お気に入り数が15件…!?
前回もやりましたが、こんな小説を気に入ってくださる方がいらっしゃるなんて…。
もはや嬉しすぎて寿命が縮んでいるのではと疑いそうです。
今回は理子ちゃんが大活躍?します。
詩穂との絡みが案外普通ではないかも…?
…ぴりりりり…。
目覚ましの音が鳴りました。
今日も一日が始まります。
「…ふぁー…ぁふ。」
あくびを1つ。
さて、今日も元気に参りましょう!
…っと、その前に…。
遠山君を起こしに行かないと、ですね。
制服に着替えた私は、遠山君の部屋に向かいました。
部屋の前に着くと、ノックの準備をします。
…いつもこのときは微妙に緊張します…。
なぜかは分かりませんけど。
いざノック!
「バカキンジ!ほら起きる!」
がすっ!
…なにやら暴力的な音と、特徴的な声が聞こえてきました。
この声は、アリアさん?
…ああ、昨日彼女は泊まっていったんでしたっけ…?
私の部屋はその…せ、精密機械的なものが散乱しているというかなんというか足の踏み場も無くそもそも人が泊まれないというか何と言うか…。
…というわけでアリアさんを断固として入らせませんでした。
だから遠山君の2段ベットのほうに寝てもらったんでしたっけ…。
…さて、朝ごはんでも作りましょうか…。
私は2人をスルーしてリビングのほうへ向かいました。
…よし!出来ました!
今日の朝ごはんは少し豪華です!
理由は2つ。
1つは、アリアさんがいるからです。
3人分ともなると、やはり多めに、豪華になってしまいます。
そしてもう1つは…!
昨日の『普通』とかいう評価に少し傷ついたからにほかありません!
もう普通とは言わせません!
とかなんとか考えていると、2人が喧嘩しながらリビングに来ました。
さて、朝ごはんの時間です…!
「2人とも、おはようございますっ!」
「ああ、おはよう詩穂。」
「…おはよう…。」
と、遠山君が朝からテンションが低いです…。
やっぱりさっきの暴力的な音って…。
…まぁいいです。
今は私の最高の朝ごはんを食べてもらうことが優先です!
「2人とも!とにかく朝ごはんにしませんかっ!?」
「え、うん…。詩穂、あんたなんでそんな気合入ってるのよ…?」
「いいですから!とにかくいただきましょう!」
「わ、わかったわ…。」
若干私の高めのテンションに引き気味ですが、食べてもらうことには成功したようです!
さあ、運命の評価は…!?
「…普通ね。」
「普通だな。」
「うわああああん!」
結論。
私の料理は、普通です…。
「え、いや、ううん!卵焼きはおいしいわよとっても!」
「そ、そうだ!卵焼きは唯一うまかったぞ!」
「ちょっとバカキンジ!」
「うわああああん!どうせ私の料理は卵焼きしかおいしくないですよー!」
不意な私のガチ泣きに2人はフォローをいれてくれます。
うぅ、2人とも優しいですが悲しいです…。
それからたっぷり10分ほど泣きました。
さて、そんな日の翌日。
私は理子ちゃんに会いに行きました。
「おまたせー、詩穂!待ったー?」
「いえ、私も今来たところですよ。」
今日彼女を呼んだのは調査内容を聞くためでした。
アリアさん…彼女の調査依頼。
どうもアリアさんが気になってしまったのです。
理子ちゃんは情報収集能力がとても高いです。
今回の私の依頼にはもってこいの人でした。
「さて、今回のことはアリアさんには秘密ですよ?」
「もっちろんだよー!」
「はい。じゃあ、今回の報酬ですよ。」
私は鞄から紙袋を取り出します。
中身は…。
「おおー!さすが詩穂っ!わかってるねぇー…。」
「ふふふ、とーぜんです。」
私イチオシのゲームの数々でした。
マイナーですが素晴らしいグラを誇るRPG。
CVの質がいいギャルゲー。
やり込み要素の高い格ゲー。
敵の強さがえげつなくクソゲー扱いされるも、クリア後のやりきった感と良質なストーリーが売りのSTG…。
どれも、素晴らしい良ゲーばかりです。
「しかもどれもナンバリングなし、と…。ほんとに詩穂はわかってるなー。」
「いえいえ、理子ちゃんとは長い付き合いですから。」
彼女はなぜかナンバリングされたものを嫌います。
…バイオ4とか良作なのに、やらないのはもったいないです…。
「じゃあ、教えてください。理子ちゃん。」
「うん、もちろんだよ!」
理子ちゃんは普段クラスの子や友達などにはふざけたような…言ってしまっては申し訳ないですが、おバカな感じの話し方や行動をとります。
でもなぜか私にはそういった言動はとってくれません。
…信用されていないのでしょうか?
「ふふ、詩穂からの依頼なんて珍しいからねー。普通の人には伝えないようなすっごい情報も教えちゃうよ!」
「おおー!太っ腹ですー!」
…それとも信用されているんでしょうか?
本当にこの子は何を考えているのか分かりません…。
「っと、その前にー。」
「はい?」
「そのー…詩穂は、その…。」
「…?」
いつになく歯切れが悪いです。
どうしたのでしょう…?
「…怒ってないの?」
「へ?何をですか?」
「だから、その…き、教室で私が、キーくん同棲してることを言っちゃったこと…。」
「…ああー。」
そういえばそんなこともありましたね…。
そのあとの夜色々ありすぎてすっかり頭から消えていました…。
「…確かにあの時はびっくりしました。でも、別に怒ってはいませんよ。」
「うう、ほんと?」
「ええ、もちろんです。どうせいつかバレてしまうことでしたし、あの時バレようといつバレようとあんまり関係ないですしね。」
「うぅ…詩穂ーっ!」
「うわっ!?」
理子ちゃんが不意に抱きついてきました。
…若干苦しいのと胸が当たっているのが微妙につらいです…。
大きいです…。
ずるいです…。
「詩穂に嫌われたらどうしようかと…。」
「…嫌いになんてなりませんよ。なるわけないです。」
…理子ちゃんを嫌いになったら私、真のぼっちになっちゃうじゃないですか…。
「よかったー。それを聞いて安心したよー…。」
「ふふ、良かったです。…でも、私なんかに嫌われようと理子ちゃんは友達がたくさんいるから大丈夫でしょう?」
そう。
私とは違い、彼女にはたくさんの友達がいます。
悲しいですが、私はどうでもいいんじゃないでしょうか…?
「そんなこと無いよ!」
「ふぇっ?」
「私にとって詩穂だけは特別!詩穂だけは…。」
「り、理子ちゃん?」
理子ちゃんが真剣な顔でそういいました。
私だけは…特別?
なんだかとってもうれしいです…。
でも、どうして…?
そういえば、他の人の前では自分のことを『理子』と呼びますが、私の前では『私』を使います。
実はほんとに私って特別?
…えへへ…。
「詩穂ー?依頼内容だよね。」
「え…?あ、はい。」
緩んだ頬を引き伸ばします。
…伸ばしちゃダメです。
引き締めましょう。
「まず…武偵ランク。強襲科ではSランクだよ。」
「え、Sランク!?」
しょっぱなから、とんでもない情報が来ました。
そんな…。
高校生でSランクなんて。
そんな人はほとんどいないはずです…。
この学校でも何人かいるとは聞いていましたが、アリアさんがそうだったなんて。
…すごい人と知り合ったものです。
「うん、すごいよこれ。徒手格闘もすごくうまくて、流派はバリツ。」
「バリツ…バーリ・トゥードですか。」
「拳銃とナイフの扱いも天才級で、どっちも2刀流だってさ。」
ちょっと待ってください。
徒手格闘も出来て銃の扱いもナイフの扱いもうまい…。
近距離から中距離までは最強って事ですか!?
めちゃくちゃなチートキャラじゃないですか…。
「2つ名まであるんだよ。」
「2つ名まで!?」
今日の私は驚いてばっかりです。
2つ名。
優秀な武偵には、2つ名が自然とつきます。
アリアさんは、2つ名まで持っているというのでしょうか。
「
「双剣双銃…。」
武偵では、2刀流または2丁拳銃のことをダブルからもじってダブラといいます。
4つをクアトロ、またはカトロといいます。
それをもじったのでしょう。
「まだまだあるよ。アリアはイギリス出身で、ロンドン武偵局としてヨーロッパで活動してたんだ。その間…。」
「……。」
理子ちゃんは驚きの言葉を告げました。
「一度も、犯罪者を逃したことが無いんだってさ。それも、全て一度の強襲で。、99回連続で。」
「え、あの…ちょっと待ってくださいね。」
犯罪者を捕らえるためには犯人に直接接触しなくてはいけません。
それを武偵では強襲といいます。
普通なら何度も何度も強襲して逮捕するものですが…。
1発で逮捕、それを99回連続…?
頭が痛くなってきました。
化け物みたいに凄い武偵じゃないですか…。
「…そろそろいいかな。」
「…はい。大丈夫です。」
「じゃあ次の情報。アリアは母親は普通の日本人。父親は日本人とイギリス人のハーフだそうだよ。」
「…クォーターですね。」
確かに神崎・H・アリアって外国人っぽいですね。
てっきりキラキラしたネームなのかと…。
「で、イギリスのほうのミドルネームが『H』だそうだよ。」
「なるほど。」
「凄く高名な一族らしくてね。おばあちゃんは
「Dame…ギャルゲーで見たことがあります。確か、イギリス王家が授与する…って、アリアさんはもしかして…。」
「そう。ガチの貴族だよ。」
うわぁ…。
なんなんでしょう、アリアさん…。
もう色々とやばい人ですね…。
「でも、アリアはその『H』家とはうまくいってないんだって。だから家の名前を言いたがらないんだよね。」
「…理子ちゃんは、知っているんですか?」
「…知りたい?」
「…はい。」
理子ちゃん。
ネット中毒で、ハッキングが得意。
だから、情報収集がうまい…ということになっています。
でも、違います。
私だってネット中毒でハッキングだって出来ます。
だからこそ私は理子ちゃんに頼る前に大体のことは自分で調べられます。
しかし理子ちゃんは違います。
ネットが好きでハッキングも出来る。盗聴盗撮も出来る。
それだけじゃ、こんなに詳しい情報は調べられません。
そして情報を集める速度も異常に早い。
彼女にはなにかあります。
…まあ、藪蛇が怖いので突っ込みませんが。
今回は自分でも調べようとしましたが、早くアリアさんのことを知って力になるべきだと思い理子ちゃんに依頼しました。
「誰にも、もちろんアリアにも言っちゃダメだよ…。」
「はい、わかりました。」
「…『ホームズ』。」
「…え?」
「ホームズ。それが彼女のミドルネームだよ。」
ホームズ。
イギリスで高名な貴族、そしてホームズ…。
「まさか、彼女は…。」
まさか、そんなはずは無いはずです…。
そんな奇跡があったら、私はなんて人と友達になってしまったのでしょう…。
「シャーロック・ホームズの子孫…!?」
「…ご名答。」
シャーロック・ホームズ。
この世で最も有名な探偵。
探偵でありながら、拳銃の名手で徒手格闘の達人。
…アリアさん、ごめんなさい…。
私、次にあなたに出会ったら敬礼してしまいそうです…。
「さすがにこれは私もびっくりしたよ。…まさかアリアが、ねぇ。」
「……?」
あれ?なんでしょう…。
今、違和感が…。
まるで、驚いたような素振りを見せません。
確かに知っていることをなんだってーみたいに驚かれても不自然ですが。
彼女は明らかに今、知っていました。
アリアさんが、ホームズであることを。
まるで、元々知っていたかのように。
「理子ちゃん…。」
「…さあ、私から言えることはこのぐらいだよ。私はこの後も依頼の用事があるから!ゲームありがと。じゃーねー。」
彼女は逃げるように行ってしまいました…。
家に帰ると、アリアさんが先に帰っていました。
遠山君はまだいません。
「ただいまですー…。アリアさんに鍵って渡しましたっけ?」
「あら、私は武偵よ?」
…簡単なことでした。
ピッキングですねわかります。
この言葉だけで通じるなんて、武偵って便利な言葉ですね。
そんなアリアさんは、手鏡を見て枝毛を探しています。
…わかります。暇なとき、やっちゃいますよねー…。
仕上げにさっさっと前髪を整えると、手鏡をしまいました。
「そういえばアリアさん、おでこ、かわいいですね。」
「あら、わかってるじゃない。これはあたしのチャームポイントよ。イギリスで女の子向けのヘアカタログに載ったこともあるんだから。」
「ほえー…。」
すごいです。さすが貴族さんです。
…とは口に出しませんけど。
私は調べはしますがそのことをわざわざ言いふらしたり本人に告げることはありません。
理由は2つ。
1つはそんな趣味は無いということ。
もう1つは、情報とは使いどころ。
切り札にもとどめの一撃にもなる、最強の武器。
情報とは隠すものだと私は思っているからです。
さて、アリアさんと談笑していると、遠山君も帰ってきました。
「おかえりなさい、遠山君。」
「…ただいま。どうやって入った、アリア。」
「あたしは武偵よ?」
…アリアさん、その返し方気に入ったんですか…。
遠山君は私がバックを持ったままアリアさんと話しているのを見て、アリアさんが先にいたことまでを推理してからアリアさんに質問したようです。
…さすがに武偵ですね。
そんなどうでもいいことからどうでもいいことを推理するとは…。
「まったく…。貴族様がやることとは思えないな。」
「…あたしのことを調べたわね?」
遠山君は洗面所で手を洗いながら、アリアさんに指摘します。
アリアさんはなぜか嬉しそうにそれを返します。
…なぜ?Mなのでしょうか…?
調べられて喜ぶへんたいさんなのでしょうか…?
「ちょっと。失礼なこと考えてない?」
「か、カンガエテマセンヨー。」
…女のカンは恐ろしいです…。
「お前、1人も犯罪者を逃したこと無いんだってな。」
「…へぇ。そんなことまで調べたんだ。武偵らしくなってきたじゃない。でも…。」
アリアさんは壁に寄りかかると、片足をぷらぷらさせつつ言いました。
「こないだ、1人逃したわ。生まれて初めてね。」
「へぇ、凄いヤツもいたもんだな。誰を取り逃した?」
…おやおや?理子ちゃんの情報に間違いがあるなんて。
珍しいこともあるものですね。
遠山君はガラガラとうがいを始めました。
「あんたよ。」
「ぶはっ!?」
遠山君は盛大に水を噴き出しました。
…ああ、この前言っていたアリアさんを脱がしたどうこうですか。
遠山君、逃げ切ったんですか…。
ということは、初めてアリアさんと会ったあの時はアリアさんが遠山君から逃げられた後…?
よくSランク武偵から逃げ切れましたね…。
…うん?そんなわけありません。
SランクとEランクは天と地ほどの差があります。
逃げ切れるはずが…ありません。
「お、俺は犯罪者じゃないぞ!なんでカウントされてんだよっ!」
「強猥したじゃないあたしに!あんなケダモノみたいなマネしといて、しらばっくれるつもり!?このウジ虫!」
「遠山君、そんなことまでしたんですか!?」
「してねーよ!あれは不可抗力だ!」
「うるさいうるさい!」
遠山君、もしかしたらあんなことやこんなことをアリアさんに…!
私の顔が赤くなっていくのを感じます。
…うう、もしかしたら私も今夜…!
「と、遠山君!アウトです!そんなことをしてはいけません!」
「だから違うって…!」
「だめですだめです!そんなところにさわったら…!」
「…詩穂?」
「…っは!」
アリアさんが怪訝そうな目で私を見ます。
…アウトなのは私でした…。
「…と、とにかく!あんたはあたしのドレイにしなきゃいけないの!あの時あたしから逃げ切ったパワーをもう一度見せてみなさい!」
「…っく、あの時は偶然逃げ切れただけだ!」
「ウソよ!アンタの入学試験の成績、Sランクだった!」
「…え、ほんとですか遠山君!?」
遠山君が入学当初はSランク…!?
って事は、私の周りにいるのはSランクばっかりじゃないですか!
…恐ろしいことです…。
むしろこの2人を怒らせてはまずいです…。
冗談抜きで死んでしまいます…!
…でも、やっぱりおかしいです。
元Sランクの人間が、Eランクになることなど…ありうるのでしょうか?
それこそ、ランク付けのテストをサボったり、余程のことが無い限りは…?
「と、とにかく今はムリだ!」
「今は?ってことは何か条件でもあるの?言ってみなさいよ、協力してあげるから。」
遠山君はなぜか顔を赤くしてうつむいてしまいます。
…?なぜでしょうか…。
しかし、条件付でSランクほど強くなれる、というのは確定らしいですね。
遠山君がわざわざ自滅してくれたおかげで。
「教えなさい!その方法!ドレイにあげる賄い代わりに、手伝ってあげるわ!」
「……!」
遠山君が後ずさり、それをアリアさんが追いかけるように一歩踏み出します。
…日も暮れてきて、部屋が薄暗くなってきました…。
遠山君が凄く困った顔でこっちをチラッと見ました。
…仕方ないです。
「…そろそろご飯にしましょうか。」
「そ、そうだな!アリア、飯にするってさ!」
「…そうね。そろそろおなかもすいてきたし。」
アリアさんは渋々、といった風に同意してくれました。
食欲には勝てない、ということでしょうか…。
私は台所に立つと、軽くお料理を始めました。
もう開き直りましょう。
普通で何が悪いんじゃあ!
「…出来ましたー。」
「じゃあ、いただきましょうか。」
…自分でも食べてて普通だとは思いますよ…。はい…。
そういえば、アリアさんに言っておきたいことがありました。
「…ところでアリアさん?」
「何よ。」
「食事前におやつは控えて欲しいです。」
「うぐっ!」
彼女は、いつもおやつとしてなのか『松本屋』の『ももまん』を食べています。
ももまんとは、少し前に流行った桃の形をしたあんまんです。
…じゃあ別にあんまんでもいいじゃないですか…。
「しょうがないじゃない…。おいしいんだもの…。」
「別に食べるなとは言ってないです。ただ、お食事前にも食べるのは良くないです。」
「…はーい。」
さすがに私が料理している後でももまんを食されると傷つきます。
いえ、確かに私の料理は普通かもしれませんが…。
「…茅間。お前の意見を聞きたい。」
「え?」
不意に、遠山君が私に意見を求めてきました。
…なんの意見でしょう?
「…ももまんもおいしいと思いますよ?」
「いや、そうじゃなくてだな…。お前は、アリアのパーティに入りたいと思うか?」
「私は…。私は、遠山君が入ると言ったら…。」
「そうじゃない。お前の本心としてはどうなんだ?」
…私の、本心。
確かに私は遠山君を盾にして、自分の意見を2人には伝えていなかったです…。
「私は…。友達のためなら、なんでもしてあげたいです。だから、アリアさんの力になってあげたい…です。」
「…そうか、わかった。」
遠山君は何かが吹っ切れたように少し笑いながら、そう言いました。
「仕方ない。アリア、俺をお前のパーティに入れてくれ。」
「…え!いいの!?」
「ああ。もう意地張ってお前を突っぱねるのがバカらしくなってな。」
遠山君がとうとうアリアさんのパーティに入ることを決意しました。
…とても、急に。
「…遠山君。本当にそれだけですか?」
「…ああ、そうだ。」
…彼は女嫌いで有名です。
わざわざ自分から女が2人いるパーティに入りたがるでしょうか?
彼はついさっきまで嫌がっていたはずです。
こんなにも早く、気が変わるものでしょうか?
何か…裏があるはずです。
「しかし条件がある。」
「え?」
「この後最初に起こる事件を一件、3人で解決しよう。そのあとで本当に俺たちがお前の仲間にふさわしいか、見極めて欲しい。」
「…わかった、わ…。」
つまり。
彼は、私と遠山君がどれだけ使えないかを見せ付けることで本当に私たちとパーティを組むべきか、アリアさんに吟味してもらおうとしているのです。
実質Eランク武偵1人と、現在Eランク武偵1人。
このヘロヘロ2人をよく吟味して、あきらめるんだったらあきらめてくれ、と。
これは遠山君の最後の警告にして、一番の大勝負でした…。
「…ところで、ご飯冷めちゃいますよ?」
あとから聞いたところ、私のご飯は冷めても普通だそうです。
…普通って一体…。
読了、ありがとうございました!
キンジ君が原作よりも武偵に前向きなためか、少し原作とは違った流れで最初の事件にあたります。
どうかご了承ください。
そして詩穂の洞察力が少し高いのは皆さんもうお察しでしょうか?
彼女は1年間、人間観察だけで学校生活を乗り切ってきましたから…。
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