LAST DAYS エクシーズ   作:ちょいワルドラゴン

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標的

「攻撃力2500の《エクスカリバー》ですか。しかしそのカードの効果は攻撃力を元々の攻撃力の2倍にする効果。意味はありません。」

「《幻影騎士団クロックドダガー》の効果は素材としたモンスターの“元々”の攻撃力を500アップさせることだ。つまり《エクスカリバー》の攻撃力は5000。

喰らえ『聖剣斬』!!」

 

《H-Cエクスカリバー》ATK5000

《EーHEROインフェルノ・ウィング》ATK2100

 

LP4000→2900=1100

 

「うおおああああああ!!」

「対象に取れない敵にこそ《エクスカリバー》の剣がよく効く。」

「おのれえええええ。」

 

その時、謎の光の一線が二人の間に現れた。

その光の先には謎の影と闇夜に不気味にきらめく竜の姿があった。

 

「ユーリ様!!」

「No47、プロフェッサーはまだきみを失いたくないと言っているんで迎えに来てあげたよ。今すぐアカデミアに帰還したら無断行動を許してやるってさ。」

「ハッ。」

 

男は目の前で深々とお辞儀をすると左腕につけた腕時計のようなものに手を触れた。すると彼の体は赤い光に包まれそして消滅した。

 

「さて、どうする?」

 

男はゆっくりと歩いてやってくる。あかり一つないハートランドに煌々と照らされた白い月光。

その月光で照らされた顔があらわになる。

 

「お前は……うっ!!」

 

わからない。なぜだかわからないが奴の顔を見た瞬間体の中をかき回され脳内を覗かれるような感覚に侵された。なぜなら現れた男の顔は自分にそっくりであった。

完全にそっくりというわけではない。だが、一つ一つのパーツ、声質があまりにも似ている。

 

「おやおや、驚くのも無理はない。僕たちはいわば同一人物だってプロフェッサーは言ってたからね。」

「何を言ってるんだ!!お前は誰なんだ。」

 

その時、エクストラデッキが輝きだした。その光は上空で紋章を描くとそこから《ダークリベリオン》が現れた。だがユートはダークリベリオンを召喚した覚えなどない。無論ソリッドビジョンではない。

しかしそこにそれは存在した。

そして目の前のもう一人のユートの裏から現れたドラゴンと共鳴するように輝きだすとそのまま2匹は上空に飛び上がり戦闘を始めた。

 

「おやおや、下品なエクシーズ次元にお似合いのせっかちなドラゴンだ。」

 

するとユートとユーリと呼ばれた男の間から光り輝く渦が現れる。すると中からバイクとともに一人の男が現れた。ユートはこの日の昼間バイクに乗った男と会っていたがその時現れた人物は白いバイクとライダースーツだった。だがそこに現れたのは青を基調としたカラーリングだった。

 

「そこの君、また会ったね……って二人いる!!」

「誰だ、少なくとも俺はあったことがないぞ。」

「おっとすまない。なら僕の目的はそちらの制服の彼になるね。」

 

二人が同時に見直すと男は制服の汚れを落とし姿勢をただした。

 

「では二人とも、改めてご挨拶を。

私、融合次元アカデミア特務部隊所属ユーリと申します。以後お見知り置きを。」

「二度と会いたくはないけどね、僕たちの世界を破壊した理由はなんだ!!」

「それはプロフェッサーの『崇高』なるお考えによるものでありお話しすることはできませーん。

って堅苦しい挨拶は飽きたな。」

「なんだと!!関係のない人たちを巻き込んで置いてふざけるな。」

「その通りさ、君は僕たちの仲間をさらっておいてよく言うよ。」

 

するとユーリは石板のようなものを取り出してユートとバイクの男に見せる。

そこには4つの紋章のようなものが書かれておりうちの黄色と紫の紋章がすでに光っていた。

 

「僕の目的は特異点の回収なんだよねぇ。それ以上は言えないなぁ。」

 

不敵な笑みを浮かべるとその男はニヤニヤと笑いながらとある写真を彼らに見せつけた。

そこに描かれていたのは間違い無く瑠璃であった。

 

「さらわれた仲間によく似ている。」

「特異点の調べは付いているんだよ。黒咲 瑠璃、美しい髪だ。今頃僕の部下たちが上手くやっていることだろうね。」

「なんだと!!」

「卑劣な!!ユートくん今すぐ行くんだ!!」

 

バイクの男はエンジンをかけるとユーリの周りをぐるぐると回り出す。

 

「小賢しいハエだな……。はっきり言って邪魔だよ。」

 

ユーリがカードを投げるとそこから見たこともない姿をした融合モンスターが複数現れる。そのモンスターが一斉に男めがけて攻撃を仕掛ける。

その時男の周りから2体の見慣れないモンスターが現れる。

 

「そのモンスターは!?」

「光を超え次元を超える。

アクセルシンクロ!!」

 

バイクが光に包まれ1体のモンスターが5つの輪となりもう一体のモンスターの周りを囲み出す。

その時2人は光の中に消えていった。

ユートは一瞬唖然としたがすぐ様体制を整えると急いで電話を取り出した。

 

prrrrrrrr

prrrrrrrr

チャッ

 

『どうしたユート?』

 

すこしあがった息遣いの隼が出てきた。

 

「今どこにいる!!」

『デュエルルームで新人の特訓をしている。』

「瑠璃が危ない、急いでくれ。」

電話を切るとユートは路地裏の近道をひたすら走り続けた。

数分後ついにホテルが見えた。

その時瑠璃の部屋の窓が割れ何かが飛んでくる。

人物は2人、1人がもう1人を抱えて飛んでいる。

1人の方は全身黒尽くめでわからないが抱えられている方の女性は瑠璃だ。

急いで追いかけていくすると窓から再び何かが飛び出した。《ライズファルコン》とその背に乗った隼である。黒いハヤブサがその爪で謎の人物をつかもうとすると女はデュエルディスクにカードをセットした。

そして《ライズファルコン》の目の前に巨大な火の玉が現れ直撃。すると隼が落ちていく。

 

「《幻影騎士団ラギットグローブ》召喚、鎖付きブーメラン装備!!」

 

巨大な手を持った戦士が現れると鎖付きブーメランを隼に向かって飛ばす。その鎖はうまく男に絡みつき一気に引き寄せた。体制を立て直した男はユートの前で着地する。

 

「平気か!!」

「無事だが奴め魔法カードを使ってくる。」

「俺がいく。《ダークリベリオン・エクシーズドラゴン》!!」

 

黒い竜が現れるとユートはその背にまたがる。黒き竜は空に飛び立つとビル街を駆け巡る。

月明かりだけが照らされた谷間を縦横無尽に飛び回る。それを追いかけるユート。その時女の放つ《サンダーボルト》がリベリオンを襲う。

距離を一定に保ちつつ近付こうとするが落雷がその接近を阻んでいく。

その時だった。

 

「瑠璃ちゃあああああああん!!」

 

ユートの横を黒い影が通り過ぎていく。

コウライと相棒の《サイバードラゴンノヴァ》である。

 

「いっけええええエヴォリューションバーストノヴァ!!」

ノヴァの口から光の光線が放出される。

その光線は誘拐犯に直撃した。

だが、その衝撃で瑠璃が落ちていく。

 

「《幻影騎士団ブレイクソード》たのむ!!」

 

下半身が馬と合わさったような形をした首なしの鎧騎士が落下する少女に向かって疾風の如く空をかけていく。あと少しで瑠璃を抱えようとしたその時、騎士の体が鎖で繋がれた。

 

「《デモンズチェーン》だと!!

しまった。

《幻影騎士団 シャドーベイル》を特殊召喚。」

 

今度は幽霊のような馬に乗った鎧騎士3体が誘拐犯に攻撃を仕掛ける。空中で戦うソレはユートの妨害によって空中で動きが止まる。するとユートはさらにモンスターを召喚する。今度空中に現れたのは巨大な射出用のカタパルトを背に付けた機械の亀だった。

その射出レーンに飛び乗った数秒後少年は勢いよく発射される。

ものの5秒というところでユートは瑠璃の元に追いつき彼女を抱き抱える。

だが眼前には地面が迫っていた。

 

「一か八かだ!!《六芒星の呪縛》!!」

 

目を瞑る。

 

激痛と衝撃に覚悟する。

 

だが彼らの身体は六芒星の紋章によって地上から数メートルというところで止まったのだ。

安心したその時、黒尽くめの人物が炎の玉と稲妻を二人に向けて発射した。

その瞬間ユートは先ほどの仮面の男との戦いから伏せていたカードを発動した。

 

「いくぞ、《魔法の筒(マジックシリンダー)》発動!!」

 

目の前に現れた巨大な筒が2本現れその一方が攻撃を吸収するともう一方の筒から巨大なレーザーが射出される。

その光をもろ浴びた誘拐犯はそのまま消えた。

 

 

ユートは瑠璃を下ろす。

彼女は気絶していて数カ所に切り傷があった。

 

「ガラス片で切ったのか。すまなかった……。」

 

ユートはただ瑠璃に謝り続けた。

 

 

敵の狙いは瑠璃。

そう気付かされた。

 

だが今は守れなかった自分を悔やむしかなかった。

 


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