憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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第52話

ーサラ・ヒューイットー

 

ストレス発散のためにクルト総督にパンチを1発かましてから、影の転移魔法(ゲート)で隠れ家まで移動しました。

 

「ただいま戻りましたー」

 

「うぉっ⁈誰だこの女?」

 

「ぼーず知り合いか?」

 

トサカさんとクレイグさんが、ネギ君の影から出てきた私に驚いて構えをとります。

そういえば、この人達にはなんだかんだで自己紹介してなかったですね。

 

「初めまして。私の名前はサラ・ヒューイットと言って、こんな(なり)をしてますがネギ君の仲間です」

 

「そうですトサカさん、クレイグさん。構えを解いてください」

 

「ネギ君、ちゃんと総督から招待状も貰ってきましたよ」

 

私の言葉に怪訝な顔をする大人2人。

 

「ぼーず達に襲いかかろうとしたんだろ?」

 

「賞金首に招待状なんざ贈るか?普通」

 

確かにそうなんですが、総督には総督の事情がありますからね。

ネギ君に招待状を渡したところでラカンさんがやってきました。

 

「よぉ、ぼーず。詠春の弟子に出くわしたらしいな?」

 

「「ラカンさん⁈」」

 

ネギ君とトサカさんが驚いたのか、シンクロして声をあげます。

クレイグさんも驚いています。

 

「千の刃の…ホンモノかよ」

 

拳闘士からするとラカンさんって現人神らしいですからね。

トサカさんとクレイグさんに崇拝されてるラカンさんを見て、改めて凄い人なんだなぁなんて思いました。

 

「ラカンさん、丁度いいところに来てくれました。ちょっと『斬魔剣・弐の太刀』をネギ君に見せてあげてくれませんか?」

 

「なんだ、嬢ちゃんもいたのかよ。なら問題なかったんじゃねぇのか?」

 

「ラカンさん、総督が詠春様の弟子というのはどういうことですか?それにサラさんが言った技は神鳴流宗家の青山家所縁の者でなければ使えないはず…」

 

私の言葉に驚いて疑問を投げかけるせっちゃん。

 

「とりあえず、総督からの招待状ってのを開けてみちゃどうだ?」

 

ラカンさんの言葉でネギ君が招待状を開きました。

内容は原作と変わりありませんでしたね。

・舞踏会への招待

・恩赦として指名手配の取り消し

・旧オスティアに降りる際、巡洋艦18隻に護衛させる

・招待を断れば巡洋艦18隻が追手になる

・ネギ君の父と母、世界の謎の答えを知りたければ総督の元に来るように

というものです。

まぁ、「闇の魔法(マギア・エレベア)」の暴走を始めてもらわないといけないので、ここは行くしかありません。

そのかわりと言ってはなんですが、世界の秘密やらはここらで解禁ですね。

 

「決めました、僕が1人で会いに行ってきます。皆さんは先n「もちろん、全員で行きますよ」…サラさん?」

 

「ネギ君は『僕だけの問題ですから、皆を巻き込むわけにはいかない』と思ってるかもしれませんが、既に十分巻き込まれていますよ。それに大事な情報が手に入るところで、皆が行かないという選択をするわけがないでしょう?ラカンさんもタダ飯食べに行きますよね?」

 

「嬢ちゃんにそう言われたら仕方ねぇ。タダ飯食えるのも悪かねーし、俺もついて行ってやろう。それなら安心だろ?」

 

「決まりね!前にも言ったでしょ、地獄の底まで助けに行くって‼︎」

 

というアスナちゃんの一言で舞踏会への全員参加が決定しました。

 

「舞踏会参加も決まったところで、ラカンさん『斬魔剣・弐の太刀』を実演して見せてください。これはネギ君にとって天敵とも言える技ですからね」

 

そう言いながら皆を庭へと連れ出します。

 

「いえ、サラさん。先程も言いましたがその技は宗家所縁の者しか…」

 

「ラカンさんはできますよ、ねぇ?」

 

「まあ、出来るか出来ねぇかで言やぁ出来るな。詠春の見てたから、見よう見まねでいけんだろ。刹那、その剣を俺に貸しな。ぼーずはそこになおって、よく見て身体で覚えろ。あと魔法障壁忘れんな」

 

「見よう見まねって、そんな軽く…」

 

せっちゃんはそんな無茶なって感じで呟いてますが、それが出来るから「生けるバグキャラ」なんですよね。

 

「何言ってんだ刹那?こんくらいお前もやりゃ出来んだろ。『技の格』に引け目を感じんなら、俺が新しい名前を付けてやる。新たな技名は…『今日はお嬢様と初チュー記念日の太刀』だ‼︎」

 

「ちょっとぉー⁉︎見てたんですか?」

 

せっちゃんの突っ込みを無視してイメトレを始めるラカンさん。

そしてイメージが固まったのか、

 

「行くぜぇ‼︎斬魔剣・弐の太刀!今日はお嬢様と初チュー記念日スペシャァァルゥッッ‼︎」

 

ラカンさんが放った斬撃はネギ君の障壁を軽くすり抜け、遠くに浮かんだ岩塊を真っ二つにしてしまいました。

ちょっと掠ったのかネギ君の頭からも血の噴水が出てます。

このちゃんが慌てて治療に取り掛かりますが、私はもう驚くのを止めました。

ラカンさんはやっぱりラカンさんでした。

せっちゃんもまさか本当にラカンさんが技を使うと思ってなかったからか、驚いて固まったままですし。

 

「どうだ、参考になったろ?」

 

「いえ、正直凄過ぎて何がなんだか…」

 

「まあ、あんな感じで障壁を抜けて魔物だけを攻撃できる技ですよ。『闇の魔法』を使うネギ君には大敵でしょう?」

 

「闇の魔法」で人間をやめた私にも、多分よくない技でしょうね。

まぁ、あの斬撃が気で出来ているなら吸収すればいいんでしょうけど、ダメージを受けるかもわからないものに突っ込むなんて馬鹿はしたくありませんし。

 

「とりあえず、舞踏会に行ってそのまま麻帆良に帰るなら、今のうちお別れの挨拶もしておいたほうがいいのではないですか?」

 

という私の一言で皆街へと出かけてしまいました。

私はオスティアでお世話になった人がいないので留守番です。

総督府から届いた女子用のドレスを部屋に入れて皆を待ちます。

寂しくなんかありませんよ!

 

ネギ君達が戻ってきたのは夕方になった頃で、舞踏会の支度で皆大わらわです。

女性は準備が大変ですからね。

狭い室内でドタバタ騒いでいます。

 

「ネギ君は準備終わったんですか?」

 

「はい。まぁ、男子は女性と違って準備はすぐ終わりますから。サラさんはその格好で参加するんですか?」

 

「ええ、私は動きやすい格好を選ばせていただきました。それは置いといて、一つネタばらしをしようと思いまして」

 

「はぁ」

 

「ネギ君は魔法世界(ムンドゥス・マギクス)という異界がどこを依代にしていると思いますか?これがこの世界の秘密の1ピースです。わからなければ、あそこで世界地図を眺めている夏美さんに聞くといいでしょう」

 

私の話をまだ理解できてないような表情のまま、夏美ちゃんの話を聞きに行ったネギ君でしたが、急に茶々丸さんと和美ちゃん、ちうっち、ハルナちゃん、エロガモを呼び出して話し合いを始めました。

これで総督との駆け引きになっても負けることはないでしょう。

私も話し合いに呼ばれるかと思ったんですが、よっぽど気付いた内容が衝撃的だったんでしょうね。

私のことはすっかり忘れてしまったみたいで。

まぁ、意見を求められてもはぐらかすつもりだったんで、呼ばれずに済んで安心してはいますが。

変な先入観を与えて火星緑化計画(プロジェクト・ブルーマーズ)に支障をきたすわけにはいきませんので、ヒントは出しても答えまでは出せません。

これはネギ君の仕事ですからね。

 

そしていよいよ、舞踏会の始まりです。

MM(メガロメセンブリア)信託統治領、新オスティア総督府内の会場へと続く長い階段を登っているんですが…。

階段がダラダラ続き過ぎですよ。

空に浮かぶオスティアでも、さらに山の上にある総督府なだけあって、景色だけはいいんですけどね。

さらに階段を登っていく人々に漂うセレブ感も半端ないです。

華やかさで言えばウチのクラスの面々も負けてはいませんよ。

アスナ(ルーナ)ちゃんとこのちゃん、その他の女性メンバーも煌びやかなドレスで着飾ってます。

特にアスナ(ルーナ)ちゃんはバカレッドなんて言われてますが、やはり「黄昏の姫御子」と呼ばれるだけあってドレス姿が似合ってますねぇ。

女性陣は煌びやかなドレス姿と言いましたが、せっちゃんと長瀬さん、私は動きやすいようスーツを着ています。

この後、「完全なる世界(コズモエンテレケイア)」が攻めてくるとわかっているのに、動き辛いドレスなんて着ていられませんから。

 

「なぁ、先生。あの『世界の秘密』ってヤツ、どうもイヤな予感しかしない。ココで先に進めば、バカバカしくも平和な麻帆良学園の日常に戻れなくなる気がする。後戻り不能地点(ポイント・オブ・ノー・リターン)ってヤツだな。あんた、本当に親父さんのことを知らなきゃダメなのか?あの学園に戻って、私達と楽しくバカやってるだけじゃ、やっぱり…ダメなんだな?」

 

ちうっちの言葉は重みが違いますね。

どうして同じ15歳なのにこんな金言を連発できるんでしょう?

 

「ありがとう、千雨さん。でも、僕はあそこに戻るために行くんです。この世界に…、僕の父や…母が戦い挑んだ秘密があるなら、僕はソレを知らなきゃいけない。ここで引き返してしまったら、たとえあの麻帆良学園に戻っても、僕は一生後悔すると思います。だから、ここは前に進ませてください。僕が僕であるために」

 

本当にこの子は10歳の男の子ですかね?

私がこの世界に来る前にいた10歳の男の子で、自分のことをこんなに考えてる子なんていませんでしたよ。

そんなことを考えていると、ラカンさんが高笑いしながらネギ君に蹴りとパンチを浴びせました。

それを術式兵装なしで避けるんですから、ネギ君も大概ですよね。

私はラカンさんのような本物とやりあえてないので、もっと経験を積まないといけません。

ラカンさんはサラッとネギ君のお母さんの正体を明かしてから、トイレのお通じだと言ってその場を離れようとします。

私もお母さんの正体は言いましたが、その時代を生きた人から直接明かされるほうが説得力があるでしょう。

それを適当に流すところはラカンさんらしいですが、ネギ君に心配をかけずにフェイトと戦いに行くんですから、そこら辺はカッコイイですね。

 

「ラカンさん、頑張ってくださいね」

 

「嬢ちゃんも気付いてんのか?」

 

「いろいろ知ってますからね。ネギ君のことは任せてください」

 

「ああ、ぼーずを頼んだぞ」

 

そう言って、今度こそ行ってしまいました。

 

「サラ、トイレに行くのに頑張ってはないわよ」

 

アスナ(ルーナ)ちゃんが代表して言いましたが、他の女性陣からも非難轟々です。

しかし、なにせ20年前のお尻の拭き残しですからね。

 

「ラカンさんもいろいろあるんですよ」

 

「またサラだけわかったようなこと言って。どうせ何か企んでんでしょ?」

 

「否定はしませんが、別に皆に悪いことをするつもりはないので大丈夫ですよ。それよりも早く会場に行きましょう。夕映さんとの待ち合わせもあるでしょう?」

 

そう言って皆を会場に押して行きます。

ラカンさんはフェイトに勝てないのもわかってはいるんですが、最終決戦で戻ってこれるのでそれで我慢してもらいましょう。


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