ーサラ・ヒューイットー
ネギ君がテオドラ皇女の魔法球で、「
そろそろネギ君も魔法球から出てくるはず…、ああ、戻ってきました。
私と入れ替わるように運動部4人組が魔法球に入ったので、亜子ちゃん、祐奈ちゃん、まき絵ちゃんとも仮契約を済ませることができたでしょう。
彼女たちの言葉があってこそ、ネギ君も「闇の魔法」を制御できるようになったんですから。
そして、新オスティアから高畑先生とクルト総督の通信も入ってきました。
旧オスティア上空に魔力が集まり始めていて、その魔力の流れは肉眼でも確認できるまでになっているそうです。
そこで「
舞踏会までのあのデカい態度は何処へやらといった感じですが、それも仕方ないでしょう。
いよいよ「
ネギ君が甲板に皆を集めて、作戦を説明します。
本作戦の目的はアーニャちゃんの救出とグレートグランドマスターキーを奪取して、世界再編魔法を阻止し、消された人達を取り戻すことです。
ネギ君は話してませんが、本物のアスナちゃんも取り戻さなければなりません。
現在、
なので、
①バリアを突破、墓守り人の宮殿へ向かう
②守りの薄い宮殿下部から侵入
③アーニャちゃんを救出
④③と同時にグレートグランドマスターキー奪取
⑤ゲートポートから地球へ脱出
という順序で作戦を進めるみたいで。
これだけだと簡単そうに見えますが、④が問題でしょう。
フェイトだけでなく、その従者、デュナミス、月詠が待っていますし、ネギ君達は知る由もありませんがアーウェルンクスの
どの番号がどの属性かは忘れましたが、風のアーウェルンクスはフェイトと戦うので、他の2体は私が請け負いましょう。
さらに、
1.比較的安全空域で待機するフライマンタ
2.宮殿周辺で脱出路を確保するグレートパル様号
3.アーニャちゃんを救出する宮殿突入A班
4.グレートグランドマスターキーを奪取する宮殿突入B班
の4班に分かれます。
私は勿論、突入B班に入ります。
A班は隠密潜入できる人推奨ですが、私は暴れるほうが合ってますからね。
「白き翼の諸君‼︎最後の戦いだ‼︎行くぞ!‼︎」
「「「「「「「「おおっ!‼︎」」」」」」」」
ネギ君の掛け声と共に皆の気合いが入り、それぞれ船内に戻って準備を始めます。
ネギ君もクルト総督と詰めの話をするために、船内へと入りました。
私はまだ甲板である人物のために待機です。
「コレットさん‼︎」
「木偶から送りまひょか」
本屋ちゃんの叫びが甲板に響きます。
来ましたね、
甲板の手摺りに降りてきた月詠に瞬動で近付き、肘鉄を叩き込みます。
「船を至急出発させてください!」
まだ甲板に残っていた本屋ちゃん達にそれだけ言って、私も船外に飛び出します。
肘鉄を喰らった月詠は、周囲の小岩を壊しながら吹っ飛び、一回り大きな岩へと着地したので私も同じ岩に降りました。
「お久しぶりです、月詠さん」
「随分変わった姿をしてはりますなあ、サラさん」
「よく私だとわかりましたね。でも月詠さんに認識されても嬉しくないですねぇ。墓守り人の宮殿で待ってられなかったんですか?」
「サラさんはウチがどーゆー人間かわかってはるんやろ?」
「血と戦が大好きな戦闘狂ですよね。宮殿では大好きな先輩と戦わせてあげますよ、私も邪魔はしません」
京都では私が邪魔して、せっちゃんと戦えなかったですからね。
でも新オスティアでは戦ったはず…、ああ、本気で戦えなかったから楽しみで仕方ないんでしょう。
「嘘吐いたら許しまへんえ」
「ええ、月詠さんの邪魔をする必要性がありませんし、月詠さん程度では私には敵いませんから」
「よう言いはりますなぁ。まあええわ、ネギ君にフェイトはんから伝言があります。『待っている』だそうで」
そう言って月詠がグランドマスターキーを構え、
「まあ、それも辿り着けたらの話やけどな。『億鬼夜行‼︎』」
月詠がグランドマスターキーの力で、召喚魔を大量に喚びます。
それくらいは許しますが、これ以上はグランドマスターキーを使わせませんよ。
グランドマスターキーに魔力の糸を巻き付け能力を発動し、転移をまず封じます。
「っな⁈転移できへん⁉︎」
グランドマスターキーが正常に機能しなかったのに驚いたのか、月詠の動きが止まったので、その隙に瞬動で近付き、掌底で月詠をさらに弾き飛ばしました。
ついでにグランドマスターキーは影の袋に収めます。
これで集まったのは2本、残りは5本ですね。
「何をしはったんや、サラさん?」
グランドマスターキーの異常とそれ自体も消えた理由が私である、と気付いた月詠さんが私を睨みながら声をかけます。
「それは企業秘密です。転移札があれば帰れるでしょう?どうぞご自分の脚でお帰りください」
「っく…」
私が何も言わないとわかっているからか、一言呻いて転移札で逃げて行きました。
後ろでは先に発進するよう呼びかけてたからか、パル様号とフライマンタが余裕を持って発進し、ネギ君も術式兵装「
私も能力発動状態のまま虚空瞬動で近付いて召喚魔の魔力を、魔力の糸も使って吸収しながら、
「リインカーネイション
広域殲滅魔法で数をドンドン減らします。
そろそろこの場を離れないと置いていかれるので、杖を取り出し一気に飛び立ちます。
「
飛びながらも攻撃と糸を使った魔力吸収は忘れません。
パル様号からはせっちゃんも飛び出しました。
ネギ君も相当数敵の数を減らしていますが、どうしても撃ち漏らしが出てくるのでそれを潰していきます。
パル様号とフライマンタはそのまま雲海から飛び出し、旧オスティア上空の魔力流入口まで行くつもりみたいで、スピードを全く落としません。
このままでは旧オスティアに現れた召喚魔に襲われますが、
私もパル様号の甲板に降りたちます。
そろそろ流入口に入るんですが、デカいドラゴンが2匹出てくるんですよね。
ちょっとネギ君の真似をしますか。
「
パル様号に火炎系ブレスを吐こうとしたドラゴンに、「巨神ころし」を突き刺し、
「
内側から「千の雷」でドラゴンを消滅させ、もう一匹もネギ君が消し去りました。
そしてネギ君やせっちゃん、パル様号やフライマンタの警護をしていた皆も船内へと戻ります。
「サラさんはどうして僕の技を使えたんですか?」
魔力流入口が凪いでるとはいえ、それでも圧力が強く揺れる甲板上でネギ君から質問されました。
実は魔法世界に来る前から使えるようになってたなんて言えません。
元からある魔法の合成をするだけですし、原作知識の恩恵ですね。
「それはいずれ教えますよ。それよりも、もうすぐ流入口を抜けますよ」
流入口を抜けて宮殿の上部を通ると迎撃兵器が来ますから、準備が必要になります。
見えてきました、墓守り人の宮殿です。
大きなテラス部分にフェイトとアスナちゃん、アーニャちゃんの姿が見えました。
涼しい顔してこちらを見下ろしてますが、今に見ていなさい。
ネギ君がきっとやってくれますから。
「
宮殿の迎撃兵器が動き始めたので、それを氷の矢で迎え撃ちます。
船も宮殿下部へと向かい始めたので
「
後ろから迫ってくる迎撃兵器の針を私やネギ君が撃ち落としたので、原作より比較的安全に宮殿内に着陸できました。
フライマンタは安全空域で待機だったんですが、外は迎撃兵器が雨霰ですからついてくるしかなかったでしょう。
ですが、ここにはザジさんのお姉さん、ポヨ・レイニーデイさんが待っているんですよね。
なので急がないといけないんですが…
「こんにちは、ネギ先生…」
あちゃぁ、来てしまいましたか。
「バカな…ザジ・レイニーデイだと…?」
龍宮さんだけでなく、他の皆も、この場にいるはずのない存在に困惑してます。
まあ、ザジさん本人は麻帆良にいるんですけどね。
なので、こちらから揺さぶってみましょうか。
「こんにちは、ザジさんのお姉さん」
「ザジさんのお姉さん?なぜサラさんはそう言えるんです…?」
「…なんのことポヨ?」
ネギ君は私の言ってることがわからないといった風に、ポヨさんは何故正体がバレたのかといった表情を一瞬見せましたが、すぐに元の表情に戻ります。
さすがラスボス的存在なだけはありますね。
それでも、その表情を少しでも崩せたんですから僥倖でしょう。
「まず、ザジさんは麻帆良にいるはずです。魔法世界の、しかも墓守り人の宮殿にいるわけがありません。仮に私達と別口でこちらに来たとして、今の今まで音沙汰なしだった理由がわかりません。ネギ君なんて拳闘大会で有名になってたんで会う方法はいくらでもあったでしょう。もし元から敵対する人物だったなら、ネギ君をどうにかするチャンスはいくらでもあったのに、ここに来て相対してるというのはザジさんとそこのポヨさんが別人だと考えれば、しっくりきます。まぁ他にもそれを知っている理由はあるんですが、それは後日話しましょう」
もちろんこれだけベラベラ喋りましたが、その内容はほぼでまかせで、原作知識があるからわかったことです。
ですが、それっぽいことを並べたので、その場しのぎにはなるでしょう。
「もしサラさんの言う通りだったとして、どうするつもりポヨ?」
「私はネギ君が考えている計画を信じてるので、『完全なる世界』の計画には反対させてもらいます。魔法世界の崩壊までは9年6ヶ月だったと記憶してますが、それだけの時間があればどうにかなるでしょう、ネギ君?」
「は、はい!時間だけが問題だったんですが、それだけあれば充分です‼︎聞いているか?フェイト!僕には『魔法世界の崩壊』を止める手立てがある!言葉だけでは信じないだろうから、僕がこの手で信じさせてやる!そこで大人しく待っていろ‼︎」
急に話を振られたネギ君でしたが、魔法世界崩壊までの猶予を聞いて喜色の声をあげます。
「ということですので、私はネギ君の計画推進派です」
「やれやれポヨ。ネギ先生だけでなく、サラさんもここまで危険な人物だとは思わなかったポヨ。こうなっては仕方ないポヨ」
そう言ってポヨさんがアーティファクトを取り出し、目の前が真っ白になりました。