憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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ここ最近筆が進むのでもう1話更新します。


第30話

ーサラ・ヒューイットー

 

麻帆良祭2日目、日はとっくの昔に暮れて綺麗な星空が見えます。

まほら武道会を観戦した後はクラスの出し物のパートに戻ったんですが、教室内にはザジさんの眷族で溢れており、お化け屋敷とは別の怖さがありました。

そのあとは世界樹のパトロールをしていましたが、相変わらずカップルで溢れていました。

あの甘ったるい雰囲気は胸焼けしそうな勢いでしたよ…。

警戒区域で告白されたら困るので昨日と同じように区域外まで誘導しましたとも。

龍宮さんみたいな手っ取り早い手段を取らなかったので、疲労度も大きかったです。

明日もパトロールだったら龍宮さんみたいな手段も考えましょう。

 

 

現在は廃校舎の屋上で(チャオ)ちゃんのお別れ会の準備中です。

超ちゃんは明日、歴史改変のための革命を魔法使い相手に起こすつもりなので、明日以降は3-Aに所属できません。

そのため、すでに退学届けを提出したそうです。

それを聞いた委員長が急遽お別れ会を開くと決めて、その準備に追われています。

 

「ねぇ、超りん故郷に帰ったら超包子(チャオパオズ)ってどうなんのかなぁ?」

 

超包子の格安劇旨肉まんによくお世話になる祐奈ちゃんの呟きが聞こえました。

 

「オーナーは確かに超さんですが、五月さんや(クー)さんもいるんですから大丈夫じゃないでしょうか。この後本人に確かめたらどうです?」

 

「そうだよね!超りんに聞けばいいのよ」

 

先程のまるで希望を失くしたかのような顔から一変、ニッコリとした笑顔を浮かべます。

確かに超包子は、麻帆良に住む大勢の財布と胃袋を支えていますからね。

そのオーナーがいなくなると知れば、不安にもなるのも仕方ありません。

超ちゃんが未来に帰るなんて、知るわけがない祐奈ちゃんは少し遠くに離れるだけくらいの意識で、そんな深刻に思ってないんでしょう。

 

お別れ会の準備を終えて、クラッカーを手に待ち構えていると屋上を区切ってたパネルがバタバタ倒れていきます。

倒れたパネルの向こうにはネギ君、せっちゃん、長瀬さんと超ちゃん、茶々丸さん、龍宮さんが向かい合っていました。

 

「「「「「「ようこそ!超りんお別れ会へ‼︎」」」」」」

 

という掛け声とともにクラッカーを鳴らします。

超ちゃんとネギ君は驚いた顔でこちらを見ていますが。

まぁ、超ちゃんへのサプライズパーティーですからね。

こちらの企みは見事成功したわけです。

いつも沈着冷静な超ちゃんが珍しくあたふたしてますね。

委員長の長ったらしく湿っぽい挨拶を省略して乾杯。

しばらく歓談をした後、超ちゃんへのプレゼントタイムに突入です。

みんな思い思いのプレゼントを超ちゃんに渡していくんですが…。

本屋ちゃん、「無人島に持って行きたい本ベスト10」やら「オススメ本ベスト10のセット」とか重いし嵩張りますよ。

夕映ちゃんもオススメの哲学書の原書なんて贈っていいんですか?

委員長は超ちゃんの胸像を準備してました。

陽が暮れてからパーティーを開くと決めたはずなのに、もう胸像をプレゼントできるんですから、相変わらず雪広財閥はスゴいの一言ですよね。

胸像をもらって嬉しいかと言われたら微妙ですけど…。

私もプレゼントを用意しましたよ。

 

「私からはこのネックレスをお贈りします」

 

そう言って渡したのは楕円形のターコイズをシルバーの台座と百合の紋章で固定し、シルバーチェーンを首にかけるものです。

 

「なんと⁈化粧気のないサラさんからこんな装飾品をもらえるとは思わなかたヨ」

 

確かにそんなに化粧はしてないけど、科学に魂を売った超ちゃんには言われたくない。

 

「この石はターコイズという石で超さんの誕生石になります。ターコイズには成功・繁栄・不屈という意味があるそうです。明日は大変でしょうが頑張ってくださいね」

 

私はニッコリ告げますが、超ちゃんは苦虫を潰したような顔を一瞬浮かべ、すぐ笑顔で返します。

 

「ありがとう、サラさん。大切に使わせてもらうヨ。これで明日の成功は間違いなしかナ」

 

「いえいえ、これは明日失敗しても不屈の精神で頑張ってという応援ですよ」

 

「ハハハハハハ」

 

「フフフフフフ」

 

嫌味の応酬で少し周りを引かせてしまいましたかね?

 

「あー、すみません。次のプレゼントを渡す方どうぞ」

 

私の後ろにいたザジさんが超ちゃんにプレゼントを渡します。

 

「意外やなぁ。超りんとサラちゃんがあんな風な喋りするんて思わんかったわ。2人っていつも冷静な雰囲気やん」

 

苦笑いを浮かべた亜子ちゃんが声をかけてくれました。

 

「明日のイベントで個人的な賭けを超さんとしてましてね。これの勝ちは譲れません」

 

本当のことは言えないので誤魔化しておきます。

 

「なるほどなぁ」

 

「超さんから挨拶があるみたいですよ」

 

超ちゃんがステージに上がると世界樹もさらに光って、ライトを消しても足下が見えるくらい明るくなります。

 

「んー、何とゆーか…。正直に言えば、入学した当初、このクラスは能天気のバカチンばかりでどーしたものかと思てたが…」

 

確かにこのクラスはそう言われても仕方ない気はしますが、その潜在能力は馬鹿にできないんですよね。

団結したこのクラスは怖いですよ。

 

「この2年間は思いの他、楽しかたヨ。それにこんな会まで開いてくれて…。今日はちょと感動したヨ。ありがとう、みんな。私はもうすぐ学校を去るが…、みんなは元気で卒業してほしいヨ」

 

この後、超ちゃんの出身はどこかという話になり、本当のことだけど鉄板ネタの火星人の話とネギ君の子孫という話をして、ちょっと湿っぽくなってた場を盛り上げて、お別れ会は夜遅くまで続きました。

 

 

麻帆良祭3日目を迎えました。

昨日はお別れ会で結局午前5時近くまでどんちゃん騒ぎをしていたからか寝不足です。

ネギ君パーティーはエヴァちゃんの別荘で睡眠をとったみたいですが、私は間違って一緒に未来へ行ってネギ君の負担になるわけにはいかなかったので、寮で仮眠をとるしかありませんでした。

今は午前8時半少し前で、そろそろネギ君たちが未来から戻ってくるはずなので、空を見上げながら待っています。

ずっと上を向いているのでちょっと首が疲れてきたんですが…。

ああ、やっときました。

学祭実行委員会の飛行船の近くにネギ君たちが戻ってきたみたいです。

飛行船は飛んでいるのでネギ君たちも当然空の上で、重力に逆らうことなく落ち始めてます。

ネギ君、せっちゃん、長瀬さんは自分で着地する手段があります。

このちゃんもせっちゃんが守るでしょうが、他のアスナちゃん、本屋ちゃん、夕映ちゃん、ちうっち、古ちゃん、ハルナちゃんはそういう手立てがありません。

ネギ君は1週間の時間跳躍で限界寸前のはずなので、ちょっと手助けしましょう。

右手に嵌めた指環を外して「戦いの歌」で身体能力をあげてから瞬動で跳び上がり、さらに虚空瞬動の連続使用で跳躍し、落ちてきてるネギ君たちの背後の高さまで登りつめました。

そして浮遊術で浮かびながら魔力で強化した糸をネギ君たち全員に巻き付けて、重力に逆らうように引っ張ります。

急に力をかけたら、糸が巻き付けた身体を傷付けることになるので、ゆっくり落下速度が落ちるように引き上げます。

落下スピードがほとんどなくなったので私もゆっくり降下を始めます。

ネギ君たちが真下の建物の屋上に着地したのを確認して糸を解除、私も指環をはめなおし其処へと降り立ちました。

 

「みなさんおはようございます」

 

「本当に助かったわ、サラ」

 

「ありがとう、サラちゃん。トマト的にクシャッとならんで助かったえ」

 

「サラさん、ありがとうございました」

 

「あ、ありがとうございます、サラさん」

 

「助かったです、サラさん」

 

「死ぬかと思たアルよ、サラ」

 

アスナちゃん、このちゃん、せっちゃん、本屋ちゃん、夕映ちゃん、古ちゃんからお礼を言われました。

 

「おい、サラ!今日は何時だ?」

 

「なるほど、サラ殿もやはり魔法使いでござったか。これだけの人数を引っ張り上げるとはすごい膂力でござるなぁ」

 

「え?サラちゃんも魔法使いだったの⁈」

 

「千雨さん、今日は学祭3日目で今は朝の8時半過ぎですよ。あれは魔法で身体能力を底上げしたからできたことですよ、長瀬さん。こちらの世界へようこそ、ハルナさん。それとどこか人目のつかない所に隠れたほうがいいですよ」

 

私がそう言うと既に限界だったのかネギ君が倒れます。

 

「ネギ⁈」

 

「ネギ先生!」

 

「魔力を使い果たしたんでしょう。少し休ませれば問題ないですよ。のどかさん、学校の図書室は今どうですか?」

 

「学園祭中、図書関係のイベントは総て図書館島で行われてるので大丈夫だと思います」

 

「じゃあ、図書室に行くわよ!」

 

というアスナちゃんの言葉で全員図書室に移動しました。

 

ネギ君をソファーに寝かせて、これからの作戦を考えます。

超ちゃんの目的は6ヶ所の「魔力溜まり」を2,500体のロボと6体の鬼神で占拠し、それを魔法陣として全世界に強制認識魔法をかけるというものです。

なのでこちらは魔力溜まりを防衛、最悪1ヶ所を守り抜いて、その間に超ちゃんを倒すだけですが…。

私達や魔法使いだけでは戦力が足りなさすぎるので、一般人も巻き込んでこちらの戦力とするしかないでしょう。

あとはその作戦をネギ君が立案できるかどうかですが…、どうやら私の心配は杞憂だったみたいです。

 

「待って、カモ君…。今の作戦じゃ足りないから…」

 

原作通りの作戦をみんなに伝えるネギ君。

これなら問題ないでしょう。

 

「すいませんが私も寝不足なので少し休憩もらいますね」

 

「ちょっと、今から本番なのよ⁈」

 

「みなさんはエヴァさんのところで1日分休んだでしょうけど、私は仮眠しかとれてないんですよ」

 

「うっ…、悪かったわね。っていうか、なんで私達がエヴァちゃんの別荘にいたのを知ってるのよ?」

 

「それは企業秘密です。では私はこれで」

 

そう言って私も空いてるソファーに横になりました。




30話まで達成できました。
まだまだ続くのでこれからもよろしくお願いします。

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