憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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第10話

ーサラ・ヒューイットー

 

女子高生とのドッジボール大会から数日経ちました。

ネギ君もクラスの皆に認められたのが嬉しいのか、授業でも張り切っています。

それはいいんですが、うちのクラス以外がピリピリしているのに気付いていません。

来週から学年末テストが行われるのに、そのことを知らないのか忘れてるのかはわかりませんが、教育実習生としてテストが意識の外というのはちょっと問題な気もしますね。

まぁ、うちの学校がエスカレーター式だからといって、勉強をしないという雰囲気が蔓延してるこのクラスにも問題はあるんですが…。

それでもうちのクラスがずっと学年最下位というのはよろしくないと思うんですよ。

皆勉強をしなさすぎです。

私が麻帆良に来た直後のテストが1年の2学期中間テストだったんですが、その段階で学年最下位で、それをずっとキープしてるのを何とも思わないんでしょうか?

思ってないんでしょうねぇ…。

麻帆良最強の頭脳の持ち主と言われる(チャオ)ちゃんとハカセちゃん、委員長がそれぞれ学年順位1位、2位、4位に食い込んでいるにも関わらず、クラスが学年最下位とかあんまりだと思いませんか?

私も一応学年順位20位以内で頑張ってますよ。

それも焼け石に水状態ですが…。

こんないつもの調子で次のテストも受けるはずだったんですが、ネギ君に学園長から指令が下ります。

 

「期末テストで2-Aを最下位から脱出できたら正式な先生にしてあげる」

 

何の変哲もなさそうな指令なんですが、言い方が良くないと思うんですよ。

まず、ネギ君は確かに2-Aの担任みたいな状態ですが、教えてるのは英語だけ。

それなのに期末テストで学年最下位脱出というのは英語以外の責任まで生じてきます。

まぁ、ネギ君は頭いいので他の分野も教えられるかもしれませんが、それでは何のための専門教員がいるのかわからないですよね。

担任としてそれくらいやれという暴論が罷り通るなら仕方ないかもしれません。

ですが次はそうはいきません。

それは、仮に最下位だった場合どうなるのか?

英語しか教えてないネギ君が他の教科のせいで最下位になったら、修行は中断で強制帰国となるのか、それとも教育実習生のままで修行続行なのかが指令にないのでわかりません。

真面目なネギ君は最下位=即修行中断と考えてしまうでしょう。

実際、原作では学園長の連絡ミスで2-Aが最下位という誤報が流れて、勘違いしたネギ君はイギリスに戻ろうとしましたし。

そこら辺を学園長に確認しないといけませんね。

 

とりあえず、指令を受けたネギ君はネギ君自身が大変になるということをボカして、生徒に勉強を頑張るよう発破をかけます。

が、一事が万事お祭り思考の我がクラス。

英単語野球拳なんかやったりしてネギ君の熱意は全く、これっぽっちも伝わらず。

さらにネギ君がボカしたせいで学年最下位のクラスは解散、成績不良者は小学生からやり直しという信憑性の欠片もないデマが拡がり、バカ五人衆(レンジャー)はさぁ大変。

図書館島にあるという「頭が良くなる魔法の本(メルキセデクの書)」を求め、バカ五人衆とネギ君、このちゃんは昨晩出発し、学園長の罠にはまったのか原作同様行方不明となりました。

私は居場所を知ってるので行方不明ではないんですが。

学年最下位ならネギ君クビという話と、そのネギ君にバカ五人衆が行方不明という話で騒然となるうちのクラス。

委員長も顔が真っ青です。

 

「委員長さん、落ち着いてください」

 

「こ、これが落ち着いていられますか⁈ネギ先生とアスナさん達が行方不明なんですよ⁉︎」

 

「その情報を確かめに職員室に今から行ってきますので、委員長は皆さんをまとめてテスト対策を行ってください」

 

「サラさん、私も行きたいのですが…」

 

「委員長さんがネギ先生達を心配なのもわかります。ですが委員長さんがこのクラスをまとめて面倒を見てないと、もしネギ先生が無事戻ってきても成績が悪かったら大変なことになりますよ?」

 

ぶっちゃけると職員室ではなく学園長室に行くので委員長には来てほしくない。

なのでクラスの面倒を見てもらうという大義名分を掲げます。

 

「それは…、サラさんの仰ることもわかるのですが…」

 

「何かしらの情報がわかればちゃんとお教えしますよ」

 

「わかりました。では、よろしくお願いします。さぁ、皆さん。私達はネギ先生達がいつ帰ってきても大丈夫なよう勉強をしますわよ‼︎」

 

よし!これで学園長室に行っても問題無し。

早く委員長を安心させるためにもさっさと行きますか。

 

 

急いでやってきた学園長室の扉をノックして入ります。

 

「失礼します、学園長はいらっしゃいますか?」

 

「おぉ、サラ君。よく来てくれたのぅ。エヴァの件では世話になった」

 

「いえいえ、以前も言ったように知り合い同士が命を狙うなんて私も避けたいことでしたから」

 

「して、今日はどういう用件かな?この時間はSHRのはずじゃが…?」

 

「図書館島の奥にいるネギ先生達がちゃんと勉強をしてるか確認に来ただけですよ」

 

「あぁ、それならちゃんとやっておr…。何故サラ君は彼らが図書館島の奥にいて、勉強しておることを知ってるのかのぅ?」

 

「図書館島の奥と当たりをつけたのは、彼らが求めてた物を知ってるからですね。勉強をしてると思ったのはネギ先生の性格ならやるだろうと思ったからです」

 

「まぁ、良いわい。そういう事にしておくかの」

 

「そもそも図書館島にネギ先生達を閉じ込めたのに、その連絡をしなかった学園長にも責任はあるんですよ。クラスの皆さんは本当に心配してらっしゃるのですから」

 

「それは…、確かに儂の落ち度じゃな。相済まんかった」

 

「まぁ、この件はバカ五人衆を集中的に勉強させるために図書館島に強制収容したというふうに説明しておきますよ」

 

「バカ五人衆とはなかなか辛辣じゃのぅ…」

 

「うちの学校がエスカレーター式なのをいいことに勉強してなかったから、そう渾名されるんです。ちなみに私が名付けたわけではありませんよ」

 

「本当かのぅ…?」

 

学園長が疑うような目で私を見ます。

そんな学園長にはお仕置きです。

 

「それはともかく学園長?孫ほど歳の離れた女の子のスカートの中を随分楽しんだみたいですが?」

 

「っな⁈なんのことかさっぱりわからんのぅ…」

 

学園長の目がこれ以上ない程泳いでます。

声も若干上擦ってますし。

頭が良くなる本が置いてある部屋でゴーレムに変装して本を守るのはいいとして、どうしてツイスターゲームが罠として存在するのか。

そして本を探しに行ったアスナちゃん達は制服でスカートだったのを考えると…。

ホントこのぬらりひy…、学園長はどうしようもないですね。

 

「シラを切るおつもりですか?」

 

「シラを切るも何も儂はなn「英単語ツイスター」…ひょっ⁈」

 

「メルキセデクの書。ゴーレムに変装した学園長。もう一度言います。孫ほど歳の離れた女のk「参った‼︎」…はい?」

 

「か弱い老人をこれ以上虐めんでおくれ…」

 

「いじめるだなんて人聞きの悪い。私は事実を述べたまでですよ?」

 

「あの場におらんかったはずのサラ君が、どうしてそこまで知っとるのか不思議なんじゃが…」

 

「それは企業秘密ですね。それと学園長、彼女たちを図書館島から追い出すんでしたら早めにするか、テスト直前にするかしたほうがいいですよ」

 

「それはなんでじゃ?」

 

「中途半端な時間だと、最後の悪足掻きで徹夜して遅刻する可能性がありますからね。遅刻組のテストを学園長直々に採点されたいならそれもいいかと思いますが」

 

「ふむ…」

 

「あと、採点されるんでしたら報道部が発表会を始める前にちゃんと集計して結果を報道部に渡してください。でないと学園長が集計した結果が反映されず、2-Aはあっさり最下位。ネギ君はイギリスへと帰ってしまいますよ」

 

「な⁈なんでネギ君がイギリスに戻るんじゃ⁉︎」

 

「それも学園長のせいですよ。ちゃんと2-Aが最下位だった場合のネギ君の処遇を指令書に書いてなかったでしょう?だから何も書かれてない=即クビだと真面目なネギ君は考えてるはずですよ?」

 

「儂は別にクビにするつもりはなくて、教育実習期間を延ばすくらいのつもりでおったんじゃがなぁ」

 

「学園長…。彼はまだ9歳なんですから、そんなところまで気が回るはずないじゃないですか…」

 

流石にまずい状況だと気付いたのか、学園長は少し焦ってるみたい。

 

「うちのクラスでは最下位=ネギ先生さようならという話になってますよ」

 

「それはいかん!サラ君なんとかしてもらえんかのぅ?」

 

「まぁ、その辺の話もあとでしておきましょう。そもそも指令書の書き方にも問題があったんですよ。いくらネギ君が2-Aの担任状態とはいえ英語しか教えてない彼に他の教科の分の責任もかb「おぉ、サラ君」…はい?」

 

「SHRの時間も終わりのようじゃ。君はクラスに戻ってネギ君達の無事を知らせておくれ」

 

「はぁ、まあいいでしょう。まだ言い足りないことはいろいろありますが、時間となっては仕方ありません。ですが、これは貸し一つですよ」

 

「貸し一つとはなn「孫ほど歳の離れt」相わかった。これはいずれお礼をせねばならんな」

 

学園長が引きつった笑顔をしている。

 

「クラスの皆さんには私から説明しておきますので、ネギ先生の処遇については学園長からお伝えください。ではこれで失礼します」

 

「…こ、今回も助かったぞ。では退室しなさい」

 

これでネギ君の心的負担が軽くなるといいんですけどねぇ。

とりあえず委員長達に報告に行きますか。

 

 

「そうですか…。アスナさん達のための特別授業で図書館島にいらっしゃるんですか」

 

「えぇ、残念ながらこのクラスでは彼女たちは勉強に集中できなくなりますからね。それと仮にこのクラスが最下位になったとしてもネギ君はクビにはなりませんよ。教育実習の期間は長くなってしまいますが…」

 

「そこまで調べていただいたんですか⁈サラさん、ありがとうございました。大変ではありませんでしたか?」

 

「いえいえ、私や委員長さん達が心配してると学園長に話したら快く教えてくださいました」

 

おかげで学園長に貸しも作れましたし。

もっと貸しを作って大きな何かで返してもらいたいですねぇ。

何かまではまだ考えてませんが。

 

「そうですか。学園長がご存知でしたら問題ありませんね」

 

「はい、アスナさん達も来週のテストをちゃんと受けられますよ。ですので私達も頑張りましょう」

 

「そうですね‼︎皆さん、ネギ先生のクビが回避できたからといってずっと教育実習生というのはかわいそうではありませんか⁈ならば私たちの手でネギ先生を正式な先生にして差し上げましょう‼︎」

 

「「「「「「「「おーっ‼︎‼︎」」」」」」」」

 

いやぁ、このクラスはノリも良いし団結力もあるし、本当にいいクラスですね。

私も10番内目指して頑張りますか。

 

 

後日、学年末テストが行われ、やっぱり学園長直々に採点したかったのか図書館探検組は遅刻してきました。

この時点で教育者として生徒を遅刻させるってどうなのと思わなくもないですが、以前注意していたにも関わらず放送部に遅刻組の採点結果を渡さず、原作通りにネギ君がイギリスに帰ろうとする場面がありました。

だからネギ君にクビじゃないって伝えとけと言ってたにも関わらず、あんのぬらりひょんめぇ…。

学園長がネギ君に最終課題合格と伝えたところを見計らって、

 

「学園長、私が言ってたことをすっかり忘れてたみたいですねぇ」

 

「…サ、サラ君⁈」

 

「集計結果は早く放送部に渡すように。テスト最下位でもネギ先生はクビではなく実習期間延長ということを伝えるように言いましたよね?」

 

私の発言にネギ君が思わず声を上げる。

 

「え?僕ってもともとクビにならずに済んでたんですか?」

 

「言いましたよね?」

 

ドンドン縮こまっていく学園長。

 

「貸し2つですね」

 

「そこはなんとかならんかのぅ?」

 

「貸し2つですね!」

 

「相わかった…」

 

「気に入らないと仰るなら葛葉先生か源先生に相談することになりますがよろしいですか?孫ほど歳のはn「何も全くこれっぽっちも全然問題ないぞ」…ですよねぇ」

 

ネギ君達は私と学園長に何があったのかわからないという顔だったけど、いいのよ、あなた達は何も知らなくて。

これは大人同士の会話なんだから。

とりあえずネギ君は正式な教師として2-Aの担任となりました。




やりました、二桁話目達成です!
プロローグがあるのでサイトの表示は11話目となるんですが
これが10話となります。
でも先は長いですね…。

そしてサラちゃん。
順調に黒くなってますね…。
どうしてこうなったのか自分にもさっぱりです。

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