オレ、変態を駆逐します。【凍結】   作:篠崎 葵

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喜びすぎてヒャッハーです


4話 初陣

強烈な光がブレスレットから放たれる。その光は繭状になりそして、かろうじて見えていた人型のシルエットに変化が訪れる。

次々と光が弾け、総二の首から下がスーツに覆われた。

 

「変身できた・・・・。ん?顔だけむき出しじゃねえか!?」

「大丈夫です。認識撹乱装置がありますので。」

イマジン・・・。何のことかわからないがとにかく大丈夫ってことだな!

そして、俺は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

髪をなびかせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

変身した総二は転びそうになっていた。強化された脚力を上手く扱えずにいたのだ。

 

トゥアールの助言得た総二は先ほどの事が嘘のようにしっかりと走り、

「やめろーーーーー!!」

怪物に向けて叫びながら突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ雪花はと言うと

「お、やっと総二が変身したな?やれやれ待ちくたびれたぜ」

エクシアの放つ特殊な粒子は認識撹乱装置と同じ役割を果たす。

例え、変身前でもだ。

 

それを利用し、離なれたところから見ていた。

 

 

 

「ん?総二が女の子になってると気付いたか」

総二は現実を受け止めきれないのか狼狽え、怪物たちに囲まれていた。

「待ってたぜ!この時をっ!!」

雪花はそう言い放つと変身して飛び立っていった。

その際に誰にも見つかることなく。

 

 

「あ、あ、あ、あ・・・」

なんと情けない、俺は女の子になったというだけで狼狽えるとは。

いやいやいや!普通女の子にならねえよ! 情けなくないよ!これが普通の反応なんだ!うん!そうだ!!

 

気付けば囲まれていた。

 

何やってんだ俺は、助けるとか言っておいてこれかよ・・・・。

 

そう思った時だった。

 

–––––––「そこまでにしときな!」

突然誰かの声が響いた。

 

「何者だ!姿を現せい!」

怪物も困惑していた。俺もです。

 

「しょうがねえなぁ・・・」

再び響いた声の方向には1人の少女がいた。青いツインテール、だけど先に行けば行くほど緑色になっており、先は完全に緑色だった。

そして、右手にはよく分からないような物を装備している。左手には盾

腰には剣を一本ずつ。

 

観察していると怪物が急に叫びだした。

「なんと、素晴らしい!!この幼子に匹敵するツインテール属性を持つとは!!むぅ、成長してるのが惜しいなぁ・・・・」

 

俺、蚊帳の外です。

 

「・・・っ!何者だ!名を名乗れぇ!」

考え込んでいた怪物は突然少女に向けて叫んだ。

「名乗る程の者じゃねえよ!あえて言うなら・・・。エクシアだ!オレの名はテイルエクシアだ!」

少女は高らかにそう宣言した。

 

その次に怪物は俺の方を向いた

 

「・・・・・・・・・。」

 

「そこの素晴らしき幼女よ!貴様は一体何者なのだ!?」

 

名前?観束総二だけど。まさか本名を名乗る訳にはいかないだろう

それに、

『総二様!さぁ!カッコよく名乗りましょう!』

 

トゥアールが何故か凄い熱心に言ってくる事も置いてはおけない。誰かトゥアールを止めてくれないだろうか

 

てか、名乗る?

 

「・・・・・・・・・・・・・俺って何なの?」

誰でもいいから教えて下さい、神様でもいい仏様でもいい。お願いします誰か!

 

『そうでしたねぇ、変身後の名前を決めていませんでしたね。』

 

『いや、名前とかじゃなくて自分の存在そのものに疑問を抱いてる感じよ。』

 

ツッコミありがとう愛香。本当に俺はどうかなってしまいそうだ。

 

何者って聞かれても自分すらも分からないのにどう答えろと?

 

訳も分からずに混乱し、しょぼくれていると怪物が何故か興奮していた

 

「うおお〜っ!よくわからぬがしょんぼりした幼女!たまらぬ!!」

何が"たまらぬ"だよ。

「誰ぞ!彼女に持たせる人形を持てい!」

 

「モケェー」

 

黒タイツが徐々に近づいて来る。

もはや、どこに目があるのか分からないがとにかく視線を感じる。

 

しかも、その視線には欲望が含まれている。その事が分かった途端、背筋を這い回る寒気にたまらず声を上げていた。

「うわあああああっ!!」

『総二様!リボン型のパーツに触って下さい!あなただけの武器が形成される筈です!」

リボン?

「こ、これか!」

俺は頭の上に手を伸ばし唯一頭部に存在する、リボンの様な物を触る。

だが、パニックになった俺はリボンを叩いていた。

「頼む、頼むから男に戻してくれ・・・・!!」

『願望を叶える物ではありませんよ!?』

いくらツインテールが好きだからって自分がツインテールになるなんてねえよ!あれか!?罰なのか!?

 

とにかくガッツンガッツン叩く。

次の瞬間、リボンが発光し炎が吹き出す。 その炎は俺の右手に集まり凝縮され剣となった。

黒の芯を包み込むような紅の刀身を持つ剣。

〈ブレイザーブレイド〉

まるでタイプライターに打たれるようにして脳裏に言葉が浮かんできた。

トゥアールの言う通り武器が形成された。

 

そんな事より俺を男に戻せよ。

 

 

 

「モケ––––––––––––」

俺に飛びかかってくる黒タイツ、いやこの際だから戦闘員と呼ぼうか。

 

焦った俺はめちゃくちゃに剣を振り回した。

 

めちゃくちゃに振り回した剣は戦闘員を断ち切った。そして戦闘員は小爆発し粒子となり消えていった。

「モケ–––」

「モケェ〜〜」

次々と襲い来る戦闘員を横薙ぎにすれば、両断され消えていく。

にも、関わらず怯まずに来る戦闘員達。

 

遂に捌ききれなくなり1人の戦闘員が俺に近づいて来た。

斬ろうにも他ので精一杯で出来ずにいると、どこからか飛来した光弾がその戦闘員を撃ち抜いた。

 

どこから!?と振り向くと先ほどの少女–––テイルエクシアが右腕の武器を構えていた。

 

「おいおい、オレも居ること忘れて無いよな?」

彼女は不敵な笑みを浮かべながら、そう言い放った。

 

四方八方から来ていた戦闘員は俺と彼女の攻撃で全滅していた。

 

「はぁ・・・はぁ・・やっと片付いたか?」

 

残った怪物を見ながら俺がそう言うと、怪物は身体をわなわな震わせていた。

「素晴らしい!釘付けになって動けなかった!剣閃と共に空を舞うツインテールと光弾を撃つ時に風に揺れるツインテール!今、俺は何処かの神話世界に迷い込んだ錯覚を覚えたぞ!」

 

「やめろ!本当に錯覚だぞ!」

「錯覚に決まってんだろ!馬鹿かテメエは!」

 

怪物は感極まったのか涙を流していた。ふざけんなよ涙を流してえのは俺だよ。

 

そして、怪物は俺の方を向き迫ってくる。さながらゾンビのように。

「ハァ、ハァ ツインテール・・・」

 

「ひぃっ!」

 

「そのツインテールを親指と人指し指で軽く摘んで俺の頬をペチペチ叩いてくれぬか?」

 

見開かれ、血走った目。ハァ ハァと荒い息を吐き、涎を垂らしながら迫る怪物。

 

その光景に思わず、生涯で上げるとことの無いか弱い悲鳴を上げてしまう。

 

「きゃーーっ!!」

剣を取り落とし、尻餅をついてしまった。

 

これは俺の姿なのか?

 

頭にこれまでの思い出が蘇る。ツインテールについて熱く語れば、決まって誰もが不審な目で見てきた。

好きな物を言って何が悪いのかと思ってきたがこんな風に俺は見られていたんだ。

俺はこんなやつと同類なのか?

 

俺は

 

 

俺は・・・・・・・。

 

「何してんだ!」

不意に俺の背後に声がかかる。

「お前は何のためにここに居るんだ!?助ける為だろ?何怖気づいてんだ!」

『助けるって言ってたのに何やってんのよ!』

 

テイルエクシアと愛香の言葉で俺は現実に還る。

俺は何やってんだ。助けるって言っておいてこんなところで怖気づいてるんだ。

俺は馬鹿だ。

 

剣を拾い構える。

 

「いい顔になったな!行くぞ!えっと・・・」

「テイルレッドだ!」

自然に口にしていた。

「テイルレッドか!行くぞ?聞こえてんだろうな!」

彼女の言葉に俺は力強く頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペチってしてやるよ!面出しな!!」ブレイザーブレイドを振りかぶる。

「ぬぅ!」

怪物は俺の斬撃をかわす。

にも関わらず怪物の頬には横一文字に火傷が走っていた。

「おのれぇ! はあっ!」

怪物が気合い一閃、突き出した手の平から光線を放った。

たがその光線は俺の身体に触れることなく霧散した。

「なんだと!?」

そうか、このテイルギアの真価は全身を取り巻く光にあったのか。

 

フォトンアブソーバー、これか

頭の中に解説が響いた。

 

「ふっ流石は究極のツインテールと言うべきか!久々に戦士としての血が騒ぐ!俺はアルティメギルの切り込み隊長リザドギルディ!少女が人形を抱く姿にときめく者だ!改めて聞こう!貴様の名は!」

 

「テイルレッドだ!」

「知ってると思うがオレはテイルエクシアだ!」

 

「しかと聞いたぞ!」

 

「お前みたいなやつに名前を覚えてもらう必要などないぜ!」

 

「ふん!!」

 

リザドギルディの背中のヒレが身体から分離し、飛び上がりまるで意思を持ったもののように襲ってきた。

 

「その程度でオレに当てられると思ってんのか!?」

テイルエクシアが右腕の武器で次々とヒレを斬り、撃ち落としていく。

 

ん?斬り?

ふと、彼女の右腕を見ると畳まれていた刃が展開され剣となっていた。

そうか!あれは剣にも銃にもなる武器なのか!

 

「なっ・・・・!」

 

これにはリザドギルディも想定外だったらしく驚いていた。

 

「トゥアール!コイツを倒しても良いのか!?ツインテールはどうなるんだ!?」

 

『はい!大丈夫です!あのリングを壊せば元に戻ります!』

 

「そうか!ならっ!」

 

「エクシア!あのリングを壊せばいいみたいだ!」

「りょーかいっ!オレが壊すからレッドはあいつを頼む!」

「分かった!」

リングの方は大丈夫だろう。だから俺は目の前のコイツに集中すればいい!

 

だけど激しく戦えば周りに倒れている子達を巻き込むだろう。

 

そんな時俺の頭に真紅の炎柱が浮かんだ。

〈オーラピラー〉

これか!

 

「完全開放ッ!!」

 

ブレイザーブレイドの刃先に炎が弾け、バスケットボールくらいの大きさに膨れる。そしてそれを投げ放つ。

 

それはリザドギルディの目の前で爆発し円柱に変化した。

 

「何だこれは!う、動けぬ!」

 

これが敵を閉じ込める結界、オーラピラーか!

 

続いて頭に浮び上がるのは〈グランドブレイザー〉

 

「うおおおおおおおおっ!!」

動けないリザドギルディ目掛けて突撃すると、ブレイザーブレイドが形状を変化し炎が吹き出す。

その長さは倍にも伸長していた。

 

 

捉えた結界を刃がすり抜けリザドギルディの脳天から一気に斬りおろす。

 

「ぐあああああああああ!!!!」

 

斬られたリザドギルディは全身から放電させ、苦悶の声を上げていた。

「素晴らしい!素晴らしいぞ!・・・ツインテールに優しく頬を撫でられて果てる・・・・・悔などないわ!」

 

「え?ちょ、ちょっと待て!」

オーラピラーが3倍以上に膨れ上がる。

「さらばだーーーーーー!!」

リザドギルディは戦闘員とは比べ物にならない大爆発を起こし、散っていった。

 

「勝手に妙な幻想見て消えるなよおおおおおおお!!」

 

 

後には静寂だけが残った。

 

辺りを見渡せば徐々にだが気がついた少女達が起き上がり始めていた。勿論、ツインテールに戻ってだ。

「お疲れさん!」

振り向くとそこには笑顔のエクシアが居た。

お礼を言おうとすると、背後から声がかかる。

「あ、あのっ!」

何度振り返ればいいのだろうか、そんな事を考えながら振り向く。

 

そこには、煤だらけになっても綺麗なツインテールをなびかせた会長が破れたスカートを抑えながら立っていた。

「助けて頂いてありがとうございます」

「あ、いや、その・・・」

しどろもどろになっていると、エクシアが気を使ってくれたのか代わりに答えていた。

 

「いや、無事でなによりだぜ。大丈夫なのか?」

「ハイ!」

会長は微笑みながら返答する。

「とっても素敵な戦いぶりでしたわ!わたくしと同じくらいだったりまだ小さいのに、勇敢で・・・強くて! 感激しましたわ!」

「あの、あなた達は一体・・・」

 

「せせ正義の味方です!俺、じゃなくて私はこれで!」

ペコッとお辞儀だけして立ち去る。

「また、お逢い出来ますか!?」

「あなたがツインテールを愛する限り」

 

そう言い放ち俺は走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時はどうなるかと思ったが、ま!何とかなったか。

「では、あなたも?」

「ああ、正義の味方で間違いねえよ。それじゃあな!」

なるべく手短にしてオレも立ち去るとしますか。

「またお逢い出来ますか?」

「本当は会わない方が良いんだけどな、襲われてたら何度でも助けるさ」

 

んじゃあな!と手を振りオレは立ち去ったのだった。




本来ならもっと早く投稿出来たのですが、これじゃないと書き足した結果ここまで遅くなりました。
次はもっと早く投稿したいですね

次回、初戦闘を終えた総二。何故幼女になるのか?そして、テイルエクシアは何者なのか?

そして、トゥアールには辛い過去があった!

オレ、変態を駆逐します。 next!! 『トゥアールの過去と変態の襲来!』

次回も、ツインテールだ!

これが勝利の鍵だ!『トゥアールの性格(笑)』






嘘です。タイトルはまだ未定です。
ちょっとふざけてみただけです。この次回予告はする予定はありません。


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