ーサラ・ヒューイットー
アスナちゃんの部長就任テストから2週間ちょっと経ちました。
ネギま部(仮)は英国文化研究倶楽部として学園長にも認可をされ、正式なクラブとして活動できるようになりました。
まぁ、最初の活動は
それといつまでも「ネギま部(仮)」というのはイヤだ、というエヴァちゃんの鶴の一声によりナギさんの「
チーム名に由来した白い羽根の形のピンバッジも貰いました。
同時にこのバッジが部員の証であり、MMの中継地点であるイギリスに行くまでにバッジを失くしたら退部となる、という御触れも頂いたのでバッジを貰った時に行われた夏祭りは大変でした。
エヴァちゃんはクラスメイトに対して、バッジを奪うことができたらイギリス旅行に行けるクラブに入れてやる、なんて言いふらしたんですよね。
なので運動部4人組やチア部3人組、鳴滝'sと委員長によるバッジ強奪作戦も原作通りに行われます。
私のところにはチア部3人組がやってきました。
てっきり運動部4人組が来るかと思ったんですが、あちらは本屋ちゃんと夕映ちゃんを追っているのでしょう。
「サラちゃんには悪いけど、そのバッジをいただくよ!」
「私たちもイギリス旅行に行きたいからね!」
「くーふぇとパルはダメだったけど、サラちゃんには負けないよ」
あー、腕に覚えがある人たちをぶつけたんでしょうけど、
ただ私もここでバッジを取られるわけにはいかないので、さっさと逃げますか。
「お三人方、この指を見てください」
そう言って人差し指を頭上に掲げます。
それを見る3人組。
「
呪文を唱えると眩しい光が指先に灯り、3人組も思わず目を閉じてしまいます。
私はそのまま影の
「あれ?サラちゃんいないよ!」
「ウソ⁈どうやって隠れたの?」
「仕方ない、いんちょに報告よ…」
とりあえず私のバッジは諦めてもらえたようですね。
しばらく時間をおいてネギ君たちに合流するとアスナちゃんと委員長が頬を抓り合うようにじゃれてました。
このバッジ強奪作戦はこれで終了ですね。
どのみち「白き翼」のメンバー以外は委員長の自家用ジェットでイギリスまで来るんですから。
委員長達のバッジ強奪作戦から数日経ちました。
ネギ君パーティーや委員長達は海で遊んで、暫くしたら別荘に戻ってくるはずです。
私はというと魔力の効率的な運用法の訓練や回復アイテムの作製、魔力容量の拡大を続けてます。
特に魔力容量の拡大はネギ君達に隠れてやっていたので、魔法世界に行く前の今が最後の拡大チャンスなんです。
だから拡大の方に重点を置いてます。
魔力が大きくて困ることは…回復にかかる時間が長くなる以外はないですからね。
「なんだ、貴様はぼーや達と息抜きに行かなかったのか?」
「エヴァさん、お疲れ様です。息抜きも行きたかったんですが、魔力容量の拡大をしておきたかったので」
「貴様、まだ拡大させるつもりか?そもそも、今度のMM行きは観光旅行みたいなものだろうに…」
エヴァちゃんが呆れたように私を見ます。
ですが、観光旅行じゃ済まない事態が待ってるんですよね。
「残念ながら観光旅行では終わらないですよ」
「また未来視か?」
「はい。申し訳ないんですが、ネギ君達の修業の方をさりげなくレベルアップしておいてもらえませんか?みんなの生存率を上げるためにも」
「そこまでのことが起こるとわかっていながら、あいつらには何も言わないのか?」
エヴァちゃんがニタニタと意地の悪い笑顔を浮かべて言います。
「私が変な発言をしたせいで、私の知る未来から乖離してしまったら手がつけられなくなりますし。幸い、私の視た未来では全員生きて麻帆良に帰ってきますから」
ネギ君は人外になってしまいますが…。
「そのためにも生存率をあげてほしいんですよ」
「貴様、全員『生きて』と言ったな?なぜ『無事に』と言わないんだ?」
エヴァちゃんの目が厳しいものに変わりました。
変な誤魔化しは許さんと言わんばかりですね。
「怒らないでくださいよ。まず、今回の敵は20年前に魔法世界を崩壊させようとした『
「それはぼーやには荷が重くないか?」
「その残党にフェイト・アーウェルンクスがいるんですよ」
「あの白髪のガキか⁉︎」
「はい、ネギ君もその力の差に気付き、ジャック・ラカンさんの元に行きます」
「待て、なぜ貴様があの筋肉ダルマの名前を知ってる?そしてぼーやがなぜあいつのところに行くんだ?」
「ラカンさんの名前を知ってるのは未来視だと諦めてください。ネギ君がラカンさんを尋ねる理由は『
「なんでぼーやが『闇の魔法』を知っている?」
「いや、ネギ君は『闇の魔法』のことを知りませんよ。パワーアップを図るためにラカンさんを訪れたネギ君が、そこで初めてその存在を知るんですから」
「確かに『闇の魔法』の巻物はあの筋肉ダルマに巻き上げられたものだが、そうかあのぼーやが『闇の魔法』に手を出すのか。それが『無事に』と言えない理由か?」
「そうなりますね。ただ、これはネギ君を強くするためには避けて通れない道です」
「そうか…」
エヴァちゃんも流石に複雑そうな顔をしてます。
「大丈夫だと思いますが、ネギ君達に言わないでくださいね。それとアルビレオさんも色々知っていると思うので、図書館島を訪れるといいんじゃないでしょうか?」
「げっ⁈あの古本のところか…」
「いや、無理に行けとは言いませんよ。ただ、私より詳s…「師匠!ただいま戻りました」ネギ君も戻ってきたようで…、げっ⁉︎」
エヴァちゃんが呻いた後に私も呻くことになるなんて。
ネギ君達が戻ってきたのは当然なんですが、アーニャちゃんがネギ君の隣にいます。
蘇るのは私がこの世界に来てすぐの記憶。
そういえばネギ君を迎えにイギリスからアーニャちゃんが来るというのを忘れてました。
「なんだ、サラ。ぼーやの横にいる小娘は知り合いか?」
「あ!サラさん。あの時サラさんが話しかけた時にいたアーニャですよ。アーニャ、この人覚えてる?」
「え?誰だっけ?」
忘れてるよね。
っていうかそのまま忘れてていいんだけど…。
「ほら、僕たちより1年早く卒業した時に話しかけてきた人で、卒業式の最中に3回も名前呼ばれてた人だよ」
「あー!あのボーッとしてた人‼︎」
思い出したんですね…。
そしてネギ君の説明は事実しか言ってませんが、悪意満載なんじゃないかと疑いたくなります。
私のライフはすでにゼロですよ。
「式の最中にボーッとするとは、何事もそつなくこなす貴様らしくないな」
「…その時はちょっと調子が悪かったんですよ」
そもそもこの世界に来たばかりで何が自分に起こったのかわかってなかったんですから。
「こっちのぺったんこな人は思い出したからいいわ。その隣のちびっ子は誰よ?」
アーニャちゃんは私の胸を見てぺったんこなんて評価を下しました。
ぺったんこじゃなくて慎ましいだけです!
ネギ君を他人に取られたくないからと言って、人を胸で判断するなんてあんまりですよ!
それとちびっ子と言われたエヴァちゃんもカチンときたみたいです。
額に井形が浮かんでます。
「ア、アーニャ!サラさんの隣の人は僕の魔法の師匠で、その…エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさんだよ‼︎」
ネギ君も慌てて紹介すると、アーニャちゃんは驚いたようにネギ君に向き直り
「そ、それってあの…『
「えーっと、そうだね…」
ネギ君も苦笑いで肯定します。
「誰がちびっ子だって?」
その言葉とともに肩を叩かれたアーニャちゃんが、錆びたゼンマイを無理矢理動かすようにギギギギと首を動かすと、幻術で大人の姿になったエヴァちゃんが態々目の色も反転させてニンマリと笑っていました。
「ぃいいやあああぁぁぁ!食べられるううぅぅっ‼︎」
と叫びながら逃げるアーニャちゃんにそれを追いかけるネギ君。
「何やってるんですか?エヴァさん…」
「あの小娘が私をちびっ子などと言いおったからな」
「600年も生きてるのに大人気ない」
「貴様だってぺったんこと言われてたじゃないか」
「ぺったんこじゃありません!慎ましやかなだけです‼︎っていうかうちのクラスメイトがおかしいだけですよ!同じ生活をしてるのになんでこんなに差が…」
「ま、まぁ落ち着けよ。まだ希望はあるから、な?」
エヴァちゃんに慰められてしまいました。
「すみません、見苦しいところをお見せして」
「あ、あぁ。気にしてないから、な?」
ここまで慰められるなんて思いませんでした…。
そんなこんなであっという間に出発日を迎え、ネギ君率いる「白き翼」はイギリスへと飛び立ちました。
いよいよ、最後の山場と言える
ここまで来ることができたんですから、詰めを間違えないよう頑張りましょう。