ーサラ・ヒューイットー
エヴァちゃんの看病をした翌日の今日、いつも通りネギ君が教室にやってくると、廊下側最後列にサボり魔であるはずのエヴァちゃんがいました。
ネギ君はいきなり戦いになってしまうのかなんて焦りますが、エヴァちゃんは昨日世話になったお礼として授業に参加したそうで。
それが嬉しかったのかネギ君はその日一日中ご機嫌だったみたいです。
話は変わりますが本日夜8時から学園全体が停電になります。
年に2度行われるメンテナンスの為らしく、今日がその日なんですが…
いよいよ桜通り吸血鬼事件も佳境に入りましたね。
「おい、サラ・ヒューイット」
「なんですか、エヴァさん?」
「今日の夜、面白いものを見せてやる。8時以降は予定を空けておけ」
「わかりました」
「よし。茶々丸、帰るぞ」
「はい、マスター。では失礼します、サラさん」
「エヴァさん、茶々丸さん。また後ほど」
そう言って自宅に戻る2人を見送ります。
エヴァちゃんを麻帆良の地に縛っているのはナギさんがかけた呪いなんですが、それは魔力を封じるものではないんですよね。
ではエヴァちゃんの魔力を封印しているのは何か?
それは学園全体を覆っている結界なんですよ。
この結界、高位の魔物から学園を守るためにその魔力を封じるものなんですが、結界の維持に大量の電力を消費するらしいです。
今日の停電では、もちろん結界の電力を切るつもりはないんでしょうが、メンテナンスに乗じて結界を構成するシステムを茶々丸さんがハッキングすることで結界を無力化。
こうしてエヴァちゃんは魔力を取り戻してネギ君と戦おうという腹積もりなんですよね。
学園長もエヴァちゃんがハイテクに疎いからといって、その辺の対策を取らなかったのはどうなんでしょうね…。
まぁ、少し痛い目を見てもらうということで。
「こちらは放送部です…。これより、学園内は停電となります…。学園生徒の…」
ついに夜8時となり、停電が始まりました。
同時に膨れあがる異様な魔力。
これはエヴァちゃんのものですね。
しばらく待っていると、携帯電話に茶々丸さんから電話がかかります。
「はい、もしもし」
「こんばんは、サラさん。茶々丸です」
「こんばんは、茶々丸さん。どうかしましたか?」
「マスターがサラさんをお呼びです。大浴場までお越しください」
「わかりました。では後ほどお会いしましょう」
「えぇ、お待ちしております」
いよいよ模擬戦本番になるようです。
さて、私も呼ばれたことですし観戦に行きますか。
「すいません、美空さん、五月さん。ちょっとエヴァさんに呼ばれたので出かけてきますね」
「あぁ、了解っス」
ー外は暗いのでお気をつけてくださいー
美空ちゃんは魔法生徒だから魔法について当然知ってるけど、五月ちゃんも
だから私はこの部屋に入れられたのかもしれない。
「では、行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
ー行ってらっしゃいー
2人の挨拶を受けて私は大浴場に向かいます。
「む、来たか。サラ・ヒューイット」
大浴場に入ってすぐ声をかけられたので、その方向に顔を向けると、浴場の中央、なぜか室内なのに屋根があるその上にメイド服を着た茶々丸さん、大河内アキラちゃん、和泉亜子ちゃん、明石祐奈ちゃんとその中央、金髪で肩や脚など随分露出の多い服を着た女性がいます。
幻術で大人の姿をしたエヴァちゃんなんですけどね。
「こんばんは、エヴァさん、茶々丸さん、その他眷属の皆さん」
「なんだ、もうバレたのか。全くつまらんな」
「こんばんは、サラさん」
「魔法球の中で散々稽古をつけてもらったんですから、師匠の魔力くらいわかりますよ。茶々丸さんもいますし」
「貴様には驚かされっぱなしだったから、一矢報いようと思ったんだがな」
「そうそう驚くことはありませんよ」
原作にはなかったことがない限り驚くことはないでしょう。
「驚かんならもういい。貴様には用はないから帰っていいぞ」
「それだけのために呼ばれたんですか…。せっかくなんで観戦していきますよ」
「まぁ、いいだろう。前も言ったが手出し無用だぞ?」
「わかってますよ。そんな無粋なことはしませんって」
なんて言ってる間にネギ君を呼びに行ってたと思われる眷属一号佐々木まき絵ちゃんが浴場に来ました、真っ裸ですが…。
「エヴァさん、せめてメイド服を着せてからネギ君を呼びに行かせたほうがよかったのではないですか?いくら自分の眷属だからと言ってその扱いはどうかと思いますが…」
「そんなこと、貴様に言われずともわかっとるわ!私が『すぐにネギを呼んで来い』と言ったら、呼び止める間も無くそのまま行ってしまったんだよ…」
さすがバカピンクのまき絵ちゃん。
眷属化されても相変わらず馬鹿のままだったんですね…。
とりあえずまき絵ちゃんにメイド服を着せて、しばらく待っていると…
「エヴァンジェリンさん!どこにいるんですか⁈まき絵さんを解放してください‼︎」
と言って、ネギ君が大浴場の扉を開け放ってやってきました。
ネギ君はいつも持ってる自身の身長より長い杖の他に、魔法銃や魔法薬の入った試験管、ビーカーやたくさんの魔法道具を身につけてます。
でもパートナーであるアスナちゃんや使い魔のエロガモがいません。
きっと自分一人でなんとかしないとなんて思って、アスナちゃんには内緒で来たんでしょう。
その心意気は買いますが、いくら装備を整えたところで魔力復活、パートナーもいるエヴァちゃんには敵うはずがありません。
ここら辺はこれからの成長に期待ということですね。
麻帆良祭で
「ここだよ、ぼーや。パートナーも連れず1人で来るとは大した勇気だな」
「あ、あなたは…。どなたですか⁈」
その一言でエヴァちゃんも思わず素っ転びます。
転んだ拍子に幻術も解けました。
いや、話が進まないから解いたんでしょう。
ネギ君、エヴァちゃんの夢であの姿を見たはずでしょうに…。
「こんばんは、ネギ君。あれはエヴァさんですよ」
「あ、こんばんは、サラさん。…じゃなくて!サラさんも僕と戦うつもりですか⁈」
「いえいえ、私は手出ししませんよ。どちらかと言うとネギ君を応援してるくらいですね」
「おい、サラ・ヒューイット!貴様、私の弟子なら私の応援をせんか‼︎」
「いやいや、エヴァさん。世界最強と謳われるエヴァさんには茶々丸さんと眷属4人がいるのに、ネギ君は単身でここに乗り込んできたんですから。どちらを応援したくなるかは自明でしょう。それに手出しはしないので安心してください」
「ふん、まぁいいだろう。さて、ぼーや…。満月の前で悪いが、今夜決着をつけてぼーやの血を存分に頂かせてもらうぞ」
「そうはさせません。今日は僕が勝って、悪いことをするのもやめてもらいますから!」
「ほう…。だがそう簡単にはいかんぞ?」
そう言うとエヴァちゃんが指を鳴らします。
すると眷属化した4人がネギ君にジリジリと近付いていきます。
「ひ、卑怯ですよ!クラスメイトを使うなんて…⁉︎」
「卑怯だと?言ったろう…、私は悪い魔法使いだよ。1人で来たことを後悔させてやろう…。やれ!我が
エヴァちゃんの命令に従って4人はネギ君を捕獲し、着ていたコートや持っていた杖を剥ぎ取っていきます。
いつもいじられてるネギ君とあまり変わらない光景ですね…。
ネギ君が着ていたコートの裏には魔法道具が装着されていたので、随分装備を奪われたことになります。
それでも身につけていた弾帯から魔法薬を取り出して、"
「ラ・ステル・マ・スキル・マギステル
と相手を眠らせる霧の魔法を唱えるとアキラちゃんと亜子ちゃんに直撃。
これで2人脱落ですね。
「やるじゃないか、ぼーや。では本番と行くぞ…、茶々丸!」
「ハイ」
そう言って茶々丸さんはネギ君へと飛び出していき、エヴァちゃんは攻撃呪文を唱え始めます。
「リク・ラ・ラック・ライラック…」
「失礼します、ネギ先生」
そう言って飛び出した勢いも載せて、茶々丸さんが叩き込んだパンチはお風呂の水面に当たり巨大な水柱をたてます。
「
茶々丸さんが攻撃している間にエヴァちゃんは呪文を完成させ、自動追尾する氷の矢17本がネギ君に迫ります。
ネギ君は大浴場の窓を破り外へと飛んで行きました。
ネギ君を追う氷の矢に続いて、エヴァちゃん、茶々丸さん、"眠りの霧"を避けたまき絵ちゃん、祐奈ちゃんも外へと飛び出していきます。
大浴場には私と武装解除で全裸+眠らされたアキラちゃん、亜子ちゃんが取り残されました。
「とりあえず裸のままだと風邪ひきますよね」
吸血鬼になっている2人が風邪をひくのか疑問ではありますが、裸のまま放置するのも気が引けたので、脱衣所に置いてあった予備のバスタオルを巻きつけてあげます。
入浴中に襲われたみたいで、脱衣所には彼女らの服もあったんですが、どれが誰のかわからないので着せてあげることはできませんでした。
仕方ないですよね。
さて私も追いかけるとしますか。
バスタオルをもう2枚ほど持って、
「
身体強化呪文を唱え、瞬動と虚空瞬動を用いて建物の屋根を伝いながら戦闘が行われてるらしい光が見える場所を目指します。
途中で目を回して倒れてるまき絵ちゃん、祐奈ちゃんを発見。
学園の旗が翻る旗竿の下に倒れていたので、原作と同じやり方で眷属2人を倒したのでしょう。
メイド服を着ている分、最初に眠らされた2人よりマシかもしれませんが、それでも半袖スカートなんて格好をして夜、外で寝るにはまだ早すぎる季節ですからね。
持ってきていたバスタオルを2人にも巻きつけてあげます。
バスタオルでもないよりはいいでしょう。
もう一度ネギ君たちを追いかけるために虚空瞬動で建物の屋根に上ります。
さてさて、ネギ君たちは…。
あぁ、いました!
麻帆良湖の方に向かって飛んで行ってますね。
このままではフィナーレに間に合わなくなるのでちょっと急ぎますか。
ーネギ・スプリングフィールドー
「
さ、流石エヴァンジェリンさん…。
僕も障壁や抵抗をしてるのに全く歯が立たない。
氷の破片を飛ばす爆発で最後の弾帯も吹き飛ばされちゃった。
スゴい力でとても敵わない。
でもあと少し、あと少しであの場所に届く…。
「ハハハ、どうした?反撃しないのか⁈まぁ呪文を唱える暇もないだろうがな!
リク・ラク・ラ・ラック・ライラック
見えた、あそこだ!
一直線に麻帆良湖に架かる橋へ向かう。
「
エヴァンジェリンさんが唱えた魔法で橋の道路から氷が生えてきた。
「うわーっ!」
その強すぎる威力に抗えず僕は吹き飛ばされ
「あぐっ⁉︎」
道路であちこちに擦り傷を作っちゃいました。
でも、おかげでちょうどいい場所に来れた。
「ふふ、なるほど…。この橋は学園都市の端にあり、私は呪いで外に出られん。ピンチになれば学園外に逃げたらいい、か…。意外に作戦がせこくないか?先生」
よし、そのまま。まっすぐこっちに…。
「さぁ、これで決着だ」
あと少し…、もう一歩…。今だ!
パシィーン!という甲高い音と一緒に、エヴァンジェリンさん達の足下に魔法陣が浮かび上がり、魔法陣から光の帯が飛び出しました。
この時のために仕込んでおいた捕縛結界が発動して、しっかりエヴァンジェリンさん、茶々丸さんを捕まえることができました!
エヴァンジェリンさんも驚いてる‼︎
「や、やったー!エヘヘへ。引っかかりましたね、エヴァンジェリンさん‼︎これでもう動けませんよ。僕の勝ちです!約束通り悪いことはもうやめてくださいね‼︎」
「やるじゃないか、ぼーや。感心したよ…。だが、ふふ…。アハハハハハ…」
「な、何がおかしいんですか⁈この結界にはまれば簡単に抜けられないのはご存知でしょう⁉︎」
「そうだな、本来ではここで私の負けだな。だが、茶々丸…」
「ハイ、マスター」
茶々丸さんの耳飾りからアンテナがたくさん伸びてきました。
「結界解除プログラム始動…。すみません、ネギ先生…」
え?結界解除⁈うそ…、そんな⁉︎
「15年前に苦汁を舐めた私が、こういう罠への対処を何もしてないわけがないだろう?」
パキャァーンっていうガラスを割ったような音が鳴ると、エヴァンジェリンさん達を捕まえてた光の帯が割れてしまった…。
「そ、そんなのずるいですよっ!」
「私も詳しくは知らんが科学の力という奴だな」
「ら、ラス・テル…、あうっ⁈」
もう一度呪文を唱えようとしたら茶々丸さんに杖を取られて
「フン、あの馬鹿の杖か…」
それを受け取ったエヴァンジェリンさんは大切な僕の杖を…、捨てちゃった⁉︎。
「ああっ⁈うわーん、ひどいー!僕の一番大切な杖ぇーっ…‼︎ひ、ひどい、ひどいですよー…⁈エヴァさん…。本当なら僕が勝ってたのにー!ズルいです!一対一でもう一回勝負してくださいよ〜⁉︎」
エヴァンジェリンさんに詰め寄りたいけど茶々丸さんに頭を抑えられてエヴァンジェリンさんに近寄れ…
パシン!
という音と一緒に右ほほに痛みが走りました。
ひょっとして叩かれた⁈
「一度闘いを挑んだ男がキャンキャン泣き喚くんじゃない‼︎この程度で負けを認めるつもりか⁈貴様の父はこの程度の苦境なぞ笑って乗り越えてたものだぞ‼︎」
右ほほが痛くてさすっていると
「だが今日は頑張ったよ、ぼーや。一人で来たのは間違いだったな。だが、約束は約束だ。血を吸わせてもらおうか…」
エヴァンジェリンさんが口を開いて牙を見せつけるように近付いてきます。
「あの…、マスター。ネギ先生はまだ10歳ですので…、その…、あまりにひどいことは…」
「心配するな。…別に殺しはせん。女、子供を手にかけるのは私の主義に反するからな。それにぼーや自身にも興味が出てきたところだ…。そういう人間はサラ・ヒューイット以来久しぶりだしな…」
そ、そんなぁ〜⁈
「コラーッ!ネギを放しなさーいっ‼︎」
この声は…、アスナさん⁈でもどうして…
「フン、来たな。ぼーやのパートナー、神楽坂明日菜…。茶々丸、奴を近付けるな」
「ハイ、マスター」
そう言って茶々丸さんがアスナさんに向かいます。
こ、こっちに来たらダメです、アスナさん…
そう声をかけようとしたんだけど、急に眩しくなって目を開けていられなくなりました。
そしたら誰かに抱えられたのを感じ…、目が暗闇に慣れてきて、僕の前にいたのはアスナさんでした。
アスナさんを見て安心したからか、涙が溢れてきます。
「フーッ、危なかったわね…」
「アスナさん、ゴメンなさい…。僕…、アスナさんに迷惑かけないようにって…、一人で解決するんだってがんばったのに…。やっぱり…ダメでした」
「バカ、ガキのくせに無理しちゃって…。こんなところで意地張っても可愛くないわよ」
そう言ったアスナさんに頭をコツンと叩かれました。
「いい?この場合は、私があんたを助けたくて来たんだから、迷惑とかそんなんじゃないの!ほら、協力してあげるからさっさとあの問題児をどうにかするわよ‼︎それで、どうすんのよ、ネギ?」
エヴァンジェリンさんに言われたことを思い出します。
〈一度闘いを挑んだ男がキャンキャン泣き喚くんじゃない‼︎〉
〈貴様の父はこの程度の苦境なぞ笑って乗り越えてたものだぞ‼︎〉
この言葉で、僕は流した涙を拭いました。
「アスナさん、僕はあの人に勝たないといけません!協力してください‼︎」
「そーだよ、それでこそ兄貴だ!では姐さん‼︎」
そう言うとカモ君は地面に魔法陣を描きます。
え?なんの魔法陣⁈
「まぁ…、この場合は仕方ないわね。非常事態だし…。っていうか相手は10歳だしね。うん、よし!準備OK。じゃあ、ネギ。いくわよ⁈」
え?え⁈
混乱する僕をよそにアスナさんの両手が僕のほほを包んだと思ったら、僕の唇に柔らかい感触が当たってました。
ーサラ・ヒューイットー
橋を目指して一直線に跳んでいると、急に眩しい光が橋からはなたれ、その後にもう一度光が橋を包みました。
1度目の光は、エロガモが目眩ましのために放ったフラッシュですね。
2度目の光は、ネギ君とアスナちゃんの契約更新のための魔法陣から放たれたものでしょう。
1度目のものと違って2度目の光は暖かいものを感じましたし。
おっと、ここでグズグズしている場合じゃないですね。
早く決戦の場へと行きましょう。
再度、瞬動と虚空瞬動を使って2組が戦っている場所より少し離れた橋の支柱の上に陣取ります。
既に闘いは再開してたみたいでアスナちゃんと茶々丸さんがデコピンを打ち合い、ネギ君とエヴァちゃんが魔法をバンバン撃ち合ってます。
エヴァちゃんが氷の矢を撃てばネギ君が雷の矢を撃ち、エヴァちゃんが闇の矢を放てばネギ君は光の矢で対抗します。
負けられないネギ君は自身が撃てる最大の呪文を唱えます。
「ラ・ステル・マ・スキル・マギステル
しかしそれを嘲笑うかのようにエヴァちゃんも同種の魔法呪文を唱え始めました。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック
それでも詠唱を止めるわけにはいかないネギ君。
「
「
「
雷風と闇氷がぶつかる様はまさに圧巻です。
ネギ君もエヴァちゃんも互いに譲らない魔法のぶつけ合いをしていますが、そのバランスも崩れます。
「ハックシュン‼︎」
ネギ君のくしゃみが武装解除となり、エヴァちゃんに直撃。
エヴァちゃんはあられもない姿を晒しています。
エヴァちゃんは闘志満々でまだ闘うつもりだったみたいですが、時間切れですね。
学園の停電が復旧し、エヴァちゃんの魔力は再び封印されてしまいました。
ただその時にいた場所が悪すぎました。
橋の上空にいたら橋の上に落ちてくるだけで済みましたが、エヴァちゃんがいたのは橋から外れた湖の上空。
そのまま、まだ冷たい湖へと真っ逆さまに落ちていきます。
ネギ君もどこへ投げ捨てられたかわからない杖を呼びながら橋から飛び降ります。
あわやエヴァちゃん、湖面に叩きつけられそうになったところで、なんとか杖に跨ったネギ君が救出することに成功です。
これで吸血鬼事件は終了と言ってもいいでしょう。
「エヘヘ!さぁ、今度こそ僕の勝ちですよ‼︎もう悪いこともやめて授業にもちゃんとでてもらいますからね‼︎」
「な⁈なんだと‼︎勝負はまだついておらん!停電復旧がなk「いやいや、エヴァさんの負けですよ」…なぜ、サラ・ヒューイット。貴様がここにいる?」
「それはもちろんネギ君とエヴァさんの模擬戦の様子を見るためですよ」
「ちょっと、サラ⁈今聞き捨てならないことを言ったわね?模擬戦ってどういうことよ?」
「アスナさん、仮契約おめでとうございます。実はエヴァさん、ネギ君のお父さんによって麻帆良に10年以上封印されてたんですが、そこにネギ君が麻帆良に来るという情報が入りましてね。このままではネギ君がエヴァさんに命まで狙わねかねないと思った私が、学園側とエヴァちゃんに模擬戦を提案したんですよ。ネギ君が勝てばネギ君の血を狙わない、 エヴァさんが勝てばネギ君の命に関わらない程度に血をいただこうという感じですね。結果はご覧の通り、アスナさんの協力のおかげでネギ君は勝利することができたんです。まさか、決着のついた勝負にたらればなんてことを、私の師匠は言わないですよね?」
「だが電力の復k…「ストーップ‼︎」」
「エヴァさん、電力の復旧前に決着をつけられなかったんですよ。しかも泳げないエヴァさんを助けたのもネギ君ではないですか。そこに仮定の話を持って来ようものなら、エヴァさんのプライドに関わる問題になるのではないでしょうか?」
「…っち!確かにサラ・ヒューイットの言う通りだ…。全く…」
「えぇーっと…。とにかくネギの勝ちでいいのかしら?」
「はい。この勝負はネギ君の勝ちですよ」
「やったぁ!名簿の所に『僕の勝ち』って書いておこう!」
「な⁈貴様‼︎どこに名簿なんか持っていた⁈それはともかく名簿に書くのはやめろ!」
「えぇー…、いいじゃないですか⁉︎それに呪いについても僕がマギステル・マギになったら解いてあげますよ」
「そんな何年かかるかわからんものより貴様の血さえあれば十分なんだよ‼︎」
「あ、そうだ!まき絵さん達の治療もしないと…」
「無視すんな!いいかぼーや⁈私はまだ諦めたわけじゃないからな‼︎必ず貴様の血をいただいてやるからな」
「ねぇ、茶々丸さん、サラ…。エヴァンジェリンっていつもこうなの?」
「いえ、こんなに楽しそうなマスターはほとんど見たことが…」
「思い人の息子と仲良くなれて嬉しいんですよ」
こうして吸血鬼事件は無事幕を降ろしました。
これにて吸血鬼事件は終了なんですが、
次は修学旅行編なんですよね。
先はまだまだ長いです…。