ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第68話 観戦

「さっきは取り乱してすみません。私はロスヴァイセといいます」

 

ロスヴァイセを落ち着かせたところで自己紹介をすることにした。

 

「俺は七瀬霧識だ」

 

「……七瀬霧識?」

 

俺の名前を聞いたオーディンが怪訝な顔をする。北欧で何かやらかした記憶は特にないんだが。

 

「もしかして貴様が今、各勢力で噂になっているグリゴリの人間か?」

 

「え?俺って各勢力で噂になってるの?」

 

俺はアザゼルに質問する。

表立ってやらかしたのはコカビエルの時だけだから、一部で噂になっている程度だと思っていたんだが。

 

「当たり前だろ。オーフィスとヴァーリチームの件でお前は騒がれているからな。お前を知らないのは吸血鬼みたいな閉鎖的な連中だけだ」

 

ああ、そう言えばそうだったな。

 

「そやつはテロリストと通じておるくらいじゃから、他にも色々と裏でやっておるじゃろう。そんな奴を自由にしておくとは悪ガキ堕天使の危機管理能力は理解できないのう。今は上手くやっているかもしれんが、そのうち大きな問題を起こすぞ」

 

「ちっ。相変わらず嫌味なクソジジイだな」

 

アザゼルが不愉快そうに舌打ちする。

まぁ、俺を管理できたら苦労していないからな。

 

「まぁまぁ、落ち着け。オーディン」

 

そう言って俺はオーディンに一枚の写真を渡す。

 

「神を呼び捨てとは失礼な奴じゃの。……こ、これは!」

 

写真を見たオーディンが目を見開く。

 

「……ま、まぁ、仕方ないの。ところで他の写真はあるのか?」

 

オーディンが写真をしまいながら小声で俺に質問する。

北欧の主神、チョロいな。やっぱりトップにマトモな奴はいない。

 

「あるけど、ちゃんと料金は払ってもらうぞ」

 

「……金か?」

 

「いや、面白そうな情報だ」

 

金には困ってないから必要ない。

 

「さすがに重要な情報は言えないがそれでいいか?」

 

「問題ない。これで取引成立だな」

 

重要な情報は自分で調べる。俺が知りたいのはもっと別のことだ。

 

「……おい、何を渡したんだ?」

 

アザゼルがオーディンに聞こえないように小声で聞いてきた。

 

「黒歌のエロいコスプレ写真」

 

「……本当にエロジジイだな」

 

アザゼルが呆れたように言う。

アレは本当にエロいからな。まぁ、俺好みではないから、あんな写真渡しても惜しくないけど。

それに後で撮り放題だし。

 

「ところで、参考までに俺にもその写真を見せてくれないか?」

 

何の参考にするんだよ。アザゼルもオーディンのこと言えないぞ。

 

「ここで土下座するなら」

 

「くっ……。悩むな」

 

いや、悩むなよ。こんなトップが集っているところで土下座なんてしたらグリゴリのイメージに悪い影響が出るぞ。

 

「良かった。まだ始まってないみたいだね」

 

「セーフ!ソーナちゃんの試合に間に合ったね!」

 

遅れてシスコン魔王の二人が部屋に入ってきた。

そして試合が始まるまで適当に雑談をして時間を潰した。

 

『皆さま、この度はグレモリー家、シトリー家のレーティングゲームの審判役の担うこととなりました、ルシファー眷属『女王』のグレイフィアです』

 

ライザーの時と同じでグレイフィア・ルキフグスが審判をするか。

 

グレイフィア・ルキフグスが説明を開始する。

まず作戦時間は三十分。『フェニックスの涙』の支給は各チーム一つずつ。バトルフィールドは駒王学園近くのデパート。

そして『バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさないこと』というルールがある。これはパワータイプが揃っているグレモリー眷属には不利だな。

特にイッセーとゼノヴィア、姫島朱乃は自分の本領を発揮できない。

 

「これはソーたんが有利ね」

 

「いや、リーアたんならルールの不利なんて気にせず勝ってくれるさ」

 

シスコン魔王がどっちの妹が勝つか言い争いを開始した。少しは周りの目とかを気にしないのだろうか?

 

「よぉ、霧識。お前ならこの試合、どうする?」

 

「そうだな。シトリー眷属はバランスが良いから誰から倒したって変わらないだろ。だから倒せるところから倒すって感じだな」

 

「……それ、ノープランってことじゃねぇか」

 

下手な作戦を考えるぐらいなら、こっちの方が効率が良いんだよ。どうせ腹の探り合いじゃ会長に勝つのは難しいからな。

て言うか、俺が戦うんじゃないから作戦なんて考える必要ないだろ。

 

「このルールならグレモリー眷属はまずギャスパーからだな」

 

「何故だ?」

 

「ギャスパーは神器の使用を禁止されている。必然的にギャスパーの役割はヴァンパイアの力を使っての偵察になるだろう。そして会長の本陣は食材品売場。ニンニクを使ってギャスパーを捕らえるのは簡単だ」

 

「いくらなんでも、そんなギャグみたいな方法でやられるとは思えないんだが」

 

いや、ギャスパーに対してはシンプルだが、これ以上ない倒し方だ。さすがにニンニク克服の修行は視野に入れていないからな。

 

「ねぇ、霧識くん。リーアたんが勝つと思うよね?」

 

「いーや、ソーたんよね?」

 

ヒートアップしたシスコン魔王の争いに何故か俺も巻き込まれた。

そして三人で試合開始までどっちの妹が勝つか試合の予想を話し合った。何故か途中でどっちが可愛いかに話がずれたけど。ちなみに俺は中立の立場だ。

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は三時間のブリッツ形式を採用しております。それではゲームスタートです』

 

おっと、もうそんな時間か。

俺達は妹談義をやめてモニターを見る。

小猫を見るとイッセーと一緒に本陣に向かっているようだ。小猫は猫又モードになっている。やっぱり凄い破壊力だな。後で愛でよう。

 

「やっぱりサーゼクスの妹はデカイのぉ」

 

オーディンはリアス・グレモリーの胸に集中しているようだ。サーゼクスの前でよくそんなことが出来るな。殺されても知らないぞ。

ロスヴァイセがハリセンでオーディンの頭を叩く。

 

「だから卑猥な目は禁止です!それにここにはサーゼクス様もいらっしゃるのですからご自重ください!」

 

「じゃあ、代わりに『女王』の方を見るとするかの。アレのおっぱいも素晴らしい」

 

再度、ロスヴァイセがオーディンをハリセンで叩く。神に対して容赦ないな。

 

「そういう問題ではありません!」

 

「相変わらず頭が固いのぉ。そんなだから彼氏の一人もできんのじゃ」

 

「ど、どうせ私は彼氏いない歴=年齢の戦乙女ですよ!私だって、か、彼氏ほしいのにぃ!うぅぅ!」

 

またロスヴァイセが泣き出した。

まだ若いし気にしなくていいと思うが。それに見た目は悪くないから普通にしていたら彼氏の一人ぐらい出来るだろ。

 

モニターでは天井にラインを繋げてターザンみたいにイッセーを蹴り飛ばしている匙が映っていた。イッセーは籠手で何とかガードに成功したみたいだ。

だが、イッセーの籠手と右腕にラインが繋がっているのが気になる。特に右手の方は匙の神器じゃなくて別のどこかに繋がっているようだ。

 

『リアス・グレモリー様の『僧侶』一名、リタイア』

 

はやっ!もうギャスパーは負けたのか!予想よりも更に早いな!

別のモニターでは俺の予想通りの方法で負けているギャスパーの姿が映っていた。

 

「……本当に霧識が言ったギャグみたいな方法で負けるとは。次からニンニク克服も視野に入れた方が良いな」

 

アザゼルが驚いた顔をしている。

さすがに実戦でそんな馬鹿な作戦を使う奴なんていないからニンニク克服なんて必要ないだろ。いや、何が起こるか分からないのが実戦。今日からギャスパーの主食はニンニク尽くしだな。そして困っているギャスパーを撮影する。

何かトイレに行きたくなってきたな。さっきシスコン魔王の言い争いに巻き込まれて行き損ねたせいか。

 

「ちょっと出てくる」

 

「試合が始まったばかりだぞ」

 

「すぐ戻ってくる」

 

そして俺は部屋から出てトイレに向かった。

さすがに試合中だから人気がないな。

俺がトイレに到着して用を足していると隣に銀髪の男性がやって来た。何か見覚えがあるような気がするが気のせいだよな?だって、ここにいるはずがないのだから。

もう一度、確認してみよう。……うん。やっぱり気のせいではなかった。

 

「こんなところで何やってんだ、ユーグリット!?」

 

グレイフィア・ルキフグスの弟にして公式では死んだことになっているはずのユーグリット・ルキフグスが俺の隣で用を足している。

 

「こんなところで私の名前を叫ばないでください。誰かに聞かれたらどうするのですか?」

 

まぁ、そうだな。もしバレたら大変なことになる。いや、最初からユーグリットが来なかったらいい話なんだけどな。

トイレが終わった後に近くのベンチに座って話を聞くことにした。もちろん神器で周りに認識されないようにしている。

 

「何でこんなところにいるんだ?」

 

「決まっているじゃないですか。私の姉がこのレーティングゲームの審判役をすると知って見に来たんです」

 

解説ならまだ分かるが審判を見に来る奴なんて初めて聞いたぞ。

ユーグリットは俺が弄り倒した結果、ヴァーリと同じように開き直ってストーカーになった。だが、魔王の妹二人のレーティングゲームで注目されている、この場に来るとは完全に予想外だった。

 

「にしても、よくバレなかったな。今までどこにいたんだ?」

 

「普通に観客席にいましたよ。堂々としていれば意外とバレないものです。一応バレない工夫もしていますけどね」

 

特撮の打合せの時といい本当に悪魔のセキュリティはどうなってるんだ。不安しかないぞ。




元々レーティングゲームは原作と同じなので飛ばす予定でした。でも、ただ飛ばすのでは面白くない。どうするか迷った結果がユーグリットの登場です。
ちなみにユーグリットが見付からなかった理由はちゃんとあります。その内、書けたら良いな。
今後のユーグリットの出番は未定です。

では感想待ってます。

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