憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

33 / 69
第32話

ーサラ・ヒューイットー

 

麻帆良祭の全体イベントが終わり、後夜祭が始まりました。

今年のイベントが大成功だったからか、後夜祭の参加者は夜10時を過ぎても盛り上がってます。

夕方もイベントで騒いだはずなのに、まだ冷めやらぬ興奮と熱気に包まれています。

 

「よかったですね、(チャオ)ちゃん。イベントが成功に終わって」

 

「何がよかたネ?私はあんなイベントをするために2年間準備したのではないヨ。しかもサラさん、今日は随分邪魔してくれたじゃないカ」

 

「え?私は学園側にチクってないのに、邪魔をしたなんて心外です」

 

私の言葉に対して呆れたかのような顔を見せる超ちゃん。

 

「確かに魔法使い達には密告しないでくれたようネ。でも、礼拝堂前と飛行船近くで多くの田中さんとブチアナを壊していたヨ」

 

「いや、魔法使いとしては仕方ないですよね?」

 

「鬼神の膝から下も消し飛ばしたネ」

 

「あ…」

 

「今『あ』て言たネ!あれのおかげで侵攻速度が大幅に遅くなたヨ!ネギ坊主とサラさんがダメージを与えた鬼神は魔力溜まりに辿り着けなかたヨ‼︎これのどこが魔法使いの最低限ネ⁉︎普通の魔法使いはそんな強引な足止めなんてできないヨ‼︎」

 

確かに拘束具を外したから調子に乗りすぎたかもしれない…。

 

「いやぁ、あんなに脆いと思わなくて…」

 

「嘘はダメヨ!鬼神のバランスを崩した後、下から『雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)』を撃ちあげたのを私知てるネ!あれは周りに被害を与えないように狙わないとできない芸当ヨ‼︎」

 

「ま、まぁ落ち着いて。どのみちネギ君が超ちゃんに勝った時点で強制認識魔法の内容も変わっていたんでしょう?」

 

「そういう問題じゃないヨ!何も手出ししないと言た筈なのに今日1番武勲を上げたのはサラさんネ‼︎」

 

あら?

そんなに派手な大立ち回りをしてしまったんでしょうか?

 

「いくら演出だと誤魔化せるからと言て、膨大な魔力に物を言わせて、バンバン魔法を使い過ぎたのではなかたカ?龍宮さんに魔力を隠してると聞いてはいたが、ネギ坊主よりも大きなものを隠してたとはナ。龍宮さんも驚いていたヨ」

 

「そういえば、龍宮さんから攻撃されるかと思ってたんですが、何もされなかったんですが…。どうされたんですか?」

 

強制時間跳躍弾(Bullet of Compulsory Time Leap)(=B.C.T.L)を無効化しておいてよく言うヨ。龍宮さんは無駄弾を使わないし、私だて意味のないことをさせるつもりはない。無駄だとは思たがサラさんへのB.C.T.Lの攻撃優先度を落としたヨ。でも直後に礼拝堂を攻めたB.C.T.L部隊は全滅。弾倉の弾を暴発させたのも力技だたナ。あんな攻略の仕方をするとは思わなかたネ」

 

超ちゃん、ニコニコしてはいるものの怒ってるんだろうなぁ。

どうも私がベストスコアラーになるほどの働きをしたのが、気に入らなかったようで 。

梅雨払いのつもりだったんだけど、やっぱり暴れ過ぎたことを非難してるのかな?

 

「ひょっとして怒ってます?」

 

「いやいや、全くこれぽちも怒てないヨ。何も手出ししないと言てたのに大活躍だたのだから、流石サラさんだナ」

 

やっぱり怒ってるよね。

さて、どうしたものだか。

ここで関係が拗れて、原作終盤でアスナちゃんが100年の眠りに就いた後、超ちゃんが来てくれないと困るんだよなぁ。

ならちょっとだけ情報開示して、また戻ってくるように仕向けますか。

全部知りたかったら戻ってこいとか言って。

ついでだからこちらのお願いもしてみようかな。

とりあえず話を聞いてもらいましょう。

 

「いやぁ、超ちゃん。申し訳ない。謝罪の証としてB.C.T.Lを無効化した理由をお教えしたいのですがどうでしょう?」

 

「そんな機密事項のような話を私にしていいのかナ?」

 

「どうせここの世界に留まれるのもあと少しで、もうすぐ未来に帰っちゃうんでしょう?他人に言いふらす時間なんてないと思いますが」

 

「なるほど。この辺も含めて未来視で知っていたのカ。ならば私が負けるのも確定していたわけだナ」

 

厳密には未来視じゃなく原作知識だけどこれはまだ話せないかな。

私達の卒業式前に超ちゃんが麻帆良に戻ってこれたら話してあげよう。

 

「私は未来視と言っていますが、これは未来視なんかではありません。詳細はいずれ話します」

 

「いずれとはおかしな話だナ。私は未来に帰るのにいずれ話すなんて機会はないだろう」

 

今から未来に帰ると言って、超ちゃんは戻ってこれないと思ってるんだろうけど、それでは困ります。

絶対戻ってきてやると思わせないとダメなんですが、どう説明したものだか。

 

「とりあえず、簡単な話からしましょう。私の能力は魔力を吸収することです」

 

「いきなりな説明ネ。しかし、吸収とナ」

 

「はい。幾つか例がある魔法無効化(マジック・キャンセル)能力ではなく、相手の気や魔力、魔法で使われた魔力なんかも吸収できる能力です。ここまでくればB.C.T.Lを破った方法もお分かりでしょう」

 

「ああ、B.C.T.Lの発動に必要な世界樹の魔力を吸収したんだろう?魔法使いに対しても随分エグい能力を持っているんだナ」

 

能力の説明はこんなものでいいかな。

次はお願いだけどこればかりはちゃんと伝えないと。

 

「それとこれからはお願いになります」

 

「サラさんが私にお願い?どういうことヨ?」

 

「こればかりは超さんにしかできないことですから」

 

「とりあえず聞こうかネ?」

 

「まず、貴女は100年後の火星からやってきた。そこはすでに魔力が枯渇しており剥き出しの大地で人間には厳しすぎる環境。だから革命を起こすために麻帆良に来た。そうですよね?」

 

「その通りヨ。まぁ失敗に終わったがナ」

 

「本題はここからです。ネギ君はこの夏、サウザンドマスターの情報を求めて魔法世界(ムンドゥス・マギクス)へと旅立ち、魔法世界の秘密を知ってしまいます。これにより超さんが危惧した魔法世界の崩壊はネギ君によって防がれるでしょう」

 

「そうか、この世界ではネギ坊主が救ってくれるのカ…」

 

「ただし、これはネギ君だけの功績ではありません。ネギ君は火星をテラフォーミング化することで、魔力の枯渇を回避しようとしますが、それには長い年月がかかります。そこで当面の魔力枯渇を防ぐためにアスナさんが100年の眠りに就いて、文字通り人柱となります」

 

「っな⁈なぜ、バカレッドのアスナがそこで出てくるヨ?」

 

「誰にも言わないでくださいよ。彼女は黄昏の姫巫女、アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアです」

 

「何⁈それは本当カ?」

 

「彼女は黄昏の姫巫女同様、魔法無効化能力を持ってるでしょう。まほら武道会でもアルビレオ・イマさんが接触してたのを貴女はご存知でしょう?」

 

「確かにそうだが…」

 

「まぁ、それはとりあえず置いといて。ここからがお願いです。100年の礎となったアスナさんを救って欲しいのです。具体的には100年後のアスナさんの元へ行き、ここに戻ってくることですね」

 

「そこはすでに私の住んでた世界とは違う世界、パラレルワールドではないカ!時間跳躍とは文字通り次元が違う‼︎」

 

超ちゃんの顔が驚愕の色に染まってますが、私はそれができることを知ってます。

 

「私の未来視で超さんは並行世界の壁を乗り越えます。それは懐中時計型航時機(タイムマシン)『カシオペア』に似た機械で『渡界機』と呼ばれるものです。それを作って麻帆良に帰ってきてください」

 

「随分簡単に言てくれるネ。並行世界を渡ることすら難しいというのに、その中でこの世界をピンポイントで見つけるのは至難の技だと思うのだがナ」

 

「この世界は私というイレギュラーがいるので見つけやすいと思いますよ。まぁ、私自身は流石に生きてないでしょうけど、その残滓みたいなのがあるはずですから。この世界に戻ってこれたら、私の未来視もどきについてもお話ししますよ。どうです?麻帆良最強の頭脳でも難しいですか?」

 

「やはりサラさんはイレギュラーだたのだナ。まぁいいだろう、その安い挑発に乗てやるヨ。ただし私が戻てこれたらキリキリ吐いてもらうからナ」

 

「それともう一つ、こちらについてもお願いが…」

 

超ちゃんの耳元でお願いをします。

 

「まぁ、それくらいはできなくもない。というか『渡界機』ができるなら問題ないと思うが。どうするつもりかナ?」

 

「まぁ、これは私のワガママみたいなものです。お願いできますか?」

 

「無問題!私がその『渡界機』とやらを作て戻てくるのを首を洗て待てるよろし‼︎」

 

「私の話は終わりです。あとは彼らと話してあげてください」

 

そういう私の視線の先にはネギ君とそのパーティーがこちらに向かってくるのが見えます。

 

「では、また会えるのを楽しみにしてますよ」

 

「絶対戻ってきて、その涼しげな顔を見返してやるヨ!」

 

そう挨拶を交わして私は超ちゃんから離れました。

 

超鈴音(チャオリンシェン)と随分話をしてたみたいだな」

 

「あ、エヴァさんお疲れ様でした。どうでした?弟子の戦いぶりは?」

 

エヴァちゃんはまだ魔力を封印されてないからかチャチャゼロさんとともに飛んでいます。

隣には学園長がいますね。

 

「ぼーやについては及第点といったところか。すでに戦うつもりでいる相手に最初から全力で当たらないのはまだまだ甘ちゃん過ぎる。最後のも自身の魔力でごり押しした感が否めないが、まぁいいだろう。貴様は随分手を抜いていたろう?」

 

「私が暴れたら敵を潰しすぎて、一般参加者のやる気がなくなっちゃいますから」

 

「あの鬼神だって膝から下を潰すとかじゃなく、完全消滅させられたろう?」

 

「それは『千の雷(キーリプル・アストラペー)』を使えって言うんですか?流石にそれは周りに被害が及ぶから無理ですよ」

 

「やはりあの馬鹿でかい魔力はサラ君のものだったんじゃな?」

 

「学園長こんばんは。よかったんですか、全部ネギ君に任せちゃって?」

 

「まぁ、若い者がダメだったら責任を取るつもりではおったよ。それにこのイベントは無事に終わったんじゃ、全く問題ない。それよりもいつの間にサラ君はあんな魔力を手に入れたのかのぅ?」

 

「それについては企業秘密です。普段は指環で抑えてあるので安心してください。実際今は普通の魔法使いと変わらないくらいの魔力しかありませんし」

 

「確かにサラ君の言う通りじゃが、それは学園に仇なさないと判断しても良いのかな?」

 

「ええ、私には私の目的がありますが、学園に損をさせることはしませんよ。むしろネギ君をこっそり守るくらいの感じでいる予定なので、安心してください」

 

ニコニコ笑顔で言い放ってやります。

私は学園に何かしたいとかこれっぽっちも思ってないですからね。

 

「「その笑顔は怪しいぞ(のぅ)」」

 

エヴァちゃんと学園長に突っ込まれました。

 

「まぁまぁ、みんなで幸せになりましょうよ」

 

そう言った時、私の背後が明るくなりました。

そちらを向くと超ちゃんの直上に未来に帰るためのものと思われる魔法陣が光っています。

超ちゃんと目が合いました。

にこやかに手を振ったのに、すごいうんざりした顔を向けられました。

なぜでしょう?

 

「また会おう‼︎」

 

と超ちゃんが叫ぶと同時に光の柱が夜空を貫き超ちゃんは未来へ帰って行きました。

これで麻帆良祭は終わりです。

次は魔法世界の問題がありますが、これからが本番ですね。

私も全開でやれます。

フェイトとその従者はそこまで敵対するつもりはありませんが、それ以外は潰してやりましょう。

今からさらに力をつけて徹底的n、…おっと、危険な思考に陥るところでした。

これは後で考えましょう。

あとは超ちゃんが戻ってきてくれることを祈るばかりですね。




可哀想な超りんでした。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。