ーサラ・ヒューイットー
2学期が終わりました。
2学期中、ネギ君は「
私は来るだろうと思っていたので、驚くことはありませんでしたが、怖い目にあった本屋ちゃんやせっちゃん、
まあ、まさか元敵の幹部が女子中学校の先生をしにくるとは思いませんよね。
授業に関してはやはりというか、結構なスパルタでしたが。
それと2学期早々にネギ君は委員長さん、那波さんと仮契約を済ませてました。
それも「火星緑化計画」のためなんですけど。
特に委員長さんのカードの能力は「アポなしでどんな人物とも面会できる」という代物です。
日本の総理だろうが、アメリカの大統領だろうがカードの能力の前では皆平等と。
強力すぎですよ、その能力。
那波さんのカードはネギでしたね。
そのネギを体育祭でお尻にブッ刺されたネギ君は、相当苦労してましたが。
本人はよく覚えてないみたいですが、世の中には忘れていた方が幸せなこともありますよね。
テストについては、なんと
それもそうでしょう。
小テストや抜き打ちテスト、居残り授業を繰り返していれば、嫌でも成績が上がるというものです。
授業自体も厳しく、私語がばれたらチョークが尋常じゃない勢いで飛んできて、廊下にバケツを持って立たされます。
ここら辺はフェイトがインストールした教師の仕事が、こういう感じだったのかもしれませんが、チョーク飛ばすとか廊下にバケツで立たせるって、ちょっと時代が古いですよね。
とりあえず、こんな感じで元々成績が良かった者以外は、随分追い込まれたみたいです。
特にバカ
あ、アスナちゃんは免除でしたね。
計画推進のため
それ以外の4人は頑張らさせられてました。
でもまき絵ちゃんはテストの点数が上がっているんですよね。
勉強が楽しくなってきたと言っていたので、まだまだ伸びるでしょう。
夕映ちゃんもネギ君の計画に参加するために、勉強を頑張ってるそうです。
いやぁ、恋する女の子は強いですね。
他のメンバーである長瀬さん、古ちゃんもそれなりに頑張ってはいました、あくまでそれなりですが。
その辺はやはり武闘派というところなんでしょうか?
偶々麻帆良に戻ってきたネギ君はこの結果を喜んではいましたが、フェイトにやられたのがちょっと悔しかったのか、教師としての教育方針を一時期悩んだみたいです。
私としては、フェイトという鞭だけでは皆が保たないので、たまにネギ君という飴が必要だと思うんですけどねぇ。
それに教え方なんて、それこそ人それぞれで自分に合ったやり方をするべきなんですよ。
合わないやり方なんて続きませんからね。
そのネギ君はというと偶に麻帆良に戻っては、教職員寮で親子水入らずの時間を過ごしてるみたいです。
以前はナギさんが男の料理を作っていたそうですが、最近はアリカさんが五月ちゃんに料理を習って、その料理を振舞っているんだとか。
師が五月ちゃんだからか、アリカさんの飲み込みが早いのか、王族で料理をしたことのなかったはずが、ずいぶん上手になったと五月ちゃんも褒めてました。
それとアリカさんは母親らしいことをしてあげたいという思いが強く、ネギ君をとても甘やかしているそうで。
ナギさんはナギさんで父親らしいことをしてあげたいと思っているので、ネギ君争奪戦も稀に起こるなんて聞きました。
まあ、10年の間離れ離れになってたんですから、そういう風になりますよね。
日本では川の字になって布団に寝ることもあると教えてあげたら、早速実践したらしく、とても喜んでくれました。
家族の距離が縮まったんだそうで。
これでネギ君のやる気も増やせるなら安いものですよ。
そして、私は終業式が終わってすぐに、運動部4人組と一緒にカラオケに来ました。
ここ最近はエヴァちゃんの別荘に籠もりっぱなしだったので、偶には遊ぼうと誘われたわけです。
どうして別荘に籠もりっぱなしだったのがバレたかというと、亜子ちゃんがこのちゃんに治癒魔法を習うようになったからなんですよね。
このちゃんは別荘で治癒魔法について研鑽し、それに付き合う亜子ちゃんにバレてしまったと。
その結果、
「ずっと別荘におって、遊ばんなんてあかん!サラちゃん、カラオケ行くで‼︎」
という亜子ちゃんの説得?によってカラオケに来ました。
「今日は歌いまくるからね!」
「私何歌おうかなー?」
「私は聞いてるだけでいいよ」
「アキラも料金払ってんやから、歌わなあかんて。サラちゃんもやで、はい」
といって亜子ちゃんから渡されたのはタッチパネルの端末です。
これで曲を選択して親機に送信すれば予約ができるんでしょう。
カラオケなんて初めてですから、何を歌うか迷いますね。
その間にも祐奈ちゃんとまき絵ちゃんは曲をドンドン入れて、バンバン歌ってます。
私は誰もが知ってるだろう、60年代に活躍したイギリスのロックバンドの曲を予約しました。
「サラちゃん随分昔の歌選んだね〜」
「あ!私もこの曲知ってる‼︎」
祐奈ちゃんの言う通り確かに古い曲ですが、誰もが耳にしたことがある曲ですから、カラオケの選択としては間違いではないでしょう。
実際、歌い上げてからの4人の反応も上々でした。
「サラちゃん、上手いじゃん!」
「ホント上手だよ!美砂はコーラス部に入ってるから、カラオケも上手いんだけど、サラちゃんも負けてないって」
「うん、ヒューイットさん上手だったよ。本当にカラオケ初めてなの?」
「やっぱサラちゃん誘って正解やったな」
「いやぁ、お粗末様でした」
拍手までもらってしまったので、思わず恐縮してしまいます。
祐奈ちゃんとまき絵ちゃんは私に負けるなとばかりに歌い始めます。
不意に両隣を亜子ちゃんと大河内さんに挟まれました。
「なぁ、サラちゃん。夏休み明けてからウチらのこと避けてへん?」
「特に私と亜子のことを避けてるような気がするんだ」
ゔっ…。
避けてたつもりはなかったんですが、後ろめたい気持ちはありました。
なんせ奴隷解放するなんて決めてたのに、結局ネギ君任せにしてしまったんですから。
そういう気持ちが態度に出ていたのかもしれませんね。
ここは正直に話しましょう。
「避けていたつもりはなかったんですが、2人に対して申し訳ないという思いはありました。それが避けるような態度になっていたのかもしれません」
「何で申し訳ないって思てたん?」
「実はネギ君が2人と夏美さんを奴隷という立場から解放するよりも、早い段階で100万ドラクマを貯めていたんですよ。ただ、早く解放したらネギ君の新技開発が出来ないのではないかって思ったんです。私は未来予知みたいなことができたので、3人が奴隷になることも知ってて、あえて何もしなかったんです」
「でも、ヒューイットさんが未来予知ができたのに何もしなかったのは、それが最善だと思ったからなんでしょ?」
大河内さんの言う通りなんですが、
「それでも3人を見捨てたことに変わりはn「もうええんちゃうかな」…え?」
「もう4ヶ月近くそうやって自分を責めてたんやろ?せやからもう許してもええんちゃうかなぁって思うねん」
「いや…、でも…」
「そうだね、亜子の言う通りだよ。それにこうして麻帆良にも帰ってこれたんだし」
そう言ってもらえるのは嬉しいんですけど、それでもって思っちゃうんですよね。
その私の表情を見た亜子ちゃんが
「じゃあ、サラちゃん。ウチとアキラと夏美ちゃんの3人に今度JOJO苑を奢ってや。それでチャラにしよ、な?」
「うん、私もそれで許してあげる。いや、怒ってたわけじゃないんだけど、そう言った方がしっくりくるよね」
随分苦労したはずなのに、それを簡単に「許す」って言えるなんて…。
「あれ?サラちゃん何で泣いてんの⁈」
「あー!亜子とアキラがサラちゃん泣かした‼︎」
「え⁈サラちゃん、そんなにJOJO苑いややった?」
「ごめん、ヒューイットさん。泣かせるつもりはなかったんだよ」
私も泣くつもりはなかったんですが、涙が流れてしまってました。
「いえ、亜子さんと大河内さんにいじめられたわけではないんです。お2人の強さに感銘を受けてしまって、思わず涙してしまいました」
「それならいいんだけどー」
「もう、カラオケだって亜子とアキラが誘おうって言ってたんだから。それなのに2人と話をしてたらサラちゃんが泣いたからびっくりしたよ!」
このカラオケも2人が企画したんだと、まき絵ちゃんがポロッと漏らしてくれました。
ここまで心配してもらえるなんて、私にはもったいないほど素晴らしい友達に巡り会えました。
「亜子さん、大河内さん、まき絵さん、祐奈さん。本当にありがとうございます。今日のことを私は絶対忘れません」
「そんな大袈裟やてー」
「そうだよ。私達は友達なんだから当然だよ」
まき絵ちゃんと祐奈ちゃんもうんうんと頷いてます。
やっぱり、3-Aのメンバーには敵いませんね。
この夜、私はカラオケに行った4人と夏美ちゃんを含めた6人でJOJO苑に行きました。