蓬莱山家に産まれた 作:お腹減った
今回の話は有名なあの話と別の話が混ざってます
気になる人は後書きで元ネタを書いていますので見てください
戯れあり
一体その女性は何を考えてるのか。俺の妻になりに来たって物好きとしか思えないんだが、どう考えても俺だけに話がうますぎる、絶対罠だ!罠に決まってる!!!!玉の輿を狙っているのか、だが諏訪の国ってそこまで裕福だろうか。毎日ご飯を食べられているからある意味裕福ではあるが金があるかと聞かれると何とも言えん。まずはその女性に会ってみよう、萃香が言うには諏訪の国の外にいるらしいので見に行こう
諏訪の国から出たら女性が立っている。雪が降っていて、女性の肩に少し雪が積もっている。待たせてしまったようだ、だがその女性の服装は防寒着を着ていない、服装は普通だ。こんな寒いのに平然としている
「待たせてしまって済まない、俺の妻になりに来たと聞いて来たんだが俺の名を知っているだろうか。それと名を聞かせてくれないか」
「存じております。貴方様は 蓬莱山 弘天様だと言う事を。私の名はレティ・ホワイトロックと言います。貴方様の妻になりたく諏訪の国に来ました」
「何の為に俺の女になるんだ、あんた、見た所かなり美人な女だ。わざわざ俺じゃなくても、もっと他にいい男を捕まえられると思うぞ」
「いいえ、私は貴方様がいいのです。今の時代、神が妖怪を妻に娶るなんて聞いたことがありません。私は妖怪です、人間にも神にも邪見にされてしまう存在なのです」
確かに、俺以外の神が妖怪を妻に娶ったなんて聞いたことが無い。海の向こうにある大陸の神は妖怪を妻にしたと聞いたような気がするが、この大陸にはそんな話はない
「最初は噂で聞いただけでしたから半信半疑でした。ですが諏訪の国に来て貴方様の妻、萃香様に色んなお話を聞いたら妖怪も神も人間も仲良く生きていると聞いて、私は貴方様に対しお慕いの気持ちが一層強く出てきました」
「あー、つまり俺が妖怪と仲良くする変わった神だから惚れたって事でいいのか」
「はい、私は貴方様の妻になりたいです。私を、貴方様のお傍にいさせていただけないでしょうか」
変わった女だ、今までは俺から女性に向かって俺の女になれと言ってきたが、女性の方から女にしてくれと言ってきたのは、永琳とあの二人くらいか。だが永琳は最初俺の女になるの嫌がってたし、後になってから俺の女にしてと言ってきたから違うな。
「そうか、奇特な妖怪だな、そして奇特な女だ」
「貴方様の妻になりに来た女ですから、それに貴方様も奇特なお方、神が妖怪を妻にするんです。ならば私も奇特な方がいいのではないですか?」
「それもそうだな、よし。じゃあレティ、着いて来い、今日からレティは俺の妻だ。後になって嫌だって言っても逃がさんぞ」
「はい、私は貴方様のお傍に。ずっとお傍におります。どこにも行きません、ただ貴方様の女として・・・・・」
神社に着いた。俺とレティは鳥居の下に立ってる、鳥居の脇から神社まで桜が並んで咲いているので、辺り一面ピンク色だ。この桜、一体何の桜なんだ。一年中咲いてるし宴会する時はいいんだが桜の落ち葉が多いから掃除が大変だ。幽香は最初に桜を咲かす事を頼んで咲かしてもらったが、ずっと咲いているしまさか何か憑いているのか、憑いているなら美人な女性がいいな。
「綺麗ですね、今の季節は冬だと思うんですが。なぜ桜が咲いているんですか」
「それが理由が分からないんだ。だから諏訪の国の謎の1つと民に言われている」
「1つと言いますと他にもあるんですか」
「あるが、それはまたの機会に教える」
鳥居からレティと神社に向かっていたらてゐが神社から巫女服を着て出て来た。てゐは体も身長も小さいからてゐに合う巫女服が無かったのでてゐ専用の巫女服を作ってある、寒そうにして箒で桜の落ち葉を集めながらくしゃみをしている、今の季節に巫女服だけでは寒いだろうな、もっと厚着させた方がいい、防寒着あっただろうか。作ってみるか。
「あ、祭神様。隣にいる女は誰?また妻を増やしたの」
「そうだ、また愛する妻を増やしたんだよ。てゐ」
「お師匠様に怒られないの?お師匠様ああ見えて寂しがりやなんだから、気を付けてよ。お師匠様に何かあったら人参を貰えないし」
「大丈夫だ。永琳は寂しくなったら自分から甘えにくるし」
ならいいや、とてゐは箒で桜の落ち葉を集める作業を始めた。てゐは永琳の事をお師匠様と言うが、どうやら弟子入りしたらしい。あの人参を永琳が作ったからどうやって作ったか学んでいるそうだ。後ついでに医学関係の方も学んでいる。てゐが言うにはおまけみたいな物らしいが。レティがてゐに近づいた
「今日から 蓬莱山 弘天様の妻になりました。レティと言います、不束者ではありますがよろしくお願いします」
レティがてゐにお辞儀をした、急だったのでてゐは驚いている。今まであった事が無いタイプだったんだろう。てゐは身長が低いのでレティを見上げたまま頭を下げた
「こちらこそよろしく。私の名は 因幡 てゐ そんな服装じゃ寒いでしょ、早く神社に入って入って」
「いえ、私は寒くはないんですが」
「いいから、ほら早く入った入った」
てゐは背伸びをしながらレティを押して神社に入っていった。俺も入るか、神社に入ったら奥から藍が来た
「主、須佐之男様から手紙が来ています」
「早いな、どうやってこんなに早く手紙が来たんだ」
藍から手紙を受け取って懐に入れる。後で読もう、藍がお辞儀をして奥に行こうとしたので
「待て、藍。巫女服のままだが寒くないのか」
「はい、寒くはありません。今の所はですが」
藍は振り返り俺を見る、藍はいつも通り巫女服を着ている状態だ、今日は尻尾が出ていて尻尾はふりふりしている。あったかそうだ
「藍、俺に背を向けろ」
「はい」
俺の言葉を聞いて藍は俺に背を向けて立っている、俺は靴を脱ぎ玄関の段差を上がり藍の背に立って藍の尻尾8本に体を入れた。尻尾に包まれて温かい、
「温かいな。藍、今日から俺の抱き枕として俺の部屋に来い」
「分かりました、主」
反応が薄いな、お揚げをあげる時は表情は変わらないが、尻尾は犬みたいにぶんぶん振っていて喜んでいると分かるんだが、それ以外の時は全く感情が読めない。まだ時間はかかりそうだ
藍と奥に進んだらレティは居間にいた、てゐもいる。レティは正座をしていて、てゐと話をしている。
「レティ、料理は作れるか」
「はい、人並ですが」
作れるのか、食べてみたいな。小腹が空いたし何か作ってもらうか。食材や調理器具は藍に教えてもらえれば分かるだろう
「藍、彼女の名は レティ と言って今日から俺の妻になったんだ、だから仲良くしてくれ」
「分かりました、主。 レティ様、私の名は藍と言います、今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
お互い自己紹介をし終わったので、レティと藍は台所に向かった。藍にはレティに教えたら戻る様に伝え、てゐが俺の隣に来て座って来た
「ねえねえ、祭神様。祭神様は一体何を企んでるの」
「企むだなんて人聞き、いや。神聞きが悪いぞてゐ。俺は何も企んでなんかいないぞ」
「本当かなー。私はまだ祭神様を深く知ってる訳じゃない。見ていて思ったんだけど、いつも女を侍らすなんて言ってる、だけどそれって何かの隠れ蓑なんじゃないの」
横目で隣に座っているてゐを見た。てゐは俺の隣に座り机に突っ伏しながら台所の方を見ていて、てゐの表情が分からない。
「まあ、本心で女を侍らすって言ってるのは間違いないんだろうけど、本心だからこそ、それを使って隠れ蓑にしてるって感じるよ」
俺はなぜ生まれたのだろうか。気付いたら赤ん坊で 蓬莱山家に産まれた 何の為に俺は赤ん坊の頃から自我を持ち、一般常識を持ったまま生まれたのか。何かが関わっているのだろうか、普通に考えてそんな生まれ方はあり得ない。赤ん坊から少しずつ時間をかけて成長してから自我を持ち、最初は本能で生きる。だが本能だけで生きるのではなくいつかは理性を持つ、そして成長して人間、世の中のルールを覚えていく、だが俺は最初からそれを持っていた、一体俺はなんなんだ
「私がいつも見てる諏訪の国の王で祭神様で 蓬莱山 弘天 は、はたしてそれが実体なのか違うのか。そもそも実体があるのかどうか。どうなんだろうね」
「てゐ。余計な詮索は寿命を縮めるぞ」
「そうだね、でも気になったんだ。気のせいだといいけどね」
それから俺とてゐは喋らずただ時間が流れた。てゐの背中辺りを見たら腰の下らへんに尻尾が見えた、どうやら尻尾が出るよう巫女服を作っていたようだ。ウサギの尻尾だろうか、球体な尻尾なので、それを掴み引っ張ったらてゐが飛び上がった
「痛いよ!何すんのさ!?なんで尻尾を引っ張るの!?」
「尻尾があったら引っ張りたくなるだろう。それでだ」
「そんな理由で納得できるわけないでしょ!お師匠様に祭神様が藍を抱き枕にして寝てるって告げ口してやる!!」
「待て!!!まだしてない、未遂だ!だから永琳に伝えても無駄だぞ!!」
「まだってするつもりだったんじゃないか!私の尻尾は繊細なんだよ、大事に扱ってよ!もう祭神様なんて知らない!絶対にお師匠様に告げ口してやるー!」
てゐは走って居間から出て行った。これは非常にまずいな、まあ、いいか。入れ替わりに台所から藍が居間に戻って来た
「主、てゐの怒鳴り声が聞こえたんですが」
「ああ、怒らせてしまったようだ。それより藍、俺の隣に来て背中を向けてくれ」
「分かりました」
藍は俺の隣に来て俺に背を向け座って来たので俺は後ろから藍に抱き着き、尻尾に包まれて温まった。あ、右手で胸を揉んでおこう。藍の胸はデカい。手のひらから余裕で零れてしまうほどだ。左手で藍の獣耳でも触ろう
「藍も成長したな。最初に出会ったときは胸なんて無かったのにここまで育つなんて」
「はい、神になったのと尻尾が増えた事で体つきも成長しています」
「うむ。だが藍の胸を揉んでいるんだからもう少し何か反応してくれてもいいんじゃないか」
「私は主の道具で女ですから。別に何も思いません。ですが耳を触られるのは気持ちいいです」
胸を揉んでもなにも思わないとは寂しいものである。獣耳は気持ちいいのか、胸を触られて気持ちいいって言ってくれたらいいのに。道具としての人生は進んでいるが女としての人生はまだまだのようだ。胸を揉むのをやめて尻尾に包まれて温まった
「お待たせしました。貴方様、料理をお持ちしました」
「おお。レティ、来たか。待っていた、では早速・・・・・・」
見たら料理は冷めたご飯に豆腐、湯気が出てない味噌汁、ご飯と味噌汁をあの短時間でどうやって冷やしたんだ。それと沢山氷が入った器に麺が入っている。今の季節は冬なんだぞ、俺はレティを怒らせるような事でもしたんだろうか、それなら土下座したら許してもらえる程度の事ならいいんだが
「レティ、これは何だ」
「今は冬ですから、冷たい物を持ってきました」
「待て、もしかして嫌がらせか。冬なら温かい物を作って持って来るべきじゃないか。夏に冷たい物を出すべきじゃないだろうか」
「え、そうなのですか。私は冬はいつもこうなのですが。夏はもっと冷えた料理を作っていますから」
何て事だ、まさか素だったとは。良かった俺はレティを怒らせるような事はしていないんだよかった・・・・のだろうか藍の尻尾に入って現実逃避でもしていよう。尻尾で温まっていたらレティが傍に来た
「さあ、貴方様。食べてください」
「これを食えと」
「はい」
遺書を書くべきだったかもしれん。俺はまだしたい事があるのに死ぬわけにはいかないんだ、だが妻が作ってくれた料理が不味いならまだしも見た目、ご飯とみそ汁の湯気が立っていないので普通と言えないが、見た目の判断から味は悪くないと推測できる。残すなんて出来ない
「分かった、俺、食うよ。藍、俺にもしもの事があったら、永琳には俺の後を追うなと。諏訪子に、諏訪の国を頼むよう伝えてくれ。そして妻の皆には愛していたと伝えておけ」
「分かりました、主。命に代えても伝えます」
「酷いです貴方様。味は悪くないですよ」
「ああ、すまない。味はな。味は悪くないだろう、ではいただこう」
俺は箸を掴み、冷えた料理を食べた。何の妖怪かをレティに聞いたらレティは雪女の一種だそうだ
今回の話は雪女とつらら女の話が混ざっています。雪女はしがま女房とも呼ばれていて、雪女の話は綺麗な女性がある男の家を訪ね自ら望んで嫁になる話ですね
つらら女は秋田県に伝わる話で夫婦の家を1人の女が訪ね、宿を借りたいと頼んだと言う話です、つらら女の話は他の話も混ぜていますが
だからレティが諏訪の国に来ていきなり妻になるっていう話になりました
レティは種族的には雪女の一種ですから