ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第78話 テレビ局

「やっと来たか」

 

俺はテレビ撮影のために転移用魔方陣でやって来たグレモリー眷属とヴァーリと黒歌を出迎えた。

 

「……また貴方なの?本当、どこにでも現れるわね。今度は何をしているの?」

 

リアス・グレモリーが面倒臭そうな感じで質問してきた。

 

「俺はとある番組のアドバイザーをしていたな。その仕事で来ているんだよ」

 

「とある番組?どうせ録な番組じゃないんだろ?」

 

「いや、素晴らしい番組だ」

 

イッセーが言ったことを即座にヴァーリが否定した。

ヴァーリには事前に内容を教えているからな。前回、ヴァーリが暴れた時はこの事を言ってギリギリのところで助かった。もし言ってなかったら俺は死んでいたな。

 

「ヴァーリが褒めるってことは子供特集の番組なのか?」

 

「ただの特撮番組だ」

 

まぁ、裏で人に言えないようなことも色々やっているけどな。

 

「……ところでさっきから気になっていることがあるんだが」

 

ヴァーリが何とも言えない表情で言ってきた。

 

「ん?何?」

 

「何でオーフィスを肩車しているんだ?」

 

俺はヴァーリの言う通りオーフィスを肩車している。

何故なら今日はオーフィスとのデートだったのだが仕事が入ったから代わりにテレビ局の中を案内しているのだ。

オーフィスはテレビが好きだから楽しそうに見学している。

 

「ただの職場見学だ」

 

「そうなのか?」

 

「テレビ局の見学、楽しい」

 

「そう言うわけだ」

 

「くっ……。いや、職場見学なら肩車をする必要はないだろ」

 

あー、そこに気付いてしまったか。

 

「……面倒臭いことを言ってるとテレビの出演をなかったことにするぞ。あー、残念だな。スタジオにはすでに可愛い子供達が来ているのに」

 

俺はわざとらしくヴァーリを挑発するように言う。

ちなみに俺は子供達とはさっき会った時に仲良くなっている。皆、可愛くて良い子達だった。

 

「そ、そうだな。俺はこれから子供達のヒーローになるんだ。そしてモテモテだ。フフッ……」

 

ヴァーリが邪悪な笑みを浮かべる。何か微妙に会話が噛み合ってない気がする。

後、仲良くなるのは良いが子供には手を出すなよ。そんなことになったら番組が潰れるからな。

 

「ヴァーリが気持ち悪いにゃ」

 

小猫に抱き付いている黒歌がヴァーリを気持ち悪そうに見ている。

 

「ヴァーリが気持ち悪いのは認めるが何で黒歌がいるんだ?呼んだ覚えはないぞ」

 

今日の撮影はグレモリー眷属へのインタビューと特撮のPVだ。黒歌の出番はない。

 

「私は白音がいるところなら、どこでも現れるにゃ」

 

黒歌が幸せそうに小猫に頬擦りしながらそう宣言した。

羨ましい。後で俺もしよう。いや、される方が良いな。

 

「お姉さま、暑苦しいです。やめてください」

 

小猫が両手で黒歌を退けようとする。だが黒歌はそれに全力で抵抗する。

 

「たまには『白音』『お姉さま』って百合百合でも良いと思うにゃ」

 

前にレヴィアたんも同じようなことを言っていたな。同じシスコンだから思考が似ているのだろうか?

まぁ、俺的には百合は大歓迎だが。

 

「霧識先輩、これをどうにかしてくれませんか?」

 

小猫が黒歌を心底鬱陶しそうにしながら言う。

 

「う~ん……どうにかと言われても困るな」

 

オーフィスとのデートと仕事があるから黒歌をどうにかしている時間なんかないぞ。

 

「これ、とか酷いにゃ!お姉ちゃん、悲しくて泣いてしまいそうにゃ!」

 

「私のいないところで勝手に泣いていてください」

 

その後、面倒臭くなるのは俺なんだが。絶対、俺に泣き付いてくる。

 

「あの……、そろそろ行かなくていいのかな?」

 

木場が困った様子で言ってきた。

あー、そう言えば忘れていたな。こんなところで雑談をしている場合じゃない。

 

「こっちだ。ついてこい」

 

そう言うと俺は皆をエレベーターへと案内して上へ向かう。

すると廊下の先からサイラオーグとその眷属が歩いてくるのが見えた。

にしてもサイラオーグのところは眷属も面白そうな奴が多いな。おっぱいドラゴンの仕事がなかったら俺がサイラオーグのインタビューをするのに。

 

「サイラオーグ、貴方も来ていたのね」

 

リアス・グレモリーがサイラオーグに声をかける。

 

「リアスか。そっちもインタビュー収録か?」

 

「ええ。サイラオーグはもう終わったの?」

 

「これからだ。……ところで、そこにいる男は誰だ?リアスの眷属ではないようだが」

 

サイラオーグがヴァーリを警戒しながら見ている。

ヴァーリを一目でただ者ではないと見切ったのか。今は強者ではなく変態としてのオーラを纏っているのに。

 

「白龍皇だ」

 

俺がリアス・グレモリーの代わりに返事する。

 

「……これが白龍皇か。確かに強そうだ。一度、手合わせしてみたいものだな」

 

サイラオーグが強者を見付けて嬉しそうな顔をしている。

サイラオーグも相当なバトルマニアのようだ。

 

「でもロリコンだ」

 

「……噂で聞いたが本当なのか?どうにも二天龍が変態と言うのは信じられないんだが」

 

「俺も信じられないが紛れもない真実だ」

 

て言うか、ヴァーリのロリコンの噂はどこから流れているのだろうか?俺は言いふらした記憶はないが。

噂って怖いな。

 

そしてサイラオーグと分かれて俺達はスタジオに到着した。中はまだ準備中でスタッフが色々と作業している。

グレモリー眷属は先に来ていた局アナと挨拶した後、打ち合わせを開始した。

俺は俺の手伝いに来ていたレイヴェルのところに行く。今はスタッフの手伝いをしているようだ。

 

「よぉ、レイヴェル。頑張っているようだな」

 

俺はレイヴェルの頭を撫でながら労う。

本来なら俺の手伝いと言っても、ここまでする必要はないからな。黒歌にもレイヴェルを見習って、たまには真面目に働いてほしいものだ。

 

「これくらい普通ですわ」

 

レイヴェルが気持ち良さそうにしながら返事する。

するとオーフィスが俺の頭をポコポコと叩いてきた。可愛らしい仕草だがこれ、もし本気でされたら俺、死ぬな。

 

「今日のデートは我。レイヴェルは明日」

 

オーフィスが不機嫌そうに頬を膨らませている。

今のは俺が悪かったか。でも、この体勢だとオーフィスの頭を撫でることも出来ないしな。どうしたものか。

そんなことを考えていると小猫がやって来た。

 

「何でレイヴェルがいるんですか?」

 

「職業体験だ」

 

「そうなんですか?」

 

小猫が何故かレイヴェルを少し怪しむような目で見る。

 

「フフッ。そうですわ」

 

何故か勝ち誇った顔のレイヴェル。

 

「……もしかしてルフェイも来ていたりしますか?」

 

「いや、別に。今日は来ていないな」

 

まぁ、たまに手伝ってくれたりするけど。

 

「ほっ……」

 

何故か安心した表情の小猫。さっきから全く意味が分からない。

 

「代わりに愛妻弁当は作ってもらったが」

 

最近、よく作ってくれるんだよな。味もかなり美味しい。

 

「くっ……。何か私だけ負けている気がします」

 

今度は悔しそうな顔をする小猫。

負けている、って何かの勝負でもしているのか?

 

「ところで黒歌はどうしたんだ?」

 

さっきまで小猫に抱き付いてはずの黒歌がいない。周りを見渡してみるがスタジオ内にいる気配はない。

 

「さっき面白そうなものを発見したとか言って、どこかに行きました」

 

相変わらず自由だな、あの野良猫は。

 

「後、オーフィス。そろそろ頭を叩くのをやめてくれると助かる」

 

オーフィスは小猫がやって来てからも、ずっと俺の頭をポコポコ叩いている。

オーフィスは手加減しているようだが結構痛い。そろそろ限界だ。

 

「これ、少し楽しくなってきた」

 

途中からリズムに乗っているような気がしていたが、それが原因だったのか。

叩くのが楽しくなる、って俺からしたら洒落にならないな。

 

「仕事が終わったら何でも言うことを聞いてやるから止めてくれ」

 

「じゃあ、いつものヤツ」

 

いつものヤツ?

……もしかしてキスか?何か最初にしてから、やたらとせがんでくるな。

まぁ、それでオーフィスが喜んでくれるなら安いものだ。いや、むしろ役得だな。

 

「OKだ」

 

俺がOKするとオーフィスが嬉しそうな顔をする。肩車しているから、ちゃんと見えている訳じゃないが。

 

「……いつものヤツって何ですか?」

 

「私も気になりますわ」

 

オーフィスの様子を怪訝に思った二人が俺に詰め寄ってきた。

ふむ、ここは説明するのも面倒臭いし逃げるか。

 

「おーい、イッセーにヴァーリ!お前らは別スタジオに移動だ!早くついてこい!」

 

それだけ言うと俺はすぐに移動を開始する。

 

「逃がしませんわ」

 

「私もです」

 

だが二人はついてくる。まぁ、レイヴェルは俺の手伝いだから当たり前だけど。

 

「小猫、どこに行くの?貴女も今からインタビューがあるのよ!」

 

「……また後で聞きます」

 

リアス・グレモリーに呼ばれると小猫は渋々戻っていった。この場じゃないなら問題ない。小猫を気持ちよくさせて誤魔化すだけだ。

 

 

 

 

 

 

「あー、ブラックファントムが戻ってきた!」

 

「さっきのお菓子、もう一個ちょうだい!」

 

イッセーとヴァーリを案内して別スタジオに入ると子供達が俺のところに集まってきた。

さっきのお菓子とは俺が差し入れに作ってきたクッキーだ。

 

「ブラックファントムって何だ?」

 

「俺が前に『マジカル☆レヴィアたん』の特別番組にゲストとして出演した時の役だよ」

 

俺は子供達の相手をしながらイッセーの質問に答える。一回しか出ていないのに子供達に知っていてもらえるというのは嬉しいものだ。

何かヴァーリが怖い顔で睨んでくるし、そろそろ二人の紹介をするか。

 

「この二人が今日、遊んでくれる乳龍帝とケツ龍皇だ」

 

最初、ヴァーリはロリコンキャラでやる予定だったが子供向けの番組で主人公がロリコンというのは色んな意味でアウトな気がしたのでケツ龍皇になった。それに、おっぱいとお尻の方がバランス的にも良いしな。

ちなみに番組の正式名は『おっぱいドラゴンとおパンツドラゴン』。ヴァーリの方の名前を考えたのはオーディンだ。北欧の主神がそれでいいのか?

 

『おい、これはどういうことだ!白いのは知っていたのか!?』

 

ドライグが物凄く取り乱しながらアルビオンに質問する。そこまで取り乱す必要はないだろ。

 

『聞こえない。俺には何も聞こえない』

 

どうやらアルビオンはあまりの辛い事実に現実逃避しているようだ。耳を塞いでうずくまっているアルビオンの姿が想像できるな。

そしてイッセーとヴァーリが子供達と挨拶すると撮影が始まった。

 




次回は曹操との戦いが始まります。まさかの男が大活躍する予定です。

では感想待ってます。

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