蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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鈴鹿御前をヤマメ、滝夜叉姫はパルスィと踏まえた上で今回は読んで頂きたい。それと今回台詞と地の文が多すぎるのと独自解釈が強いので気を付けて下さい、

今更ですが、愚かにも私は旧作はともかく東方キャラを全員出す気でいます。前にも言いましたが紫には幻想郷を作らせる気は無いので。どうするか未だに悩んでいる東方キャラもいますけど。
私は基本気まぐれで嘘つきですので戯言と思って読み流してください。どうせエタルし



第六天魔王波旬

「盟主様に勇儀さんお話し中すいません。はたてと文はどこにいますか?すぐに帰って来るかと思ったんですが帰りが遅くて」

 

急に話しかけられて振り返ったが見たら天狗の一人椛がいた。

 

「ああ、すまんが二人には軽く偵察に向かってもらってる。軽くだからすぐに帰ってくるぞ」

 

「そうですか。では、待っている間に盟主様のお耳に入れたい話があります」

 

「おや、私はいない方がいいかね?」

 

「いえ、勇儀さんにも聞いて頂きたい事です」

 

天狗である椛、犬走椛は白髪で背中に少し大きめの刀と紅葉が描かれた盾を背負っている。今回椛が来たのは、どうも他国に住む人間共の動きがきな臭いと言う事で報告しに来たそうだ。萃香からも似た様な事を聞いていて、放って置くかと思っていたが、椛から話を聞いてそうも行かないかもしれん。人間か、俺は神だが他国の人間から見たら邪神だろうしな、神使以外の妖怪も住まわせてるし。俺を殺す為画策しているのかもしれん。まあ、その時俺の邪魔になるなら人間だろうと皆殺しだが。

 

「ふむ、人間か。殺すべきか、生かすべきか、悩むな。何か対策を考えねばならん」

 

「その時になって邪魔なら殺せばいいじゃない。今は鬼達を何とかするのが先だよ」

 

「む、それもそうだな勇儀。わざわざ知らせてくれてありがとう 椛。」

 

俺は椛に近づいて椛の右手を取り握手した。握手しながら面と向かって椛にお礼を言ったら椛は顔を俯かせた。椛の手はすべすべしていて触っているのが気持ちいい、勇儀は笑って静観している。天狗や河童は諏訪の国の盟約相手な訳だが、河童は神使にする予定だ、だが天狗はどうするべきか。いっその事、天魔に文とはたてと椛をくれと言ってみようか。くれなさそうだが。待てよ、鴉って烏だよな。白狼も狼な訳だ。これはアリなのか無しなのか

 

「い、いいえ。盟約に従っただけですのでお気になさらないで下さい」

 

握手を終えて、勇儀を鬼達の所へ向かわせようとしたが、はたてが帰って来た。早いな、まあ偵察だけだしな、文はまだ上空で偵察を続けているようだ

 

「偵察報告!どうやら鬼は男と女で分かれて別々で進軍して来てるみたいよ。さっきまでは男女ともに一緒に進軍してたんだけどね」

 

「あーそれは鬼女の中に男嫌いがいるからだね。別々になったのは我慢の限界だったんだと思うよ、前にも似た様な事があったし。だけど」

 

勇儀が流し目で俺を見てきたが、流石俺の妻の一人だ。良く分かってる。はたてが言うには、南木曽岳に女の鬼が、奥三界岳には男の鬼が集まってこちらに向かっているそうだが、男の鬼はこちらに来ている様だが、女の鬼は今の所動かずただ酒を飲んでるらしい。

 

「大体分かったな、はたて、もう十分だ。俺は女の方に向かう、勇儀達は男の方を頼んだぞ。どうするかは三人の判断に任せる。はたては文を連れ戻し八ヶ岳に戻ってくれ。偵察してもらってありがとう。文にも伝えて後は任せておけ」

 

俺は天狗が持つ情報力が欲しくて天魔と交渉した。そして交渉の時、情報を貰う代わりに何かあった時は諏訪の国の戦力を使うと言った盟約だ。だから文とはたてをこれ以上巻き込むのは不味い、文とはたてに何かあった時は責任が取れない、二人は諏訪の国に仕えてる訳じゃ無いのだから

 

「了解よ。だけど一応他の情報を伝えておくわね。鬼が諏訪の国に向かって来てる目的はね」

 

 

 

「と言う訳だから、気を付けなさいよね。盟約相手が死なれたら困るし、椛も文を一緒に迎えに行く?」

 

「うん、行く。文が帰ってきてまた仕事を疎かにしないか見張る必要があるからね」

 

「ええ・・・・あんた真面目ぶってるけど実際は文の事言えないじゃない。文を迎えに行くのは仕事をサボる口実でしょ?」

 

「勿論」

 

椛は両目を瞑り誇らしげに言ったが、言ってる事はかなり情けない。俺も人の事は言えない、よくサボってたし

 

「やっぱりねー ん。じゃあ行くわよ椛!私より遅れたら諏訪の国の美味しい料理でも奢りなさいよね!!」

 

「狡い!そう言いながら先に飛ぶのはやめて!背中に刀と盾を背負ってるのよはたて!!」

 

はたてから鬼の話を聞いて、聞き終えたらはたては文に偵察は終わりだと伝える為に椛と一緒に飛び去った。どうやら男の鬼の頭は悪路王だが、女の鬼の頭はヤマメとパルスィの様だ。しかし天狗は相変わらず飛ぶの早いなー。飛ぶ時にミニスカートが捲れて下着が見えた。はたての下着の色はパープルの様だ。はたては茶髪のツインテールに頭になんか、パープル色の天狗の帽子って言えばいいのか、まあそんなのがあって服装は襟で薄いピンク色のブラウスを着ていて黒いネクタイを付け紫色のフリルが付いている。下はミニスカートを履いているが黒と紫色の市松模様なミニスカートだ。靴は一本足の下駄。服やミニスカートだが河童が作った服だそうだ。まるで月人がいた時の服装だと思った、ギャルっぽいし。永琳が一枚噛んでると聞いたが真実なのか不明だ。参道から華扇が歩いて来たが、今回は右手に鬼饅頭を持ち、口の中に入れて食べている。雷獣はいつも通り華扇の左肩にいる

 

「お待たせしました弘様。今までの話は萃香から聞いていますので、早速向かいます」

 

「待った、焦っちゃだめだよ華扇。ヤマメとパルスィがいるんだよ、この二人は絶対に弘に従わせなきゃいけない。あの二人強いからね」

 

「パルスィは男嫌い。一応ヤマメとパルスィは鬼だから勝負に勝てば従うと思うけど、キスメは鬼じゃないからね。ヤマメに勝てば芋づる式にキスメも従うと思うけど」

 

萃香が霧から実体化し、華扇を引き留め、瓢箪の中にある酒を飲みつつ考えているがいい考えが出ない。俺もいい案が無いや。しかも勇儀が言うにはパルスィとやらは男嫌いと来た。ふむ、俺が萃香と勇儀と華扇を仲間にしたときも鬼が酒が好きで勝負好きそして嘘が嫌いと聞いたからあの酒飲み勝負にしたわけだが、今鬼ころしは底をついて無くなっている。作るにしても数週間はかかるので前と同じように酒飲み勝負は出来ない。何か良い案は・・・・・・・おっ、閃いた。

 

「いい考えが出た、気にせず行って暴れて来い。後 向かうなら紫にスキマを開いて貰い向かえばいい、徒歩で行くなよ」

 

「そうかい。じゃあ早速 紫に頼んで向かうとするかね」

 

勇儀は俺に近づいて両手を勇儀の尻辺りに回して組みながら顔を突き出し、唇と唇が軽く触れ合うだけのキスしてきた。勇儀は両手を後ろに回したまま数歩離れ、麗しい表情で笑った。萃香はそんな事を気にせずいつも通りに話しかけるが。華扇は今のを見て照れてるのか赤面だ。まあ、夫婦のスキンシップだから別におかしくは無いけど。今する事かと聞かれたら何も言えないが

 

「そう言えば、これが初めてだね。夫婦らしいことをしたのは。でも前に胸やお尻を揉まれた事もあったから二回目か。悪く無いよ、私が妻で旦那がいて夫婦として心の交流をする行為ってのは」

 

勇儀は右手で上唇から下唇へとなぞりながら微笑んだが、言葉だけを聞いていたら何だか俺セクハラ親父みたいじゃないか!!いやいや、俺と勇儀は伉儷、夫妻なのだ。だからセクハラじゃない、夫婦の戯れなんだ。しかし勇儀を見たら何て見目麗しい表情なのだ。勇儀を見ていたらいつもの衝動に駆られ勇儀の両肩を両手で掴んだ

 

「勇儀、俺の妻になってくれ!!!!」

 

「もう私 弘の女房だよ」

 

「あ、そう言えばそうだな。衝動とは怖いな」

 

「はいはい、二人とも乳繰り合ってないで行くよ勇儀。紫は神社の中にいるから中に入るよ。華扇もね。あ、弘。パルスィは少し変わった耳だから見たらすぐに分かると思うよ、ヤマメはいつも片手に桶を持っていて桶の中にキスメもいるからヤマメも分かりやすいし」

 

萃香は霧から実体化して俺にパルスィの事を教え、勇儀と華扇を引っ張って中に入った。俺は今思いついたことを始めようと俺も神社の中に入る。俺は神使である、藍、てゐ、ナズーリン、影狼、星と増やしてきたが神使を増やしたのは藍の仕事の負担を減らす為なんだ。戦力としては最初から数えてない、時と場合によっては働いてもらうかもしれないが今は使うときじゃない。ルーミアはともかくキクリも大妖怪だが、キクリはただ地球に来て色んな事を知って貰う為だから戦わせる訳にも行かない。ルーミアは防衛戦に徹してもらうから連れてはいけない。空き巣にして乗っ取られたら元も子もないからだ。ある人物を探してうろうろしてると廊下にいたので頼みごとをする為に近づいて声をかけた

 

「ここに居たか、悪いが頼みがあってな」

 

頼み事を終えて神社から出ようとしたが。一度、試しておこうか。俺の右手にある脇差、刀身を右手で抜き、鞘を左手で床に置いて、右手に刀身を持ち、腰を屈め、左手を床に、手の甲が上になる様に置き。右手にある脇差の切先を左手の手の甲に思いっきりぶっ刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

萃香様から弘天様が集まってくれと聞いて神社の外、鳥居の近くに幽香様と待っていますが、中々弘天様が来ません。紫様は幽香様と一緒に神社の中にいたんですが萃香様達に捕まりスキマを広げ鬼達がいる場所まで送るそうです。

 

「まさか、こんな日が来るなんて。腕が鳴るわね」

 

「幽香様は変わりませんね。肝が据わっています。鬼が数人ならいいんですが大群と聞いていますからね」

 

ですが私達の出番はなさそうですけど。念の為に連れて行かれるみたいですから。諏訪の国で生まれた私が諏訪の国に住み、関わる事になる事になるなんて。こんな事もある物なんですね。私は諏訪の国にある美鈴湖で生まれました、今の話を聞いて私の名、紅美鈴。この名を見ればお分かりかと思いますが、紅は私の髪色を、美鈴は諏訪の国にある美鈴湖という名を頂きました。実は私、諏訪の国に結構関係があるんですよ。生まれと名が諏訪の国に関係してますからね。それと美鈴湖ですけど湖と言ってもまだ小さいです、でもいずれは大きな湖になる日を見てみたいですね。私は妖怪ですがまだ百も生きていない若輩者。早く年を重ねたいものです。妖怪は長く生きれば生きられるほど妖力が高まり強力な妖怪、大妖怪になりますから。後は畏れられればられるほどですね

 

「幽香様。私、決心しました。私は諏訪の国に、弘天様に仕えます」

 

「そう。良かったわ。じゃあ妻になるのよね?」

 

隣にいる幽香様は私を無表情で見上げ、聞いてきますがその話については即答できないです。私の意気地なし。幽香様は私の考えを予想していたのか落ち着いていますけど、幽香様が驚く所なんて想像できません。それは怒った所もですが。

 

「心配しなくても大丈夫でしょうけどね。もう落ちてるから」

 

「落ちてるって何がですか?空から何か落ちて来てるんですかね?」

 

私は空を見上げてみましたが太陽と青空と雲しかありませんでした。空を見ても何も落ちてきている形跡はありませんね。幽香様は背を向けていましたが、顔だけ振り返り、お馬鹿。と言いながらため息を出して舌を出しながら

 

「鈍感」

 

と言いいました。一体何が鈍感なんでしょうか?首を傾げる私に幽香様はあきれ果てた表情です。

 

「まさか本当に気付いて無いの?自分の事なのに」

 

「気付くとは何がでしょうか?もしや敵襲ですか!?気付きませんでした、すいません幽香様!!!」

 

「これはもう駄目ね。天然って奴かしら。あと少しなんだけど、何か強力な出来事が無いと駄目な気がするわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社から出たら紫、幽香、美鈴がいた。他の者は防衛戦に徹してもらう。鬼達に勝っても諏訪の国を空き巣にして乗っ取られたら話にならんからな。例えば咲夜の能力とか守りには最適だし。守りに入っていてもらった方が助かる。ぬえはそもそも諏訪の国に住んでないし仕えてる訳でも、俺の妻な訳でもないから関わらせるのは駄目だ。鬼は卑怯な事をしないから護衛なんてそもそもいらない、幽香と美鈴も守りに回すかと考えたがやっぱり連れて行くことにした。美鈴から話があると言われたので内容を聞くと仕える事に決心したようだ。ならば最初の命を下してみよう

 

「そうか。ならば最初の命令をさせて貰おうか」

 

「はい!何なりとお申し付け下さい!!」

 

元気がいい事だ。だが、これを聞いたら無くなるだろうが。俺は右手に持っている脇差を美鈴に渡そうと思い右手の手のひらに乗せている脇差を取りやすいように手のひらを上に向け柄を美鈴に向けた。後は美鈴が鞘に収まっている刀身を抜くだけだ

 

 

「うむ、俺の右手にあるこの脇差で俺を刺してくれ。あ、心臓辺りに頼むぞ」

 

「・・・・・・はあ!?」

 

美鈴はいきなりの事で茫然自失してる。だが必要な事だ。ヤマメとパルスィを仲間にする為にはこれは必要な事だ。しかしこれは幽香と紫にはさせない、美鈴じゃないとだめなのだ

 

「美鈴。本当に俺に仕えたいなら俺をこの脇差で刺せ、それが出来なければ美鈴は俺の女にしないし、仕えさせる話も白紙だ。まあ、はっきりいって俺を刺さない方がいいと思うぞ。刺したら俺に仕えるばかりか、妻にならなければならんのだからな」

 

「そ、そんな事私に出来る訳が!」

 

「難しく考えず、もっと簡単に考えるんだ。要は俺を刺せば俺に仕えて妻になる。刺せなければ俺に仕える事も無ければ、妻にならなくてもいい。どっちを選んでもいい。元々美鈴は暫くここに居るだけという話だったからな」

 

「・・・・・何てお方なんですか。最初の命が仕えるはずのお人を刺せだなんて。私はただ仕えたいだけなのに、むごい仕打ちです」

 

美鈴が俺の右手にあった脇差を受け取り、脇差の柄を両手で持った。これは実験なのだ、鬼共に勝負を吹っ掛け勝つために知る必要がある。美鈴の甘さは時に弱点になる。その甘さを捨ててはいけないが、もしもの時は非情にならなければいけない。例えば、俺は今は王な訳だがいつ民を苦しめる暴君になるか分からない。俺が暴君になったら誰かに殺してもらわなければならないんだ。迷いがあったら俺を殺す事は出来ないだろう。だから心臓に刺すように命じた。美鈴は覚悟を決めたのか、柄にある両手をしっかりと握りしめて刀身の先を俺に向けた

 

「・・・・・・・・じゃあ、行きますよ弘天様。」

 

「いつでもいいぞ」

 

美鈴は走り出して脇差を俺の心臓に刺した

 

 

 

 

美鈴が俺を刺し終えたので、美鈴は地面に脇差を投げ捨て、俺に抱き着いて来た。美鈴の背中に左手を回し右手で頭を撫でつつ思ったんだ。紅は園生に植えても隠れなしという言葉がある。守りに徹する美鈴は地味かもしれない、だが守りで紅は園生に植えても隠れなしと言われる女になって欲しかった。丁度美鈴の髪色は紅だしな。諏訪の国の攻めで名を知らしめる事にしても美鈴は目立たないだろう。幽香や鬼の三人が真っ先に出るからだ。だからこそ、守りで美鈴の名を轟かせる為にもしもの時の覚悟が必要だった。例えば、他の者は必要なら俺を殺すし俺を切り捨てる事が出来る。だが、美鈴はそれが出来る妖怪じゃない。まるで人間みたいに甘く、だが妖怪の女性だからだ。

 

「よしよし。辛い事をさせてしまったな。済まない美鈴。だが時には王である俺を殺す事もして欲しいんだ。仕える前に美鈴にはそれをして欲しかった、二つのうち一つしか取れないなら俺を切り捨てて欲しいからな、美鈴両方取ろうとしそうだし」

 

「私の、初恋。初恋相手がこんな人だなんて・・・・・もうやだー!!!バカバカバカバカバカーーーーー!!!!!大ッ嫌いーー!」

 

美鈴は抱き着いて離れず子供みたいに泣きじゃくり、美鈴は両手の拳を握り、俺の胸筋辺りに何度も叩いた。美鈴が抱き着いてるので左手で背中を撫でて幽香に話しかける。どうでもいいが地面に落ちてる脇差はぽっきりと折れてる、妖怪の力は強いから人間が作った刀はすぐに傷むな。

 

「美鈴が泣き終え、紫が来たら鬼の所まで向かうか幽香。それと俺の左手にある羽衣を幽香が纏ってくれないか」

 

「ええ。分かったわお父様。良かったわね美鈴、仕える事が出来るばかりか妻になれたんだから」

 

「良くないですよ幽香様!!!」

 

美鈴は涙目で後ろにいる幽香に振り返ったが、また俺の胸に顔を埋めて来て泣き出した。美鈴の胸が俺の胸に当たっていてとてもいい

 

「すまん美鈴。だけどそんな顔も好きだぞ」

 

「泣き顔を見られて好きだと言われてもちっとも嬉しくないですよ!!」

 

美鈴は俺の両頬を引っ張ったが結構痛い。妖怪は人間より力が強いので、美鈴も見た目通りなら力はひ弱に見えるが、実際は怪力だ。人間と比べたらだが。だから幽香はともかく紫に腕相撲で勝てるのはいない。神社から紫が出て来た、鬼の所に向かう為、紫に頼もう。

 

「紫、スキマで俺と幽香と美鈴を南木曽岳の上空に連れて行ってくれないか」

 

「いいけど。私はどうしたらいいの」

 

「この場で待機だ、神社の中で寛いでいてもいいが俺の近くに常に小さめにスキマを近くに開いて、紫は俺の監視役だ。もしもの時は幽香と美鈴を諏訪の国にスキマで連れて行ってやってくれ。後、俺に何かあったらこの手紙を永琳と諏訪子に見せておけ」

 

「お父さん。もしもって、この手紙もしかして」

 

「俺に何かあった時だからな。何も起こらなかったら捨てておいてくれ」

 

紫は逃がし屋をしてもらう。まあ、大丈夫だと思うが念の為だ。勝負内容があれなので俺が無事に生還出来るか分からない。しかし美鈴は泣き終えたが、俺の左手に抱き着き離れようとしない。しかも俺の左腕を美鈴の巨乳で挟んでるので慶福。

 

「美鈴、あのな」

 

「嫌です!私は離れませんからね。逃げないで下さいよ弘天様!!これは家妻としてのお願いです!」

 

離すなよと言おうとしたが、自分から離れる気は無いと来た。ラッキーと思い紫にスキマを開けて貰い向かった

 

 

 

南木曽岳の上空に出たので見下ろしたが高い、高すぎる。高所恐怖症じゃなくてもこれは怖いな。今は幽香が羽衣を着てるので空を飛んでいる。幽香に俺と美鈴を支えて貰って飛んでいるから落ちる心配はないと思うがそれでも怖い。望遠鏡で周囲を探った。この望遠鏡は永琳と河童が作った物だ。前々から永琳が蔵で何してるんだと思ったら河童と共同で望遠鏡以外にも作っていた様だ。限られた材料で何かを作るのは楽しいと永琳が言ってた。まあ、望遠鏡は簡単に作れるからな。もし材料が欲しいなら月に行けばいいだけだが。望遠鏡で周りを見ていたら一瞬だが森に女性の姿が見えた。しかも複数人。こんな山に人間が来る訳がないし、鬼かもしれないと思い。幽香に頼んで地上に下ろしてもらい見えた所まで歩いて行くが、道に雪が積もっていて歩きにくいし寒いし木に積もってる雪が落ちて来たりで鬱陶しいが何とか先に進んで行くと、鹿の死体があり、女の鬼が鹿の腹を腕力で引き裂いていた。えー・・・・・力で無理矢理腹を掻っ捌くのか・・・・・・鹿の周りは雪があって雪の白い色のせいで目立つ血しぶきがある。食料の為に殺したんだろう。女の鬼の体や両手は血まみれになっているが、なぜか女の鬼の隣、雪の上に小石が積まれている。鬼女に声をかけようとしたら鬼女が隣に積んでいた小石を右手で掴み、、投げるぞ。言ってから立ち上がって俺に向けて投げて来た。鬼の力は女といえど強力なので物を軽く投げても威力が半端ない。当たったら即死は免れないな。美鈴が近くにあった小石を拾い、女が投げた小石に目掛け投げると撃ち落とした。撃ち落とすとは美鈴は器用だな。美鈴が俺に無事ですかと聞いて来たが、大丈夫だと返して、左手で美鈴の頭を撫で、右手を上げて話しかける。

 

「おー怖。まあまあ鬼さん。まずは落ち着いてくれ。俺は神なんだが、実はヤマメとパルスィと言う女性を探していてな、お目にかかりたいんだが会わせて貰えないだろうか」

 

「・・・・・神が姉さん達に何の用なんだ」

 

「勝負しに来たんだよ。女の鬼の族長達とな。俺の名は 弘天 あんたの右手にいるのが美鈴、左手にいるのが幽香だ。よろしく」

 

鬼は数秒俺の目を見つめ、見終えたら、着いて来いと言われて鬼女の背に幽香と美鈴を連れて向かった。鬼は卑怯な事をし無いとは言え、投げるぞと言ってから急に小石を投げてくるのはやめて欲しい物だ。女の鬼は俺達の前を先行しながら背を向けて名を名乗った

 

「私の名は呉葉、いや。紅葉だ」

 

女の鬼、紅葉は獣道に入って行ったので俺達も獣道の先へ進む。奥に進んでいくと滝が見えた。と言ってもそこまで大きな滝じゃないが。南木曽岳には女滝という物があり、そこに鬼女が群がって酒を飲みつつ談笑している。それぞれ木にもたれ掛ったり岩に胡坐を座ってるのもいるが、俺達に気付いて話し声が途絶えた。俺たちを連れて来た紅葉が他の鬼と話をし始め、奥に連れて行かれたが、横30m、高さ10m、奥行き6mくらいの洞穴があった。女は洞穴の近くにある大岩座って酒を飲んでる。が、女の右手にお猪口を持っていて何か酔っぱらってるように見える。鬼は酒に強いからどれだけ飲んでも酔っぱらう事は無く、基本は素面なのだ。鬼ころしは別だがな。金髪の鬼は立ち上がるが足取りが覚束無く、千鳥足で近づいて来た

 

「聞いたよぉ、私ともう一人と勝負しに来たんだってねぇ。で、勝負をしに来たって聞いたけど何の為にするんだい?私達これでも忙しいんだけどねぇ」

 

「俺は諏訪の国の神、弘天だ。何の為に来たかなんてこれで分かるだろう」

 

この女の鬼が頭の一人か。合点が行ったのか、あぁー。諏訪大明神ねぇ。と頭を痛そうに抑えてる

 

「成程、どうやって情報を掴んだか知らないけど私達の目的を分かってるみたいだ。神気を感じるし神と言うのも嘘じゃないみたいだねぇ、あんたを今この場で殺せば諏訪の国は私達鬼の物になる訳なんだけど、その辺分かってるのかい」

 

「鬼は正々堂々と生きてる種族だ。数に任せて俺を殺す事はしないだろ」

 

幽香と美鈴を連れて来ているが、念の為だ。俺が死んだ時、勝負に負けた時は諏訪の国に伝えて欲しいから連れて来た。力で鬼を従わせるのは萃香達の役目だ

 

「鬼って言っても色んなのがいるんだよ。全部の鬼が嘘を嫌ってる訳でもなければ、卑怯な事をするのもいるんだけどねぇ?」

 

どうでもいい。要は俺が勝負を鬼に吹っかけ、それに俺が勝ち、女の鬼共を俺の召使にするのだ。召使と言っても奴隷的扱いではなく、実際は天狗と河童が住んでる八ヶ岳に住んで貰ってあそこに住んでる知能が低い妖怪を懲らしめて欲しいだけなんだが。最近妖怪の数が増えて来てるし、誰かが八ヶ岳を管理しなきゃいかん。萃香じゃ対処できない時もあるだろうし、にとりとの約束もある。もう一つ理由があるが、だからこそ鬼を引き込むのだ。鬼が管理してる山なら雑魚の妖怪も従うし、河童も平和に暮らせる。天狗が住んでる頂上付近に妖怪は来ないから天狗は平和なもんだがな

 

「御託はいいから勝負を受けるのか受けないのかはっきりしてくれ」

 

「そうだねぇ。まずは勝負内容を聞こうじゃないのさ」

 

「俺の右手に持っているこの刀を使い、一度だけで俺の首を切り落とせたら鬼の勝ち。諏訪の国を丸ごとくれてやる。だが切り落とせず、俺が勝ったらお前達鬼女は俺の女中にして、諏訪の国に、俺に仕えて貰う。分かりやすくていいだろう」

 

女は酔っている様子だが、不審な表情。この条件、鬼だけにうますぎるのだ。だが、基本鬼は相手を疑う事はしない。どんな事でも信じてしまうほど純粋な種族だ。萃香達もあの時の酒飲み勝負に使った鬼ころしに毒が入ってるのかもしれなかったのに疑わずに飲んだしな。

 

「あんた、鬼を仕えさせるって意味わかってるのかい?」

 

「分かっている。だが今回が初めてではないんでな、それに、抑止力が欲しいんだよ。強力な抑止力が。だからお前達が欲しいんだ」

 

女は、抑止力ねぇ。と右手に持っていたお猪口を口に蓋って飲み、吐息を漏らす。椛や萃香が言うにはどうも最近人間共の動きがきな臭いと聞いた、椛については説明はいらないだろうが萃香は能力で諏訪の国の土地全体を監視しているからだ。だが勿論諏訪の国の民の事じゃない。諏訪の国に入り込んでる他国の人間だ、雲行きが怪しくなってきて目に余りつつあるので抑止力が必要かもしれないと考えた。諏訪の国からしたら妖怪がいるのは当然だ、だがそれは諏訪の国や大和の国の話。他国の神はともかく人間共はそれが異常だと考えてるのが多い。なにせ俺は神使だけならともかく、神使じゃない妖怪まで国に住まわせているからだ。だから鬼が必要だ、人間に対する抑止力として。まあ、人間だろうと妖怪だろうと神だろうと俺の邪魔をするなら消し去るだけだ。女だとしても例外ではない、俺の邪魔になるならこの世から消すまで。強そうで使えそうな奴なら引き込むが、抵抗するなら月に連れて行って、頭を開き脳みそでも弄らせるか

 

「まぁいいや。難しい事は考えないでおこうか。要はあんたの首を一度で落とせば諏訪の国が丸々 私達の物になるってことだねぇ?悪く無いね、首を斬りおとせたら諏訪の国が私達の物になるんだから私達の目的も達成する。よぉし、この話受けるとするかねぇ」

 

「ちょっと待った!」

 

俺の背にある森の奥から声がしたら、周りを囲んでいた鬼女たちが広がり道を開けて奥からまた金髪の女性が来た。その女性の三振りの刀が腰に差してある

 

「あんた、勝負するのはいいけどその刀に何か細工でもしてるんじゃないでしょうね。真剣勝負に水を差すような事をしたら殺す・・・・・わ・・・・・・よ」

 

ふむ、確かにそう思うのは当然か。何せ俺から勝負を仕掛けて俺の刀で俺の首を切り落とせたら鬼の勝ちって話だからな。俺が勝負内容を提案してるから疑う気持ちがあるのは分かる。だが、奥の林から来たこの女、最初は目を瞑って喋っていたが、最後に目を開け、俺を見つめているが。急に俺を見る視線が変わったような気がする、一体何だ

 

「ならば、あんたが腰に差している三振りの刀でもいい。それを使って俺の首を切り落として貰おうか。俺は一歩も動かないから好きな時にやってくれ」

 

鬼には約束さえして俺が勝てばこちらの物だ。鬼は嘘をつかないし、約束を破るなんて事が出来る種族じゃないからだ。だから一度約束した事は絶対に破らない。片方の女の鬼は髪色は金、髪型はポニーテール、茶色の大きなリボンで髪をとめている。服装は黒色の上着の上に、茶色のジャンパースカートを着て、胸辺りに飾りボタンが六つある。スカートの上から黄色いベルトみたいなやつをクロスさせつつ何重にも巻いている。右手に桶を持っていて中には少女がいるが寝ている様だ。もう片方は金髪のショートボブ、耳は先の尖ったエルフ耳みたいな感じ。服装はペルシアンドレスに似ている

 

「い、いいわよ。だけど貴方の首じゃなくて右腕を切り落とす勝負内容にしてよ。それと私が勝ったらを貴方を生かすも殺すも私次第に追加してくれない?」

 

「まあ、構わんが。じゃあ早い所やってくれ」

 

俺が承諾して傾き、右腕を差し出した。三振りの刀を持っている女性が俺にを指し、もう一人の金髪の鬼を見て昂ぶッた様子で自分がこの勝負を受けてよいか聞いた。幽香と美鈴は落ち付いていて、二人は目を閉じじっと立っている。二人とも勝負の邪魔をする気は当然ない。

 

「いいいいい、いいわよね?私がやっちゃってもいいわよね!?」

 

「何を焦ってるんだいあんたは。好きにおし、私の妖術よりもあんたの神通力の方が神には効きそうだからねぇ」

 

「ああああ、焦ってない。焦ってないわよ私は」

 

三振りの刀の一つを鞘から抜いたが、とても切れ味がよさそうだ。だがあれは妖刀、もしくは魔剣の類。見ていてそう感じた。あれならすっぱり右手を斬れるだろう。刀を持った女性は鞘から抜いた刀身を俺の右手に軽く当ててから、頭上に刀身を上げたが、何故か一度刀を下ろし、急にモジモジしながら俺の名を聞いて来た

 

「あ、貴方のお名前聞いてもいいかしら」

 

「ん、名前か。俺、蓬莱山 弘天って言うんだが。あんたの名も教えてくれないか」

 

「わ、私の名!?聞きたいのね?どうしても聞きたいのね!?しょうがないわね。そこまで言われたら答えるのも吝かじゃないわよ」

 

最初は気が動転していたが、上機嫌になり女が右手の手のひらを鎖骨辺りに当てて名乗った。

 

「私の名は」

 

彼女の名を聞き終え、どこ出身かも教えてくれたが、やはり、そうだったようだ。彼女はこの大陸の者じゃない。何せ、天竺にいるはずの第六天魔王の娘と来たんだからな。名を聞き終えて話は終わり後は俺の右腕を切り落とすだけだ。彼女はまた刀を頭上まで上げて振り下ろす体制に入った

 

「行くわよ」

 

彼女は刀を振り下ろして俺の右腕に接した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪路王達鬼は、奥三界岳を越え諏訪の国までやって来た。麓に着くと、前方には女性三人が待ち構えていた。

 

「貴様らは、萃香と勇儀と華扇ではないか。何しに来た、と言いたいが検討は付いている」

 

「おや、その口ぶりからして私達がこの場にいる理由も分かってそうだね。分かってるなら話は早い。実は私達、あんた達に話があってね、だから三人で来たんだよ悪路王」

 

勇儀が答え、次に萃香が右手に持ってた瓢箪を軽く呑み、飲み終え、一息ついた

 

「その話はね、私達の王が鬼達を叩きのめせてと仰せなのよ。だから叩きのめしに来たの」

 

「冗談、ではなさそうだな。予想通りだが」

 

「ええ。残念ながら冗談ではありません。悪路王」

 

華扇は右手に少しだけ残っていた鬼饅頭を口にいれて、数回噛み、呑み込んだ。華扇の左肩に乗っている雷獣は毛を逆立てている。雷獣とは、雷を呼ぶ事が出来る妖怪だ。だが雷を呼ぶと同時に毒を放ち、毒に当てられた者は何も考えられない廃人になる。その毒に当たったものは、トウモロコシを芯ごと噛み砕き飲めば治ると言われていが雷獣はなりは小さい、しかし面倒な妖怪だ。

 

「待て、聞きたい事がある、お前達三人の事は聞いている。お前達三人が諏訪大明神に仕え、人間どもと共存していると。これは事実に相違ないか華扇」

 

「相違ありませんよ犬神丸。事実です」

 

華扇は左肩に乗せた雷獣に右手の人差指で雷獣の頭を優しく撫でつつ雷獣を落ちつかせて答えたが、それを聞いた大男、大嶽丸は体を震えさせ、腹から怒声をあげた

 

「恥さらしどもが!鬼が神に仕えるなど我ら鬼の名を汚すつもりか!それだけならまだしも人間と仲良く共存するだと?鬼とは、妖怪とは人間の恐怖心から生まれ、嫌われ畏れられ、人間を攫い喰う存在なのだぞ!その鬼が、妖怪が人間と、食料と仲良くしてどうする貴様ら正気か!?」

 

「何言ってるんだい大嶽丸、私達以外の鬼が神に仕えるのもいるじゃないか。約束したんだ。鬼は嘘をつかない、だから人間に手を出さない。人間を喰わなくても美味しい料理を作ってくれるから人間を喰う気も起きないけどね」

 

と言っても、実際は改心してだ。鬼子母神がいい例だね、鬼子母神は神になってるけど。鬼ってのは人間の金品を奪い、人を喰らう、もしくは人間と勝負し、勝ったら負けた人間を攫うという鬼もいる。だが最終的には英雄と呼ばれる人間に倒され、改心し仕えるといった事しかない。実際は殺される方が多いけどね、勧善懲悪と言う事だ。初めから特定の人物に仕える鬼なんていない。私達鬼はどんな時でも最初は人間の敵だ。鬼でありながら神の存在もいるけど。あの子みたいにね。しかし、この考えがコンガラもだけど私達には合わなかったから旅に出た訳だ、結果的には良かったかもしれないね。毎日が楽しいし、鬼ころしも美味しいし、食べ物も調理が美味い者がいるから不便もないし、この私が惚れた旦那もいる。贅沢を言えばもう少し戦える奴が欲しいけどね

 

「俺様はそんな事認めんぞ勇儀!鬼は神や人間なんぞと共存せん!これからも人間の恐怖心の象徴、敵として好きな様にただ不羈奔放に生きていくのみ!!それが鬼の存在理由だ!だから俺様は、人間の恐怖心の象徴である鬼が人間共と仲良く共存するなど断じて認めん!」

 

「言いたい事は分かるよ大嶽丸。だけど鬼はいつまでもそれだけの存在理由じゃダメだよ。それだけを存在理由としていたら鬼という種族、違う、鬼だけじゃない。妖怪はいずれ消えてしまう。まあ私は諏訪の国が面白いからいる訳だけど、民も私達に畏れず手合せを頼む者もいるからね。悪路王はどう考えてるの」

 

萃香が悪路王に問うたが、悪路王は今までの話を目を閉じ佇むんで聞いていたのでいい考えは無いかと聞いたのだ。だが悪路王は瞼を上げて首を振った。確かに鬼はその生き方が普通かもしれない。だが、コンガラ、萃香、勇儀、華扇は大嶽丸達を過激派だと感じ4人は旅に出たのだ。何事も限度がある。やりすぎては鬼は人間、または神に鬼という種族を滅ぼされるからかもしれないと考えた。だからこそ4人は悪路王達鬼とは距離を置いた。人間同士でも分かり合えない、価値観の違いで理解できない者は必ずいる、人間にも色んな人間がいる様に、そこは鬼も同じだ。鬼達も正々堂々と勝負し、負けてしまったなら滅んでしまっても別に構わないと考えている、だが悲しい事に神はともかく人間に例外はいるが鬼に力で適う訳が無い。鬼の前で人間は力では無力、為す術がない。そこで頭を使うだろう。しかし頭を使うと言う事は、純粋に力勝負をするのではなく、罠を仕掛けたりして鬼を1人ずつ減らしていき、鬼達を滅ぼすと言う事なのだ。それでは鬼達は納得する訳が無い。例え人間たちが力のかわりに知恵で差を埋めようとしても人間は鬼に卑怯者呼ばわりされるのが落ちだ

 

「各々の考えがある、だが折衷案が無い。元々我らは袂を分かったのだから当然だがな。ならば手段は一つだ。我らを従えたいなら正々堂々力で勝負し、力で無理矢理従えさせ我らの負けだと納得させろ。それが鬼だ、当たり前だがもし我らが負けたとして、従うのは諏訪大明神ではなく、萃香、勇儀、華扇に従うのだ。念の為に言っておく」

 

弘は初めから悪路王、大嶽丸、犬神丸、男の鬼達を従えようとはしていない。最初から弘が狙ってるのはあの二人と女の鬼達だけだ、だから二人以外が弘に従わなくても問題は無い、何故なら私達が勝てば悪路王達は私達に従う、弘に仕えている私達に従うと言う事だからだ。だがあの二人は弘に仕えて貰わなくてはいけない、必要だからだ。特にあの三振りの刀を、大通連、小通連、顕明連を持ってるあの鬼姫、鬼神は特に必要だ。神通力も使えるからね、もう一人は妖術も使える、これも必要になる時が来る。だからこそ、二人を弘に仕えさせる必要があるんだよ。女の鬼は女だから、弘が欲しがるだろうけど男の鬼はただ力が強いだけで他にはこれと言った事がない、力だけなら私と萃香と華扇だけで十分だ、だから絶対に悪路王達が必要かと問われたら必要じゃないね。だけどこのまま放っておいたら悪路王達は人間、もしくは神に殺されるだろう。その前に引き込まなきゃいけない、そして私達に従わせる。悪路王達は美濃国と諏訪国の境目を越えて諏訪の国の土地に入ってきている、諏訪の国に入って来てるなら郷に入っては郷に従えだ。いらぬお節介とは言え同族が殺されてしまうのを見ているだけなんて私達には出来ないよ。鬼の目にも涙だね

 

「分かってるよ。それで、勝負内容はどうするかね?」

 

「我は全戦力をぶつけ合うつもりはない。我らはあくまでも正々堂々と勝負し白黒はっきりさせる。我と大嶽丸と犬神丸が出よう。勝負内容は三回勝負、我らか、もしくはお前達、どちらかが二回勝てばいい。勝てば官軍、負ければ賊軍だ」

 

「じゃあまずは私からだ。私の相手は大嶽丸で頼むよ、華扇は犬神丸を、萃香は悪路王を頼んだよ」

 

勇儀が前に出てくるが、あの赤い盃は持っていない。赤い盃の名は 星熊杯 という物。神社に置いて来たのは全力を出すのに邪魔だったからだ。

 

「ふん。俺様を選んだ事を後悔するんだな勇儀」

 

「後悔なんてしないよ。お互い力に長けているんだ、いい勝負相手じゃないか」

 

悪路王、大嶽丸、犬神丸に勝てば他の鬼も降す事が出来る。だが、言い方を変えると勇儀達が負けたら勇儀達は悪路王達の傘下に入らなければならない。勇儀達は悪路王達に負けたら降れと言った。それはつまり勇儀達が負けたら悪路王に降ってやると言っているのだ。

 

「俺様は三大妖怪の一人に数えられた大嶽丸!来い勇儀、俺様を力で無理矢理従えて見せろ!!」

 

大嶽丸、鬼にも 泣いた赤鬼 みたいな鬼がいていいんじゃないかい。悪を貫くのも結構な事だけど、それだけじゃ私は面白くない。コンガラ、萃香、華扇、ヤマメやパルスィはどう思ってるか知らないけどね。だけど私は、鬼の定義を一つだけにしたくないんだよ。

 

「私は諏訪の国に仕えている鬼の1人 星熊 勇儀 王の命令によりお前を諏訪の国の王ではなく、王に仕える私達に降してやる。怪力乱神の異名は伊達じゃない所を見せてあげるよ!」

 

勇儀と大嶽丸はぶつかり合うと、地面にクレーターが出来るほどの衝撃を放ち、地は大きく揺れ、嵐でも来たんじゃないかと思うほど風が吹いたが、双方の鬼はただ黙って酒を飲み、勝負の行く末を眺め、萃香も酒を飲んでいたが、隣にいる華扇を見てみると華扇は真剣な表情でどこから取り出したのか右手にある鬼饅頭をまた食べ始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は最初いきなり来た、神と言っている男を三振りの一つ小通連を神通力で抜き、殺そうかと思った。男なんてこの世から無くなればいいと思うけど、そんな事になったら子孫を残せないから口には出さない。だけど、この男、男性を見ていると何だか。この気持ちの正体は分からない、でも急に目の前にいる男性の名を聞きたくなって、小通連を頭上に上げていたけど一度下ろした

 

「あ、貴方のお名前聞いてもいいかしら」

 

「ん、名前か。蓬莱山 弘天って言うんだが。あんたの名も教えてくれないか」

 

名、名前!?どどどどどうしよう。何て答えたら、いや、落ち着くのよ私。ただ名を聞かれただけじゃない!愛の告白をされた訳じゃ無いんだから!!

 

「わ、私の名!?聞きたいのね?どうしても聞きたいのね!?しょうがないわねそこまで言われたら答えるのも吝かじゃないわよ」

 

男性の容姿を見てみたけど正直これと言って特徴も無ければ対して男前でもない。そこら辺にいそうな普通で平凡な男性。でも、なぜかこの男性に胸をときめかせ私の胸は動悸が激しく高鳴り、顔は熱でもあるんじゃないかと思うくらい熱く耳までもが熱くなり、頭はくらくらして目の前にいる男性から目を離せない、今の私の表情はきっと忘我だ。まさかと思うけどこれは、俗に言う一目惚れ?この私が?

 

「私の名は滝夜叉姫と呼ばれてるけど、それはこの大陸での名。本当の名を教えてあげる」

 

私は第六天魔王の娘、だけど最近 渾名みたいなもので自称はしてないけど第六天魔王と呼ばれる女性がいる。その子の名は 蘇我 入鹿 と言う女性。豊聡耳 神子とかでも呼ばれてる。私と神子は姉妹なの。神子は何でか知らないけど鬼神じゃなく半神、人間で神。神子は神の部分が強いから実際は神みたいな存在。だけど今は人間の振りをしていて過ごしている。今は大和にいるらしいわね。久しぶりに会いたいけど、今はまだ会えない。平将門も第六天魔王と呼ばれ恐れられてる、でも今は置いて置く。私は諏訪の国に第六天魔王がいると噂で聞いたから今回は付いて来た、第六天魔王は今天竺にいないけど一体どこに行ったのか。

 

「私は、天竺にいる第六天魔王波旬の娘で鬼神。 実名をパルスィ。 よ、よろしくね」

 

名乗り終えた。後はこの、親からもらった三振りの刀、大通連、小通連、顕明連がある。今回は小通連を使おうと思い鞘から抜いて、 蓬莱山 弘天 という名の彼の右腕を斬りおとそうと思い、頭上に刀身を上げて、振り下ろした。これで彼は私の好きに出来る!つまり良人に出来る!彼の右腕が無くなるけど、そこは良妻の私が支えればいいわよね!!!もし私が負けても私達はこの弘天という神に仕えればいいんだから、私にとっては勝っても負けても同じこと。勝つか負けるかなんて結果はどっちでもいい、私が勝てば彼を私の物に出来るし、負けても私が彼の物になるからだ。勿論手を抜かないけどね。だけど、私はただこの 蓬莱山 弘天 の傍にいたい。その気持ちしかない。第六天魔王の事や、蘇我 入鹿 ・・・・はどうでも良くないけど、今はどうでもよくなったわ!!




美鈴湖というのは実際にあります。人造湖ですけどね。しかも長野県にあるんですよ。だから美鈴をあんなに早く出しました、後は戦力を増やしたかったからですけど。八意思兼神も結構 長野県に関係があります。信之阿智祝の祖の話です。

鬼って本当に色んな意味があります。死んだ人の魂だったり化け物、または人間の敵や朝敵としての意味もあります。他にもありますけど多すぎて書けない。土蜘蛛も色んな意味があります。山の民だったり朝敵に敵対した蔑称とも言われています。時代によって言葉なんて変わるもんですけど鬼も土蜘蛛も意味が多すぎる。

今回オリキャラで紅葉という鬼を出しました。紅葉、またの名を呉葉で長野県に伝わる紅葉伝説の話、北向山霊験記戸隠山鬼女紅葉退治之傳全です。最初椛は紅葉伝説の話で出そうと思いました、第六天魔王が出てくるのとどちらも もみじ と読めるからです。が、やめました。鬼はもう十分いるからです。そう言えば、紅葉は秋の季節になる物ですね


なぜパルスィが鈴鹿御前の話が混じってるのかと言うと、パルスィと言う名はペルシャ人(ペルシヤ人)としての意味があるそうです。つまり外国の名みたいな物で、パルスィは外国の人物って事にしてます。古名だと波斯国(ペルシア)です。だからパルスィを鈴鹿御前の話を混ぜました。鬼は外国人説もありますし、鈴鹿御前も外国にある天竺(インド)から来たとも言われてますから。それで二人は金髪でしたので丁度いいと思いましてね。絵ならともかく地の文でだと どっちがパルスィでヤマメか分かりませんから。鈴鹿御前(立烏帽子)は有名なのが第四天魔王の娘とも言われていますが第六天魔王の娘とも言われてるんでこうなりました。ヤマメを鈴鹿御前にする訳にはいきませんでした。名は別にいいんです。鈴鹿御前は鈴鹿山に由来しただけの名で愛称みたいな名ですし、ただヤマメの能力が問題でした。妖怪には効きにくい能力とは言え、人間には効きますからね。その点パルスィの能力はそこまでですので屈強の戦乙女で強キャラにしました。鈴鹿御前は神通力を持っていて、チート妖刀、または魔剣、小通連はともかくとして、大通連、顕明連を持っていますからね。ちなみにヤマメには滝夜叉姫を混ぜていますので妖術が使えます、ヤマメの能力と合ってる感じがするし。パルスィは鬼ですが神扱いで行きます。鈴鹿御前は鬼神とも言われてますし、橋姫も鬼と言われていますが神とも言われていますので

で、あの聖徳太子は本当に、本当に悩んだ内の1人。悩んだ末で蘇我 入鹿にしたのはまあ、蘇我 入鹿はどこぞの戦国時代の人みたいに自称ではありませんが渾名みたいな物で第六天魔王と言われていたのと、神の子、神の血を引く家系とも言われていたのと、聖徳太子はペルシャ人説があったのと、聖徳太子は蘇我入鹿ではないかと言う説もあったので。第六天魔王は仏教の敵とも言われてますが、確か朝廷の敵としての意味でも使われてた筈です。土蜘蛛や鬼も朝敵としての意味でも昔は使われてますね。つまり弘天が支配してる大和。大和朝廷・・・・・でもね仏教や道教。宗教や政治の話を書こうと思ったけどスゲー面倒。基本的に政治もですが宗教の話は色々面倒で複雑すぎるんですよ、この作品はまだスタートラインに立って無いんで書きません。この作品は1+1=2みたいな単純な作品です

てか何だ今回の話は。後半真面目なバトル漫画みたいになってるじゃないか!そういう作品じゃないのに。どうでもいいかもしれませんが南木曽岳で金太郎が生まれたと言われていますね。下に横30m、高さ10m、奥行き6mとか地の文で書きましたがあれコピ・・・・

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