憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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第18話

ーサラ・ヒューイットー

 

修学旅行3日目を迎えました。

今日の夜が修学旅行の1つの山場というか最終局面といってもいいでしょう。

本来私が入れてもらった5班は大阪に行くので私もそちらに行くべきなんでしょうが、一昨日熊鬼(ゆうき)を倒すときと天ヶ崎を磔にするときに糸を使ったのを、月詠に見られた可能性があります。

なので原作通りに進まず敵に増援が出た場合に備えて、せっちゃん達のバックアップとして近くで待機しておかないといけません。

USJも行きたかったですが、さすがにクラスメイトの命に関わることなのでそちらを優先せざるを得ません。

このイライラは全部終わった後、天ヶ崎にぶつけることにします。

とりあえず、今は班から外れることを伝えないといけません。

 

「すいません、祐奈さん。私どうも体調が良くないみたいなので留守番しておきたいのですが…」

 

5班班長をやっている祐奈ちゃんに伝えると

 

「えー⁈サラちゃん、風邪でも引いちゃった?せっかくのUSJだよ⁉︎」

 

「それもそうなんですが、皆さんが楽しんでいるところに水を差しかねないですからね。今日は部屋で大人しく寝ていようかと思います」

 

「サラちゃんがそう言うんなら仕方ないんとちゃう?保健委員としても無理はさせられへんし…」

 

「あ!じゃあさ、何かお土産を買ってきてあげるよ‼︎」

 

亜子ちゃんとまき絵ちゃんが心配そうに私が寝ている布団を覗き込んで言います。

仮病で心配をかけるのは心苦しいんですが、こればかりはどうしようもありません。

 

「いえいえ、それには及びません。それよりも私の分も楽しんできてください」

 

「ごめんね、ヒューイットさん…」

 

「それはこちらの言葉ですよ、大河内さん。こんな機会は滅多にないんですから、しっかり思い出作ってきてください」

 

その言葉に申し訳なさそうにしながらも、龍宮さん以外の班員が部屋から出ていきます。

 

「ひょっとして、まだ野暮用とやらが終わってないのか?」

 

「いやぁ、面目ないです。ですがうまくいけば今日のうちに終わるはずですので。それと龍宮さんには今夜臨時収入の機会が来るかもしれません」

 

「ほぅ…、それだけのことが起こるというのか?」

 

「残念ながら可能性が高いと私は思ってます」

 

「サラならどうにかできるんじゃないか?」

 

龍宮さんが私を、というか私の中指にはまってる指環を見ています。

多分魔力を封印する指環であると気付いてるのかもしれません。

さすが魔眼を持ってるだけありますね。

ですが、私はまだ大手を振って暴れるわけにはいきません。

特に今日はフェイトがいますからね。

彼にはネギ君のライバル的なものでいてもらわないと困ります。

私に興味を持たれたくないんで、ここは黒子に徹する予定です。

 

「私はネギ君のお手伝いみたいなものですから。それよりも龍宮さんもそろそろ出発しないと置いていかれますよ?」

 

「まぁ、そういうことにしておくよ。それじゃあ、私も行くとしよう」

 

「えぇ、行ってらっしゃい。龍宮さん」

 

私の言葉に背中を向けたまま、軽く手をあげて返事とし、龍宮さんも部屋を出ていきました。

 

 

あれだけ騒がしかった旅館は現在静寂に包まれています。

っていうか3-Aの一クラスしか宿泊してないのに、それだけの騒々しさをホテル全体に出してたということに驚きですね。

さすが3-Aなんでしょうかねぇ。

とにかく、これで私も行動を開始できます。

せっちゃんからもらった身代わりの紙型を用意し、私の名前を書きます。

昨晩のネギ君みたいに何枚か失敗するようなこともなく、無事身代わりになる式神を召喚します。

 

「私の代わりに布団で寝ててください。ご飯とかに呼ばれても体調不良で断って、もし水を飲んでも問題ないのであれば、適度な水分補給で怪しまれないようお願いします」

 

「了解しました」

 

そう言って布団に入った式神の様子を確認し、私服に着替え、変装用に伊達眼鏡をかけ、いつもは何もしてない髪をゴムで縛ります。

まぁ、知り合いに見られないに越したことはないんですが、万が一ということもありますからね。

とにかく準備完了です。

一昨日同様ベランダから抜け出し、一路シネマ村へと向かいます。

ネギ君とアスナちゃん、本屋ちゃんは犬上小太郎というネギ君の同年代の男の子に、関西呪術協会総本山の麓で襲撃を受けます。

襲撃するくらいですから、もちろん普通の男の子ではなく、狗族と呼ばれる妖怪と人間のハーフだそうです。

しかし"いどのえにっき(ディアーリウム・エーユス)"で相手の心を読める本屋ちゃんの前では無力化され、ネギ君に撃退されます。

なのでこっちは問題なし。

それに対してせっちゃんとこのちゃんは、天ヶ崎と月詠、フェイトに狙われてシネマ村に逃げ込むはずです。

なので、先にこちらのフォローに入ります。

フォローといっても原作以外の事態が起こらない限りは何もすることはないでしょう。

 

私がシネマ村に到着するとすでに闘いは始まってたみたいでせっちゃんと月詠が互いの剣をぶつけ合ってました。

他にもクラスメイトが何人かいて月詠の召喚した妖怪と戯れてます。

本人達は至って真面目にやってるのかもしれませんが、仮装している姿と相手にしている妖怪のデフォルメされた容姿を見ると、やっぱり戯れてるようにしか見えません。

 

ネギ君は…あぁ、いました。

シネマ村の中央に聳える城の天守閣の屋根の上。

このちゃんと一緒にネギ君の姿をした式神がいます。

ただし、フェイトと天ヶ崎、天ヶ崎の式神が同じ屋根の上にいるところを見ると、追い詰められている状態ですね。

さらに突風に煽られたこのちゃんを動いたと判断した天ヶ崎の式神が、その手に持っていた強弓から矢を放ちます。

ネギ君がこのちゃんを庇おうとしますが、その身体は式神であるため、あっさり右腕を失いました。

ネギ君の右腕を奪った矢が威力を損なうことなくこのちゃんへと迫ります。

が、すんでのところでせっちゃんが庇い、矢は左の鎖骨下辺りを貫通。

しかし矢の威力を殺しきれずせっちゃんは屋根から転落していきます。

その後を追うようにこのちゃんも屋根から飛び降り、あわやお堀の水面に叩きつけられようとしたところで、ついにこのちゃんの魔力が発動。

2人ともシネマ村へ観光に来てた客にスプラッタな姿を見せることなく、それどころかせっちゃんを貫いた矢傷も治して、無事地上へと降り立ちました。

 

いや、わかってはいるんですが、実際目にすると本当心臓に悪い光景ですよ。

フェイトがいるので迂闊なことできませんし。

ストレスだけがどんどん溜まっていきます。

原作に沿うと決めた時から覚悟は出来てたつもりでしたが、まだまだ覚悟が足りなかったかもしれません。

この先もこういう側から見てるだけで、何もできない事態はあるはずですから、今のうちに慣れておかないといけません。

あ、せっちゃん達が移動を始めました。

これは関西呪術協会総本山であり、このちゃんの実家でもある炫毘古社(かがびこのやしろ)という神社へ向かうのでしょう。

本当はこのちゃん達と一緒に神社の中に入りたいんですが、夜にまたフェイトの襲撃があるんですよね。

そこで鉢合わせなんてのは非常に困るので、フェイトがこのちゃんをさらってから私も登場しましょう。

それまでは神社付近でぶらぶらしてますか。




ちょっと短くなりました。
かと言って次の話と続けたら長くなるんですよね。
難しいところです。
あと龍宮さんがサラの指環を魔眼で見抜いてるというのは
独自設定ですが、それくらいはできそうだと思いません?

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