憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

28 / 69
第27話

ーサラ・ヒューイットー

 

学祭2日目となりました。

この後超ちゃん主催の「まほら武道会」がいよいよ開催されます。

昨日のうちに観戦チケットを購入したんですが、今やプラチナチケットになってるらしいですよ。

早いうちに買っておいてよかったです。

昨日の予選が話題になって客も増えたみたいで。

子供先生のネームバリューも効いてるのでしょうか?

なんにせよ客席に向かいましょう。

客席には図書館組4人、那波さんと村上夏美ちゃん、長谷川千雨ちゃんと茶々丸さんの3グループが今の所いるはずです。

1人で観戦はなんだか寂しいのでどこかのグループに混じりたいんですが、図書館組はハルナちゃんがいてまだ関わりたくないですし、那波さんと夏美ちゃんは部活の出し物で長居はできないと昨日言ってたので、ちうっちと茶々丸さんのところですね。

解説席に行くと茶々丸さんと、昨日の予選でネギ君に倒された豪徳寺薫というすごい名前とリーゼントのお兄さんが座っています。

茶々丸さんの右隣にはちうっちもいるので、私はさらに右隣に陣取りました。

 

「おはようございます、茶々丸さん、千雨さん」

 

「おはようございます、サラさん」

 

「…え?おはよう、サラさん。意外ですね、こういう格闘大会に興味あるんだ?」

 

いつも接点がない私に挨拶されて、一瞬驚いた顔をしましたがちうっちも返事をくれました。

 

「普通の格闘大会ならどうでもよかったんですが、今日は参加者の半分が3-A関係者ですからね。クラスメイトとしては応援したくなるでしょう。千雨さんこそ意外ですよ。いつも一歩引いたようなイメージがあったので、こういうお祭騒ぎは苦手なんだろうと思ってました」

 

「確かに人混みは好きじゃないけど、ネギ先生から昨日観戦チケットもらったんで…。しかもこれ、プラチナチケットになってるから、売るのも悪いし。どうせ暇だから見に来たんですよ」

 

「まぁ、千雨さんには万国ビックリ人間ショーになるかもしれませんが…」

 

「ん?何か言いました?」

 

「いえいえ。あ、第1試合が始まるみたいですよ。あのコタロー君はネギ君の友達なんですよ」

 

「へー」

 

ちうっちはこの麻帆良において唯一、樹高270mの世界樹を不思議に思わないという認識阻害がなぜか通用しない人ですからね。

ただでさえ堅実な生活を求める彼女が、この世界には魔法があるなんて非常識にこれから関わらざるを得なくなる…。

彼女にしてみたら迷惑この上ない話かもしれませんが、彼女がいないとネギ君としても困るはずなので仕方ありません。

 

さて、第1試合 佐倉愛衣vs村上小太郎 ですが、一瞬で終わりました。

コタロー君は女の子を傷付けるのを良しとしない性格なんで、原作通り風圧で愛衣ちゃんを吹っ飛ばしてリングアウトにし、10カウントで2回戦進出です。

 

「おいおい、10mも人を吹っ飛ばすってどういうことだよ…」

 

とはちうっちのお言葉。

でもまだまだこれからですよ、ちうっち。

第2試合 大豪院ポチvsクウネル・サンダース です。

まぁ、クウネルさんはナギさんの仲間であるアルビレオ・イマさんですからね。

一般人が勝てるわけもなく…。

危な気など全くなくアルビレオさんが勝利しました。

第3試合 長瀬楓vs中村達也 ですが、こちらも忍者対一般人。

「遠当て」という気弾を放つ技を使える点では、一般人にしてはなかなかやるかもしれませんが、それでも忍者には敵わず。

長瀬さんも2回戦進出です。

第4試合 龍宮真名vs古菲(クーフェイ) クラスメイト同士の対戦ですね。

方や裏の世界でも名の知れた冷酷非道、銃の名手の仕事人、方や一般人としては最強の部類に入る武人。

裏の仕事人と表の武人では、仕事人の方に分があると思いますよね。

実際、龍宮さんは500円玉を武器として投げる「羅漢銭」と呼ばれる技を使います。

銭形平次の銭投げなんですが、あの重たい500円玉ですから威力も抜群です。

古ちゃんも左腕骨折という怪我を負わされますが、辛くも勝利しました。

ですが次の2回戦は棄権ですね。

第5試合 田中vs高音・D・グッドマン です。

いつの間にか解説席にハカセちゃんが座っているんですが、彼女によると高音先輩の対戦相手はT-ANK-α3というロボットで通称「田中さん」だそうで。

だから対戦表にも名前がなかったんですね。

人型ロボットが実用化されてることにちうっちは驚きを隠せてません。

他の人は全く疑問に思わないんですが、これも学園全体にかかってる認識阻害のおかげです。

ちうっちには認識阻害が効かないせいで、周りから一歩引いてるのかもしれませんね。

なんて考えてるうちに決着がつきました。

高音先輩に田中さんのビームが直撃し、外傷はないものの胸をポロリ。

高音先輩が羞恥のあまり田中さんをパンチでリングアウトさせ、10カウントで勝利します。

でも衆人環視の中、ポロリをしてしまった高音先輩はいろいろ失ったかもしれませんね。

第6試合 ネギ・スプリングフィールドvsタカミチ・T・高畑 いよいよ主人公の登場です。

数多の戦いを経験している高畑先生に対して、エヴァちゃんに稽古をつけてもらってるとはいえまだまだひよっこのネギ君が近接戦を仕掛けてました。

ネギ君の小柄な身体と絡みつくようなカンフーの技、エヴァちゃんの修業で身に付けたパワー、スピードが高畑先生を押してます。

そして、ネギ君の必殺技が高畑先生に決まりますが、高畑先生は無傷で再び近接戦を始めました。

しかし、高畑先生は蹴りでネギ君を無理矢理引き剥がし、居合い拳で攻撃を開始。

ポケットから手を出したのがわからないほどのスピードで拳を抜き、気弾ではなく拳圧で攻撃するので察知が困難という技です。

ネギ君ではわからないでしょう。

さらに高畑先生は本気を少し出すみたいです。

 

「左腕に『魔力』…。右腕に『気』…。合成‼︎」

 

これは反発し合う魔力と気をその身に纏う「咸卦法(かんかほう)」と呼ばれる技法で、反発するものを融合するのでその効果は絶大です。

リングが高畑先生の拳圧でボコボコ凹んでいきます。

隣のちうっちはこの状況にいろいろ突っ込みたいみたいですね。

 

「どうかしましたか?千雨さん」

 

「いや、なんでもない…。なぁ、サラさん。私が見ているのは夢だよな?」

 

「まぁ、人が吹っ飛んだり、リングの床板にボコボコ穴を開けるなんて普通は考えられないですよね。では私も千雨さんと同じ夢を見てるんでしょうか?ここにいる他の観客たちも?なんだったらほっぺを抓ってあげましょうか?」

 

「いや、遠慮しとくよ」

 

ちうっちと話してる間、ついに高畑先生の攻撃がネギ君に直撃し、床板にクレーターを作って仰向けで倒れています。

 

「千雨さん、イライラしてません?」

 

「な⁈なんでそんなことを聞くんです?」

 

「『自分には根拠のないアドバイスをしておいて、そんな様を見せずに立ってくれよ』って思ってるんじゃないですか?」

 

「…」

 

「大丈夫です、ネギ君はこんなところで負けはしませんよ」

 

「サラさんは、随分先生のことを信頼してるんですね」

 

「信頼ってほどではないですが、こういう逆境を跳ね返すって、マンガの主人公みたいでかっこいいと思いません?ほらネギ君が立ち上がりましたよ」

 

見ると立ち上がって周りに光の矢9本を遅延呪文(デイレイスペル)として封印、雷の矢9本と風障壁と瞬動も使って体当たりを仕掛けます。

高畑先生も「豪殺居合い拳」という必殺技を放ちますが風障壁で無効化、逆に技後硬直で動けない高畑先生に雷の矢とともに体当たりです。

さらに駄目出しの遅延呪文を解放、光の矢9本とありったけのパンチを高畑先生に叩き込みました。

ネギ君がここまで闘えることに満足したのか高畑先生が10カウントダウンし、ネギ君は2回戦に進出決定しました。

 

「どうでした?千雨さん」

 

「い、いや。まぁまぁだったんじゃないか…。っていうか随分絡んできますね」

 

「茶々丸さんは解説で忙しいですから、必然と話をするのは千雨さんとになるでしょう?それにいい機会ですから千雨さんとも仲良くなりたいんですよ」

 

にっこり笑うんですが、胡散臭いものを見る目で見られます。

私の笑顔ってそんなに変ですかねぇ?

第7試合 神楽坂明日菜vs桜咲刹那 メイド姿のクラスメイト対決です。

メイド服なのは何か紹介するときに押しがなかったからなんですが…。

試合前にアスナちゃんにアルビレオさんが接触してたのでアスナちゃんも「咸卦法」を使えるようになったでしょう。

「ネギ君、コタロー君こんにちは」

 

「あ、サラさんこんにちは。サラさんは出場されなかったんですね」

 

「ヘルマンの時の姉ちゃん⁈」

 

原作通り、ネギ君とコタロー君が解説席横、ちうっちと茶々丸さんの間に来ました。

そういえばコタロー君とこうして面と向き合うのは初めてだったかな。

 

「初めましてコタロー君。私の名前はサラ・ヒューイットです。そうですねぇ…、エヴァンジェリンさんの一番弟子といえばわかりやすいでしょうか?」

 

「げ⁈あの真祖の…」

 

「うん、師匠(マスター)も言ってたけど…。実際に稽古してるところを見たのは操糸術と合気鉄扇術だけなんだよね」

 

「それ以外については、2人にもいずれ見せてあげますよ」

 

「千雨さんも応援に来てくれたんですか?ありがとうございます」

 

「いえ、別に2日目は暇だったんで…。それよりもてめ…、じゃない。先生に聞きたいことがあr…「茶々丸さん仕事お疲れ様です」、おい!」

 

ちうっち被ってる猫がなくなってますよ。

 

「せ、せ、先生も、…その、素晴らしい試合でした」

 

その時会場に歓声が広がります。

色物中学生同士の対戦と思っていたら予想以上の闘いを繰り広げて、かつ激しい動きでスカートの中も見えたので拍手まで起こってます。

そして選手控え席ではエヴァちゃんがアルビレオさんに掴みかかってます。

あれは賭けを持ちかけられましたね。

せっちゃんが勝てばアスナちゃんとナギさんの情報をエヴァちゃんがもらい、アスナちゃんが勝てばエヴァちゃんは猫耳、スク水、メガネ、セーラー服というすごい恥ずかしい格好で試合に出なければなりません。

それなのにアルビレオさんがアスナちゃんに念話でアドバイスしており、せっちゃんをも焦らせる動きをするので、エヴァちゃんは慌てふためいてます。

しかし、アスナちゃんの様子が一変。

持っていたハリセンが剣に変わり、せっちゃんにその刃が迫ります。

が、神鳴流の投げ技で返り討ちにし、アスナちゃんの剣も刃物使用禁止のルールに引っかかったため、せっちゃんが2回戦に進出となりました。

エヴァちゃんはアルビレオさんと何か戯れてましたが急に雰囲気が変わりました。

おそらくナギさんの情報を得られたのでしょう

第8試合 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルvs山下慶一 は開始とともに終了しました。

山下さんはエヴァちゃんのボディ1発でダウンです。

さすが弱ってても真祖といったところでしょうか。

これで1回戦は終了となりました。

ですが、まだ先は長いですね。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。