レッスンを仕事の合間を見つけては彼女らは集まってやっていた。一人一人が真剣に取り組んでいたのだが、あまり変化がないまま夏休みが終わりを迎えてしまう。
春香「夏休みは今日で最後だけどこれからも皆頑張ろうね!」
真「明日から学校かぁ。」
やよい「そうなるともっと忙しくなっちゃうし、練習大丈夫かなぁ。」
真美「やよいっち、弱気じゃダメだよ。きっとなんとかなるよー!」
春香「そうだよ、やよい。」
やよい「真美ちゃん、春香さん…。はい、がんばりますっ!」
八幡「そんじゃ、明日は各自学校が終わり次第来てくれ。」
千早「はい、分かりました。」
伊織「ねえ、あんたも学校にいくの?」
八幡「あ?行きたくねーけど行かないと単位落とすからな。」
伊織「そう。」
美希「プロデューサーって学校行ってたんだねー。ミキしらなかったのー。」
何それ、俺不登校児だと思われてたの?流石の俺もちょっと傷つく…。
でも行っても行かなくても元々いないみたいなもんだから問題ないでしょ?って言われたら反論できない辺り俺の存在のなさが…って
いや、ダメだ!行かないと戸塚に会えん。
そうだよ、俺は戸塚に会うために学校にいってるんだ、行かないわけがないだろ。
美希「またプロデューサーへんな顔してるのー。」
八幡「なっ。」
春香「み、ミキ!失礼だよっ。」
真美「そうだよ、ミキミキ。かわいそうじゃん。」
八幡「天海、真美…。」シミジミ
真美「プロデューサーの両親が。」
八幡「…。天海、真美、俺の感動を返してくれ…。」
真美「てへっ。」
春香「わ、私はそんなつもりじゃ、」アセアセ
アハハ
ワーワー
キャーキャー
そんなこんなで俺の高校2年の夏休みは終わった。
…結局全然夏休みじゃなかった。
結衣「あっ!ヒッキー!」タッタッタッ
八幡「ん?」
結衣「やっはろー!学校来たんだ!」
八幡「来ちゃダメだったんですか…。」
結衣「あ、ちがっ、そういう意味でいった訳じゃないよ。」アセアセ
八幡「あー、そう。よかったわ。」
昨日の今日でそんなに学校来ないやつだと思われてんのかと思っちゃったわ。ヒッキー呼ばれてるし。
結衣「ヒッキー、部活こられるの?」
八幡「いや、キツいだろうな。今日も終わり次第行かないとならねーから。」
結衣「そっかー、夏休みにあったこと話したかったんだけど。じゃあいつか時間ができた時にでも顔だしてよ。ゆきのんも楽しみに待ってると思うから!」
八幡「いや、それはねーだろ。雪ノ下なら多分、『あら、まだ捕まってなかったのね、オタ谷くん。あなたが手を出す前に捕まえてしまった方がいいのかしら?』とか言うに決まってる。」
結衣「ゆきのんそんなこと言わないし。てか、ちょっと似ててキモいんだけど。」
八幡「まぁ、雪ノ下によろしく伝えといてくれ。」
結衣「うん!まかせて!」
戸塚「あ、八幡!おはよ!」
八幡「戸塚!元気だったか?」
結衣「なんかあたしのときと態度がちがくてムカつくー。」
八幡「どうして由比ヶ浜と戸塚を同じように対応するとおもってるんだよ。」
結衣「ううー。(´;ω;`)」
戸塚「うん、元気だったよ。八幡は最近どう?」
八幡「色々としないといけないことが多くて死にそう。」
戸塚「そっかー、八幡無理しないでね?」
八幡「ああ。」
ガラララ
平塚「それではホームルームを始めるぞ。」
戸塚「あ。じゃあ八幡またあとで。」
八幡「おう。」
平塚「皆夏休みはどうだったかね?まあそれぞれ色々なことがあったとおもうが夏休み明けだからといって怠けずしっかりとーーー…」ペラペラ
平塚先生もああしてれば普通のいい教師なんだけどな。普段があんなんだからな。
平塚「…ーーーそれから、このあとは文化祭についての話し合いだ。しっかり話し合うように。以上。それから、比企谷。君は私と一緒に職員室にきたまえ。」
こ、心を読まれた!?
逆らったら死ぬのは分かっているからしかたなしに平塚先生の言う通りに着いていくのだが結局向こうに着いてから殴られるんだったら行っても行かなくても変わらないんじゃないかと思うのは気のせいだろう。
平塚「そこに座りたまえ。何で呼ばれたか見当がついてるだろう?」
八幡「い、いやぁー、何のことだか…。」
平塚「比企谷…。」
八幡「すみません、殴らないでください。」
平塚「まぁいい。君のプロデューサーをする件についてだが…」
八幡「え、そっちですか?」
平塚「ほかに何があるんだ。というか比企谷もしかすると何か失礼なことを考えていなかったか?」
八幡「いえ、特に。」
平塚「…全く。ともかく、プロデューサー業が大変だろうが出来るだけ学校には来るようにしてくれ。出席数が足らないのはさすがにどうにもしようがないんでね。」
八幡「まぁ、アイドルたちも基本的に学校にいってるから無理ではないとおもいますけど。」
平塚「うむ。どうしても外せないときは私に連絡するといい。すこしくらいならどうにかしてみせるさ。」
やだ、平塚先生カッコいい。しずかっこいい。
平塚「一応君の今までの出席数のデータを渡しておくから。何のためかはここでは言えないが。」
八幡「あー、ありがとうございます。」
平塚「それから比企谷。」
八幡「はい?」
平塚「部活にもたまには顔を出すといい。由比ヶ浜や雪ノ下が待ってるだろうからな。」
八幡「それは由比ヶ浜に言われましたよ。」
平塚「そうか。余計なお節介だったようだな。」
八幡「年寄りのお節介ってやつですね。」
平塚「私はまだそんな歳じゃないっ。」ドンッ
八幡「ゴフッ」バタ
平塚「全く。」
八幡「…でも、俺がいない方があいつら的にはいいんじゃないんですかね。」
平塚「ほう、どうしてそう思うのかね。」
八幡「いつも百合百合してるじゃないですか。」
平塚「はは、確かにな。けれども比企谷。彼女らは君がいたときの方が楽しそうだよ。」
八幡「気のせいですよ。」
平塚「そうかもしれないな。比企谷、もうクラスに戻っていいぞ。」
八幡「うす、失礼します。」
平塚先生から受け取ったプリントを手にクラスへと向かう。
他の生徒たちはすでに話し合いを始めてるため廊下には俺以外には誰もいない。
そういや、学校に来たの久しぶりだな。夏休みは部活に行くことはなかったし。
普段見ていた景色と変わってしまっているのを眺めながら俺はそう思った。
いつもなら気にもとめなかったであろう景色の変化に何故か心が引かれたのだ。
まぁ、そんなことを言う俺もリア充たちからしたら気にもとめないような景色の一部なんだけどな。
教室に戻ると俺らのクラスは文化祭でなにをやるのか話し合っていた。
既にクラスの文化祭の実行委員が決まったらしくクラス委員ではなく葉山と相模が進行をしている。
別に俺は何をすることになろうがあまり関係はないので頬杖をつきながら話し合いを眺めていることにした。どうせ意見は聞き入れられないし。
葉山「それじゃあうちのクラスの出し物はミュージカルでいいかな?」
オー
葉山がしきっていたお陰か特に揉めることもなくあっさりとやることが決まってしまう。
どんな演劇をやるかアイデアを募った結果、一つの作品が候補に上がった。
へぇ、星の王子さまか…。意外とセンスあるじゃねーか。
読んだことはなくとも名前くらいなら誰もが聞いたことがあると思う。カレーの王子さまは関連商品だと思われがちだが違うので要注意な。
高校生がやるなら演目として選ぶにふさわしい世界的名作といっても過言ではないだろう。
劇ならば特に俺が関わらなくても問題はあまりないだろう。ライブのことがあるからあんまり関われないしな。
放課後もクラスで脚本をどうするかなど話し合っているのを尻目に俺は学校を後にした。
この時間なら他のやつらより早く着きそうだな。乗換アプリでそう確認していると後ろから不意に声をかけられる。
結衣「ヒッキー、もう帰っちゃうの?」
八幡「ああ、早く行かないといけないんでな。」
結衣「そっか。あのさ…」
八幡「ん?」
結衣「ううん、何でもない。がんばってね、ヒッキー。」
八幡「ああ、お疲れさん。」
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オツカレー
キョウモツカレタノー
ジブンハヘイキダゾー
八幡「うーむ。」
春香「どうしたんですか、プロデューサーさん。」
八幡「…このままでも大丈夫なのか考えてた。」
春香「ごめんなさい、いつまでも出来なくて…。」
八幡「あ、いや、悪い。そういう意味でいったんじゃねーんだ。ただ、皆練習でうまく踊れるために必死になりすぎてる気がしてな。」
春香「?それはいけないことなんですか?」
八幡「悪いことじゃないな。だけどこのままで良いわけでもない。」
しかし特に何か思い付くわけでもないんだよな。
このままじゃダメだ。それだけしか分からないことに俺の力不足が感じられるな。
真「春香、プロデューサー、どうかしたの?」
春香「あ、真。なんかねプロデューサーさんが皆が練習でうまく踊れることに必死になりすぎてる気がするって。」
真「んー、僕にはよく分からないですけど、プロデューサー。困ったときは一人で考えるより誰かとかんがえたりするといいですよ。小鳥さんとか律子さんとかいますし。」
八幡「…そうだな。」
春香「それじゃあ、プロデューサーさん。お疲れさまでした。」
八幡「ああ、お疲れ。」
八幡「音無さん、相談があるんですが。」
遅くなってごめんなさい。月に一回は更新できるようがんばります。
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