蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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グロイ話と今回も地の文と台詞と前書き後書きが多い。気を付けておくれ。そして宗教関係も今回で終わり。本当に厄介な人物だよ聖徳太子と藤原氏、藤原不比等は。悪路王とか出した。けど全くと言っていいほど出番はありません。オリキャラだし。オリキャラを活躍させる気も、ましてやオリキャラと原作キャラとくっつける気はありませんよ。念の為に。

別視点を書いてみましたけどテンポ悪くなる、だから今回限りだと思います。ここから先は多分ですけどオリジナル展開が強くなっていくと思います。嫌な人は見ない方がいいですよ。それとまだ先の話ですがルーミアの正体の話をする事にしました。暇潰し程度に考えて当てて下さい、ただ急に正体の名が出てくるので少しずつ分かっていく感じでは無いです。一つか二つはヒントが出る筈です。一応書いて置きますがルーミアは空亡でもなければ常闇ノ皇ではないと断言します。

歴史に出てくる話を書いてますが細かく書くの面倒なので結構端折ってます。もっと詳しく書けと言うなら書きます、書かなくてもいいなら書きません。でも真面目に書きすぎて自分でそれを見た時ドン引きしました。


信仏法 尊神道

結論から言うと勇儀と大嶽丸の勝負の結果は勇儀の勝ち。だが余波で周りの土地が無茶苦茶になっていて酷い有様だが。勇儀はついつい久しぶりの勝負が楽しくて調子に乗ってやりすぎたと思い、冷や汗が止まらずどうやって永琳と紫と諏訪子と藍に許してもらうか頭を抱えて悩ませ、萃香は勇儀を見て大笑いしている。今は華扇と犬神丸の勝負なのだが、はっきり言って犬神丸は強者じゃない。華扇に押されつつある、華扇が犬神丸の顎を掌底で突いて犬神丸は脳が揺れたからかふらふらしだし、華扇が回し蹴りを犬神丸の頭に炸裂。回し蹴りをくらった犬神丸は地面に倒れ気絶した。これで勇儀と華扇で二回勝った事になり、悪路王達は勇儀達の配下になる訳だが、この事実に耐えられないのか大笑いしていた萃香はぴたりと笑い声が止み、次に萃香はわなわな震えている。これに気付いた華扇が萃香に近づいて鬼饅頭を差し出すが、これを萃香は拒否。

 

「いらないわよ!」

 

「ま、まあまあ。ここは鬼饅頭と言う素晴らしい和菓子を食べて落ち着いてですね。話を」

 

「落ち着け? 落ち着けですって? そんなの・・・・・そんなの・・・・・」

 

これは不味いと勇儀が萃香に近寄って肩を揺すって落ち着かせようとするが時すでに遅し。萃香は勇儀の両手を振り払い片手を髪に持って行く。萃香は髪の毛を抜いて小さい萃香を100は超え、萃香の体が巨大化した。髪の毛を抜いて無数の小さい萃香になったが、これは西遊記で有名な孫悟空が使う体毛を小猿や虫などに変化させる術 身外身の法 だ。

 

「納得できる訳ないわよーーーーーー!!!!!!誰でもいいから私と戦えーーーー!!!!」

 

萃香の密と疎を操る能力は、自身の体の密度を下げることで巨大化出来る。それ以外にも圧縮して高熱を物体に持たせたり、石や岩を集めて巨岩にして投げつけたり、全てのものを集めたりバラしたり出来る。例えば桜の落ち葉を簡単に集めたりすることも出来るし。ブラックホールやホワイトホール、天を割ることも可能。霧状になれば相手の攻撃を受け流しつつ一方的に攻撃する事も出来る。勇儀と華扇が巨大化した萃香を見上げている。悪路王達は萃香や小さい萃香に蹴散らされている。大嶽丸と犬神丸は気絶していて役に立たず、残りの悪路王が何とか抵抗しているが、今の萃香には雀の涙だろう。周りは衝撃で地割れをしていてさっきより酷くなっている。これでは永琳達に一日説教をされる羽目になってしまう。

 

「あー まるでダイダラボッチだよ。でも不味いよねこれ。永琳と紫と諏訪子と藍に更に叱られるよ」

 

「ええ。ここの土地は諏訪の国な訳ですから、さっきの勝負。勇儀達の余波で土地が傷ついているのでこれ以上は不味いですね」

 

「うっ 私の傷を抉るのはやめてよ。そ、そうさねー。萃香、最近欲求不満で溜まってるって言ってたからね、それで限界が来たんだろうけど」

 

「・・・・・・・溜まってるって戦闘欲ですよね?」

 

「ん? それ以外に何があるって言うんだい」

 

「い、いえ。何でもありません、気にしないで下さい」

 

勇儀は素で聞いたが華扇は咳払いをして言葉を濁す、いい加減に萃香を止めなければ鬼ころしを飲むのが禁止されてしまう、ではなく永琳達の説教が長引くと勇儀と華扇が走り出した。萃香を押さえたら宴会の前に悪路王達を連れ、八ヶ岳に向かおうと二人は決めて萃香の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは天界。今は地上で萃香が暴れているが、暴れる衝撃で地が大きく揺れていて天界に住む天子はその揺れを感じ取った。感じ取ったのだ。

 

あれ?何か揺れてない?天界に私はいるから分かりにくいけど間違いなく揺れてる。揺れからして地震じゃなさそう。だけどこれは見過ごせないわね。これは仕方ない事よ、そう。仕方ない。だから飛んで地上に向かいましょうか。私は大地を操る事が出来るんだからね。地上に向かう為に桃の木の林から離れて雲から降りようとしたら止められた。

 

「どこへ行く気ですか」

 

「ちょっと遊び、じゃなくて地上で大きな地震みたいに揺れてる原因を探ろうとこの私自ら向かおうと思って」

 

「駄目です」

 

「いいじゃない衣玖!!私 暇なのよ地上で何か面白そうなことが起きてそうなんだからいいでしょ!」

 

「開き直らないで下さい駄目に決まってます」

 

衣玖は私を地上に行かせる気は無いようね。飛んで地上に向かっても衣玖も空を飛べるから撒く事は出来ないでしょうし、ここは力づくで逃げるしかない。私は右手にある緋想の剣を衣玖に向けて大声を出す。ついでに要石も出して置く。

 

「どうやら私の人生での宿敵は衣玖の様ね。行くわよ宿敵!!構えなさい!!」

 

「いきなり何を言い出すのですか、構えませんよ。天子という名は地上では不味いのです。人間の誰かに聞かれたら困ります」

 

なーんだ。そんな事を気にしていたのね。じゃあ地上での名を考えたらいいのよね、私は天界で生まれた子供で、天帝の娘だから天子って名前になったそうだけど、ここはシンプルに地子でいいでしょう。地上の子供で地子って事でね

 

「じゃあ名前を変えて地上で過ごせばいいわよね?これで解決早速地上に行くわね~」

 

衣玖に背を向けて行こうとしたら衣玖が左腕を羽衣で巻きつけドリルの様に纏わせてから、私に向かって羽衣ドリルを使い私の太ももに刺そうとしてきたけど緋想の剣で薙ぎ払った。衣玖は羽衣ドリルを薙ぎ払われたので一旦距離を取ってから指先から電撃を放つ。今度は私が衣玖に向かって要石から衣玖にレーザーを何発も撃ち出し衣玖が撃ち出していた電撃を相殺させて右手にある緋想の剣を両手で掴み衣玖に斬りかかったが衣玖の羽衣ドリルで防がれた。

 

「なぜ私達はこんな事をしているのでしょうか」

 

「私がこんなつまんない天界から降りて地上で面白い物を見る為に、宿敵を倒して未来を掴み取る為よ!!」

 

「そうですか。ですが我が儘も大概にして下さい」

 

私と衣玖は鍔迫り合い状態で話していたけど、衣玖は羽衣ドリルから電流を流し、私の緋想の剣から電流が伝わり感電した。だけどこの程度なら効かない。今まで私が天界の桃をどれだけ食べたと思ってるのか。少し服が焦げたけど、替えはある。

 

「地上の人間だと感電死するほどのボルトを流したのですが流石に天人は頑丈で気絶しませんね。これなら気にせず痛めつけられます」

 

「このサド女」

 

「私はサドではありません。ただ地上に向かわせないように止めているだけです。貴方は天帝の娘だとお忘れですか」

 

「天帝の娘だからって束縛されるなら、そんなのいらないわよ。面白くもないからね。面倒事は織姫と彦星に任せるわ、衣玖は天帝の娘の私にも容赦ないから困ったものよね~」

 

「私は。龍神様、豊姫様、旦那様に仕えてるのであって天帝に仕えてる訳ではありませんので」

 

流石私の宿敵。厄介ね。だけど早く地上に行かないといけない。揺れが弱くなってきてる。このままじゃ地上に降りて揺れの原因も分からず気になって眠れない、仕方ないから奥の手を使う事にした。衣玖から後退して緋想の剣を掲げた

 

「来なさい私の眷属白龍!」

 

私が呼ぶと、目の前に空を覆い尽くすほどの巨体が出て来た。鱗が白一色の白龍だ。これで地上に行ける。龍は基本的に空を飛べるけど、白龍は特に空を飛ぶ速度が速いらしい。これならだれにも追いつけられないと思う。だけど黒竜様が来たら逃げられないけど。けど、大丈夫でしょ。多分。白龍の背に飛び移り、白龍は地上に飛んで行ったけど衣玖を見たら追いかけてくる気は無いみたい。でも、衣玖って確か竜宮の遣いよね?黒竜様を使って追いかけて来なければいいけど。白龍が地上に向かいながら私の目の前まで顔を動かした

 

「いやいや。天子様に仕えてませんよ私は、天子様のお父上 天帝 様に仕えてるんですから間違えてますよ」

 

「いいのよ!天帝に仕えてるなら天帝の娘である私にも仕えてるって事でしょ」

 

「それは暴論です。どうしてこうなるのか。天子様が友達が出来ないのは不良だと言ってますけどただ 天帝 様の娘で皆近寄りがたいからなんですから」

 

「もうお説教はやめてよ白龍~私はこんな退屈な天界は嫌~死にたくないなら急いで地上に向かいなさい」

 

右手にある緋想の剣を白龍に突き付けて脅す。違うわね。脅しじゃなくてこれはお願い。誰が何と言おうとこれはお願いよ!!緋想の剣は必ず相手の弱点を突く事が出来る剣。いくら白龍でも刺されたら無傷ではいられない。白竜は首を動かし顔を地上に向けて嘆いた

 

「黒竜は 月人 の王に仕えて、青竜は 第六天魔王 の娘に仕えて、どちらの主もまだまともなのにどうして私はこうなるんですかね・・・・・・赤竜と黄竜は私の様にならずいい主を見つけて欲しい」

 

「何よ、もしかして不満があるの?この私に仕えられてるんだから泣いて感謝しなさい」

 

「ええ。嬉しすぎて涙が止まらないですよ。ああ、涙で前が見えないや。お腹が痛い・・・・」

 

「いいからさっさと地上に向かいなさい。終わっちゃうじゃないの」

 

「アホー!行かせる訳ないでしょうー!!!」

 

白竜と共に地上に向かっていたら蝙蝠が天界の方向から飛んで来た。どうやらエリスが止めに来たようね、エリスは蝙蝠から人型になって左手に持っている先端部分にある星型のステッキを私に向けて来たけど、エリスは長い金髪にリボンを付け、耳は長く尖っていて蝙蝠の羽を背中に生えていて蝙蝠になる事が出来るらしいわよ。背にある蝙蝠みたいな翼で飛んでる様ね。エリスの左頬には赤い星のマークがついてるけどあれってシールなのかしら。

 

「エリス。邪魔よ、退きなさい」

 

「そんな事したら私が怒られるじゃない!観念して神妙にお縄につきなさい!!」

 

「ふふん。諦めると言う事は死ぬ事と変わらない。私は抗ういつまでも」

 

「何 あのバカ男が言いそうな意味の分からない事を言ってるのよ!」

 

ステッキの先端に付いている星から魔法陣が展開して。魔法陣から小悪魔が出て来た。小悪魔如きにこの私と白竜は止められないと思うんだけど。エリスは小悪魔を見て目をパチクリさせてる。でも私の目の前に、しかも天界に悪魔がいるっておかしな話ね。

 

「あれ? 小悪魔だけ? 幻月と夢月は?」

 

「面倒だそうです」

 

「あの双子!私に逆らうなんてー!魅魔もユウゲンマガンもくるみも見張りの仕事サボって一体どこで何してるのよー!!」

 

私達は空中にいるけどエリスは空中で足元に何も無いのに地団太を踏んで怒声をあげてる。正直助かった、あの双子が出てくると夢幻世界に連れて行かれて終わってたかもしれない。小悪魔はエリスを見てびくびく震えて縮こまっている。一応、エリスは小悪魔の主人な訳だから下僕の小悪魔からしたら辛抱出来る訳が無い。八つ当たりされたら逆らえないし、逆らっても適う訳が無い。

 

「小悪魔じゃ私は止められないと思うけど」

 

「・・・・・そうね。でも盾役にはなるでしょ」

 

「エリス様酷いです!嘘ですよね!? ちょっとしたお茶目ですよね? そうですよね?」

 

小悪魔がエリスに詰め寄るがエリスの真顔で表情は変わらない。これは本気だと感じたのか小悪魔はエリスを止めるのではなくこの私を止める為に矛先を変えて来た。

 

「天子様、ここは私の為にも諦めてですね」

 

「バイバイ小悪魔。貴方の事地上に行くまで忘れないわよ」

 

「一寸の迷いも無いなんて。しかも そ、即答。私もう死ぬのは確定ですか・・・・・それに地上に行くまでっていくらなんでも忘れるのが早すぎます!!」

 

エリスは小悪魔を羽交い絞めにして小悪魔を盾にしてるけど、あれじゃあエリスが戦えないんじゃない? 小悪魔は必死に抵抗してるけど、エリスはあれでも悪魔だから小悪魔からしたら敵わないでしょうね。エリスは小悪魔を羽交い絞めにして立てこもり犯みたいなことを言い出す

 

「さあ! 小悪魔がどうなってもいいの!? 小悪魔を無事に返してほしいなら諦めて天界に帰りなさい!!」

 

「て、天子様ー・・・・・・助けて下さいー・・・・・・」

 

小悪魔は涙目で助けを求めるけど甘いわね。いくら小悪魔が魔性の女でもそれは同姓には効かないわよ、あの人なら効きそうだけど。でも私に対して小悪魔じゃ人質の価値は無いわ。

 

「どうするんですか天子様。私としては天界に帰って寝たいんですが、地上に行くのも面倒、じゃなく危険ですし」

 

「何言ってるの白龍。私を誰だと思ってるのよ」

 

「忘れてました。天子様は悪い意味で月の王と似てるんでした。どうでもいいですが天子様とあの方の名前も天が入ってますね」

 

緋想の剣をしっかりと握り締めて小悪魔ごとエリスに斬りかかった。まさか斬りかかって来るとは思わなかったかエリスの目は点になってる。考えが足らないわよエリス、私は目的の為ならば誰であろうと斬るまで。エリスは小悪魔を羽交い絞めにしてたけど右手の手のひらを私に向けて待ったとかけて来たけどもう止まらない。

 

「え、ちょ。ま」

 

「成敗!」

 

小悪魔ごとエリスを斬り伏せた。気絶してるからエリスと小悪魔は地上に向かって落ちてるから急いで回収しに行かなくちゃ行けないけど、私は地に落ちていく二人に背を向けて格好つける。

 

「峰内よ。安心なさい」

 

「え、確か緋想の剣は両刃なので峰の部分は無いはずなんですが・・・・・しかも成敗って、本来私達が処罰される方なんですけど」

 

「・・・・地上への道は果てしなく遠いわね」

 

「天子様、聞かなかったことにしないで下さい」

 

白竜は放って置いて、エリスと小悪魔が気絶したから地上に落ちて行ったけど何とか拾って白竜に乗せて地上に向かった。これで退屈はしないかな、多分。まずは揺れの原因を調べに行って、色んな大陸でも見ましょうか。焦らずのんびり行きましょ~。最初はどこから行こうかしら、あ、天竺に行ってみよう!そうしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら斬り落とせなかったようだな。ならば勝負は俺の勝ち、お前達鬼女は俺に仕えて貰うぞ」

 

そんな、この私が斬り落とせなかった。神通力を小通連に使って彼の右腕を斬っても傷一つない。右腕に刃を当てても右腕に触れるだけで刃がそれ以上右腕に通らなかった。まるで何かが刃が通るのを拒んだ感じがしたわね。神だからかしら? それなら私も同じ神だし違うと思う、勝っても負けてもどっちでも良かったとはいえちょっと落ち込むわ・・・・・

 

「どうして右腕を斬り落とせないの。神ってそんな力あったかしら、貴方は特別な神なの?」

 

「いや、ただ妹に頼んで一時的にだが永遠の存在になっただけだ」

 

永遠って不変の概念よね。不変とは変化を拒む、割れ物が割れない、人は老いる事も無ければ食べ物が腐る事は無いし穢れる事は無い。 覆水盆に返らず が 覆水盆に返る と言う事?何それ、それって痛みも感じない不老不死って事で守りに関しては無敵な存在って事じゃない!そんな相手の右腕を斬り落とせる訳が無いわよ!! 負けは負けだし私は彼の物になるから別にいいんだけど。ヤマメは眉間にしわを寄せてたけど枡にある酒を飲んだら気持ちを切り替えたのか周りにいた鬼女たちを見渡す。足音がして地面から私の肩に飛んで来たけど私の飼い猫お燐だった。今までどこにいっていたのか、取りあえず安心して撫でる。お燐の頭を撫でると、目を瞑りゴロゴロと喉を鳴らす。いつもお燐と一緒の死体が見当たらないけど。

 

「まさあのパルスィが神1人の右腕を斬り落とせなかったなんてねぇ。こりゃ面白い。だけど負けは負けだ、約束通り私達鬼女はあんたに仕えるとするよ。お前達もいいね」

 

鬼女全員がヤマメに返事をしてから、彼は無表情で右腕を見ている。見終えたらスキマ?とかいうのが彼の前の空間から出て来て幽香と美鈴という女性が中に入って行った。どうやら諏訪の国に通じているらしい。意味が分からない。私の神通力でもそんな事は出来ない、精々空を飛べるくらい。ヤマメが最初にスキマに入り鬼女たちも後に続いてスキマに入って諏訪の国に向かう。残ったのは私と彼だけになった。彼が私の肩に乗っている猫を見つめてる。

 

「その猫どうしたんだ。パルスィの飼い猫なのか」

 

「そうよ。この子の名は燐って言うの。愛称で皆はお隣って言ってるけどね」

 

彼はお燐を見てほくそ笑んだ、何かいい事でもあったのかしら。でも彼のほくそ笑む顔を初めて見たけどいい、好き、大好き。お燐は海の向こうにいる妖怪で 仙狸 という妖怪。私が天竺にいた頃の私の飼い猫な訳だけど、神通力を身につけさせてるから神通力を使ってすぐにどこかへ行くから困る。しかもこの子は死体が好きで死体を私の元へ持って来る、褒められたいからかもしれないけどやめて欲しい。前に持って来た死体が死んで間もない死体でヤマメが妖術で死体に死体の元の魂を入れて甦らせたけど。名は確か、芳香 だった筈。芳香は蘇って意識はあるんだけど、お燐が操ってる時は何も覚えてないらしい。人間の死体だから時間が経てば腐るけどヤマメの妖術で腐る事は無い、お燐は怨霊や死体を操る事が出来る凄い猫。お燐に芳香の事を聞いても、大丈夫だと言いたげに鳴いたから気にするのをやめ、彼が、先に入ってくれ。と声をかけたからスキマの中に私も入る。入る途中で彼の声が小声だったけど何とか聞こえた。

 

「皮肉な話だな。片腕を斬り落とすとはまるで羅城門の鬼じゃないか」

 

羅城門の鬼。そんな鬼聞いた事が無い。鬼はともかく羅城門なんてこの大陸にあったかしら。羅城 門 があるから門なんでしょうけど私は聞いた事が無い。だけど、ヤマメの目的はこれで終わったわね。今回の発案者はヤマメなんだけど、ヤマメは鬼族の治める国家を創ろうとして、そこに悪路王達も乗って来た。何故諏訪の国を選んだかは、そこに鬼が3人いたからだ。萃香、勇儀、華扇が。鬼が治める国家を創るならこの3人も国の一員として引き込みたかったみたいね、袂は分かったとは言え同じ鬼なんだから。コンガラはどこかに旅に出たらしいから無理だったみたいだけど。

 

スキマとかいう穴に入り、奥に進むと出口らしき穴があったのでそこに入ると国に出た。何とも言えばいいのか。人間の住処がずらーっと奥に並んで、その道には色んな人間が沢山いる。だが人間は私を気にせず働いたり雑談しながら食べ歩きしたりしている、何だか怖くなった。今までの常識がこの国には無くなっている。鬼に限らず妖怪とは人間に畏れられなきゃいけないのに、その根本を崩されてしまっているからだ。ヤマメ達鬼女はこの光景に絶句だ、今まで鬼の姿を見られたら人間や小者妖怪は一目散に逃げられていた。だけど、萃香達が諏訪国の王に仕えてると話を聞いた時は信じられなかったけど、こんな光景を見せられたら信じるしかない。先に来ていた幽香と美鈴と言う女性はある1人の男に話し込み頼んでいるみたい。

 

「じゃあ頼んだわよ聖。美鈴と宴会の準備があるからね」

 

「お願いしますね聖さん」

 

「お任せあれご両人」

 

その男が近づいて来て頭を下げて私達鬼に挨拶を交わす。

 

「初めまして。諏訪国の北側にある聖山から名付けられました聖と言います。ってどうでもいいですねそんな事。」

 

聖と言う男は軽い態度で笑って、だけど敬意を払って接してきている、人間の敵で妖怪である私達鬼にだ。私は鬼神だから神な訳だけど。あの人に仕えるのはいい、でも住んでる人間にはいい感情は持たれないと思っていたけどそんな事は無かったみたい。安心、すべきなのよねこれって。妖怪からしたら落ち着かないでしょうけどね。聖の両脇に、二人の女性がいる。片方は元気に片手を上げて、もう片方は腕を組み冷淡に名を名乗る。

 

「私は 今泉 影狼! よろしくね。」

 

「私の名は 寅丸 星 どうぞ、よろしく」

 

二人は最近来たばかりだそうで二人も交えて案内をするらしい。どうやらあの人の神使の様ね。鬼はともかく神使なら妖怪でもおかしくは無い。私達も名乗ると聖が前に出た。

 

「話は幽香様と美鈴様より仰せつかっており、宴会の準備は済ませております。ですがその前に諏訪の国を案内しますので皆さん見ていかれませんか?」

 

人間を見ていて度胆を抜かれていたヤマメ達鬼女は、男の話を聞いて気を取り直す。酒を飲むほどの余裕は無いみたいね。しかも鬼を人間が歓迎して宴会って、もう何を信じればいいのか。でもこの国なら鬼の楽園を築けるんじゃない、ねえヤマメ。

 

「よ、よぉし。じゃあ案内してもらうかね、行くよお前達」

 

ヤマメは鬼女たちを連れて聖とかいう男について行ったけど途中で桶に入ってたキスメが起きたみたいで聖を喰らおうとしたけど避けられ返り討ちにあった。人間なのにあの動き、素人じゃないわね。誰かいい師でもいるのかしら。ヤマメはキスメの首根っこを掴み頭に拳骨する。鬼の力凄まじいし拳骨されて頭にたんこぶが出来たでしょうね、頭を痛そうに両手で抑えて泣いた。キスメが泣いたので紅葉がキスメをあやして先に進む。私は断った、彼がいないからだ。でも、これで私はヤマメと紅葉もだけど鬼女達は本当に彼の物になってしまったと言う事になる。私は う、嬉しいけどちょっぴり照れる。だけどこのちょっとした気恥ずかしさが心地いい。世の中は三日見ぬ間の桜かなって言葉があるけどがらりと、劇的に変わるものなのね。後は私の良人になってくれたらいいんだけど。どうしたらいいのか。こんな感情生まれて来て初めて感じた物でどうすればいいのか分からない。・・・・・これじゃあ私、恋する乙女みたいじゃない! こんなに彼の事で頭を覆い尽くすなんて私は彼の事がどれだけ好きなのよ!! 一目惚れって怖いわ、昔の私、と言うか日の出が出た時の私が今の私を見たら絶対認めず今の私を斬るでしょうね。私の背にあったスキマとか言う穴から彼が出て来た。私が待ってると思わなかったのか少し驚いた。彼の驚く所を初めて見るので何だか嬉しい、もっと彼の色んな表情を見たい、彼と色んな事を喋りたい。あ、後は子供とか・・・

 

「何だ、一緒に行かなかったのか。案内してくれるのがいただろう」

 

「いたけど私は貴方に案内してほしいの。ほら、早く行きましょう」

 

彼の手を強引に取り歩く。私は離れないわよ絶対に。嫌がられてもどこでもくっ付いて離れずにいてやるんだから。でも私達鬼女は八ヶ岳に行って住まなきゃ駄目らしいけどね・・・・・私は勝負に負けて彼の物だし命令に逆らったら彼に嫌われそうだから従うけど会えないのは寂しい。まあ、諏訪国から八ヶ岳は一日もかからないほどの距離だから会いたいときはすぐに会えるけど。それに私には神通力があるから空を飛べるし。

 

「この国の人間は変わってる。でも妖怪は人間がいて生きているからこの国にいる妖怪が死ぬ心配はないわね。」

 

「人間がいるから妖怪は生きて行ける。だからこそ、民を守らねばならんが、俺は無能で頭もよくない、だから戦力を集める事しかしてやれないし他に何もしてやれん。俺が民の役に立てていればいいんだがな」

 

彼は仕事に励む民を見ていたけど手を私と彼は繋いでいたけど、今度は彼が私の手を引っ張り先に進んだ。彼は隠すのが下手なのか、どう思っているのか知り合って間もないこの私でも分かるほどだった。私が彼にしてあげられる事は何だろう、今は分からないけどいつか分かる日が来るといいな。

 

 

かつて、似た様な話をした。諏訪の国の民、人間全員を不老不死にしたとする。だがそれは果たして人間なのだろうか。妖怪は人間がいるから生きている、しかし人間が人間でなくなったら妖怪はどうなるのか。輝夜と咲夜がいたら人間を不老不死に出来るとは言えそんな博打に乗る事は弘天に出来なかった。自然の摂理に逆らう事は弘天は嫌がるが、ただそれは本人だけの話。本人以外が自然の摂理に逆らう事をしても何も言わないし、止める気も無い。むしろ推奨する。もし、もしだ。目的はどうあれ、数人の人間、ある人間が不老不死になりたいと言って来たら弘天は喜んで、迷いなくその人間を不老不死にするだろう。一緒にいられる者が増えるのだから。

 

人間とは短命だ。妖怪は仏教と共にやってきた概念とも言われているが、妖怪は人間の恐怖心から産まれた産物。人間が妖怪という概念を忘れてしまえば妖怪は死ぬのではなくこの世から消える。妖怪の寿命はこれだ、人間から忘れ去られればこの世からいなくなる。だからこそ妖怪は妖怪の印象を強烈に残す為に例外もいるが人を攫うし、人を喰らうし人間の敵になる。妖怪は人間の敵だと人間達の脳に強烈に印象付ける為にしている。ルーミアの様な人食い妖怪がわざわざ不味い人間を喰らうのはそれでだ。だがすべての妖怪がそうではない、何も印象付ける為なら人に嫌われるだけではなく好かれればいい。しかしほとんどの妖怪はそれが出来ない。嫌われるのは簡単だが好かれるのは難しいからだ。だからこそ簡単な方をほとんどの妖怪は取っている。ただ人間の友ではなく敵になればいいだけ、お互いの手を差し出し取り合うのではなく妖怪が人間の首元に刃物を当ててしまえばいい話。妖怪という概念を忘れさせなければいいんだから。本来、神と妖怪は全てがそうではないが同じ人格神でざっくり言えば信仰されるかされないかの違い。本質は対して変わらない。神は恩恵を、妖怪は災厄をもたらす存在と思われてるが神が災厄の原因の時もあれば妖怪が恩恵を与える時もある。分かりやすく言うなら祟り神がいい例だ、恩恵をうけるも災厄がふりかかるも信仰次第な神、神や妖怪が敵になるか味方になるかは人間次第と言う事だ。

 

 

 

「思ったんだけどもしも勝負に負けて、諏訪国が私達鬼の土地になったらどうする気だったの」

 

「あー それはな。俺は諏訪の国以外で二つの国を持っていて、もしもの時はどちらかに民と共に移り住めばよかったんだよ。だから諏訪の国をくれてやっても問題は無かったんだ」

 

欠伸をしながら話す弘天が今何を考えてるのか、それは。鬼が結構増えたが鬼の四天王とか格好良くね。頭は意外性で萃香、纏め役、抑え役の副頭領、華扇。配下の四天王は勇儀、ヤマメ、パルスィ。紅葉。またはコンガラとか。格好いいな。と、下らない事を考えてた。

 

「じゃあ勝っても負けてもどっちでも良かったんじゃない!」

 

「いや、移り住むって言っても俺の娘が大変だからな。全てをスキマで持って行くんだからこの手はあまり使いたくは無かったんだよ。それに移り住むって言っても色々面倒事があるしな、これは奥の手なんだよ」

 

彼も勝っても負けてもどっちでも良かったって、私と同じ考えだなんて私達って相性は悪く無い? 嬉しすぎて倒れそう。こんな事で喜ぶなんて私は意外と単純なのかしら。私って安い女ね。でも一目惚れとは言え彼の傍から離れたくないほど好きなんだもん、大好きで愛してるんだもん。彼との子供だって欲しいもん。安くても別にいい。一緒にいられて添い遂げられるならそれで、十分。まだ夫婦じゃないけど。あ、この国の決まり事ってあるのかしら、彼の国の事だから覚えておきたい。

 

「この国って何か法とかあるの? あるなら覚えとかなきゃいけないんだけど」

 

「特にないから構わん。この国だけではないが強いて言うなら俺が法だ」

 

「それってただの独裁主義者じゃないの」

 

「国を治める王なんて実際はそんなもんだ、それといい事を教えてやる」

 

彼は両手を使い私の両肩を力強く掴んで動けないようにして、私と彼は見つめあう。もしかして、これって・・・・・接吻!? いきなり!? そそそそそんな私どうしたら ま、まずは落ち着いて・・・・・って こんなの落ち着ける訳が無いでしょ!!!

 

「そ、そんな急に求められても私困っちゃう・・・・それにこんな道の真ん中で、皆見てる。せめて人気が無い所で・・・・・」

 

ってあれ? 横目で民を見てみたけど、どうしてか諏訪の国の民はこれが日常茶飯事だと言った感じで全く気にせず通り過ぎていく。横目ですら一切見なくて誰も気に留めないなんてこの国おかしいんじゃないの。彼の方が背が高いから私は見上げて上目遣いから両目を瞑り彼がするのを待つけど、彼はしてこない。ここまでして期待させておいて放置するなんて酷い人と思い両目を開けるけど彼は、何してるんだ。と言いたそうな顔で私を見てる。そこは気付いてよ。

 

「何してるんだパルスィ。まあいいや。いいか、俺は自分勝手。自分さえよければいいと思ってる屑だ、だから気を付けろよ」

 

「えっ」

 

彼は私の両肩から両手を離して先に進んだけど、進む途中民から籠を無理矢理先に渡されて籠の中に食べ物を入れて貰って行き、彼が持ってる籠の中に食べ物がいっぱいある。断っても無理矢理持たされるので断るのはやめたみたい。華扇がいるから簡単に無くなるでしょうけど、一応彼は民からは慕われてはいるみたいね。そして黄色い声が煩い。だけどこんなの、私に、乙女に恥をかかせるなんて。

 

「おいおい。こんなに食えんぞ」

 

「そんなこと言わず私の野菜貰ってください弘天様! 藍様に調理してもらえないなら私が神社にお邪魔して調理しますよ!!」

 

「ふざけないで。抜け駆けするんじゃないわよ、丹精込めた私の野菜の方が美味しいんだから。受け取ってください弘天様。そして私を神社に」

 

「ここは永琳様に作ってもらった精力剤を飲ませ、もとい弘天様にお肉を食べさせ精力を付けてもらい一夜の過ちを起こさなきゃ・・・・・!」

 

彼は民に囲まれて苦笑してるけど、女性の民を愛おしそうに頭を撫でて笑った。好きなのね、人間が。だけど、どうして若い女性が多いのよ!少し男も交じってるけど女性が多すぎ!! こんなの嫉妬するに決まってるじゃない! 左手の親指の爪を噛んで愛おしいけど恨めしい彼を睨む、彼は籠に入っていた鬼饅頭を食べながら振り返る。関係ないけど私 鬼饅頭大好き。彼も好きみたいだからこれって、両想い!?キャー!じゃあ体を重ねて子供、知り合って一夜も経ってないのにそんな、子供だなんて・・・・・いいかも。

 

「よーし行くぞパルスィー」

 

「そんな殺生なー!!これじゃあ生殺しじゃないのよー!!!!」

 

肩に乗っているお燐がやれやれとでも言いたげに鳴いた、でも泣きたいのは私よ。

 

「てかさっきからスゲー地面が揺れて地鳴りが聞こえる、何だこれ。地震か。こんな時でも民が俺の所に来て喋ったり、平然と仕事をするのは恐怖を感じる。民の肝が据わりすぎている、死ぬ恐怖は必要だがこの類の恐怖はいらんぞ。鍛えすぎたか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は変わるが、乙巳の変というのをご存知だろうか。それは飛鳥時代に起こり蘇我入鹿が暗殺された事件で有名な話だ。が、今は飛鳥時代ではない。飛鳥時代ではないとは言え乙巳の変が起こった。歴史通りなら入鹿は殺されていた。入鹿は聖人で秀才。内政、外交ともに、非常に優れた政治家だ。顕彰される人物。しかし、それを妬む者がいた。出る杭は打たれると言う事だ。いつの時代も優秀過ぎても良い事ばかりじゃない、面倒事はある。だが、今回は結果は変わらず過程が変わった、歴史通りになったが少し違う。それはなぜか、一つは神が実在していた。もう一つは入鹿がこの大陸で産まれた人間ではなく、天竺にいる第六天魔王の娘、そして半神だったからだ。もし、入鹿がただの人間でなら歴史通りに殺されたいただろう。ただ結果は変わらず過程が変わった、ほんの少し、ボタンの掛け違いで歴史が一瞬とは言え変わった。そんなお話。

 

 

 

 

 

ここは大和大国の大和朝廷。入鹿が大和朝廷に第六天魔王と言われる少し前。ある日、三韓から進貢の使者が来朝した。三国の調の儀式は朝廷で行われ、皇極天皇が大極殿に出御、大臣である入鹿も出席する事となったが、この場で入鹿を暗殺が企てられていた。ある首謀者が企てた関係者の一人、蘇我倉山田石川麻呂が上表文を読み。1人は長槍を持って殿側に隠れ、1人は弓矢を取って潜んだ。しかしいざとなると2人は恐怖し、暗殺を実行できなかった。蘇我倉山田石川麻呂はまだかまだかと汗だくになり、読み上げていると声も上擦る。だが入鹿は見抜いていた、自分が暗殺されることに。神通力の一つに他心通がある。これは相手の心を読み取る事が出来るものだ。蘇我倉山田石川麻呂を不審に思った入鹿は神通力を用いた訳だ。だがこの場から出る事は出来ない。心を読み取った時に判明したが衛門府に命じて宮門を閉じさせた様だ。入鹿は今でこそ人間の振りをしているが実際は第六天魔王の娘だ。暗殺者を返り討ちにする事も出来るしこの場から逃げる事も可能。が、それは出来ない。それをすると自分が人間ではないと悟られるからだ。時間が経ちついに一人の男が腹を括ったのか、飛び出して入鹿の頭と肩を斬りつけようとした

 

 

                  その時

 

 

神が、降臨した。この場にいた人間は静まり返り驚いた、何せ余程の事が無い限り出てこないあの月読命だったからだ。腰まで届くストレートの金色の髪を靡かせ、その場にいた人間に有無を言わせぬ態度で命じ、後ろに控えていた神使に指示を出す。

 

「この者は神を愚弄した大罪人、我がこの者を預かる。直ちにその者、入鹿を独房に入れて置け小兎姫」

 

「はーい。やっぱり地上人って美しくない、醜く、穢れてるわね」

 

月読命の神使である兎、名は 小兎姫 を使い縄で入鹿の両手を縛り小兎姫が人間を蔑んだ目つきで見ながら入鹿を牢獄に連れて行く。その場にいた人間はいくら三貴神の一人に命じられても納得できる訳が無かった。暗殺を企てた自分たちはどうなるのだと、そう考えたが。どうでもいいといった感じに月読命は、お前達に御咎めは無い。誰を殺そうとそれは人間の問題だからだ。だが入鹿は我ら天津神を愚弄したと耳に入ったのでな。入鹿は我ら三貴神が処す。そう言い、皇極天皇に話をする為に天皇の御座へと向かった。

 

人間の振りをしていた神だとは困った事をしてくれたものだ。なんと姉上に伝えればよいか。これでは我ら三貴神があれの物では、道具ではなくなってしまうかもしれないではないか。第六天魔王の娘だとすれば。国際問題に発展しかねん。何としても入鹿の命だけは助けなければならん。例え、入鹿が歴史に悪者、大悪人として名を残す事になろうとも。表舞台から殺す理由などいくらでも作れるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入鹿は独房に入れられ、ただ瞼を閉じ正座をしてじっと待った。右目を開けて周りを見ても何もない、ただ目の前に鉄でできた鉄格子があり、桶が独房の隅に置かれているくらいか。どうやら隅にある桶に排泄物を出すようだ。この程度ならすぐに壊して出られる。今は仮の姿で人間でも実体は神なのだから。。誰かが来る気配を感じたので瞼を上げると天照大神がいた。天照大神は独房のカギらしき物と剣を入鹿が入っている独房の中に投げ入れて、入鹿が入っている独房の中に入れて出るように促した。入鹿はさっきは縄で両手を縛られていたが、小兎姫に連れて来られて独房の中に入れられた時に縄を解かれているので両手は動く。入鹿の胸元に入れて置いた笏を取り出し入鹿の右手には笏を持っている。不本意だが大和の神に迷惑をかけてしまって、入鹿は慙愧に耐えないと眉を顰めて身の縮む思いだ。

 

「人間ならば出す気はありませんでしたしそもそも助ける気はありませんでした。人間の政治にあまり神が関わる訳にはいきませんので。ですがあの時人間の振りをしていた神ならば殺されると大変、諏訪の国に知られたら面倒です」

 

面倒をかけたのは入鹿、神子の方で何も言えない。だがそんな事を入鹿は私に聞かれてもよいかと聞いても天照大神はにっこりして首を振り、気にした様子は無い。

 

「すぐに知られてしまいます。あの国には情報屋がいますので、厄介な事をしてくれたものです、神気を感じませんので神通力を使っているのでしょうが余計な事をしないでいただきたいです」

 

天照大神は大和の頭の一人ではあるが、今は政治などには関わっていない。それは人間が行っている。天照達の役目は人間が誤った道に行きそうな時は人間に悟らせ、止める役目がある。そして、弘天の為の道具として働いている。どちらかと言え人間より弘天の為が大きい。だからこそ、ここで国際問題に発展したら弘天に迷惑がかかる。それだけは避け、自分達、弘天の為に入鹿を助けたのだ。

 

「本当に申し訳ない。私はこの大陸の宗教、神道が好きでしてね。だからこの国の人間になっていたんですが。仏教発祥の地、天竺は、私の出身国で仏教については聞き飽きて目新しくもなく興味もない。興味深い神道を知る為に海を越えてやって来たんですけどね」

 

この国にある大和朝廷は仏教か神道かの二つの派閥に分かれてる。違うわね、分かれていたけど神道派は滅ぼされた。仏教派の蘇我氏に。渡来人と交流の厚かった蘇我稲目も余計な事をしてくれたのものよね、よりにもよって仏教をこの大陸に持って来るなんて。そしてこの私がよりにもよって仏教派にならなきゃいけなかったなんて屈辱。昔は神道なんて言葉が無かったそうだけど、この大陸の人間は山や川などの自然や自然現象を神として一体的に認識されている宗教。面白い、実に面白い。仏教や道教には無かった考えだ。それに他の宗教と違うところは、神道は開祖や創始者がいない。この点もいい。

 

「宗教など政治の道具に過ぎません。それに神道なんて言葉、昔はありませんでしたが仏教が来てから急に仏教との対比によって言われはじめましたからね」

 

まあ神道は宗教色は強くないけどね。宗教ではなく信教。個々によって信じるものが違う。それが神道だね。そして仏教は民の心の拠り所になる。だから一概にこの大陸から無くせとは言えない。それに一度知ってしまったならもう離れる事は出来ない人間もいる筈。だからこそ対立してたんだ。仏教か、神道かについて。私は仏教を崇拝してる事で知られてるけどそれは表向きで実際は神道派だ。もし私がこの大陸の人間だったなら道教を選んだかもしれないわね。不老不死になる為に、この大陸の人間だったなら道教なんて知る機会が無かっただろけど。だけど私は半神とは言え神だから不老不死みたいなものだし。神道を学ぶために私はこの大陸に来た。そして、神道派の物部氏は滅ぼされたけど生き残りが一人いる。あの子も私が連れ出さなくてはいけない。私の関係者なら、殺されるかもしれないから。私はあの子には憎まれてるけどね、私は蘇我一族の者で、本意ではなくとも仏教派だった事に変わりはない。でも、あの子は一族を根絶やしにされて今は蘇我一族への憎しみだけで生きている。憎しみで生きる糧になるなら憎まれても構わない。生きていてくれたらいい、この私が崇拝する神道の。神道派で廃仏派の一族なんだから。神である私が神を崇拝するのもおかしな話だけどね。

 

「全く持ってその通り。だけど仏教や道教なんて私は大ッ嫌いでね。もう嫌になる。政治利用はしますけどね」

 

「ですが貴方の、信仏法、尊神道。神仏習合思想はいいと思います。折衷案としてはですが」

 

最近、人間の中には神身離脱の考えが出始めつつある。ふざけている、この大陸の神が神身離脱、日本の神も人間と同じように、輪廻の中で煩悩に苦しんでいる身であり、仏法に依って救済される? 日本の神々は、神身を離れて、仏法に帰依し、その迷い、苦しみから逃れることを願っている? バカバカしい。そんな事はあり得ない。それは人間の思い込み。私が余所者、天竺から来た半神でもそれは違うと断言できる。いくら神道の神は無謬の存在ではなく、人間味に溢れる神だとしてもだ。それは神が考える事であって人間が考える事じゃない。それに天照大神様を見ても、とてもそう考えてるとは思えない。常に笑顔だが、どうでも良さそうな、そんな顔。日本神話の神は本当に人間臭い存在。神話の話を昔聞いてみてそう思った。

 

「神道の神で、三貴神の一人である天照大神様がそれをいい案だなんて言っていいのでしょうか? 神道と仏教が習合されるのです。元々いた国の神を他所からやってきた神と習合されるなんて屈辱もいい所だと思うのですが」

 

「構いません。納得しない者もいるでしょうがその時はその時です。私達神が人間に必要無くなったらこの惑星から姿を消しますから、その時は道具らしくあの人の傍にでも寄り添って使ってもらいましょうかね」

 

 

私はつい無粋にもあの人 と呟いてしまい、失礼な事を聞いた事を謝罪するけど天照大神様は気にせず話してくれた。

 

神道の為に仏教を無くす事も考えた。でもいくら私が表面上は仏教派で、実は神道派で廃仏派でも無理だった。この大陸から仏教を無くすには仏教派を皆殺しか、またはこの世から仏教の概念を無くすか。仏教派の脳みそを弄り仏教を忘却の彼方にするか。それしかなかった。だけど、どれもする訳にはいかない、それに仏教を求める民がいるのも事実だ。そして私は神道派で廃仏派だけど過激派じゃない。だから習合しかなかった。神道は神身離脱のせいで人間から薄れつつあった。神を人間と似た存在に見始めたからだ。神道を靄にかけさせず、この大陸の人間に忘れさせない為にはこれしかなかった。神道を崇拝する私としてはこの状況は見過ごせなかった。これが初めて、私の人生の汚点。天照大神様が仏教と習合されたら大日如来と同一視される事になる。

 

「そうですね、それについて答える前に貴方の事を調べ上げましたが、姉妹のパルスィという名の女性がいますね」

 

急に姉妹の名を出されて面食らったけど、よく考えたら私の事を調べ上げてあの時助けてくれたんだから知ってるのは当たり前か。私は第六天魔王の娘だからすぐに調べがつくだろうし。

 

「いますけど、パルスィは天竺にいる筈です。パルスィがどうかしたのですか」

 

「彼女がこの大陸にいて、ある方に仕えたそうです。その相手があの諏訪国の王ですよ」

 

この時、まだパルスィは諏訪の国に仕えてはいない。パルスィは今諏訪の国に向かっている途中で琵琶湖辺りだろうか。この時の入鹿はまだ第六天魔王として名を残さず、神に邪魔をされたせいで入鹿は朝敵なのかあやふやなままだ。ならば何故まだパルスィが諏訪の国に仕えていないのに仕えていると言うのか。読んでいるのだ。この先どうなるか。だから嘘は言っていない、少し早いが事実になるのだから。

 

「そう、ですか。それで、どうしてそんな話を私にしたのですか」

 

これは驚いた、そっか、パルスィが諏訪国にいるのは第六天魔王が天竺にいなくなって諏訪国にいるからね。今 第六天魔王は諏訪の国にいる筈でとっくの昔に諏訪国の王に接触していて、仲は良好だと聞いてる。実際は諏訪国の王から接触したらしいわね。気になったんだけど、天照様がその諏訪の国の王と言った時は生娘みたいな顔になったような気が。

 

「さあ。あえて言うなら気まぐれですかね」

 

奥から綺麗な女性が来たけど私をさっき助けてくれた月読命様と小兎姫様が来た。月読命様の髪は金髪でパルスィを思い出す。あの子は仕えたそうで元気にやってるといいんだけど。あの子が仕えるんだから悪い人じゃないと思う、でもあの子って男嫌いじゃなかったっけ。一目惚れでもしたりして、まさかね。

 

「姉上。この後はどうするので?」

 

「入鹿は私が殺した事にしましょう、入鹿は人間だと思われてます、ですが数百年もすれば名はともかく容姿を覚えてる人間はいなくなります。入鹿に寿命は無いのですから問題は無いでしょう。その代り歴史に名を残す事になりますがね、悪い意味で」

 

天照大神様は、そしてそこにいる龍を使って、助けたい人間がいるなら助けなさい。このままではあなたの関係者は殺されるでしょう、私は関知する気は無いので。そう言った。天照大神様が神道の最高神では無いとは言え、気付いておられたとは感服だ、上手く擬態させてたのに。

 

入鹿が今回の暗殺される理由は入鹿が、皇族を滅ぼして、皇位を奪おう。としていたという名目で入鹿は暗殺されかけた。殺すにしても殺す名目が必要だったからだ。そこに朝敵だけでなく神に逆らった大罪人としても追加されて歴史に名を残すのだ。蘇我入鹿の名を捨てて生きなければならない。蘇我入鹿、蘇我は養子として入ったので貰い名、入鹿は人間の振りをする為の仮初の名だ。捨てる事になっても対して未練が無く気にならない様だが。神子はこれからどうするか考えたが青竜に頼んで久しぶりに琵琶湖に行って人魚のわかさぎ姫に会おうかと考えた。容姿や服装を神通力で変えておくのを忘れない様に今の内に変える。これで入鹿かどうかは分からないだろう。あと二人も神通力で容姿を変えて置こうと思い、あとは脱獄だ。天照と月読命は独房に背を向けて、来た道を戻る。神子がこうなった以上布都は勿論の事、神子の身内である屠自古も連れ出さなくてはいけない。

 

早くしなければ二人とも朝廷に殺されるだろう。疾風迅雷に動かねば手遅れになる。布都は何としても生かし、高貴な方に嫁がせ物部を再興してもらう。布都もそれを望んでいる。物部氏のたった一人の生き残り、血を絶やす訳にはいかない。布都には子孫を、子を成してもらわなきゃいけない。物部氏はこの私が崇拝する神道、神道派で廃仏派の生き残りなんだから。だけど物部を再興させるなら高貴な方の国は朝敵になるだろう。その時、私は参謀役として働かせてもらおう。大和朝廷は西はともかくなぜか東の土地を統一しようとせず。東は朝廷の手が伸びていない。だから東に行こうと決め、そろそろ出ようと思った神子は立ち上がって右手にある笏に語り掛ける。神子は蘇我についてはどうでもよく、未練はない。もう大和に、天照に恩を返して十分貢献したからだ。

 

そう言えば、月読命様の一人称は我だけど、あの子、それを真似て一人称が我になったわね。そして物部氏の祖先は神で名は 宇摩志麻治命 や 邇藝速日命 ね。だからあの子にも神の血と呼ぶべきか分からないけど神の末裔ではある。

 

「じゃあ行きましょうか青竜。あの子達を迎えに、しばらくは野宿です」

 

右手に持っていた笏が変形して、笏の先が少しずつ竜の頭になり、口も出て来て返事をする。

 

「うい」

 

今の私はもう大和朝廷の有力者 入鹿 ではなく半神の神子。そして第六天魔王の娘。なら仏教の敵に徹しましょう。独房のカギを開けて外に出る途中見張りがいたので、見張りを気絶させて外に出る。日差しが眩しく、息を吐くと吐いた息が白くない、この前まで寒かったですが今は暖かくなり、寒さが無くなりつつあります。もう春ですね。この春が、いい季節になればいいのですが。でも私は諦めない。仏教を無くす事は出来なくても、いつか神仏分離をしてみせます。この私が崇拝する神道の為に。私が考えた神仏習合をこの私が無くし、神仏分離するなんてね。おかしすぎて誰かに気付かれそうだったけどお腹を抱えて大笑いした。あの子たちが住める住処も探さなくちゃね。どこか私達を受け入れてくれる物好きな国、王様とかに。

 

 

 

 

 

 

 

こうして入鹿は死んだ。歴史的にだが。だが入鹿が死んだ後はある屋敷に住んでる者が落雷で亡くなるのではなく、入鹿が歴史的に死んだ後は大和の空を覆うほどの龍が現れ、太陽が隠れた。大和は暗黒の世界になり、まるで天照の岩戸隠れの時の様だ。しかし視界は悪いが薄らとは見える。今回の首謀者の屋敷に龍が来て首謀者の屋敷を壊され屋敷から首謀者が出て来た時、龍に丸飲みはされず、まずは逃げれないようにする為に足先から膝まで喰った。喰われた時にあおむけで倒れた、そしてそのまま膝から頭に向けて少しずつ、薄らとしか見えない視界で、自分の膝から激痛と共に少しずつぐちぁぐちゃと音を立てながらゆっくり喰われる所を想像しただけで恐怖と言う言葉では足りないだろう。喰われているその間、喰われた者の絶叫が辺りに良く響いた。首謀者は顔や頭は無事で足先から膝まで喰われ膝辺りから先は無くなり出血は酷くても即死は出来ない。あまりの痛み、耐え切れず両手が無事なので龍の顔を両手で殴ったりして藻掻くが効果は無い。ただ動いた分だけ痛みで悶えるだけだ。だからそのまま自分が膝から頭まで喰われて行くのを見ているしかなかった。首まで来て首謀者は声も出せず白目を剥き、ついには顔まで来てそのまま髪の毛ごと頭蓋骨をバリバリと噛み砕いて呑み込んだ。ある人間が龍の背の方から女性の声がして豪快に笑ってたそうな。スカッとした様だ。だがその声は入鹿に似ていて、のちにその話を聞いた者達は入鹿が亡霊になり青竜を操って首謀者を祟り殺したんだと思ったらしい。その事態に大和の神は動かなかったそうな。龍は首謀者を喰い終えた後は、パッと姿が消え、空に太陽が戻って来た。どこに行ったか不明。

 

余談だが、太陽が隠れ、暗闇になった大和を見て太陽神はトラウマを思い出しいつぞやの様に天岩戸ではなく今回は神社に引きこもった、月読命が神社から何とか出そうとするが、月読命もかつてのトラウマを思いましてダウン。天照のトラウマの話に女性が一人死んでいる。それで月読命は過去を思い出した。月読命が保食神を殺して天照が怒り、太陽と月、昼と夜が分かれたあの話だ。天照のトラウマは、須佐之男がトラウマの原因なので須佐之男から天照に会わす顔が無く、仕事をこなしつつあの頃は若かったなと感傷に浸った。女性を一人殺してる訳だがそこは神の図太さだ。それを言ったら月読命もだが。どこかの女好きで馬鹿な王がそのどれにも関わってるので須佐之男はともかくそれぞれトラウマになっている。

 

話はずれたがその首謀者の名はあの藤原氏。藤原氏始祖である 中臣 鎌足 だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青竜が大和に現れる少し前。天照と月読命は神社に戻り、ここならだれも聞いてないと思い話の続きをする。

 

「では姉上。後で入鹿かどうか判別できない惨い、直視できない死体をあの場にいた人間に見せておきます。しかし。もう潮時かもしれませんな姉上」

 

「ん、もう隠居してもいいかもしれない。別にまだいてもいいんですけどね、あの人はどうする気かしら」

 

「あそこの民は狂信者しかいませんし、私達の大和と同じ道を辿るとは思えませんね。しかもあの国には土蜘蛛が目撃されています。諏訪国が裏では大和を従えてますから土蜘蛛からしてみればいい国でしょうな」

 

諏訪国が大和を従えてる事については 豊姫 以外に情報を漏らしていないので偶然にも安息の地に住み着こうとしている訳だ。問題なのが土蜘蛛が目撃されたのは諏訪国の北にある岩戸が落ちた付近だ。岩戸はあの天岩戸の岩戸だ。こんな話を姉上が聞いたらトラウマを思い出し、またいじけて引きこもるのでこの情報は暈して伝える。

 

 

 

土蜘蛛とは、妖怪、山の民の意味もあるが、まつろわぬ民。朝廷に従わない、上古に天皇に恭順しなかった土豪者の事を指す言葉としての意味もある。土蜘蛛に限らず鬼もだが。鬼や土蜘蛛は、神話の時代から朝廷へ戦いを仕掛けた者を朝廷は鬼や土蜘蛛と呼び、軽蔑され、恐れられていたと言われている。だから諏訪国はあの時、大和がこの大陸を統一しようとしていた時、それを邪魔しに弘天と永琳が大和を支配しに行った時から朝敵の国ということだ。今は表向きは諏訪国と大和は同盟関係で裏で大和を牛耳っているので朝敵と呼ぶかどうかは微妙な所だが。

 

 

 

「そう。あの人はまつろわぬ神。建御名方神や天津甕星の様に、あの時 私達はあの人に止められてこの大陸の統一は成し遂げられなかった」

 

「西はともかく東を統一しようとしても諏訪国が途中にある。私達に出来なかった事を人間が出来る訳が無い 人間では今の諏訪国に敵わないでしょう」

 

「そのおかげで東国は手を出せていないのが現状ですが。魔王の座をかけて争う神野悪五郎と山本五郎左衛門。東には平将門とかいう面倒も増えましたし。まあ、平将門は人間だそうですので我らには関係ありませんがな」

 

これもそうだ。本来なら大和は大陸を統一しようと動きそれが果たされていた筈だ。だが出来なかった。 あの時、 蓬莱山 弘天 と 八意 永琳 に邪魔をされたからだ。だから諏訪国より東を侵略する事も出来ないし、そもそも侵略はするなと言われてるのでする気も無いようだが。しかし言い方を変えればだ、もし、仮に大和が西方面を統一できていたとして、大和を裏で支配してる弘天は西方面を支配してるとも言えるだろう。そして今までの出来事を思い出してほしい。最初に諏訪の国が出来て次に大和が諏訪国を支配しに来た。次に 近江国にある 蓬莱山 に丹後国の海付近、海底にある竜宮城 、次は 山城国の かぐや姫 最後に悪路王達 鬼が諏訪国の南西から来た。今までの出来事を振り返るとどれも諏訪の国より西なのだ。だから何だと思うかもしれないが。

 

天照大神は月読命と二人は世間話をして笑うが、いい考えが出たとばかりに天照は月読命にとびきりの笑顔で話す。この笑顔はとんでもない事を考えてるなと月読命は思ったが、気付かなかった事にするといじけて愚痴を漏らすので、聞きたくないが聞くしかなかった。

 

「どうかされましたか姉上。今 思いついた事は何も言わず、ただ黙って歩いていただきたいのですが」

 

「酷いですね月読命。そんなこと言っても私は言いますよ。いっその事、八咫烏と、小兎姫も連れて私と豊受比売と月読命とで諏訪国に住み着きましょうか。私と豊受比売と月読命の色気であの人を落とせば住めますよきっと」

 

やはり面倒な事を考えていたと月読命は思い、無駄だと思いつつも何とかこの姉を止めようとするが、やはり無駄だと悟りやめた。だが、月読命は元とは言え男だったのだ。今でこそ月読命は女の体だが、男の心を持つ者が男に靡き、添う事など出来る訳が無い。

 

「姉上、須佐之男の事を忘れています。それに冗談が過ぎますよ諏訪国に住むなんて、ましてや我は元とは言え男ですので、素直に頷けませんな」

 

「あ。忘れてた。じゃあ須佐之男もついでにね。それに冗談じゃなく本気。私達はあの人の道具、本来道具は手元置いて置くものです。月読命は体は女で心は男。ギャップ萌え? で落とせば大丈夫。私や豊受比売もその時が来たら協力するから。ね?」

 

「・・・・・我が弟ながら哀れな。いや、我もか」

 

どうしてこうなる。何が、ね? なのか。豊受比売は姉上に逆らえないだろうし。全く恐ろしい姉だ、下らない事を言っているがこの姉の手のひらの上なのだから。

 

 

 

 

諏訪の国にいる月人は、蓬莱山 弘天 八意 永琳 蓬莱山 輝夜 そして姉上の命じられた須佐之男があいつに流した情報のせいであいつの妻になる羽目になった 十六夜 咲夜 あいつは輝夜の名で釣れば簡単だった。そして姉上の目論み通り咲夜はあいつの妻になった。

 

                                             だが諏訪国にいる月人はこの4人だけではない。

                                             諏訪国にいる月人は正確に言えば                  

 

 

 

 

                 『5人』 だ。




実際に神道なんて言葉が大昔は無くて仏教が来てから言われ始めたそうですね。今回の入鹿は乙巳の変の話です。歴史通りなら布都は入鹿の祖母ですけどいいよねオリジナル展開だし。物部氏の祖先は神、宇摩志麻治命や邇藝速日命と言われてます。他にもいた様な気がするけど。断言はできないんですが今の時代は縄文時代で飛鳥時代ではないと思います。下手をしたら神話時代、良くて旧石器時代かもしれません。色々おかしくて曖昧ですがそんな感じでお願いします。あまり時代を進ませる訳にはいかないので。でもオリジナル展開だし。

滋賀県にある琵琶湖には人魚伝説。有名な話の一つ、聖徳太子が滋賀県に訪れ、琵琶湖で人魚に出会い、人魚の願いを聞き入れ観音正寺を建て、千手観音を祀ったと言われる話があります、それで神子とわかさぎ姫が知り合いと言う事にしてます。四神の一人、人と呼ぶべきかどうか悩むけど青竜についてはやっと出せました。美鈴湖が無かったら美鈴は青竜として出していたでしょうね、服装が緑なので。青竜の名を出したあの話からだいぶかかりました。夢殿にこもって聖徳太子の魂だけが青龍に乗って中国に渡り、仏教の経典を取って来たという話がありますのでその話を使ってます。後は聖徳太子がして来た偉業は入鹿がしていると思います。分かんないけど。そしてここの神子は仏教と道教。宗教を政治利用はしますが仏教と道教が大嫌いです。 霍青娥? うん・・・・・彼女は・・・・ 実はとっくの前にもう匂わせてる感じで出してるんですよ・・・・・地の文であっさり書いてます。かつての神綺みたいな感じです、同じように名を出していませんがね。それと実はね、龍や牛とか鹿も神使に出来て人。

それとここでの大和は日本を統一できていません。統一する前に弘天と永琳に邪魔されたからです、あの話からやっとここまで来れた、何の為に大和を牛耳ったと。大和の人間は大和が諏訪の国に支配されてる事を知らないとは言えとはいえ大和朝廷と呼ぶべきなのかどうか、そもそも朝廷を存在させてよいか悩みましたが結局は出す事にしました。きっと今回だけですけど。東の方面は途中にある諏訪国に邪魔されたので出来ていませんが西方面は統一できてるんじゃないですかね多分。もしそうなら弘天は西方面は牛耳ってる事になります。

月読命は神使が兎だと言われてますので小兎姫を出しました。それだけの理由です。一応書いて置きますが、くるみに幻月と夢月、エリスに魅魔にユウゲンマガンは旧作キャラです。これで東方靈異伝のキャラは全て出せた事になります。長かった・・・・白龍は天帝に仕えてると言う話があるので、天子の奴隷になってます。ここの天子は天帝の娘なので。

何て事だ。東方紺珠伝が月に関係する話だと!?これは痛い、よりにもよって月の話をするとは・・・・・これはプロット考え直さねばならんなー。プロットを練り直すので次に更新するのは宇宙の真理を私が理解した時です。

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