ーサラ・ヒューイットー
オスティア総督府での舞踏会が始まりました。
ネギ君はアスナちゃんと、コタロー君は夏美ちゃんとダンスをしております。
いやぁ、お似合いですよ。
私はというと、いい機会なので美味しい料理をいただきました。
こういう場所で出される料理って、なかなか食べられないような高級なものばかりですからね。
それらを行儀よくパクついてたら、美空ちゃんと出くわしました。
ただ、ルームメイトであるにも関わらず、気づいてもらえなかったのは地味にショックです。
私と認識してもらえないのはもう仕方ないんでしょう…。
それは置いといて、私が高級料理を堪能している間にネギ君は古ちゃんと茶々丸さん、コタロー君は夏美ちゃんと
いつの間にやらって感じだったんですが、私が料理に熱中しすぎたんでしょうか?
いや、そんなことはない!と思いたいですね…。
そしてネギ君は総督の秘書に呼ばれて、この世界の秘密を知るための会談へと赴きました。
同行者は原作と同じ本屋ちゃん、和美ちゃん、ちうっちです。
本屋ちゃんは総督の本心がわかりますし、和美ちゃんは情報分析に長けていて、ちうっちは本物のアスナちゃんがいない今、ネギ君を支える柱という重要なポストを担ってますから、この会談にはおあつらえ向きの面子と言えるでしょう。
それ以外は不向きなメンバーしか残りませんし。
会談に連れ出されなかった私達は、他の舞踏会参加者が来ないような静かなバルコニーに集まって、和美ちゃんのアーティファクト「
最初は映像が不安定でしたが、ナギさんとアリカさんの物語が始まる頃には、映し出される画像も落ち着きました。
ネギ君が踞っているところを見ると、「
次はテオドラ皇女の魔法球で暴走を制御し、墓守り人の宮殿で人外へと無事成り上がってしまえば、ネギ君については問題なしですね。
アスナちゃんについては魔法球で正体を明かすのを手伝いましょう。
本物は麻帆良と魔法世界を繋いでもらう必要があるので、もうしばらくは「
預けておくだけで、すぐに取り返しますよ。
音頭をとるのはちうっちでしょうけど。
和美ちゃんのアーティファクトの映像を見ると、ネギ君と総督の交渉は決裂したみたいです。
「ネギ君と総督の会談は決裂したっ!よしっ、皆ズラかるわよ‼︎打ち合わせ通り小太郎君と
この場を仕切ってるハルナちゃんが指示を出します。
「待ちなさい、それには僕も同行しよう。かの総督とは旧知の間柄でね」
そう言って現れたのは高畑先生でした。
いやぁ、良かったです。
ドネットさんがちゃんと応援を呼んでくれてたみたいですね。
すぐに高畑先生と古ちゃんはネギ先生の救出に向かいました。
私達はグレートパル様号が来るまでここで待機です。
「そこの女ども!動くな‼︎賞金首であるお前達を拘束する。全員、武器とカードを捨てろ‼︎」
なんて、
パル様号がバルコニーまで飛んできて、備え付けた
では私も始めましょう。
「
魔力を少し込めて氷の矢を飛ばします。
この後、「完全なる世界」が攻めてくるのはわかっているので、魔力もそちらから吸収して回復する予定ですから、今多少の消費は問題ありません。
MM兵に対して無双状態を楽しんでたんですが、
「アレは何でござるか⁈」
長瀬さんの言葉に振り返ると、オスティアの巡洋艦が何かの触手に絡まれてます。
これは向こうが攻めてきましたね。
「長瀬さん、運動部4人をマントで隠してください!」
私の言葉に長瀬さんはすぐ反応して4人をアーティファクト『
さすが忍者ですね。
そして私達がいたバルコニーは、直後にデュナミスの巨大召喚魔によって壊されてしまいました。
夏美ちゃんは…ちゃんとコタロー君が面倒見てますね。
「仕方ない、プランBよ!第二集合地点に向かって‼︎そこで拾うわ!」
パル様号に乗ったハルナちゃんの指示で、総督府の地下にある物資搬入港へ向かうことになりました。
私はグランドマスターキーの1本でも奪いに行くとしましょう。
影の
「あのっ…黒いローブの魔術師がっ!なんとか逃げてきたんですが、追ってくるかもしれませんっ‼︎この杖を…カッ…」
「なんとまぁ、丁度いいタイミングだったみたいで」
本屋ちゃんの影から出てくると、デュナミスが本屋ちゃんの首に魔法陣を仕掛けて人質にしているところに出くわしました。
すぐに能力を発動し首の魔法陣の魔力を吸収します。
能力範囲内に本屋ちゃんもいるので彼女のも吸収してしまいますが、少し我慢してもらいましょう。
糸でグランドマスターキーを確保しつつ、魔力を込めた掌底を打ち込みます。
デュナミスは障壁があるから問題ないと思ったみたいですが、障壁の魔力も吸収中なので私の掌底は簡単にデュナミスの鳩尾へと決まり、搬入港出口まで吹き飛ばしました。
能力を解除し、グランドマスターキーを影の袋に押し込みます。
魔力吸収は誰彼構わずですから、混戦になると使いどころが難しくなりますね。
「っく…、障壁は異常なしだと…?貴様、グランドマスターキーはどこへやりおった⁈」
「どこへやったんでしょうね?それよりも…頭上注意ですよ」
と言った瞬間、デュナミスの前に飛び降りてきたせっちゃんが、斬鉄閃でデュナミスを上下真っ二つに切ってしまいました。
「だから言ったのに…。どうします?ここで戦います?」
「よかろう、存分に相手をしてやろうぞ。20年前のようにな。だがここでは些か興が乗らぬ。いずれまた相見えようぞ」
そう言ってデュナミスは逃げていきました。
ひょっとして逃がさないほうがよかったですかね?
まぁ、逃げてしまったのは仕方ありません。
とりあえず、上のフォローに行きましょう。
「長瀬さん、刹那さん。ここをお願いします。私は会場でまだ戦っているでしょう夕映さん達を助けてきますから。のどかさんは鍵の説明をお願いします。皆さん、諦めてはいけませんよ」
それだけ言って、影の転移魔法を展開します。
「わかりました。ゆえをお願いします」
潜りきる直前に本屋ちゃんの声が聞こえたので、そちらを見ると、その目には決意の光に溢れてました。
「ダメです、コレット!」
会場の柱の影へ転移すると、コレットちゃんを庇って、夕映ちゃんが敵に斬りかかっているところでした。
あそこは夕映ちゃんとビーさんの2人がいれば、大丈夫でしょう。
すぐに龍宮さんが援護してくれるはずですし。
私は能力を発動させ、付近の召喚魔の魔力を片っ端から吸収して還していきます。
さらに魔力の糸も使って離れた召喚魔の魔力も吸収し、
「
魔法も使って、とにかく召喚魔の数を減らします。
「神楽坂‼︎離脱するぞ!春日達も一緒に来い!現実世界へ戻れなくなるぞ!」
龍宮さんの指示で皆が動き始めたので、私も能力を解除し合流します。
「龍宮さん、お久しぶりです」
魔法の射手を撃ちながら声をかけます。
「サラ、お前が私達を此方に送るよう指示したらしいな。これもお前の予想通りか?」
龍宮さんが銃をぶっ放しながら応えてくれました。
「悪い方での予想が当たったというところですね。とにかくここを切り抜けましょう」
会場を抜け出してバルコニーに出ると、茶々丸さんがアーティファクト『
これには700mを超える巨大召喚魔も抗うことができず、一撃で消滅させられます。
私達に気付いたパル様号が此方に迎えに来てくれたので、すぐに乗り込みました。
せっかくグランドマスターキーが手に入ったことですし、使える手札は増やしておくべきでしょうか?
本屋ちゃんなら防御や転移魔法も使えるかもしれませんが、私は詳しい使い方がわかりません。
本屋ちゃんに聞けばいいんでしょうけど、使い方を私がちゃんと理解できるかわかりませんし。
そんな使えるかわからない物に頼るのは嫌なので、せっかくですがグランドマスターキーは奪うだけにして、敵の手数を潰す方向でいきましょう。