ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第96話 雑談

俺達は休憩のために敷いていたシートに移動してジャンヌとアンの話を聞くことにした。

来る前にレイナーレに作ってもらったおにぎりを食べていると許可を出していないのにジャンヌとアンも勝手に食べ出した。図々しい奴等だな。

アンはBL小説を読みながらおにぎりを食べている。相変わらず自由だな。

まぁ、それはいいとして早く本題に入ろう。

 

「……で、何でお前らがいるの?」

 

「キーくんがロキと戦うって聞いたから様子を見に来たの」

 

何でテロリストが堂々と来ているんだ、って意味で聞いたんだけど。まぁ、いいか。ここは事情を知っている奴しか来ないし。

 

「やっぱり英雄派は俺達がロキと戦うことを知っていたのか。もしかして今回も裏で曹操が操っているんじゃないだろうな?」

 

「今回、私達はノータッチ。面白そうな戦いだから見物して二天龍の様子を見ようとか思っているだけよ」

 

相変わらず研究熱心だな、曹操は。

 

「後はキーくんの秘密兵器も出来れば見たいって言ってたよ」

 

「秘密兵器?禁手のことか?」

 

「違う違う。前にキーくんと戦った時から何か力を隠しているんじゃないか、って曹操が疑っているのよ」

 

確かに俺には禁手以外にも秘密兵器と呼ぶべきものはある。

でも、まさかあの戦いで感づかれていたとは。完全に予想外だ。

俺は曹操のことを高く評価しているが、もしかしたらそれ以上に厄介な奴かもしれない。

 

「そんなものはない。仮にあったとしてもロキ戦で使うことはない」

 

いや、神相手に使ったらどうなるかは興味ある。

だがアレは俺好みの力じゃない。よっぽどのことでもない限り使う気にはなれないな。

 

「ふーん……。キーくんがそう言うなら何を言っても教えてくれないか。あ、そうだ!もしキーくんがピンチになったら私が助けてあげようか?」

 

俺から情報を得ることを諦めたジャンヌがそんなことを言ってきた。

 

「ピンチになる予定はないから必要ない」

 

「さすがキーくん。神相手に余裕だね」

 

「別にそういうことじゃない。それにジャンヌに助けられたら俺がこっち側にいられなくなるだろ」

 

「その時は英雄派に来ればいいじゃない。アーサーも元英雄派だし他のメンバーもまとめて歓迎するよ」

 

「断る」

 

俺は即答する。

今の立場と英雄派で出来ることを比べれば、今の立場の方が良い。

それに曹操とは仲間になるよりも対立関係でいたい。

 

「それは残念。キーくんが入ってくれれば、もっと楽しくなると思ったのに」

 

ジャンヌが全く残念がることなく軽い調子で言った。俺が今までに何回も断っているから答えを予想できていたのだろう。

ふとジャンヌがレイナーレの方を見る。

 

「ところでメイドさん、不機嫌そうだね。どうしたの?」

 

ジャンヌの言う通り、さっきからレイナーレは不機嫌そうにしている。具体的に言うとジャンヌとアンが来てからだ。

 

「……そりゃ不機嫌になりますよ。せっかくのご主人様との二人っきりでしたのに。しかも、最近は回数も減ってきて寂しい思いをしていたところからのご主人様の誘い。これを邪魔されたら、さすがの私でも怒りますよ!」

 

レイナーレが珍しく怒りを露にする。と言うより、俺が調教してからは初めてか。

普通、人が怒るようなことでもマゾのレイナーレからしたら快楽だからな。後は俺と同じように上手く立ち回っているからイラつくこともない。

 

「……え~と、ごめんね。私も別に邪魔するつもりじゃなかったの」

 

ジャンヌが戸惑いながら答える。

 

「……もしかして七瀬さんのことが好きなんですか?」

 

アンがBL小説から顔を上げてレイナーレに聞いた。

 

「当然、好きですよ」

 

「人として、とかじゃなくて恋愛的な意味ですよ?」

 

「もちろん恋愛的な意味で好きです」

 

流れるように言ったので聞き逃しそうになったが、今何て言った?

全く予想していなかった言葉が聞こえたんだが。おかげで危うくおにぎりを落とすところだった。

 

「……え?俺のこと好きだったの?恋愛的な意味で」

 

「そうですけど。知らなかったんですか?」

 

予想外の言葉を聞いたのかレイナーレが怒りを忘れてポカーンと返事した。

俺は念のためにもう一度確認する。

 

「マジで?嘘とかじゃなくて」

 

「マジです。こんな嘘ついて私に何の得があるんですか?」

 

俺の驚いた顔を見れたから得はあると思うが。

て言うか、マジか。全く気付かなかった。

 

「もしかして私のことを好きでもない男に鞭で叩かれたり言葉攻めにされたり抱かれたりして喜ぶ変態だと思っていたんですか?」

 

「……正直に言おう。思っていた」

 

俺がそう言うとレイナーレは心外そうな顔をした。

そう言えばどれだけ欲求不満になっても俺以外の男に抱かれようとしたことはなかったな。

 

「七瀬さんって意外と鈍感ですよね」

 

アンが断定するような口調で言ってきた。

 

「待て。好きな相手ならどこをどう触れば気持ちよくなるか瞬時に把握でき、嫌いな相手なら的確に嫌がることだけをする俺が鈍感なわけないだろ」

 

「アレですよ。人のことは分かるのに自分のこととなると分からなくなるラノベ主人公です」

 

「いや、それもないだろ。俺は自分がモテることを自覚しているし、後輩女子と喋っている時に『あ、こいつ、俺のことが好きだな』って分かるし」

 

大抵のラノベ主人公は自分がモテることを自覚していない。その時点で俺はラノベ主人公とは違う。

と言うか、俺の性格的には主人公よりも敵か味方か分からない謎のキャラの方が合っている。そして最終的にラスボスになるんだ。

いや、俺はラスボスになんかなる気はないけど。だってラスボスって確実に負けるし。

 

「う~ん…… 距離が近くなると駄目とかですか」

 

「それもない。ルフェイや小猫が俺のことを好きなのは気付いてたし」

 

まぁ、あそこまで積極的にくるのは予想外だったけど。

 

「じゃあ、どういうことなんですかね?」

 

「深く考えなくていいと思いますよ。ご主人様は矛盾した性格の持ち主ですから。例えば世界の混沌と世界平和を同時に願うような人です」

 

願うって言うか、実際に行動しているな。まぁ、同時にやるのは難しくて苦労しているが。

世界の混沌だけなら簡単なんだけどな。各勢力に重要機密と間違った情報を流して煽るだけだ。

 

「それよりも折角、こんなところにいるんだからバトルしない?お姉さん、久し振りにキーくんと熱く語り合いたいなぁ」

 

おにぎりを全部食べたジャンヌが指についた米を舐めながら言った。

食べるの早すぎだろ。俺、まだ2個しか食べてないのに。

 

「断る」

 

「え~、何で?いいじゃん。お姉さんとも遊ぼうよ」

 

ジャンヌが俺の右腕に抱き付いて耳元で囁いた。

別の意味にしか聞こえないんだが。

 

「そうです!駄目ですよ!ご主人様は今から私と濃厚な時間を過ごすんですから!」

 

レイナーレがジャンヌを俺から引き剥がそうとしながら言った。

それも別の意味にしか聞こえないんだが。いや、多分、別の意味の方で合っているのだろう。

 

「ふむ。ジャンヌさんが曹操さんで、怜奈さんがフリードさんだったらベストなんだけど。いや、妄想で何とかなるか……」

 

アンが何か呟いているが気のせいだ。俺には聞こえない。

 

「……じゃあ、メイドさんがお姉さんと遊んでみる?」

 

「良いですよ!ご主人様、力を使っていいですか?」

 

力というのは堕天使の力のことだ。

イッセーの家にも住むようになってからはレイナーレが堕天使だということがバレないように力を完全に封印していた。まぁ、たまに力を解放してここでトレーニングはしていたが。

ちなみに封印していた力はルフェイが開発した特別な魔法だ。俺も使えるし、終わった後で封印するか。

 

「OK。好きにしろ」

 

「分かりました!」

 

そう言うとレイナーレはメイド服のまま堕天使の黒い羽を広げた。

 

「へぇ、メイドさんって堕天使だったの」

 

「私とご主人様のラブラブな時間を邪魔した罪、その身で購ってもらいます!」

 

「んじゃ、食後の運動といきましょうか」

 

レイナーレは光の槍を、ジャンヌは聖剣を作り出して戦闘が開始した。

 

「飛行の練習中だったんだけど、どうしようかな」

 

「飛行?」

 

アンが不思議そうに首を傾げた。

 

「ああ。グリゴリに頼んで人体改造で羽をつけてもらったんだよ。で、今はそれの力の練習をしていたんだ」

 

「なるほど。だから服の背中の部分に穴が開いていたんですか。私はマニアックなプレイの結果だと思っていました」

 

どんなプレイをしたら、こんなことになるんだよ。

レイナーレとジャンヌの戦いが終わるのを待つのも暇だし一人で練習しておくか。落ちそうになった場合はアンの神器で助けてもらおう。

 

 

 

 

 

 

「私はどうしたらいいんだ……」

 

俺は今、自分の家のリビングで酒を飲みながらバラキエルの愚痴に付き合わされていた。

俺はある程度の飛行をマスターして家に戻って一人で廊下を歩いていた時に捕まって今の状況だ。物凄く面倒くさい。

ちなみにジャンヌとアンは途中でタッグマッチになって、それが終わったら帰った。あいつら、禁手まで使いやがって。勝てるわけないだろ。

まぁ、それはいい。とりあえずバラキエルの話を聞くだけ聞いて早く開放されよう。

 

「で、何があったんだ?」

 

「何があった……というより何もないのが問題なんだ」

 

「……は?」

 

まだ飲み始めたばかりだが、もう酔ってきたのか?

 

「これを機に娘の仲直りをしようと思っていたんだ。でも、話かけても無視されるだけで。それで何か死にたくなってきた……」

 

バラキエルのデカイ図体が悲哀に満ちている。何か悲しくなる絵面だな。

姫島朱乃に関してはノータッチだからな。小猫と黒歌の時は頑張って仲直りさせたけど、今回はどうしようもない。て言うか、何もする気はない。

 

「ふむ。じゃあ、一つだけ聞こう。娘と仲直りして何をしたいんだ?まず、それを考えることが大事だと思うぞ」

 

「何を……か。そうだな。君の報告では朱乃は良い感じにドSに育っているということだったな」

 

は?少し良い顔して何を言っているんだ?

 

「鞭で語る親子のスキンシップとかしてみたいな……」

 

もう駄目だ、これは。表情だけ見たら娘と喧嘩して仲直りしようと頑張っている父親に見えるが駄目だ。

仲直りなんかしない方がいい。したら何かが終わってしまう。

そう言えば俺の父親も嫁(妹)が可愛い女の子と百合百合しているところを見て興奮する変態だったが、どっちの方がマシなんだろうか?

どっちも特殊すぎて分からないが多分、俺の父親の方がマシだな。

俺の父親よりも変態な父親がいるという事実に何か救われた気分だ。




主人公とバラキエルが話している裏で、原作であった通り朱乃がイッセーに夜這いしています。
この事を後で知った主人公は何も出来なかったことを非常に後悔します。

では感想待ってます。

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