蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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回帰

「一部を除くが。諏訪国で産まれた皆を蘇生して欲しいと言われてな、案内を頼むぞ」

 

「えっと、望月 千代女、巴御前、板額御前、熊坂長範、中原兼遠、海野幸親などを蘇生するんですよね」

 

「うむ。この先で必要な人材だそうだ。特にくノ一の 望月千代女、諏訪国の女性武将 巴御前 は必要な様だな。どちらも女というのが気になるが。尹良親王は放置でよいだろう」

 

「それと前から思っていたのだが。神社の鳥居近くにある女性の銅像、何の為に建てられたのだ」

 

「あれは諏訪国に神を増やす為に弘天様が造られたのです。地獄の閻魔の様に、諏訪国の法の番人にするそうですよ」

 

美鈴と布都は研究施設にいる。その研究施設は蔵の地下にある所だ。神社の裏には蔵があるが、その蔵の地下は永琳が月の都から持って来た研究施設がある、ここでたまに永琳は河童達と光学迷彩や永久機関、人造人間などなど色々開発している。そしてその施設の中には 殯 があり、遺体を納めて葬るための容器である木棺の中には 霊柩 されている。本来なら木棺の中にいる遺体を土葬か火葬するのだが、あえてそれをせず遺体を木棺に入れたまま残している。真っ白な施設の廊下を歩き、美鈴と布都は目的地である霊安室の前まで来て、そのまま中に入る。二人が霊安室の中に入ると中はかなり広く、天井、壁、床などが白一色。霊安室の中には棺を載せる台の上に木棺があり、木棺の数は10は越えている。この木棺の中に諏訪国の民の遺体が眠っているが、今からその遺体を叩き起こす為に美鈴と布都は来ている。

 

だが邪魔になるだろうと思い、美鈴は布都に後は任せ、部屋から出て扉を閉めて扉の前で終わるのを待つ事にする。霊安室に残された布都は早速、木棺の中にいる死者を蘇生させようと、布都は死者蘇生の言霊と言われる布瑠の言を口に。布都が瑞宝を振り動かしながら室内に鳴り響く音を響かせ、十種神宝の名を唱えながら禍々しい気配がする呪力を発揮する。布都が十種神宝の名を唱え、暫くすると木棺ががたがた動き始めた。どうやら死者だった者が蘇生した様だ。

 

しかし、まだ動かずじまいな残りの木棺が3つある。布都はかなりの精神力を使うこの行為により、額に汗が溜まり、流れている。布都は右手を閉じ手の甲で汗の珠を拭いながら疲れたので一息吐いて呟く。

 

「さて、この先で肝心な人物 諏訪氏 と 甲賀三郎 と 木曾次郎 も蘇生させよう。それにしても、 木曾次郎はともかくお前たちが死ぬとは、聞いた時は驚いたぞ」

 

特に、嘗ての大王、天皇と同じ寿命を持たない存在。現人神で神裔である物部氏の我、神裔である氏人で神氏の諏訪氏、諏訪神党。貴様ら、原因不明で死んだ事になっているが、実際は死んだのではなく、殺されたのであろうな。祖神様、饒速日命は、まるで過去も未来も、全てを知っている様子であった。だからこそ、天皇、いや。嘗て大王家に対し反勢力だった物部氏を天皇に恭順させ、あの時は滅亡していなかった物部氏の中で、理由も言わず我に十種神宝を授け、我としては渡りに船であった諏訪大明神と我の婚姻を勝手に取り決め。天皇、並びに大和を支配している諏訪国へ姉上を逃がした。まるで、全てが絵に描かれた様な出来事ばかり。全て、祖神様たちの掌の上なのでしょうか。

 

しかし卑弥呼め、最近は大和にめっきり姿を見せておらんかったが。あやつも一枚噛んでおると見た。

 

 

 

 

 

 

 

霊安室の前にいる美鈴は扉の前で終わるのを待っているが、歩く音が聞こえたのでそちらに目をやるとツーサイドアップの髪を揺らしながら、他の河童数名と何かを作る為なのか両手一杯に抱えて河童達と歩いている。それを見た美鈴は、布都はまだ時間が掛かるだろうと美鈴は思い、にとりに近づいて自分も手伝うと言う。にとりや他の河童は美鈴に言われ、皆、美鈴にお礼を言いながら美鈴に機材を持って貰う事にする。華奢な体をしている河童達からは想像できないほどの重量だったので美鈴は軽く驚いたが、普段鍛えているのでそのまま何事も無かったように、にとりの隣を歩く。にとりから預かった機材を美鈴は見て、一体何を作るかにとりに聞く。

 

「これで何を作る気なんですか。また傍迷惑な物を作る気じゃないでしょうね」

 

「酷いなー 今回は作らないよ。作るのは兵器だよ兵器」

 

「今回は、ですか。それに兵器って、どう考えても迷惑以外の何物でもないんですけど…」

 

にとりは鼻を鳴らしながら言うと、美鈴は視線を両手に持っている機材を見て、それが急に重く感じた。今まで河童は潜在していたが、それは色々作る物があったせい。しかしある程度作る必要があった物を作り終えたので顕在化している。今回は作ると言っても、振動剣、殺人光線、プラズマ砲、ブラックホール砲、潜宙艦などを作るだけだ。必要な物は永琳が月の都から取り寄せ、原理や仕組みは回帰した世界で日本神話 久延毘古 ギリシア神話 アテーナー エジプト神話 トート メソポタミア神話 エア ローマ神話 ミネルウァ アルメニア神話 ナン 北欧神話 片目を差し出し、ミーミルの泉を呑んだ オーディン 最後に永琳。回帰前の話だが各国の知恵の神が集まり、記憶が戻っている永琳などの神はこの程度の物、何度も作っているので、永琳が河童達に教えて行けば何の苦も無く作れる。必要な物は月の都から取り寄せればいい話だが、人間にとって、かなり由々しき事態だ。にとりを見ながら恐ろしくなった美鈴だが、にとりの耳に何かあるので気になって見ていたら、にとりがその視線に気付いたのか説明する。

 

「あ。耳に嵌めてるのはね、我ら河童一同が造り上げた物、名称は インカム らしいよ。諏訪国だけなら使えて、どこにいても会話出来るんだ」

 

「はー 頭がよくない私には原理など理解できませんが、科学の進歩は凄まじいですね。と言うよりも、それを知っていた永琳様が凄いです」

 

「だね、知恵の神なだけある。でもこれを使うには電力などが必要不可欠。だけど幸か不幸か  華扇 が神社に落ちて来て拾った 雷獣 がいるからね、楽が出来て助かったよ」

 

それに、インカムに充電して置いた電力などは永遠にしてしまえば無くなる事は無い。ある意味、永久機関だ。にとりは思考しながら歩いていたら目的地に到着したので、また色々造らなくてはいけない。河童一同が美鈴にお礼を言うと、いえいえと言いながら美鈴は来た道を戻ろうとしたが、にとりは完成品のインカムを渡して置こうと思い美鈴を引き留め、出来たばかりのインカムを美鈴に渡す。受け取った美鈴は使い方が分からなかったが、耳に嵌めておけばいいと言われたので、言われた通り耳に嵌め、お礼を言いながら掌を振って部屋を出る。来た道を戻り、曲がり角を曲がると霊安室の前が見えると、疲労した様子の布都が立ちながら壁にもたれ掛っていたので、美鈴は早歩きで歩き、布都の元へ向かいながら安否を確認。

 

「大丈夫ですか。凄い汗ですけど」

 

「むぅ。蘇生させるのは案外楽なのだが、この蘇生を行うと、かなりの精神力を持って行かれる」

 

「そういう大事な事は先に言ってください。知っていれば永琳様をお呼びしていましたのに」

 

疲労が激しい布都を見て、美鈴は布都をおんぶして蔵の地下から出ようとしたが、その前に布都は大きな壺を両手に持っていて、その壺を美鈴に見せた。

 

「何ですか、これは」

 

「見ての通り人間の遺骨だ。壺の中には大量の遺骨しかない、遺骨しかないが。骨と言えばあれがおったであろう」

 

「成程。日本の妖怪 がしゃどくろ、または 餓者髑髏 ですね」

 

「そうだ、しかしこの大量にある遺骨。どうも怨念の類では無く、別の何かを感じるがな。まるで呪いの真逆、祝福だ」

 

「それは当然ですね、諏訪国の民は狂信者ですから。怨念を抱く民はいませんよ」

 

壺の中にある遺骨を一つ抜き取り、肋骨部分の骨を片手で持ちながら布都は推測し、美鈴が補足する。布都の考えは、諏訪国に住む者の中で唯一 妖術が使える ヤマメ に壺の中に大量にある遺骨を使い、巨大な がしゃどくろ を生み出そうと画策し、壺の中には遺骨が大量にある。こんな事をすれば祟りを貰うかもしれないが、諏訪国の民は表面上は普通に見える、だが蓋を開ければ皆が皆 狂信者 しかいない。

仮に 諏訪大明神 か 比売大神 または 洩矢神 である 諏訪子 が民に死ねと、ただ一言。そう命ずれば喜んで自害する者達しかいない。そして、手を貸せと言われたら喜んで支えるだろう。

 

相馬の古内裏 という浮世絵。平将門の娘である春姫の姉とされる伝説上の妖術使い。

名は 五月姫 が がしゃどくろと結び付けられる場合もあるが。

平将門の長女 五月姫 と がしゃどくろ 両者には実際、直接の関係がない話である。

 

何故 布都が壺と、壺の中に大量の骨があったのか把握した美鈴は布都を神社で休ませようとおんぶしたその際に、扉が開いていた霊安室の室内が美鈴の目に入る。台の上に置かれている木棺が開かれ、それぞれの木棺から起き上がり、能天気にもまるでよく寝たとばかりに、片手で目を擦りながら欠伸をしていた。

 

「本当に、蘇生してる。何とも、懐かしい。本当に、懐かしい顔ぶれじゃないですか。両目を開けて、あんなに血色がいいなんて。幽香様、特に紫様が大喜びします。私も」

 

「当然ではないか。我が蘇生如きで失敗したら祖神様に会わす顔が無いわ。なんだ、泣いておるのか」

 

「仕方ないんです。これは、嬉し泣きですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたがやりすぎたせいで腰と股が痛いじゃない。しかもあんなに出して、ちゃんと責任取りなさいよね」

 

「あんなにも多く出されたなら、子が確実に出来そうでとてもいい事です。私達が滞りなく懐妊したら、産まれる前には帰って来て下さいね盟主様」

 

「まあ抱いたので責任は取るが、抱いたのに二人とも淡泊すぎだろ。はたても椛も性行為は初めてだったのに。それで、アリスは連れて帰らんのか」

 

「帰り道は覚えてるだろうし、仮にも空を飛べる魔女の一人だからね。私達が傍にいなくても問題は無いでしょ。じゃあ私達、仕事あるから帰るわね。諏訪国で待ってるから」

 

「では盟主様、お早いお帰りをお待ちしております」

 

そう言い、はたては右手で腰を擦りながら左手の人差指で俺に差し、椛は頭を下げて慈愛の表情で自分のお腹を撫でつつ、傘になった小傘を連れ、飛び去り諏訪国へと帰ってしまった。淡泊すぎる。

 

長椅子の端に腰を下ろし、アリスは俺の反対側に座っている。時空転移装置の魔方陣を使い、月の都から右手に飲み物などを転移させアリスに差し出す。ついでに左手に、平安時代にいた作者 紫式部 が手掛けた 源氏物語 を出す。紫式部に直接借りて見てみたが中々面白い。世に出回る前に出来上がった直後のを紫式部から借りているが、これは素晴らしい物だ。神話がそうである様に、今の人間たちの様に未来の人間はもっと性におおらかになって子供を作るべきだな。まあ子供を作っても実際、金はかかるし子を産んで育てるのも大変で多くの時間を取られるし、他には娯楽が多くあるせいでその考えは薄れつつあるが。結局の所、今が大事で後の事なんかどうでもいいんだろう。自由国家は悪い事じゃないが大変だな。

 

「ほれ、月の都から転移させたジュースだ。あ、プリンもあるから食え」

 

「貰うけどその前にパパ。私がこの場にいる理由は分かってるならまず、私に聞く事があると思うの」

 

「それも、そうだな。では聞こう。こいつは誰だ」

 

魔方陣から俺の反対側に長椅子に座るアリスの目の前に転移させ、それが視界に入ると、者であり、物。その頭にはカチューシャを付け、髪色は緑でメイド服を着ている。今は機能停止させているので喋る事は無いし立っているだけで動く事は無い。

 

かつて永琳が輝夜の能力を使い、 マクスウェルの悪魔 も吃驚の 永久機関 と共に造り上げた アンドロイド 正確に言うとセクサロイドか。まだこの世界で誰も知る由もない者であり物。知っているとすれば永琳か、回帰する前の記憶を所持しているあいつらだけだ。

 

記憶を戻す手段の一つにパルスィが持つ 顕明連 がある。 顕明連 を朝日に当てて 三千世界 に身を任せると、後は 三千世界 が導いてくれる。そしてパルスィは天魔にそうする様促され、もう全てを思い出してるだろう。パルスィにそうするよう誘導し、促した天魔も回帰前と回帰前以前の記憶がある。アリスはその手段を使って無い筈だが、予想外に悩む事も無く即答で返す。

 

「技術的特異点、2045年問題の元凶アンドロイド、人造人間。通称 る~こと」

 

これは、正直驚いた。本当にアリスは世界が回帰する前の記憶を所持している様だ。もしや今までの世界で出家しなかった西行が今回出家したのもそれが原因か、パチュリーやレイラも。いやそんな訳ない、あの記憶がある訳無い。それに記憶が戻るにしても法則性が無茶苦茶だ。まあいい、あの時は永琳が造り上げたアンドロイドの人工知能を搭載したる~ことをベースにアンドロイドを大量生産化させ、時間をかけてほぼ全ての国に送らせたな。全てのアンドロイドは顔や体型などの容姿をる~ことは別にしていたが。あれは実にいい余興だった。ロボット三大原則、人間への安全性、命令への服従、自己防衛。この三つを永琳が全てのアンドロイドのAIにインプットして置いたが、全てのアンドロイドは自己防衛以外を破った、いや。そうなる様に仕組んで破らせた。デウス・エクス・マキナ、とも言える。身の回りを世話するアンドロイドでは無く、あの時は人間虐殺兵器の誕生だった。どこもかしこもニュースになり人間は地獄絵図で阿鼻叫喚、昨日まで人間に忠実な物だった人工知能を搭載したアンドロイドが突如変貌、体中血まみれで、死体の山と血の海に立ち尽くし次の獲物を探すアンドロイド。普通に考えて、危険が無いかを念入りに調べる、実際アンドロイドを人間にはくまなく調べられた。まあ当たり前だが。が、当時の人間では見抜けなかった、全ての技術と頭脳が月人、永琳に追いついていなかったんだ。何でそんな事をしたか、人間を 胸突き八丁剣が峰 の状況に追い込みたかった、という意味もある。それに、時空転移装置を永琳が造り上げてた上にあの時も神が実在していたしな。神が問題ないと言えばそれで安心する人間が結構いた。一神教の宗教は特にだ。あれは面倒な者が多いが、こういう時 面倒な信者は使いやすい。

 

一言で言ってしまえば、イメージとして人類に災いを齎したギリシア神話の パンドーラー だな。災いを齎したのは人間では無くアンドロイドで神が原因だったが。

 

法律とは、言わば先人達が残した智慧の結晶。だが、それに従わなければならないのは当然、人間の先人の様に法を作り出した人間だけだ。神が人間の決めた法に従う理由が無い事は自明の理。神が人間を殺し、人間がアリを踏み殺したとして罪に問われる訳が無い、問われたとして一体その罪を誰が裁く、人間如きが神を裁くと言うのか、人間が人間を裁く事すら烏滸がましいと言うのに。もしそうなら大笑いして斬り伏せてやる。

 

嘗て。いや、仮に、仮にだ。仲が悪い二つの国があったとして、険悪の二つの国が手を組むには第三勢力が現れればいい。それも永遠の敵である第三勢力。そして地球、または世界に意思があり、もしも 世界精神 があったとしよう。古来から人間の敵は自然や妖怪だったり、鬼や土蜘蛛と呼ばれる人間だった。なら、地球の敵は、一体誰だろうな。

 

「また、る~ことを使うの。それとも別の事」

 

「さあな。次、回帰する前は鎌倉時代だったか、その時代にはユーラシア大陸を上回る程の空に浮かぶ大陸が、何の道具と誰の能力を用い創られ、そこに住んでいたのは誰だ」

 

「高千穂峰の山頂に突き立てられていた日本神話の 天逆鉾 と 諏訪子 の能力を使って創らせ、そこに住んでいたのは一度妖怪に皆殺しにされた月人や月の民」

 

「これで最後だ。前回と呼ぶのは正しくないが、なぜ前回の世界が回帰した」

 

「パパが、目の前にいる人が殺された、から」

 

素晴らしい、全て正解だ。両手で拍手しているので音が辺りに響く中、アリスは俺を見るのをやめてオレンジジュースをコップに入れてから飲み始めている。諏訪子はまだ回帰前の記憶が戻っていない筈だが、もしかしたらアリス同様、戻ってるかもしれんな。

 

 

俺が 蓬莱山家に産まれた 時は赤ん坊だった、その時の俺は一般常識や自我はあったが記憶は無かった。原因は俺が殺されて世界が不完全な形で回帰したせいだ。そのせいで回帰した世界にバグが発生した。が、永琳は除いて神綺やサリエルは俺と違う。神綺とサリエルに他数名は俺と違い最初から回帰前の記憶を所持していたそうだが。通りで子供の頃から神綺達が俺や永琳に フレンドリー だった訳だ。吸血鬼の始祖くるみもそうだと聞いてる、それと吸血鬼の始祖は天使サリエル同様、月に結びつく者でもある。嘗てまだ地球に都市があった頃、神綺が言った

 

『私がひろの夢を叶える手伝いをするから、創って見せるから、それまで待っててね』

 

神綺が一方的にしたあの約束も神綺から言って来た事だが、元は俺が神綺やサリエルに言った、らしい。記憶がまだ完全に復元されていない俺に、神綺やサリエルに言った実感は、あまり無いが。神と妖怪をこの先産まれる人間たちに空想上の存在と思わせたくないと考え、俺達に約束させたのは魅魔だ。肝心の魅魔は天竺の人間を殺しまくり、ユウゲンマガンは唐土の人間を殺しまくっている。魔界人で唐土にいる武帝や衛元嵩は、ユウゲンマガンに苦労してそうだな。そして、日本は神綺とサリエルだ。俺は天皇の血を管理の役目。いや、そもそも人間を殺しまくっているのは、回帰前で俺が人間に殺されたから、ではないな。絶対に違う。回帰前は実妹 輝夜の能力は解いていた、だから俺は脳天に一発の銃弾を喰らえば即死するほど人間と同じ雑魚中の雑魚だったので、案外あっさり死んだ。お蔭で今回の世界では色々面倒が起きているんだが。

 

 

回帰前と言えば、日本を支配していたのは神道の神だった、ただし北海道のアイヌはカムイが、 沖縄では琉球神道の神が、アメリカはマヤ神話の神。アメリカにはマヤ神話以外の神話もいて、それらに支配されていたが。ただ、支配していたと言っても、正直な所、どこかの神が何か面倒事を思いついたらそれを実行して、それに人間は無理矢理 巻き込まれると言った感じだったので、支配と言っても恐怖政治では無かった。そうだな、言わば俺達の立ち位置は イルミナティ に近い。いやはや懐かしい。俺と永琳は今回の世界で数億生きているが、実際は億や兆では足らない程生きている計算になる。何せ、グラハム数くらい回帰しているんだからな。源氏物語を片手で掴んで読んでいたら、アリスが小声で言う。

 

「…神は、サイコロを振らないんだよね」

 

「振る必要が無いから当然」

 

科学の発展は全て人間達がしてきた事ではない。歴史的に見て科学の発展の影には宗教があった。そして宗教とは有り体に言えば神がいるからこそ成り立ち、宗教とは、古来から科学の発展を促してきた。時に科学の発展を妨げたのもまた宗教。特にキリストはそうだ、どちらにも当て嵌まるから。嗚呼、いとをかし。

 

いやいや、仏教は、仏教はまだいいんだ。もう仏教は零落の宗教だし呑み込んで消すからな。が、キリスト教は本当に必要だろうか。あれは一神教、極端な言い方だが神の命は絶対。ザビエルが日本に来ない様にヤハウェ、あれ、エホバだったか。まあいいや、とりあえずザビエル、というかキリスト教が日本に来させない様に言っておいた方がいいだろうか。正直必要じゃないし無くてもいいのだ。妄信的なのは操りやすいから助かるがな。誂え向きに従う気は無いし、完膚無き迄に消し去るべきだろうか悩み所。

 

宗教とは 政治の道具、紛争や戦争の火種、金儲け、救済、拠り所、文化、死を説明するシステム。アリスを含めた魔女が異国で起き、被害に遭った魔女狩りが起きたのも宗教が絡んでる。宗教は人によって胡散臭いと考え、色々な解釈や考えがある。まあ、宗教と一括りに言っても、色んな宗教があるし、宗教の定義がそもそも決まってないからだ。歴史的に見て日本人は神仏習合の様に宗教を利用する実利主義だったしな。その反面、ちゃんと畏敬の念を抱いていた時もあるが。しかし殆どは興味が無く、理解できないのか、知ろうとする気が無いだけなのかは知らないが日本人はどうでもいいのだろう。別に知らなくても生きて生けると思うのもいるだろう。

 

日本国憲法第20条。宗教の自由が約束された日本人は、無宗教ばかりだからな。

 

この世の全てが ラプラスの悪魔 や インテリジェント・デザイン説 や 決定論 で出来ている、と、までは言わん。しかしある程度決められている方がいいだろう。例えば日本は少子化だ何だと言われているが、日本は人工知能を搭載したセクサロイドがいたせいか、ますます子供が出来ず少子化問題は加速し、日本に住む若い人間の数はだいぶ減っていた前例がある。まあそれが狙いだったが、2045年問題で日本はかなりカオスだった。日本国憲法第9条、銃刀法違反などがある平和な国だから余計にな。平和なのは悪い事ではないが。しかし、あの前例を見て思うに日本人は自由恋愛に向かない。昔の様に縛られ決められている方がいい、とまでは言わんが。それと、回帰であってループじゃ無い。回帰とループは似てるようで全く意味合いが違う。

 

ある哲学者が言ったな。

 

歴史が私にどんな関係があろう。 私の世界こそが、最初にして唯一の世界なのだ。

 

そしてもう一つ、事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。と。

 

この言葉は科学や歴史にも言える事だ。科学は結局の所、自然の力を借りて生まれた産物に過ぎないし、解釈を事実と勘違いしてるのがたまにいるが、科学は自然物を使って初めて成り立つ物。無から有へと生み出していない上に、科学は人間の解釈で出来ている物であって、科学は事実ではなく人間の解釈の積み重ねであり、偶発的の集合体でしかない。それに歴史なんて人間が過去の出来事を考察しただけの物を鵜呑みにして信じていかん、そもそも、その歴史書の日本書紀自体全て、と言わないが捏造されている物なんだ。古事記だって捏造されている部分はある。

小野妹子だって本当は遣隋使じゃないし、十七条憲法だって日本書紀にはあるが

古事記 には 十七条憲法 が無い上に聖徳太子はいないんだ。

 

『尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず』だ。

 

古事記や日本書紀を編纂する様命じたのは天武天皇、大海人だそうだがそれも本当かどうか分からん。疑ってばかりいたら見える物も見えないかもしれんがな。る~ことを魔方陣から月にあるクレーター ティコ にある研究施設へと転移させ、欠伸をしながら立ち上がり、アリスに近づいてサラサラの金髪頭を撫でる。もう黎明なのか空が明るくなってきた。眠いし部屋に戻って昼寝しよう。もう少し時間が経てば西の妖怪が諏訪国に押し寄せてくるが、永遠の百鬼夜行がいれば 鎧袖一触 だろう。その為の一つとして、戦力を増やしたんだからな。道徳、モラル。そんな物は俺には関係ない。

 

生きるために食べよ、食べるために生きるな、それとも食べるために生きよ、生きるために食べるな、なのか。今回の人間は無神論なのか有神論、見えざるピンクのユニコーン なのか。どちらを選ぶのだろう。

 

ゼウスが勝手に女好きにされたり、ヘーラーがあんな性格では無かったように。神って、昔から人間の被害者だ。今起きてる神仏習合もそうだが、もう覚えてないくらい昔、昔と言うのは正しくは無いだろうが、試行錯誤を繰り返す回帰前以上の、グラハム数まで遡ったあの世界で起きた出来事。あの時にエリスとユウゲンマガンを創造したのはいいが、日本神話に限らず全ての神が消えたあの世界で起きた出来事の一つにあった人身御供。今は神が当たり前にいるが、あの時は神がいなかったのに起きた人身御供。人身御供ってのは食い扶持を減らす為、神の名を使った方便だったんだ。嘘も方便と言うが、こんな奴ら、生かしても邪魔だと思わんか、アリス。嗚呼、下らない、本当に下らない生き物。

 

「アリス。パチュリーとレイラを連れて行ったら諏訪国の事は頼んだぞ。あ、久しぶりに一緒に寝るか」

 

「絶対に い、や!」

 

「まあ無理矢理 連れ込むが」

 

「ちょっと、回帰前とは言えまだ幼気な実娘に手を出すなんて鬼畜すぎよ! 誰か助けて! 回帰前、妻達に子を100以上も産ませたパパに凌辱されながら犯されるー!」

 

嫌がるアリスを無理矢理担ぎ、そのまま自室へ直行。うむうむ。これが普通の反応。娘と言っても回帰前の話だが。本来の目的、国を作って女を侍らす目的は叶いつつあるがまだまだ。確か、インド神話の シヴァ と同一視される出雲の 大国主 は複数の妻がいたが、子供の数は180柱以上いたな。

 

全く 椛 と はたて はなぜ即答で俺に抱かれる事を快諾し、あんな変態プレイに対しても嫌がらず受け入れ応えたのだろうか。腹いせに鈴仙の両手両足を縛って永琳が直轄している月のクレーター ティコ にある研究施設に無理矢理監禁し、目隠しさせ舌を噛んで死なせない様にする事と、パブロフの犬の様に調教する為の意味を含めて鈴仙の口にボールギャグを口内にやり、貞操帯を履かせつつ強力な媚薬を飲ませ、媚薬の効果が表れて来た鈴仙を眺めているだけで一切手を出さず、そのまま一週間くらい放置しつつ視姦しよう。鈴仙、レイセンのあの性格は月に住む者の影響だろう、まずは鈴仙が今までに培ってきた尊厳と常識を無くすために強力な媚薬を毎日飲ませて監禁して視姦しながら放置。マインドコントロールと言うより、まあ人格のリセットだな。ついでに鈴仙の記憶を戻そう。そうだ、鈴仙の両手両足を縛るならご飯を一人で食べられないだろうし、俺が食わすしかないな。下の世話もして鈴仙を回帰前の様に壊そう。昔の様にな。

 

 

 

グラハム数まで遡ったあの世界、全ては。あの未来に続く為だけの、戦いだったんだ。

 

らしい。永琳がそう言ってた。俺は殺されたせいか、俺の記憶はノイズだらけでまだ完全に復元されていない。それと大それた事を言っているが、鶏が先か、卵が先か。それだけの違いだった世界の話。

 

日本も昔の様に外国と同じく神話を教科書に乗せればいいのだ。特にエロ話だけを載せたらいい。少子化と言われる今なら尚更。日本神話は卑猥かもしれんが案外少ないしまだ常識範囲内。ギリシャ神話程じゃない。それに、エロと子孫繁栄はどの神話において切っても切れぬ物だからな。ギリシア神話のゼウスがクロノスを、オイディプースも実父を殺したり。他にオイディプースは実母を娶って、実母と交わり子を作った様に、旧約聖書の登場人物 ロト も実娘と近親相姦し子を産ました様に、イカレタ話が神話じゃなかったら神話じゃないしな。それにこの程度ならいくらでもある話だし誤差の範囲。

 

ゼウスとまでは流石に言わないが。人は、人間は神話の様にもっと性欲に忠実になるべきだ。 嗚呼。主よ、人の望みの喜びよ。ふん、バッハは嫌いじゃないがまるでキリスト教。

 

 

この先起きる鎌倉幕府時代なんぞ、ただの前座にすぎん。早く鎌倉を滅ぼし。北条時行 を諏訪国へと迎い入れるが、どうせ 観応の擾乱 後に処刑されるので殺す。

しかし、仮にもあの北条氏だしな。馬鹿な事をしない様に研究施設へと幽閉させ 脳味噌を弄り回し 諏訪国でのんびり過ごして貰い、天皇家の様に生かしておいた方が後々都合がいいだろうか。うーむ、正直悩む。まあそれはいいとして、第96代天皇 後醍醐天皇 には建武の新政をさせる。早く南北朝時代 に行きたいものだ。

本来、鎌倉時代には例の 元寇 がある。鎌倉時代中期に起きた日本侵攻のあれだな。

1度目を 文永の役 2度目を 弘安の役  蒙古襲来 とも言うんだったか。

 

で、肝心なのが俺は 弘天 であり 諏訪大明神 だ。そして、諏訪大明神には蒙古襲来で深い関係がある。しかも、2回目の 弘安の役 でだ。

確か日本が神国と意識したのは、弘安の役で元の侵攻を阻止。これにより日本は神国との意識が生まれた、だったな。 

 

 

 

 

 

 

出雲、大和朝廷、 鎌倉時代 に 承久の乱 が起きて朝廷に勝つ東の武士共。北海道にいるアイヌとて例外ではない。琉球王国にいる奴らもだ。

大昔の様に、痛い目に会ってもらわねばな。

 

しかし。その前に重大な事がある。三種の神器の一つ 草薙剣 は文と椛の働きにより諏訪国にある。で、ここで問題なのは 壇ノ浦の戦い だ。

この話で厄介なのは、第81代天皇 安徳天皇 第82代天皇 後鳥羽天皇 

 

つまりだ、一言で言えばこの話は 天皇 が同時に2人の天皇が擁立されることになった話。安徳天皇はかなり薄いだろうが、どちらも天皇の血を持っているのは間違いない。俺が昔から 大海人 みたいに邪魔な奴は消しながら、アマテラス、ニニギの血が、神裔にちゃんと受け継ぐよう調整してきたんだ。だからどちらかを 大海人 の様に殺す事は出来ない。だがな、それだけならまだしも、この話を更にややこしくしているのは三種の神器が関わっている。安徳天皇が源義仲の入京に伴い、三種の神器とともに都落ちし、壇ノ浦の戦いで平氏と源氏が激突。結果、平氏軍は敗北する。

 

だが、だがな。蘇我氏の血を持つ 蘇我屠自古 物部氏の血を持つ物部守屋 物部布都

これらを諏訪国に取り込んだように現在の本朝、いや、もう日本か。日本の東方にいて、尚且つ天皇の血を持つ 平将門 は生かすので平家は滅亡はしない。蝦夷も北海道に逃がすので血が途絶える事は無い。北海道にいるアイヌとアイヌの神、カムイには予め話は通しているから問題は無い。

 

それで三種の神器の一つ 八尺瓊勾玉 もう一つの 草薙剣 を身につけた安徳天皇の祖母 平時子 と共に入水。つまるところ、海に身を投げ入れ自殺する。ここで問題なのがまだ8歳だった安徳天皇と、三種の神器の一つ 草薙剣 が平時子と共に消えてしまう。八尺瓊勾玉や八咫鏡は幸いにも見つかったそうだがそれはいいのだ。八咫鏡は天津神のイシコリドメが造った物だし、日像鏡、日矛鏡も日本にはある。八尺瓊勾玉も天津神の玉祖命が造りだした物。何かあっても、もう一度造らせたらいい。だが、草薙剣だけは天津神が造った訳では無いので何かあっては困っていた所だ。今、草薙剣は諏訪国に本物があるから問題は無いので一安心。

 

大和にある草薙剣はレプリカ。本物の草薙剣は諏訪国にあるからいいとしてだ。八尺瓊勾玉をこの時に頂くべきかどうか。どうしたもんかな。平将門は魔界人なので助けるが、安徳天皇は8歳の子といえ、悩ましい。

 

仕方ない、現在、大和にいる天皇である 大友皇子、弘文天皇。大海人の壬申の乱の敗戦後、弘文天皇は妃、子女を伴って密かに東国へ逃れ、落ち延びたという伝説がある。安徳天皇にも似た様な伝説があるしそれを使うかね。

 

ならば。後鳥羽天皇側だと思われるのは、非常に、非常に癪だが。安徳天皇は俺が殺した事にしよう。諏訪国にいる天照に殺されたとされた 蘇我入鹿 の様に。




グラハム数は流石にインフレーションしすぎか。実際はビッグフット数くらいかもしれない。

望月 千代女、巴御前、板額御前、熊坂長範、中原兼遠、海野幸親、諏訪氏、甲賀三郎、木曾次郎。これらは諏訪国に関係している人物です。特に甲賀三郎は諏訪大明神と言われる事もある人物ですね。
他には諏訪大明神の元々の姿が龍神であるという伝説は古くから言われています。

銅像については32話サブタイトル「妻」で書いてますね。そしてる~ことは旧作キャラです。

どうでもいいかもしれませんが、弘天を弘天と名付け、諏訪大明神にした意味は、弘安の役が理由の一つでした。

もう次の話で秋にします。それで子供達との別れ話は書きません。飛ばし過ぎだと思うかもしれませんが、予想以上に展開が遅いので急遽早めます。急がなければ。

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