蓬莱山家に産まれた 作:お腹減った
そう言ってからの 八坂 神奈子の表情は疑いの視線を俺に向けてくる。殺そうとした相手を自分の女にするのが理解できないのだろう。だが俺は 神奈子を俺の女にする。俺は神だ、信仰もしくは畏れが無くなったら俺は消えてしまうだろう。消えるのは別にかまわない、生き物には本来寿命がある、月人には寿命の概念がなかったから、時間で死ぬことはない、俺も寿命はないが寿命の代わりに信仰や畏れとして生きているに過ぎない。だから俺が消えるときは自然の摂理なのだ。ならばそれまで楽しく生きたい、悔いを残す気はない。 八坂 神奈子を俺の女にするのは俺を殺しに来るのが面白そうだからだ。前にも言ったが、死ぬ恐怖が無くなるなんて死ぬ事と変わらないような気がすると思ってる。俺は生きてると実感したいのだ。ここ数億年楽しいと思っても恐怖を感じたことはない。雑魚の妖怪しか会った事しかないのだ。そして神も生きて感情があるのだ、だったら死ぬ怖さもあったほうがいいだろう。恐怖は生きるためには絶対必要だ。そう思い 八坂 神奈子 を諏訪の国に連れていく。
「お前は一体何を考えている。殺そうとした相手をそばに、しかも自分の女にしようとするとは」
「1番の理由は八坂が美人だからだ、2番目の理由は俺を殺そうとする奴と一緒にいるのが面白そうだから。3番目は俺が生きてると実感するためだ」
「貴様正気か、殺そうとして来てる相手を面白そうだから女にするだと?狂ってるんじゃないのか」
「数億も生きているんだ、とっくに狂ってるさ。今更まともになる気はないがな。俺は刺激が欲しいし女を侍らせたい、八坂は俺を殺したいから俺の女になる。利害は一致してると思うが」
神奈子は唇を噛みしめながら、舌打ちした。他にいい方法もないのだろう。俺が大和にいれば殺すチャンスも増えるが諏訪の国にいるのだ、大和から諏訪の国は凄く遠い訳じゃないがそれでも距離はある俺は紫のスキマのおかげですぐに来れるが、神奈子はそうはいかない。仕事をサボって諏訪の国に来たら、天照と八坂家に迷惑がかかる。どうでもいいかもしれんが八坂家は名のある旧家だそうだ。だが子供に恵まれずどうしたものかと考えていると天照が神奈子を拾ってきて養子にしたそうだ。それで、恩人に迷惑をかかる、それは避けたいはずだ。だが、俺の女になれば、大和にいなくて諏訪の国にいる事が出来る。そうすれば殺す事も出来る、俺は一歩夢に近づきしかも恐怖という名の刺激が手に入る、神奈子は俺を殺せるかもしれない。つまり、お互いが得ができる。まさにWin-Winの関係だ。そんな簡単に殺される気はないが
「非常に腹立たしいが、他の方法もない、背に腹は代えられん。いいだろう、なってやるさ、お前の女に。だが気を付けるんだな、私はいつでもお前の首を狙っているぞ」
神奈子は俺を睨みつけながら両手に力を籠め、吐き捨てるように言う。ならば話は終わりだ神奈子に近づき右手を掴んで引っ張る
「じゃあ早いほうがいい、早速、天照や八坂家。そして大和の民に知らせに行くぞ」
「は?お前は何を言ってるんだ、天照様や八坂家はまだ分かるが、大和の民に知らせる必要はないだろう。それと私に気安く触れるな、自分で歩ける」
神奈子が俺が掴んでいた右手を振り払うようにして俺から数歩離れて距離を取った、そこまで嫌がらなくてもいいと思うんだが
「そう言う訳にもいかない、裏では大和は俺が支配してるが表では天照、月読命、須佐之男が大和の頭なんだよ。諏訪の国と大和は表向きは同盟と言う事にしている。だから大和の民にも知らせる」
大和の民は俺が裏で支配してるのを知らない、今まで大和は周りの国を力で支配してきたのだ。そこになぜ諏訪の国だけ同盟なのか分かっていない。まずは仲良くなるため諏訪の国と大和の国同士の結婚。要は政略結婚みたいなものだ、だが実際には結婚しないが。最初に結婚するのは永琳と決めているのだ。俺の夢に近づいて、大和の民と仲良くなれる。良い事しかない。納得しない奴もいるだろうが、物事において全員の民を納得させるなんて不可能だ。少なくとも不満を持つ奴は確実にいるのだ。だがそんな事知った事ではない。俺は自分のために生きるのだ、他人の事なんぞ考える気もおきん。邪魔する奴は消すまで。八坂は旧家らしいので尚更大和の民に知らせなければならない。これで両国の関係は少しは良くなるだろう。
大和の神社、天照、月読命、須佐之男がいる場所に着いた入口で巫女に、天照に会いに来たと伝え中に入らせてもらった。案内しましょうかと聞かれたが忘れてないので、大丈夫だ、ありがとう。と伝え中に入った。巫女が神奈子を見ている。旧家でも入っては駄目なのだろうか、俺の神社は誰でも入れる、民は遠慮して中々入って来ないが。まあいいやと思い神奈子を後ろに連れて天照の所に向かった。
この前来たと時に蹴破ったふすまが綺麗に直っている。今度は蹴破らずふすまをスライドさせ中に入った。今日は天照しかいないようだ。山のような書類を片付けているみたいだ。忙しいみたいなので要件を伝えよう。天照の所に近づきながら来た理由を天照に伝える。
「天照、俺は 八坂 神奈子 に惚れた、だから俺が貰っていくぞ」
「そうですか。私は弘天さんの物、道具ですからね。拒否権は無いでしょう。2人が納得してるなら、どうぞ好きにしてください」
軽すぎる、仕事しながらも笑顔だし、一応神奈子のもう1人の親だったはずだが。心配ではないのだろうか。まあ説得する手間は省けた。今回の事を民にそして八坂家に伝えるように天照に言い、部屋から出ようとすると天照に呼び止められた
「待ってください、神奈子は残ってください。話があります」
いつも笑顔な天照が真面目な顔になったので、俺は大事な話があるのではと思い、部屋から出た。神社の外で待っているとしよう
私は今、天照様に呼び止められた、天照様が仕事を一旦止め私に顔を向けてきたもしかしたらばれているのかもしれない、私があいつの事を好きではなく、殺すためにあいつの女になる事を。でもよく考えたら最初私はあいつを刃物で殺そうとしたんだ。そう考えてもおかしくはないか。
「神奈子、私は今回の事は詳しく聞きませんし、興味もありませんし、馬鹿な事をするなとも言いません。しかし言いたいことがあります、一言は大和の頭としての言葉、もう一言は親としての私の言葉。だから二言だけ言います」
天照様が笑顔で私に話しかけてきた、これはばれているようだ。なのになぜ止めないのだろう、知人と聞いていたが、そうでもないのだろうか。あいつは大和を乗っ取っているが、そこまで強そうに見えない。私でも殺せると勘違いしてしまうほどに。
「あなたは大和のために今までよく働いてくれました。大和の民に活気が出たのも、あなたが治安維持や、食料問題など他にもありますが、神奈子が解決してくれたおかげです。本当にありがとう」
天照様が頭を急に下げて来た頭を上げてくださいと言おうとしたが天照様が私に抱き付いてきて言葉に出来なかった
「そしてこれは親としての私が言います、幸せになりなさい。女として幸せになりなさい。私は大和で無病息災を祈っています」
天照様が私の頭を撫でながら言ってきた、胸が痛んだ。天照様はあいつの部下にされたことを不満に思ってないようだ。なら私のしようとした事は間違いだったのかもしれない。私は勝手に、天照様は不満を持っているはずだと思ったが、違ったのか、いたたまれなくなり、私は自己嫌悪になった。私は天照様から逃げるように部屋を出た。
神奈子に、弘天さんは殺せないわ、絶対に。そんな言葉を後ろから聞こえた気がした
結構時間かかってるなそれほど大事な話なんだろうか、気にはなるが大事な話だろうから、まあ気にしないようにしよう。俺はぼけーっとしてたら神奈子が神社から出て来て俺に向かって走って来た、何だと思い見ていると、神奈子が俺の左手を掴み引っ張られる。倒れそうになりながらも、神奈子に走って付いていく
「何をする神奈子!何をそんなに急いでいる!?」
「喧しい!いいからさっさと諏訪の国に行くぞ、早くしろ!後、私は名を呼ぶのを許可した覚えはない!!!!」
そう言いながら、神奈子に引っ張られて諏訪の国に向かった
今回はいつも引っ張る弘天が逆に神奈子に引っ張られる事が書きたくてこんな感じに
お腹へった