憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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12時間更新2回目です。


第54話

ーサラ・ヒューイットー

 

オスティアの舞踏会から脱出し、今はネギ先生の復活待ちです。

その間に原作通りフライマンタに助けられた本屋ちゃんのところに行って、一応グランドマスターキーの使い方を聞いてきたんですが、予想通り使い方と一言では言い表せないような手順が必要らしく、それをデュナミスから聞きだした本屋ちゃんだからこそ、ちゃんと理解して扱えたみたいで。

私はそこまで出来ないので、さっさと諦めて向こうの鍵を奪って戦力ダウンを計ることにします。

 

グレートパル様号に戻ると、ネギ君もデッキに上がってきてました。

パル様号とフライマンタで通信を取り合って、本屋ちゃんがデュナミスから得た情報を開示していきます。

まず、召喚魔が持つマスターキーが1,000本以上。

3種類あるキーの中で一番簡易タイプであるにも関わらず、これには魔法世界人は太刀打ちできません。

次に「完全なる世界(コズモエンテレケイア)」幹部達が持つグランドマスターキー、簡易版より力を持つものですね。

全部で7本らしいんですが、私がデュナミスの1本奪ったので、あとはフェイト、月詠、3人のアーウェルンクスシリーズが持っているはずです。

残り1本は墓所の主と呼ばれる人が持ってるんでしょうか?

最後にグレートグランドマスターキーが1本。

これが魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の始まりと終わりの、文字通り鍵となります。

これによって魔法世界で消えた人を戻せますし、逆に魔法世界の住人全員を「完全なる世界」に送ることもできるみたいです。

なんにせよ麻帆良に戻るためには、墓守り人の宮殿に乗り込まないといけません。

アーニャちゃんとアスナちゃんを救出しないといけませんし、私の計画も最終段階ですからね。

そのためにはまずネギ君とアスナちゃんの問題について蹴りをつけないといけません。

 

「ネギ君、アスナさん大事なお話があるので魔法球に入ってもらえませんか?」

 

ネギ君は私が切り出そうとしていることに気付いたのでしょう、顔が少し強張ってます。

アスナ(ルーナ)ちゃんは訳がわからないという感じですが、私の言葉に従い魔法球へと入っていきました。

丁度いいところにエロガモも来たので、その首を掴みます。

 

「っな⁈なんスか?サラの姐さん!」

 

「なに、エロガモにしか出来ない仕事を与えると言うのです。ほら、行きますよ」

 

そう言ってエロガモを掴んだまま、魔法球に入りました。

 

「それで、サラ?話ってなんなの?」

 

「私がこれから言うことを信じられないかもしれませんが、あなたはアスナさんではありません」

 

「ちょっ⁈何言ってんのよ?私は神楽坂明日菜よ!それ以外の何だって言うのよ?」

 

アスナ(ルーナ)ちゃんが自分の存在を否定されたんですから、猛然と反論するんですが、自分に「私は神楽坂明日菜だ」という暗示をかけてるんですから、仕方ないでしょう。

だから本屋ちゃんの「いどのえにっき」にも反応しませんし。

 

「ネギ君もラカンさんから聞いたんでしょう?『側にいるアスナは偽物だ』と」

 

「サラさんがどうしてそれを知ってるんですか?」

 

ネギ君も驚いたように声をあげます。

 

「それは後日説明します。今はアスナさんの問題です。この人は自身に暗示をかけて、アスナさんであると勘違いしています。なので、誰も傷付けない方法で正体を確認しましょう。エロガモ、準備をなさい」

 

「ラジャー」

 

そう言って、エロガモは仮契約の魔法陣を描きます。

 

「ネギ君、この人が本当にアスナさんじゃなかったとしたら、どうします?」

 

「仮に、この人がアスナさんじゃなかったとしても、僕にとって大切な人に変わりありません!」

 

ネギ君がそう告げた途端、アスナ(ルーナ)ちゃんの顔が赤くなります。

これなら問題ないですね。

中の人もバッチリネギ君にほの字みたいですから、仮契約も成功するでしょう。

 

「いい返事です。では確認をお願いします」

 

私の言葉に、ネギ君はアスナ(ルーナ)ちゃんとキスを交わしました。

そして、でてきたカードに書かれた名前はルーナちゃん。

 

「まあ、あちらにグレートグランドマスターキーがある時点で予想はできました。私はルーナさん、あなたに危害を加えるつもりはありません。ですから、ネギ君と少しお話をするといいでしょう。そこに隠れた龍宮さん、千雨さん、のどかさんもいいですね」

 

「「「うっ⁈」」」

 

一連の流れを木に隠れて見ていた3人に告げます。

本来は、あの3人がルーナちゃんを拘束するんですが、ルーナちゃんはネギ君に落とされたんですから、彼を介せば情報はスムーズに手に入るんですよ。

余計な波風を立てる必要はありません。

 

「とりあえず、コテージに移動しましょう。話を聞くのはそこからです」

 

ということで近くにあったコテージに移動します。

そこにせっちゃんと長瀬さんもやってきて、この世界最後の1ピース、即ち魔法世界の住人のほとんどが幻想であるということを知ります。

つまり、魔法世界は崩壊に向かっているのに、その住人はほとんど幻想。

だから総督は6700万人を救えと言い、フェイトは12億人を区別なく「完全なる世界」に送り込んでしまえって言うんですが、それがおかしいんですよ。

根本的な問題である魔法世界の崩壊を回避しよう。

そうすれば全員幸せになれるのに、それをしようと思わない段階で思考の放棄です。

言い方が悪いかもしれませんが、両者共たかが知れてますよね。

私もこんな方法思いつかなかったかもしれませんので、あまり馬鹿にできませんが…。

 

「龍宮さんは問題ないと思いますが、一応ルーナさんの監視をお願いします。と言いますか、それくらいはしないとあなたは納得しないでしょう?でも喧嘩はダメですよ。それ以外はネギ君に関するお話です。また外に出ましょう」

 

ネギ君を連れ出そうとした時、ルーナちゃんがネギ君の服の裾を赤い顔で掴んでました。

完全にネギ君の被害者ですね、本当にありがとうございました!

ネギ君、将来誰かに刺されるかもしれませんよ…。

 

「魔法世界の危機について気になるかもしれませんが、先にネギ君の問題を片付けましょう」

 

「ああ、先生の身体をどうにかしないと話にならないからな」

 

ちうっちが私の言葉に賛同してくれます。

 

「頼まれていた『闇の魔法(マギア・エレベア)』の巻物(スクロール)です」

 

「悪ぃな、桜咲」

 

せっちゃんがネギ君に巻物を渡して、ネギ君はそれを開きました。

いやぁ、懐かしいですね。

一月以上前に私もお世話になってたんですよね。

そして、巻物からでてきたエヴァちゃん(コピー体)はというと、マッパでソファーに寝そべり、ポテチを食べながらレトロゲームを堪能するという自堕落な生活を送っていたみたいで。

なんだかなぁ…。

 

「おわあっ⁉︎何だ貴様ら」

 

「いやいや、あなたが何やってんですか?」

 

「む?貴様は新顔だが、その雰囲気は…」

 

あー、やっぱり私が人間やめてることに気付いたでしょうか?

ここでそれを話されては困るので話をそらしましょう。

 

「ラカンさんが『完全なる世界』に消されまして。さらにネギ君の『闇の魔法』が暴走しつつあるので、それを制御できるように訓練してください」

 

「師匠っ!お願いします‼︎」

 

「ラカンが逝ってしまったか…よかろう。だが私にとってもこれは初めての試みだ。極めて危険で成功するかもわからぬ。それでもか?」

 

「ハ…ハイ!」

 

「闇の魔法」を暴走させるのは、私がいるので初めてではないんですが、ここにいるエヴァちゃんはネギ君がイメージしたエヴァちゃんだから、私のことも覚えてないんでしょうね。

 

「それと…巻物の再生はこれが最後だ今から私の最後の授業となる。わかったな⁈わかったら心してかかれ‼︎」

 

「ハイ‼︎」

 

巻物の再生が最後というのは、巻物自体がもう使えなくなるということなんでしょうか?

それともネギ君が再生できるのが、最後ということなのか…。

できれば後者であってほしいものです。

 

「いい返事だ」

 

そう言ってエヴァちゃんが、私の時と同じように左手でネギ君の頭を掴み、暴走を誘発させます。

私の時は跪いたままで乗り越えてしまいましたが、ネギ君は魔物となって暴れまくりですからね。

 

「ネギ君はこれからどうしたいのか、よく考えてくださいね」

 

聞こえているかわかりませんが、アドバイスを出します。

 

「貴様、『闇の魔法』を会得したどころか乗り越えているだろう?なぜ貴様が動かん?」

 

エヴァちゃんに声をかけられましたが、

 

「私が出張るのはネギ君の魂魄が魔素に侵されてからですね」

 

「ほう、そこまでわかっているのに手出ししないのか?」

 

ネギ君はせっちゃんと長瀬さんを相手に、互角以上で戦っています。

 

「ネギ君はちゃんと復活しますからね。私はそれまでの繋ぎでしかありません。ああ、刹那さんと長瀬さんがピンチですよ」

 

「おい、どこに行くつもりだ?」

 

「一応魔法球の外で警戒しておきます。実は私もあなたにお世話になったんですよ。その節はありがとうございました。では失礼します」

 

エヴァちゃんが何か言おうとしてたみたいですが、魔法球の外に出てしまいました。


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