ーサラ・ヒューイットー
学園祭がいよいよ始まりました。
今日は学祭1日目です。
まずは3-Aの出し物「お化け屋敷」のお化け役の仕事ですね。
2日目の午前と3日目を空けておくために、今のうちクラスのパートのノルマを達成しておく予定です。
それにしても学祭開始早々にも関わらず、ウチのクラスの出し物はかなりの人気みたいで、お客さんの列が途切れるどころかどんどん長くなり、廊下だけでは足りず階段まで伸びていきました。
ビラ配りが頑張っている証でしょう。
お化け屋敷の中も凝った作りになっています。
怖さのレベルで3つのコースが用意されており、「ゴシックホラー」、「日本の怪談」、「学校の怖い話」という順に恐怖度が上がっていくんです。
普通の教室に3つのコースを用意できたのも驚きですが、それぞれのコースも出口までの距離と空間の広さがあるんですよね。
でないと空間を押し拡げるなんてことは2003年の技術では無理でしょう…。
「あーん、ネギ君を案内したら抱きついてもらえると思ったのにぃ。アキラにネギ君取られちゃった…」
「まき絵さん、あれだけのオーラを出してたらネギ君だって逃げますよ」
このお化け屋敷、お客さん1人に案内人として生徒が1人つくんですが、さっきネギ君も桜子ちゃんと祐奈ちゃんに連れられてお客として来たんです。
その時の各コースの案内人が「ゴシック」は委員長、「日本」はまき絵ちゃん、「学校」は大河内さんでした。
委員長もまき絵ちゃんも「こっちにおいで」と言わんばかり、むしろとって食わんばかりのオーラを発していたので、安全そうな大河内さんを選んでいったんですが…。
大河内さんが案内するのは1番怖いコースなんですよね。
案の定、ネギ君の叫び声が聞こえてきました。
お化け屋敷で自分のパートを終わらせ、昼食を摂るための屋台を探しながら世界樹パトロールをやってるんですが…。
いやぁ、告白しそうな人達の多いこと多いこと。
噂話のレベルでは告白成功率の高さがかなり浸透している話なんですが、麻帆良スポーツ新聞やネットの書き込みなんかを見て、告白を実行に移す人が増えたみたいです。
これがリア充ってやつですか、そうですか。
全員爆発すればいいのに!
…失礼、取り乱しました。
まぁ、この辺は世界樹の効果範囲外なので告白しても問題ないんですけど。
それでもなんとなく生きてきたのが悪かったのか、浮いた話なんて全くなかった私からしたら、コンチクショーってなっても仕方ないと思いません?
「ヒューイットさん、大丈夫?なんかすごい目つきでカップルを見てるけど」
「あぁ、すいません。大河内さん。見苦しいところをお見せして」
気付けば大河内さんの部活がやってるたこ焼き屋の前を歩いてたみたいで、あちらから声をかけられました。
いや、本当に恥ずかしい姿を見られてしまいましたね。
「ウチは女子中だから、ああいう風に彼氏と腕組んで歩くみたいな機会はほとんどないからね。ヒューイットさんの気持ちもわかるよ」
「大河内さんは優しくて美人じゃないですか。絶対モテると思いますよ」
「私は背が高いからダメだよ。ヒューイットさんは成績も器量もいいんだから、機会があればそれこそ引く手数多じゃないかな?」
私は大河内さんは超優良物件だと思うんですけどねぇ。
性格も容姿もとても良くて、背の高さなんて問題じゃないでしょうに。
「この話はやめにしましょう。ここで話しても不毛ですからね。それよりもお腹が空いたのでたこ焼きを1パックお願いします」
「そうだね。はい、たこ焼き1パック」
私は代金を大河内さんに渡し、
「また今度、JOJO苑で焼肉食べましょう」
「そうだね。次はヒューイットさんの奢りではなく、みんなでちゃんと出しあうよ」
これは修学旅行から戻ってきたときに、ホテルで行われたトトカルチョで勝ってもらった食券で焼肉屋に行ってきたんですよね。
焼肉久しぶりに食べたんですが美味しかったです。
「では大河内さんも売り子頑張ってください」
「ヒューイットさんも学祭を楽しんできてね」
大河内さんと別れて、たこ焼きを食べながら見回りを続行することにしました。
見回りを終わらせ現在は龍宮神社前に来ています。
本当にバカップルが多かったです…。
本当にバカップルが多かったです!
見せつけるようにあちらこちらで告白しようとしてましたよ。
さすがに世界樹の効果範囲内での告白は阻止しないといけないので、邪魔してやりましたとも。
まぁ、原作の龍宮さんみたいに問答無用で麻酔弾を叩き込むようなことは…、したかったんですがしませんでした。
ネギ君のように効果範囲外まで誘導してやりましたよ。
告白しようとした人も勇気を出したんですから、それを無碍にするのはよくないと思いましたからね。
リア充滅べと思っても、その勇気だけは賞賛し尊重するだけの度量はあります。
そうやってもう何組かわからないカップルの誘導を終わらせ、龍宮神社に来た理由は20年以上前に開催されなくなった伝説の格闘大会「まほら武道会」が、超ちゃんの手で復活したからです。
この大会は呪文を詠唱しなければ魔法使いも参加できるというもので、個人用ビデオカメラなどの記録機器の発達、普及で開催されなくなりました。
魔法をバラすわけにいかない魔法使い側としては当然の措置ですよね。
それを超ちゃんは復活させたんです。
そのために大会側以外は記録機器を使えないような措置がこの大会に施されてるらしいんですが、あくまで大会側以外の話なんですよね。
大会側、というか超ちゃんはドンドン記録して、バンバンネットに情報を垂れ流して、魔法をバラすという目的の布石にするつもりでいます。
いやぁ、魔法使い側は大変ですね。
私はネットでの情報戦では役に立たないので傍観します。
大会にも参加しません。
優勝賞金1,000万円はほしいですが、そんな個人的な欲求で原作ブレイクは勘弁ですからね。
「サラ・ヒューイット、貴様は参加しないのか?」
チャチャゼロさんを連れたエヴァちゃんがやってきました。
「あ、エヴァさんお疲れ様です。私は出ませんよ。こればかりは師匠命令を受けても辞退するつもりです」
「ほう。そこまで言うとは、これも未来視で見ているのか?」
「そうなりますね。この大会でエヴァさんには懐かしい人に会えますよ。それが嬉しいかどうかは別ですが」
エヴァちゃんとは相性が悪すぎるナギさんの仲間アルビレオ・イマさんも参戦するんですが、それは言えませんね。
「ならば楽しみにせずに待つとしよう。じゃあ私は予選に行ってくるぞ」
「はい。どうせ余裕でしょうから頑張らないでください」
「ふん」
私の冗談に面白くもなさそうに息を吐いて行ってしまいました。
まぁ、冗談といっても事実ですし、面白くもなんともないんですけどね。
いよいよ予選が始まりました。
A〜Hの8組に分かれて、各組から2名を選出し、合計16名が明日行われる本戦トーナメントで競い合うという大会形式になってます。
D組では
古ちゃんが予選参加者をバンバン吹っ飛ばしてます。
龍宮さんは何もしてません、サボりです。
と言いますか、龍宮さんが何かする間もなく古ちゃんが終わらせてる感じですね。
B組にはネギ君とフードを被った、いかにも魔法使いです風な男がいます。
このフードの男こそアルビレオ・イマさんなんですよね。
クウネル・サンダースという某真っ白おじさんを彷彿とさせる巫山戯た偽名を使ってるんですが…。
和美ちゃんはこの大会の司会をやってるんですが、ネギ君を紹介している台詞は随分芝居がかっています。
場を盛り上げるためのパフォーマンスですから仕方がないのかもしれません。
B組もネギ君とアルビレオさんで決まりですね。
E組には長瀬さんとコタロー君がいます。
ここもこの2人が本戦に来るのは確定なんですが、予選試合そっちのけで分身の術対決をするのはやめてください。
コタロー君は必死にやって7人が限界みたいですが、長瀬さんは余裕そうに12人になりました。
分身の術は便利そうですよね。
今度教えてもらえるなら習いたいです。
C組ではアスナちゃんとせっちゃんが大暴れしてます。
ですがアスナちゃんや、スカートの中が見えてますよ…。
パンチやキックを食らったわけでもないのに、鼻血を出して倒れる参加者が続出です。
F組はエヴァちゃんと高畑先生が参加してます。
ここもこの2人で決まりでしょう。
高畑先生が居合い拳という、刀の居合い抜きの要領でポケットを鞘にしてパンチを繰り出す技を使い、他の参加者をバタバタ倒してます。
エヴァちゃんは本当に何もしてません。
こちらは確実にサボりです。
全部高畑先生に押し付けてます。
まぁ、エヴァちゃんですから仕方ないとしか言いようがないですね。
あとは「ウルスラの脱げ女」の異名をこの大会で手にする高音・D・グッドマン先輩とその従者である佐倉愛衣さん、超ちゃんとハカセちゃんが作ったロボット田中さん、その他一般の人が予選通過しました。
そして明日の本戦の対戦表が貼り出されます。
第1試合 佐倉愛衣vs村上小太郎
第2試合 大豪院ポチvsクウネル・サンダース
第3試合 長瀬楓vs中村達也
第4試合 龍宮真名vs
第5試合 田中vs高音・D・グッドマン
第6試合 ネギ・スプリングフィールドvsタカミチ・T・高畑
第7試合 神楽坂明日菜vs桜咲刹那
第8試合 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルvs山下慶一
さすがにトーナメントまでは覚えてませんが、多分原作と同じ組み合わせになったでしょう。
3-A関係者多すぎですよね。
特殊な人が集まってますから、これも必然なのかもしれません。
とりあえず1日目はこれで終わりです。
中夜祭もありますが、明日は朝早くから大会の本戦が行われるので、クラスのみんなには悪いですが早目に切り上げましょう。