ーサラ・ヒューイットー
麻帆良祭のクラスの出し物「お化け屋敷」もどうにか完成し、ついに前夜祭を迎えました。
ギリギリまで内装やら服飾やらに手間取り、夜も規則違反そっちのけで泊まりがけして準備したおかげで睡眠不足です。
出し物が決まるまでに時間がかかり過ぎたんですよね。
それで準備の時間も短くなってしまったと。
まぁ、3-Aだから仕方ないと言われたら納得してしまう私は随分毒されてるのかもしれません。
夜間の作業中に本物の幽霊である相坂さよちゃんの存在がクラスにバレて、パニックになったのも作業が遅れた一因とも言えますね。
存在感がなさすぎて今までバレなかったのが今年になってバレたのは、ネギ君が無意識のうちにさよちゃんに気付いて、友達が欲しかったさよちゃんが頑張った結果です。
悪霊と勘違いされて、せっちゃんと龍宮さんに危うく除霊されかけましたが、ネギ君と和美ちゃんのおかげで一命?をとりとめました。
今では和美ちゃんと仲良くなり、いつも和美ちゃんに憑いて回ってます。
そう言えば、出し物の準備中にネギ君はいろんな人から学祭中のイベントのお誘いを受けてました。
わかりやすいところで言えば、ネギ君LOVE委員長の馬術部、まき絵ちゃんの新体操部とか。
他にも美砂ちゃん、くぎみーちゃん、桜子ちゃん、亜子ちゃんのライブ、鳴滝'sの散歩部、
本当にネギ君は大人気ですね。
ネギ君は真面目なので、それでなくても生徒の出し物は見に行くはずですから予定が一杯でしょう。
対して私はこれといった予定がないのが哀しいところです。
今のところ確実なのは2日目の格闘大会観戦と世界樹の警備ですね。
今回の世界樹の警備は通常のものとは違います。
まず、「世界樹伝説」というものがあって、22年に1度ですが願いが叶うという都市伝説みたいなものがあります。
普通は眉唾物となるんですが、世界樹と呼ばれる樹、正式名称「神木・
その魔力が人の心に作用して、告白に関しては120%成就させるらしいのです。
世界征服とかお金が欲しいみたいな即物的な願いは叶わないそうですが、人の心に作用する願いは叶ってしまうので、そう言う願い事を叶えさせないために警備をすることになりました。
確かに好きでない人と呪いのようなもので付き合うことになるというのは嫌ですからね。
世界樹から放出される魔力は世界樹を中心とした6ヶ所に魔力溜まりを形成するので、ローテーションで見張ります。
本当は魔力放出は来年のはずだったんですが、今年は1年早まったそうです。
何があったんでしょうかね?
あとは時間が空いたらクラスの誰かの出し物を見に行きましょう。
それと3日目も予定は決まってますね。
原作通りなら超ちゃんとネギ君が戦うことになるはずですから、それを見届けないといけません。
これについても私は手出しするつもりはありません。
原作と同じように進んでもらわないと私も困りますから。
細かいところが違っても、大まかな流れで原作に沿って進めばいいと私は考えているので、普通の魔法生徒並みに働いて、あとは戦いを最初から最後まで見届けられればいいんですが…。
そうも言ってられない人物が1人います。
今回ネギ君の相手となる
もう少し早い段階で私に接触してくると思ってたんですが、こんなギリギリになるまで待たされることになるとは思いませんでした。
超ちゃんがこっちを見る度ににっこり微笑み返していたので、怪しまれ過ぎたんでしょうか?
とりあえず呼び出されたので、校舎の屋上に来ました。
外は暗くなり始めてるんですが、世界樹は輝き始めてます。
いやぁ、綺麗ですね。
クリスマスツリーみたいに電飾で飾られたわけじゃなく、樹それ自体が輝いてるんですから。
元いた世界ではあり得ない光景ですよ。
「待たせてしまたかナ?サラさん」
「そんなことないですよ、超さん。それでお話とは何でしょう?」
「…」
呼び出したくらいなので、話をどう切り出すかは考えてきたかと思っていたんですが、歴史改変の計画のために下手は打てないけど、私が気になるといったところでしょうか?
なら私から切り出してあげますか。
「『サラ・ヒューイットは何者か』を知りたいのではないですか?」
「…サラさんは3-Aのクラスメイトで、魔法使い。同じくクラスメイトであるエヴァンジェリンの弟子ということは知ているヨ。サラさんの言い方では私がそれ以外にもあると疑ているように聞こえるネ」
まぁ、疑っていても正直に言うはずないですよね。
「超さんが知る歴史に私はいなかった、だから聞きに来たのではないですか?」
「面白いジョークネ、サラさん。でも私が知る歴史とか言てることがわからないヨ」
「そうですか?本当はわかってるんでしょう?私がイレギュラーであるということ。ねぇ、未来の火星から歴史改変のためにやってきた、超鈴音ちゃん」
そう言った途端に超ちゃんのニコニコした顔が驚きのものに変わります。
「やはり私の正体と目的を知ていたカ、サラ・ヒューイット…」
「知ってましたよ。私は超ちゃんがもっと早く接触してくるかと思ったんですが、計画のために慎重を期したんですか?それとも私が何者か調べきれなかったから来たんですか?」
「猫被るのやめた途端辛辣になたネ。けどサラさんの言う通り、私にはサラさんが何者か残念ながらわからなかたヨ。ただ茶々丸の記憶ドライブから魔力を消失させる術を持ていること、未来視ができることはかろうじてわかたが…。折角はるばるやて来たのにこんなイレギュラーが待てたとは思わなかたネ」
「魔力消失はフェイトの『
「お世辞はいいヨ。それで私を釣りたかたのだろう?」
「まぁ、少しは情報を流せば話をしに来てくれるかなと思ったんで。話をしに来なかったら私が地下の田中さんの倉庫に行ってたかもしれませんよ?」
「そこまで知ているとはナ?そんななんでもご存知のサラさんは私に何の用ヨ?」
超ちゃんの言葉に棘があります。
私はフレンドリーなつもりなんですが。
「安心してください。と言って安心できるとは思いませんが、私は私の知る歴史通りに進めば何も手を出すつもりはありません。まぁ、魔法使いとして最低限の仕事はせざるを得ないでしょうけど、計画を誰かに話すとかいうこともしません」
「サラさんの知る歴史ということは、サラさんも未来人ということかナ?しかし調べたところでは普通にこの世界に生を受けていたはずだが…」
「その辺の話は学祭3日目にしてあげますよ。まぁ、忙しくて大変でしょうけどね。しかし災難ですねぇ、1年早く世界樹の魔力放出が始まるなんて」
「本当に災難だヨ。本来は来年に事を起こすつもりだたのだから。しかしサラさんはなぜ私のことを魔法使い側に話さない?私のことを話してしまえば学祭は
「時間跳躍なんて技術を今の魔法使いが信じるわけがないでしょう。話したところで私の言うことを信用しないと思いますよ。私はエヴァちゃんの弟子ですから。そこらへん頭が固い人が多いんですよねぇ。それにこのイベントはネギ君の成長につながりますからね。だから私は余程のことがない限り手は出しません」
「つまりネギ坊主の成長のために、あえて何もしないということかナ?」
「私の知る歴史通りに進めば、まだまだ苦難の道が続きますからね。そのためにはこんなところで躓いてる場合じゃないんですよ」
「こんなところとはあんまりな言い草ネ。こっちはそれなりの準備をしてきたんだヨ」
「これはすみませんね。まぁ、計画通りに頑張ってください。他に何かあります?」
「私の革命は成功するのかナ?」
「それを言ったらつまらないでしょう?なので話しません」
「確かに結果がわかてしまたら面白くないネ。なら私は私にできることをやらせてもらうとするヨ」
「それがいいと思いますよ。ではこれで失礼します」
そう言って超ちゃんを残して、私は屋上から校内に入っていきました。
ちゃんと原作通り進んでくれたらいいんですけどねぇ。