蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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書いてはいないんですが永琳は月にある月の都に時々顔を出してます。

見直し皆無、とりあえず早く戦国時代書きたい。前回書き忘れましたが今は初夏になってます。

東方紺珠伝 のキャラ今回で全部出す事に成功。殆どは名や匂わす感じで。





「妹紅~ 咲夜~ お腹空いた」

 

「ちょっと待ってよ。もう少しだから」

 

今は妹紅と藤原不比等が住む屋敷にいる。もう夕餉、このくらいの時間は幽々子が来る時があるけど来ないみたい。今日は武家の魂魄家で過ごしてるのかも。

魚の焼ける匂いがして来て視線を妹紅と咲夜に向けると、魚を焼くのは妹紅の能力で焼いてるみたいね。他に竈に薪を入れて妹紅の炎で燃やしたその熱で釜の中にあるお米を炊いていて、私の目の前には囲炉裏があり、囲炉裏には灰がばら撒かれ、中央には燃えてる炭火と炭火の上には囲炉裏鍋が吊るされて置いてある。囲炉裏鍋の中にある味噌汁はもう温めてあるから、私の元まで漂って来ていい匂い。正直、今の時代だと妹紅が使える炎を操るのは便利にしか見えない。調理する時困らないし。竈と言えば神道でその名の通り かまど神 がいる。異国だとローマ神話の ウェスタ ギリシア神話の ヘスティアー ヒヌカン 琉球王国の琉球神道 ヒヌカン が竈の神としている。そうこうしてる内に料理は出来たみたいで炊けたお米に漬物に味噌汁、焼いた魚は鰯でお皿に丸ごと一匹の鰯、お皿の隅には大根おろしを乗せてある。それぞれお箸を手に取り食べ始めると妹紅が不穏な事を言い出す。

 

「実は最近。多くの民に、天智天皇や私の兄達が本格的に原因不明の病に伏せてるの」

 

最初は咳程度だったんだけどなー と妹紅は首を傾げ、妹紅の話を聞いて私と咲夜のお箸を動かす手が静止。民はともかく藤原四兄弟や天智天皇は予想外、これは永琳お義姉様とヤマメが遂に動いたと捉えていいのかと思い私は向かい合わせの咲夜を見ると、咲夜は頷き返す。じゃあ次の作物も進んでいる筈。当初の予定では天皇や藤原四兄弟には感染する事は無い筈だけど何かの手違い、いやそれはあり得ない。あの永琳お義姉様が初歩的なミスをする訳ない。じゃあ何か考えがあるのか、もしくは私が忘れてるだけかと思って咲夜を見てコンタクト。咲夜はそれを返すとやっぱり私が忘れてる訳じゃ無い。お兄様、何か考えがあるなら最後までちゃんと伝えていただきたいです。お兄様の策略か分からないけど、もしもお兄様が関わってるなら天智天皇や藤原四兄弟が病に伏せてると言っても死ぬ事は確実にない。これは人間に認識させる為にしてる事で死んでもらっては困るとお兄様が前に仰ってたから。ただ気がかりが一つ。今は初夏で天智天皇が病に伏せ始めたのは春の終わり頃。それを知ってか天智天皇の弟で出家した 大海人 が春の終わり頃から暗躍してるみたい。これは、もしかしなくても戦が起こるかもね。然も、大海人が仕掛けようとしてる相手が琵琶湖と蓬莱山がある近江国にある近江宮。この場所に天智天皇の息子 大友 は住んでる。天狗から聞いた情報だから間違いないとみていい。でもおかしいのよね。大海人 は出家して大和にある吉野へ下った。この事に関しては別にいい、私は天皇の事は興味がないし。

 

でもね、出家すると言う事は世俗の生活や身内との関係、家や身分も捨て、僧となって仏道を修行する事を意味する。この世俗は世の慣わしを捨てる事でもあるし、身内に血。血縁関係を捨てる事は天皇の自分を捨てる事、だから即位する気は無い事を示す。もしかしなくても 大海人 は即位を諦めた訳じゃ無くて出家したのは未練が無い事を周りにアピールする為の隠れ蓑なのかもね。 大海人 は 大友 に叛乱を企て対抗しようと、数はまだ鮮少だけど地方の豪族を味方につけて今を以てしても徐々に人数を増やしている。何故、豪族が天智天皇の息子 大友皇子 じゃなくて大海人に味方するかについて。大友の母親は天智天皇の采女。采女とは、朝廷に仕え主に天皇の食膳の奉仕をした下級の女官の事。つまり采女も。采女が産んだ子、大友も。身分が低すぎるからの意味で、豪族たちは天智天皇の弟、大海人側に付いてるみたい。大海人が本当に天智天皇の弟だという前提で豪族たちは大海人側に付いてる。本当に大海人が天智天皇の弟だといいけどね。豪族が選んだその判断と選択がミステイク。誤りや謬錯じゃなければいいけど、妹紅がいるからそんな事どうでもいいわね。

 

そして天智天皇が病で亡くなる、もしくは天智天皇が隠居したら反旗を企ててるなんて中々執念深くてあくどい。周囲を欺き、油断している大友皇子に勝つ為そこまでの時間をかけてまで余程、天皇になりたい様子。これは過去の天皇が決めた事だけど、隠居したら例え身内がどうなろうと絶対に政治に関わらず一切、知恵も手を貸すのはダメで隠居した過去の天皇は各地の神社で過ごし、大和の行く末を見守ってる。一部暗殺されても殆どの過去 天皇は生きてるからね。一部暗殺されたのは黄泉にいるけどたまに本朝や異国に来て自由に観光してる。暗殺されて死んでるのにお気楽。咲夜が念の為にと考えたのか箸を置いて妹紅に顔を向ける。

 

「妹紅。私と握手して頂戴」

 

「え。急にどうしたの咲夜」

 

私が咲夜の変わりに いいからいいから と言い、咲夜は立ち上がり、妹紅の傍まで寄ると優しく妹紅の右手を取ってそのまま握手。私は気にせず食べる事に専念して妹紅は何が何だか分からないと咲夜に私にと顔を向けて咲夜は妹紅の頭を撫でて微笑んで元の位置に戻り、箸を片手で取って料理を食べる事に戻る。妹紅は私が器に入った味噌汁を呑んでる時に 今の何 と私と咲夜に顔を何度も向けながら聞いて来た。味噌汁を飲み干し器を置いて顔を妹紅に向けてウインクしながら答える。その時視界の端に移る咲夜は、鳥肌が立ったのか悍ましそうに私を見てたけど。仕える主に対して何て失礼な私の従者。

 

「咲夜は妹紅に魔法を掛けたの。魔法をね」

 

妹紅は意味が分からないと言った表情になり、これ以上聞いてもはぐらかされるだけだと悟ったのか黙々とお箸を使い、料理を口に運び食事を続ける。私がその魔法を使うのはやめた方がいいと考えた。お兄様の様に即答できないだろうから。その後は、お風呂に入ったりして閨で川の字になって妹紅は寝たけど私は寝る訳には行かない。布団を押し上げ起き上がり、立ち上がって狸寝入りしてる咲夜を小声で行くわよと言うと咲夜は隣にいる妹紅が起きない様に立ち上がり、風邪を引かない様にとしっかりと妹紅に布団を掛けさせてから私の背に続く。そのままふすまを開け縁側に出て、沓脱ぎ石の上に履物が私と咲夜の二人分を置いてあるからそれを履いて、そのまま空を飛ぶ。私はお兄様が衣玖から貰った羽衣を使ってるけど、咲夜は月の羽衣で空を飛んでる。綺麗な月の光を浴びて眺めながら目的地まで飛ぶ。目的地は平城京にある朱雀門、そこにちょっと用がある。ある人物がそこで待ってるから。私と咲夜がいた大和にある妹紅が住んでた屋敷から大和にある平城京まで余り距離は無く、ものの数分で到着。視界には朱雀門が写り、緩やかに地上に降り立ち懐かしい人物を発見。私は 状況を報告しなさい と朱雀門に佇んでいた人物に問いかける。

 

「失敗」

 

首を横に振り簡潔に一言で結論を告げて終わり。目の前にいる女性は銀髪のボブカットで赤い瞳。右だけに生えた翼、この翼を使いサグメも空を飛べる。黒い紋様が入った白のジャケットを着て、下は紫のシャツとスカート。スカートの裾やジャケットの紋模様は、矢印のカットになって首元には蝶ネクタイを締め、背には永琳お義姉様が昔持っていた天羽羽矢と、天羽羽矢の片割れ、天鹿児弓をサグメは背に担いでる。ただ昔からの癖で今でも手で口を隠す。目の前にいる女性は永琳お義姉様と同じく月の賢者の一人。名は 『稀神サグメ』 永琳お義姉様を尊敬して、地上に都市があった時からだそうで、今も滅びず月にあり、もはや宗教の域に達する 永琳教 に入信してる信者の一人。最初はただのファンクラブの様な物だったそうだけど。凄いカリスマ、流石 永琳お義姉様。サグメは口を手で隠しながら月にいる『玉兎の清蘭や鈴瑚』も姫様に会いたがってますわよ そう言及。でも月に戻る気は更々ない。だから 嫌 と即答で返す。返答を聞くと サグメはわざとらしく両方の手のひらを上に向け、両肩を軽く上げる。次にまた手で口を隠しながらうふふと笑う。こう返すのが分かってた様で残念そうには微塵も感じない。今更あそこに戻ってもつまらない。聳え立つこの朱雀門には鬼人正邪が住んでる。種族は天邪鬼で 鬼人正邪 は基本的に大和の民などの人間に対して悪戯しかしない。でも殺されず今まで住めていたのは、天邪鬼の原型で原像と言われる天探女の サグメ が関係して、まあそんな事はどうでもいいわね。

ともかくこの天邪鬼、引き込むのが天邪鬼特有の性格もあり、難産して苦労してる。長い時間の説得の末、双六勝負で勝ったら仲間になってやってもいいと 鬼人正邪 は言ったみたい。天邪鬼が妥協するなんて余程サグメがしつこかったのね。もしかしたら能力で流れをそう変えたのかもしれないけど。

 

「双六勝負で敗者。私の能力、姫様と咲夜様。朱雀門」

 

サグメは人差指で自分を指しながら答える。途切れ途切れな言葉を聞いて、言葉を脳で繋ぎ合わせる。朱雀門にいて双六勝負と言うと鬼人正邪がよくするとお兄様に聞いた事がある。双六で負けたと把握。サグメなら鬼人正邪を無理矢理従わす事も出来る、でも律儀に相手の勝負に乗って終いには負けたみたい。サグメの能力は 口に出すと事態を逆転させる能力 正反対な事が起こる訳じゃ無いけど流れを変える事は出来る。物事が上手く言ってる時、つまり流れが自分に向いてる時は口を隠してあまり喋らず、物事が上手く行かない時はサグメの能力、口に出すと事態を逆転させる能力 を使いうっとおしいぐらい饒舌。でも口を手で隠して喋ってる今はサグメにいい流れに向いてると読んでいい。サグメは無口に見えてもそれは能力のせいで本当はお喋りが大好き。サグメの言葉を理解すると脳裏に蘇ったのは、神議るがあった春に妹紅と初めて会ったあの真夜中。妹紅、咲夜、私とでお手玉をした時、咲夜は時を止めていかさまをした。そして私には須臾がある。ま、まさかこの女。いやまさかね。でもそんな事でこんな真夜中に眠い私達を呼び出すなんて、隣にいる咲夜に顔を向けてサグメに死刑宣告。

 

「咲夜、眠いから帰りましょうか。」

 

「そうですね」

 

咲夜と一緒に飛んで朱雀門に背を向けて帰る。すると背からは私達を止めようと大声があたりに響く。サグメは月の民、つまりお兄様の奴隷でお兄様の妻はサグメが尊敬する永琳お義姉様。間違いなく怒らないし呆れないし失望はしないと断言できるけど、サグメに言っても分からないでしょうね。恋は盲目 状態だから。まさか帰ると思ってなかったのか今まで出来るだけお喋りなサグメがいつもと比べて出来るだけ少なめに喋ってたけど、事の重大さに気付いて早口で長々と流暢に捲し立てながら喋る。

 

「そんな!? 正邪を引き込まなければ私が怒られますわよ! 私、あの方の奴隷なのにこの体たらくだと最悪 八意様にまで、あ。お二人ともお待ちを。私に仁心をー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「依姫。今日もするから体力は残して置け」

 

「私を求めて貰えるのは嬉しいですけど、恥ずかしいので子供たちがいる時にその話はしないで下さい」

 

俺は玉座に座り、玉座の隣にいる依姫は左手で俺の頬を軽く引っ張る。依姫とは同じ部屋で寝ているので呼ばなくてもそのまま、まぐわう行為を及ぶ事が出来から今言わなくてもいい事なんだが、これを言うと依姫が頬を染めながらも笑顔になるのでたまに言う。今は春から季節は移ろい、初夏。玉座の間にある玉座に座りながら、俺は燥いで遊んでいる子供たちの様子を右手の掌で自分の顎を支え、偉そうな態度で足を組みながら眺めている。この奴隷の子供たちに身寄りがあるのかどうか聞いたが、みんな首を横に振った。一部の子は親がいるそうだが、誰一人として戻る事を拒んだ。そこで、俺と依姫の子にする事にしたんだが、数人の少女はそれを拒否。家族になるのはいいけど、娘の関係は嫌なんだとさ。男の子は畑を耕すやり方を学ばねばならんのだが、考えるより体を動かす稽古の方が好きなようだ。だからチャンバラごっこ、女の子は裁縫や食べ物の調理などを衣玖や人型になった龍神に教えてもらいながら真面目に覚えている最中。玉座に座る俺の隣にいた依姫はそんな光景を母性に満ちた顔で眺めて綺麗だ。買った以上はこの子たちの面倒は最後まで見るが、やはりみんな自由がいいだろう。いつまでも一緒は嫌だと思う。足を組み直そうとしたが俺の膝でレイラは座っているので出来ない。レイラの側頭部にはお面のこころがいる。基本人型で過ごしてもらっているが、右手で合図の指を鳴らすと人型になる様に言ってある。そろそろ時間が来たのか依姫は二回手を合わせて鳴らし、子供たちを連れて外へ向かう俺の膝に座っていたレイラが降り返り俺を見て後ろ髪を引かれる様な表情で言う。今生の別れでもないのに。

 

「じゃあ、私行くね」

 

「気を付けてな」

 

レイラは飛び降りて、駆け足で依姫の元へと向かう。それを眺めていたが隠れてる子が玉座の後ろに1人いる。しかしこの城少し暑い。間違いなく夏が近づいている、と言う事はそろそろ天智天皇と藤原四兄弟が死ぬ頃だ。これは俺が原因でもあるが、渡来人が病原菌を持ち込んだのもある。次は、大海人か。出家したんだ、今更、即位しようとする動きを見せた以上

 

「靈夢、いるのは分かってるぞ」

 

「あ、ばれてた?」

 

玉座の後ろに隠れていた少女は俺が座る玉座の前まで来て両目を瞑り舌を出し、目尻を下げながら笑う。表情は笑顔だがその笑みは、ニヒル。虚無で実体性を欠いている。まだ若いのにこんな表情をするとはな。この子の名は 博麗 靈夢 この少女、靈夢は非常に面倒くさがりでよく依姫の稽古をサボり、依姫は稽古とは言え容赦ないので靈夢は良く逃げるのが最近の日常。その分依姫と稽古した時の報復は恐ろしいが懲りずにまたサボっている様だ。一体誰に似たんだ。俺か。何か甘いものを食べたくなったのでバルコニーに行こうと立ち上がり、靈夢も誘う。バルコニーにはあの子もいるだろうし丁度いい。靈夢は両手を俺に向けて言う。

 

「肩車してよ」

 

「仕方ない、先行投資の為だ」

 

まだ靈夢は子供だが、将来美人になりそうなので先行措置。俺は腰を下ろして靈夢に背を向ける。少し間を開けて靈夢は俺の体をよじ登り、両足を俺の両肩の上から出したのでそのまま立ち上がる。靈夢が落ちそうになったので俺の両手で靈夢の太ももを押さえ落ちない様に固定。そのまま行こうとして玉座の間から出ようと扉を右手で開けたらいい笑顔で仁王立ちした依姫がいた。笑顔だが、まるで怒髪天になった蔵王権現の迫力。依姫は暴力は振るわないが。済まない靈夢。お前とバルコニーに行ってお菓子を食べながらぐーたらする約束、叶えられなかったぜ。お前を依姫にドナドナ。売る事に関しては無条件で許せ。

 

 

 

 

「旦那様、紅茶をお持ちしましたので入ってもよろしいでしょうか」

 

椅子に座り向かい合わせに座る少女が分厚い書物を読んでいる所をぼーっと眺めて過ごしていたら、数回ノックをしてから入っていいかどうかを聞かれたので、構わないと返答したら 失礼します と言いながら衣玖は龍神が持って来た洋風の城にあるバルコニーに入る。視界を読んでいた書物からノックがしたドアに向けると手にはティーカップとティーポットを乗せたシルバートレイを衣玖が持っていて、衣玖は開いた片手の手の裏でドアを押さえながら入り、そのまま俺が座っている椅子の前にある白色のテーブルにトレイを置いて、トレイに乗せていたコップに紅茶を注ぎ、ポッドをトレイに戻したが戻す際の音が無かったが熟練された動きだった。訓練でもされてるのだろうか。俺はコップと茶托に手を伸ばして掴み、紅茶を飲む。何の紅茶か知らないが結構おいしい。まるでイギリスの クリームティー か アフタヌーン・ティー みたいだな。アフタヌーン・ティーと違い、ただ寛いでいるだけでこの場に礼儀作法などは無いが。衣玖はこの場にいて、俺と向かい合わせにいるもう一人の分の紅茶も入れて茶托とカップを少女の前に置く。この向かい合わせにいる少女、本が好きなようでこの城にあった書斎から持って来た分厚い書物を読んでいた少女も、この時は読むのをやめて分厚い書物をテーブルに置き、パチュリーは衣玖にお礼を言いながら美麗に紅茶を飲んでカップを茶托に戻しながらそのまま俺に顔を向けて質問。それと衣玖が後ろでずっと立って控えているので無理矢理だが命令形に衣玖に言って隣に座らせている。ただ衣玖は俺の隣にいて、俺と衣玖の向かい合わせに座っている少女には机の下で何してるか見えてないのをいい事に右手で衣玖の太ももを撫でている。衣玖はそれに戸惑っているが抵抗はしない。

 

「お兄さん。ちょっと聞きたい事があるの」

 

「どうしたパチュリー」

 

俺に声を掛けて来た子の名は パチュリー・ノーレッジ 買ったばかりの最初はボロボロの布一枚を着ていた様な服装だったが、他の子たちと同じく今は龍神から服を貰ってその服装は全体的にゆったりとした服装。こうして見ると年相応な子供だ。パチュリーに限らず他の子たちも奴隷商人から買って真っ先に考えたのが、まずは皆の髪も体などの身なりを綺麗にしようと考え俺は 男の子供だけの 担当だったが依姫や衣玖、人間化した龍神に女の子たちを風呂に入れて貰った。クソ! 俺も女の方に混ざりたかったぜ。ちなみに風呂に入れる際分かったが、1人半妖の男の子がいた。

パチュリーの髪色は紫色。それでレイラと同じく魔法使いで魔女。レイラは大魔法使いだそうだが。魔法と言えばエジプトでは魔法の神 イムホテプ や魔術の神格化 ヘカ 捏造と言われてるがスラヴ神話の生物で魔法の神 ツィルニトラ 元はギリシア神話の神じゃないがギリシア神話の女神で魔術と冥府の女神 ヘカテー 異教信仰だがローマ神話の女神 ディアーナ とかもいる。今挙げた神たちは自分達の特性に合った世界、魔界に地獄に天界に冥界にそれぞれ住んでいるが。魔術の女神ヘカテーと言えば、本朝にも魔法様と呼ばれ、備前国には魔法神社があるが祀ってるのは魔女などでは無く化け狸として名高い伝説上のタヌキで魔法様 キュウモウ狸 を祀る神社が魔法神社。キュウモウ狸は異国から来た狸で牛馬の守護神でもある。異国から来た話では無いが似た様な話で古事記の因幡の白兎がある。因幡の白兎は古事記に書かれてるが日本書紀には無い。

 

あ、思い出した。備前国と言えば歩き巫女でコンガラ巫女と呼ばれるのがいた、前に聞いた事があるから間違いない。そしてコンガラは巫女服は着ていなかったが、巫女服と同じ紅白の服装を着ていた。まさか、鬼なのに神を信奉する巫女をしてるのか。もしそうなら何て好都合。歩き巫女は決められた神だけでは無く、色んな神を信奉する巫女だからだ。

 

目の前にある白い机の上には三段トレイがあって、上段、中段、下段にはケーキやスコーンやタルトなどの菓子が乗っている。パチュリーの前には純白な皿の上にスコーンがあり、そのまま手に取って隣にあるジャムに軽く付けて口に入れ、数回噛んでから紅茶を口に含んで飲む。優雅な光景に見えて、このバルコニーから聞こえる指導の声が聞こえている。この声は依姫で今は奴隷たちの子に稽古中だ。本当はバルコニーでは無く庭でお菓子を食べて稽古を眺めながら寛ぐつもりだったが、子供たちが食べたそうにしてしまい稽古に身が入らないと依姫に叱られた。このバルコニー結構な高さにあって大凡、ビル10階くらいか。もし落ちたら一溜りもない。俺は無敵だから空から落ちようが宇宙にいようが確実に無傷。立って視界を遮っている手すりや壁から顔を覗かせると辺り一面の風景が目に入る。風景と言っても周りは山ばかり。そのまま顔を下に向けると外にいる依姫は忙しそうで生き生きしてる。依姫は月の守備隊隊長だったか。何だかやる気に満ち溢れていて晴れやか。しかし奴隷の子たちは大変だろうが。これも身を守る為の一環、この先俺と依姫の庇護下の元で生きる訳が無いし、そう簡単に殺されては困るから仕方ない。パチュリーは病弱で喘息持ちなので無理な運動はさせられないから俺とこの場にいる。レイラは別の事を学んでいて、依姫が言うに筋がいい子がいると聞いた。その子は 靈夢 だ。面倒臭がりな性格みたいだが不幸にも依姫に目を付けられてしまい、特に靈夢はみっちりとしごかれている。

 

「本朝に住む人間は他の大陸の人間と違って、100以上も生きられると聞いたけど、それはどうしてなの?」

 

パチュリーはクールぶっているが、知識の虫なせいか本当は聞きたくて仕方がないと言った感情が表情には出てないが内心そう見えている。その問いに対する答えは、人間の寿命の神である伊邪那美が関わっているがそれだけでは無い。まだ他にもある、その内の一つに『変若水』が関わっている。実はこの『変若水』月人や月の民にも結構関係がある物。そして、かつてこの地球に都市があって、その都市に月の民や月人が住んでいた頃に、穢れの問題をどうにかしようと会議で月人や月の民達へ月に行こうと言いだした張本人、月夜見にも関係している。他にも関係する物はあるがこの辺は追々。

 

とりあえずパチュリーには伊邪那美が人間に寿命を余り減らさなかったと言う。伊邪那美だけが全ての原因元ではないがこれも嘘じゃないし問題ない。パチュリーはそれを聞くとまだ納得がいかないと言った顔になるが、嘘では無い事は理解しているせいか深く聞けないようだ。イギリスのことわざに 好奇心は猫を殺す があるんだぞパチュリー。生きるには9つの命以上を持っていなくては。 イギリスと言えば有名なのでアーサー王、アルビオン、ドライグ、ロビン・フッドとかいる。後 アヴァロン。アヴァロンはサリエルが冥界に結合させてあるが、他に神話、ケルト神話があるがそれはイギリス神話なのか微妙な所。イギリス、いや違うな。イギリスは正式国名じゃない。正式国名はグレートブリテン及びアイルランド連合王国。まあそれはいいとして、グレートブリテン及びアイルランド連合王国には神話がある様で無く曖昧。困ったものだ。何せ、グレートブリテン及びアイルランド連合王国には神がいないんだ。グレートブリテン及びアイルランド連合王国の オーガ レッドキャップ バグベア は地獄に、天界には人間と同じ容姿で小神族の エルフ 伝承のハッグは地獄の三界に結合させたケルト神話の妖精の国 ティル・ナ・ノーグ に住んでる。ブラウニーやグレムリンもだ。

他に、ギリシア神話の女神ヘカテーに関わってる妖精 ブラックドッグ や バーゲスト も三界やティル・ナ・ノーグにいる。仕方ない、アーサー王やロビン・フッドを神にするか悩むな。アルビオン、ドライグ、ア・ドライグ・ゴッホはどうするか。

言い忘れたが光の三妖精たち、『サニーミルク』『ルナチャイルド』『スターサファイア』も三界にあって三通りの島々 ティル・ナ・ノーグ に住んでいる。

俺は眠くなったので立ち上がり近くに置いてあるソファーに近づいて衣玖に手招き。

 

「衣玖、このソファーの隅に座ってくれるか」

 

「はい。旦那様」

 

衣玖は素直に従いソファーの隅に腰を掛けたので、俺はそのままソファーに寝転がり衣玖の膝枕を堪能。ああ、いい匂いがする。衣玖は微笑しながら俺の頭を撫で始めて俺は和む。衣玖といると気が緩んで、ダメ男の俺が益々ダメになりそうだ。衣玖と過ごして分かったのが、一緒にいると、衣玖は一緒にいる男をダメにする魔性の女。後、天然。実体験してる俺が言うんだから間違いない。多分、衣玖 本人にその自覚は無いだろうが。パチュリーは俺と衣玖の事を気にせずまた読書を再開。これが今の日常。俺は寝ぼけた頭でこの先の模擬実験を頭に浮かべるとしよう。

日向の国の一つ上にある豊後国と隣にある肥後国がある。この肥後国と豊後国の境には阿蘇山が存在する。それともう一つ。日向国の左下にある薩摩国。この薩摩国には姶良カルデラがある。この姶良カルデラと阿蘇山は VEI7 で。つまり火山爆発指数や火山そのものの大きさではなく火山の爆発規模の大きさを示す区分。VEI8が最大規模と言われてるからこの姶良カルデラと阿蘇山、最後に鬼界カルデラも VEI7 に指標されてるのでだいぶ危険な火山。ちなみに富士山は VEI5

 

阿蘇山には阿蘇神社が肥後国にあって、阿蘇神社の祭神の健磐龍がいる。この 阿蘇大明神 と言われる健磐龍は神武天皇の孫で俺が神使にした大鯰に結構関係ある人物。阿蘇山は元々水が溜まっていた広大なカルデラ湖で、大鯰はカルデラ湖に住む主だった。だがこの大鯰、非常に迷惑な事に震度が高い地震を本朝にしつこく齎し、それに我慢の限界が来た 阿蘇大明神 はカルデラ湖に住む大鯰の元へ行き斬り付けて弱った大鯰をなゐの神に頼んで大鯰を高千穂神社の要石で抑えこんだ過去がある。それともう一つ、俺と依姫は一度 高千穂神社 に行ったが、神武天皇の兄で祭神の三毛入野には昔アララギの里に居を構えてからの 鬼八伝説 がある。アララギの里とは高千穂神社の近くにある場所で、肝心の鬼八だが実は殺されてない。ただ神道の神たちが鬼八を地獄に連れて行って働かせてる。地獄だけの事ではないが人手不足だから有能な人材は生かして使うべきだ。三顧之礼や草廬三顧、じゃないな無理矢理だし。握髪吐哺か。そうそう。鬼と天狗の持ち物とされる『隠れ蓑』と『打ち出の小槌』の二つを鬼八がかつて持っていて、この隠れ蓑は姿を隠す事が出来て男の夢、透明人間になれる。俺は堂々と風呂場に入り覗かず直接裸体を見るから関係ないが、これさえあれば風呂場でばれる事無く覗ける。打ち出の小槌は有名なので『一寸法師』か。これは大きくしたり小さくしたり出来て金銀財宝も出せ、他にも色んな事が出来るので、龍の頸の珠を奴隷たちに全部渡して無くなってもこれがあれば資金に困らん。この二つを快くくれた三毛入野には感謝だ。打ち出の小槌は星の財宝が集まる能力のお蔭かもしれんな。大鯰がいた高千穂神社に寄った際に、祭神の三毛入野だけじゃなく 彦火火出見 からも霊力を込められた玉の『鹽盈珠』と『鹽乾珠』を貰ってる。この二つがあれば海や潮汐を操る事が出来る。元々これは海に住む海神の『綿津見』が持ってた物でもあるから、これがあれば海や潮汐を操るなんて造作もない。要は、俺が海の支配権を得た事を意味する。だがこれは依姫に一つ持たせた。もう片方は豊姫に渡すようにと依姫に言ってもう一つも渡してある。俺の妻 豊姫と依姫の苗字は綿月だ。だからこれは俺より、海神 綿津見 や綿津見の娘、豊玉姫命と玉依姫命の親戚である 綿月豊姫 に 綿月依姫 達の手に、持つ事が相応しい。

パチュリーは本を読むことに集中していたが、何かを思い出したのか視線を本から俺へと移す。

 

「別に夫婦なんだからしないでとは言わないけどね、依姫お母様と夜にする行為で、もう少し喘ぎ声を抑えてと、依姫お母様に言ってくれたら助かるわ」

 

それだけ言うとパチュリーはまた視線を本に移す。俺は声を出してないし依姫の声が漏れてたのか、気を付けねば。パチュリーは少女なのに狼狽えてないが耳年増なのかもしれん。もし耳年増なら、きっと本で蓄えた知識しかないんだろうな。依姫、子供達にはばれない様に必死に工作していたが、それは無駄な足掻きだったようだぞ。俺と依姫のまぐわいが子供達に対し、無自覚ながらも白日の下に晒してるとパチュリーが発言したからな。

 

ともかく阿蘇山を噴火させる。これは確実にだ。幸いにも今の阿蘇山は火口が赤熱していても噴火があまり発生しない上に溶岩流を流出させる活動は少なく、精々土砂噴出か赤熱現象くらいで噴石は出来るだけ起こさせない。ただ田畑荒廃や農作物の被害を起こし人間に認識させる為にするだけだ。何の為に人間は阿蘇神社を建てたか、噴火したらさぞ大変だろう。富士山にある浅間神社にも言える事だが富士山を噴火させる予定はない。序でに言うと諏訪国にも富士山の次に高い 御嶽山 や 浅間大神 が住んでた浅間山がある。この二つも活火山。神道の神 浅間大神の浅間、あさま は火山を示す古語で、地震の神 なゐの神の なゐ の意味は古語で地震の意味。

 

だがその前に阿蘇カルデラの中心部に阿蘇山が聳え立っている。この阿蘇カルデラ内にある『地獄温泉』に今から行くのだ! 地獄の名があるから地獄の創造神を頭にちらつくが気にしない。しかもこの地獄温泉はにごり湯で屋根つき混浴露天風呂がある。不幸にも更衣室は男女別だが、肝心の温泉は豊富なミネラル成分を含んでおり美肌効果があるといわれているので女性の依姫と衣玖に丁度いい。依姫を拉致して早く行こうと立ち上がり、衣玖も連れて行こうと思い勇往邁進、強引に右肩を衣玖の腰に当て、左手をひざ裏に当ててお姫様抱っこでバルコニーから勢いよく地上に飛び降りる。大丈夫大丈夫絶対痛くないと自分に暗示しつつ地面に着地。着地する際 かなりの衝撃音が響いたが永遠ってスゲー ビル10階くらいから飛び降りた筈なのに足とかが何ともない。お姫様抱っこしてる衣玖を見ると呆気にとられていて流石に驚いた様だ。そのまま気にせず早歩きで依姫の元へ向かおうと顔を上げたら一部始終を見ていた依姫が口を開けて俺を見ていたのでいつものノリで誘う。それを聞いた子供たちは声には出さないが内心嬉しいのか表情に出ている、子供たちの世話は悪いが龍神に頼もう。あいつ子供好きで家事万能だから大丈夫だろう。食料も御食津神達に頼めばすぐに手に入る。龍神は水神だから水などの飲み物はもっと簡単に手に入る。それにこの城、無駄にデカくて遊び場が無駄にたくさんあるし。娯楽には困らない上に食べ物もあるし飲み物もある。正に子供たちの楽園。

そうだ。ナズーリンの能力で諏訪国の温泉を掘り当てる為にダウジングロッドを使いながら探してもらおう。探し当てたら鬼達を使い掘り当てて温泉が地中から出て来たら浸かる事が出来る。入りたい時に入れるし温泉は諏訪国に欲しい。

 

「依姫、今日の稽古は中止だ。早速で悪いが衣玖と共に地獄温泉へ混浴しに行くから依姫も一緒に来い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁側に座り、目の前にはスキマが開いてあるからスキマ覗いて白蓮の調子を伺う。幽香の提案で諏訪国に来訪した魔女や魔法使いたちから白蓮は魔法を学ぶ事になり、今は指導を受けていて近くにはてゐが見学している。白蓮に魔法を教えているのはエレンという名の魔法使いから魔法を伝授。エレンが言うに白蓮はまだ教わって数日ほど経っただけなのに呑み込みが早い事と魔法の才能がある事が重なり、真綿が水を吸うようにどんどん魔法や知識を吸収していると聞いた。今では念力の様な魔法まで覚えてしまいまるで一を知って十を知る。念力の様な魔法で動かせるのは現時点で小物だけみたいだけれどそれでも凄い。時間が経てば大きな者も飛ばしたり動かせるようになるみたいだし。白蓮の努力もあると思うけどてゐの能力が関係しているのかしら。魔法だけじゃなくヤマメから妖術も学んでいるけど人間の白蓮が魔法や妖術を極めたら凄そうね。縁側に座りながら右手に持ってる私と同じ名、紫色の傘が私の意思とは無関係に動いて、傘から出てる大きくて長い舌が私の視界に入る。可愛い声で驚かそうとするけどもう私は驚かないわよ。それと私の隣には幽香がいる。今は傘だけど小傘は髪色が水色で右目が水色、左目が赤。

上は白の長そでシャツで水色のベストを着用。下は水色のミニスカート、両足は素足で下駄を履いている。それと小傘の着てる水色のベストは胸元には上から順に一と×がある。

一とメ、つまり一つ目。

 

「うらめしや~」

 

「小傘。可愛いだけで全く怖くないわよ」

 

「そんな~ 紫お姉ちゃんも最初は悲鳴あげてたのに~ 諏訪国の民は私に驚いてくれてるのに~ ああ、驚いて貰えない妖怪に価値なんて」

 

小傘。悲観的な所 残念だけど、昔から諏訪国ではぬえがよく皆を驚かしてたお蔭で民の皆は心と精神が屈強。物事に対してあまり驚く事は無く、基本小傘に対しては驚く振りをしてるだけなのよ。たまに良心の呵責に耐え切れず、小傘が見て無い所で民は罪悪感に蝕まれながら、両手で頭を抱えて苦悩している。驚かせる事に成功したら小傘はその場で燥ぐから余計に辛いわね。ぬえは能力で多様に民を驚かしてたけど、小傘は単純で正々堂々と驚かす姿勢。それだと何度もされる内、民は流石に慣れてしまう。まあ。民は小傘に全く驚いて無い訳じゃ無いけど。私のスキマと小傘の人間を驚かす能力は相性がとてもいい。私のスキマを使って、小傘は神出鬼没に、誰にも予測できない場所に傘と顔を出して驚かしてるから、民達もたまに本気で叫び声を上げて驚いてる。心の臓に悪そうだけど。でも、それは言わぬが花。驚いた民から小傘は民の心を食べてる。小傘は心を食べる妖怪の種類みたいね。私の右手に持っている大きくて紫色の傘、この子の名は 多々良 小傘 小傘は付喪神で、付喪神は本来、道具そのものの姿である事が普通、こころも基本お面になって誰かの側頭部にくっ付いて普段は過ごしてる。今はお父さんと一緒にいるけど。付喪神でも人間の姿になる事は出来る。狐の藍や狸のマミゾウが人に化けられる様に、道具の付喪神も人に化ける事が出来る。元々 神霊が宿ってて傘だった小傘は妖力が微弱で道具から人型に化ける事が出来ず、それに気付いた私はお父さんから傘だった小傘を貰い、幽香にも頼んで私と幽香の妖力を注ぎ妖怪化させる事に成功。本当は年月が経てば妖怪化してたんだけど、私の名と同じ色で放って置けなくて幽香を巻き込んで動く事に。努力の甲斐があり、小傘はこうして私や幽香と喋る事が出来るし、民やお父さんの妻や神使に話しかける事も出来る。妖怪化して傘から人型になった時は、私と幽香に抱き着いて顔を上げ、満面の笑みで ありがとう と私達に連呼。そこまで感謝されるとは思わず、私は照れ臭かった。そして私の左手に持っているこの1つの人形。もう一つは幽香が持ってる。私が持ってる人形は金髪で、幽香の持ってる人形は緑髪。

 

これはかつて、お父さんが河童と交渉をして、無事に交渉を終えた時に河童の にとり と みとり から二つの人形を受け取った。お父さんは永琳お母さんと調べた結果、この2つの人形にも神霊が宿ってて、その正体が判明してたんだけど時間が経てば人間と同じ姿になると、お父さんは2つの人形を、可愛いからと玄関に飾ってた。こころも昔、神霊が宿った喜怒哀楽のお面が蔵から出てお父さんが壁に飾ってたし。人形はあれから時間は経ってるけどもう少しかかる、片方は私と幽香の妖力を注げばいいんだけど傘だった小傘の時の様に、急いで妖怪化しようとする意志を感じられないから手を出さない。私の反応に小傘は笠のままで、隣にいる幽香を大きな舌で驚かそうとする。

 

「幽香お姉ちゃん。うらめしや~」

 

「怖いわね。今日は1人で寝られなさそう」

 

隣にいる幽香は傘の小傘に顔を向けて、親が子供を慈しみ、可愛いものでも見るかの様な慈愛の表情で言う。そんな表情で言っても絶対に小傘から信じられないわよ幽香。だけど私の予想を裏切り、小傘は笠から人型になり、やったー! と嬉しそうに言いながら幽香に抱き着く。可愛くてしょうがないのか幽香は小傘を受け入れて、幽香からも抱き着く。幽香は将来、永琳お母さんみたいな親馬鹿になりそう。幽香がお腹を痛めて小傘を産んだ訳じゃ無いのに、あんな表情されるとそう思う。永琳お母さんも実の子じゃなく、血が繋がらなくて妖怪の私達をあんなにも愛して可愛がってくれたから。当時の私と幽香は戸惑ったけど、今ではいい思い出。小傘の名は私と幽香が考えて名付けてる。小傘は傘の姿に戻る時は、傘に一つ目と大きな口と、その口から大きな舌を出してる。そこで悩んだ私と幽香は、小傘はから傘お化けで一つ目。一つ目から連想した妖怪、一つ目入道 比較的無害な『一つ目小僧』 箕借り婆 に のうま 最古の鬼の記述とされる一つ目人食いの鬼の『阿用郷の鬼』最後に『一本だたら』が頭に浮かぶ。一つ目入道、一つ目小僧、箕借り婆、のうま を少女の名に使うのは論外。残った『阿用郷の鬼』小傘は鬼じゃないしこれも無し。残りの『一本だたら』しか選択出来なくなる、その名は可愛くないと思うけど残り物には福があると言う事で、一本だたらの名、だたらを訛音で訛らせて多々良。それともう一つ、小傘の傘になってる時は大きい傘だから大傘。だけど見た目通りの大傘は可愛く無いから却下。それで小傘を一度眺めると少女で女の子だから小傘の名。私が小傘の名を言い、幽香は多々良の名を言った。悩んだ末にどっちもいい名と結論に達してどちらの名も使う事に。それで名が 多々良 小傘 小傘の名付け親は私と幽香で、小傘の生みの親も私と幽香になる。こころの時は頭が真っ白になったけど、今回はいい名が思いついて幽香や私が言うのはあれでも中々悪く無い名だと思う。

喜んでいた小傘は幽香に抱き着きながら溜息を漏らして悲しそうに呟く。一瞬見えた目には、涙に潤んだ否目。私はお父さんから傘の小傘を貰ったけど、傘の小傘は所有者が私と幽香と、お父さん。元々、小傘はお父さんが拾って来た傘だから。

 

「ぐすん。早く、気味が悪くて不気味だと言われた私を拾ってくれたお兄さんに。道具の私の所持者の主人にお礼を言いたい」

 

「今は乖離でも、全てが終わったら帰って来るわよ。諏訪国はお父様の帰る国で故郷なんだから」

 

そして、永遠で死ぬ事は万に一つ無い。ただ、無敵で死なないとは言え弱点があるんだけどそれは小傘には口にしない。永琳お母さんが言うに お父さんを誰かに殺されるくらいなら私が殺すわ って恐ろしいこと言ってた。永琳お母さんはどれだけお父さんを愛してるのか未知数。きっと愛する心は計り知れなくて無限大なのね。幽香は小傘を抱きしめたまま小傘をあやす。小傘は、私と幽香が人型化させた時に恩を感じて何度もお礼を口にした。でも、昔に小傘を拾ってくれて小傘の所有者である肝心の人に感謝の言葉を言えていない。本当は私のスキマで連れて行ってもいいんだけど、お父さんがどこにいるか分からないし、永琳お母さんから聞いたら忙しなく動いてると聞いたから私は極力、邪魔をしたくない。まさか混浴したい目的で温泉に行こうなんてしてるとは思えないし。どうしようかしらと悩んでたら神社の庭に天狗のはたてと椛が突風を噴かせながら庭に降り立ち、はたては両手を腰に当てて小傘をそのまま誘う。それともう1人、人間だけど魔女のアリスも一緒。魔女は空を飛べるそうで、以前アリスは奴隷商人に捕まった魔女を探してると天狗に捜索依頼をしていた筈。文は別の仕事でこの場にいないみたい。ただ気になるのは魔縁の 天魔 と アリス が異常に仲が良くて、気のせいかまるで旧友と再会したような感じに見えた気がする。初対面じゃないのかしら。

 

「じゃあ小傘、あいつにお礼を言いたいだけなら私達と一緒に行くわよ。日向国で パチュリー に レイラ と言う魔女が、小傘の所有者のあいつと一緒みたいだからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前にいる女の周りには人間の死体が地べたの彼方此方にあり、血の池が出来ている。人間を殺した際に返り血を浴び、白と青を基調とした服がもう血で染まる所が無い程に服も真っ赤。私は持っていた綺麗な布を彼女に放り投げ彼女はそれを受け取るとお礼を言いながらまずは布で両手と右手に持っていた血で真っ赤になってしまった2つのチャクラムを拭う。このチャクラムはヒンドゥー教と天竺、インド神話の神である ヴィシュヌ から貰った物。私も片手にはトリシューラを持ってる。このトリシューラはヒンドゥー教の神でインド神話の神 シヴァ から貰った物。序でに言うならバラモン教、ヒンドゥー教の神である インドラ からはヴァジュラを貰い私が持っていて、このヴァジュラは雷を操る事が出来て結構便利、重宝してる。ただ天竺の神が持っていた神器で天竺の人間を殺すなんて、皮肉。

 

「くるみ。そろそろ天子とエリスに会いに行かないかい。会ったら次は華陽夫人の華陽」

 

「まだ顔に返り血が付いてるよ魅魔ちゃん」

 

あれから数億年も言ってるけどいい加減ちゃん付けはやめておくれと言いながら、魅魔ちゃんは布で両手とチャクラムに顔を拭き終えてとびっきりの笑顔な顔を私に向ける、だけど私はちゃん付けをやめない。次に魅魔ちゃんの頬にまだ返り血が付いていたので指摘。指摘された魅魔ちゃんはもう一度しっかりと顔を布で拭こうとしたけど布は血まみだったので、魅魔ちゃんに近づいてもう一枚綺麗な布を使い私が魅魔ちゃんの頬に付いた返り血を綺麗な布で拭うと魅魔ちゃんは擽ったそうにしながらも顔を布で拭かれるのは拒まない。魅魔ちゃんは違うけど私が天竺に来た理由は、私の種族が吸血鬼。そして吸血鬼の始祖。だから天竺には私と同じ吸血鬼がいると耳にして吸血鬼を引き込む為。当初はそうだったけど、それは天子ちゃんがしてくれるみたいだから私がする必要は無くなったの。魔女達の件も天子ちゃんがしてくれたからそれもしなくてもいい。魔女達を本朝に引き込むなんてアリスちゃんが考えた事だけどね。だから他の事に目を向けなくちゃいけないんだけど、魅魔ちゃんはそう考えてないみたい。この先やる事が山積みで遊んでいる暇は正直あんまりない。でも夢月ちゃんと幻月ちゃんはエリスちゃんが呼び出せる、エリスちゃんが魔方陣で二人を呼び出す事が出来るから聞いておこうかな。夢幻世界がどれだけ創れたかについて。前に夢月ちゃんと幻月ちゃんから聞いた時は夢幻世界を創ってる最中に『獏』の『ドレミー・スイート』という名の女性が現れ、夢幻世界を創る手伝いをしてくれていると夢月ちゃんと幻月ちゃんは以前言ってた。天界にいて暇だった事と獏だった事と ドレミー・スイートちゃん は能力。夢を喰い、夢を創る能力が重なり、それを使って夢幻世界を創る手伝いが出来たみたい。元々 ドレミー・スイートちゃん は異国の唐土にいたけど白沢ちゃんと一緒に天界に行っていた。今は天界にはいなくて夢幻世界に漂って過ごしてる。魔界に地獄は神綺ちゃん、天界に冥界はサリエルちゃんが創造神。夢幻世界は夢月ちゃんと幻月ちゃん 獏 のドレミー・スイートちゃん が夢幻世界の全部を創造した訳じゃ無いけど、この三人が実質的な夢幻世界の創造神。でもその夢幻世界を治める人物がいない。誰が夢幻世界を治めるのかな。

 

思い返せば神綺ちゃんもサリエルちゃんも弘天、天君の関係者で夢月ちゃんと幻月ちゃんもそう。なら夢幻世界を治めるのは天君の関係者の方がいいのかもね。永琳ちゃんと天君の娘 諏訪子ちゃんは諏訪国の皇女だから駄目、もう二人の娘。名は紫ちゃんと幽香ちゃん、だったかな。この二人が適任かもしれない。二人は妖怪だと聞いているから尚更いい、神綺ちゃんととサリエルちゃんも創造神とは言え創造しただけで支配者じゃない。それは造化三神の 天之御中主神 高御産巣日神 神産巣日神 にも言えるし、伊邪那岐と伊邪那美 事実上の創造神二名にも言える事。それに夢幻世界は神が治めない方がいいと思う。あそこは特別な世界だから。

魅魔ちゃんの頬に付いていた返り血を拭い終わり、魅魔ちゃんは真っ赤になった服から血がぽたぽた地面に垂れながら空を飛んで早く天子ちゃん達に会いに行こうと催促。仕方ないから背中の翼を羽搏かせ私も後に続く。飛行していたら、平行に飛んでいた魅魔ちゃんは肩をすくめて隣にいる私を見る。

 

「しかしねくるみ。天竺に住む人間を殺戮や鏖殺するのは私としては願ったり叶ったりだけど、本来ならエリスの方が適任だと思わない?」

 

「そうだね。あの子はギリシア神話 女神エリスをベースに創られたから」

 

ギリシア神話の女神エリスは不和と争いの女神。それと邪神で悪神と言われてる。だから闘争本能が一番激しいのは私達の中でエリスちゃんが断トツ。他に小惑星と準惑星のエリスとしての意味も含めてベースに創られてる。魅魔ちゃんは人間に対する憎悪の感情が強烈。さっきの人間たちにもかなーりえげつない事してたし。私や魅魔ちゃん、エリスちゃんにユウゲンマガンちゃんは天君の奴隷じゃない。でも月人や月の民に玉兎は天君の奴隷。つまり間接的に天君の妻である神綺ちゃんとサリエルちゃんに従ってて玉兎も含めて色々二人に手を貸してる。月の民や月人の賢者で天津神 天稚彦 の死の原因を作り天邪鬼の原像で原型の天探女。名は 『稀神サグメ』 サグメちゃんはもう一人の 月の頭脳で月の賢者 永琳ちゃんを尊敬して神話の頃から永琳ちゃんの事を八意様って呼んでるの。サグメちゃんも天君の『奴隷』だけどね。サリエルちゃんは冥界にギリシア神話でゼウスの娘 ペルセポネーとその夫ハーデース 北欧神話のヘル メソポタミア神話 エンリルとその配偶者ニンリル メソポタミア神話だけどバビロニア神話の エレシュキガル と天界にいる ネルガル シュメール神話 クル エジプト神話 オシリス アヌビス セケル ハワイ神話 カナロア ローマ神話の神 ケレース プロセルピナ などを冥界に連れて行ってる。他にギリシア神話のエーリュシオンや古代エジプト神話のアアルに北欧神話のヴァルハラを天国に結合させたりとサリエルちゃんは大忙し。神綺ちゃんは地獄が人手不足なので天竺に住む人間で最初の死者が閻魔になり神になった者に、天竺の神 冥界を司る双生児の神で地獄の神 倶生神 と 懸衣翁に奪衣婆 ゾロアスター教の悪魔で7大魔王、ダエーワだけじゃ足らず永遠になった神道の神を使い、鬼や煙々羅などの妖怪を地獄に連れ去り働かせてる。ただ地獄にある三界は神綺ちゃんだけじゃなくて地獄の女神

名は『ヘカーティア・ラピスラズリ』

元は冥界に連れて来た神だったけど神綺ちゃんが冥界から地獄に呼んで三界を統治して貰ってると聞いてる。地獄の妖精 『クラウンピース』はヘカーティアの部下。ケルト神話の妖精の国『ティル・ナ・ノーグ』が神綺ちゃんの手で地獄の三界に結合されていて ティル・ナ・ノーグ に クラウンピース は住んでるの。このティル・ナ・ノーグは常若の国と言われ、妖精たちの好みの棲み家で、三通りの島々と言われていて生き物の住む島、勝利者たちの島、そして水底の島と言われて、三界にそれぞれ三通りの島々が存在して妖精が三通りの好みの住処に住んでる。あ、死神は異国の存在と言われてるけど地獄にもいるの。本朝の死神は伊邪那美。伊邪那美が死神かどうかは異なると考える人もいるけど。他にはケルト神話の生物でティル・ナ・ノーグに住む妖精の死を予言する存在、首無し デュラハン アイルランド神話で死を予告する妖精 バンシー もティル・ナ・ノーグに住んでる。神じゃなく天使で言う死神なら大天使 サリエル このサリエルは月人のサリエルちゃんとは全くの無関係じゃないけど別人。名前で言うならサリエルちゃんが月人など月の関係者なのはある意味正しい。サリエルは月の支配者と言われて死神とも言われてるから。実際に月を支配してるのは天君だけど。

そんな事を考えていた束の間、突然魅魔ちゃんが右手の指を鳴らし魔方陣を展開してリンゴを二つ出す。一つは私に渡して来たから朧げに受け取りながら魅魔ちゃんは片手に持ってるもう一つのリンゴを齧って食べ始め、呑み込むと片手にあるリンゴを見ながら喋る。

 

「いやー 便利なもんだね。これを使えばどこにいても水や食べ物に困らないし。永琳には頭が上がらないよ」

 

「うん。そういう意味では天君と永琳ちゃんに豊姫ちゃんと依姫ちゃんのお蔭と言える、かな。多分」

 

魅魔ちゃんにお礼を言いながら私もリンゴを食べながら思考。この魔方陣から出たリンゴはそれは月に住む月人や月の民から送られて魔方陣からの転移。これは物質を電子化にして、送り出した先で電子化した物を物質に再構成、再構築し媒介する役割がこの魔方陣。要するに魔界にいる夢月ちゃんと幻月ちゃんの二人を呼び出すと、呼ばれた二人が魔方陣を通って来る時に物質を構成する情報を最小限まで分解してそれを送信し、送られた先で再構成、再構築する術式。

 

月人や月の民に玉兎は極端な位に地上人を見下したりする傾向があって、かつて住んでいた地球は月に住む民にとって今や監獄としてしか見てなく、毛嫌いしていて特に後から生まれた人間とは反りが合わない。地上の神や妖怪などに対しても無慈悲。昔までそうだった。極端な考えでプライドも高く傲慢。天君が月に住む者達全員奴隷にした際に月で止まっていた時間が動き出した。考えは変わりつつあってもこの考えが払拭された訳じゃ無くて柔軟じゃない頑固者。あの事件もあるし皆あの頃から穢れについてそう教わって来たからそう簡単に変われと言われても出来ないのは分かるの。大昔に月人や月の民は穢れに頭を抱え苦悩。だから月の神の月夜見ちゃんは皆を穢れのない月へ行こうと提案、それが会議で可決されて今に至る。

 

でも今や穢れは解決済み、それは月夜見や『変若水』とかも関係してる。みんな怖いんだろうね。死ぬ事が。他に、月にいたけど今や地上に行った穢れを払う女神『菊理媛命』や 直毘神 が月人や月の民に貢献。直毘神は神直毘神と大直毘神に琵琶湖に住む金龍と言われる伊豆能売の事で、特に『菊理媛命』

彼女には苦労させてしまい、本当に良くやってくれた。穢れを嫌って月に住む月人や月の民は彼女だけじゃないけど頭が上がらない。かつての都市を発展させ貢献した永琳ちゃんと肩を並べる程の偉業を成し遂げたから。身を隠してないし死んだ訳じゃない。でも彼女は壊れてしまった。その時に月に住む者は彼女を殺せる訳も無く。穢れについては完璧じゃ無いとは言えある程度解決してるから、殺して穢れが出ても不備は無い。

でもね、無理。出来る訳が無い。だから注連縄を使い、結界で隔てられた月の都に入れないようにさせて放置の苦渋の選択。ずっとずっとずっとずっと、ただただ彼女は地球を延々と眺めて。

 

神奈子ちゃんもあの時、彼女と同じ症状に陥り記憶が消えた。彼女に比べて症状は酷くない。さっき言った通りまだ穢れについては不完全で完璧じゃなかったの。もしも永琳ちゃんがあの時、地上に残らず月にいたら解決できた事かもしれない、でもそれは考えちゃ駄目。それを言ったら月に行かず天君と地上に残り、幸せそうに地上で過ごして生きていた永琳ちゃんを否定しちゃう。それは絶対ダメなの。大昔、都市があった時に十分働いて貢献してる、これ以上求めても酷だし、永琳ちゃんの時間を奪っちゃいけない。

 

ともあれ過去にこれがあったから月の民や月人は恐れてる、同じ過ちが起こりうるかもしれないと考えて。今では穢れについて問題無い。あの時、天君や永琳ちゃんが生きてると分かった時、皆それはもう歓喜。地上にいるとは言え王子にかつての都市に住んでいた賢者の一人が生きてた。それで天君や永琳ちゃんは月に必要だと考え、月の都に連れ戻そうとして結局は失敗。まさかの先手必勝、天君と永琳ちゃん二人が、地上から来て天君と永琳ちゃんの奴隷になる羽目に。豊姫ちゃんと依姫ちゃんの奴隷でもある。それを好都合と考える古株が結構いた。だって王の息子の天君が月人や月の民の王になるなんて元サヤ。本来の形に戻る事と同義なんだもん。新株はそれを知らなくて怯えてる。でも、地上に残るとは聞いてたけどまさか、永琳ちゃんが核に堪える地下シェルターを何年も掛けて造ってたなんて私は考えもしなくて、永琳ちゃんは天君の肯定者で尽くす女とは言えこれが一番驚いた。

 

豊姫ちゃんと依姫ちゃんの愛玩動物で玉兎の鈴仙ちゃんもそう。でも基本的に玉兎の殆どは陽気な性格でノリが軽くて地上を見下す鈴仙ちゃんの様な玉兎はあんまりいない。鈴仙ちゃんと顔なじみの玉兎部隊に配属されてる『清蘭』や玉兎部隊の情報管理者『鈴瑚』は地上を見下す鈴仙と違い能天気な性格。その分鈴仙ちゃんと違って残酷とも言える。清蘭ちゃんと鈴瑚ちゃんの二人は当然玉兎だから天君の『奴隷』玉兎と言えば玉兎固有の能力として、玉兎同士ならばどんな距離でも瞬時に会話できる。そこに目を付けた月人や月の民、永琳ちゃんやサグメちゃんなどの賢者たちは持ちうる限りの頭脳と技術を用い玉兎と似た様な事が出来る装置を開発する事に成功。電波とかは使わず念力の様な感じで遠くにいる人物でも関係なく脳に直接会話する感じ。簡単に言えば仏教で言う『六神通』の内の二つ『天耳通』と『他心通』を混ぜた物、かな。多分。『天耳通』は普通聞こえる事のない遠くの音を聞いたりする超人的な耳の事で、『他心通』は他人の心を知る力。何だか非現実的で科学を否定するような話だけど永琳ちゃんの頭脳と月の賢者のサグメちゃんや月にいる八百万の神の手もあり、誘導尋問で相手の赤裸々の過去とかを知る事は出来ないしプライバシーの侵害が起こる事は無い。この念話は天君が咲夜ちゃんを妻にして天君が 寅丸星 ちゃんに初めて会った時に龍神ちゃんが咲夜ちゃんと念話をしてた筈。

それでエリスちゃんから送られるその念話を聞くに今は紅魔館という屋敷に向かってるそうなので隣にいる魅魔ちゃんを見るとウインクを私に返す。魅魔ちゃんも理解してるみたい。あ。この魔方陣は豊姫ちゃんの能力、海と山を繋ぐ能力を応用して作り上げた、って聞いた。まだ改良の余地はあるけどある程度は魔方陣から出す事が出来る。龍神ちゃんの手助けもありこの魔方陣は展開すると魔界に地獄に天界に冥界にも繋がっていて、これを使えば月人が住む月に一瞬で戻る事が出来る技術、凄いよね。科学で魔法みたいなことを開発するんだもん。まだ行ける所は限定的で何でも魔方陣から出す事が出来る訳じゃ無いから万能じゃないけど、必要最低限の事は出来る。ただエリスちゃんのはちょっと特別仕様で魔界から小悪魔ちゃんや夢月ちゃんと幻月ちゃん、他も呼び出す事が出来る。ただ呼び出す事が出来ると言っても意思がある者は強制的に呼び出せず、たまに拒否される場合がある。その時は結構傷付くとエリスちゃんがお酒を飲みながら愚痴を漏らして嘆いてた。エリスちゃん、普段は気が強いけどお酒が入ると泣き上戸なんだよね。最近天君に会ってないから寂しさが積もってるのかも。ああ見えて甘えん坊だから。エリスちゃん本人に聞いても そんな事無い! って絶対認めない。天子ちゃんといるエリスちゃんや唐土にいるユウゲンマガンちゃんが創られてどれだけの時間が経ったのかな、天君がまだ子供の頃だったからもう覚えてないや。

 

飛行の最中に濃い霧の空間にそのまま飛び込むと霧に阻まれて視界が悪くなる。私も吸血鬼だけど太陽に弱くない、だけど本来の吸血鬼は太陽を苦手としてる、だからこんな霧に包まれた所に吸血鬼は住んでる。霧のせいで前が見えないので速度を落とし徐行してそのまま進む。進む最中魅魔ちゃんはそろそろだよと顎で示して言うと、大きな館が何とか目視。龍神ちゃんと衣玖ちゃんが住んで天界にあった大きな洋風のお城程の大きさじゃないけど、趣があって立派な館。幻想的な雰囲気も滲み出てる。薄らと見える館は赤色を基調とした装飾で光をあまり入れない為か窓が少なく不気味。換気が出来無さそう。館に入る門はあるけど開門してる。私と魅魔ちゃんは空飛べるから門が開いて無くても問題ない。

 

「あれ。二人ともこんな所で何してるのよ。って魅魔 血まみれじゃない!」

 

「天子遅いよ」

 

魅魔と館を眺めていたら、後ろから天子ちゃんと吸血鬼の少女が到着。天子の肩には蝙蝠になってるえりすちゃんがいる。魅魔ちゃんは振り返りながら喋ると、天子ちゃんは魅魔ちゃんに近づいて身を案じ、近づいて返り血だって事に気が付いて安心したのか溜息を一つ。天子ちゃんはフランを交えて魅魔ちゃんと話してるけど、天子ちゃんの肩にいたエリスちゃんが私の前に飛んで来て、視線を会わせてコンタクト。ん、そっか。夢幻世界はあらかた作り終えたみたい。私は頷くとエリスちゃんは天子ちゃんの肩に向かい、そのまま監視の仕事を再開。私は屋敷を見ると、屋敷から吸血鬼の一人がこちらに歩いて来る。そして門の手前まで来たら一度止まり、そのまま片足を後方内側に引き低姿勢をとり、私に敬意を表す。これは古くから女性がするカーテシーという名の挨拶の一種。

 

「御機嫌よう、吸血鬼の始祖くるみ。私の名は、レミリア・スカーレット。吸血鬼の始祖にお会いできて光栄です」

 

「そんなに畏まらなくていい」

 

「そうですか。始祖よ、この後何かご予定でもあるのかしら。なければ紅魔館で一緒にお茶会でもどう?」

 

 

両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げるカーテシーをやめ、口調を崩して私を見る。折角のお誘いだけど、仕事が残ってるから首を横に振り断る。それを見てレミリアちゃんは少し残念そうな顔をして、頷いた。レミリアちゃんは青みがかった銀髪で私と同じ真紅の瞳で私より小さいけど背には悪魔羽が生えている。今回は仕事があるから無理だけど、終えたらお茶会をしようと考えて、封筒を渡す。中にはある国へお誘いする入場券の様なチケットが一枚の紙が入ってる。元々これをレミリアちゃんに渡すのが仕事の一つだったの。天子ちゃんがいるから渡さなくてもいいかなと思ったけど結局渡す事に。次は華陽夫人の華陽ちゃんに会いに行く。

 

いずれ、本朝にある諏訪国でお茶会をしましょう。




妖精関連で地獄の三界とケルト神話の妖精の国 ティル・ナ・ノーグ を結合と書きましたが、地獄の者と妖精は棲み分けがちゃんとされてます。他にも地獄は結合させてますがね。あの三人の妖精、光の三妖精たちは三通りの島々 ティル・ナ・ノーグ に 地獄の三界 に 三妖精。三つとも三繋がりでこうなりました。
名だけとは言え東方紺珠伝のキャラやサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアを出せて一安心。

『変若水』は私のオリジナルでは無く、これは月の不死信仰に関わる霊薬の一つと言われる物ですね。月の神、月読に関係がある物で、月読が持っていたとされると言われてる物です。これがあれば不老不死、または若返るとも言われてます。
『鹽盈珠』と『鹽乾珠』隠れ蓑もですね。基本的に私が出す物は元ネタがあります。

夢幻世界を治める一つの理由としてあの時二人を出して弘天の娘にしました、幽香については旧作設定も混ぜてます、現実世界と夢幻世界の境界に建っている夢幻館の主としての意味も。まあこれは、複数の内の理由の一つで幽香と紫、二人を娘にしたのはそれだけではありませんがね。幽香はともかく紫は長野県の妖怪に隠し神がいるので、あの時紫を娘にしなければその奥の手を使ってました。幽香はどうしても娘にする必要があったのと奥の手が無い理由で娘になるのは確定でしたが。

二つの人形については本当に長かった。しかしやっと出せた。小傘もかなり時間が掛かった。小傘は24話のサブタイトル「鰯の頭」で2つの人形は31話の「技術」で出してます。本当に長かった。片方の人形は誰なのかは流石にばれてますよね、31話で答え書いてるし。この二つの人形は紫と幽香の髪色と同じで丁度良くて、こうなりました。それとひょうすべの話がこの作品に都合が良かった事もあります。

ただ、小傘に関してなんですが一つ目繋りと多々良、鑪(たたら)繋がりで製鉄と鍛冶の神 天目一箇と天津麻羅を混ぜるかもしれません。そうなると小傘は妖怪で製鉄と鍛冶を司る妖怪になりますが、これは茨歌仙に出てくる小傘の話を参考にしてます。
これ結構重要ですが阿用郷の鬼の話も小傘には混ぜてるかもしれません。それはこの鬼が一つ目だからです。この阿用郷の鬼は一つ目の鬼と言われ、鬼自体に名称はなく、日本に現存する文献で確認できる最古の鬼の記述とされるそうです。ちなみにこれは確定ですが、比較的無害と言われる『一つ目小僧』比較的無害という所は一つ目繋がりで小傘に混ぜてます。

今回出した一つ目の妖怪一覧、『阿用郷の鬼』は島根県の妖怪、「一つ目入道」は和歌山県と広島県の妖怪、「箕借り婆」は神奈川県の妖怪。「のうま」は島根県の妖怪。『一本ダタラ』は和歌山県と奈良県の妖怪。
後は鬼太郎の『バックベアード』ですかね。あれも一つ目なので。『一つ目小僧』は各地に似た様な話が多くどこの県の妖怪かは面倒なので書きません。

備前国、備中国(岡山県)には実際歩き巫女でコンガラ巫女と呼ばれる巫女がいます。コンガラは矜羯羅童子か歩き巫女か。どっちでしょう。この中にないかもしれませんがね。

靈夢は旧作キャラですのでこれは霊夢の打ち間違いではありません。それと陰陽玉を手に入れる目星は付いてます。その為に私は歴史上の人物の彼を原作キャラに

大鯰を出した理由の一つは阿蘇山の伝説があったからですね。阿蘇山は日向国にありませんが近かったので使いました。ちなみに地獄温泉は実在します。この時代にはありませんが地獄と言う名がちょうどいいので出しました。ですがこの先色んな温泉に寄るので今回の地獄温泉は書くかどうか分かりません。それと長野県に地獄谷温泉があります。

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