コジマ汚染レベルで脳が駄目な男のインフィニット・ストラトス   作:刃狐(旧アーマードこれ)

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バイクに乗って大学行く途中ナイスナバデーな美人さんが原チャで走ってたので尻を凝視しながら250で追っかけてたら曲がる所を間違えてしまいました。アーマードこれです。
今回は転校生お二人がやってきます、はいその通り。
レイ・ドミナート君とコーデリア・ストラトフォードさんです。
レイ君はヘリのパイロットでいろんな事をしています。
コーデリアさんはお金儲けが大好きな姉御肌の女の子です。

ISを使えないレイ君とISで何か一儲けできないかな、と考えているコーデリアさんのお話です。
正反対の性格の二人が織り成すお話をどうぞごらん下さい!

深夜のテンション☆


こっから波乱の転校生編(タッグマッチもあるぜよ)
認められないエーレンベルグ掃射砲♂のメインブースターがイカれて面倒が嫌いなお話


「キヒ…キヒャ…キヒャハハハハ……」

「怖い…怖いぞシン…! 何でそんなに嬉しそうなのかは分からないが凄く怖い…!!」

 

俺は今楽しみで仕方が無いのだ、カラードからある情報が入り情報通りなら今日がその日。

ついついニヤけてしまう、チラリといっちーを見たら引かれた、だが何、問題ないさ。

 

「ひ…ぃぁ…!! やだぁ…」

 

後ろの子が涙ぐんでいるが何、問題ない…とは流石に言えん、顔をグシグシと擦って笑いを自重する。

んで普通の顔、さぁ来い…早く来い…!

 

「皆さん! 今日は転校生がこのクラスに入ることになりました!」

「転校生?!」

「どんな子か気になるわね」

「なるほど、だからシンのテンションが高くなってたわけか…」

「絶対に何かしでかしますわね、間違いありませんわ」

 

なるほど、期待されてるわけか、だが残念ながら変な事をするつもりは無い、すまねぇなぁ…クラスメイト、どうやらここらが俺の器らしい。

 

「それも二人もですよ!」

「二人も!」

「こうなるか、新しい…惹かれるな」

「言っとくが今のセリフは俺じゃない」

 

俺じゃないったら俺じゃない、紛らわしい事この上ないが俺じゃないんだ。

 

「ではどうぞ!」

「失礼します」

 

言ったのは一人だが入ってきたのは二人、ネタバレどうこうじゃないのでバラしてしまうが男装をしたフランスの代表候補シャルロット(シャルル)・デュノアとドイツの代表候補でありIS特殊部隊の隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒだ。

 

「ギヒャハッ!!」

「?!」

 

俺が笑い声を上げるとクラスの全員が俺に注目する、シャルりんがビクリと驚いて一歩下がりらうりーがピクリと一瞬身構えた。

 

「やっぱり、ここに来た

 怖くてたまんなくなるんで、すぐにわかる

 アンタが近くにいるとね」

「知り合いか?!」

「いや? 初見となる」

「シン…もう止めようぜ」

「 そうですね、もう逃げるのはヤメにしますよ。

 怖いヤツは、消してしまえばいい

 オレには、それが出来るらしいんで!!」

 

そう言って制服の内側に片腕を突っ込む瞬間に俺の顔面に拳が直撃、慣れた物で大きく仰け反りながら受け流す事によって攻撃力をほぼ無力化、仰け反ったままにやりと笑って俺を殴った本人を見る、案の定ちっふーだった。

 

「…ッチ…山田先生」

「え、あ! はい! では自己紹介をお願いします!」

「え、え? え、えと…しゃ、シャルル・デュノアです。フランスから来ました、僕と同じ境遇の……」

「AMSから…光が逆流する…!」

 

俺の事前察知、と言うよりもう予言レベルの合図でいっちーが来ると悟ったのか耳を塞ぐ。

 

『きゃああああああああああああああああああ!!!!』

「?!」

「男よ! 男の子!!」

「それも守ってあげたくなる系の!」

「ガチガチの男に○される男の娘…!! 薄い本が厚くなるな…!!」

 

一段落騒いで満足したのか徐々に静かになる教室、それを見届けた真耶先生がラウラに挨拶をするように言っている、しかしらうりー、意外にもこれをスルー。

それに対し涙目であうあうとちっふーに助けを求める真耶先生、ちっふーが一度溜息をついて口を開いた。

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

「はい、教官」

 

ビシリと敬礼、どうでもいいがらうりーの穿いているズボン、かなりダボダボだ、雰囲気的にはよく土方のおっちゃん兄ちゃんが穿いている作業用ズボンみたい。

 

「ここではそう呼ぶな、私はもう教官ではない、織斑先生と呼べ」

「了解しました」

 

ちらりといっちーを見ると何とも言えないアホ面で二人を見ていた、おい主人公、きっちりやれよきっちり!

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「「…………」」

「ふー、なかなか強そうじゃないか

まぁ面倒なことにならなけりゃいいが」

 

しかしらうりー、意外にもこれをスルー。

 

「ッ! 貴様が…!」

 

いっちーの方へとズンズン歩いて行くらうりー、大きく手を振り上げた瞬間に彼女の後ろに見えた物に俺は戦慄し張り手の進路上に俺の顔を置く。

パァン!

 

「シン?! 何やってんだお前!」

「俺はたった今少女の命を救えたんだ、悔いは無い」

「貴様…何のつもりだ」

「後ろを見な、らうりー」

「…?」

 

らうりーが後ろを見た瞬間ビクリと飛び上がった、無理も無い、目の前にちっふーの握り拳が目の前で静止していれば誰だって驚く、俺だって驚く。

 

「?!」

「……ホームルームは以上だ、籐ヶ崎、デュノアの面倒を見てやれ、同じ男だろう」

「え~いっちーも男~!」

「ついでに二人は相部屋だ」

「いや、本当に洒落にならない」

「一夏と相部屋にすると…」

「すると?」

 

たっぷり十秒溜めて胸を張るちっふー。

 

「私が一夏の部屋に行けないだろう!!」

「工エエェェ(´゜д゜`)ェェエエ工」

「アーアー俺には何も聞こえないー」

 

ドヤ顔で教室を去っていったちっふー、クラス全員唖然、ただし本音ちゃんは除く。

落ち着け俺、冷静になれ、次の時間はISの合同練習か、仕方ないので言われたとおりシャルりんの世話をするとしよう。

 

「え、えと…籐ヶ崎君? よろしくね…?」

「あぁ、カラードの籐ヶ崎 信一郎だ、よろしく頼む…にしても」

「な、何かな?」

「ほっそいなぁ…肉を食え」

「あ、あはは」

 

横を見るとらうりーといっちーが見つめ合ってる。

 

「私は認めない、貴様があの人の弟などと…!」

「……涙目涙声で言われても困るんだが」

「認めん…認められるか…こんな事…!」

 

おい誰か慰めてやれよ、俺は早い所第2アリーナへ行って着替えなきゃならんのだが。

 

「おいいっちー、早くしねぇと授業に間に合わんぞ」

「ん、あぁ…どうせシンと一緒だろ? なら大丈夫だって」

「俺飛び降りて行くけど」

「おい、待てよ! 冗談じゃねぇ! 死んじまう!」

「ふ…二人とも何の話をしてるの?」

「あぁ、えと…シャルルでいいか? 俺は織斑一夏、一夏でいいぜ、よろしくな。んでこれはな…直ぐに分かる筈だ…」

 

ここでいっちーの疲れ切った顔をもっと疲れの色に染めてやろう、マハハハハ!

 

「言っとくがシャルりんは俺が連れてくからな、人に飲まれて溺死しろいっちー」

「シャルりんって何?! もしかして僕のこと?!」

「おいマジかよ夢なら覚め…!!」

「さぁ来いシャルりん! 口閉じて歯ァ食いしばっとけ、舌噛むぞ」

「えっ?! うわぁ!! ちょっと…そっちは窓!!」

 

シャルりんを右肩で担いで全開の窓枠に足を掛ける、本音ちゃんが笑顔で手を振ってきたので手を振り返す、で…。

 

「わぁぁぁああああああああ!!!!!」

「何てこった…シンが行っちまった、うぅ、気が重い」

 

取り合えず左手を校舎に突き刺して徐々に減速、地面にソフト着地してシャルりんを地面に下ろす。

すぐにペタンと女の子座りになって脱力した。

 

「僕…僕生きてる?」

「男ならこの程度で驚くなよ、さぁ立て、更衣室に急ぐぞ」

「ひ…非常識だよっ!! 死ぬかと思った!」

「死んでないし無傷だろう、早く行くぞシャ~ルりん」

「君は…籐ヶ崎君はちょっと変だよ…あとシャルりんって止めて」

 

フラフラと立ち上がったシャルりんの背中を軽く叩いて行くように促す。

 

「全力疾走だ、俺に付いてこれるか? IS操縦者ならある程度鍛えてるんだろう?」

「分かったよ…もう、付いていけばいいんでしょ?」

「さぁ来い!!」

 

とそれなりの速度で走るが決して全力疾走はしない、人間に付いて来れる速度ではなくなるので仕方が無いのだがね。

一度低空で長時間滞空できるような跳び方をする、ついでに体を捻って後ろを見るとヒーヒー言いながらも時速20キロ近くに付いて着ていた。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「ぜぇ…ぜぇ…シンがいないだけで……こんなにキツイ物なのかよ……」

「遅かったな、言葉は不要か」

「ふぅ…ふぅー…」

 

遅かったなと口で言いながらもいっちーを内心賞賛しておく、予想よりも20分以上も早く着いたのだから中々回避の腕を上げたと言わせて貰おう。

 

「ふー…何でシャルルはそんなに息を荒げてるんだ?」

「女だらけだったから興奮したんじゃねぇ?」

「違うよっ?! 籐ヶ崎君が信じられない速度で走ってたから付いて行くのに必死だっただけだよ?!」

「シンの全力疾走に付いて行ったってのか?! シャルルってもしかして化け物?!」

「違うよ!! 僕は一般人だよ!!」

「時速80キロに付いていける一般人なんていないと思うな! 俺!!」

「80キロ?!」

「いいから早いとこ着替えるぞ、時間が無くなる、いっちーは特に時間食うんだから」

 

首を傾げつついっちーが上半身を脱ぎ始める、んでチラリとシャルりんの方を見ると…既に着替えを終えていた、何を言っているのか(以下略

いっちーがシャツを脱いでヒョイとシャルりんを見て驚く。

 

「うお、着替えるの早いな、何かコツでもあるのか?」

「いや…別に?」

「いっちー、小学生のプールの授業を思い出せ、何人かやってたはずだぞ」

「…あぁ! 最初から着てたのか! 俺もそうすればよかった!」

「にしてもピッチピチだよなそれ」

「だから穿く時に引っかかるんだよなぁ」

「ひ…引っ掛かる」

「チンコな」

「ちん…?!」

「早く着替えろ、時間は待ってくれんぞ」

「そういやシン、まだあのタンクトップみたいな制服クリーニング終わらねぇの?」

「あれもうクリーニングで何とかなるレベルじゃないからな、穴開いてたからな」

「何の話をしてるのか僕にはさっぱり分からないや」

 

シャルりんが頬を少しだけ紅く染めて会話に混ざろうとしてくる、何とか疑われないようにしているのだろうか?

俺には無意味だがな、バレるバレない以前の問題で知ってたし。

と言うよりも俺みたいに筋肉だらけの人間なら少しよく観察すれば分かるんだがシャルりんの筋肉のつき方とかが明らかに男じゃない、胸を押さえれば何とかなるなんて事は無い。

男の体を見慣れていない生徒や特に異性の体に興味を示さず筋肉がどうと考えないいっちーには分からないだろうがな。

 

「あぁ、シンが少し前に血だらけになってな、その時着ていた制服が真っ赤になったんだ」

「え゛?!」

「だから最初に着ていたこんなチグハグな服を着ているわけだ」

「へ…へぇー」

「原因はいっちーな、気をつけろよシャルりん、学園は社会的立場など意味を成さないからな」

「そういえばデュノアって聞いた事ある苗字だよな」

 

そりゃそうだろう、カラードには遠く及ばんが世界トップクラスの軍事企業だ、学園で使われているラファールもデュノア社の物だしな。

 

「うん、フランスで一番大きいIS関連企業だね。僕の実家、お父さんのね」

「へぇ良い所のお坊ちゃんなのか、通りで気品ってのかな、こう…あるよな!」

「俺も良い所の坊ちゃんだぞ、カラードだぞ、偉いんだぞ」

「…ははっ、いいからシンも着替えちまえよ」

「あ、うぜぇ。っと、ホレいっちー、見てみろよ俺のそそり立つエーレンベルグ掃射砲」

「見ねぇよ」

「んじゃシャルりん、ほれ」

「わ、わぁっ!! 見ないよっ!!」

「生娘か」

「娘じゃないよ!」

 

真耶先生のように顔を覆っていやいやするシャルりん、量子変換でバトルスーツを着用、ちなみに靴とかは無いので歩くたびにガシャガシャ煩かったりする。

シャルりんの周りをぐるぐると回り始める、今回はぬーぎぬーぎとか言わない。

 

「なぁいっちー、いい歳したムキムキのオッサンが全裸で珍々ほっぽりだしてドミナントを振り回しながら笑顔で走り回っている図を思い浮かべてごらん」

「ぅおえっ…!」

「ぅぅぅぅぅぅぅううううっ…」

 

いっちーが顔を真っ青にして口を押さえる、対照的にシャルりんが顔を真っ赤にして蹲る。

さてさて、冗談もこの程度にしてそろそろ話を進めるか。

 

「まぁもう着替え終えてるんだがな、見てみろ、量子変換って本当に便利、そう思わないか? シャルりん」

「ほ、本当に着替え終えてるんだね?」

「あぁ間違いないぜシャルル」

「……ッ!!」

 

俺を見た瞬間にシャルりんが息を詰まらせる、大方俺の義手義足を見てこうなったんだろう、分かりやすい反応だ、君達人間はいつだってそうだ、僕の体を見たら同じ反応をする、訳が分からないよ。

 

「…この姿を見ろ、策に溺れた物の末路だ…男がISを使うなど…もとより不可能だったのだ」

「そんな…」

「男がISを使うにはそれ相応の犠牲がいる、俺はこの体だ」

「嘘…こんなのって…」

「いらないいらない、犠牲はいらないって」

「いっちーは感情の一つを失くした、愛情の感情だ」

「酷すぎる…これが…」

「嘘だ、いっちーはただ朴念神なだけで俺はガキの頃事故でこうなっただけだ」

「それにもし犠牲がいるならシャルルだってどうにかなってるはずだろ?」

「は、ははは…そうだよね! いやぁ僕驚いちゃったよ!」

 

あははははと笑うシャルりんを連れて第2アリーナへと移動を始めた。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「これより、格闘・射撃を含む実戦訓練を開始する」

「うぅぅ…何かにつけて人の頭をポンポンと…」

「一夏の所為よ、一夏の所為…」

 

ポンポンで済んで良かったじゃないか、俺なんか一切の容赦なく拳骨だぞ、あれ絶対拳に特殊装甲が施されているって。

俺じゃなかったら気絶するレベル、丈夫で良かったね! 俺!

 

「オルコット、凰、ISを展開しろ、お前たち二人には戦ってもらう」

「な、なぜ私までもが…」

「まぁ、一夏にいい所見せるチャンスだと思えば…」

 

するとココで何故か墜落してくる真耶先生、まぁ俺以外全員前を見てるんだがな。

ふと思うんだが普通国家代表に並ぶ実力のある人間がISの制御をミスって墜落なんて事あるんだろうか?

いや無い(反語)。

 

「ぁあああああぁぁぁぁぁっ!! どっ、どいてくださぁぁぁぁぁッ!!!」

「え、うぉお?!」

「ふん!」

 

ここでちっふーが乱入、いっちーを引っ張って危険区域から脱出、ついでにいっちーを抱きしめると言う荒業を成し遂げる。

そしてソフトに墜落する真耶先生、ソフトに墜落っておかしいと思うかもしれないがコレが一番しっくりくるんだ。

 

「ふふん」

 

したり顔なちっふーと微妙に悔しそうな真耶先生、メインブースターがイカれただと?! 狙ったか、ホワイトグリント!  クッ、ダメだ…飛べん…!

と言う事なのだろうか、多分違う。

 

「いぃ~ちぃ~かぁ~…!!」

「一夏さ~ん?」

「え、俺?」

 

展開を一瞬で終えたせっしーと鈴音がいっちーとちっふーを恨めしそうな目で見る、らうりーも羨ましそうな恨めしそうな微妙な目でいっちーを見ていた。

 

「二人には今から山田先生と模擬戦をして貰う。何、心配するな、今のお前達ならすぐに負ける」

「甘く見られましたわね…」

「ふふ、やってやるわ…!」

 

後は特筆すべき所はない、至って普通にコンビネーションを崩されて纏めて落とされた、それだけ。

 

「これで皆にも教員の実力の程がわかっただろう、以後は山田先生に敬意を持って接する様に」

「俺もやりたーい」

「…一応展開してみろ」

「チェンジ! アーマードコア!! アクアリウス! マルチプルパルス!!」

 

閃光から現れるゾディアックの水瓶座を冠する重量逆間接型のアーマードコア、が形容し難いデカイ物体を背負ってる、一気にダサくなった。

 

「何だ…それは」

「マルチプルパルス、広範囲殲滅型のOWですね」

「しまえ!! この、馬鹿者がぁ!!」

『不明なユニットが接続されました、システムに深刻な障害が発生しています、直ちに使用を停止してください』

「止めんか!!」

 

まだマシまだマシ、ヒュージキャノンなんて飛ばしてるのアレ核弾頭だからね。

仕方ないのでACごと強制解除、ちっふーの焦った顔なんてそう見れるものじゃないぞ☆

 

「全く……では専用機持ちをリーダーとして分かれろ、素早くだ」

 

その一言で専用機持ちではない生徒達が動く、皆が皆いっちーとシャルりんの所へと集まる、俺の所に来たのは本音ちゃんと谷本さんのみ、残りの生徒の7割以上が俺以外の男に密集している。

2・3人ほどはらうりーの所に、あと極少数ではあるがせっしーや鈴音に。

いっちーとシャルりんの人口濃度がヤバイ、酸素うっす!

 

「シンにーいっぱい教えてね~」

「勿論、俺に任せなさい」

「実力オンリーで考えるなら多分籐ヶ崎君よね」

「君ら二人は俺の顔で判断しない貴重な人間だよ、ホント」

 

よぉ~しおじさん頑張っちゃうぞ~。

 

「7人だ、専用機持ち一人に付き7人までが定員だ、理解したな? 理解したなら分かれろ」

 

その言葉で全員が渋々と移動を始める、余談だがそれでも俺は一番最後まで人数が揃わなかった、俺は嘆いてもいいだろうか?

 

「専用機持ちはISを展開しろ」

 

「チェンジ…アーマード…コア……! カプリコルヌスゥゥゥゥゥッ!!!」

 

ここまで盛大に叫んで展開したのは俺だけである、脚、コア、腕部そして展開状態の頭部と、じょじょにパーツが展開されてゆき、バイザーを下ろすように装甲が閉じられる。

 

「グルァァアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!」

 

雄叫びと同時にハンガーにブレードとハンドガンが現れ手を握ると同時に両腕にパイルバンカーが現れる。

右腕の2連パイルを地面に叩きつけ射出、付近に地響きを起こし小爆発が起こり粉塵が巻き上げられる、右腕を大きく後ろに振り薬莢を輩出、左腕を前に構えを取りカッコイイACの展開を終えた。

 

「展開終了…!」

「叫んだりパイルバンカーを撃つ必要は…?」

「皆無」

 

ズコーッと大多数の人間がこける、いい反応だな、感動的だ、だが無意味だ。

ちなみに我がチームに宛がわれたのは打鉄である、特性は高防御でスピードは遅い、プリセットアセン…じゃなかった初期装備(プリセット)の大型ブレードは長く厚く重いので一撃の攻撃力が高い、しかし拡張領域(バススロット)が小さく精々3つまでしか後付装備(イコライザ)が入らない。

俺の独断でライフル、ショットガン、マシンガンを入れさせて貰った。

 

「ではそれぞれの班は各自で訓練を始めろ、まずは歩行訓練からだ」

「さて、まずは歩行訓練だがISの特性上歩くと言う行為は正直役に立たない、しかしバランスを取る訓練には適している」

「シンにー、しつも~ん」

「はい、本音ちゃん」

 

流石に俺個人で好き放題すると訓練にならないので真面目にやらせてもらう、シモネタも本音ちゃんがいるので自重だ。

 

「飛んじゃダメなの~?」

「PICを使うと言うなら飛ぶのはダメ、でも姿勢制御の為に左右に力を掛けるのはOK」

「は~い」

「次、質問はある? ないなら早速訓練を始めてもらうが…」

「はい」

「どうぞ」

「籐ヶ崎君の専用機はほぼ常に地面に接着してるけど日頃から訓練してるの?」

「俺のACはただ単に地上戦を主として作られてるだけだから歩くのに適している、故にほぼ常に地面に接着してるんだ、勿論空を飛ぶことも出来るしホバーも出来る。他に質問は?」

 

どうやら無いらしい、なので早速訓練に移って貰おう、他の班は既に訓練を始めている、しまった、出遅れたか。

お、シャルりんとこの生徒がバランス崩してこけた、これも説明したほうがいいかね。

 

「谷本さん、まずはそのまま立った状態で感覚を合致させるんだ、急に歩こうとするとこけるぞ」

「お、おぉ…っと」

「んじゃ歩く時の説明、普通の感覚で歩いたらPICに振り回されるし躓くから足がもっと長くなったのを想像すればいい、簡単に言うとすっげぇ長い厚底ブーツだろうか。それと歩くだけならPICは使わない方が歩きやすい」

「よっほっ…あはは、面白いねコレ」

 

どうやら歩くよりスキップのように跳んで移動するほうが楽だし早いと考えたのかピョンピョンと歩き回っている、センスはかなりあるみたいだ。

余談だが飛ぶ方が遥かに楽である、歩行訓練とかwwとか思われがちだが飛ぶよりも難易度が高かったりする、実の所いっちーもまともに歩く事が出来なかったり。

そろそろいい頃合なので谷本さんを呼び戻しISを外して貰う、勿論立ったままなんて事にはならず座ってISを外して貰った。

 

「次、落ち着いてな」

「は、はい…ぃよっと」

 

こけそうになったら俺が支えればいいと思ったが中々どうして俺の仕事は無さそうだ、だがまぁ見ときはするさ、いっちーは相変わらずモテモテのようで、ふぁっきん。

歩行訓練を終えたら昼食で午後から戦闘訓練かね。

 

「最後は私がやる~」

「はいよ、気をつけてね、倒れても怪我は無いけど身長が高い分怖くはあるから」

「シンにーシンにー! 大変だよぉ~」

「何か異常でもあった?」

「動かないよぉ~…」

「…もしかして本音ちゃんって今までPICを完全マニュアルで動かしてた?」

「うん、そうだよ~」

 

完全マニュアルでPICを使わない、要するにただの馬鹿でかい装甲を着込んでいるだけの状態で勿論かなり重い、それを華奢な本音ちゃんを力で動かせるかどうかと言うと勿論不可能で…

それと完全マニュアルで普通に動かせるのはかなりレベルが高い証拠でもある、俺はACなので関係無いが…しかし本音ちゃんが…

何だかんだ言ってもしかして本音ちゃんって才能の塊なのだろうか、処理能力に特化したタイプの。

 

「体を動かす事にだけPICを使ってみるんだ、もしくはオートにすればいいよ」

「おぉ~動いたぁ~」

 

きゃっきゃっと動き回る本音ちゃんを眺めながら時間の経過を待つ、驚くほどにする事が無い。

やや危なっかしいので本音ちゃんから目を離すのは少し怖いが暇過ぎるのは如何ともし難い。

らうりーの所はそのまんま軍隊みたいだ、和気藹々としてねぇ…殺伐としすぎだろう、吉野家じゃないんだから。

シャルりんは説明が上手いのか常にアドバイス的なことを言っている、動かしている人間もしっかりと聞いて生かすようにしているし、実に良い。

鈴音は…うん、教えるのには適していないな、感覚で、って分かるわけが無いだろうに。

せっしーの所は全員ポカーンとしてる、角度や数値を言われても困るんだけどって顔だな、こう! なるほど、わからん状態。

いっちーは自分の経験に照らし合わせて…はいるんだが如何せん経験が浅い、故に説明も何処と無くわかり辛いような感じがする、しかしイケメンな所為かそれでも一言一句逃さんと言わんばかりに女子が話しに食いついているから理解は出来ているらしい。

 

「本音ちゃん、戻ってきて、そろそろ交代だ」

「はぁ~い」

 

うん良い子、ガショガショとスキップで帰ってきた本音ちゃんがISを外す。

そう言えば本音ちゃんがラストだったな、仕方が無いから俺は待機しておこう、全員に指示を出しておかねば。

 

「全員その場で座るなり休むなり楽にしてくれ、俺はちっふーに指示を仰ぐ」

「「はぁ~い」」

 

ヒュゴォォォォ、と通常ブーストで移動しながらちっふーの元へと向かう、丁度らうりーもちっふーの元へと向かっていた。

 

「よーう、らうりー、俺はカラードの籐ヶ崎信一郎ってんだ、よろしくな」

「ふん、貴様があのカラードのか、それとそのふざけた名で私を呼ぶな」

「おー、おー、随分と冷たいねぇ…いいじゃん別に、ココは軍じゃないんだし~」

「あのカラードの御曹司と聞いたからどんな人間かと思えば、ISをファッションと同義で考えているような有象無象と同じか、貴様に付き合うのは時間の無駄だ」

「うっひょーたまんねぇ、水没王子みてぇなふいんき(何故か変換できない)」

 

考えてみればたかが移動如きにACなど不要! 素の人間で突っ込め! という訳でACを解除して普通に歩いていこう、らうりーもそうしてるし。

 

「…ほう、義股か」

「ISをファッション感覚だといったな、俺がこの学園で流した血の量は一般人には考えられんぞ」

「…ふん、考えを改めといてやる」

 

踏まれたり木刀で殴られたりとは言わない、それとらうりーの好感度がアップ、いくらなんでも対して仲が良くない人物に死ねと言えるほどらうりーはアレじゃないからな、こと人の生き死にに対して軍人はシビアだから死ねなんて簡単に言わないだろう。

もしかすると一番難易度が高いかもしれない、今の所目標はらうりーに死ねと言われる事だな。

 

「織斑先生!」

「敬礼を止めろボーデヴィッヒ…どうした」

「歩行訓練を一通り終えました、差はあれど問題は無いと思われます」

「ならば後は好きにさせるといい、直に授業も終了だ」

「了解!」

 

らうりーに倣って真面目にやってみる、ホントは好きじゃないんだ。こういう、マジな話ってのは、俺のキャラじゃないしね!

 

「織斑先生」

「………籐ヶ崎、なんの用だ」

「我々の班も歩行訓練を終えました、報告は以上です」

「そうか、そうか……籐ヶ崎、言わせて貰うが気持ち悪いぞ」

「やっぱさぁ…やるもんじゃないね、キャラじゃない事は…」

 

しょんぼりしながら班の面々の場所へと戻る、全員にちっふーがらうりーに言った事を伝える、全員バラバラに散っていった、俺はついでだからと打鉄を装着しアリーナの隅へ寄せておく。

 

「おぉシン、丁度いい一緒に昼飯食わねぇ?」

「構わんよ、んじゃ学食行くか」

「あぁいや、何か箒が昼飯に誘ってきたからさ、せっかくだし皆で食おうと思って鈴とかシャルルとかセシリアとか誘ったんだ」

「き、貴公…!」

 

(;T)<貴公…

 

「集合場所は屋上だからな、んじゃ俺は先に行くから」

「お、おう」

 

颯爽と去って行くいっちー、仕方ない、購買でなんか買うか、焼きそばパンで良いかな?

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「いよぅモッピー、災難だったな」

「そう思うならお前だけでも遠慮すればいいのに…」

「そうなるといっちーのハーレムワールドが形成されてだな…」

「お前が来てくれて助かった、籐ヶ崎」

 

紙袋に目一杯焼きそばパンを入れて屋上で遭遇したモッピーに励ましの言葉を送る、それとなくションボリした雰囲気を醸し出していた。

いっちーを発見したので手を挙げて軽く挨拶、既に半ハーレム空間が作られていた、おのれ…おのれ…!

 

「えと、誘ってくれてありがとう、でも僕が同席でも良かったのかな?」

「いいよいいよ、俺が許す、早く食おうぜ」

「な、何です? その大きな紙袋は…」

「購買で買ってきた、俺のお昼ごはん」

「何が入ってんのよ…」

「僕も気になるかな…」

「全部焼きそばパン」

 

その直後全員が俺を微妙な目で見る、ちなみに購買で買う焼きそばパンはパンの中でトップクラスの安さだ。

ただし商売相手が女性な所為か売れ行きは良くないとの事、菓子パンより惣菜パンを食え。

 

「お金に困ってるのでしたらわたくしがお貸ししましたのに…」

「心配しなくても良いわよ、私達って代表候補だし、それにホラ、アンタって嫌な奴だけど友達じゃない」

「お前ら忘れてると思うけど年収お前らの何十倍何百倍以上あるからな、俺カラードの特殊技術総合リーダーだからな、次期社長だからな」

「…おぉ、そういやそうだ」

 

こいつら纏めてコジマ攻めしてやろうか、泣いたり笑ったり出来なくしてやろうか。

皆して顔の事で弄ったり割と好き放題しやがって、人間のすることかよ!

 

「ハハ、まぁいいじゃねぇか、シャルルも男同士だし仲良くしようぜ、分からない事とか困った事は何でも聞いてくれよ! IS以外で…」

「アンタもうちょっと勉強しなさいよ」

「そうだな、仲良くしようぜシャルりん、♂男同士♂なんだからな、何でも聞いてくれ、料理の事以外は」

「確かに料理出来無さそうな顔してるな、籐ヶ崎は」

 

うるせーやい、俺には料理を作らなくても食料だったり他の物だったりを創れるからいらねーんだ、俺を慰めてくれ焼きそばパン。

 

「シンがすげぇ不機嫌そうな面して焼きそばパンを貪ってるんだが」

「いいから私達も食べましょ、ホラ」

「ん? 酢豚? 自分で作ったのか、鈴」

「まぁね、アンタの分もあるわよ」

「い、一夏! お前の分だ!」

「おぉ二人ともサンキュー! 美味そうだな」

 

せっしーがぐぬぬしてる、いやいや正しいよ、せっしーのサンドイッチはアレもう形容し難い何かだよ、定期的に下二桁サンドイッチスレが立つレベルだよ。

シャルりんも苦笑いしながら購買で買ってきたであろうパンを手に持っている。

 

「ど、どこを見ている!」

「おっぱいに決まってるだろう!(声真似)」

「今のはシンだからな! 俺じゃないぞ!」

「シャルりん、酷いとおもわねぇ? 普通あんなに上手く声真似できるやつなんて居るわけないのにな?」

「そ、そうだね…」

「なー」

 

モッピーが鞄に手を突っ込んだので空いている手で首輪(PA発生装置)のスイッチをONにする。

直後モッピーの振り下ろした木刀と俺のPAが干渉し緑の閃光と火花を散らした。

 

「うわぁっ?!」

「ぐぅぅぅうう!! おのれ籐ヶ崎ぃぃぃ!!!」

「どんだけ力んでも無理だって、これIS兵器防げるからな」

「え、えぇ?! 何が起こってるの?!」

「落ち着いてくださいなデュノアさん、何時もの事ですわ」

「あれISのシールドも削るのよね…」

「じ、人体に害とかはないの?!」

「大丈夫だろ、多分」

「ぐぬぬぬぬぬ…ぅぅうううう!!」

 

引く事しか出来ない木刀を認めん、認められるか! と言わんばかりに押し込もうとしてくるので左手で木刀を弾く、後ろに大きく仰け反ってモッピーが尻餅をついた。

ミニスカートの中身が見える、ほう…淡いピンク色か…可能性を感じたが…錯覚か。

 

「ハァッ…ハァッ…いいぞ…ハァッ…冴えてきた…!」

「うわぁ…」

「おいシン、シャルル引いてるんだけど」

「今ので白米をお茶碗3杯イケるな」

「やっぱり籐ヶ崎さんは変態ですわ、えぇ、間違いありません」

「だれか布仏さん呼んで来て! もう私達じゃ手に負えない!」

「死ねばいい!」

「死ねばいい頂きましたーっ! でもモッピーは代表候補じゃないので数に入りません、今のは惜しかったですねー」

「羞恥に顔を赤く染めてからの死ねばいい、点数になっていれば高得点ですね。僕もぐっと来ましたよ(声真似)」

「ぼ、僕の声?! 僕じゃないよ?! 誰!!」

「俺だ」

「何だシンかー」

「I'm a thinker.」

 

から繋げて音さえも口から出してThinkerを一曲熱唱、周りの皆は唖然としていた、声だけでギター、ドラム、ピアノ、歌を全て出していたのだからそりゃあもうビックリしただろう、なんならヒュムノスを謳ってやっても良かった。

 

「声真似ってレベルじゃないよ…」

「相変わらず意味わかんないわ」

「そ、そういえば! 一夏達は放課後にISの訓練をしてるんだよね」

「ん、あぁ、俺は皆に比べてISに関しては遅れてるからな、少しでも早く強くならないとダメなんだ」

「俺が参加するのは稀だけどな」

「へぇ、僕も加わって良いかな? これでも専用機持ちだし少しぐらいは役に立てると思うんだ」

「マジで? 助かる! 唯一男仲間のシンは中々付き合ってくれねぇし、稀にやったらボッコボコにされるし…」

 

一言一言で俯いて肩を落として行くいっちー、シャルりんがいっちーの背中をポムポムと叩いて慰める。

 

「苦労…してるんだね、一夏」

「俺がブレード限定で戦えば最近2~3発入れれるようになったじゃん、成長だよ、成長」

「そうか…そう言ってくれると何か元気が出てきた」

「じゃあ俺は今日参加はしねぇけど見物には行く事にする、シャルりんを部屋に案内しなきゃならねぇしな」

「僕の所為で手間を取らせてごめんね、籐ヶ崎君」

「構わぬ」

 

得意げな顔で最後の焼きそばパンを手に持ち勝ち誇った顔をする、何に勝ったのかはわからんが。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

 

「お疲れいっちー、俺からの忠告だ、俺の真似をしてクイックブーストを使うのは止めとけ」

「え? なんでだ?」

「俺のACはブーストに使うエネルギーとシールドエネルギーを分けているし特殊なジェネレーターを積んでるからブーストを好きに使えるがISでは一纏めにされてる、つまりブーストに自分の体力を削って使う事になる」

「そうだったのか?! シンのISってブーストにシールドエネルギー使わねぇんだ…」

「ただし特殊すぎてIS以上にシビアなパーツ構成となるがな、積載量を上回れば速度や安定が極端に下がったりEN回復が釣り合わなければ動く事すら出来ない」

「はぁ…俺には無理だな…」

「んじゃ俺はシャルりん連れて行くぞ」

 

移動精度は上がったが相変わらずカッツカツのEN運用をしていたので俺の真似は止めるように言っておく、鈴音の甲龍みたいに低燃費なら俺の真似をしても大丈夫なのだがいっちーの白式では自殺行為に近い。

それでも戦えているのはいっちーの才能と主人公補正に他ならない、いっちーのISが想定外の変化をされても困るし。

 

「おーいシャルりーん! こっちこっち! 部屋まで案内するから来てー!」

「う、うん! 今行くよ、籐ヶ崎君!」

 

イケメン(イケてるウーメン)を連れて1026号室へと向かう、廊下で待機していた女子勢がシャルりんに話し掛けようと動きはするが俺がいるため断念して肩を落として帰って行く、さながら松明持ったハンターとルドロス(近寄ってくるも松明に気付いて後ずさりする、可愛い)である。

 

「ところでシャルりん」

「なにかな?」

「ご存知の通り俺と相部屋だが双方とも大企業の社長の子供だ、シャルりんはどうか知らんが俺は自室で社の仕事をする事になる、社のことは双方とも不干渉で良いな?」

「も、勿論だよ! …社長の子供…か」

 

やだぁもう、シャルりんくーらーいー、でもまぁ別に構わんがね。

カードキーをスライドさせ部屋の扉を開ける、ACのコア機能を一部展開、部屋に細工がなされていないかチェックをしてシャルりんを招き入れる。

 

「さぁ、とにかく入って入って、出来立てほやほやの1026号室だぞ」

「出来立てほやほや?!」

「ちょっと変なにおいするけど入って入って」

「変なにおい?!」

「ファ○リーズ的なー、ベッドは出口側を俺が使ってるから申し訳ないが窓側を使ってくれ」

「あぁ、うん、ありがとう」

 

ばたむと扉を閉めてキッチンへと向かう、正確にはキッチンに備え付けられている冷蔵庫に向かう。

シャルりんは自分に割り当てられたベッドに向かってぽふんと俺のいる方を向いて座った。

 

「シャールりーん、抹茶アイス食べるー?」

「ありがとう、頂くよ」

「だよな、甘いの好きだよな、女の子だし」

「……え? お、女の子? あ、ははは、そんなわけ無いじゃないか、変だなぁ」

「…立ち方に気を付けた方が良い、無意識的に内股になってるぞ」

「ッ!!」

 

何時もの如く凄まじく綺麗に盛れたアイスをお盆に載せてベッドとベッドの間の机に置く。

俺は俺で自分のベッドに座って厚いから上着を脱ぎ捨てる、下はご存知の通りタンクトップだ、女性の前で半裸になったりパンツ姿になるわけにも行くまい。

 

「どう…どうして…?」

「何に対しての「どうして」だ? 俺が脱いだ事か? それならただ暑いから、だ」

「僕が…女だって…」

「俺の義股じゃない体を見てどう思う?」

 

右腕に力を入れて曲げる、上腕二等筋を見せる感じ、ガッチリしてるだろう、触っても良いのよ?

 

「凄い…筋肉だけど」

「筋肉、そうだ、筋肉だ。勿論鍛えたからこうなったわけだ、鍛える為には知識が要る、だから筋肉がどう付くか、どう動くか、それを俺は知っている」

「でもそんなので女だなんて…!」

「男と女ではな、筋肉の付き方も、動き方も違うんだ、ただ胸を押さえただけで男装が出来ると思うなよ、シャルりん」

「ッ! そう…だよね…無理があったんだよ、やっぱり…」

「目的は…広告塔か、だがまぁインパクトは少なかっただろうな、カラードに俺が居る所為で」

「…僕の…」

 

皺が付くほどズボンを握り締めたシャルりんがぼそり、ぼそりと言葉を漏らし始めた、でも正直俺は知ってるから聞かなくてもいいんだよね、まるでRPGの二週目状態。

 

「僕の本当の目的は…スパイなんだ…」

「あー…いいか?」

「…?」

「正直どうでもいい」

「…え?」

「いや、正直スパイとかデュノア社の命運とかどうでもいい」

「どう…して?」

「カラードの仕入れた情報で何があったか知ってるし、誰が、どんな目的でIS学園に入ったか、表も裏もカラードに隠す事なんて出来ないぞ?」

「そんな?!」

 

勿論嘘だ、俺が知ってただけでカラードは不干渉である。

3Dホログラムパネルを投影しベッドに転がって操作を始める、ちなみに今話している事と何の関係も無い。

 

「白式のデータだろ? 残念だったなぁ俺というイレギュラーの所為でいっちーじゃ無くて俺と相部屋だ」

 

お、簪からメールが来てる、へぇ、一週間以内に打鉄弐式が完成しそうだって? そいつぁ何よりだ、ACのデータもちょいちょい提供してよかったな、これでACの武器とも互換性が出来たしタッグで良く光るはず。

簪と本音ちゃんには絶対に他に持ち出さないでくれと頼み込んだから大丈夫なはず。

 

「それと…籐ヶ崎君のISのデータ、もし…もし男装にバレたら…その時は…」

「身体を使うってか? やめとけ嬢ちゃん、生娘が俺を落とせるわけが無いだろう」

「じゃあ僕は! …僕はどうすればいいの?」

「そんな事、俺が知るか。そんな事、俺に関係無い」

「関係無いわけが無いじゃないか! 僕は君を…!!」

「言ったろ、部屋内で社の事は双方不干渉だ」

「そう…でも…僕が女だってバラす…?」

「バラさん、バラすのも面倒だ、いいか? 俺は面倒が嫌いなんだ」

 

簪に「じゃあ完成したらタッグの練習しような」とメールを送ってホログラムを消す、仲の良い友達感覚だが何、問題ない。

 

「それが籐ヶ崎君なりの優しさ?」

「そう思いたいならそうで良い、俺は今日ひたすらに面倒だから飯は食わん、行きたいなら一人で行ってくれ、いっちーとか誘って、な」

「うん、そう思っておくよ、ありがとうって言えばいいのかな?」

「なんならほっぺたにキスしてくれてもいいのよ?」

「それはちょっと嫌かな」

 

本音ちゃん、簪、シャルりんが苛めるの、ふえぇ…助けてぇ…><。

 

「社が敵対しててもその息子娘が敵対する必要は無いからな、愚痴なら好きなだけ聞いてやる、友達としてな」

「うん、ところでアイス食べて良い?」

「いいよっ! スーパーで売ってたやっすいのだからあんまり美味しくないだろうけど! ハーゲ○ダッツじゃなくてごめんね!」

「そうだね、僕が自分で作ったほうがおいしいや」

「今度蟹の食べられない所の味がする飲み込めないほど不味いお菓子を食べさせてやる」

「うぇ?! い、いらないよっ!」

 

しばらくそんな会話を続けていると部屋の扉をノックする音が聞こえる、いっちーが飯に誘って来たのだろう、俺をまるで虫除けのように使うから食堂やら連れションやらあらゆる場所に連れてかれる、いつまでも思い通りになると思うなよ?

 

「おーい、虫除…シン、飯食いに行こうぜ!」

「いっちーを殴りたいが世界最強のガーディアン(オリムラチフユ)が居るので殴れない、しかもいっちーはガーディアン(オリムラチフユ)の存在を知らないんだからなお性質が悪い」

「ははは、で、どうするの?」

「行かぬでござるぅ! っつーわけでいっちーと飯食ってきな、学食は初めてだろう?」

「うん、じゃあ行ってくるよ、籐ヶ崎君」

「苗字以外で呼べねぇ?」

「じゃあ…シンイチ?」

「ネクストコ○ンズヒーント! 自殺! シンと呼べぃ」

「分かったよ、シン、じゃあ行ってくるね」

「応」

 

シャルりんが出て行ったのを見届けて通信を起動する、通信先は勿論カラード。

情報の信頼性を優先するために今回はオーメル・サイエンス・テクノロジーに繋ぐ。

 

「信一郎だ、すまないが調べて欲しいことがある、フランスの代表候補生シャルル・デュノア、いや…シャルロット・デュノアに関してだ、デュノア社に引っかかる物は片っ端から情報を集めてくれ、期限は指定しない、が…早ければ早い方が良い」




この主人公の性格は1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド主義です。
頭と顔と口は悪いけど本当は良い子なんです!

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