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「驚いたな、世間は狭いってやつかね……結城さん、この娘と僕は数日前まではパーティを組んでいた」
「な、何ですと!?」
驚愕に目を見開き此処が高級レストランである事も忘れ、結城彰三氏は思わず身を乗り出してしまう。
無理もあるまい。
SAOゲーム内の出来事を知る術は殆んど無いし、いまだに死んでいない事がプレイヤーの生と死を知る唯一の方法だ。
大まかになら知る方法が無いでもないが、やっぱり生の情報を得られる訳でもないのがネックとなる。
「落ち着いて貰えます?」
「は! すみませんな……年甲斐もなく慌ててしまった様です」
「まあ、貴方が娘さんを愛している証左として受けておきましょう」
「うぐ、申し訳ない」
オッサンの赤面、誰得な感じではあるが結城彰三氏が明日奈へ強い想いを抱いているのは確かな様だ。
「先日、第一層のボスたる【イルファング・ザ・コボルドロード】を、多少は危なかったとはいえ犠牲者を出す事もなく撃破、第二層へと歩を進めました」
「おお!」
「元βテスターに仲間が居ますが、彼らの言によればβテストの時より進みが遅いとか」
「む? 何故ですかな?」
βテストの時より遅い、その言葉に眉を顰める。
「要因が幾つか。第一に、クローズド・βテストの時とモンスターのアルゴリズムが変わり、先入観を持つ元βテスターが三百人も死んだ事。第二に、デスゲームである以上はレベルなどもタップリ安全マージンを取らなければ、デス&トライが出来ない以上は全滅も有り得るという事」
「な、成程……」
普通なら死ねばやり直しをすれば良いから、ボス戦でも第一層ならレベル6くらいで挑んでいたらしい。
それが出来ないからにはレベルも最低、10は欲しい処だ。
たった4の差だが、強化ポイントなら12、HPなら700〜800の差異が出来る。
それだけ死に難くなるのだから、誰しも先ずは自身の強化を優先するだろう。
「まあ、第二層は第一層より早く攻略も出来ると思うので。流石にみんな慣れてきたし、一ヶ月も掛からないでしょう」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
家に帰ったユートは直葉や翠ともキリトに関する話をしてから、再びSAOにログインをした。
「おはよう、リズベット」
「うん、おはよう」
目を開いたユート。
其処には自分を見守る様に座るリズベットの姿。
数日間という時を経て、リズベットのレベルも10に上がり、ユートの方も漸く20になった。
それに伴い、リズベットはスキルスロットが二つから三つに、ユートは三つから四つに増える。
予定の通りに【体術】のエクストラスキルを入れ、試しにトーラス族を相手に使ってみた。
威力は武器の攻撃力が無い分、それ程には感じなかったものの、それでも今まで当たり判定が無かったのに比べれば戦いの幅は拡がる事になる。
【体術】スキルに関してリズベットから訊かれはしたが、詳しく教えたら自分には必要が無いスキルだと理解したらしい。
リズベットに必要なのは生産系スキルであり、武器を握るスキル以外の戦闘系スキルを取る余裕など有りはしないのだから。
素材ドロップもタップリと獲て、レベルもそれなりに上がったリズベットは、迷宮区から無事に出る事が出来る事に歓喜した。
二人で近場の村に戻っている最中、道中で青い髪の美青年と他に五名のパーティが歩いて来る。
「やあ、ユートさん」
「ディアベルとその他か」
名前を知らない為に言ったのだが、その他呼ばわり
された五名──特にキバオウ──はムスっとした表情となってしまう。
「やっぱり【ブルバス・バウ】を斃したのは貴方だったんだな」
「うん? あの巨大牛? そうだけど」
「イルファング・ザ・コボルドロード程じゃないとはいえ、単独で撃破してしまえるなんてね」
「ああ、巨大牛の能力なんかも【鼠】がガイドブックで公開したのか」
ユートは既にディアベルが元βテスターだと知ってはいるが、それをおくびにも出さないで話す。
ディアベルは必要だ。
主にバラバラなみんなを纏める為に、ユートは単独での戦闘能力は高くても、それを前面に押し出すからにはどうしても他のプレイヤーと軋轢を生む。
自分がやり難い事をしてくれるディアベルに多少、便宜を図るのは当然だ。
「迷宮区に入っていたんだよね?」
「ああ、四階までマッピングはコンプリートしたよ」
ディアベルのパーティがざわめく。
「どうせガイドブック作成のデータとして、Mobの彼是と一緒に【鼠】に渡す予定だし、迷宮区に行くなら一足早く渡そうか?」
「そうかい? そうして貰えると助かる」
システムメニューを開いて操作すると、マッピングデータをディアベルの方へコピーする。
「感謝するよ」
序でにMobのデータも渡しておく。
アルゴからβテスト時のアルゴリズムは聞いて知っていたし、やはり多少なりと差異があったから教えておいた方が良いと考えたからだ。
ディアベルと別れたら、主街区【ウルバス】へと向かった。
街に戻ったユート達。
「じゃあ、私は【はじまりの街】に一旦戻るわ」
「そうか」
「腕を上げたら私も拠点を上に移すし、そん時は宜しくね?」
「僕は同じ技能を持っているけどね」
「うぐっ!」
こうしてリズベットは、【はじまりの街】に転移をしていった。
それを見送ったユートは踵を返し、待ち合わせ場所である【ウルバス】の宿屋へ向かう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……あのさ、何でアスナは落ち込んでるんだ?」
何故か宿屋にはキリトとシリカだけでなく、アスナまで居た。
そのアスナはドップリと沈み込んでいる。
「ああ、実はさ……」
キリトが説明をした。
事の始まりはキリト達が何とか大岩を二日間で割るのに成功し、エクストラスキル【体術】を獲得して、街に戻った時だ。
因みに、この二人には後で御褒美を渡す事になる。
【体術】を獲るべく時間を数十時間も遅れた為に、キリトとシリカはユートを除けば最前線の【マロメの村】へと急いだ。
キリトは現在使っているアニールブレードが最大まで強化されているから必要もないが、アスナは未だに伸び代のある【ウィンド・フルーレ+4】を強化するべく素材集めに勤しんでいたのだという。
そんなアスナと再会し、プレイヤー同士のいざこざを見掛けたのだ。
鍛冶屋プレイヤーと剣士プレイヤー、どうも剣士のアニールブレードを連続で強化失敗して、試行上限の残り四回を使い切りエンドさせてしまったらしい。
アスナも手に入れた素材である【ブランク・オブ・スチール】四個、【ニードル・オブ・ウィンドワスプ】十二個で強化しようとしていたが、少し心配になってきたみたいだったので、少しでも確率ブースト出来る様に素材をもう少し集めようという話になった。
シリカも暇だから手伝って素材を手に入れ、鍛冶屋プレイヤーの許に向かった訳だが……
「ああ、つまり」
失敗したのだ。
「ユートに連絡が付けば、紹介したんだけどな」
流石に数日間連絡が付かない迷宮区に居るのでは、『いつ帰るか判らないけど良い職人が居る』なんて言えなかった。
まあ、確率ブーストでは九十五パーセントと、最大の成功率だから大丈夫だろうと考えて強化を頼んだ。
「そしたら見事に失敗で、壊れちゃったんだよ」
締め括るキリトの言葉に首を傾げると……
「待て、壊れた? それは【ウィンド・フルーレ】がエンドしていたんじゃないのか?」
「してないわよ! 間違いなく残りニ回あった!」
【ウィンド・フルーレ】は実はモンスタードロップで手に入る細剣で、第一層では可成りのレア武器。
試行上限数もアニールブレードに次ぐ六回と多い。
+4なら当然エンド品な訳もなかった。それまでに失敗をしてなければ。
「変だな、【鼠】に鍛冶のスキルを取る際に教えて貰ったけど、鍛冶で武器が壊れる事は無いらしいぞ?」
「それはβ時代の話だろ。正式サービスで追加されたんじゃないか?」
「違う、失敗のペナルティは【+数値はその侭で素材のみ消費】【+数値の内容が入れ替わる】【+数値が1下がる】の三種類で変わってないそうだ」
アルゴからの情報なら、ガセではあるまい。
キリトは息を呑む。
「じゃあ……壊れるとしたらどんな場合だ?」
「叩いたのが強化しようの無いエンド品だった場合、それを更に強化しようとしたら壊れるそうだよ」
「だけど、それじゃあ……やっぱり強化詐欺か?」
「そうなるね」
アスナもシリカも二人の会話に付いてこれず黙りこくっているが、詐欺に引っ掛かったというのだけは、何とか理解して青褪める。
「アスナ、今から言う操作をしてくれないか?」
「へ?」
「キリトは【隠蔽(ハイディング)】を取ってたな? 鍛冶屋を付けて調べて来てくれる?」
「お、おう」
あれよあれよと指示をされて、アスナとキリトは動き始めた。
アスナに教えた操作は、【所有アイテム完全オブジェクト化(コンプリートリィ・オール・アイテム・オブジェクタイズ)】というもので、遍く全ての持ち物をオブジェクト化してしまうコマンド。
勿論、ユートは部屋の外に出ておく事を忘れない。
アスナはユートとキリトが部屋から居なくなって、早速コマンドを試す。
その結果、【ウィンド・フルーレ+4】はアスナの手元に戻ってきた。
【ウィンド・フルーレ+4】を抱き締めるアスナ、そんな彼女から武器と素材を受け取ると、自身が【ウルバス】で借りている部屋に篭って強化を行う。
素材もタップリと有る事だし、強化コンプリートをしておこうという話になったのだ。
二度に亘り成功率は八十パーセント程度だったが、全てに成功して無事に強化された。
元々の内訳が【3A1D】で、正確さ(アキュラシー)に3を、丈夫さ(デュラビリティ)に1を割り振ってある。
アスナからの注文では、鋭さに1を、正確さに1を配分するという事で現在は【1S4A1D】となる。
鋭さにもいれたのは単純な攻撃力を上げる為だ。
暫く経ってキリト帰ってきたら早速、話を聞く為に全員で集合をした。
やはり強化詐欺らしく、鍛冶屋プレイヤーネズハとやらが詐欺により武器を奪い取り、聖騎士オルランド達……チーム【レジェンド・ブレイブス】は金に替えたりして自分達の強化に努めていたらしい。
因みにシリカにも一働きして貰っている。
詐欺に遭った被害者を、なるべく捜してきて貰ったのだ。
幾つかドロップ品など、強化した武器を少し安値で売るのが目的。
放っておけば一人や二人は死にかねないし、そうなれば賠償で済む話ではなくなってしまう。
それこそ処刑される。
別に詐欺師連中を慮っている訳ではない。
若しもユートがそんな気遣いをするなら、コペルを彼自身が呼び込んだリトルネペントの群れに蹴り落としたりはしてないだろう。
尤も、それをやったのはユートではなく優雅の方な訳だが……
どちらにせよ、ユートの目的はおかしな前例を作ってしまい、少しでも何かがあればプレイヤー同士による処刑が常態化されるなんて事態にならない様にする事で、それだけは阻止したいと考えていた。
ほんの僅かなナニかが、世界の崩壊を招く事をよく知るが故に。
とはいえ、慈善事業など出来ないから売るといった形となる訳だ。
更に、次の詐欺が行われる前にキリトが変装をし、ネズハに強化を頼む。
手口に関してはアルゴの予測で判っているから。
どうやら【クイックチェンジ】というModを応用したらしく、手にした強化用に渡された武器を自分のストレージ内の武器と入れ換え、失敗をした振りをする手口の様だ。
ならば、直接押さえてやれば言い逃れも出来ない。
翌日、キリトはネズハに近付くとアニールブレードの強化を頼む。
これはシリカが持っていた物で、それをディアベルに売ったのと同じ強化を施している。
このアニールブレード、使った後はリュフィオールというプレイヤーに売る事になっており、詐欺についても話しておいた。
但し、彼らに対して騒がない約束をして貰い、対価として可成りの安値で売る事にしている。
勿論、リュフィオールから『何故、詐欺師にそこまでする?』と訊かれたが、これには場合によって処刑が為され、PKの壁を低くしない為だと正直に言う。
納得してくれたのか彼は頷いてくれた。
「これは、アニールブレード+6ですか。凄い、しかも内訳が【3S3D】……使い手を選ぶ強化ですね」
ネズハは何処か辛そうな瞳を湛え、変装したキリトに訊ねる。
「……強化の種類はどうしますか?」
「スピードで頼む。素材は料金込みで、九十パー分を使ってくれ」
「解りました。確率ブースト九十パーセントの料金、手数料込みでニ千七百コルとなります……」
ニ千七百コルを支払うとネズハは『確かに受け取りました』と言い、強化の……正確には詐欺の準備に取り掛かった。
キリトは思う。
彼はやはりこの詐欺行為を嬉々としてやっているのではなく、苦しんでいるのではないか? ……と。
オルランド達【レジェンド・ブレイブス】は、この詐欺行為の果てにあるであろう破滅の未来を考えなかったのだろうか?
フルフェイスの兜の向こうで、キリトは苦々しい顔になりながら考えた。
ネズハがハンマーでアニールブレードを叩く。
武器作成の場合、インゴットの種類や出来上がるであろう武器の強さにより、叩く回数が異なる。
時にはニ百回も叩かねばならないとか。
だが強化とは規定の回数を叩くだけで、その回数とは僅かに十回で済む。
+1だろうと、+50だろうと関係は無い。
まあ、高が強化に何百回なんてやっていられないだろうから、SAOを作ったスタッフがそう規定をしたのだろう。
ネズハが五回、六回と叩き続けて、遂に十回目を叩いた瞬間……
カシャーン!
甲高い音を周りに響かせながら、アニールブレードはポリゴン片と変わり四散してしまった。
「す、すみま……」
「謝る必要は無いよ」
「──え?」
叫ぼうとしたネズハを制してキリトは兜を脱ぐ。
素顔を見たネズハは表情を青褪め、まるで化物でも見るかの如く引き攣る。
「あ、貴方は!」
「騙すみたいな事をしたけどさ、どうしてこんな仕儀になったかは自分でも理解しているよな?」
「は、はい……」
これまでと諦めたのか、それとも違う感情なのかは窺い知れないが、ネズハはアッサリと認めた。
ユートは【レジェンド・ブレイブス】のメンバーを集め、ネズハの自白を以て彼らへ罪の追及をする。
彼らには欲があった。
それはMMO−RPGでありがちな欲で、攻略組となって名を挙げたいというささやかなものだ。
然し此処で問題が起きてしまう、ネズハはナーヴギアへの重度のFNC判定が出ていたという事。
FNC──フルダイブ・不適合(ノン・コンフォーミング)とは、初期接続時に行われるテストで不適合と判定される事だ。
この場合、様々な不都合が起きてしまう。
時にはダイブ自体が出来ない事もある。
ネズハは遠近感が上手く働かないらしく、ハンマーで武器を叩くのにも慎重にならなければならない程。
三ヶ月前から別のゲームで組んでいたが、その時からこの症状の所為でチームの成績は上がらない。
それでも全員でSAOに移住が決まって、チームを抜ける事を躊躇っていた。
飛び道具なら戦えるのではないか? そう考えて、【投剣】スキルを上げてみたが、投剣の為の武器も安くはないし、そこら辺の石を投げても威力が足りないという事もあり、熟練度を50まで上げた時点で諦めてしまう。
ネズハの修業に付き合っていて、攻略組に乗り遅れていたオルランド達は険悪な雰囲気となったが、その時に話し掛けられた。
ネズハが【クイックチェンジ】を取っているなら、『スゲー、クールな稼ぎ方があるぜ』……と。
つまり、この強化詐欺は何者かが吹き込んだ悪意。
ユートは目を見開くと、ギチリと歯軋りをする。
その凶悪な雰囲気を察したのか、シリカやアスナは疎かキリトまでもドン引きしていた。
「ど、どうしたんだよ?」
キリトが訊ねると忌々しそうな顔で答える。
「同じだ、奴と……」
「奴?」
「誰かに悪意を吹き込み、自分は観ているだけ。嗤っているだけの最悪な奴!」
あの、いつの間にか誰かに這い寄り、悪意を囁く事で世界に破滅を齎らす混沌の邪神──ナイアルラトホテップと……
あの銀髪アホ毛の邪神はまだ可愛気もあるが、彼らに接触した雨合羽(ポンチョ)姿の某は、そんなモノ微塵にも有るまい。
「お前達もお前達だな……名誉欲に踊らされて!」
「うっ……だけど、アイツはシステム上は可能だからクリエイターが認めてるんだって!」
「言い訳するな!」
『『『『っ!』』』』
初めての怒気を受けて、チーム【レジェンド・ブレイブス】だけでなくキリト達までが身を竦める。
「システムでは可能だからやっても良いだと?」
ユートはシステムメニューを操作……
「え?」
すると、オルランドの前にデュエル申請が顕れた。
一対一完全決着モード、YESを押せば街中という安全圏内でも、他者のSATSUGAIが可能。
ユートは素早くオルランドの背後に回り込み、腕を取るとYESを押させる。
「ヒッ!?」
六十秒のカウントがダウンし始めて、この侭ならばデュエルが始まってしまうだろう。
腰に佩いた大太刀を抜き放つと、オルランドの目先に突き付けた。
「システム上、このやり方でPKが可能な訳だが?
君の言ならアリだよな?」
「あ、ああ……」
オルランドは完全に腰が退けている。
六十秒が経過し……
DUEL!
システムメッセージが鳴り響いた。
「さあ、システムが認めたデュエルだ。殺り合おうじゃないか?」
そう言って大太刀を振り被ると……
「ウワァァァァァァッ! ごめんなさい、ごめんなさいっっ! 俺が悪かったんです!」
ユートが最前線で第一層ボスを斃したプレイヤーだと教えてあり、レベルの方も20とオルランドの11に比べて遥かに高い事も知らせておいたからか、アッサリと謝ってくる。
何より、本当に殺すという気迫みたいなものが何故か伝わってきて、現実世界なら漏らしてもおかしくない状態だった。
ユートは詐欺を働いた事を騙したプレイヤーに謝罪するなら、降参(リザイン)を認めると伝える。
アルゴとシリカに頼んで被害者を集めて貰っていたユートは、【レジェンド・ブレイブス】に土下座させた上でやり直すチャンスを与えて欲しいと頼んだ。
別に【レジェンド・ブレイブス】に同情したとか、赦したいとか思った訳ではなく、今はプレイヤーが減るのが良くないからだ。
こんな低層でこんな事件があった事が、余り拡まるのも宜しくない。
何より、彼らを排除する行為そのものが、彼らを唆した〝誰か〟を利する可能性を鑑みれば、嫌がらせになるのは間違いないから。
その説明に一応は納得してくれたのと、事件解決の立役者のたっての願いだと云う事も手伝い、被害者達も鞘に納めてくれる。
全てが丸く収まった訳でもないが、幸いにも死者はまだ出ておらず賠償金で済ませる事も出来た。
【レジェンド・ブレイブス】は一からのやり直しを始め、ネズハには鍛冶系のスキルを【体術】に換え、迷宮区の方でドロップしたチャクラムを修業しようという話になる。
こうしてユート達は再び攻略へと戻った。
不気味な【レジェンド・ブレイブス】を唆したという這い寄る影を、後の攻略に引き摺りながら……
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詐欺事件終了〜。
出来るだけさらっと終わらせた心算です。
勿論、這い寄る悪意とはナイアルラトホテップではなく、彼らの事ですよ?