蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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かなり展開を早めました




「あ、弘さんどこに行ってたんですか。探しましたよ」

 

「散歩だ散歩。じゃあ行くか」

 

もう秋。日向国から今は真夜中の四国地方にいる。子供たちも春から秋まで鍛えたので余程の妖怪じゃ無ければ死ぬ事は無いだろう。それに霖之助はともかく靈夢がいるからな。アリスとパチュリーとレイラは諏訪国に行ったので子供達の中にはいない。それで、依姫と共に例の七人ミサキを何とかする為にやって来たのはいいが、全く見つからない。海や川などの水辺に現れるとされると聞いているので、今は海辺にいるのだがそれらしいのも無い。月の光でおおよそ周りが見えるが、依姫が能力でカグツチを使役し剣を燃やして松明替わりにしていて結構明るい。波が揺れる音を聞きながら悩んでいたが、とりあえず海に航海しようと思い、魔方陣から自動操縦の船舶を転移させたのはいいがあまりにも大きすぎたので驚いた。しかしそのまま乗り込んで海原を出港。船舶の上で真夜中の海原を眺めていたが、依姫が傍に寄り添い夜食のお結びを包んだ袋を差し出す。ちょうど小腹が空いてたので食おうとしたら舌から猫の鳴き声がしたので視線をやると、俺の足元に一匹の黒猫が見上げていた。

 

「もしかしなくてもお前、お燐だな。何やってんだこんな所で。パルスィが心配してるだろうに」

 

「何言ってんのさ、あたいは心配で来たんじゃないか。この辺りは海坊主や海難法師が出るからね。それより、どうやってこんな大きい船を出したのさ」

 

「この猫喋ってますが、よく考えたら別におかしくは無いですね。尾が二つに裂けてますから」

 

お燐が俺の肩に乗って来たが、パルスィが言ってたのを思い出すと確か猫又じゃなくて仙狸という妖怪だったな。それでお燐が言うにこの辺は 海難法師 や海坊主 が出るそうだが、海難法師って言えば、ひょうすべやうわんみたいに見たら死ぬ系の妖怪だったか。水難事故で死亡した者の霊とされ、盥にのって沖からやって来て、その姿を見たものは同様の死に様を晒すとかなんとか。だが海坊主に関しては問題は無いのだ。傍にいた依姫に 鹽盈珠 と 鹽乾珠 を使うように頼むと、依姫が両手に持っていた 鹽盈珠 と 鹽乾珠 が光を発し、数百メートル先の海で巨大な渦が起こり出す。そして巨大な渦の中から黒い何かが出て来て、水飛沫が降り注ぐ中声を発する。

 

「鹽盈珠、鹽乾珠か。我を呼ぶのは誰ぞ」

 

「俺だ。ダイダラボッチ。久しぶりだな」

 

船舶がダイダラボッチの目の前まで来て、ダイダラボッチは大きな両手を使い船舶を止める。船舶より大きな体と身長を持つダイダラボッチは俺達を片目が失明している目は閉じ、もう片方の失明してない方の目で見下ろしているが、俺と依姫の顔を数分見て、今まで忘れていたかのように名を思い出したのか俺と依姫の名を呼ぶ。

 

「お前達、蓬莱山と綿月の娘か」

 

「そうだ、久しいな」

 

「お久しぶりです」

 

「おぉ。海神の綿月家には色々世話になっている。だが何故 四国地方、しかも淡路島近くに来ている。何か手伝える事はあるか」

 

それならと思い、海関係で七人ミサキ、海難法師、船幽霊、海御前、栄螺鬼、化け鯨、海座頭、磯女、海女房、赤えい、水虎、濡女、磯撫で。などを聞いてみたが、海の妖怪や幽霊は山本五郎左衛門や神野悪五郎に従っているとの事で海にはいないそうだ。悪樓は元気に海を泳いでいるらしい。まあ ダイダラボッチ は妖怪じゃないし 悪樓 は妖怪じゃなくて邪神だしな。しかし、七人ミサキ、海難法師、船幽霊。これらの幽霊は山本五郎左衛門や神野悪五郎の元にはいなく他の誰かが従えたらしい。誰の事だと聞いたら俺の肩に乗っている黒猫だそうだ。

ちなみに幽霊と妖怪は別物だと思うかもしれないが、実は幽霊と妖怪は基本的に一緒。幽霊と妖怪が区別され始めたのは、確か江戸時代だったかな。

 

「そうか、急に呼んで悪かった。また海底で寝ていてくれ」

 

「うむ」

 

ダイダラボッチは両手で掴んで止めていた船舶を離して、海中へと沈んでいった。海底と言っても海底には竜宮城みたいな所が各地にあり、ここもその場所の一つなのだ。今は淡路島らへんなので、このまま四国地方から近畿地方へ突っ切る為に進路を近畿地方の紀伊国へと変更させて上陸し下船しよう。それまで時間があるので船上で依姫が握ったお結びを食べて肩に乗っているお燐に質問する。

 

「お燐、七人ミサキなどの幽霊はどこへやった」

 

「諏訪国の地下に広がる、広大な洞窟空間の世界。あそこって血の池地獄があるけどさ。ある幽霊をそこに連れて行ったら凄い喜んでたよ」

 

成程、幽霊たちは地獄に連れて行かれたのか。つまり海に出る幽霊は諏訪国と諏訪国の地底にある地獄にいる訳で、俺たちが海に来ても出会う事は無いんだな。通りで何の気配もしない訳だ。昔、神綺は地獄を作ったが、諏訪国の地中深くにも地獄を造り上げている。地獄と一括りに行っても色んな地獄があるのでその一部が諏訪国の地中深くにあるというだけだ。地底に地獄や都があるとは言え一応、行ける方法がある。神奈子と永琳の指導の元で河童達が妖怪の山である八ヶ岳の麓に建設された施設があり、そこで河童達は地底に行ける様にエレベーターを建設している。その甲斐あって地下深くの地獄にまで繋がっているので行こうと思えばいつでも行ける訳だ。序でにナズーリンの能力を使い、ぬるま湯の温泉が施設の近くにあれば、最下層の地下施設にある核融合炉でボイラーが出来る。お結びを食べてる最中、水筒に入っている味噌汁をコップに入れて依姫は俺に渡す。依姫は能力でカグツチを使役したのか、味噌汁は湯気が立っていて温まっている。船舶のスピードはかなり落としているが真夜中なので冷たい風を体に受けながら、温かい味噌汁を飲むのは冷えた体が温まって心地いい。

 

「ああ、愛してるぞ依姫」

 

「わ、私も愛してます」

 

「仲がいいんだねぇ。あたいがいるのに凄いディープな口吸い」

 

唾液と味噌汁を依姫に口吸いする際に流し込んでやったが、依姫は嫌がらずそのまま唾液と味噌汁を喉を鳴らして飲み込んだ。まあやる事はやっているのでこの程度は日常茶飯事だ。とりあえず、食事を終えたので

 

「お燐も何か食うか、何が好きなんだある程度の食べ物ならすぐに出せるぞ」

 

「食べないけど死体」

 

「死体か、手ごろな人間を殺せばいいが今は海の上だし流石に死体は出せんな。魚か肉で我慢しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな」

 

真っ暗な地下室で俺は椅子に座りながら話しかける、目の前にいる人物の視界は塞がれ、両手両足を縛られている。俺の声に反応して喋ろうとするが、視界は塞がれボールを口に噛ませ、ベルトで固定するボールギャグを入れているので喋る事は出来ず、言葉を発する事が出来ない事実を否応にもただ受け入れるしかなかった。俺は食事をさせようとギャグボールを外すが、口内に入れてたのでボールギャグは唾液塗れ。ボールギャグは穴が開いているので目の前にいる人物の口元から顎にまで垂れ、まるで漏らしたと思うくらい床に落ちた唾液が広がっている。ずっと口を開きっぱなしで顎が疲れたのか息が荒い。まずは飲み物を飲ませた方がいいかと思い、目の前にいる人物の顔を右手で上げ、左手に持っているペットボトルに入った水を口に突っ込み、そのまま無理矢理飲ます。急だったので驚いたのか顔を逸らして逃げようとしたが、俺が右手で動かない様に顎を抑えているので逃げる事は出来ずにそのまま辛そうな声を出しながら水を喉を鳴らしつつ飲んでいる。十分飲ませたかと思いペットボトルを口内から抜き取ると、水を少し吐き出しながら目の前にいる人物は咳き込む。こんなにも苦しそうなのに、目の前にいる人物の顔は紅潮しているが、次に食事にしようと右手にある一本の野菜スティックを食べさせようと左手で目の前にいる人物の顎を掴んで、野菜スティックを唇に当てる。目の前にいる人物は鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、次に口から舌を軽く出して野菜スティックを舐める。そして恐る恐る野菜スティックを口内に入れ、ポリポリと噛んで音を響かせつつ飲み込むの繰り返し。それを眺めていたら背からノック音がした。

 

「久しぶり。会いたかったわよ」

 

「俺も会いたかったが、今は手が離せん」

 

「またその子で遊んでるの? 余程お気に入りなのね」

 

「奴隷にしたのはいいが、今まで何もしなかったからな。それに回帰前から奴隷の中で気に入ってるんだ。清蘭と鈴瑚も連れて来るべきだったか」

 

永琳が椅子に座っている俺の背に抱き着き、胸を背に思いっきり当てつつ目の前にいる人物を見ながら俺の耳元で囁く。目の前にいる人物はその言葉を聞いて、言葉を口には出来ないがそれは駄目だと、清蘭と鈴瑚も連れて来るのはやめてと、両手両足を縛られているのでもがく事しか出来ずに、声にならない叫びを発している感じがした。まだ目の前にいる人物の記憶は戻していないが、永琳が軽く洗脳している。そうだな、理性が薄れていて本能だけを強く残しているので、もう本能だけで生きる動物かもな。右手に持っていた野菜スティックを最後まで齧り、飲み込んだようだが俺の右手の人差指をちろちろ舐め始め、そのままぬぷりと口内に入り込む。目の前にいる人物は指だと気付いているのか噛む事はせず、ただゆっくりと嬲るように指を口内で舐め、俺の指を唾液塗れにして人差指にマーキングでもするかのように匂いを付けている。顎を掴んでいた左手を離して目の前にいる人物の側頭部を撫でるが、目の前にいる人物はそれに甘える様に、自分の匂いを擦りつける様に、顔が左手にすり寄って来る。あっけないが可愛いものだ、最初はあんなにも俺を警戒して嫌ってたのに。親指、人差指、中指を目の前にいる人物の口内からゆっくりと引き抜くとぬめぬめしていて、真っ暗な地下室なのにうっすらとだがてらてら光っている。舐めようかと思ったが永琳が抱き着きながらタオルを渡してきたのでそのまま拭き取り、目の前にいる人物の口回りを拭きながら、ついでにボールギャグもしっかりと拭いて、またボールギャグを目の前にいる人物にボールを口に噛ませ、ベルトで固定する。

 

「で、どんな感じだ永琳」

 

「全て順調。パチュリーの喘息も治すから今の所、問題は無いわね。ただ諏訪氏、甲賀三郎が原因不明で死んだのは気になるけど」

 

「言っとくが俺じゃないぞ」

 

「そんなの言わなくても分かってるわよ、メリットが無さすぎるからね」

 

「望月 千代女、巴御前。木曾次郎が蘇生したなら気にせず行こう。なら依姫の所に帰るか。じゃあな鈴仙また来る。る~こと、俺がいない間レイセンの事は頼んだぞ」

 

「畏まりましたマスター」

 

今まで静かに佇んで隣にいて、AIを搭載したアンドロイドでセクサロイドは、まるで人間の様な声で受け答える。椅子に座りながら鈴仙の頭を撫でて立ち上がり、鈴仙は視界を布で塞がれ、両手両足を縛られている鈴仙はボールギャグが邪魔しているので返事は返せなかったが、そのままる~こと と鈴仙を放置して二人の姿が忽然と消えた。

残されたる~ことは両膝を床に付け、右手の親指と人差指で掴んでいる二錠のカプセル剤を鈴仙の唇に当ててそのまま押し込む。

 

「いいですか鈴仙様。これは媚薬です。あの永琳様が作られた媚薬です。だからまともじゃ無くなっても仕方ないのです。恥も尊厳も常識も狂わされても仕方ない事なんです。だから全てを曝け出しても仕方ない事なんです」

 

視界は布で覆われ、両手両足を縛られて身動きが取れない鈴仙は耳だけは何もされていない。耳だけが今の状況を知る事が出来る。だが、それでしか世界を認識できないのだ。鈴仙はされるがまま受け入れ、そのまま水が入ったコップを唇に当てられ、鈴仙の口内に水が浸入するが、鈴仙は喉を鳴らして媚薬を飲み込んだ。

 

鈴仙が飲み込んだのは、ただのビタミン剤と栄養剤だ。


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