「ネギ家族3人のほのぼの話をみたい」
というリクエストに応えるべく書きました。
ほのぼのと言えるかわかりませんが
どうぞ読んでください。
ーサラ・ヒューイットー
「それで、放課後に私達を残してお話とはどうかしたんですか?」
放課後の教室には私、アスナちゃん、ちうっちの3人がネギ君のお願いで残されています。
今日は「
その終了間際に相談したいことがあるからと私達3人が残されたわけなんですが、どういうことなんでしょうかね?
「すいません、中々こちらに顔を出せないのに、呼び出しまでしてしまって」
「まぁ、
アスナちゃんは姫御子として、あちらの人が気懸りみたいで授業をできないのもしょうがないという感じです。
実際、ネギ君の代わりにフェイトが超スパルタ教師をやってますから、そんなに問題はない…むしろ、成績が上がっていいということも言えます。
「まさか、そっちの話の相談か?先生、私達じゃその手の相談には乗れないぞ?」
確かにちうっちの言う通り、テラフォーミングとか魔法科学については私達は門外漢ですし、アスナちゃんに至ってはバカレッドです。
この3人が集まる理由がわかりません。
「いえ、計画についての相談じゃないんです。実は家の方で問題が発生して…」
ネギ君によると、計画推進のために魔法世界と
偶に休みをもらって帰ってくると、ナギさんとアリカさんがネギ君を取り合って、バトっているんだとか…。
ネギ君がいない間は仲睦まじい夫婦らしいんですが、ネギ君がいる時は「俺が」、「妾が」となるんだそうで。
確かに、長年成長を見られなかった息子と、少しでも長く一緒にいたいという気持ちは重々承知できますが、そのために夫婦喧嘩をするというのはダメでしょう。
まぁ、そんな感じの夫婦仲をどうにかしてあげたい、と息子としては思っているそうです。
まだ10歳の息子に気を使わせちゃって、亡国の女王と救世の英雄が何やってんだか…。
「それで、私達に相談ってわけね」
アスナちゃんの確認に頷くネギ君。
「先生のことだ。どうせ、親があーだこーだ言ってる間を右往左往しちまってんだろ?何かやりたいことを主張したら、それだけで随分変わると思うぞ」
「千雨ちゃん、ネギは遊び一つでもどうしたらいいかなんて悩むのよ。そういう我儘を言えたらこんな相談なんかしてないって」
「私もアスナさんの言う通りだと思います。ネギ君は、どちらかと言えば自己主張をしないタイプですからね」
苦笑いで呟くアスナちゃんと私の言葉に
「確かに」
とちうっちも納得です。
「そうですね、例えばアリカさんと料理をするならナギさんとお風呂に入る、またはその逆をしてみてはどうでしょう?もしくは3人で料理や風呂でも構いません。家事をするのに順番を作るとか全員でやれば、お2人の喧嘩もなくなると思いますよ」
「そうね。2人が喧嘩を始める前にネギから誘ったらいいのよ。我儘言うよりは言いやすいでしょ」
「あとは3人で川の字になって寝るってのもいいんじゃねーか」
あー、私も小さい頃はそうやって寝てました。
懐かしいですねぇ。
もちろん、こちらに来る前の話です。
「川の字ですか?」
「漢字の川という字の並びになって、3人で布団に寝るんですよ。真ん中にネギ君、両端にナギさんアリカさんですね」
「ありがとうございました!早速今日から実践してみます‼︎」
そう言って、ネギ君は教室を飛び出して行きました。
はてさて、どうなることやら…。
ーネギ・スプリングフィールドー
お父さんとお母さんが僕と一緒にいろんなことをしたい、ということで僕が麻帆良に戻ってくると
「ネギ、手合せするぞ!」
とか
「ネギ、妾と料理を作らんか?」
という感じでいつも何かしようと誘ってくれます。
今まで離れていたので、それはとても嬉しいんですが、その度に
「今からネギは俺と遊ぶんだ!」
「違う!ネギは妾と風呂に入るのじゃ‼︎」
とその時やりたいことを巡って、2人が言い争いになるのだけはどうにかしたかったんです。
ですが、それもアスナさんや千雨さん、サラさんに相談したお陰でどうにかなりそうです。
それを実践するためにも教職員寮に帰ってきました。
「ただいま帰りました!」
「おかえり、ネギ。久しぶりの授業はどうであったか?」
「おう、ネギ!お疲れさん」
「僕がいない間も、みんなちゃんと勉強しているみたいで、授業は問題なく進みました」
「それは何よりじゃな」
「ああ。よし!それじゃ、早速あs「ちょっと待ってください」…ん?どうかしたか?」
お父さんが多分遊ぶぞって誘おうとしてくれたんだと思うけど、それを遮りました。
ここで、教えてもらったアドバイスを実践しないと!
「お、お父さん!今日はちょっと疲れたのでお風呂に入ろうと思うんですが、一緒に入りませんか⁈」
「あ、ああ…いいぜ」
「お母さん!」
「んん?なんじゃ?」
「お風呂から上がったら、一緒に夕飯を作りましょう」
「う、うむ。わかったのじゃ」
そう言って、お父さんの手を引いて脱衣所まで行きました。
「それで、アスナはちゃんと勉強できてんのか?」
お父さんが僕の頭を洗いながら尋ねてきました。
「アスナさんですか?頑張ってるんですが、他のクラスのみんなも頑張ってるのでなかなか…。それにアスナさんは計画の関係で授業を受けられないこともあるので」
「そっか、そういやそうだったな。よし、頭流すぞ〜」
そう言ってシャワーでシャンプーを流していきます。
泡が流れきったのかシャワーの音が止まったので、頭を振って髪の水分を飛ばします。
「ほれ、身体も洗ってやる。しかし、俺の息子が学校の先生になってるなんてなぁ。なんだ?『魔法学校中退だ』っつってた俺に対する当てつけか?」
そう言いながら、お父さんがボディソープを含めたタオルでゴシゴシ洗ってくれます。
「当てつけだなんてそんな…」
「いや、ネギに文句言ってるわけじゃねぇよ。見た目は俺に似てるが、中身はアリカに似たんだな。それとアルに聞いたが、まほら武道会に出たらしいじゃねぇか」
「はい。でも10年前のお父さんには敵いませんでした」
「そりゃ父親としてはそう簡単に息子に負けるわけにはいかねーよ。だが、エヴァの下で修業して、ジャックとも引き分けたんだ。ネギは俺たちのステージまで辿り着いた、胸を張れよ」
もう一度シャワーを使って、身体についてる泡を流してもらいました。
「はい!」
「そんじゃ、湯船に浸かって100数えたら上がりだ」
僕は浴槽に入って、お父さんが身体を洗ってる間に数を数えてお風呂から上がりました。
「お母さん、お風呂から上がりました。夕飯の支度に取り掛かりましょう」
「ああ。じゃが、よいのか?妾と料理をするより、ナギと遊んだ方が楽しいのではないか?」
お母さんが不安そうに僕を見ますが、僕はお母さんとお父さんに僕のことで喧嘩してほしくないので、僕にできることをやります。
「大丈夫ですよ。僕がお母さんを手伝いたいんです。今日のご飯はなんですか?」
「そうか、手伝いよろしく頼む。今晩はカレーにしようと思っておる。ネギの教え子に四葉五月という娘がおるじゃろ?アスナに紹介してもらって、料理を習っておるがあの娘の料理はとても美味じゃな。妾の目標じゃ」
「四葉さんは自分の料理店を出すために頑張ってますから。実際、四葉さんの屋台は毎日大盛況なんですよ」
「目標を掲げ、夢に向かって邁進するのはいいことじゃ。さて、妾達も作り始めるとするかのう」
そう言って、お母さんが冷蔵庫から材料を取り出します。
「妾は玉ねぎを切るから、ネギは人参、じゃがいもの皮剥きを頼む」
「わかりました」
僕も抽斗からピーラーを取り出して、皮剥きを始めました。
「のう、ネギ。そなたが教鞭をとっておる学校は女子中学校なのじゃろ?歳上の、しかも異性の者に授業するというのは大変ではないのか?」
玉ねぎを切りながら、お母さんが学校の様子を尋ねます。
「最初はやっぱり苦労しました。この前の冬、さらに歳上の女子高校生がちょっかいをかけてきたときは、アスナさんといいんちょさんが喧嘩になりそうなところでタカミチに助けてもらいましたから」
「あの物静かだったアスナが喧嘩をしそうになったのか⁉︎それにタカミチとはタカミチ・T・高畑じゃろ?あやつも教師をしておるのか?」
お母さんはアスナさんが随分活発になっていることに驚いてました。
「はい。姫御子だったときは大人しい性格だったかもしれませんが、今のアスナさんはとても活動的で優しいお姉さんですよ。アスナさんが小さいときはタカミチがアスナさんのお世話をしてたらしいんですが、いつからか別々に暮らすようになったらしくて」
「そうか。妾はアスナにも苦労をかけたゆえ、活動的な娘に育ったと聞くと感慨深いものがあるのう」
お母さんは20年前にアスナさんごと封印したことを、やっぱり気にしてるみたい。
ダメダメ!こういう雰囲気が悪くなる話題はやめないと。
「そ、そうだ!お母さん‼︎明日は休みなのでお父さんと一緒に麻帆良の街を見て回りませんか?僕が街中を案内しますよ!」
「そうじゃな。妾はまだ知らないところばかりじゃから、楽しみにしておるぞ」
「はい!」
そんな感じで夕飯のカレーを作りました。
一緒に作ったカレーはとても美味しかったです。
「お父さん、お母さん。今日は僕の部屋にお布団を敷いたので、3人で寝ませんか?」
「ああ、いいぜ」
「そうじゃな。今までそうやって寝たことがなかったから、いいかもしれぬ」
そう言って、ちょっと強引だったかもしれませんが、なんとかお父さんとお母さんの間に入って、川の字で寝ることができました。
「なあ、ネギ?こうやって3人で寝るっていうのも誰かに教えてもらったのか?」
「え⁉︎」
「さすがに妾も気がつくぞ。いつもはナギと妾がネギと一緒にやりたいことを言い争っておったのが、今日はそなたからやりたいことを言ってくれたおかげでそれもなかった。そなたが気を利かせてくれたおかげじゃ」
やっぱり僕の考えはお父さん達にバレてたみたいです。
「はい。実は僕の生徒のアスナさん、千雨さん、サラさんに相談したんです。ひょっとして嫌でしたか?」
「嫌だったなんて言うつもりは全くないさ。ただそれだけ息子に心配をかけてたことを、反省しねーとダメだなって思ったんだよ」
「一緒にいられなかった期間を埋めたい、という思いばかりが空回りしておったんじゃな。ネギ、すまんかった」
「あ、謝らないでください。僕はお父さんとお母さんが一緒にいてくれる、それだけで今幸せなんですから」
そう言ってお父さんとお母さんの手を握ると2人もギュッと握り返してくれました。
以前は怖かった夜もお父さん達が帰ってきてからは強くなくなりました。
でも、今日はいつも以上に安心して眠れそうです。
2016年2月1日 SERIOさん 誤字報告ありがとうございました。