蓬莱山家に産まれた   作:お腹減った

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種は撒いた、後は

書いてて誰かに何かを説明するのって難しいと思いました、頭が良ければなー


山7つ

話を聞いたが、つまり娘と夫婦になって貰ってくれって事なんだろうが、娘の気持ちはどうなるんだ。俺としては嬉しいが娘さんの気持ちを無視して無理矢理ってのも困るな。娘さんの名は、慧音だったか。嫌がってるのに無理矢理嫁いで来ても幸せにはなれないだろう

 

「いくらなんでも使命だからってその慧音って子の気持ちを無視して妻に貰うのは気が引けるんだが」

 

「何言ってるの?子供の結婚相手を親が勝手に決めて夫婦にするなんてこの時代よくあるよ、私の時もそうだったからね、それは神も妖怪も人間も聖獣も同じだよ」

 

都市があった時は当人が納得して付き合い、結婚だったが、この時代は違う。親が勝手に子供の結婚相手を決める時代だ、だからこの時代は親の言う事は絶対で子供はそれに従う時代だ。子供は自由恋愛が出来る時代じゃない、まれに片方、もしくは両方の人間がその相手を一目惚れしてそのまま結婚する話はよく聞く、俺の父さん母さんもそうだったし、神話でもよくある話だ。俺には関係ないと思ってたがそんな事はなかったみたいだな

 

「まあ、そうだな。だがいきなりすぎてな、そもそも俺が善人ではなく暴君かもしれないんだぞ、そんな得体のしれない奴に娘を嫁がせてどうするんだ」

 

「それはないね、弘天は間違いなく暴君じゃない。そんな人間の所なら私はこの国に来てない。白沢は暴君の所には絶対来ないから。だから問題ないよ」

 

また断言した。白沢は不思議な霊獣だな、他の霊獣も白沢と似たような感じなのだろうか。自分の種族を信じてるんだな

 

「それに、天界から落ちたけど、落ちた先は決まってないんだ。地上の景色は天界から見えるけど、何て説明したらいいかなー同じ場所で落ちても毎回違う所に落ちるんだ」

 

白沢は両手で頭を抱えてうんうん唸ってる、上手く説明できないようだ、頭を抱えたまま説明してきた

 

「例えば玄関の段差の上に立ってて段差の下に自分の履物が見える、何回も段差の下に降りてその履物を履こうと思っても履けなくて、履物が置いてる場所以外に降りる感じ、かな。だから運命。宿命だよ。履物に足を入れたら履物の使命を果たす時だよ」

 

分かりづらいがどうやら天界の落ちる先はランダムの様だ。だからこの国に落ちて俺と出会ったから使命を果たそうとしている。この国に落ちたのは偶然じゃないと信じてるんだろう。白沢は前にも天界から同じ場所で落ちたそうだが、その時は海やどこかの山に落ちたみたいだ、だが今回は国に落ちた、白沢風に言うなら親が新しい履物が作って長い時間をかけてやっと自分の履物を履ける時が来た。だから履物の使命を果たすために玄関から外に出ようとと言う事だろうか。履物に足を入れて履いたら外に出て、初めて履物の役目を果たせるって事か。分かりづらい説明だな、難しい説明でもあるが、要は役目を果たそうとしてるだけだ、履物の、白沢という種族の役目を

 

「でも娘を連れてくるって言っても、まだ少し後の話だよ。私も忙しくてね、慧音に立場を譲る仕事や他にもする事あるから。1年以内にまた来るよ」

 

1年、俺からしたら一瞬の時間だ。意外に早いな、この国は諏訪の国だと白沢に伝えると、白沢は、諏訪の国ね。と呟き、白沢は話を終えたのか俺に背を向け神社の反対側にある参道に歩いて行ったが立ち止まって振り返った

 

「忘れてた。麒麟と鳳凰はこの大陸にいるんだけど、鳳凰と麒麟にはそれぞれ山があって、この大陸にあるんだ。その名の通りで、鳳凰山と麒麟山って呼ばれてるよ」

 

「また、また山なのか。どこにあるんだその山は」

 

「麒麟山はこの国から北にある越後国。鳳凰山は甲斐国にあってこの国から東にあるよ。一番近いのは鳳凰山だね、鳳凰も麒麟も今は山にいるよ、でも鳳凰山はもう一つあるんだ」

 

「もう一つあるだと、それじゃあまるで蓬莱山みたいじゃないか。場所は」

 

「出羽国。これは越後国のもっと北にある所。だから相当遠いから行く時は気を付けてね、娘の旦那さんに何かあったら困るから。鳳凰、妹紅はどの山にいるのかなー」

 

なぜこの大陸に海の向こうの霊獣がいるんだ、何かが動き始めているのか。だとすれば一体何が原因で動き始めている、それに蓬莱山と麒麟山と鳳凰山。3つの山が出て来た、しかも鳳凰山は二つあると来た、蓬莱山も二つある、俺は山と関わる運命なのか

 

「あ、言っておくけど甲斐国にある鳳凰山は3つあってね。鳳凰山は3つの山の総称なんだ。地蔵岳・観音岳・薬師岳の3山の総称として鳳凰三山とも言われてるよ、だから鳳凰山はある意味4つあると言う事かな」

 

4つだと!?麒麟山は1つ蓬莱山は2つ鳳凰山は4つ。なんだか足し算してるみたいだ。一体どれだけの山があるんだこの大陸には、俺はもしかして山に愛された山の神、山神なんだろうか。白沢は俺に背を向けて参道の方に歩き出した

 

「じゃあねー弘天!次来るときは娘を連れてくるからねー!!サリエルによろしく言っておくよ弘天!」

 

白沢は振り返り手を振って参道を走って行った。俺も手を振って見送る、どうやって帰るのだろうか。それとサリエルと知り合いだったようだ、嵐のような女だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大和に行こうかと思ったがまた雪が降っていて寒いので神社の中で温まろうと思い神社に入った。居間に着いたら、諏訪子と華扇とレティがいた。お団子を皆で食べてるようだ、それぞれに湯呑が置いてある。華扇とレティは隣同士で諏訪子は向かい側に座ってる、俺は諏訪子の隣に座った

 

「ちょっと父さん、何でわざわざ隣に座るの。向かいに妻が2人いるじゃないさ」

 

「いいじゃないか、娘を間近で見たいんだよ」

 

諏訪子はまだ子供だ、だが身長は子供にしては高い。少しこの部屋は寒い、だから諏訪子に抱き着いて体温を上げる。抱き着いたまま諏訪子の髪を撫でる、永琳に似て綺麗な銀髪だ。髪の根元に手を突っ込んで5本の指を櫛のように髪の毛先まで流しても指が髪に絡まり止まる事はない。髪は傷んでないようだ、さらさらしてる

 

「相変わらず弘様と諏訪子様は仲がいいです」

 

「仲がいいのか私には分からないんだけどね、父さん寒いからって抱き着かないでよ、抱き着くにしても横からじゃなくて後ろからにして。お団子が食べにくいから」

 

「レティに抱き着こうかと思ったが、レティって雪女の一種だろ。抱き着いたらもっと寒くなるじゃないか、そこで諏訪子に抱き着いたわけだ。だからいいじゃないか」

 

「そうですね、私の体温は低いですから。抱き着くと貴方様がさらに寒くなりますからね、少し残念ですけど」

 

華扇はお団子を頬張ってる、華扇の肩には雷獣が乗ってトウモロコシを齧って食べてる、雷獣はトウモロコシを好んで食べるそうだ。雷獣は雷を出せるので雷獣がいたら電気に困らない。電気を使う電気器具が無いけど、レティは冷たいお茶を飲んでる。雪女だし冷たい飲み物の方がいいそうだ、諏訪子は自分の事なのに傍観者みたいな言い方だ。酷い話だ、諏訪子にも常に愛情をもって接していると言うのに、レティが右手を頬に当て微笑した

 

「羨ましいです。貴方様と永琳様の子供ですから、私も貴方様の子供が欲しいです」

 

「んぐぅ!」

 

レティの言葉を聞いて華扇はお団子を喉に詰まらせてしまった。急いで湯呑を掴みお茶を喉に流し飲もうとしたが湯呑の中にあるお茶は少ししか無く、お団子を喉から流せなかった様子、レティの湯呑に入ってるお茶はとても冷たいから飲んだら大変なことになる。だからレティの湯呑には手を出さない、レティは驚いて華扇の背中をさすったがレティは雪女だ。レティの体は冷たい、急に背中がひんやりしたから左手で口を押えた、お茶が出そうになったんだろう。諏訪子は落ち着いて見ながらお団子を食べてる。諏訪子の湯呑にもお茶が無いのでそれを渡す事は出来ない、もう少し慌ててもいいんじゃないか諏訪子。俺はいい考えが浮かんだので立ち上がって華扇の後ろに立った、レティはさするのをやめて俺を見上げる。俺は両手を使い華扇の胸を揉んだが華扇はさらに驚いて立ち上がって俺を平手打ちしてきて、壁に激突した。鬼の力は半端ないので俺は壁にめり込んでる。木製なので壁の耐久性は強くない、痛い、雷獣は華扇が立ち上がる前に肩から降りて床でトウモロコシを食べてる。雷獣が俺を見てるがその視線はどこか軽蔑の眼差しだ。

 

「ぐはぁ!き、強烈。さすが鬼なだけある、見た目は角が生えてる美女にしか見えないのに」

 

「だ、大丈夫ですか貴方様。吐血したようですが」

 

「死んではいないから大丈夫だろう、吐血したけど」

 

レティが立ち上がって壁にめり込んでる俺に近づきレティの右手で俺の頬を撫でた。痛い体に冷たいのが気持ちいい

 

「大丈夫か華扇。お団子が喉に詰まっていたようだが」

 

「どうして喉を詰まらせたときに胸を揉むんですか!?そこは背中をさする状況だと思います!」

 

「驚かすのが目的だったからだし、現に今は団子を喉に詰まらせてないだろう」

 

華扇は気付いたのか、喉に手を当て俺の言ったことが呑み込めたようだ。俺が体を張った代償として充分だろ、餅を喉に詰まらせて死ぬことは諏訪の国でもあるから一大事だった。華扇はお団子だったが。邪な気持ちがあった訳じゃ無いと思う

 

「そ、そうだったんですか。すいません、思い切り叩いて」

 

「あれ叩くとかの威力じゃないと思うんだが。誰か助けてくれ壁にめり込んで抜けない」

 

「すぐに弘様を出します、壁を後で直しておきますね」

 

俺は華扇に腕を引っ張られて壁から抜け出せた。体中が痛い、永琳に診てもらおう

 

 

 

 

蔵に着いた。永琳は蔵の中で何かしてる、何をしてるのかは聞いていない。奥に進むと永琳がいた。俺が声をかけると永琳は俺に背を向け椅子に座ってたが立って振り返った

 

「どうしたの弘、ボロボロだけど」

 

「色々あってな、悪いんだが体を診てくれ」

 

「いいわよ、じゃあ服を脱いで」

 

近くにあった椅子に座って俺は服を脱いだ。永琳は真剣な表情で俺の体の周りを診て背中に回って診てる

 

「大丈夫よ、大した怪我じゃない」

 

「そうか、診てくれてありがとう。じゃあ俺は行く」

 

「ええ、あまり無茶はしないでね」

 

椅子から立ち上がって、蔵から出ようとしたが永琳が何か考えてる様子だ

 

「どうした永琳、気になる事があるのか」

 

「そうね、確認なんだけど。弘の妹ってかぐやって名だったわよね」

 

「ああ、そうだが。かぐやについて話があるのか」

 

「そう、よね。話したいけどまだ話せないの。弘が混乱するでしょうから」

 

永琳は椅子に座って俺に背を向けた、かぐやがどうしたんだろうか。気になるがいつか分かるだろう、かぐやは竜宮城にいて豊姫が傍にいるし何かあっても大丈夫だ、それに竜宮城は海の底にある、そんな簡単に行ける場所じゃない。だから何も起こる訳が無い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弘天。ちょうどいい、弘天に話があるんだ」

 

蔵から出たら、俺の名が呼ばれた。見たらキクリがいた、キクリは空に浮かんでる、キクリは空を飛べると前に聞いたのを思い出した、だからキクリは空に浮かんでいて話かけてる。でもキクリは丸い銅板から上半身を突き出して下半身は丸い銅板の中にある状態で少し怖い。あの丸い銅板は何なんだろうか、原理を知りたいな、俺には理解できないが永琳なら理解できるだろう

 

「何だ、キクリ」

 

「ルーミアの事についてだ」

 

ルーミア、昨日話してたなキクリとルーミアが神社の前で。確か昨日キクリはルーミアに料理の事を聞いていたんだったな

 

「ルーミアに昨日料理とやらの事を聞いたが本当は違う。他の目的があった」

 

「目的って何だ。キクリが地球に来た目的は感情を知る事と地球にある色んな綺麗なものを見るって話だったろ」

 

「そうだ、最初はそうだった。昨日ルーミアの話を聞いて目的が1つ増えた。だから昨日は料理の事を聞き、聞きながらルーミアを見ていた。だがまだ確証はない話だ」

 

「見るって、見るだけで分かる何かをルーミアは持ってるのか。一体何を見てたんだ」

 

「ルーミアが私と似た力を持っている。私は月の妖怪だがルーミアも月の妖怪なのかもしれん、あるいは私達月の妖怪に似た何か別の存在か、今の所分からん。だが昨日力が欲しいと言っていたから、その手伝いをしようと思ってな」

 




越後国は今で言う新潟県、甲斐国は山梨県、出羽国は秋田県、諏方国は長野県です。諏方国からどれだけの距離があるかこれで分かると思います。

この時代に車がある訳が無いですし電車もありませんから歩いたらかなりの距離があります。甲斐国は諏方国の隣にありますから他のに比べて近いです。紫がいたら距離なんて無いようなものですが。
前にも言いましたが蓬莱山は実際にありますし、麒麟山も鳳凰山も日本に実際あります。

ルーミアはどうなってしまうのかは、まあ、あまり気にしないで下さい。
ルーミアは他の役割があります。この話をしなくても他の話で出番ありますからしない可能性があります。気が向いたらします。

キクリについても以下同文、何の為に月から連れて来たと・・・・・

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