【リリカル】海鳴鎮守府 騒動録【艦これ】   作:ウェルディ

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第三話 提督が鎮守府に着任しました。

気高い夢を見ることだ。あなたは、あなたが夢見た者になるだろう。

あなたの理想は、あなたがやがて何になるかの予言である。

 

                           (ジェームズ・アレン)

 

 

01

 

 

9歳、この年齢の子供は何をしているだろうか?

基礎的な学習が終了し発想力を必要とする応用学習に入る時期であり。

他の児童との差が顕著に現れてくる頃である。

現在に追われながら果敢に学習し、人格を形成する大事な時期。

運動が得意な子、勉強が得意な子、様々な特性に分かれていく人生の岐路と言い換えてもいい。

子供とは基本的に我侭なモノである。

 

自分の思い道理にいかない事があれば癇癪を起こすし泣くし暴れる。

少しづつ、別の方法を考える、諦める等の選択の幅を増やしていき。

一応の落ち着きを見せるのは高学年と呼ばれる10歳~12歳くらいだろうか?

 

だが、歳に似合わず落ち着いた子や、よく考える子がいる。

そうした子は兄弟が多かったり、何かの問題を抱えている場合が多い。

 

苦労する親を見て育った子供は、自分を殺すのが上手くなる。

家族が好きだからだ。

家族とは、自分を護ってくれる巣だが、自分を縛る檻にもなる。

 

故に高町なのはは、自らを良い子であれと縛ってきた。

 

きっかけは三年前の深海棲艦の海鳴襲撃である。

平和な日常を侵す戦いの非日常。

制海権の喪失は物資の不足を招き、正常な商業活動を妨げる。

お母さんが経営する翠屋は規模を縮小せざるをえず。

お父さんは昔の伝手を使って外に出る事が多くなった。

兄も姉もなにやら友人と共に深海棲艦と戦っているらしいと伺えた。

 

そんな家族を支えて一生懸命なお母さん。

お父さんは忙しく動いており兄や姉もそれを手伝っている。

だけど、私は小さくて何も手伝えない。

一人ぼっちが寂しくて悲しかった。

私は何もしなくて良いのかという。

焦りと罪悪感。

漠然と感じるのだ『私は存在する事自体が悪いことなので無いか』と。

そんな事ばかりを考えていた。

 

だけど、違った。

悲しそうな顔をしていたお母さんが私を見つけて抱きしめてくれた。

 

「なのは―――」

 

萎れた花が、水を与えられ太陽の光を受けて鮮やかに花開くような笑顔。

私が、それを忘れることは一生ないだろう。

 

「ごめんね、何時も一人で寂しいよね。

 だけど、皆頑張っているから、もう少しすれば落ち着くわ」

 

強い笑顔だ。

きっと、守るものを持つからこそ得られる強さ。

 

「そしたら、きっとまた。

 家族みんなで遊びにだって行けるから」

 

それを羨ましいと思った。

暖かな腕に抱かれて、暖かさと切なさが心に満ちる。

 

もどかしく、情けなかった。

 

何もできず待っているしかない自分。

守られ、心配されるしかない自分。

悲しんでいる人を前にして、何もできない無力な自分。

 

理解している。

私が後ろにいるから家族は踏ん張っていられるのだと。

 

お兄ちゃんが、優しく頭をなでてくれる。

 

「お前がいてくれるから、母さんも父さんも頑張れるんだよ」

 

お姉ちゃんが小さな私の顔に高さを合わせて笑ってくれる。

 

「なのはが笑ってくれれば元気100倍!

 お姉ちゃん達だって頑張れるんだから!」

 

だから私も笑う、ちっぽけな矜持がそれ以外を許さない。

 

「じゃあ、いつも笑ってる。

 皆が元気になるように!」

 

私は、あの憧れた笑顔を得たいのだ。

守るものを背負うあの力強く慈愛に満ちたあの笑顔を。

 

お姉ちゃんやお兄ちゃんに好きな事をさせてあげたいのだ。

お父さんやお母さんに夢の道を進んで欲しいのだ。

 

だから、一人のときに沢山泣いた。

涙よ枯れ果てろと悔しさを涙にして流しつくした。

 

やがて、艦娘の存在がテレビで噂で街で海で。

あらゆる場所で戦う牙を持った少女達をみかけるようになった。

 

彼女らの中には自分より少し上の少女達もたくさんいる。

 

『理想とした自分が目の前にいる』

 

その事実に頭が真っ白になったのだ。

父や兄、姉の動きが綺麗だと思った。

だから自分も彼らのように動こうと思った。

小さな手足は上手に動かず。

縺れて転ぶ。

その無様さに何度も泣いた。

悔しかったのだ、小さな自分が。

思う通りに動かない小さな体が。

 

彼女達の活躍によって街に物が戻ってきた。

楽では無いが甘味程度であれば楽しむ余裕が出てきたのだ。

 

彼女達自身が甘味を好んでいたというのも大きい。

 

翠屋は新たな顧客を大勢獲得して生活も安定した。

 

家族は以前の余裕がある笑顔を取り戻していった。

愛されている自覚はある。

家族に不満なんてあるはずが無い。

だけど、怖い。

だけど、苦しい。

 

そう、深海棲艦は未だ制海権を抑えて世界の海に君臨している。

一度あったのだ“同じことが起きない保障”なんて無い。

 

その時、自分は戦えるのか?

家族を助けてあげられるのか?

お姉ちゃんやお兄ちゃんに好きな事をさせられるのか?

お父さんやお母さんに夢の道を進んでもらえるのか?

 

まだ、小さなままの自分の手。

何もできない無力な自分。

 

そんな事は無いと親友達は言う。

 

「なのはちゃんが、いてくれたら私達三人は友達になれたんだよ」

 

「そうそう、自分を高く見ろとは言わないけど。

 あまり低く見るのは私達にとっても侮辱よ」

 

一年生になったばかりの頃。

いじめっ子な金髪の強気な子と濃い藍髪の泣いてる子。

言葉で伝えて、伝わらなくて。

ぶつけあって、ぶつかりあった。

そうやって、初めて解ることもあると知った。

 

学校の中庭、お互いに引っかき傷だらけ。

小さな自分達は、すぐに体力も尽きてお互い背中合わせに倒れ込んで立つ気力も無い。

残るのはお互いの意地の張り合い。

 

「バカじゃないの?

 何なのあんた」

 

「泣いてる子を見ないふりするくらいならバカでいい」

 

それから何度もぶつかりあいながらお互いを認め合った。

ハーフで金髪の髪が綺麗なアリサちゃん。

緑髪とも紫髪とも呼べるような綺麗な黒髪のすずかちゃん。

アリサちゃんもすずかちゃんもこれ以上ない親友になれた。

 

大事な友達が教えてくれたのだ。

得るためには踏み出さねばならないと

『勇気ある一歩を踏み出さなければならない』と

 

だから、彼女はその話に飛びついた。

 

父や兄と共にやってきた兄の友人。

挨拶くらいはするが、それほど親しくはしていなかった青年。

 

彼は白い軍装を身にまとい。

しゃがんで自分に視線を合わせながら言ったのだ。

 

『提督になってみる気がないかい?』

 

これが、彼女の運命を大きく変える分岐点。

派遣されたミッドチルダにて一人大隊と呼ばれ。

ミッドに迫る自動機械群を打ち払った少女の始まりである。

 

 

02

 

赤いレンガのようなタイル張りがされたマンション。

それが、海鳴鎮守府という建物だった。

 

提督さんが言うには「やっぱり赤レンガ風には拘りがあってね」と苦笑い。

 

作戦室と書かれた部屋ににお父さんやお兄ちゃんと共に通される。

髪を短いポニーテールにまとめた秘書らしき女性からお茶と茶菓子が出される。

 

「狭くてごめんねー。お客様を通せそうな応接セットがあるのがこの部屋だけでね」

 

明るく快活、そんな言葉がよく似合う女性だと思った。

 

「私は伊勢、好きに呼んでね。

 なのは提督」

 

「はいっ、こちらこそ宜しくお願いします」

 

緊張の為か上ずった声を出してしまったが、それを伊勢さんは微笑ましげに見ている。

 

「まぁ、お茶を飲んで、まずは落ち着いてくれ。

 さて、恭。

 提督について、何処まで説明している?」

 

「簡単には話している。

 まず、艦娘と提督の関係は大きく分けて二種類ある。

 俺のように艦娘と共に戦う提督。

 お前のように艦娘に戦うのを任せて後方支援に徹する提督がいる事」

 

お茶を飲んでいる間、お兄ちゃんと提督さんが会話を始めます。

これは、家でも聞いていた事。

お兄ちゃんやお姉ちゃんは警報が鳴る度に数名の天龍さんや龍田さんなどの艦娘を連れて戦いに出ている。

 

「まぁ、恭はFランクでギリギリ艤装が動かせるだけだから艦娘は、こちらからの貸し出しだがな」

 

「射撃は、それほど得意では無い。

 足の速い艦娘を貸してくれて感謝している」

 

「お前みたいなのがいないと、俺達提督は女の後ろに隠れて戦う臆病者って呼ばれるからな。

 最大限に手伝うさ。

 友達が怪我するのも寝覚めが悪いしな」

 

深海棲艦が現れてから使用されはじめた力がある。

管理局という世界の外からもたらされた技術。

 

『魔法』

 

管理局管理下世界のほとんどに存在する魔力素を特定の技法で操作し、作用を発生させる技術体系。

術者の魔力を使用し「変化」「移動」「幻惑」のいずれかの作用を起こす事象。

これら作用を望む効果が得られるよう調節し、または組み合わせた内容をプログラムと言う。

用意されたプログラムは詠唱・集中などのトリガーにより起動される。

その為、数学や物理といった理系的な知識が魔法の構築や制御には重要になる。

 

「魔法とは、自然摂理や物理作用をプログラム化してしまう。

 それを任意に書き換え、書き加えたり消去したりすることで、作用に変える技法である」

 

この技術により人は自らの力によって空を飛び、ビルや鉄橋すら吹き飛ばすほどの力を得た。

 

万能に思えたこの技術にも大きな穴があった。

大気中に含まれる魔力素とよばれる物質。

これを体内に精製されるリンカーコアと呼ばれるアストラルサイドの器官を使用して人は魔力を作り出す。

人の身長や体重が一定でないようにリンカーコアが作り出す魔力の量、

体内に蓄積できる魔力の容量は人によって異なり一定では無かったのだ。

人の半数近くは体内で魔力を精製する事ができず、精製が可能な人間も資質によって大きく差が開いた。

この素質の事を『魔力資質』と呼ぶ。

 

管理局はこの資質に大まかな基準をもうけてSSS>SS>S>AAA>AA>A>B>C>D>E>F の11ランクに類別した。

SSSは震度7強の大地震や洪水などの天変地異を起こすことすら可能な力がある。

しかし、Fランクでは震度1程度の微震を起こすのが精一杯である。

 

軍や治安維持組織は魔力資質を持つ人間を集めるのに躍起になっているという。

 

戦力を個人の資質に頼るなど下策中の下策である。

 

しかし、個人で戦艦を越える戦闘能力を持った存在が“発生し始めた”。

その力の持ち主をかき集めるしか戦力バランスを取ることができなくなっていたのも事実である。

 

その中で、日本はいち早く魔法を扱うための道具を量産した。

それを艤装と呼ぶ。

 

缶と呼ばれる機関の中で空気を燃焼させ魔素を取り出す。

それをコアで魔力に生成して海上を進む浮力やバリアジャケットと呼ばれる防護服を作る。

 

艤装のコアが魔力を生み出す魔法は提督の魔力を使って動いており。

提督が艤装をつけて戦いに行くのは可能である。

コアの演算で魔力構成体という体を維持している艦娘は、提督の魔力供給なくして存在しえない。

 

攻撃は、カートリッジと呼ばれる弾丸を艤装の各部につけられた砲や手にもった銃のような砲に装填して魔法を打ち出す。

カートリッジとは、圧縮魔力を込めた弾丸をロードすることで、瞬時に爆発的な魔力を得る。

その分制御は難しく艤装が破損したり使用者が負傷したりする事例が相次いでいる。

 

そのため、少々の傷であれば魔力で強引に治癒できる艦娘で強引に運用している。

 

提督が運用する場合、普段は自分の魔力を用いて砲を撃ち。

緊急時のみ使用が許されている。

 

提督は鎮守府、最後の戦力であり。

いくら艦娘が残っていても提督が死ねば艦娘ごと全滅する。

提督は後方で魔力供給と弾丸などの資材生産、後方指揮に徹するのが推奨されている。

 

「私もお兄ちゃんみたいに艦娘と一緒に戦いたいです」

 

故に、この本人の希望は最も危惧する事であり。

なんとしてでも防がねばならない案件である。

 

高町家の家長である高町士郎は、苦いものを飲まされたような顔をする。

その横に座る長男、高町恭也は、眉をしかめる。

 

「なのは、艦娘を生み出せば戦う事に関しては彼女達の方が適正がある」

 

「危険はできる限り排除するべきだ。

 直接戦わずにすむならそうした方がいい。

 後方支援も立派な戦いだよ」

 

彼らは、なのはが戦いに向いているとは思っていない。

だからこそ家伝の剣も教えていないし、ごく普通の子供として育ててきた。

 

だが、蛙の子は蛙であり。

少女は、色濃くその血を継いだ高町の娘である。

 

その姿に否と答える一人の少女。

顔を真っ直ぐに正面に向けて、両手を握り締めるその姿は決意を決めた戦士の姿だ。

 

「私も力になれるはずだよ。

 それなのに一人で安全な所にいろって言うの?」

 

否定されれば否定されるほど、小意地になるのは幼さ故か。

無理も無い。

大人びているとは言え、彼女はまだ10年程しか生きていないのだ。

感情に任せて暴れまわってもおかしくはない。

むしろ、その方が対処が楽なのだが……。

 

「戦う事は否定しない。

 だが、もう少し地力をつけた方が良い。

 身近に優秀な教師も多いのだから」

 

高町の血筋は、基本的に頑固だ。

正しいと思った事に対しては、愚直に貫き通す。

正面から突破できない場合は、迂回路を探すだけの柔軟性もある。

故に論理のみで納得させるのは非常に困難だ。

 

「まずは、訓練。

 荒れた海上を進む訓練。

 砲を撃って敵に当てる訓練。

 敵の砲をものともしない強度の防護服を編む訓練。

 それが全て終了してからでなければ認められない」

 

だから、ひたすら正論で押す。

教育カリキュラムとは年単位で立てるものだ。

中学や高校は3年単位であるし基礎教育である小学は6年の訓練をようする。

高校生以上の艦娘提督で実戦に出たいと希望する提督は漏れなく士官学校に叩き込んでいる。

 

「訓練……」

 

「そうさ、お兄さんやお父さんは長年戦う訓練をしている。

 なのはちゃんもすぐ追いつけるとは思っていないだろう?

 だから、まずは走る訓練からだ」

 

元々、自衛の力はつけてもらおうと思っていた。

ミッドチルダに秘密裏に派遣されているミッドチルダ地上本部との交換留学生からのレポートは読んでいる。

 

管理世界では、魔導師の低年齢就職率が高い。

魔力が生み出すエネルギーは、天候を操作する事すら可能である。

農業、溶接や切除加工も魔法を使えばグッとコストが抑えられる。

戦闘力に至っては戦車や戦闘機に匹敵する魔導師は、優先管理対象である。

魔導師ランクによる試験免除。

兵として強力な力を持つが故に彼らを低い地位に止めておけば様々な弊害がおきる。

高ランク魔導師を指して『便利アイテム』などという揶揄があるが、それは一面的には真実である。

膠着した状況を打ち砕く破城槌、災害現場で不足しがちな発電等のエネルギーを補う強力なジェネレーター。

魔力切れ寸前の治癒術士や大雨、地震などで緩くなった地盤を支え続ける結界術士への魔力補給。

一個人で発電所に匹敵するエネルギー源となりうる存在。

この悪意ある世界で、それを悪用しようと言う人間は決して皆無では無い。

Aランク以上の人間には、必ず尉官ランク以上の人物が保証人につき。

その力が悪用されないように保障する義務が管理世界では発生する。

無論、人権侵害では無いか?と言う意見はある。

だが、力における責任の所在を曖昧にする事は害悪である。

利用されていた、幼かった、責任者がいなかった。

被害者からしてみれば、言い訳にもならない。

万が一の事態を起こさない為にも『高ランク魔導師の保証人制度』は必要なものだった。

浚われて、街を破壊する為の大規模術式の動力源にされていましたでは済まないのである。

高ランク魔導師の試験免除制度は『人材を他に取られないよう早々に責任ある地位に立たせる』

『早く、自分自身の責任くらい取れるようになれ』という二つの意味合いが大きい。

 

この考え方には大きく考えさせられるものがあり。

 

国民の安全と保障をする為の全国一斉総魔力検査は実施された。

高い魔力を持つ子供を全国にある鎮守府で保護しようと考えたのだ。

 

「うん、わかった。

 私、頑張るっ!」

 

努力型の彼女に訓練押しの説得はよくきいたようだ。

胸の前に握りこぶしをあげて決意を秘めた笑顔で返事をかえす。

 

「決まりねっ。

 訓練計画を組んでおくわ。

 では、お決まりの言葉で締めますか」

 

「お決まり?」

 

伊勢の言葉になのはは、首をかしげて尋ねてくる。

 

「そう、新しく提督になる人物を迎える伝統的な挨拶があるのベランダに出てくれる?」

 

「はい……」

 

なのはは伊勢に手を引かれてベランダに出る。

そこから見えるのは臨海公園のグラウンドであり、

そこには海鳴鎮守府の艦娘が勢ぞろいしていた。

 

ベランダに出てきた、なのはを確認すると高らかにラッパの音を鳴り響かせる。

 

「えっ?これは…」

 

あまりの事態に思考が停止する少女を艦娘全員が見ながら粛々と儀式は進む。

 

「きをつけぇーっ!」

 

一番右に並んだ戦艦達の筆頭である長身で一際大きな大砲を身にまとう大和(やまと)が号令をかける。

休めの姿勢で待っていた艦娘達全員が背筋を伸ばして敬礼する。

 

一番先頭に立っていた各艦種の代表である艦娘が一歩前にでる。

 

大きな二連装砲を備えた勇ましい艤装をまとった金剛が宣誓する。

 

「戦艦娘、総員12名、現在9名、3名は当直任務中デース」

 

隣に立つのは盾のような航空甲板を備えた赤城が宣誓する。

 

「空母艦娘、総員15名、現在15名」

 

艤装に古鷹(ふるたか)と書かれた、どこかメタリックな目を輝かせた艦娘が続く。

 

「重巡洋艦娘、総員18名、現在15名、3名は当直任務中です」

 

眼帯に楽しげな視線を向けてくるのは家の道場でよく見る天龍さんだ。

 

「軽巡洋艦娘、総員20名、現在17名、3名は遠征任務中だ」

 

小柄な体に両手には盾のような装甲版、暁が胸を張って言う。

 

「駆逐艦娘、総員51名、現在36名、15名は遠征中よ」

 

水着の上にパーカー、胸にはイムヤとある艦娘の声がグラウンドに響く。

 

「潜水艦娘、総員6名、現在6名」

 

宣誓を聞いた伊勢が整列した艦娘達に宣誓する。

 

「提督が、鎮守府に着任しました。

 これより、艦隊の指揮をとります!!」

 

『着任を確認しました!!

 これより艦隊の指揮を預けます!!

 暁の水平線に勝利を!!』

 

整列した艦娘達が一斉に唱和し、その勢いに押されて高町なのはは答えを返す。

 

「よろしくお願いします!!」

 

これが第一歩。

 

少女が得るために踏み出した勇気在る一歩である。

 

 

 

 

 

 


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