蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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これ本当に後数話で小町まで行けるのか不安だ。

ちょっと今回は蟲の話が出ます。気持ち悪い表現が含まれます。だから見ない方がいいと思います。そして今回はオリキャラ祭りです、こんな感じになるから神話を書かなかったんですがね。こんなに出すのは確実に今回だけですけど。前半真面目が多いので戯れ、ラブコメ話があります。



輝夜

「あ、遅いですよ! じゃあ再会のハグを」

 

天照が抱き着いて来ようとしたので右手を天照の顔に当てながら押しのけて奥に進む。須佐之男はともかく天照と月読は結婚していなくて子供がいない。天照に子供はいる、名は 正哉吾勝々速日天押穂耳 が、しかしそれは天照と須佐之男の誓約の時に無機物から生まれた子でお腹を痛めた子じゃないしな。ニニギも天照の孫ではあるがこれは孫と言っていいのだろうか。

 

部屋についてみたのはいいが。神が少ないな、殆どは肉体は置いて意識だけ来てるようだ。見た限り、有名な神しかいないし実態があるのは、倭大国魂 稚日女尊、賀茂別雷命、建御雷神、経津主、国津神の椎根津彦、一言主、久津媛、泣沢女、かつては西にいたが今は本朝の東部に住む民である蝦夷、まつろわぬ民の蝦夷達を守った荒脛巾もいる。富士山を神格化した浅間大神に二ホンオオカミが神格化した真神 鋤を神格化した農耕神である 迦毛大御 天津甕星 東北の神の一人で、家の神 蚕の神 馬の神 の神と言われる おしら 厄神に人形神 瀬織津姫 出羽国にある鳥海山。そこに住む大物忌 織物の神、機織の神 そして天津甕星を征服した 天羽槌雄神 月人を牛耳る時に出た鉱山の神 金山彦 土の神、埴山彦と埴山姫、水の神の淤加美神と罔象女。風の神の 志那都比古と国津神の伊勢津彦 二姉妹の秋の神 竜田姫 春の女神 佐保姫 木の神 久久能智 国津神の猿田彦 その妻の天宇受賣 高倉下に石押分之子に井氷鹿、贄持之子もいた。天岩戸に活躍した神もいる、天手力男、さっき言った天宇受賣、天太玉、天児屋、天津麻羅、天目一箇、天日鷲、天石門別 他の天津神 天表春もいれば大和にいる始祖もいるな。天火明とか天照国照彦火明櫛玉饒速日とか天児屋とかいるし。実体化してるのは西の神が多いが、しかし天岩戸の時と比べると少ない、琵琶湖に住む金龍と言われる伊豆能売もいた。他は意識だけ来てるようだ。他にも実体化している神がいる、しかしいい加減面倒だ。が、この3人の名は言って置こう、水蛭子に淡島。そして鳥之石楠船 3人は実体化してこの場にいる。久しぶりに八束水臣津野を見たかったがあいつも隠れた神になってしまった。

椅子に座っている天照の背には豊受比売が控えて。天照の両脇には月読に須佐之男が座り、月読の背には白兎神の小兎姫が控え、須佐之男の神使は海蛇と言われている。須佐之男の頭に蛇がまきぐそで乗っているんだがその蛇は蛇の神、大物主と言われる蛇で須佐之男の頭にまきぐそ、とぐろになって乗っている。蛇とは言えのまきぐそになって須佐之男の頭に乗っていると、天照の神殿にうんこした須佐之男の馬鹿話を思い出す。天照の両肩には2匹の金鵄、または金烏の八咫烏が乗っているが、一応八咫烏も神だし。天照が軽く咳払いをして周りを見渡す。それとなぜか大和に豊姫と依姫がいた、月に行くと決めた神がいれば連れて行く為だそうだ。始めるのかと思ったらまだ来てない者がいるらしいと天照が言った時に扉を乱暴に開けて早歩きでサリエルと息切れした神綺が入って来た。後、咲夜が着ている似たメイド服を着ている金髪の女性も遅れて入って来たが綺麗な女だ。サリエルは両目を瞑り御淑やかだが、神綺は神々に謝りながらばつが悪そうにして、メイド服の女性は神綺の後ろで控えている。

 

「ごめんごめん。遅れちゃった」

 

「すいません、神綺が寝ていて起こすのに時間がかかりました」

 

「そ、そんな事無いわよサリエル! ただ地獄を創る最中で手が離せなくて」

 

神綺とサリエルが何か言い合っているが懐かしい顔ぶれだ。こうして月人が集まるのは天岩戸以来の数億年ぶりだな、神綺とサリエルは俺と永琳に気付いて神綺はウインクしながら片手をひらひらさせて、サリエルは頭を下げた。その後は実体で来てる神と同じく椅子に座って神議るに混ざる。もう一度天照は咳払いをして今度こそちゃんと始める。八百萬神、八百万の神は目に見えないがこの部屋のそこらじゅうにいる。

 

「お久しぶりです。皆さんお忙しい所集まって頂きありがとうございます」

 

「懐かしい顔ぶれが多いですが、さっそく本題に。神仏習合についての神議るを始めたいと思います」

 

久しぶりの神議るだ。前に俺が出た会議は天照をどうやって天岩戸から出すか話し合ったものだ、とは言え、あの時に比べて神が減った様だが。秋の神の竜田姫。その妹の方が片手を上げてまず何について話すか聞く。俺と永琳、神綺にサリエル この場にいる月人はもうどうするかは都市があった時からとっくに決めている。だからこそ俺はこの場に来る気は無かったんだが。他の神はただ黙って聞いている、天照が何を言いたいのか検討は付いてこの場にいるからだ。だから口を挟まない。

 

「そうは言ってもさ。もう神仏習合は決まって今更どうする事も出来ないんじゃないの」

 

「そうですね」

 

「そうですねってあんたね」

 

「問題はそこではなく、私達がどうするかについてです」

 

竜田姫の妹の方は首を傾げいるが、天照が何を言いたいのか理解できないようだ。天照は左手の人差指を立てて竜田姫の妹の方に分かりやすく説明する。

 

「いいですか? 神仏習合はもう起きた事です。まだ神仏習合が決まって時間もそれほど経っていません。それ程の時が過ぎていないのに今更 覆すのはまだ不可能です」

 

竜田姫が何か言いかけたが天照の右手の掌を向けて竜田姫を静止させた。まだ話は終わってないようだ。神仏習合は大和の神が関わっていないとは言え、西の大陸を治めている大和の人間が決めた事だ。今更あれは無しで。とか通用する訳ないし民も納得しない。しかしそれは大和の神だからだ、だからこそ俺は大和との同盟を解消してその覆せない事を俺が覆す気だった。俺は諏訪の国の神の一人で大和の神では無い。大和と諏訪の国の同盟を解消をしたらもうお互いが味方では無くなる。昔の様に敵の関係にまた戻るのだ。神仏習合を神仏分離するにしても大和の味方で、内側から変えられる事じゃない。だから外側からで変えるしかないんだ。どうやら仏教は民にとってはいい宗教のようだな、色眼鏡で見過ぎていた部分があるかもしれんが俺は東には絶対侵食だけはさせるつもりはない。何でも混ざればいいって物じゃない、棲み分けは大事だ。その何もかも混ぜるのが本朝の特徴だとしても。 ミノタウロスの皿、いや。それ程の話じゃないかもしれんが。神にとって一瞬の時間、近い未来に廃仏毀釈運動が起こるだろう。そもそも。天照などの大和の神は政治に関わって無いそうだからどうする事も出来なかった。

 

「私が言いたいのはこれからの、神の身の振り方についてなのですよ」

 

「訳分かんないわよ。前置きはいいから本題に入ってちょうだい」

 

「相変わらずせっかちですね。西は神仏習合が侵食しつつあります。ですが、東はそうではありません」

 

竜田姫の妹は最初欠伸をしながら天照の話を聞いていたが、何が言いたいのか理解して黙った。それを言う事は自分が、竜田姫姉妹が住んでる河内国と大和国の境目にある竜田山を捨てると言う事だからだ。竜田姫の姉は悲しそうに否目。だが天照は容赦なく言い放つ。本朝の人間の特徴は外来の文化を吸収し、本朝文化にそれを混ぜて、独自に発達させる民族だ。だからこそ本朝の人間は何でも吸収し、吸収した物を文化に習合させ、そして本朝独自に発達させていくスタンス。蔵王権現や陰陽道がいい例だな。陰陽道は自然哲学思想、陰陽五行説を起源として、日本で独自の発展を遂げた呪術や占術の技術体系。あそこまで発展、発達させたのは本朝だけだ。蔵王権現だって天竺に起源を持たない本朝独自の仏だ。分かってる、分かっているさ。俺や他の神も神仏習合の事だって全否定している訳じゃ無いんだ。ただ何故混ぜる必要があるのか、味噌も糞も一緒と言う言葉がある、神道も仏教は宗教と言う視点で見たら同じだが、性質が異なっているし価値観が違う事を無視して神道と仏教を混ぜて、神仏習合して扱うのは困る。共存するにしても神道、仏教と区別の上での共存を望む者もいる。神道と仏教が同じ性質、価値観その他もろもろが同じなら混ぜるのはまだ分かる。しかし神に対する考え、仏に対する考え方が全く違う。別物じゃないか。そしてその理由を聞いた、渡来人と交流の厚かった蘇我稲目が仏教を大和に伝わらせて神道の神が人間によって神身離脱の考えが出始めた。実際は誰一人そんな事を考えてはいない。神身離脱のせいで神が人間から薄れつつあった。神を人間と似た存在に見始めたから習合しかなかったと。両方立てれば身が立たぬと入鹿はそう考えたそうだ。だから仏教と神道を分ける事が出来なかったらしい。仏教と言っても原型の仏教はすでにこの世にないが。

 

「この場にいる神の中に神仏習合に納得できない神がいるなら、生まれた故郷、統治している土地を捨てて東に行ってください」

 

天照は立ち上がり、意識だけの神に向かって頭を下げる。仮にも、大和の頭が下げたのだ。無下に出来ない神もいるだろう。それでも嫌がる神もいるかもしれないが。そもそもだ、天照、月読、須佐之男。他にもいるが天津神たちはわざわざ東に行かなくてもいい、何せ月があるからだ。この場に豊姫もいる、行こうと思えばすぐに向かう事は出来る。が、天津神の中にも今住んでいる土地に愛着が湧いてる者もいるだろうし、国津神の猿田彦であるその妻、天津神の天宇受賣がいる。国津神は大昔からその国にいる神だ。国津神はいつの間にかいた神で、都市あった時は国津神なんていなかったはずなんだがな。月人は全員が天津神じゃない、月人の中に天津神が混じっているだけの話。

 

「どうか、西の神が東に住む事になればお願いします。このまま時が経てば神が減ってしまう恐れがあります。それは避けるべきだと私は考えています」

 

皆が平等なんて不可能。皆が皆仲良くするなんて不可能。神道派と仏教派全員が手を取り合うのも不可能。生き物に争いが無くなるなんてことはないんだ。天神地祇、神祇である天津神や国津神も最初は争っていたんだし、今でこそ天津神と国津神との婚姻は積極的だがな。天津神である天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸、国津神である木花咲耶姫、石長姫の様に。仏教派と神道派が争うのはもう目に見えている。西は神仏習合、東は神道の国、神国か。言葉が通じると言う事は仲良くなる事も出来るが、その真逆にもなりえる。言葉とは、難しい物だな。仏教が来る前は巨石や山、大木が自然物が信仰の対象だった。神道なんて言葉は無かったし。神、仏。それは本当に人間に必要なのだろうか。しかし仏教と言う宗教で救われる人間がいるのは事実だ、まあ。俺のする事は女を侍らす事であって、仏教がどうとか考える事じゃない。天魔との約束があるから諏訪の国より東には仏教を行かせる訳には行かないが。俺は今の所仏教を無くそうとか考えていない、仏教を求める人間を無下には出来ないし。ただ神と仏を区別を付けて分けて欲しいだけだ。東の神は実体化しているのが少ない、意識だけでこの場に集っている、その東の神は意識だけで喋った。

 

「東の神、そして東の土地が仏教に侵食されず神道だけの国になっている。そもそも仏教が東に来なかったのは諏訪の国があったから」

 

諏訪の国の北西にある越中国から越後国。諏訪の国の南西にある三河国から遠江国に進んで東に行く国境沿いのルートもあるがどちらも人が登るには高く険しい山脈しかなく、とてもそこから東に進もうとするのは不可能。何せ崖ばかりで道と言う道が全くないのだ、人の手が入っていないから道が無いのは当たり前と言ったら当たり前だが。なら諏訪の国から行けばいい話だが、諏訪の国には妖怪がいすぎている。しかもその中には鬼がいた、俺は鬼の萃香、勇儀、華扇を最初の内に諏訪の国に引き込んだ。だから人間も滅多に東に来ない者が多い。要は諏訪の国は鬼がいたから東に来る人間の抑止力になっていた。鬼を仕えさせてる神は俺くらいしかいなかったし。鬼は強力な存在で山一つ持ち上げるほどの力があり、例外もいるが人間を攫い、喰う。それだけ分かっていれば近づこうと思う人間は少ない、だからこそ諏訪の国から東に行く人間は余程の理由がある人間しかいなかった。まつろわぬ民の蝦夷達を守った荒脛巾とかも諏訪の国に来て、俺にまつろわぬ民の蝦夷達を東部に連れさせて行きたいと来た時もあった。荒脛巾はかつて俺と永琳が大和を支配してる事を知ってる数少ない神の一人だったし、だから諏訪の国より東部に蝦夷達を連れて守りながら東部に逃げ、今も東の神の一人として東部にいる。その時は荒脛巾だったが他国の人間にとって鬼は怖畏の存在でしかないんだから。ここで重要なのは萃香と椛だ。萃香は諏訪の国全体にいるし、椛は能力で千里先まで見通す事が出来る。この二つ、仏教対策だけではないが結構大事だ。しかし萃香は陸限定、椛は諏訪の国から千里先だから相当な距離の陸と海を見通す事が出来るが見通す事が出来るだけの話、椛が能力で見つけて報告してくれるのは助かる部分はあるが食い止めなければならないのだ。いつかは海を使って東に来るかもしれない。そこは天魔たち天狗の出番だ。翼があって空を飛べるから空から監視できるし天狗は鬼より弱いだけであって人間に負けるような雑魚ではない。

 

「そして、この場に来ていない神も。この場にいる神も神道が仏教より上か下か、仏は神より下なのか上なのか。そんな事はどうでもいいと考える者ばかり。だから東の神も神仏習合されようとされまいと、正直どちらでも構わない」

 

暴れる神や妖怪が敵なら俺達が出向いて抑えるか討伐すればいい話、しかし相手は人間。

年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず 自然はともかく世の中は移ろいやすいし、色々変わっていく。後はそれを受け入れられるかどうか、受け入れられる者もいれば無理な者もいる、東の蝦夷達の様に。何事も自然の様には行かないもんだ。神はこの場に集まっているが、妖怪。魑魅魍魎共はどうかんがえてるんだろうな。俺は隣にいる永琳の背中を左手で撫でながら見る、本朝の人間は、有力な人物や恨みを残して亡くなった人物を神として祀り、祟りから逃れようとする人間だ、後は病、疫病が流行る、まあこれは原始宗教の話だが、災害や天災、作物が不作だったりすると神々がお怒りでこれは祟りだと思う者ばかり。そこで一計を案じよう。今言った病、西の人間にヤマメを使う一計を。何の病気にするか、結核だと死ぬし瘧とか風土病にするか。どちらも最悪死ぬがどちらも死なない程度にヤマメには操ってもらおう、ヤマメは病を操る事が出来るんだし。そして一気にではなく徐々に病が流行らせたら神仏習合について神々がお怒りなのだと西の人間に旅人の振りをしながら言って置けば間違いなく信じる。永琳は理解したのか頷いた。ヤマメがいなかったら疫病神を使っただろうな。

 

「そこで、諏訪の国王であり諏訪の国の神 そしてかつての天岩戸の関係者の一人 蓬莱山 弘天 殿。貴方だけは神仏習合をどうでもいいと考えてない様子だ、貴方の意見を伺いたい」

 

何故かばれていた。しかも東の神にだ。意識だけの神は分からんが実体で来てる大和の神は俺に注目してどう答えるか聞き入った、俺の考えは最初から決まっている。神とは、人間の味方の存在と思われがちだがそうではない、むしろ敵だろう。夜刀神の様に人間に仇成す神もいる上に本朝の神は基本的に祟る神が多いし。実際は悪魔とかの方が味方か、そして命は尊いと言うのがたまにいるが命に尊さなんてある訳が無い。

 

「神仏習合に対する俺の最終的な考えは、今は、だが。仏教を無くす事ではなく、まず初めに神仏分離。民に神道と仏教、そして神と仏の区別を付ける事だ」

 

「神仏習合を考えた入鹿とやらは、人間が神道の神が神身離脱の考えを持ち始めたから止むおえず神仏習合するしかなかったと聞く。もし神と仏の区別を付けたらまた元に戻る事になるのではないだろうか」

 

「いいじゃないか、元に戻っても」

 

天照。お前、この為に輝夜と咲夜を呼んだのか。目の前にいる天照を見て見るがニコニコしたまま俺の話を聞いている。お前が考えた事ならお前が言えばいい物を、道具としての役割を超えているぞ天照よ。意識だけの東の神は俺が何が言いたいのか理解できていないようだ、当たり前か。輝夜や咲夜の事を知らないだろうし。天神地祇、八百萬神どもよ。お前達には消えて貰ってはこの先困るんだよ。これ以上古い神が身を隠す事になるのは俺の計画に支障が出る。俺が目指す先には天津神、国津神、八百万の神が必要なんだ。もう八束水臣津野身みたいに身を隠して減らす訳には行かない、だからこそ俺は、俺の様に一時的ではなく本当の、永遠の存在にしてやる。

 

「この場にいる天津神、国津神。そして八百万の神、咲夜に信仰の時を止めてもらい、輝夜に頼んでお前達を永遠の存在にする考えがある」

 

俺は信仰が無くなって消えた神を見た事が無い。だが もし神道の神が信仰無しでは生きられないなら、信仰の時を止めて、永遠の存在にする。神が減れば妖怪は無尽蔵に増えていく、妖怪と対等に渡り合える存在はいなくてはいけない。このまま放って置いたら近い将来の話だが、神は減り、最後にはこの惑星で神を目撃する事は叶わないだろう。神を空想上の存在ではなく、ちゃんと実在している存在だと人間に分からせる必要がある。入鹿が見過ごせなかった神身離脱の様に俺が見過ごせないのはこの先産まれる人間たちに。神や妖怪が空想上の存在だと思われたくないのだ。最悪、神道の考えは無くなってもいい。しかし、もう神が消えるのは困る。神道かただの神かどちらかを選べと言うなら俺はただの神を選ぶさ。この場にいる神に、俺の様に国を治める神道の神じゃないただの神か、それとも万物に住む神道の神がいいか。どちらかを選んでもらおう。

 

俺が目指すのは神も妖怪も人間も皆平等で、しかも仲良く過ごせる世の中ではない、皆が皆仲良くするのは不可能だし妖怪の差別を無くして人間も神も妖怪の種族を平等にするなんて出来る訳が無い。諏訪の国も皆平等かと聞かれたら平等じゃないと俺は答える。俺はそんなありもしない夢物語や幻想を昔から、都市があった時から見る事は無かったし、この先も見る気は無い。俺は夢物語を見ている暇があるなら現実的な夢物語を見る、神も妖怪。他にもいるが、そんな存在が当たり前のようにいる世界。俺が目指すのはその世の中だ。これは俺の夢、女を侍らす夢を叶えながら出来る事だし。神や妖怪が当たり前にいる世界、神と妖怪と人間が仲良く過ごせる世界。どちらが難しくてどちらが簡単かは分かる。そもそも仲良くするなんて後で考えればいい事だ、まずは神や妖怪が当たり前にいる今の世の中を維持しなくてはいけない。俺の国だけでも絶対に維持するがやはり俺の国だけではなくもっと多い方がいい。女を侍らす夢か、それとも神も妖怪も人間も皆仲良く過ごせる世界を創るか。どっちが夢物語で現実的だろうな。前者は過程はどうあれ傍に女がいたらいい話。後者は過程も結果も重要な話になる。俺は無能だ、だからこそ出来ない事はしない、出来る事だけをする。神とは、日本神話の神とは。ゼウスの様に全知全能の神では無い、そして俺も全知全能ではないのだから。蟹は甲羅に似せて穴を掘るだ、無能は無能だからこそ周りにいる有能な者を巻き込んでやるしかない。天照が話を終えた俺を見てから口を開く。

 

「神仏習合についての話は以上でよろしいですね?」

 

「何だ、まだ他の話があるのか。咲夜と輝夜に頼んで八百萬神を永遠にし終えたらさっさと帰りたいんだが」

 

「そんな寂しい事を言わないで下さい、もう一つありますが神仏習合はどうでもよくてこちらの方が本題かもしれません。では田心姫、お願いします」

 

田心姫は下野国にある女峰山、その山の女神で宗像三女神の一柱。だから須佐之男の娘だ。女峰山の女神である田心姫は実体化してこの場にいて、立ち上がって両手をデスクに勢いよく叩きつける。天照と須佐之男の誓約の時に須佐之男が生み出した宗像三女神の一柱で女峰山の女神である田心姫と言えば、女峰山の近くにある男体山の神は大蛇だったな。確か名はミシャグジ様だったか。国津神の一人でもある。

 

「実は諏訪国の隣、上野国にある赤城山で大百足が暴れていたのです」

 

なら殺せばいいではないかと他の東の神は言うが、大百足って見た目は大きいがそれだけで雑魚中の雑魚。この場にいる神が後れを取る様な妖怪ではない。妖蟲は雑魚と言ったが妖蟲は衰えていない、現役だ。ただ神にとって雑魚と言う話だ、妖怪や妖獣にとっては天敵かもしれんがな。そもそも大百足はこちらから手を出さなければ何もしない妖怪だ、この場にいる神は関わって無いとすると今回の騒動の原因は神ではないのか。と考えたが、赤城山の神は大百足だった。あいつはこの場にいないみたいだ、てか知らなかった、諏訪国の隣にある上野国の事なのに大百足が赤城山で暴れていたとは。通りで赤城山の神がこの場にいない訳だ。赤城山の神は大百足なんだが、あいつは神でもあるが蟲でもある。今は下野国にある戦場ヶ原で暴れてるそうだ。

 

「戦場ヶ原で今は男体山の神が大蛇になり大百足を抑えてはいます。赤城山の神は神ですが大百足で蟲でもあります。大百足は元来。暴れるような、気性が激しい蟲ではありません」

 

右手を使って耳を軽く掻いて欠伸をする。今回は蟲だが妖蟲はさっきも言ったように神にとっては雑魚だ、神が聞いて困る様な話題ではない。が、赤城山の神は大百足でもあり蟲でもある。このまま放置は出来ん。もしもその誰かが蟲、妖蟲を操れるなら人間にとっても色々不味い。恙虫とか操られたらすぐに人間は死ぬだろうな。その誰かが蟲、または妖蟲を操れるならヤマメの能力と相性がよさそうだ。大百足を操っている者が大量の、人間を一番殺している生き物の蚊を操り、ヤマメは病を操ってその大量の蚊を病原菌持ちにさせ人間に感染させるとか。そう考えるとその人物が欲しいな、今の百足は仏教が入って来てからだが、天竺の神の財宝神クベーラが前身で今は毘沙門天。教の毘沙門天の眷属と言われてる。後は龍神とも関わりが深いな、百足は龍神と同等の存在だと言われてるし。赤城山の神が大百足になって操られているならその操っている者の名を掴んでいるのか問うと田心姫は頷いて今度は天照が呟いた。

 

「その名は リグル 蠱毒使いで妖蟲の頂点に立つ妖怪ですよ」

 

リグル、蟲、妖蟲を操れるなら拷問とかに使えそうだな。動けない相手に一匹一匹足元から蟲を登らせて最後にはそいつの頭から顔も含めて体全体が蟲で埋め尽くされるとか。俺は一時的に永遠の存在で無敵になっているが、精神的に来るやり方で来られたら永遠の存在である俺でもこれほど恐ろしい事は無い。俺なら間違いなく発狂する。どうするべきか、幸いにもこの場には依姫がいる。依姫がいたら敵なしだ。しかし、赤城山の神は蟲でもあるが神でもある。これ以上神を減らす訳にも行かないので殺す訳には行かない。話は終わったのか、以上。と田心姫は椅子に座り次は天照が話し始めた。最後の話だ。

 

「本当はまだあるのですが、今日はこれで最後です。実は、大鯰が動きだそうとしているのですよ」

 

大鯰って昔地震の神である なゐの神 が大鯰を要石で動きを抑え、そのまま大鯰は眠りについた。場所は確か日向国、あそこで大鯰は今も要石で動きが抑えられて身動きが出来なかった筈だが今は違うようだ。あれ程迷惑な生き物を大鯰以外俺は知らない。何せ起きてる時は常に地震を起こして困ったものだ、幸いにも地震の神であるなゐの神のお蔭で何とかなったが。そう言えば鯰も神使の一匹の内でもある。どうしてこうも面倒事が立て続けに起こるのだ、仏教、次に赤城山の神の大百足、最後に大鯰。小町に会いに行きたいと言うのにこれでは行けないじゃないか。

 

「先程も言いましたが、戦場ヶ原で大百足が暴れて大陸が大きく揺れたのです。まるで地震でも起きたかのように」

 

それだけではありませんが、と天照は俺を見たが目線を逸らして聞かなかった事にする。どうやらあの時、諏訪の国に鬼女たちを連れて行った時の揺れは萃香と勇儀だけが原因では無かった様だな。今の大百足は動かず戦場ヶ原でただじっとしているらしい。大鯰は頭を日向国、尾を下総国に要石で抑えられてると言われてるがそれが事実ならどれだけ巨体なんだよ大鯰。遠い、遠すぎる。下野国はともかく日向の国って本朝の西の果てだぞ。

 

「それが日向国にいる大鯰にまで揺れが届き大鯰は要石の抑えが弱まり今にも動き出そうとしています、要石が無くなったらまた地震を起こそうとするでしょう。これも見過ごせません。神仏習合なんてどうでもいいですけどこれは何とかしなくてはいけません」

 

「いや、大鯰はなゐの神を呼べば万事解決じゃないか。この場にはいないようだがどこに行った」

 

「消えました、現在捜索中ですが行方知れずです。大方海の向こうの大陸で女性を口説いている最中でしょう」

 

またか、また神が行方知れずか。天照は椅子に座ってる依姫を見る、納得した。何故豊姫だけならともかく依姫がいるのか。依姫は神を、神霊の依代になる事が出来る。八百万の神を自分の体に宿らせ、力を借りて使役する事が出来る。この能力はリスクが無い、しかも素早くあらゆる神を降ろせるし強制的に体に宿らせるからなゐの神がどこにいようと関係ない。どこにいても強制的に、しかもすぐに呼び出せるからだ。しかし、もしなゐの神が身を隠して自然と一体化していたら呼ぶ事は可能なのだろうか。

 

「そこで、この場にはいない久延毘古と塩椎神。以前から文通していた八意さんに聞いてみた所、依姫さんに頼んではどうかと書いてありましたので」

 

「成程、その為に私がこの場にいるのですね」

 

はい、お願いしても構わないでしょうかと天照は依姫に頼んだがデスクに身を乗り出してから数隣にいる俺を覗き込むように見る。俺の両脇には左に永琳、右にサリエルがいる。神綺は俺の股の間に座って体重を俺に預けている。この状況でも何も言わない他の神たちは一体何を考えてるのだろうか。一応は大事な会議なのに。ついでに二つ言われたが大和の北西にある摂津国で積乱雲が妖怪化したのがいて困ってるそうだがかっこいいな、積乱雲が妖怪になっているとは。積乱雲が妖怪になってるなら大きな妖怪だろう。

 

「む、隊長。構わないでしょうか?」

 

俺はもう隊長でも局長でもないぞ依姫。そう言ったら依姫は都市があった時から今も昔も俺の部下だから俺の命令に従うのがいいとの事、じゃあ頼むと言うと依姫は椅子から立ち上が、離れてなゐの神を呼び出すが神霊の依代にすると言う事は依姫に憑りつかせると言う事だ、憑りつかせても依姫は体の所有権を神に奪われない能力、だからそれでは話が出来ない。だから憑りつかせる寸前に中断して、霊魂、他の神の様に意識だけで依姫の近くにいたが、なゐの神は霊魂から実体化した。中断したのでなゐの神が出てきたがご立腹の様子で地震を起こして怒りを露にする。さっき言ったように実体化してない神は意識だけでこの場にいる。意識、霊魂が出来るのは神道の神だけで実体化して大和に来るのが面倒な神たちは霊魂だけでこの場にいる。

 

「誰よ私を呼んだの!? あ、依姫ね! 折角綺麗な女口説いてる最中でいい所だったのに!! もう少しで心も体も落とせそうだったのに!!!!」

 

なゐの神が騒ぎ立て隣にいた依姫に気付き、怒っているせいか地震を起こして喧しい、今は真夜中だし大和の民も他の土地の民も迷惑極まりないだろう。俺は神綺の頭に右手を置いて退いてもらって立ち上がる。なゐの神の隣にいる依姫に近づき実体化してる武甕槌を呼んでなゐの神を床抑えつけて貰った、なゐの神は武甕槌と仲があまりよろしくない。緊急事態なので有無を言わせず命令する事にしよう、時間があまりないようだし。

 

「なゐの神よ、早速だが武甕槌と共に日向国に向かい大鯰をもう一度要石で押さえつけて来い。それだけしたら後は自由にしてやる」

 

「ってそれ脅迫じゃん! 何で男臭い武甕槌と日向国に向かわにゃならんの」

 

武甕槌はどうみても優男で男臭くは無いと思うんだが。お前、相変わらず女なのに女が好きなのかと言うと。武甕槌に抑えつけられながらとびっきりの笑顔で当ったり前じゃん! 女が女を好きで悪いか! と大声で言うが、変わらなさ過ぎて他の八百万の神はあきれ果てて言葉も出ない。俺は椅子に座ってる天照を指さして苦渋の決断をしよう。人柱ならぬ神柱だ。

 

「仕方ない、天照をくれてやるからそれでいいだろう」

 

「え、待ってください。私を売るなんて酷いですよ! 私は生まれたあの時、弘天さんに育ててもらった時から月読も私と一緒に弘天さんに嫁ぐと決めてるんです!!」

 

「勝手に我を巻き込むのはやめていただきたいですな姉上」

 

天照が椅子から立ち上がり異を唱え、天照の肩に乗っていた片方の八咫烏が俺を嘴で思いっきり突いて来たが今の俺には効かない。なゐの神は悩んだが、天照はいいや。と提案を蹴った、まさか断られるとは予想してなかったのか落ち込んだ天照は部屋の端に向かい、三角座りをしながらいじけてしまった。月読と須佐之男は椅子から立ち上がり天照の元へ行き慰め始める。

 

「おい、なゐの神よ。あれの中身は残念でも顔は悪く無いと思うんだが」

 

「私は人の、神の恋路を邪魔する気は無いの。そんな奴は馬に蹴られて死んでしまえばいいのよ、惚れた病に薬なし。太陽神が冷静になる日が来たらいいけどね」

 

舌打ちしてなゐの神を見るが、口笛を吹いてなゐの神はそっぽ向く。なゐの神は、冗談は置いといて。と話の続きを始める。泣いて暮らすも一生笑って暮らすも一生、私は私の好きな様に生きて、笑って生きるんだから邪魔しないでよと言われた、それを言われたら俺は何も言えなくなる。俺も好き勝手に生きてるし、泣いて暮らすも一生笑って暮らすも一生。俺に相応しい言葉じゃないか。

 

「私これでも忙しいんだよね、だから必要な時に呼んでよ。その時はちゃんと協力するからさ」

 

「お前、大和から日向国までどれだけ距離があると思ってるんだ」

 

「私、武甕槌に床に抑えつけられて実体化してる神がどれだけいるか分かんないんだけど。弘天の隣に依姫がいるでしょ? じゃあ豊姫もいるよね、豊姫に頼んで武甕槌大と一緒に向かえばいいじゃない」

 

そもそも弘天には龍神がいるでしょと言うがこいつ、ただ面倒なだけじゃないだろうな。そう思ったがそうではないようだ、西の妖怪である神野悪五郎と山本五郎左衛門が争っているので依姫にはそれを片付けて欲しいみたいだな。後は七人ミサキを何とかしてくれとの事。七人ミサキとは溺死した人間の死霊だ、なゐの神は武甕槌に床に抑えつけられながら顔だけ動かして武甕槌を見る。

 

「あれ、武甕槌。腰にいつも差してた布都御魂と布都御魂剣が無いじゃん。あれ大事な物なのにあんたが手放してるなんてどったのよ」

 

「布都御魂と布都御魂剣ならくれてやった」

 

「えー? 誰にやったのよ。 まさかお金に困って骨董屋に売ったんじゃないでしょうね!?」

 

「違う、太陽神 経津主 経由であそこにいる天照国照彦火明櫛玉饒速日と天火明の神裔にだ」

 

納得したのかなゐの神は何も言わなくなった。そこで妙案とばかりな表情で、この場にいる八百万の神達に聞こえる様に大きな声で俺に向かって言う。その時他の神を見たがまた竜田姫 の妹の方と佐保姫が口喧嘩している、相変わらず仲が悪い。竜田姫の姉の方は二人を宥めようとするが更に悪化させてしまい無駄だった。今は春の季節で佐保姫は絶好調、だが今だけで秋の扇の様。今は春だが。竜田姫の姉の方の名は紅葉の神 静葉だ。妹は豊穣の神、名は穣子。二人とも昔から綾羅錦繍だ。

 

「じゃあ弘天が来たらいいんだよ!」

 

「来たらいいって、どこに」

 

「日向国に決まってるじゃないのさ!! ん 依姫も弘天が一緒だと嬉しいよねー?」

 

なゐの神はこれは面白いと言った顔で依姫に聞く、隣にいた依姫を見るが俺と目が合うと背を向けて縮こまる。豊姫が依姫に近づいて何か言ってるが依姫は首を横に振る。近くにいた神奈子はどうでもよさそうだが、永琳は諏訪子を連れ俺に近づいて実家に帰らせていただきますと、背を向けて部屋から出て諏訪の国に行こうとしたが止めた。神綺とサリエルは笑ってるが俺は笑う余裕が無いぞ。とりあえず諸悪の根源であるなゐの神の背中を踏ん付ける。

 

「痛いじゃないの! 女性に手、じゃなくて足を上げるなんて最低!! このケダモノ!」

 

「ケダモノは否定しない、だが俺は相手が美女だろうが殺す男でな。とりあえずお前をひん剝いて皆にお前の裸体でも見てもらい、天宇受賣の時の様に八百万の神達に笑っていただくか」

 

そんな、美女だなんて。 なゐの神が最初は素で照れたがその後の裸体の事を聞くと青ざめた。俺はなゐの神の服に手をかけて脱がそうと動いたのはいいが、どうでもいいがなゐの神は神なのに巫女装束を着ている、着ているのは可愛いからだそうだ。

 

「えっ、あ。ちょっと巫女服を脱がすの手慣れすぎ! 嘘 嘘! も、もう~冗談きついってばこのお茶目さん!」

 

「どうしてまた踏むのさ!? さっきより痛いし!」

 

俺はなゐの神を踏ん付けるのをやめ、俺に背を向けて豊姫とまだ喋ってる依姫に近づくが、豊姫は俺を見て依姫から数歩離れる。手の届く距離まで来たら俺は右手を依姫の肩に置いた。いきなりだったので依姫の体がびくついたが、怖ず怖ずと首を回して顔を背中にいる俺に向けるが、顔を赤くしてテンパっている。そう言えば、俺は都市があった時依姫をデートに誘った事が無かったと思い、少し遠出のデートに誘う事にした。

 

「依姫、二人きりで日向国まで逢引しようか」

 

依姫が体ごと勢いよく振りかって抱き着いて来た。俺の胸筋に顔を埋めて顔を見られないようにしてから依姫は上目遣いで俺を見る。依姫、実体化してるのが少ないとは言え意識だけで来てる神がいるからこの場には神が埋め尽くした状況で何かのプレイされてるような状況。依姫はそんな事眼中になく感極まった表情で返事をしてくれた。

 

「はい」

 

 

永琳、悪いが俺は諏訪国に戻れなくなった。ヤマメにさっきの事を伝えて西の人間に病を流行らしといてくれ。他の野次馬な神共が拍手して騒ぎ立て、依姫は一部始終を八百万の神達に見られたと恥ずかしがり、俺から離れてこの部屋から光速で扉を開けず壊して逃げた。天照もニコニコしたまま拍手していたが俺に近づいて天照の両手の上にある物を渡されたので受け取って見たら、勾玉が付いていて首にかけるような玉飾品だった。天照は目を閉じて たまのををあわ緒によりて結べらばありて後にも逢はざらめやも と言ったがどういう意味だ。

 

「それは御頸珠、御倉棚神です。私の父から弘天さんへの餞別ですよ。この御頚珠を私から渡す意味、お分かりですよね」

 

いや知らないんだが。後で永琳に聞いておこう、天照に御頚珠を首にかけて欲しいと言われたので首に回してかけてみたが、実体化してる三貴神を含めた天津神以外もいるが神達が俺の前に来て跪く。何だこの状況。天火明と天照国照彦火明櫛玉饒速日が跪いたまま近づいて婚姻届を俺に渡してきたが、俺の婚姻相手を見ると天照国照彦火明櫛玉饒速日と天火明の子孫と言われる物部氏だった。どうやら生き残りがいるそうだ、二人は片目を閉じて親指だけを立てる、ムカついたので婚姻届を破いてみたが二人は絶叫、しかし即座に懐からもう一枚の婚姻届を渡されて破いても無駄だった。その後の神議るは終わり結局俺は日向国に行く事にした。周りを見ると神奈子は天照と嬉しそうに笑って話している。諏訪子は気を使ってくれて神奈子と共にいる、豊姫は依姫を探しに行ったが見つからなかった様子で今は月読や須佐之男と話してる。豊姫の神奈子を見る目が悲しそうだったが、眠いしどこかで寝ようと思い永琳を連れて出て行こうとしたが、俺の左手を誰かが掴んで止めた。見たら神綺だった。

 

「数億年ぶりの幼馴染を放って行くなんて酷い! ここは感動の再会でしょそしてベッドインでしょ! そのまま私はひろの子供をお腹に宿して」

 

神綺は右手をお腹に当てて擦り、次に両手を両頬に当てて、にやけて妄想に浸った。サリエルが神綺に近づいて神綺のサイドポニーを軽く引っ張って正常に戻す。数億年経ってもいつも通りだ。正気に戻った神綺は、俺にこの後どうするか聞いて来たので俺は今日は本来、永琳を閨に連れて来んでやる筈だったのでそれを説明した。

 

「この後 永琳の寝込みを無理矢理 襲って子供でも作ろうかと」

 

あの蓮の花を見てる時言ってしまったからな。今日犯すしかない、今日の昼には依姫と日向国に向かわねばならんし。この後どうするか説明したら神綺は真顔になって俺に近寄り顔を寄せて来た。ホラーかよ、怖いぞ。そのまま真顔で口吸いをしてしようとして来たが、またサリエルに神綺のサイドポニーを引っ張られる、しかし今回は神綺も抵抗する為に立ったまま俺に抱き着いて来た。俺に抱き着いたまま俺に擦り寄って来て俺の右頬と神綺の左頬で頬ずりして甘える。俺の右手で神綺の顎に添えて、見詰め合う。左手で神綺の右頬を撫でてそのまま顎に、次に首に行きそのまま少しずつ左手を下ろして、ローブの下に着ている白の服の下にくっきりと出ている神綺の鎖骨をなぞる。綺麗な鎖骨だな。そしてそのままローブの中に左手を入れて神綺の左胸を揉んでやろうとしたがその前にキスしようと思って、神綺の顎に添えていた右手を、俺の方に軽く引っ張って神綺を少しずつ俺に近づける。神綺は俺にされるがままだった。神綺は両目を瞑り、俺の唇と神綺の唇が後 数cmの所まで来たら俺も両目を閉じてキスしようとして俺の唇と神綺の唇が交わる。ただ唇を押し付けているだけで、お互いの舌を絡めていない。神綺は俺の腰に両手を回して抱き着いていたので、俺も左手を神綺の腰に回して神綺を逃がさない様に力を込めて抱きしめるとキスしていた神綺の口から声と吐息が漏れた。そしてそのまま右手を使い神綺の左胸を円形状に揉む。そしてそのまま俺の舌を神綺の唇に当て神綺は驚かずそのまま俺の舌が神綺の口内に入るのを待つ。嫌がっていなかったので俺の舌をゆっくり神綺の口内に侵入させる。俺の舌が半分程神綺の口内に入れて、神綺の舌に当たると神綺は待ってましたと言わんばかりに神綺の舌を俺の舌に纏わり付かせてお互いの唾液が混ざる音が、ぐちゃぐちゃ音を立てて俺の舌と絡めて来た。激しい女だ。しかも俺が神綺の口内に舌を入れたのに、神綺は俺の舌を押し込めて俺の口内に神綺の舌が侵入してきた。ヒートアップさせようと右手で胸を撫でていたが、神綺の太ももをいやらしく擦る。神綺を押し倒そうとしたがサリエルに横から俺の肩を軽く叩いて来たのでこれ以上はやめようと思い神綺から離れようとしたが。抱き着いている神綺が離れないで欲しいのか俺の舌を神綺が口内に吸ってしまい離れようとすると俺の舌が神綺の口内に置き去りにされて動けない。何とか離れて俺は舌から唾液の糸を引かせて永琳を見るが俺を見る目がジト目で諦めモードだ。

 

「ちょっと。私のキスの初めてを何で邪魔するのよサリエル!! せっかくいい所だったのに! もしかしなくてもサリエル嫉妬?」

 

「そうですよ。弘君に神綺、私を置いてするなんてずるいです。まぐわうなら私も混ぜて下さい」

 

「それ以前にこの場には八百万の神がいるのを忘れていない? 弘と神綺、貴方達の濃厚なキスシーンが皆に見られてたわよ」

 

「さっきの依姫や天岩戸の時も似た様な感じだったじゃないか。今更だな、もう八百万の神も見飽きていると思うが」

 

ハンカチで俺の口周りを拭こうとしたが神綺がまた抱き着いて来て俺の口回りを舐めた。神綺は首元をサリエルに引っ張られて引き離されるが、俺はまた舐められたのでハンカチで拭こうとしたが神綺に止められて、私の匂いを拭かないで。と怒られたが俺は無視してハンカチで拭いた。拭いたら神綺の叫び声が大きく響いて床にへたり込んでしまった。ショックだったようだ、しょうがないと思いへたり込んでいる神綺に近寄って俺もへたり込んでいる神綺に合わせて腰を落としたら軽くキスだけをして離れる。神綺は軽い口付けだけで喜んでまた俺に抱き着こうとしたがサリエルに止められて暴れているが終わった。神綺の表情はきらきらしだして、何かを思い出したのかサリエルに止められながら片手を上げる。

 

「この後永琳の寝込みを襲うんでしょ。なら私も」

 

「駄目に決まってるでしょ神綺」

 

「いいじゃないのよ永琳。男は妻からと言うじゃない、妻の一人である永琳がそれを認めてくれたら私、じゃなくてひろが良くなるか悪くなるかの瀬戸際なのよ」

 

「駄目、それに弘は正妻の私が何言っても聞く夫じゃないもの。弘に男は妻からの言葉は当て嵌まらないわよ」

 

俺の幼馴染三人。サリエルは二人に呆れ、神綺と永琳には火花が散っている。いい女たちだ、特に永琳は地上に残る為に色々苦労を掛けさせた、糟糠の妻は堂より下さず だな。大事な女の一人だ。だからこそもう苦労はあまりかけたくないし、女としての幸せ、子供を産ませる事もさせたい。とは言え、俺はこの場にいる永琳と神綺とサリエル。この中にいる妻の三人の内の一人である永琳に最初に出会った訳じゃ無い。永琳、神綺どちらに最初に出会ったと言えば神綺の方だ。都市があった時に出会った永琳、その前に子供の頃だが友達がいた。その友達の中に神綺がいたんだ。だから初めての幼馴染は神綺になる、最初に女にしようとしたのは永琳からだが。俺は妻を増やしてきたが側室は1人もいない、皆正妻だ。ここは大事な所だ。永琳は俺の最初の幼馴染にはなれなくても俺の最初の妻にはなったからどっこいどっこい、いや。一番最初に妻になってるだけ永琳が押してるな。

 

「私 今までひろに会って無くて数億年ぶりに再会したのよ? 少しくらいいいじゃない。永琳はひろと今まで一緒にいたんだから!」

 

「絶対ダメ。 ダメったらダメ! いくら神綺でもこれは譲る気は無いわ、私は弘の子供が早く欲しいのよ」

 

「それを言ったら私もひろと私の愛が形になった子が欲しいわよ! 私知ってるんだからね、ひろと永琳に三人も子供がいるじゃないの! まだ欲しいなんて欲張り過ぎなのよ!!」

 

また永琳と神綺が口喧、またはじゃれ合いを始めた、永琳は基本的に落ち着いている女だが神綺 相手だと子供の頃に戻る。素になっているとも言う。仲が良くていいじゃないか、数億年経っても変わらない事はあると言う事だな。サリエルは俺の横に立ち、俺の右手を左手で取ってそのままサリエルの左手を握らせた。握らせた後は俺と一緒にサリエルは永琳と神綺を見てサリエルは微笑んでいる、かつての日常がまた見れる日が来て嬉しいのかもしれん。いっその事、4Pでもしようか。そんな事したら俺が持たないな。サリエルは俺が何を考えてるのか読み取り、手を繋いでいたサリエルの左手に少し力が入って隣にいる俺を見ながら承諾する。

 

「弘君。私はいいですよ」

 

「サリエルよ、俺は何も言ってないんだが」

 

さっきから気になっていた咲夜みたいなメイド服を着た女性を見る。咲夜のメイド服は白と黒を基調としているが、彼女のメイド服は赤と白を基調としたメイド服だった。彼女を見ていたら彼女は永琳と神綺の口喧嘩を見ていた。彼女は俺の視線に気づいて硬い表情だったが、表情を緩め、熟練された動きでお辞儀をする。手を繋いでいたサリエルが俺が彼女を見ている事に気付いて綻びながら彼女の名と、俺とどういう関係か教えてくれた。

 

「彼女の名は 夢子 弘君が子供の頃に私のお義父上である弘様とお義母様の虎姫様、そして十六夜家の親が私達を差し置いて勝手に決めた許婚です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天竺って色んなのがいるのね。アルプって言う天竺にいる妖精とか、妖魔のローレライに空を住処にしてる龍のリントヴルム。幽霊のディブク。ザントマン、またの名を砂男。まるで砂かけ婆ね。綺麗なウンディーネもいた。そうそう、インプとか言うのは魔女の使いでまるで衣玖みたいよね。衣玖は龍神様の遣いだし。後、天竺には華陽夫人に吸血鬼や魔女がいるらしい。まだ少ないけど魔女狩りとかの考えを広めてる人間もいた。魔女は大変ね、でもどこも争いばかりで疲れちゃう。今日は Hexennacht、 意味は魔女の夜で今日はその日らしい。あ、地震の様な揺れの原因は鬼と大百足のせいだったから興味も失せて天竺に今はいる。そしたら白龍が大鯰が起きかけているとか言って私を日向国に行こうと言いだした、私の要石で大鯰の動きを抑えようと考えたみたい。面倒だったから行かなかったけど。

 

「いつまで月を眺めている気ですか。もしや恋煩い、今日はお赤飯ですね」

 

「煩いわね白龍、何で月を眺めてるだけで恋煩いなのよ。月が綺麗だから眺めてるだけだからね」

 

「そんな事より早く天界に帰るわよ~」

 

「帰る訳ないでしょエリス~」

 

小悪魔は魔界に帰って今はいない。天竺に来たのはいいけど何も考えずに来ちゃったから何をしたらいいか分からないわね。今の私は隣にいるエリスと共に海辺で三角座りをしながら海岸で黄昏て月を眺めている。どうでもいいけどさっき海辺で倒れていた遣唐使 清原 俊蔭 とか言う人間を助けた。どうやら難破して天竺に漂着したみたいね。今は白龍の背に乗せて寝かせているけど。折角天竺に来たんだから、取りあえず仏の御石の鉢を手に入れた方がいいかしら。海をぼーっと月を眺めていたら海の中から何かが出て来た。それは少しずつ海から出て来て見ていたら甲羅の上に大きな山らしき物を背負った巨大な亀? みたいな顔をした生き物が出て来た。だけど海の上に出て来ただけでそのまま陸に上がろうともせずにただ半分だけ出ている大きな顔に白髭を蓄えている亀の視線は白龍を見てる。私は何がしたいのかと思ってその亀を見ていたけど、亀が背負っている山から何かが飛んで、その何かは月明かりに照らされて見えた。人間か分からないけど性別は間違いなく女性。まるで、天界にいる天女の様だった。羽衣を纏ってたし。天界で見た事ある様な顔ではある気がするけど思い出せないわね。私の隣で三角座りしているエリスが、海に浮かぶ巨大な亀を見てから私を見る。

 

「亀がこっち見てるわよ天子。私達食べられちゃうんじゃないの」

 

「大丈夫。その視線は白龍に向いてるし」

 

「天子様、あの巨大な亀は霊亀ですよ。霊亀の背に乗っている山は蓬莱山と言われる山ですね」

 

蓬莱山って。あの亀、輝夜とあの人の関係者なのかしら。天女の様な女性は海から陸まで羽衣を纏いながら飛んで来て、陸に着地した。陸に着いたら海辺の砂の上を歩いて鳴き砂を鳴らしながら私達に近づいて来た。霊亀じゃなくてこの女性が輝夜とあの人の関係者なのか。天女の様な女性は三角座りをしている私とエリスに合わせる為に腰を落とし、その場に正座をして両手を膝に置いたら頭を下げて名を名乗るかと思ったら右手に持っていた袋に詰まった何かを私に渡した。

 

「名乗る前にまずはこれを」

 

「何これ」

 

「その袋の中には火鼠の皮衣が入ってます。あの霊亀が背負う山の名、その人宛てで、天子様に届けて貰おうと思いまして」

 

もしかしなくてもその人って、と思った私の顔に出ていたのか。女性は頷く。私の隣に正座をして、両手を両膝に乗せていたけど。紅潮させている両頬を押さえてにやけて言う。

 

「はい。私が恋焦がれてる方です」

 

 

 

「と言うのは冗談です」

 

頬にあった紅潮を一瞬で消して、笑顔のまま即座に嘘ですと言った。ふざけて言ったのか本心なのか、分からないけど反応に困る女性ね。私の隣にいる名も知らない女性は海の上に浮かぶ霊亀を見ながら答えたけど、何で私の名を知ってるのよ。天女の様な女性は霊亀を見るのをやめて、私と数秒見詰め合ったらもう一度頭を下げて今度こそ名を名乗った。

 

「では改めまして、天子様にエリス様。初めまして。私の名は 青娥 と申します。以後、お見知り置きを」

 

「青娥、ね。多分覚えたわ。それと確かに私は天子だけど今の私は地子よ。天子じゃなくて地子と呼んでよね」

 

「天子様ではなく地子様とお呼びすればいいのですね。分かりました」

 

地子と呼ぶように訂正させてから私も名乗り返そうと思ったけど何故か青娥は私とエリスの事を知ってる様だったしエリスもだけど私は名乗るのをやめた。隣で正座をしていた青娥は立ち上がって足に付いた砂を片手で払うと三角座りしていた私の肩に左手を置いて、行きましょうか。と言ってきた。どこに行くのか問うと青娥は右手を口元にやり驚く。

 

「決まってるじゃありませんか。今日は Hexennacht、魔女の夜なんですよ? 魔女達はブロッケン山にいるそうですので早速行きましょう」

 

「いや 意味が分からないわよ。そんな事よりも天子を天界に返すのを手伝って」

 

「エリス様、天子様と天竺を回ってご存知かもしれませんが、少ないとは言え魔女狩りを主張する人間がいます。私は魔女を滅ぼさせないでと頼まれ、本朝に引き込む手伝いをしていただきたいのですよ」

 

「ちょっと、今の私は天子じゃなくて地子って言ってるじゃないのよ」

 

頼まれたっていったい誰によ。面倒臭いわね、見ず知らずの者を助ける理由が欲しいけど暇つぶしにはなるか。じゃあまずは邪魔な清原俊蔭を何とかしなきゃいけないわね。青娥に頼んで任せよう。眠ってる清原俊蔭を持ち上げて青娥の前に寝かせた、後は青娥に任せる。今 ブロッケン山には魔女たちが集まって饗宴しているらしいから今しかないらしいわよ、それと魔女狩りは本朝ではしてないからとは言え、生まれた土地を捨てて魔女たちが本朝に来るとは思えないんだけど。

 

「天子様、貴方は常に監視されております」

 

遠回りに脅してきた、常に監視していると言う事は私は結局逃げられていなかった訳ね。私の我が儘を聞く代わりに今回は魔女を引き込めと、あ~ 面倒~ 束の間の幸せは儚い事を学んだわね。

 

「ふん。暇つぶしにはなるからいいけど、その前に青娥。清原俊蔭を本朝に戻してあげて、難破して天竺に漂着したらしいから」

 

私は青娥に背を向けてから飛んで白竜の背に乗って、清原俊蔭はあの霊亀を使えば本朝に戻れるでしょう。エリスも私に続いて白龍に乗った。一緒に行くみたいね。白龍が飛ぼうとする前に私は青娥に背を向けていて青娥の表情は分からないけど、何か企んでいそうな顔をしてると直感で思った。清原俊蔭、諦めず強く生きるのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー 凄いわね」

 

「この程度、造作もありませんよ」

 

「輝夜様、その口調は似合っていません。もっと阿婆擦れな方が合っています」

 

咲夜、主である私に対して言うに事欠いて阿婆擦れですって、後で覚えてなさいよ。今は縁側で私の故郷、月を眺めながら右手にあるお手玉5つをまたジャグリングして遊んでいる。豊姫お義姉様と依姫お義姉様がよくお手玉を何個ジャグリング出来るか勝負していた、いつも引き分けで終わるけど。私もその勝負を見ていたらいつの間にか出来ていた。本当は寝る為に阿礼のお屋敷で睡眠させて貰おうと連れて来てもらったけど、布団に入って寝ようとしたら私の部屋に女性の来訪者が来た。私に後れを取らない綺麗な黒髪、この女性、只者じゃないと警戒していたら物珍しそうに私と咲夜を見て来たから理由を聞いたら申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「あ、ごめんなさい。とっても綺麗な女性がこの屋敷に、しかも二人もいるとは思わなくて」

 

「聞いた咲夜? この子とってもいい子よ」

 

「籠絡されるのが早すぎますよ輝夜様」

 

私が布団に横になっていながら来訪者を褒めたら、布団の隣で正座をしている咲夜は片目を瞑り私に呆れた。私の周りの女性って皆 素敵な女性ばかりで私影が薄いのよね。直球で私の容姿を褒めてくれる人なんてお兄様か豊姫お義姉様か依姫お義姉様くらいだったから。後は私の親かな。私が生まれたばかりの頃は大変だったみたい、お兄様と永琳お義姉様は亡くなったと月人に思われていて皆泣いたと聞いてる、特に依姫お義姉様は酷かったらしい。永琳お義姉様は都市の貢献者で悲しむのは分かるけどお兄様は局長だっただけなのに何故か知らないけど若い月人じゃなくて性別は問わなく大人の方が、皆号泣だったみたいね。遺体を豊姫お義姉様は探したけど核で全部なくなってるからある訳もなく。結局亡くなって無かったから遺体なんて無いに決まってるけど。お兄様が亡くなって月人が月に着いた矢先に私が産まれたから大騒動、お兄様のお蔭で私は大事に大事に育てられた、籠の鳥の様に。だから地上が知りたくなった、月より面白そうだっから。そして豊姫お義姉様に頼んで竜宮城まで連れて行ってもらって私は地上に行けた、竜宮城で豊姫お義姉様と依姫お義姉様が付きっきりで私に色んな勉強させられたけど背に腹は代えられなかった。でも親馬鹿な二人が豊姫お義姉様に何を言われたのか知らないけどあっさり許可が下りてその時は豊姫お義姉様に恐怖を感じたわね。そうそう、お兄様と永琳お義姉様がよく行っていたと言う駄菓子屋に豊姫お義姉様と依姫お義姉様に連れて行ってもらっていた。月に行ってもあったから。そこの店主はお婆ちゃんな訳だけどそこがそもそもおかしい、私達月人は年を取らない、確かに月人は赤ん坊から成人まで成長する。だけどそこまででご老体にまで老化するのは。これは一体どういう事か。

 

私は今はそんな事を考えてる時じゃないかと布団から起き上がり、来訪者の女性が右手に持ってるお手玉が目に入った。私のお手玉実力を魅せ付けようと彼女に提案する事に。

 

「ねえ、縁側で月を眺めながら貴方が持ってるお手玉で遊ばない? 私は 蓬莱山 輝夜 隣にいるすまし顔な女は 十六夜 咲夜 貴方の名も教えてちょうだい」

 

来訪者は持っていたお手玉を見て、次に私と咲夜を見て太陽の様な笑顔でお手玉を私と咲夜に見せて名乗る。

 

「私の名は、妹紅」

 

 

そして縁側で月を眺めてつつ今に至る。ジャグリングしていたお手玉を一旦止めて、右手にある5つのお手玉を今度は彼女に手渡した。妹紅はお手玉を受け取るとまずは3つからジャグリングするけどまだ難しい様で1つを床に落としたから2つから始める。2つのお手玉をジャグリングしながら縁側に座って隣にいる私を称賛。

 

「本当に凄いわ、私はそんな事できないわよ。まるでかの聖徳太子、蘇我入鹿の様ね。入鹿は100は超えるお手玉で遊んでいたし」

 

聖徳太子は、火取水取玉や石名取玉という水晶で出来たお手玉で遊んでいたらしい。どうやら知人の様ね。私でも100はちょっと、でも須臾を使えば何とか。お手玉なんて何千年ぶりか、懐かしい。紅妹がお手玉をジャグリングしながらかつての私が空に浮かぶ月を指さして何て呼ばれていたか自慢する。

 

「こう見えても私はお手玉姫と呼ばれていたんですよ、あの月で」

 

「えー 嘘だー」

 

月を右手の人差指で自慢げに妹紅に言うと妹紅は俄に信じられないのか軽く笑いながらお手玉で遊んでいる。左隣にいる咲夜は今の言葉を聞いて鼻で笑った。私は両手を咲夜の両頬に当てて引っ張る。咲夜も抵抗して私の両頬を引っ張りお互い争っていたら右隣にいる妹紅はお手玉で遊ぶのをやめて今度はお手玉を10個渡してきた。

 

「今度は咲夜がやってみない?」

 

「いいですよ」

 

私がお手玉10個受け取ると、そのまま流すように咲夜にお手玉を10個渡した。咲夜は左手右手にお手玉を5つ持って右手から左手のお手玉を交互にジャグリングをするけど、時を止めながらジャグリングし始めた。って、いかさまじゃない! 妹紅は時を止めながら咲夜はお手玉をしてるのは気付く訳もなく、純粋に咲夜を褒め称えたけど。

 

「凄い凄い!」

 

「この程度、褒める事ではありませんよ」

 

とかなんとか言ってるけど咲夜は妹紅に褒められて満更でもなさそう。調子に乗った咲夜は10個以上のお手玉をジャグリングし始めまた妹紅はそれを称える。だけど私は今の不正を正すべく徹底抗議する。過ちは正さなくてはいけない、妹紅は純粋に感心して水を差すのもどうかなと思うけど。妹紅は自分の右手の人差指を見て考え込んでる。

 

「狡いわよ咲夜! 時を止めながらするなんて!」

 

「何の事でしょうか」

 

咲夜がジャグリングをやめて、私を見ながら右手で口元を押さえて驚く振りをしてから恍ける。私は左隣にいる咲夜の方に体を向けて騒いでいたら、紅妹が私の背を多分人差指で軽く数回叩いたので何だろうと振り返る、妹紅が私の目の前に右手の人差指を差し出して見せて来たけどただの人差指にしか見えない。

 

「ねえ、二人とも。これ見てくれない?」

 

「これって言っても、右手の人差指がどうしたの」

 

妹紅は右手の人差指の先から炎が出て来て数秒経ったら消えた。炎が出せるなんて便利ね、生きて行く上で炎は必要不可欠な物だし。今の人間には太陽や炎は神聖な物として見られてるし妹紅が炎を操れるなら神として崇められるわよ。まあ、何故炎が使えるのかについては大体把握した。隣にいる妹紅を見ると表情が暗い、今の炎を見せたのは相当な決心があった筈。普通の人間に炎を指先から出すなんて出来ない事だ、他の人間が見たら気持ち悪いと思う輩もいるかもしれない。そんな恐怖が妹紅にはあるのかもしれないわね。妹紅は顔を俯かせて表情が分からないけど恐怖に包まれた様子で私と咲夜に今の炎について問う。

 

「今の見て、どう思った?」

 

 

「それ、妹紅が天照の子孫だからでしょ」

 

「そうですね、それに炎が出せるだけなら可愛いものですわ」

 

妹紅が顔を俯かせていたけどゆっくり顔を上げて隣にいる私を見るけど私と咲夜は月を眺めながら郷愁の気持ちに浸る。私は永遠に須臾。咲夜は時の支配者。他の月人、お義姉様達も相当ぶっ飛んでるから炎が出せるだけじゃ驚きもしない。依姫お義姉様なんて能力で神の一人愛宕を呼び出して腕が火そのものと化すから人差指から火が出た程度じゃ驚けと言う方が無茶。勿論、妹紅が相当な覚悟を持って、私と咲夜に炎が出せる所を見せたのは分かってる。だからそんな下らない事か。とかいい加減な気持ちで答えてる訳じゃ無い。いいじゃない、炎を操るなんていかにも男性が好きそうで男性からは人気になるのは間違いないわね。諏訪国の民にとか。妹紅は太陽のように輝いてとっても綺麗。私は月。じゃあ天照の子孫の妹紅は太陽。お互い対極の存在で交わる事は決してない、と思ったけど日蝕があった。まあ、それは置いといて月と太陽は見えない時もあるけどいつもそこにある。太陽や月、どちらも欠けてはならない。私はもしかしたら月の姫かもしれない、じゃあ妹紅は。私は縁側に座っていたけど立ち上がる。咲夜が何か言いかけたけど私は言わせまいと喰い気味に、右隣にいる妹紅に向き私の右手を差し出した。縁側に座っている妹紅が立っている私を見上げて事態が呑み込めてないのか未だ呆然としてるから今畳みかけなくてはと思って無我夢中。

 

「妹紅。私、そして咲夜とお友達になりましょう」

 

太陽は日蝕の様に、月が太陽に重なる様に、妹紅は輝夜が差し出したその右手を妹紅の右手と重ねて妹紅は顔を上げた。その時、一点の曇りもない真夜中の空にある無数の星、色褪せない、輝く夜空を見て、輝夜の背に重なる月、そして輝く夜の星空が太陽よりも眩しく見え、妹紅が差し出した輝夜の右手を取ると輝夜は答えた。

 

「私は貴方の欠けた部分になる。だから妹紅は私の欠けた部分になってくれないかしら、月と太陽。お互いを補い合う関係にならない?」

 

友達とはそういう関係でもあるんだから。




下野国は栃木県、日向国は宮崎県です。日向国は日本神話に関わりが色々多い所ですね。なゐの神は名居神なのか未定。しかし、やっぱりどうしても山に関係する話が多くなります、飽k

ブロッケン山はドイツにある山です、そこで魔女達が年に一度集まると言われています。この時代ではなくもっと未来の話ですけどインドでもですけどドイツでも魔女狩りがあって、ドイツには吸血鬼、またはノインテーターの話がありますのでそれで。ノインテーターって何かヤマメに似てます能力的に。天竺にいたと言う華陽夫人は皆さんご存知でしょうが玉藻前と言われて同一視されてますね。中国神話では月に逃げた仙女がいましたね、桂男と関わりが深い月の蟾蜍になったと言われるあの話です。青娥はもしかしたら嫦 
天子はもう一人の主人公になるんじゃないかな、多分。天子の話は気まぐれで書くので弘天の話とは時間の繋がりが含まれませんので。
ドイツではアーデルハイトが女性の名としてあります、コピペで申し訳ないですけど
古高ドイツ語では Adalheidis であり、 adel は 高貴な を、 heit は 姿 や 形 を意味した。アデライード、アデレード、『アリス』アリシアなどに対応してる
だそうです。後はドイツでエレンやエリー、サラ などの女性名がいますね。三人とも旧作キャラで1人は魔法使い、または魔女です。最後にドイツにはスイス・『フラン』という通貨があります、そして魔法少女と言われるのが紅魔郷にいましたね。魔理沙の事ではないと思います。旧作キャラの魔梨沙、または魔理沙はどうしましょうかね、いっその事魔女として、いやしかしそれは。

清原俊蔭とか出しましたけど元ネタは宇津保物語、またはうつほ物語です。本来なら天竺ではなく波斯国(ペルシア)ですけど。うつほ物語には天人、仙人が出て来るので青娥を出しました。青娥はどうしましょうかね、仙人はともかく天女にするべきか、元人妻か、もしくは無しで行くか。須佐之男の神使は海蛇と言われてるのと出雲関係でここの須佐之男の神使は大物主になってます。赤城山の神は大百足と言われ、男体山の神は大蛇と言われてるのでこんな感じになりました。いや、分かってるんですよ。ミシャグジ様が本来諏訪国の神だって事は。多分諏訪国の蛇の神であるソソウ神も大物主になるかもしれんね。ややこしいですけど赤城山の神は大百足と言われてますが今回の話で出した大百足は三上山の大百足とは無関係です。大百足ですが本当は有名な方の三上山の方を使う予定でした、しかし断念。折角 平将門を出したから藤原秀郷の話をしたかった、龍神と龍神一族の美しい娘がでるから依姫を使おうと思ってたんですけどね。だから今回の話はこうなりました、リグルも使うなら本当は三上山の大百足にしたかったですけど。そっちの方が使いやすかったし。どうでもいいかもしれませんが荒脛巾神には蝦夷の神説だけでは無く五行説が関係しますが蛇神説があります。男体山の神は大蛇と言われていなければ荒脛巾神をミシャグジ様にしたでしょうね。大和に抵抗する所が似てるので。

輝夜は月、妹紅はどうしても太陽にこじつk、ではなくちゃんと関係させて輝夜と対極の存在にさせたかったんだ。だからこそ藤原不比等の天智天皇の落胤説が必要でした。ですが妹紅に藤原を名乗らせるか未定。何故妹紅が稗田阿礼の屋敷にいるかについては藤原不比等と同一人物説があるからです。だから仲がいいんじゃないかな、多分。もう面倒なのでぶっちゃけますけど今回の話で鳳凰は出してます。天照と鳳凰に繋がりがありますしそもそも鳳凰に限った話じゃないんですけど鳳凰の同義って多すぎるんですよ、例えば朱雀とかフェニックスとかも鳳凰の同義になります。だから鳳凰は朱雀とかフェニックスの設定を混ぜてます。これで青竜、朱雀を出せたので後は白虎と玄武ですけどもう霊亀が玄武でいいんじゃ、同じ亀だし。決して考えて出すのが面倒だとかそんな事は考えていません。しかし玄武に欠かせない蛇の存在ですが先程も言いましたように須佐之男の神使は海蛇と言われています。

そう言えば、天津神の神の名は最初に天が多いですね。そして弘天は最後に天があります。西の人間だけ病を流行らせるとか自分で書いててあれなんですけど考える事が酷いです。勘違いしては困りますが弘天は仏教を否定してる訳でも嫌ってる訳でも無い事は知っておいてほしいです。仏教が邪魔だとは思っていますけど神道と仏教、神と仏を人間に区別させようと動いているだけです。私の気分次第で仏教の概念は無くしますけど、あってもなくてもこの先あまり困らないので。

本当は天照って天皇と関係ないそうですが、仕方ないね。思ったんだ、もう今回で完結でいいんじゃないかと。

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