憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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第14話

ーサラ・ヒューイットー

 

ネギ君とエヴァちゃんの模擬戦から1週間が経ちました。

今日からはいよいよ京都に行きます。

あの魔法世界を滅ぼそう?とした"完全なる世界(コズモエンテレケイア)"の残党、フェイト・アーウェルンクスが登場です。

本人たちは滅ぼすのではなく魔法世界の魔力が枯渇する前に、住人たちを"完全なる世界"という異界へと導くみたいなことを言ってたけど、それに代わる案がネギ君にはあって、住人たちの承諾もなしに勝手なことを押し付けてる感じなんですよね。

まぁ、この話はまだ随分後のことですので、置いておきましょう。

問題は今ですね。

私は修学旅行の班決めの際、当然ながらエヴァちゃんの班に入りました。

班の構成としては

 

1班 柿崎美砂 釘宮円 椎名桜子 鳴滝風香 鳴滝史伽

2班 春日美空 古菲(クーフェイ) 超鈴音(チャオリンシェン) 長瀬楓 葉加瀬聡美 四葉五月

3班 朝倉和美 那波千鶴 長谷川千雨 村上夏美 雪広あやか

4班 明石祐奈 和泉亜子 大河内アキラ 佐々木まき絵 龍宮真名

5班 綾瀬夕映 神楽坂明日菜 近衛木乃香 早乙女ハルナ 宮崎のどか

6班 相坂さよ 絡繰茶々丸 桜咲刹那 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル ザジ・レイニーデイ サラ・ヒューイット

(出席番号順、敬称略)となっています。

班長をせっちゃんとして、ザジさん、さよちゃん、エヴァちゃん、茶々丸さん、私の6人構成だったんですが、エヴァちゃんは呪いで学校を出られず。

主人を差し置いて旅行に行けるはずもなく茶々丸さんも欠席。

さよちゃんも地縛霊なのでエヴァちゃんと似た感じですね。

残ったのはせっちゃん、ザジさん、私の3人ですが、こんな少人数で班行動などできるわけなく、当然ながら班は解散、せっちゃんはこのちゃんのいる5班へ、ザジさんは委員長のいる3班へ編入されました。

2人はあっさり決まりましたが私はどうしたらいいのかわかりません。

仲がいい超一味とルームメイトの美空ちゃん、五月ちゃんがいる2班はすでに6人と人数が多いので入ることはできません。

残るは1班と4班の5人の班なんですが、私普段からエヴァちゃんと一緒だったからか、交友範囲が狭いんですよね。

どっちの班員とも関わりがほとんどない…、いえ、4班の方が関わりはありましたね。

龍宮さんは魔法のことは知ってますし、他の4人は模擬戦の被害者ですし。

なら4班の方に行きましょう。

 

「ネギ君、私は4班に編入ということでよろしいですか?」

 

「へ?あぁ、サラさん。はい、わかりました」

 

なんとか私もひとりぼっちにならずに済みました。

これを機に交友範囲を広げたほうがいいかもしれませんね。

 

「4班の皆さんよろしくお願いします」

 

「サラちゃんよろしくね!」

 

「サラちゃんよろしく!」

 

「サラさんよろしゅうなぁ」

 

「ヒューイットさんよろしく」

 

「サラよろしくな」

 

まき絵ちゃん、祐奈ちゃん、亜子ちゃん、アキラさん、龍宮さんにも受け入れてもらえたようでなによりです。

 

ついに新幹線は京都に出発しました。

道中はネギ君が車内販売のキャリーカートをぶつけられたくらいで、今のところこれといった問題は起きてません。

まぁ、このぶつかったキャリーカートの売り子が今回の修学旅行で騒動を起こす主犯、関西呪術協会過激派所属の天ヶ崎千草なんですがね。

ネギ君とぶつかった時にこの後新幹線内で起こるパニックのタネを仕込んだんだと思います。

 

話が変わりますが、日本には関東魔法協会と関西呪術協会という組織があります。

関東は西洋魔法を主流とし、関西は東洋魔法、いわゆる陰陽道のような呪術を主流とする組織なんですが…。

昔から仲が悪かったらしくて、それをどうにかしようと思った関東魔法協会の理事も務める学園長が、関西呪術協会の長へ宛てた親書をしたため、特使としてネギ君を派遣することにしたんですよ。

なのでネギ君には先生として生徒の引率だけでなく、特使として親書を渡すという任務が課せられています。

ただ、西洋魔法が気にくわないという理由で、その任務を妨害しようと企んでるのが関西呪術協会過激派であり、その実行犯が天ヶ崎なんですね。

 

早速妨害工作が始まりました。

妨害工作というか嫌がらせでしょうかね?

うちのクラスが持ってきていたお菓子や水筒、ヒドい子は弁当箱の中からカエルが出てきました。

私が楽しみにしてたスナック菓子もやられました。

絶対に許しません、天ヶ崎千草…。

それはともかくカエルを回収しましょう。

古ちゃんが袋を抱えてるので私が集めたカエルもその中に突っ込みます。

 

「カエル108匹回収できたアルよ」

 

古ちゃんよく数えてましたね。

副担任の源しずな先生はカエルが苦手なのか失神してます。

 

「ほ、保健委員は介抱を!いいんちょさんはすぐに点呼をお願いします‼︎」

 

ネギ君がテキパキ指示を出しますが、保健委員である亜子ちゃんも失神中です。

そしてネギ君は大事な親書が無事かを確かめるため、身体中をまさぐって親書をジャケットの内ポケットから取り出します。

が、それは敵からすればまたとないチャンスだったらしく、ネギ君の手から親書を奪いました。

奪っていったのはツバメのようですが、あれは紙で作られた式神というものですね。

ネギ君が慌てて追いかけようとしますが、その必要はありません。

私は操糸術で糸をツバメに巻きつけ、さらに引き絞りました。

それだけでツバメは身体を横に切られ、元の紙型へと戻ります。

その紙型と親書を拾い、親書をネギ君に渡しました。

 

「はい、どうぞネギ君」

 

「あ、ありがとうございます。サラさん」

 

「いえいえ、大切な親書ですからね。うかつに見せびらかすようなことはしないほうがいいですよ」

 

「あ、そうですね。わかりました」

 

「では、私は刹那さんがちょっと席を外してるみたいなので呼んできますね」

 

「そうなんですか?よろしくお願いします」

 

そう言ってネギ君はまだ落ち着いてないクラスメイトの方へと戻っていきます。

さてツバメが飛んで行こうとした車両の方へ向かうと、キャリーカートを押す天ヶ崎がいました。

 

「すいません、このゴミを捨ててもらっていいですか?」

 

そう言ってポケットから先ほど拾った式神だったものを取り出します。

 

「んなっ⁈え、ええ。構いまへんえ」

 

一瞬驚いたような表情が出ましたが、どうにか取り繕い私から紙型を受け取ろうとする天ヶ崎。

その手に紙型を置いて耳元で告げます。

 

「私のお菓子までカエルに変えましたね?この代償は高くつきますよ。親書はもう奪えないと思ってください。ではこのゴミをよろしくお願いします」

 

今度こそ驚いて硬直している天ヶ崎を尻目に、ニコニコと笑顔を見せてその場を後にします。

天ヶ崎がいた場所からさらに奥へと進むと、せっちゃんが愛刀を持ったまま、佇んでいました。

 

「刹那さん、点呼がありますので座席に戻ってください」

 

「サラさん…。すいません、私はまだ用事が…」

 

「あぁ、パニックはもう収まりましたよ。ひょっとして呪術協会の過激派のことが気になりますか?それなら余計このちゃんの近くにいた方がいいと思いますが…。それとも関西の長への親書が心配ですか?それはすでに取り戻してネギ君の手元にありますよ」

 

「どうして、サラさんがそのことを…?」

 

せっちゃんの目が鋭いものに変わります。

 

「安心してください、と言っても安心できないかもしれませんが、私は味方ですよ。それにもうすぐ京都に着きますから、このままここにいても仕方ないでしょう。降りる準備をしに戻りましょう」

 

それだけ言って私は元来た通路を戻ります。

原作ではネギ君がせっちゃんを西のスパイだと勘違いしてましたが、今は私がせっちゃんにスパイだと思われてそうですね…。

後で誤解を解かないと。

なんて考えながら座席に戻るとネギ君が

 

「サラさん、僕、桜咲刹那さんが西のスパイなんじゃないかって心配なんですが…」

 

あぁ、またエロガモが余計なことをネギ君に吹き込んだのかしら?

 

「名簿を見たら、京都って書いてあったんですよ…」

 

なるほど、そっちから推論をしたんですか。

残念ながら的外れなんですけどね。

 

「ネギ君、その話はホテルでしましょう。もうすぐ新幹線は京都駅に到着しますし、その後は清水寺の見学です。落ち着いた話はあとですよ」

 

「そ、そうですね…。わかりました!」

 

そう言うとネギ君はクラスのみんなに降りる準備をするよう促します。

京都にはネギ君のお父さんであるナギさん手がかりがあると言われてるので、ネギ君のやる気も一塩なんでしょう。

いやぁ、見ていて微笑ましいですね。

 

 

「ここが清水寺の本堂、いわゆる『清水の舞台』と呼ばれる場所です。本来は本尊である観音様に能や踊りを楽しんでいただくための装置で、国宝にも指定されてます。有名な『清水の舞台から飛び降りたつもりで…』の言葉通り、江戸時代には234件の飛び降り事件が記録されています。しかし、生存率は85%と意外に高く…」

 

夕映ちゃんが清水の舞台について説明しています。

っていうか、あの諺だと必死になれみたいなイメージなんですが85%の生存率を聞くと、なんだかイメージが台無しですよね。

新幹線を降りた私たちは有名な観光地である清水寺に来ています。

ここからは京都の街並みが一望できて、素晴らしいの一言です。

元日本人の私も京都は来たことなかったので、まさに渡りに舟というものですね。

あら、次は皆さん、恋占いで有名な地主神社に向かうみたいです。

ここに置かれてる石と石の間を目を閉じて歩いて、一方の石から他方の石へとたどり着けたら恋が成就するんだとか。

でも石と石の距離は20m近くあり、普通は目を閉じて歩ききるなんて大変でしょう。

早速委員長とまき絵ちゃん、本屋ちゃんが挑戦するみたいですよ。

このお三方、全員ネギ君が目的なんですから、慕われてますねぇ。

お?委員長一気に石へと近付いていき、それに少し遅れてまき絵ちゃんが後を追いすがります。

本屋ちゃんはフラフラしながら見当違いの方向へと歩いています。

これは委員長とまき絵ちゃんの一騎討ちとなるのか?

ゴールまであと5mをきったところで2人の姿がストンと消えました。

なんとゴール手前に落とし穴が仕掛けられていて、2人とも見事トラップに引っかかったみたいですね。

しかも穴の中には新幹線同様カエルが仕込まれていました。

本当妨害工作というよりは、悪戯か嫌がらせみたいな感じですね。

ネギ君とアスナちゃんが穴に落ちた2人を助け出します。

その間に、別方向へと歩いてたはずの本屋ちゃんがどうにかゴールイン!

本屋ちゃんの想いの前では天ヶ崎の嫌がらせも無力なんですね。

次は音羽の滝に向かうみたいですが、ここにも天ヶ崎の嫌がらせが待っています。

しかも未成年に酒を飲ませるという嫌がらせなんですが、さすがにこれは看過できません。

とりあえず音羽の滝へ向かうと、すでにクラスの皆が縁結びにご利益がある滝に柄杓を突っ込んでるところでした。

 

「ストーップ!縁結びの水を飲まないでください‼︎」

 

他の観光客もいる中で大声を上げるのは気がひけるし恥ずかしかったんですが、緊急事態ですから仕方ありません。

私が大声を出したのに驚いたのか誰も柄杓の中身を飲まずに済みました。

 

「サ、サラさん⁈ダメですよ!こんな所で大きな声を出しちゃ」

 

「急を要することなので勘弁してください。ネギ先生、滝の上の屋根にお酒が仕掛けてあります。これを生徒に飲ませるわけにはいかないでしょう。新田先生か、瀬流彦先生、源先生に連絡を取って指示を仰ぐべきだと思います」

 

「え?本当だ!皆さ〜ん、柄杓の水を飲んじゃいけませ〜ん‼︎」

 

健康と学業は飲んでも問題ないんですけどね。

この後、地主神社の落とし穴や音羽の滝で酒が混入されてたことを受け、新田先生の判断で予定時間より少し早めに清水寺を出発しました。




やっと修学旅行に出発です。
ですがまだ修学旅行は始まったばかりです。
そしてサラちゃんはお菓子を台無しにされてお怒りです。
いずれはどうにかするつもりみたいですが
どうされるんでしょうね?
せっちゃんはこのちゃんのことしか頭になくて、
サラが魔法使いだということを知らない状態です。

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