今日はイッセーと姫島朱乃のデート当日
今リビングに俺とオーフィスとゼノヴィア以外のグレモリー眷属が集まっている。
オーフィスはデートなんか興味なくて俺についてきただけだが。
ちなみに花蓮はデュリオくんと美味しいもの巡りに行っている。デュリオくん、頑張ってるかな。
ゼノヴィアはイリナから相談を受けているらしい。イリナ、どう考えても相談する相手を間違えているぞ。
そして俺はグレモリー眷属の服装を見る。リアス・グレモリーはサングラスと帽子、アーシアは眼鏡、小猫はレスラーの覆面、ギャスパーは紙袋、木場はいつも通りの格好をしている。
目立つ集団だな。
リアス・グレモリーのサングラスと帽子は定番だが目立つから尾行には向かないと思うぞ。まぁ、紅髪の時点で目立っているけど。
「よし、まずは小猫。覆面をとれ」
「……何でですか?」
不思議そうに首を傾げる小猫。
俺が逆に聞きたい。何故、レスラーの覆面なんだ?
「小猫の可愛い顔が見えないからだ」
「……仕方ないですね」
そう言うと小猫は少し頬を赤らめながら覆面をとった。
「じゃあ、行くぞ!」
俺は勢いよく手を挙げながらそう宣言した。
俺達はイッセーと姫島朱乃のデートの待ち合わせ場所である駅近くのコンビニに来ている。
イッセーはコンビニ前にいるが俺はコンビニの中でオーフィスを肩車しながらの雑誌の立ち読みをしている。グレモリー眷属は外で少し離れたところに配置している。
同じ家に住んでいるんだから待ち合わせとか必要ないと思うが。まぁ、ムード作りは必要か。俺はしてないけど。
にしてもイッセーの服は普通だな。イッセーのこういうところで堅実なところは面白くない。
レイナーレもイッセーとしたデートは普通で退屈で死にたくなるほどつまらないものだった、と言っていた。
ん?もう姫島朱乃が来たのか。いつもの落ち着いた服装と違って可愛らしい服装を着ている。
……イッセーの奴、デレデレしてるな。少し離れたところでアーシアが不機嫌そうに頬を膨らませているのが見える。
あ、もう行くのか。まだ雑誌を読んでいる途中なのに。仕方ない。
雑誌は買っていくか。
おっと、大事なものを買い忘れるところだった。俺は元々、あんぱんと牛乳を買うためにコンビニに入ったんだった。
あんぱんと牛乳は尾行じゃなくて張り込みの時の定番だ、みたいな細かいツッコミはなしだ。
買い物を済ませると俺はグレモリー眷属に合流した。
「バレてないだろうな?」
「当然よ」
リアス・グレモリーが心外そうに答えるが俺が事前に注意してなかったら確実にバレていただろう。
もしバレて俺達を撒くために予定を変更されたら俺の仕掛けが台無しになってしまう。
「あ、そうだ。小猫、あんぱん食べるか?」
俺は移動中に小猫にあんぱんを差し出しながら質問した。
「いただきます」
俺があんぱんを渡すと小猫はすぐに食べ始めた。
おい、食べるの早すぎるだろ。
「我も」
「当然、オーフィスの分も買っているぞ」
オーフィスはあんぱんを受け取ると小猫と同じようにすぐに食べ始めた。
「俺の頭に落とさないように綺麗に食べろよ」
「分かった」
そう言うとオーフィスは丁寧にあんぱんを食べる。オーフィスは素直で助かる。
「私達の分はないの?」
リアス・グレモリーが図々しい質問をしてきた。
「あるわけないだろ。何で俺がリアス・グレモリーの分まで買わないといけないんだ?欲しかったら自分で買ってこい」
「……相変わらず貴方は相手によって露骨に態度が変わるわね」
リアス・グレモリーが目元をひきつらせながら言う。
好きな相手とどうでもいい相手で態度が変わるのは普通だろ。むしろ変わらない方がおかしい。
「あ、二人が店に入っていくよ」
木場に言われて見てみると二人が服のブランドショップを入っていくのが見えた。
さすがに店内だとバレる恐れがあるので全員に神器を発動してから店内に侵入する。
「イッセーさん、楽しそうですね……」
姫島朱乃が試着した服を見ながら『綺麗だ』と褒めているイッセーを見てアーシアが不機嫌そうに言った。
次の瞬間、イッセーに妙に胸元を露出した巨乳の美人な女性がぶつかった。
うわぁ、イッセーの奴、分かりやすいぐらい胸元を凝視してやがる。
「……私のイッセーを誘惑するあの女は誰なの?」
リアス・グレモリーが全身から赤いオーラを放ち、今にもキレそうな雰囲気で言った。相変わらず独占欲丸出しだな。
後、イッセーはリアス・グレモリーのものじゃなくてアーシアのものだ。いや、下僕という意味では間違ってないか。
「安心しろ。あれはただの仕込みだ」
「仕込み?」
「そう。今回のデートを利用してイッセーに甲斐性があるかどうか調べるために俺がいくつかトラップを仕掛けた。あの女はその一つだ」
ちなみに女はトップ会談の時に仲良くなった魔法使いを使っている。
確かイッセーが本気になった場合はお持ち帰りするみたいなことを言っていたな。元気な年下の男がタイプらしい。
「……嘘ですね。ただイッセー先輩にイタズラを仕掛けて楽しむつもりでしょう?」
小猫がジト目で言ってきた。
「失礼なことを言うな。これは遊びじゃなくて仕事だぞ。おっぱいドラゴンは私生活でも格好いいというところを冥界の子供達に教えるための番組撮影だ」
本当はドッキリ番組だけど。
俺、ドッキリ番組って昔から好きなんだよな。人の驚く顔は面白い。
「番組撮影って言うけどカメラはどこにあるの?」
木場が不思議そうに聞いてきた。そこはどうでもいいだろ。
「町中に仕掛けた隠しカメラで撮影している」
俺は木場が相手なので適当に返事する。
あ、姫島朱乃が不機嫌そうに店を出ていった。まぁ、不機嫌なのは一人だけじゃないけど。
イッセーは必至に言い訳しながら姫島朱乃を追い掛ける。
俺も魔法使いの女に一言だけ言って店を出る。
「……もう我慢できないわ。出ていこうかしら」
イッセーの言い訳の結果、姫島朱乃は機嫌を取り戻し今は笑顔で仲良く手を繋いで町を歩いている。
その様子を見てリアス・グレモリーは我慢の限界のようだ。
「出ていくな。撮影が台無しになるだろうが」
撮影がなかったら修羅場的な展開も面白いんだけどな。いや、最後のドッキリとしてリアス・グレモリーを投入するのもアリか。
「あれ、お兄ちゃん。こんなところで何してるの?」
俺が撮影プランを考えていると後ろから声をかけられた。
振り返って見ると、そこにはクレープを食べながら歩いている花蓮とデュリオくんがいた。
「お義兄さん、お久し振りっす」
「だからお義兄さんって呼ぶな」
まぁ、言っても無駄だろうが。最初に会った時に何回も言ったけど直すつもりはないみたいだし。
「ところで二人は何をしているんだ?今日は美味しいものを食べに行くって聞いていたが」
「最初はそのつもりだったんだけどね。気が変わって駒王町をデュリオくんに案内してるの」
食いしん坊の花蓮が美味しい巡りじゃなくて町の案内をするとは意外だな。まぁ、花蓮も俺と同じで気紛れだから、たまにはそういうこともあるか。
「二人はデートしているのかな?」
「そんな訳ないでしょ、ホモ先輩。お兄ちゃん一筋の私が他の人とデートするわけないよ。ただ二人で遊んでいるだけだよ」
木場の質問に花蓮が笑いながら答える。
男女が二人で遊んでいたら、それはデートと呼ぶと思うぞ。
「はは……」
花蓮の言葉にデュリオくんが苦笑いしている。
相変わらず恋愛対象には見られてないみたいだな。
「お兄ちゃん達は何をしてるの?」
「イッセーと姫島朱乃のデートを尾行……ってしまった!二人を見失った!」
俺は慌てて周りを見渡すがすでに二人の姿はない。
俺はポケットからスマホを取り出してレイヴェルに電話する。レイヴェルは家で隠しカメラの映像を見ている。レイヴェルなら二人の場所が分かるはずだ。
「イッセーと姫島朱乃を見失った。今、どこにいるか分かるか?」
『え~と、今、霧識さんの場所から一番近いゲームセンターに入ったところですわ』
ゲームセンター?イッセーの考えたデートプランにはなかったはずだが。姫島朱乃が提案したのか?
まぁ、こんな展開も予想して二人が行く可能性のあるところにはカメラを仕掛けているから大丈夫だけど。
「ありがとう」
『私としては感謝の言葉よりも愛の言葉を囁いてくれた方が嬉しいですわ』
「愛してるぞ、レイヴェル」
そう言うと俺は電話を切る。
「あー、ズルい!私にも愛の言葉を囁いてよ!」
「愛してる愛してる、俺の世界一可愛い妹」
「適当すぎるよ!」
いや、さすがにデュリオくんの前では言えない。
デュリオくんとは仲良くしていたいからな。
「じゃあ、俺は仕事の続きがあるから行くわ」
そう言ってゲームセンターに向かおうとすると花蓮にとめられた。
「ちょっと待って」
「ん?何だ?」
「クレープ食べない?」
花蓮がクレープを差し出してきたので俺はそのまま一口だけ食べた。
「えへへ………。間接キスだね、お兄ちゃん」
花蓮が幸せそうな笑みを浮かべながら言う。
あー、もう。俺の妹は可愛いな。
全く予定していなかったデュリオの再登場です。
今後も隙があれば出していきたいです。
では感想待ってます。