今日はリアス・グレモリーとディオドラのレーティングゲーム当日。まぁ、禍の団が乱入してくるからゲームはないけど。他の勢力もそれに気付いて旧魔王派の連中を一網打尽にするための準備をしている。
そして俺は今、自分の部屋でルフェイに膝枕されながら頭を撫でられている。
「気持ち良いですか?」
「ああ、最高だ」
ルフェイの柔らかい太股に優しい手付き、気持ち良すぎて眠たくなってきた。
本来なら俺も堕天使の連中に協力して作戦に参加するところだが、それが嫌なので部屋でルフェイとイチャイチャしている。
時間になったらルフェイに転送してもらって単独で曹操を撃破する予定だ。
ん?電話か。良いところだったのに誰だ?
俺はルフェイの膝枕から起き上がると電話に出る。
『そろそろゲーム開始の時間だが調子はどうだ?』
「何だ、曹操か。別にゲーム開始の合図なんかなくても遅刻はしないぞ」
『そう言うな。ゲーム開始の合図もゲームマスターの仕事だからな』
それもそうか。どんなゲームでも最初が肝心だ。
最初がつまらなかったら最後までプレイする気になれないからな。
『で、ゲームのルール説明は必要か?』
「必要ない。お前を見付けて倒すだけの簡単なゲームだ」
『じゃあ、待ってるぞ。ゲームスタートだ』
それだけ言うと曹操は電話を切った。
さて、そろそろ俺も戦場に行くか。
「じゃあ、ルフェイ。頼む」
「いえ、あの……その」
ルフェイが人差し指を合わせながらモジモジしている。何、これ?可愛過ぎるんだけど。
でも今はルフェイの可愛さを愛でている時間はない。
「何だ?」
「え~と……いってらっしゃいのキスです!」
そう言うとルフェイが不意打ちで俺に抱き付いてキスしてきた。
こういうことをされると押し倒したくなるからやめてほしい。まぁ、やる気は出たけど。
「じゃあ、行ってくる」
ルフェイがキスをやめて離れたところで頭を撫でながらそう言った。
「はい、頑張ってください」
そして俺は笑顔のルフェイに見送られて戦場に転移した。
「おー、凄いな」
俺が戦場に転送されると、すでに戦闘は開始していた。
色んな勢力の連中が手を組んで旧魔王派の奴等と戦っている姿は圧巻だ。
さて曹操のところまでは、まだ結構距離があるな。
俺が曹操の居場所に向かって移動している途中で、また電話がかかってきた。
今度は誰だ?
『よぉ、霧識か。今、どこにいるんだ?』
電話の相手はアザゼルか。音からして向こうも戦っているようだ。
「そりゃ、戦場にいるに決まってるだろ?」
『そうかよ。まぁ、お前の性格からして、また何か企んでいるんだろうが』
「何も企んでねぇよ」
今回は曹操の作戦に対する準備しかしていない。
せっかくの曹操の考えたゲームだからな。俺が何かして台無しにするのは勿体ない。
『どうも信じられないが。まぁ、いい。それよりもヴァーリ達はどうしてるんだ?』
「今は次元の狭間にいると思うぜ」
オーフィスが以前、次元の狭間で動きそうなゴグマゴグを感知したから、それの探索に向かっている。まぁ、それだけではないが。
ちなみにゴグマゴグは古の神が量産した破壊兵器でゴーレム的なものらしい。
『次元の狭間だと!?何でそんなところにいるんだよ!?ヴァーリチームを保護するための条件を何だと思ってやがるんだ、あの馬鹿は!?』
「何とも思ってないだろ」
どっちにしろヴァーリチームは自由に生きるだけだからな。
「そんなことよりもイッセー達の方の様子はどうなんだ?」
『さっき連絡してみたらディオドラの奴にアーシアを連れ去られたらしい。それで今からディオドラのいる神殿に突撃するようだ』
神殿ねぇ。ダンジョン系のゲームかよ。
あっちはあっちで面白いことになってるみたいだ。
「OK。事情は分かった」
それだけ言うと俺は電話を切った。
次の瞬間、花蓮が俺に勢いよく抱き付いてきた。
「お兄ちゃん発見!」
「何で花蓮がここにいるんだ?」
「教会の皆と私も戦闘に出てたんだけどね。そしたらお兄ちゃんの匂いがしたから探しにきたの」
俺の質問に花蓮は満面の笑みで答える。
周りは凄いことになってるのに幸せそうだな。
何か『戦場で何いちゃついていやがるんだ!リア充は爆発しろ!』という視線を一部から感じる。
にしても匂いって。犬か何かか?。
しかも独断で持ち場を離れたのかよ。ルールはちゃんと守ろうぜ。俺も人のことは言えないけど。
「どうせ戻れ、って言ってもついてくるんだろ?」
「当然!」
「じゃあ、協力してもらおうか」
本当は一人でやりたかったんだけど、こうなったら仕方ない。
「曹操くん、見ー付けた!」
俺と花蓮はエクスカリバーを構えつつ曹操と相対する。
曹操の近くにはゲオルクの姿も見える。他にはいないようだ。
「よくここが分かったな。他の連中に見付からないように結界を張っていたのに」
こっちのボケはスルーでいきなりシリアスモードかよ。
かくれんぼ風に言った俺が恥ずかしい奴みたいじゃないか。
「善意の情報提供者がいたからな。それに俺が来ることを見越して一ヶ所だけ結界に穴を開けていただろ?」
俺と花蓮が入った瞬間に入口は閉じられたけど。
「まぁな。にしてもジャンヌの奴。あっさり敵に情報を流しやがって」
善意の情報提供者としか言ってないのに一瞬でバレた。相変わらず勘の鋭い奴だ。
ちなみにジャンヌとは女装状態のギャスパーとミリキャスを言葉巧みに絡めさせた秘蔵中の秘蔵写真と交換で情報を教えてもらった。
こんなとっておきを使ってしまったら今後の取引の時に影響が出るだろうが仕方ない。
おっと、思い出しただけで鼻血が出そうになってしまった。
「ところで、そっちの女は誰だ?君の性格からして一人で来ると思っていたんだが」
「妹だ。俺も本来は一人で来る予定だったのに勝手についてきたんだよ」
「いやいや、お兄ちゃん。私のことは世界一可愛い妹だと紹介しないと」
絶対にしない。俺は別にシスコンじゃないからな。
「へぇ、君に妹がいたのか。そんな話は聞いていないが」
俺の答えに曹操が意外そうな顔をする。
「最近できたんだよ」
「最近できたって……。親の再婚で出来た義理の妹か何かか?」
「いや、俺の両親はずっとラブラブだと思うぞ。こっちが引くくらいに」
「そうだな。それは俺もよく知っている」
曹操が頷いて俺の意見に同意する。
何で曹操が俺の両親のことを知っているんだ?
「……やっぱり良い尻だな」
「ヒィ!」
ゲオルクが俺のお尻を見ながら不気味なことを呟いたので思わず手でお尻を隠してしまった。
「え?もしかしてお兄ちゃんって年下の女の子だけじゃなくて男にもモテるの?」
「いや、そんなことはない!俺が男にモテるはずがない!」
木場の視線が怖いことがあるが気のせいだ。俺は関係ない。そう思いたい。
「おい!曹操!早く戦闘を開始しようか!」
「まぁ、待て。まだゲーム終了までは時間がある。戦闘を開始する前に君が俺の作戦をどこまで読めているか答え合わせしようじゃないか」
答え合わせねぇ。まぁ、それぐらいならいいか。
「まずはこのゲームにテロを仕掛けることで世界転覆の前哨戦にするつもりなんだろ?ちょうど、現魔王に各勢力の幹部クラスが来ているからな。まぁ、事前に作戦はバレていて、どの勢力も迎撃態勢を取っているが」
「なるほど。でも事前にバレていたなら旧魔王派の連中は逆に潰されるんじゃないかな?」
まぁ、普通に戦ったら潰されるだろうな。大体、旧魔王の血筋の奴等よりも現魔王の方が強いし。
「いや、わざとバラしたんだろ?グラシャラボラス家の次期当主の事故死を始めとした現魔王に関与にする者達の不審死。これで事前にテロの可能性を予想させて各勢力の幹部クラスを集めたんだ」
「面白い考えだな。じゃあ、現魔王と各勢力の幹部クラスを一網打尽にする作戦があると?」
「ゲオルクの神滅具『
この作戦が可能なことは会長達とのレーティングゲームの時に実証されている。
恐らくグリゴリに裏切り者を潜り込ませて会長に『
「確かにそれが成功すれば恐ろしいことになるな。で、続きは?」
「続き?」
これで終わりだろ。続きなんてあるのか?
「……そうか。まぁ、君はそうなんだろう。それが俺と君の違いだ」
どういう意味だ?意味深な言い方だが意味が全く分からない。
「……お兄ちゃん、そろそろ我慢の限界なんだけど。斬っていいかな?」
さっきまで戦闘をしていたからボルテージが上がったままなのか。
「ああ、あそこのホモ野郎が結界を張っている犯人だ。奴を斬って能力を解除させろ」
「OK、お兄ちゃん。あのホモ野郎をぶった斬ってお兄ちゃんのお尻は私が守るよ」
そう言うと花蓮は一瞬、消えたと思えるほどのスピードでゲオルクに斬りかかる。
て言うか、俺のお尻を守るって……。間違っているはずなのに、間違っていると思えないのは何故だろう?
「させない!」
曹操が間に入って聖槍で花蓮の攻撃を防ぐ。さすが曹操だな。花蓮のスピードに追い付くとは。
「さて、俺も参戦するか」
「いや、君の相手は別に準備している」
曹操がそう言った瞬間、俺の前に何かが現れる。
これはアンか。アメリカ独立戦争や北西インディアン戦争で斥候やメッセンジャーとして活躍し『マッド・アン』の異名を持つアン・ベイリーの子孫。
あの女の神器の能力はマーキングした対象をマーキングした場所に自在に転移させること。
最初から曹操は俺の相手を用意していたのか。
「ヒャハハハハ!ここで会ったが百年目ってヤツか、クソ野郎!」
現れたのは全身が色々な動物のパーツで構成された統合性のない体をした男だ。
「……誰?」
名前だけ登場したアンはオリキャラです。一応、後で出番もあります。
では感想待ってます。