憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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第15話

ーサラ・ヒューイットー

 

嵐山で3-Aが借りているホテルに到着しました。

音羽の滝で潰れなかったからか、ホテルに向かうバスの中でもクラスの皆は大騒ぎでした。

時間一杯観光できなかったからパワーが有り余ってるんでしょう。

ロビーを歩いていると、ネギ君とアスナちゃん、エロガモが深刻そうな顔をしています。

 

「えーっ⁈私たちのクラスが変な関西の魔法組織に狙われてる⁉︎」

 

「は、はい…。関西呪術協会って言うんですが…」

 

「どうりで変なカエルとか出てきたわけね。また魔法の厄介事か…」

 

「すいません、アスナさん…」

 

「どうせまた助けてほしいんでしょ?いいわよ、少しくらいは力になってあげるから」

 

「ありがとうございます!アスナさん」

 

「そうだ、姐さん!クラスメイトの桜咲刹那って奴が敵のスp…「刹那さんはスパイではありませんよ」あ、サラの姐さん!」

 

「サラさん、清水寺ではありがとうございました。おかげで旅行がめちゃくちゃにならずに済みました」

 

「っていうか、サラはよく屋根の上に酒樽があることに気付いたわね?」

 

「それほどでもないですよ。それより今は刹那さんです」

 

「そうですよ、サラの姐さん!なんで桜咲刹那が敵のスパイじゃないって言えるんすか⁈」

 

「なぜなら刹那さんはこのかさんのおさn…「ネギ先生」」

 

「ひゃっ⁈」

 

あら、説明しようと思ったらしずな先生。

 

「教員は早めにお風呂を済ませてくださいね」

 

「は、はい!しずな先生」

 

「これは時間切れですね。続きは夜の自由時間にしましょう」

 

「わかったわ。5班もすぐお風呂だし」

 

「じゃあ僕は早くお風呂済ませてきますね」

 

「了解ッス、サラの姐さん」

 

これでこの場は解散となったのですが、果たしてネギ君とせっちゃんは戦わずに済むんでしょうかねぇ?

ちょっとお風呂の方に先回りしておきますか。

 

このホテルの浴場は露天風呂になっていて、しかも男女入り口は別なのに出てきた先は同じという混浴の形をとっています。

私は女子の脱衣所から浴場へと入りました。

もちろん、風呂に入りに来たわけではないので制服を着たまんまです。

茂みの中に隠れているとネギ君とエロガモが先にやってきました。

お風呂だからと言って、油断することなく予備の杖を持ってきてますが、これはせっちゃんを警戒していると考えたほうがいいかもしれませんね。

さっきは全部説明できなかったし。

そしてネギ君がお湯に浸かっていると、やっぱりというか原作通りというべきか、せっちゃんも浴場へとやってきました。

せっちゃんも愛刀をちゃんと持ってきてるんで、バッチリ戦闘になりますね…。

なんて考えてるうちにネギ君の気配を感じたせっちゃんが愛刀を振るいます。

 

「神鳴流奥義 斬岩剣‼︎」

 

おお、太さ1m以上ありそうな岩をあっさり斬っちゃいました。

 

「ラ・ステル・マ・スキル・マギステル…」

 

これはいけません、やっぱり戦闘になりましたか…

 

魔法の射手(サギタ・マギカ) 光の矢(ウナ・ルークス)

 

詠唱を省略して光の矢を1本、2人の中間地点に放ちます。

戦闘になろうというところで第三者が介入してきたら、闘いも中断せざるを得ないでしょう。

案の定2人ともこちらの方を振り向きました。

 

「サ、サラさん?」

 

「サラの姐さん⁈」

 

「サラ・ヒューイットさん、やはり貴女は敵なのですか?」

 

「とりあえずお互いの姿を確認して、バスタオルを身につけたほうがいいかと思いますよ。ネギ君、刹那さんは敵じゃないと言ったでしょう?それと刹那さん、私は敵じゃありません。ちょっと強引でしたが無意味な戦闘を止めただけですよ」

 

私の言葉でやっとお互いが戦おうとしていた相手が素っ裸であることに気付いて、慌てたようにバスタオルを巻きつけます。

 

「さて落ち着いたところでもう一度いいましょう。私たちは敵同士ではありません。ネギ君は関西への特使であり、刹那さんはこのかさんのg…「ひゃあぁぁ〜っ!」おっと、この悲鳴はこのかさんですね。急ぎましょう!」

 

悲鳴が聞こえた女子の脱衣所に入るとアスナちゃんとこのちゃんが猿に下着を剥ぎ取られようとしていました。

2人とも脱がされまいと必死に抵抗しているものの、猿の数が多すぎてあっさりと下着を持っていかれます。

 

魔法の射手(サギタ・マギカ) 光の矢(ウナ・ルークス)

 

再度詠唱を省略して光の矢を放ち、アスナちゃんとこのちゃんを傷付けないよう少し離れた猿を攻撃。

矢の直撃を受けた猿は元の紙型へと戻ります。

 

「ネギ君、この猿達は西の呪術師の式神です。攻撃しても問題ありません!」

 

と言ったんですが反応がありません。

ネギ君もアスナちゃんも私の方を見ています。

刹那さんも何故か私の方を見ます。

あれ?なんか変なことしたかな?

問答無用でいきなり攻撃したのにびっくりしちゃった?

私以外があっけにとられてる間にも事態は動きます。

残っていた猿達がこのちゃんを担いで脱衣所から露天の方へ逃げ出しました。

ここはこのちゃんの護衛に頑張ってもらいましょう。

 

「刹那さん!Go‼︎」

 

私の一言で我に返ったせっちゃんが弾かれたように外へ飛び出します。

 

「神鳴流奥義 百烈桜華斬‼︎」

 

せっちゃんの技でこのちゃんを担いでいた猿達はあっさり斬られ、元の紙型の姿を散らしていきました。

そしてせっちゃんがこのちゃんを守るように抱えます。

 

「せ、せっちゃん…。よーわからんけど、助けてくれたん?ありがとう…」

 

「あ…、いや…」

 

このちゃんを支えてた手を離し、逃げるように走っていくせっちゃん。

逃げるようにというか逃げましたね。

 

「このかさん!桜咲刹那さんはどういう人なんですか⁈このかさんのことを、お嬢様って言ってましたけど…」

 

ネギ君は事情が分からず、このちゃんに尋ねます。

アスナちゃんも気になるのか、おずおずといった感じでこのちゃんに質問します。

 

「このか…。やっぱり…桜咲さんとは何かあったの?」

 

「うん…。アスナにもちゃんと話してへんかったよね…。ネギ君もサラちゃんも聞いてくれへん?」

 

そう言うと、このちゃんは小さい頃の話を始めました。

昔は京都の大きなお屋敷に住んでいたけど、山奥だったため友達が1人もいなかった。

ある日屋敷にやってきたのがせっちゃんで、そのまま初めての友達になってくれた。

剣道をやってたせっちゃんが危ない時はいつも助けてくれた。

川で溺れそうになった時も助けようとしてくれたけど、結局2人とも大人に助けられてせっちゃんは力不足を泣いていた。

その後せっちゃんは剣の稽古であまり会わなくなり、このちゃんも麻帆良に引っ越し。

中1にせっちゃんと再会するも、あまりこのちゃんと会話をしなくなった。

ざっくりまとめるとこういうことらしいです。

 

「なんかウチ、せっちゃんに悪いことしたんかなぁ…?昔みたいにせっちゃんと話したいんやけど…」

 

そう言いながら涙を浮かべるこのちゃん。

アスナちゃんが慰めながら部屋へと戻っていきました。

せっちゃんにも事情があるんですが、それは私が言うべきことではないので、黙って2人を見送ります。

 

「ネギ君。さっきのロビーで待ってるので、そこでお話しましょう」

 

「わかりました、サラさん」

 

 

先にロビーで待っていると、結界用の札を持ったせっちゃんがやってきました。

 

「サラ・ヒューイットさん…」

 

「あら?刹那さん。お疲れ様です。護符はもう貼り終わったんですか?」

 

「ええ、あとは玄関に1枚貼れば終了です」

 

「では先に貼ってきてはどうでしょう?ネギ君ももう少ししたらここに来るはずです。そこで情報を整理するのがいいでしょう」

 

「…わかりました」

 

まだ私のことを信用してくれてないのか、ちょっと視線が厳しい。

疑いを晴らしたくて猿を1匹倒したんだけどなぁ…。

お?ネギ君達もやって来た。

 

「あ、刹那さん。何をやってるんですか?」

 

「これは式神返しの結界を作ってるんです」

 

「へぇー」

 

これで全員揃いましたね。

やっとゆっくり話ができます。

まぁ、この後また襲撃があるんですが…。

 

「皆さん、一先ずお疲れ様でした。まぁ、次にいつ襲撃があるかわかりませんので、今のうちに情報共有をしておきましょう」

 

「神楽坂さんにも話しても?」

 

「もう思いっきり巻き込まれてるわよ」

 

せっちゃんの疑問にやれやれとばかりにアスナちゃんが答えます。

 

「ではお話…の前に、サラ・ヒューイットさん。貴女は何者ですか?」

 

「私ですか?私は一魔法生徒でエヴァさんの弟子…というところでしょうか。それ以外の説明をしようがないと思うんですが、どうでしょう?ネギ君」

 

「あ、はい。エヴァンジェリンさんがサラさんのことは弟子だと言ってました」

 

「そうですか…。サラさん、疑ってすみませんでした」

 

「いえいえ、気にしないでください。それとネギ君、アスナさん、エロガモ。刹那さんはこのかさんの護衛ですから敵ではありませんよ」

 

「いや、すまねぇ。剣士の姐さん。俺っちとしたことが目一杯疑っちまって」

 

「ごめんなさい、刹那さん…。僕も協力しますから襲ってくる敵について教えてください‼︎」

 

「わかりました。私達の敵はおそらく関西呪術協会の一部勢力で…」

 

せっちゃんが今回襲撃を行った相手の説明を始めました。

曰く、陰陽道を用いる呪符使いとそれが使役する式神であること。

さらに関西呪術協会は刹那さんが修めている京都神鳴流と深い関係にあり、呪符使いの護衛として神鳴流剣士がいる可能性もあるということ。

ネギ君が神鳴流は敵なのかという指摘に対しては、

 

「神鳴流にとって、私は西を抜け東についた『裏切り者』かもしれませんが、私の望みはこのかお嬢様をお守りすること。お嬢様を守れればそれで満足なんです」

 

この言葉にアスナちゃんは感動し、

 

「よーし、わかったわ!桜咲さん‼︎あんたがこのかのこと嫌ってなくて良かった…、それがわかれば十分よ‼︎友達の友達は友達なんだから、私も協力するわよ!」

 

「か…神楽坂さん…」

 

アスナちゃんがせっちゃんの肩をバンバン叩いていると、ネギ君もやる気がうなぎのぼりになったのか、

 

「よし、じゃあ決まりです!3-A防衛隊(ガーティアンエンジェルス)結成ですね‼︎関西呪術協会からクラスの皆さんを守りましょう!」

 

そのネーミングはどうなんでしょうね…?

 

「えー⁈何よ、その名前…」

 

アスナちゃんも微妙な顔をしてますよ。

 

「敵がまた来るかもしれませんから、早速外の見回りに行ってきますね‼︎」

 

そう言って張り切ってるネギ君とエロガモは玄関ロビーから外へ出ていきました。

入れ替わるようにタオル満載のカートを押した従業員らしい人がロビーに入ってきます。

こちらに気付いてないみたいですが、この従業員、天ヶ崎千草なんですよね。

本当は新幹線でのお礼をしてやりたいところですが、ここで天ヶ崎を捕まえたら原作とは違う流れになってしまうので、ここはグッと我慢です。

 

「ではアスナさんと刹那さんは部屋の、特にこのかさんの守りをお願いします。私も部屋で待機してるので何かあれば電話をお願いします」

 

「わかりました。では神楽坂さん、部屋に戻りましょう」

 

「わかったわ。じゃあね、サラ」

 

そう言って私達も解散となりました。

まぁ、すぐに再会することにはなると思いますが。




まだ修学旅行1日目なのに分割せざるを得ませんでした。

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