を外し、システム終了させバイク以上の重さのあるISを機器を使わずカートに乗せる。

 

「専用機持ちは集合だ、一夏、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、更識……それと篠ノ之、お前もだ」

「はい!」

「あいよォ」

 

なんだ、返事をしたのはモッピー以外では俺だけか?

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「作戦を説明する。依頼主は学園上層部、恐らく国際IS委員会、特にアメリカのだろう。目標はハワイ沖で試験稼動中制御下を離れ暴走状態に入った『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』だ。こいつはアメリカ……あとイ…イー…イタリア…違うな、何かもっと凄惨としたイメージのある国だ。イア…イカ…イサ……そうだ! イスラエルだ!」

「またカラードか…黙っていろ籐ヶ崎」

「了解」

「アメリカ、イスラエルで共同開発された軍用第三世代機、銀の福音が籐ヶ崎の言った通り制御化を離れ、監視空域を離脱したと連絡が来た」

「専用機持ちが撃破しろと?」

「……そうだ、衛星での追跡及びその結果予測から約50分後にここから二キロ先を通過する。それに対処しろとの命令だ」

 

無茶がありすぎる。やりすぎたんだよ、もう少し小人の妬心を知るべきだったな。

関係ないですか、ないですね、ごめんなさい!

 

「教員は訓練機を使用し空域・海域の封鎖を行う。迎撃は専用機持ちに担当させる。との事だ、忌々しい…! …では作戦会議を始める。意見のある者は挙手するように」

「はい、目標の詳しいスペックデータを要求します」

「いいだろう。ただしこれらは最重要軍事機密だ。漏洩した場合今作戦に参加した全員に対し査問委員会による裁判と最低でも2年の監視がつけられる。いいな」

「了解いたしました」

 

なるほど、こんなもんか。量産型ACと同じ程度のスペック、幾つかはACの方が大きく上回ってるな、最高速度とか。

 

「偵察は行えないのですか?」

「無理だな。この機体は今も超音速飛行を続けている。アプローチも精々一回が限度だろう」

「衛星を使えばいいだろうに」

「この速度を的確に捉えられる衛星などあるわけが無いだろう籐ヶ崎」

「そうだよ……そんなのある訳……」

「えっ?」

「「「「「えっ」」」」」

 

無いの? うちのIBISで捕らえられるんだけど、てか捕らえてるんだけど。

空間投影ディスプレイを眼前に出し現在航行中の銀の福音を映す。

 

「うそ…だよね…シン」

「どっ、どちらにせよアプローチは1回だ」

「そうですわ、ならば一撃必殺の攻撃力を持つISでないと…」

 

簪は俺の方を見てそれ以外はいっちーを見る。仕方ないな、ちょっと嫌だけど聞いてみるか。

 

「織斑先生、質問が」

「言ってみろ。籐ヶ崎」

「遠距離より銀の福音を落とす術を俺は持っています」

「まさか…」

「アメリカに聞いてください、ISもコアも操縦者も消える、死ぬが止める方法がある。と」

「分かった」

「正気かよシン! お前それって、殺すって事か?!」

「静かにしろ若造(いっちー)、こいつは訓練じゃない、実戦だ。甘い考えで取り掛かるとこっちのうち誰かが最悪死ぬ事になる」

「…そうだぞ、一夏…軍人である私も同意見だ…甘い事は言えないんだ」

 

戦争ってのはそう言うもんだ、こちらがどれだけの戦力を持っていようと、たとえゲリラ歩兵50に対し戦車50両の戦力差でも必ず両方とも死人が出る。戦争ってのは殺し合いなんだから。

 

「それにいっちーが考えるより最悪の返答が帰ってくるだろうな」

「アメリカから連絡が帰ってきた「操縦者は代わりがあるがコアとISは代わりが無い、操縦者は死んでも構わないがコアとISの被害は最小限でお願いしたい」だそうだ」

「な?」

「何だよそれ…なんなんだよそれ…!!」

「て事はOW狙撃は不可か、となると…条件に当てはまるのはいっちーしかないかなぁ」

 

俺も簪も含めもう一度いっちーを見る、その顔は困惑と覚悟の混ざった表情、まぁ一般人がいきなり戦場に出ろと言われたようなもんだからな、仕方あるまい。

 

「一夏、これは訓練じゃないんだ。もし覚悟が無いなら無理強いはしない」

「ッ……! やる…やるよ、千冬姉。俺がやってみせる」

 

するとちっふーがいっちーを一撫でして全員に向き合い真剣な顔をする。

 

「現在この中で一番最高速度が速いのは誰だ?」

「それならわたくしのブルー・ティアーズかと」

「俺のACもかなりの早さだと思うが」

「参考までに聞いておこう、籐ヶ崎。最高速度は」

「瞬間最高速度なら時速9000キロを越える」

「オルコットは」

「さ、流石にそこまで馬鹿げた速度は出ませんわ…」

「分かった、籐ヶ崎。平均巡航速度は」

「速度を重視させるなら平均4000キロ、安定させるなら2500~3000キロ」

 

前者はブレード加速、後者はVOBだ、クイックブーストを織り交ぜればもう少し速度は出るがそうすれば安定性がガクンと落ちる。

 

「超音速下での戦闘訓練時間は」

「訓練100時間以上、実戦32時間」

「これ以上無い適任か、ならば一夏の移送手段は籐ヶ崎が…」

「うぇいと! うぇぇぇぇいと!! ちょっと待って! ぷれいばっ! ぷれいばっ! この作戦待ったなんだよっ!」

「上から来るぞっ! 気をつけろ!」

「とぅあっ☆」

 

天井からクルンスタン、と無駄に一回転して着地した束さん、あの低い天井からこの地面で一回転するってどれだけ身体スペック高いんだろう、着地した時にたゆんと揺れる胸が実に眼福である。

 

「ちーちゃんちーちゃん! ここは断ッ然! 紅椿の出番だよっ☆」

「何を言っている?」

「こんな何処ぞの変態企業なんかよりも凄いんだよ! パッケージなんか不要! それでこのスペックデータだもん! すっごーい!」

 

トーラス・アクアビット・アスピナ・キサラギ・ムラクモ・OW開発部「最高の褒め言葉です」

 

「紅椿の展開装甲を調整してーほーいほいのホホイホイッと! ほら、コレでスピードはばっちりだよっ♪」

 

いっちーが小難しい顔をしていると俺の出していた投影ディスプレイ以外が乗っ取られて紅椿のスペックデータが赤裸々に大公開されている。

 

「…あれ? まいっか。じゃあいっくんの為に説明しちゃいましょうっ! 展開装甲って言うのはこのわたくし! 天才でぷりちーな束さんが作った第4世代型ISの装備なんだよ!」

 

あ、そうなんだー、で? それが何か問題? 俺からしてみればISでそれをやるのはエネルギーの無駄遣いにしか見えん、だってジェネレーターが無いんだよ?!

考えてみて! コジマ粒子の充満した空間だとAPが減少して行くけどそれの上にENもゴリゴリ勝手に削れて行くんだよ!

 

「……で、第4世代というのが『パッケージ換装を必要としない万能機』という、現在世界中で机上の空論のもの。いっくん理解できたかなー? 先生は優秀な生徒が大好きです!」

 

なんだ、そういやそうだったか。ACのコンセプトと一緒じゃん、でもイメージインターフェイスってのが俺のACには搭載されてないから第4世代ってか第2世代最終型って言ったほうが正しいのかな?

話を真剣に聞いている振りをしながら軽く脳を睡眠状態に移行する。何か割と暇なんだよね。

お休み!

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「籐ヶ崎、パッケージはインストール済みか?」

「んあ、あぁいえ」

「そうか…なら…」

「あー、いや、正確に言うとインストール不要。ACのコンセプトは何時いかなる時でも状況にあわせ常に敵より有利に戦闘行動を行う。なので、展開装甲ではないがある意味第4世代機みたいなもの。いつでも出れます」

「…そうか、ならば籐ヶ崎も作戦に加われ。お前にも言うがこれは実戦だ、覚悟が無いなら辞退して構わない」

「覚悟が無い? まさか、俺は世界最大の軍事企業カラードの人間。こと戦闘から逃げるなんてあるわけがないでしょう」

「そうか、ならば出撃準備をしろ。怠るなよ、お前の役割は一夏が仕留めそこなった時の戦闘援護だ」

「了解」

 

なんか束さんがすっげぇ目つきでこっち見てるんですけど、モッピーみたいな目つきなんですけど、流石姉妹やね。

 

「…何なんだよ、お前は…おかしいんだよ、異常なんだよ…不穏分子(イレギュラー)」

「やっだ、マジかよ、予想外に嫌われてるぞ俺。やっぱあの無人機を一撃で木っ端微塵に消し飛ばしたのがマズかったかなぁ」

「黙れよ、茶番はもう終わりだよ…退場してもらう、イレギュラー。天才の束さんに掛かれば軍事基地の侵入なんてちょちょいのちょいだよ」

 

やぁん怖い。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

俺、いっちー、モッピーと三人並んで立ち海を見る。夕焼けが欲しい、もしくは朝焼け。

 

「来い、白式」

「行くぞ、紅椿」

「チェンジ、アーマードコア、フラジール…VOB展開」

「…シンのISの何処に身体が入ってるんだよ」

「量子変換だ、速度に特化させた結果だ」

「怖ぇ…」

 

身体の調子を確かめるようにリンクス☆ステップをする。どうやら問題は無さそうだ。

 

『…信一郎……、聞こえる……?』

『あぁ、問題ないぞ簪』

『嫌な予感がする……絶対に……帰ってきてね……』

『あぁ』

 

「…っているさ。ふふ、どうした? 怖いのか?」

「モッピー」

「なんだ、籐ヶ崎。私に任せろ、心配は要らない、私と一夏で十分だ。楽をさせてやる」

「前に言った事思えてるか? 酔うな」

「ふん、酔ってなどいない。実に好調だ」

「なるほど…何をしに現れた? ここはお前のようなただのIS乗りが来るべき場所ではない。軍用機である私が、私が成すべき事なのだ」

「なに?」

「ふん、言っても無駄…か。心しておけ、その調子だと俺か、いっちーか、モッピーか、誰かが死ぬぞ」

「下らない、この性能だ、あるわけが無いだろう。それとも、籐ヶ崎のISだと、と言うことか? 気は進まんが守ってやるさ、ふふん」

 

あ、これアカン奴や。

 

「行けるか、シン」

「はい、そのつもりです」

『一夏、篠ノ之、籐ヶ崎、聞こえるか』

「音声良好」

『今作戦は一撃必殺だ。短時間での決着を心がけろ。もし一撃で終わらなかった時の為に籐ヶ崎がいるが、出番が無いことを祈る』

「了解」

 

俺は高度を上げてからじゃなくて移動しつつ高度を上げていけばいいだろう、VOB背負ったままで垂直に飛びたくなんてないし。

 

『では、作戦開始!』

 

ブースターコア部1~8まで接続、エネルギー共有、ブースター点火、出力3番4番5番70%、他秒間20%出力増加

機体安定、速度760キロ、全VOBブースター出力全開、脚部ブースター安定

速度2000キロ、脚部ブースター停止、出力調整。

 

『カメラ性能が低い、視認及びタイミング調整はそちらで頼む。願わくば俺はただ飛んで帰るだけにしたい物だな』

『あぁ、分かった』

『…見えたぞ!』

『早いな、所詮は2キロか』

『加速するぞ、接触まで十秒!』

 

脚部ブースター機動、速度2500キロ

 

「VOB格納! ホワイトグリント!」

 

ターゲットを大きく通り過ぎ直ぐにクイックターンで反転、OBを使用し二人の元へと戻る。

 

「敵機確認。迎撃モードへ移行。『銀の鐘(シルバー・ベル)』、稼動開始」

 

やっぱ仕留められなかったか、あとは二人を援護だな。ところでいっちーって何で落ちたんだっけか…覚えてないな。

 

「箒! シン! 援護を!」

「任せろ!」

「油断するなよ!」

 

そう言うや否やヒラヒラと舞うようにいっちーの攻撃を避ける銀の福音をロックしたまま左へクイックブーストを行い射線にいっちーが入らない位置へ飛び援護射撃を開始する。

殺すことが目的ではないため競技用の弾丸を使っている。それに合わせ防御力も競技用に制限されてしまっているのだが。

 

どうやら俺の攻撃を避けることよりいっちーの攻撃を避けることを優先したらしく比較的ヒットは取れているらしい。

いっちーが焦っているのか大降りの攻撃を繰り出しそれを回避した福音が頭部スラスター、つまり砲口をいっちーへと向ける。

そうはいかん、両手のライフルで頭部スラスターを撃ち、グリントミサイルを放つ。

 

見事にヒットした弾丸が砲口の向きを少し反らし、続いてパルマシよろしく連続して放たれるエネルギー弾が一発だけいっちーに直撃。

銀の福音が迫る分裂ミサイルに銀の鐘を乱射し一発また一発と次々に撃墜して行く、どうやらミサイルは通じなさそうだ。

 

「すまん、完全に反らすことは出来んかった」

「あぁ、でも助かった。箒! 左右から同時に行く、左は頼んだ! シンは随時援護を!」

「了解だ!」

「チマチマ削りしかできんがな! 決めるのはいっちーだぞ!」

 

俺は射撃援護をしつつ牽制用にミサイルを放ち、二人の攻撃後の隙を突かせない様立ち回る、どうもこういうのは苦手だがグリントミサイルが聞かない以上ちまちまダメージを与えるしかない。

 

「このっ!」

 

モッピーも大振りの攻撃を躊躇無く出すようになってきた、その大きな隙を潰しきるのは流石に無理だ。

直ぐにクイックブーストで飛びモッピーの前に立ちはだかりACで直接盾になる。

PAやPAをぶち抜いて装甲に突き刺さった弾丸が一度に炸裂する。こいつは痛い、爆発でPA減衰率も高いし直接ダメージも高い。

 

「っぐ…」

「邪魔だ! 籐ヶ崎!」

 

俺を押しのけ我武者羅に攻撃を続けるが尽く回避されダメージらしいダメージは入っていない、射撃援護を続けているとまたも大振りの攻撃をかわされ光弾の一斉射撃に晒されそうになる。

再度同じように防御する。

 

「っふ…!! 冷静になれ、我武者羅に剣を振るだけでは…」

「分かっている! 私の前に出るな! 一夏! 私が隙を作る!!」

 

モッピーが前に出てレーザーだとか光波だとかを連続して放ち、俺も前に出るのは得策ではないと判断して後ろに大きく下がりミサイルと弾丸で援護する。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

「La………♪」

 

詩と共に砲口をあらゆる向きに構え一斉に放ち始める、細かい動きが難しいACにとってこの位置は少し危ない、後ろに引くことにした。

 

「俺は後ろに引くぞ!」

「やるなっ…! だが、押し切るぞ!!」

 

一斉射撃を掻い潜って一太刀浴びせる、一瞬動きが止まり漸く、漸く大きな隙が銀の福音に出来た。今がチャンス、否、今しかあるまい!

いっちーがこの隙を見逃すはずが無いと意識をいっちーに向けると何があったのか、一発の光弾を凄まじい速度で追い、弾丸を消した。

何やってるんだ、お前…何でそんなところに…

 

「何をしている! せっかくのチャンスに…!」

「船がいるんだ! ああ畜生! 密漁船か…!」

 

零落白夜が消える。

あぁ、そうだ…そうだった…確か、この後…

そう、モッピーが剣を取りこぼして…エネルギーの枯渇を意味する具現意地限界。

あぁ、あぁ…! クソ! クソッ!! クイックブーストじゃ届かない!

 

OBレディ…

 

「箒ぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

「ちっくしょうがァァァッ!!! 間に合えクソォォォッ!!!!」

 

だけど…

 

1秒、たった1秒で間に入れたのに、間に合わなかった。俺が手を伸ばす先でいっちーの背中に突き刺さった弾丸が炸裂する。

 

「ぐああああっ!!」

 

崩れ落ちるいっちーを支え困惑の表情でいっちーを見るモッピー、意識を銀の福音へと向けるとまだ砲口を二人へと向けている。

 

「逃げろぉッ! 早く!」

「一夏っ、一夏! 一夏ぁっ!」

「畜生!!」

 

二人の前に仁王立ちし、攻撃を防御しきるしかない。とてもじゃないが俺以外戦える状況ではないのだから。

唐突に頭部CPUから機会音声が響く。

 

「敵IS異常発生、コアバイパスが以上増強しています。スキャン完了。敵ISエネルギーコア反応5」

 

俺が認識するより早く銀の福音が銀の鐘を放つ、その色はアカかった、全てを焼くかのような暴力的なアカ。

プライマルアーマーもアーマーポイントも消し飛ばし最後の一撃が右肩に突き刺さり、炸裂。

俺の肩を大きく吹き飛ばし、右腕が離れてしまったのを感じ水面へと落ちて行く。

 

「あぁ、篠ノ之束…最高だ…最高に危険だよ、お前は…」

 

血が喉を逆流するのを感じて俺は気を失った。




以上本編

はぁ~やっと主人公を殺せます。早く殺したくてうずうずしてたんですよね。
次回は主観は無いので第三者視点となります。

主人公は殺すに限る(ゲス顔

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