今日の晩か明日には投稿できると思います。
「そういやジークはどうしたんだ?」
昼飯を食べながら俺は質問した。
メニューはチャーハンに餃子。曹操に合わせて中華だ。
「「…………」」
二人は一斉に食べるのをやめて俺から目線を逸らす。
急に気まずい空気になったんだが。
「……何故、急にそんな質問をしたんだ?」
「特に理由はない。何となく気になっただけだ」
本当に何で質問したのかは俺にも分からない。ただ、しないといけないような気がした。
「そうか。知らないならそれでいいんだ」
「ジーくんは英雄派のために自ら犠牲に……」
二人が戦死した同志を弔うような顔をしている。ジャンヌにいたっては目に涙が見える。
て言うか、犠牲って何?死んだ訳じゃないよな?
「ジークに何かあったのか?」
「そんなことより用事があって俺を呼んだんだろう?早く内容を言え。俺も忙しいんだ」
曹操が露骨に話を誤魔化してきた。こんな焦った曹操は珍しいな。
ジークに何があったのか気になるが後回しにするか。今、聞いても教えてくれそうにないし。
「ディオドラのことだ。あいつがアーシアに求婚するように仕向けたのはお前だろ?何を考えているんだ?」
「何のことだ?俺にそんなことして何の利益があるんだ?」
いつもの調子に戻った曹操がとぼけてきた。
「例えばディオドラをけしかけて魔王の妹のリアス・グレモリーを潰すとかじゃないか。リアス・グレモリーの眷属は赤龍帝とか聖魔剣とか色々と厄介だからな。知らんけど」
「確かにそれが目的だ」
「まぁ、そう簡単に自分の目的を喋れないのは分かるが……って認めるのかよ!?」
とぼけたと思ったら次の瞬間に認めるとか意味が分からない。何のためにとぼけたんだよ?
いや、正確には認めてないけど。リアス・グレモリーを潰すというのは嘘だ。まぁ、目的の一つではあるだろうから完全に嘘という訳ではないだろうが。
俺じゃなかったら騙されていたぞ。
「さすがキーくん。ノリツッコミとか初めて見たわ」
何かジャンヌが興味深そうにしているが、どうでもいい。無視だ。
「そりゃ、バレているのに隠す必要がないだろ?」
「いやいや、嘘つくなよ!ディオドラがどう頑張っても赤龍帝には勝てないだろ!」
「そうか?ディオドラはアガレスに勝ったんだ。ルール次第では赤龍帝に勝つ可能性はあると思うぞ」
ああ、あの試合か。確かオーフィスの蛇を使ってアガレスに勝ったんだったな。
そういや、まだ旧魔王派に与えた蛇を回収してなかった。今回の件が終わった後にでもオーフィスと回収しに行くか。
にしても、ルール次第ねぇ。何か気になる言い方だな。
「……曹操。全く本心で話してないだろ?」
「そんなことはないぞ」
相変わらず息を吐くように嘘をつく男だな。
まぁ、いい。元から全部喋るとは思ってないし。曹操が黒幕なのは確定したんだ。後は自分で調べるか。
「ああ、そうだ。最後にこれだけは言っておく」
曹操が改まった感じで言ってきた。
「何だ?」
「今回の君はゲームマスターではなくプレイヤーだ。そしてゲームマスターは俺だ」
分かりやすいぐらい俺に対する宣戦布告だな。
「後、お茶のおかわりがほしいんだが」
「あ、キーくん。私もほしい」
宣戦布告した直後にそれか。シリアスな雰囲気が台無しだよ。
次の日の昼、午前中にジャンヌとの交換を終えて今は昼食の準備をしている。
ピーンポーン
ん?また誰か来たのか?予定にはなかったはずだが。
「誰か代わりにでてくれ!」
返事がない。そういや午前中は出禁にしていて皆が来るのは昼食の時間だったな。
仕方ない。俺は調理を中断して玄関に向かう。
そして扉を開けると、そこには神父服を着た金髪の男がケーキの入った箱を持って立っていた。
「ども。自分、デュリオ・ジェズアルドっす。花蓮ちゃん、います?」
デュリオ・ジェズアルド。前に花蓮から聞いた最強のエクソシストか。こんなに早く会えるとは予想外だ。
それに二日連続で神滅具所有者に会えるとは。何か夏休みのシスコン三連戦が思い出される。
明日は幾瀬の奴が来たりしないだろうな。
「どうかしたっすか?ボーとして」
「ああ、大丈夫。いきなりの大物に驚いただけだ」
それに最初に予想していたイメージと違ってかなり軽いし。まぁ、花蓮と友達という時点で予想が外れることを予想していたが。
「俺の名前は七瀬霧識だ。よろしく」
「七瀬?もしかして花蓮ちゃんのお兄さんですか?」
俺の名前を聞いたデュリオくんが驚いている。しかも何故か敬語になっている。
どういうこと?
「そうだけど」
「いやぁ、失礼な態度をとってすみません、お義兄さん」
お義兄さん?発音がおかしくないか?
何か緊張しているようにも見える。
「別にいいけど。後、敬語は苦手だからやめてくれると助かる」
「それは良かった。俺も敬語は苦手でね」
曹操とは違って意味でよく分からない奴だな。
ヴァーリやイッセーもそうだが神滅具所有者は変な奴が多いのか?
いや、幾瀬はまだマシだったか。
「花蓮はもうすぐしたら来るから上がって待っててくれ」
「了解っす」
そして俺はデュリオくんをリビングに案内して椅子に座らせる。
「そのケーキは冷蔵庫に入れておいていいか?」
「頼むっす、お義兄さん」
俺はデュリオくんからケーキの入った箱を受けとると冷蔵庫に入れる。
ん?このケーキ、前に小猫とデートした駅前のケーキ屋のヤツか。
「ところで、そのお義兄さんっていうのは止めてもらっていいか?デュリオくんの方が歳上だろ」
「そう言われてもお義兄さんはお義兄さんだから」
え?何?もしかしてそういうことなの?これは意外な展開なんだが。
俺はデュリオくんの前の椅子に座ると確認する。
「……もしかして花蓮のことが好きなのか?」
「そんなハッキリ言われると困ると言うか何と言うか!」
手をパタパタとさせて、かなり焦っているデュリオくん。これは確定だな。て言うか、俺のことをお義兄さんって呼ぶ時点で丸分かりだが。
にしても、アレのどこが良いんだ?俺には重度の変態にしか見えないんだが。
「どこが好きなんだ?」
「それは……その、物凄く可愛い笑顔とか……。一緒にいると楽しいし」
笑顔か。確かにアレは可愛いな。何人かの同級生から笑顔が理由で告白されたという話を聞いたことがある。全員、有り得ないほどの毒舌で心を折られたらしいが。
それに明るい性格だから一緒にいて楽しいというのも理解できないことはない。俺の場合は心労の方が多いが。
「だったら告白したらどうだ?」
花蓮とデュリオくんが付き合えば俺は負担が減る。
それにデュリオくんは花蓮が家族以外で唯一仲良くしている男。可能性はある。
「それは……」
デュリオくんが急に遠い目をした。
「実は前に告白したことはあるん」
「フラれたのか?」
「……いや、別にフラれた訳じゃないけど。『私も好きだよ。それより早くご飯を食べに行こ』って言われた」
「あー」
何か想像できるな。デュリオくんの告白を告白と受け取ってない。
花蓮のことだから鈍感とか分かっているけど無視したってことではないだろう。
多分、単純にデュリオくんを恋愛対象として見てなかったから気付かなかっただけだ。
「それは無理だな」
「やっぱり、これはそういうことすっか!?」
「そういうことだな。諦めろ」
花蓮とデュリオくんをくっ付けようと思ったが無理そうだな。これは別の方法を考えるしかないか。
「いやいや、そんな簡単に諦めないでよ、お義兄さん!何か作戦はないんすっか!?」
「作戦ねぇ……」
あんなタイプは見たことないのに、どうやって口説けばいいかなんて思い付く訳がない。
とりあえず無難な方法からいってみるか。
「外堀から埋めるとかはどうだ?」
「……無理っす。両親はあんなんだし、花蓮ちゃんの仲の良い友達って年下の女の子ばかりだし」
まぁ、両親は無理だな。
年下の女の子が無理とは言うのは俺にはよく分からないんだが。もしかして年下の女の子に相談するのは恥ずかしいのか?むしろ、やりやすいだろ。
ん?今、玄関が開けられる音がしたな。っと思っていると、ドカドカと足音がこっちに向かって来ている。
「ヤッホー、お兄ちゃん!昼食、食べに来たよ!」
勢いよくリビングの扉が開けられたと花蓮が抱き付きながら言ってきた。
まだ昼食の時間まであるんだが早めに来たのか。
花蓮がデュリオくんに気付くと不思議そうに首を傾げた。
「ん?デュリオくん?何でここにいるの?」
「ちょっと近くに来たからね。ついでに会いに来たよ」
嘘だな。
曹操と違ってデュリオくんの嘘は分かりやすい。
「そうなんだ。まぁ、のんびりしていってよ」
「おい、花蓮。ここは俺の家で花蓮は居候なんだが」
「いやだなぁ、お兄ちゃん。お兄ちゃんと私が結婚すれば、ここは私の家になるのに」
何かデュリオくんが俺を睨んでくるんだが。
もしかして花蓮が病的なブラコンだということを知らないのか?それとも知った上で嫉妬しているのか?
まぁ、どっちでもいいけど。
「そうだ、花蓮ちゃん。ケーキを冷蔵庫で冷やしているから後で一緒に食べない?」
「ケーキ買ってきてくれたの?ありがとう」
笑顔で返事する花蓮。それに対してデュリオくんは顔を赤くしている。
最強のエクソシストって聞いていたけど意外と純情なんだな。
翌日の朝
「呼ばれたような気がしたから来たよ」
「誰も呼んでねぇよ、幾瀬」
登校前に来られても迷惑なだけだ。
シスコン三連戦に続いて神滅具所有者三連戦です。まぁ、最後の一人は何もしてませんけど。
三連戦が気に入ったんで他にも出来ないかな。
龍王三連戦とか?さすがに出来る気がしない。
では感想待ってます。