虚無の果実~雪風と真紅の魔王~   作:ヒロジン

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第8話 「怪盗襲来 土くれのフーケを追え! ②」

トリスタニアの城下町の中心街「ブルドンネ街」から少し離れた裏路地で、とある建物の入り口を凝視するようにキュルケは建物の影に身を隠していた。その後ろには暇そうに本を読むタバサと同じく暇そうに目を瞑って考え事をする戒斗の姿があった。

 

 

「……あっ、出てきたわ! あれは……剣かしら?」

 

 

キュルケの言葉と同時に、建物の入り口から2人の男女が出てきた。平賀才人とルイズ・フランソワーズだった。才人は両手に鞘に入った大剣を抱えていた。

 

 

「ゼロのルイズったら……剣なんか買って気を引こうとしちゃって……あたしが狙ってるってわかったら、早速プレゼント攻撃? ……あ~、なんなのよーーーッ!!」

 

 

そんなことを言いながら、キュルケは地団駄を踏んだ。学院から才人たちを追ったキュルケたちは、乗ってきたシルフィードが発見した二人を尾行していた。その際、二人が先ほどの建物……つまり「武器屋」に入るところを目撃し、路地の影からその様子を伺っていたのだ。

 

 

「こうしちゃあいられないわ! カイト! タバサ! わたしたちも行くわよ!」

 

「何故俺が入っている。別にお前だけでもいけるだろう? それに、俺は普通の武器は専門外だ」

 

 

戒斗は一緒に武器屋に入るのを渋った。ドライバーを使い変身した際には各アームズの武装を使いこなす戒斗ではあったが、あれらの武器は身体能力が超強化されたアーマードライダーが扱うことが前提であり、一般的な武器の扱いに心得があるわけではないからだ。まぁ、一番の理由は単に面倒だということが大きかったのだが……

 

 

「あぁ、もう冷たいのね! いいわよ! タバサ、あなたは来てくれるわよね?」

 

 

キュルケの問いにタバサは頷いた。

 

 

「ありがとう! じゃあ、カイト。あたしたちは行ってくるから!」

 

 

そういうとキュルケはタバサの手を握り、武器屋へと入っていった。二人が武器屋へと消えたあと、戒斗は先ほどまでの考え事に戻った。

 

 

「……次元を超えることは無理だったか……」

 

 

戒斗は右手に握ったローズアタッカーの錠前を見つめながら、そう呟いた。才人が目覚めた翌日、タバサが眠りについた深夜にこっそりと部屋を抜け出した戒斗は、学院の外にある平原でローズアタッカーを展開し、跨った。

 

 

二輪車型ロックビークル「ローズアタッカー」は、単なる移動用のビークルではない。一定以上の速度で一定時間走行を続けた際に、空間に人口クラックを作り出し、別次元へと移動するために開発されたマシンなのである。

 

 

沢芽市では、かつてヘルヘイムに侵略された別世界に移動するように設定されていたのだが、このハルケギニアでも同じような移動ができるなら、間接的に地球に戻ることができるのではないか……そう考えての行動だった。

 

だが、結果は失敗に終わった。次元を超えるために必要な速度に達しても、メーターに「ERROR」と表示されるだけで、何の変化もなかったのだ。これにより、戒斗が考えていた案のうち、地球への帰還と新たなロックシードの獲得という2つの目的は現時点で難しくなってしまった。

 

 

とはいえ、結果的には戻れなくてよかったのかもしれない。仮に戻れたところで、いざドライバーを調達するとなると、ユグドラシルの関係者である呉島の兄弟に関わることになる。

 

 

どういう過程であれ、戒斗自身は彼ら『人間』を裏切り、世界を滅ぼさんとする『魔王』となったのだ。そんな自分が、今更彼らに協力を求めるのは『卑怯』なことだと感じたからだ。形振りかまっていられない立場なのだがなるべく選択したくない行動でもあったので、それができないことが早めにわかっただけでも収穫はあったと戒斗は考えていた。

 

 

「やはり、地道に情報を集めるしかないようだな……」

 

 

この問題に対する思考を、これ以上は無駄と判断し、戒斗は別の思考に移った。それは、タバサについてだった。昨日の朝、戒斗は何気なしにタバサに「あの夢は今でも見るのか?」と聞いた。その問いに、彼女は首を横に振った。

 

 

戒斗とタバサが出会うことになった夢……彼女から聞いたその光景に、戒斗は心当たりがないわけではなかった。といっても、彼自身が体感したわけでもないし、人伝に聞いた話なのだが……

 

 

「インベスを引き連れた俺と、同じようにインベスを引き連れたアーマードライダー……その中にタバサか……」

 

 

……それは以前始まりの女となった舞から聞いた「可能性の世界」の光景……インベスを引き連れた鎧武とバロンが、合戦のごとき戦いを始めるという光景と重なったのだ。未来を変えようと過去に跳んだ舞が、何も出来ずに流れ着いた可能性の世界と同じような夢……そんな夢をタバサが見たということは……

 

 

「……考えても仕方ないことか。俺は俺の目的と、あいつの目的を果たすだけだ」

 

 

不確定な情報が多すぎるのだが、戒斗はこの世界に来てから思考を重ねる回数が多くなっていた。もちろん、現状を把握するためということが大きかったが、最大の理由は自分が関わっている問題、そして彼自身の抱える過去があまりにも大きかったからである。

 

彼が今後どう動くかで、この世界の多くの人間の命が動く……かつて大きすぎる重荷を背負った戒斗は、再び大きな重荷を背負わされていたのである。しかも、以前の彼は世界を破壊する側であったのに対し、今回は世界を守ろうとしているのだ。

 

 

その重荷につぶれるような男ではなかったが、プレッシャーを全く感じていないわけではなかった。だからこそ、慎重かつ迅速に行動するために思考し、そのために自分自身が1人で動き回れるようにこの世界の知識を身につけることを最優先で動いていたのである。

 

そんな彼にとって、タバサにキュルケという少女たちの存在は大きかった。幼いながらも、圧倒的な知識量とそれをわかりやすく人に伝えることに長けたタバサの存在はハルケギニアの情報を全く持たない戒斗にとっては非常に頼りになる存在だった。一方のキュルケはその交友関係の広さからトリステインの国内外の世情に詳しく、トリステインの政治が近年ガタガタになっていることや隣国アルビオンで内乱が起こっているなどの情報をタバサ以上に知っていた。

 

実のところ、戒斗はこのハルケギニアが貴族制によって動いていることに関して肯定的ではなかった。上に立つものの全てが優しさを持った彼の定義するところの「強者」ならば問題ないのだが、学院の生徒たちの様子を観察していた戒斗は、地球であろうが異世界であろうが、人間という生き物は大きく変わらないと考えていた。

 

むしろ、権力や財力以外に「魔法」という力を支配層が持っていることによって、地球の貴族制が普通だった時代よりも、より格差の激しい『弱者が踏みにじられる世界』になっているとさえ思っていた。

 

かつてチームのリーダーを勝ち取り、チームの名をバロンと……貴族のように誇り高く生き、最下層から頂点を目指すと意味を込めた戒斗だったが、魔法学院の生徒たち、本物の貴族の子息たちは、戒斗が思い描いた誇りや気高さを持っている生徒は少なかった。先日の決闘騒ぎといい、戒斗は内心落胆していたのである。

 

だが、少なくともタバサやキュルケに関してはそういう印象は受けなかった。タバサに関しては彼女の過去を知ったことで、内に秘める彼女の二つ名に反する燃えるような『決意』と『意志』を感じ取っていた。

 

キュルケに関しても、お気楽で遊び人といったイメージに反し、親友であるタバサに対しての『想い』や彼女自身が定めた「恋」という人生観への『こだわり』を彼女なりの強さとして感じ取っており、少なくとも戒斗が嫌う『優しさを忘れた強者』や『卑劣な弱者』にはならないだろうと考えていたのだ。そんな彼女らが将来上に立ち、人々を導くようになれば、世界はきっと変わっていくと……

 

 

「カイト~! これ見て! サイトが欲しがってたけど、買えなかった剣らしいのよ!」

 

 

そんなことを考えていると、戦果上々といった表情でキュルケが戻ってきた。手には見た目が立派な金色の大剣が抱えられていた。

 

 

「なんとも派手な剣だな……美術品のように見えるが?」

 

「なんでも高名な錬金術師の魔法がかかってて、鉄でも切れるらしいわよ! 新金貨で四千五百とか足元見られたから、千まで値切ってやったわ! これで、サイトのハートはあたしのものよ!」

 

 

心ここにあらずといったように、声を上げるキュルケであった。戒斗は彼女の後ろで本を読んでいたタバサに小さな声で確認をとった。

 

 

「……ほんとうに魔法がかかっているのか?」

 

「たぶん掛かってない」

 

 

タバサの言葉は、キュルケが抱えている大剣が美術品用で、実践では役に立たないなまくらだということを告げていた。が、ここでそのことをキュルケに言っても無駄だと判断した二人は、黙っていることにした。彼女にとっては才人が欲しがっていた剣をプレゼントできるということが重要であるからだ。

 

 

「じゃあ、帰りましょう。あぁ、サイトが喜ぶ顔が早く見たいわ!」

 

 

意気揚々と歩き出すキュルケのあとを、戒斗とタバサは無言で着いていった。ブルドンネ街へと出た直後、何気なく辺りの露店を観察していた戒斗だったが、ふと彼の目に興味深い光景が映り、足を止めた。

 

 

「……タバサ、キュルケ、少しいいか」

 

「あら、なにかしら……あの露店で買いたいものでもあるのかしら?」

 

 

キュルケは戒斗の視線の先を見つめた。他の露店よりもかなり大きめで、外国から仕入れた珍しい工芸品や美術品、マジックアイテムを販売している商会が開いている店だった。定期的にトリスタニアで店を出しており、タバサもゲルマニアで書かれた魔法に関する本を何冊か買ったことがあり、キュルケも過去の恋人と一緒に美術品を買ったことがあるため知っていた。噂では店主はトリスタニアの近くに大きな屋敷を持っているそうだった。

 

 

「買いたいものがあるわけではないが、少し用ができた」

 

「あら、知り合いでもいたの?」

 

「そんなところだ」

 

 

戒斗の言葉を聞いて、店の中を覗いたタバサも気がついた。なるほど、確かに彼女と戒斗の知り合いが居た。

 

 

*************

 

 

「いらっしゃいませ。なにかお探しでしょうか?」

 

 

清潔感のある服を身に着けた中年の店主が戒斗に挨拶をする。

 

 

「そういうわけではないんだが……そいつに用があってな」

 

 

戒斗は店の奥で、金貨の勘定をしている1人の少女を指差してそう言った。その声で、少女は戒斗の存在に気がついた。

 

 

「あっ……カイト様! それにタバサ様! お久しぶりでございます!」

 

 

戒斗とタバサの顔を見た少女は満面の笑みで、店先に駆け寄った。

 

 

「ルデア、お前この方たちと知り合いなのか?」

 

「知っているもなにも、お父様。この間話したばかりではありませんか! わたしを傭兵から救ってくださった方々ですわ!」

 

「なんと! あなた方が……そう……ですか……ありがとうございます! ありがとうございます! ウ、ウォ~~~ッ!!」

 

 

そういうと店主は戒斗とタバサの手をとり、周囲の目も気にせず大声で泣きながら、ただひたすらに感謝の言葉を叫び続けた。事情知らないキュルケは鳩が豆鉄砲を喰らったような表情でその光景を見つめていた。

 

そう、このルデアと呼ばれた少女は先日戒斗とタバサが壊滅させた傭兵たちに囚われていた少女の1人で、戒斗がハンカチを差し出し、激励の言葉を送った少女だった。だが、以前とはかなり印象が変わっていた。長いピンクブロンドの髪をポニーテールにまとめ、以前のドレスとは違い、動きやすそうなズボンとベストといういかにも商人の出で立ちであった。

 

 

************

 

 

「偶然顔を見かけて声をかけてみたが……あのときとは格好がまるで違うな」

 

 

立ち話もなんだと、近場のカフェに場所を移した一行は、店の奥側のテーブルに座った。東方から輸入されたというお茶の入ったカップを片手に持った戒斗の問いに、ルデアは照れくさそうに口を開いた。

 

 

「わたしは今までお父様やお母様にとても大事に育てられました。そのことはとても感謝しています。でも、屋敷からあまり出なかったので、お父様やお父様の商会で働いている方々がどういう仕事をされていたかもしれませんでした。そんなとき、たまたま外出したときに、あの傭兵たちに騙されて攫われたんです……」

 

 

ルデアの顔が少し曇った。あのときの光景を思い返し、恐怖が蘇ったのだろう。しかし、すぐに元の笑顔に戻った。

 

 

「カイトさまにお言葉をいただいてから、ずっと考えたんです。どうやったら強くなれるかって……そして、わたしは家の外の世界を何も知らなかったことに気がついたんです。

 

だからお父様に頼み込んで、お仕事のお手伝いをさせていただくことにしたんです!まだ全然慣れないですけど、でもこの数日で色んなことを知ることができました。全てタバサ様にイルククゥ様、そしてカイト様のおかげです!」

 

 

少女はとても嬉しそうに言葉を語った。傍で聞いていたキュルケも感心したように戒斗とタバサに視線を送った。

 

 

「そうか……だが、勘違いするな。俺はお前を結果的に助けただけ……その決断を決めたのは紛れもないお前自身だ」

 

 

ティーカップをソーサーに置き、戒斗はルデアにそう言い放つ。

 

 

「これから色々な苦労があるだろう。知りたくなかったこともできるだろう……だが、それらを乗り越えたとき、お前はお前なりの強さを掴むはずだ……強くなって見せろ、ルデア」

 

 

戒斗は自分の拳を胸に当て、あのときのように力強く、だが優しげな表情でルデアを諭す。

 

 

「はい、強くなって見せます! 目指すはお父様のような大商人です!」

 

 

あの時とは違い、少女もまた戒斗の目を真っ直ぐ見つめ、力強くそう答えた。

 

 

「……ルデアよ……この数日でこんなに大きくなって……ウ、ウウ……ズビーー!!」

 

 

ルデアの父であるマホメット氏は娘の成長に感激したのか、手にしたハンカチで鼻をかんだ。あれから泣き続けていたため、顔は涙と鼻水でグシャグシャであった。

 

 

「もう、お父様! カイト様たちの前で、そんなお姿を見せないでください。昨日わたしに『商人はいつも毅然とした態度であるべき』と教えていただいたばかりではありませんか!」

 

「ズビ……ズビ……そ、そうだな、愛しい娘よ。お前のいう通りだ」

 

 

そういうとマホメット氏は厠に行くと伝え、一旦席を外した。数分後、戻ってきた彼はトリステイン有数の大商人の顔に戻っていた。

 

 

「改めまして、カイト様。そして、タバサ様。この度は娘の命を救ってくださり、本当にありがとうございました。本来ならば当日にでもお会いし、お礼を差し上げたかったのですが、御二人とシルフィード様がすぐにその場を離れられたとのことで……」

 

「気にしないで。その子を助けたのは成り行きだから」

 

 

それまでとは打って変わって、落ち着きを取り戻したマホメット氏の言葉にタバサがそう返した。しかし、マホメット氏は首を横に振った。

 

 

「そういうわけにはいきません。我が命以上に大切な娘の命を救っていただいたという恩義に何のお返しもできないとあっては、末代までの恥となってしまいます。真にご勝手な話なのですが、お二方……どうかこの私に恩義に報いる機会を与えてはいただけないでしょうか?」

 

「……わたしからもお願いします! カイト様、タバサ様、どうかお礼をさせてください。わたしにできることならどんなことでもします! お願いします!」

 

 

商人の親子は目の前の戒斗とタバサに深く頭を下げた。その姿と言葉には商人としての『誇りと意地』が感じられた。この対応にタバサは内心どうしていいかわからなくなってしまった。どうしたものか、そんな想いを胸に隣の青年を見ると、戒斗は目を瞑って考えているようだった。

 

 

「……タバサ、ここは俺に任せてもらえるか」

 

「お願い」

 

 

タバサは戒斗の言葉に頷いた。それを受けて戒斗が口を開く。

 

 

「……まず、ルデア。お前が俺たちに恩返しをしたいというなら、お前の夢を……『大商人になる』というお前の夢を一日でも早く叶えて見せろ。それが俺やタバサにとって最大の恩返しだ」

 

「……わかりました。お二人がそうおっしゃられるなら、一日でも早くなってみせます!」

 

 

ルデアの力強い返答に、戒斗は頷いた。

 

 

「で、マホメット。今のお前の言葉が本当なら、お前に用意してもらいたいものがある。少し待っていろ……」

 

 

そういうと、戒斗は店の従業員から羽ペンと羊皮紙を借り、テーブルの上で紙に何かを書き始めた。内容が気になったキュルケが覗こうとしたが、戒斗の身体が邪魔になり、内容はわからなかった。

 

 

「待たせたな。これが用意してもらいたいものの一覧だ。無理なら断ってもらって構わない。お前たちの申し出は道で金貨を拾ったようなものだからな」

 

「とりあえず拝見しましょう…………これは…………」

 

 

戒斗から紙を受け取ったマホメット氏は、一瞬驚いたような表情をしたのちに、数秒の間押し黙った。そして、紙から戒斗へと視線を移した。紙の内容は把握していなかったが、傍で見ていたタバサには戒斗がいつも以上に真剣な表情をしているように感じた。

 

 

「……中々難しい注文ですね。長い間商売をやっていますが、こんな注文は初めてですね」

 

「だろうな。で、どうなんだ?」

 

「ご希望の品について、もう少し詳しいお話を伺いたいですね。今すぐにと行きたい所ですが、そろそろ仕事に戻らないといけません。また後日、別の場所でゆっくりと商談をさせていただけないでしょうか?」

 

「いいだろう。連絡はどうする?」

 

「わたしたちの商会の伝書鳩を使いましょう。場所を指定していただければ、そこに鳩をいかせます。手紙を読んでいただいたあとに、そのまま鳩を送り返してください」

 

「わかった。では、ここに鳩を飛ばしてくれ。連絡を待っている」

 

 

そういうと戒斗はタバサの部屋の場所を書いた紙をマホメット氏に渡した。マホメット氏はそれを受け取り、服のうちにしまった。戒斗はその際にタバサの耳元に顔を近づけ、「手紙の内容は後で話す」と耳打ちをした。少々内容が気になったタバサであったが、戒斗からの説明を待つことにした。

 

 

「かしこまりました。では、今日はこの辺で。もしよければ、わたしどもの屋敷に遊びに来てください。精一杯のおもてなしをさせていただきます。」

 

「あ、お父様! それすごくいいアイデアですわ! タバサ様にキュルケ様も是非お越しください! イルククゥ様も誘っていただいて!」

 

 

「あら、あたしは部外者だけどいいのかしら? そのイルククゥって人も知らないし……」

 

「あいつのことは今度紹介しよう……で、タバサ。どうする?」

 

 

「イルククゥ=シルフィード」という事実を隠蔽するフォローをさりげなく入れた戒斗は、タバサに話を振った。タバサは首を縦に振った。

 

 

「そうか? キュルケ、お前はどうだ?」

 

「ご招待いただけるならぜひ! トリステイン随一の商家のお屋敷……興味がありますわ!」

 

「光栄でございます。では、ルデア。そろそろ戻ろうか?」

 

「はい、お父様……では、皆様。名残惜しいですが今日はこの辺りで……」

 

 

そう言って席を立ち上がった商人の親子だったが、そんな彼らを戒斗は「待て」の一言とともに留めた。

 

 

「……ルデア、お前はこの間の一件で、新しいステージへと踏み出したわけだ。その門出代わりだ。面白いものを見せてやる……」

 

 

椅子から立ち上がり、懐から何かを取り出した戒斗はルデアに向けてそういった。

 

 

「門出……ですか?」

 

「あぁ……なに、そんなに時間はとらせない」

 

 

そういうと戒斗は店の外に出た。このカフェのそばには中央に噴水のある広場があり、よく旅の大道芸人や音楽家が自分たちの芸を披露していた。そんな光景を見ていた戒斗はこう考えていた。この世界でもし自分が踊るなら、その初めての「ステージ」はここだと……

 

自分の居場所を勝ち取り、頂点を極める手段として戒斗はダンスを始めた。ヘルヘイムやロックシードと関わるにつれて、彼の中でその目的は過去のモノとなっていた。だがしかし、ダンスを楽しいと思っていないわけではなかったし、彼なりの愛着は湧いていた。

 

 

何も知らない弱者から卒業したルデアの成長を戒斗は内心とても喜んでいた。そして、激励の言葉だけでなく、自分なりの門出の祝いをしてみたくなったのだ。この世界には存在しない、彼がかつての仲間と共に磨き上げた『強さの証』を手段として……

 

手にした「音覚えの巻貝」を操作し、あらかじめ録音しておいた曲のうち、1つを選択する。10秒後に演奏開始、音量は最大に設定した。噴水を背にし、正面の特等席にタバサ、キュルケ、ルデア、マホメット氏というゲストを向かえ、何かが始まることを感じた通行人の視線を感じながら、駆紋戒斗は高らかにこう叫んだ。

 

 

「……今からこの場所は、俺の……『バロン』のステージだ!! 楽しみたければ勝手に楽しめ!!」

 

 

その言葉が引き金となり、広場に大音量の音楽が流れ出した。その音楽に合わせ、戒斗は舞った。ハルケギニアの音楽にはない電子音とそれに合わせた戒斗のダンスは、広場周辺を完全に支配した。ハルケギニアで主流の男女ペアになって行うワルツや大衆の間で行われている民族舞踊とも違う、荒々しくも気品溢れる彼の踊りに、その場の誰もが目を奪われた。ダンスは見慣れているはずのキュルケやルデアは、最初は呆気にとられたもののすぐに踊りに引き込まれた。タバサ軽くは口を開けたまま、瞬きもせずにじっと戒斗の舞を見つめていた。

 

 

曲がクライマックスを向かえ、戒斗の動きも更に激しくなった。額には幾つもの水滴が浮かんでいたが、ダンスはより洗練された動きになり、戒斗の表情はより活き活きとしたものになった。そして、曲の最後の一節を、戒斗は右手を前に伸ばし、力強く握り締めるというポーズで締め括った。

 

 

「………………………」

 

 

広場は静まり返っていた。広場の中央でこの状況を作り出した戒斗の息を整える呼吸音だけが、静寂の中に響き渡っていた。時間にして2、3分の出来事だったが、周りの観客には一瞬の出来事のようにも数時間にわたって行われていたような錯覚を与えていた。

 

 

「……これはなんとも……興味深いものを見せていただきました」

 

 

そんな賞賛とともに、マホメット氏は目の前のダンサーに向かって惜しみない拍手を送った。彼のその行動によって、凍り付いていた広場の空気が溶け出した。あちらこちらから拍手が舞い上がり、戒斗の付近目掛けて金、銀、銅貨が乱れ飛んだ。

 

 

「す、すごいです! カイトさん!」

 

「やるじゃない、カイト! あんな刺激的なダンス、初めてみたわ!」

 

 

自身が抱いた感想をそのまま言葉にして、ルデアとキュルケは拍手とともに戒斗を称えた。そんな2人の横で、タバサは拍手をすることも空いた口を閉じることも忘れ、ただ先ほどの見事なダンスの余韻に浸っていた。

 

 

 

***************

 

 

「すげぇ……やっぱりすげぇよ、これ! ピカピカ光ってるよ!」

 

 

その日の晩、キュルケから黄金の剣をプレゼントされた才人は、初めてゲーム機を買ってもらった子供のように目を輝かせていた。その横では、ご満悦といった表情のキュルケと不機嫌ここに極まれり、といった表情のルイズ・フランソワーズが彼の表情を見つめていた。

 

ちなみに、今現在彼女たちが居る場所はルイズの部屋であり、学院に戻った直後、キュルケの案で直行していた。部屋の反対側ではいつものように本を読んでいるタバサと、才人たちが購入したボロボロの『喋る』大剣をじっと見つめる戒斗の姿もあった。

 

 

「ちょっと、ツェルプストー……これは一体どういうこと?」

 

「どういうことって、サイトへのプレゼントに決まっているじゃない? で、サイト

……あたしの贈り物は気に入ってもらえたかしら?」

 

「最高だよ! ありがとう、キュルケ!」

 

 

キュルケの言葉にサイトは満面の笑みでそう答えた。その様子が気に入らなかったのか、ルイズは彼を蹴飛ばした。

 

 

「なにすんだよ!」

 

「かえしなさい。あんたにはあのしゃべるのがあるじゃない」

 

「あらあら……嫉妬はみっともないわよ? ヴァリエール」

 

 

キュルケのその一言で頭に血が上ったのか、ルイズはキュルケに食って掛かった。一方のキュルケも、売り言葉、買い言葉といったかんじで、ルイズと平賀才人という少年の取り合いを始めた。

 

 

「……女3人よればなんとやらというが、2人でも十分だな」

 

「だな。俺のことを五月蝿いとかいう資格はねぇってこった……」

 

 

戒斗のそんな呟きに、反応する男の声があった。しかし、この部屋に男性は戒斗と才人の2人しかいない。それも当然である。戒斗の呟きに反応したのは、戒斗の目の前に立てかけられた一本の大剣の発したものであったからだ。

 

 

「……『インテリジェンスソード』というそうだな。魔法により知性を得た武具をそう呼ぶと、昨日読んだ本に書いてあった。冗談かと思ったが、まさかすぐに目にすることになるとは……」

 

「俺からすればおめぇや、『兄弟』のほうがよっぽど珍しいぜ。ハルケギニアとは別の世界から来た使い魔なんて聞いたことがねぇ……」

 

 

つばの部分を器用に動かしながら、意志を持った剣である『デルフリンガー』はそう応えた。

 

 

「兄弟か……その兄弟がなにやら、修羅場に巻き込まれているが、お前は助けなくていいのか?」

 

「ハッ……赤いにいちゃんよ。俺は剣だぜ? 『使い手』である兄弟に握られているならともかく、あいつは今俺を必要としちゃいねぇ。それに小便臭ぇガキの喧嘩なんぞにいちいち構っていられるかってんでい!」

 

「……それもそうだな……タバサ?」

 

 

ふと、タバサに視線を移した戒斗はタバサが先ほどから開いた本を1ページも捲っていないことに気がついた。視線も本ではなく、ただ正面をぼーっと見つめているだけのようだった。

 

 

「…………なに?」

 

ようやく戒斗の視線に気がついたタバサが返事をする。

 

 

「どうした? さっきから少し様子がおかしいぞ?」

 

 

そう、広場での一件からタバサはどことなく上の空だった。普段あまり話さないとはいえ、相槌すらも適当になるというのは中々ないことだった。学院に戻った段階でキュルケに気づかれない様に戒斗と会話したシルフィードも、「さっきからお姉さまの様子がおかしいのね……変なものでも食べたのかしら?」と心配そうにしていた。

 

戒斗の言葉を受けたタバサは、しばらく黙っていたものの、10秒ほど経ってからポツリと一言呟いた

 

 

「…………すごかった………」

 

「……俺の踊りのことか?」

 

 

戒斗の言葉にタバサは頷いた。何故か手に持った本で口元を隠しながらである。

 

 

「……初めて父さまと母さまのダンスを見たときみたいだった。雰囲気や音楽は全然違うけど……とにかくすごかった…………」

 

 

ほんの少しだけ、よく知った者しかわからないような変化だが、今のタバサからは年相応の女の子らしい表情をしていた。それを知ってか、知らずか……戒斗は問いかける。

 

 

「……ダンスは好きなのか?」

 

「好きだった……でも、昔のはなし。今のわたしにはやることがある」

 

 

そう言って彼女は再び読書に戻った。その表情は再びいつもの無表情に戻っていた。自分の使命を再認識したのだろう。だが、戒斗にはそんな彼女がとても危なっかしく見えた。そんなとき、ふと彼の頭に先日キュルケから言われた言葉が浮かんだ。

 

 

『恋や遊び……なにか楽しいことでもしてリフレッシュしないと、いつかくたびれちゃうわよ?』

 

 

顎に手をあて、目を閉じてしばらく考えを巡らせた戒斗は、再び少女に問いかけた。

 

 

「……タバサ、ダンスを覚える気はないか?」

 

 

質問をされたタバサは、本から目を離し、きょとんとした表情で戒斗を見つめた。

 

 

「……あなたの踊りを? わたしが?」

 

「そうだ。無論、考えあってのことだ。運動による体力づくりと身体を動かすことでの気分転換だ。読書で知識を得ることも大切だが、心身ともに鍛えることも必要だ」

 

 

この言葉にタバサは悩んだ。体力づくりという側面では戒斗の言うことも一理あるが、今の自分に気分転換をしている暇などあるだろうか……しかし、考えれば考えるほど数時間前の光景が鮮明に頭に蘇った。

 

動画で見るのとは全く違う、駆紋戒斗というダンサーの踊りは、タバサの心にそれほどまでに深く焼きついた。幼き彼女が宮廷で開かれた舞踏会で両親の踊るダンスを初めて見たときの感動に匹敵する見事なダンスだった。

 

あの頃はいつか自分もそんなふうに踊ってみたいと一人きりの部屋で1人舞い、また魔法の練習も兼ねて人形を踊らす特訓をしたものだった。そんな過去を思い出したからか、タバサの心は数年前のお転婆で有名だったころにほんの少し戻ることが出来た。。

 

 

「……教えて欲しい……」

 

 

小さな、ほんとうに小さな声でタバサ、いやシャルロットはそう答えた。

 

 

「任せろ……だが、教えるからには厳しくいくぞ。あのダンスは俺だけのものではない。俺を慕うやつらと一緒に作り上げた『チーム バロン』としてのダンスだ。中途半端に教えでもしたら、あいつらに顔向けできん」

 

「わかった……お願いする……」

 

 

そういうと彼女は再び本に視線を戻した。だが、その顔は親しい人物でなくても、小さな笑みを浮かべているように見えた。

 

 

『……それでいい。たまには笑え……今のお前にとっては『弱さ』だとしても、それは忘れてはいけないものだ。おまえは『怒り』でしか動けない『人形』じゃない……『優しさ』を持った『人間』なんだ……』

 

 

彼女の表情を見た戒斗は、心の中でそう呟いた。目の前の少女が過去の自分のように、『怒り』や『憎しみ』に囚われ、『優しさ』を捨て去ってしまわないように……駆紋戒斗という男のそんな想いがこもった言葉だった。その表情は、兄が妹を見守るときのようなとても穏やかなものだった。

 

 

***********

 

 

「……なぁ、戒斗さんよ。なんで俺はこんなことになっているんだ?」

 

「……俺に聞くな。強いていうなら、貴様の優柔不断さが招いた結果だ」

 

 

数分後、口喧嘩がエスカレートしたルイズとキュルケは才人、戒斗、タバサを引き連れて中庭へとやってきた。当初二人は口を揃えて、「決闘よ!」と叫んでいたが、才人の「危ないからやめろよ……」という声で、少し冷静になったようだ。

 

そこで二人が思いついた決闘の方法が、才人を本塔の屋上からロープで吊るしたうえで逆さ吊りにして左右に揺らし、そのロープに魔法を当てて切るというものであった。なお、落ちた才人はタバサがレビテーションの魔法で回収する予定である。いつのまに呼び出したのか、シルフィードの上でいつものように本を読んでいた。

 

 

「だって、あいつら2人のどっちか選べって言うんだぞ! お前なら選べるのかよ!?」

 

「少なくともどちらか1人を選んでおけば、墜落死一歩手前にはなっていなかったろうな。まぁ、安心しろ。タバサの腕は確かだ」

 

 

戒斗の視線を感じたタバサは本から目を離さずに、サムズアップのジェスチャーをとった。

 

 

「だといいんだけどな……って、ウォアアアッ!!?」

 

 

その次の瞬間、才人の傍の壁が突如として爆発した。何かが飛んできて、ぶつかったとかそういう話ではない。何の脈略もなしに壁が爆発し、大きなヒビが入ったのである。

 

 

「殺す気かーーーッ!?」

 

 

爆風に煽られながら、才人は怒りで声を荒らげた。下を見るとルイズが杖を向けて、憮然とした様子で立っていた。キュルケは腹を抱えて笑っている。

 

 

『……今、全く熱を感じなかったぞ。魔法は全て4つの系統のいずれかに属すると聞いたが……今の『爆発』はなんの系統なんだ?』

 

 

戒斗がそんなことを考えていると、キュルケが左右に揺れるロープに、一発でファイアーボールを命中させた。落下する才人にタバサが即座にレビテーションをかける。

 

「あたしの勝ちよ! 残念だったわね、ヴァリエール!」

 

 

キュルケが勝ち誇ったように高笑いをし、ルイズはがっくりと膝を落とした。

 

 

「どうでもいいけど、まずはこのロープをといてくれ!」

 

「ええ、喜んで……って、えっ!?」

 

 

才人に駆け寄り、ロープを解こうとしたキュルケだったが、背後に何かの気配を感じて振り返った。彼女は目を疑った。全長20メイル以上ある巨大な土人形、「ゴーレム」が突如として背後に現れたからであった。

 

 

「きゃあああああ!?」

 

「って、おい! これ解いてくれよ!」

 

 

ゴーレムを見たキュルケは悲鳴を上げて逃げ出したが、一方の才人は縛られたままだった。地響きと共にゴーレムの巨大な足が才人に迫りつつあった。

 

 

「ちょっと、なんで縛られているのよ!」

 

「お前が縛ったんだろうが!……おい、やばいぞ!」

 

 

我に返ったルイズが駆け寄るも、硬く結んだロープは中々解けなかった。ついにはゴーレムの足がルイズと才人の頭上に迫った。このまま踏み抜かれれば、間違いなくあの世逝きである。2人は反射的に目を瞑った。

 

 

その瞬間、間一髪のところでシルフィードが2人を回収した。足に掴まれ、ぶら下った二人をタバサがレビテーションの魔法でシルフィードの背に上げた。

 

「た、助かったよ……な、なんだよあれ……」

 

「わかんないけど……巨大な土ゴーレムね。あんな大きさのゴーレムを操れるなんてトライアングルクラスのメイジに違いないわ」

 

 

険しい表情でルイズはそう言った。目の前ではゴーレムが本塔の壁にパンチを繰り出し、城壁を破壊していた。

 

 

「そうなのか……っていうか、お前さっきなんで逃げなかったんだよ?」

 

「なんでって……使い魔を見捨てるメイジはメイジじゃないわ」

 

 

才人を見ることなくルイズはそう言い切った。その時のルイズはとても眩しかったと才人は感じた。

 

 

「……ん? そういえば戒斗はどこいったんだよ!」

 

 

 

才人たちをシルフィードが救出したときとほぼ同じタイミングで、戒斗はシルフィードの背からゴーレムに向かって跳躍し、背面にへばりついた。その後、動きが落ち着くまでしばらくそのままだったが、壁を破壊したのちに動きが止まったことで一気にゴーレムの背を駆け上がった。

 

頭の横まで登ったところで、ちょうど穴から出てきた黒いフードの人物と鉢合わせした。顔はよくわからなかったが、体格からして華奢な男か女だと判断した。手には紺色に塗装された木製の大きなケースを抱えていた

 

 

「貴様の目的は知らんが、盗人を見逃す理由もない。そいつを置いて……何ッ!?」

 

 

戒斗がそう言った瞬間に、盗賊の口元が歪んだ。次の瞬間、戒斗が捕まっていたゴーレムの左腕が丸ごと土に戻り崩れ落ちた。バランスを失った戒斗はそのまま地面に落下する。

 

 

「クッ……舐めるな!!」

 

 

だが、その土壇場で戒斗はポケットからサンクのカードを抜き取り、盗賊に向かって投げつけた。カードは勢いよくケースに突き刺さり、驚いた盗人はそれを取り落としてしまった。落下する最中に戒斗の目にはケースの中のものが一瞬映った。それは戒斗を驚愕させるものであった。

 

次の瞬間、タバサのレビテーションの魔法がかかり、空中で体制を立て直した戒斗は地面に鮮やかに着地した。あたりはゴーレムの左腕が崩れ落ちた土でグシャグシャになっていた。ゴーレムは戒斗たちを無視するかのように、城壁を跨いで学院の外へと歩き出した。

 

 

「タバサ! そいつを追え!」

 

 

戒斗の叫びに、タバサも頷いた。だが、数分後草原のど真ん中でゴーレムは土となって崩れ落ちた。崩れた場所に降り立ち捜索したが、盗賊も学院から奪われたケースも取り戻すことはできなかった。そんな結末を後で知ることになった戒斗だが、盗人が持ち出したケースの中身を見た彼は、呟かずにはいられなかった。

 

 

「……何故、あれが学院に保管されている……間違いない。あれは『ドライバー』と『錠前』だ…………」

 

 

第9話に続く

 




0718 細部修正

1101 ダンスシーンに入る前の部分を少し補完

1113 鎧武外伝2の内容を踏まえ、加筆

1219 細部修正 加筆

160708 追記 戒斗が地球に戻ることに肯定的なシーンを書いたが
        その部分に違和感を感じたため

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